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2007/01/07

1/5ソワレ レニングラード国立バレエ「海賊」

改訂振付: ニコライ・ボヤルチコフ
音楽: アドルフ・アダン

メドーラ: オクサーナ・シェスタコワ
コンラッド: ドミトリー・シャドルーヒン
アリ: ファルフ・ルジマートフ
ギュリナーラ: アナスタシア・ロマチェンコワ
セイード・パシャ: アレクセイ・マラーホフ
アフメット: アントン・プローム
ビルバンド: アントン・チェスノコワ
フォルバン: ナタリア・オシポワ
パレスチナの踊り: アリョーナ・ヴィジェニナ
アルジェリアの踊り: エレーナ・モストヴァヤ
クラシック・トリオ: オリガ・ステパノワ、タチアナ・ミリツェワ、ユリア・カミロワ

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新年一回目の観劇はマールイの「海賊」。ぴあでお得な会員チケットが売り出されていたので取ったら、3階センターとまずまず観やすい席が来た。しかし毎度のことだけど平日6時半上野は本当に厳しい。会社の定時が5時50分、そこからダッシュしても5時55分の電車に乗れないと遅刻してしまうのだ。職場は最上階なので、一度でもエレベーターに誰か乗ってきたらアウト。で、やっぱり今回もアウトだったんだけど、開演が5分遅れたので何とか助かった。

年末~お正月のドタバタで、今日の出演はルジマトフのアリとしか認識しておらず、ギリギリに入場したらキャスト表ももらえなかったのだけど、幕が開いて嬉しいサプライズはメドーラがシェスタコワだったこと。本当に彼女は素晴らしい!手足が長く顔が小さいバレリーナ体型だけど、細すぎず女らしい曲線美がある身体。伸びやかなアラベスクがきれいだし、音楽によく合った踊りをする。身体がよく引きあがっているので立ち姿が美しいし、足音もほとんどしない。しとやかな気品はあるけど、かといって姫キャラってわけではなくて、奴隷市場で売られそうになる時にはすごく嫌そうだし、「私を助けてお願い」と懇願する姿が可愛らしい。とにかく、ほかのバレリーナとは別格の、スターの輝きが出ていて素敵だった。ジュッテもとてもきれいだし、フェッテなどではたまに不安定になるけど、スピード感があり、決めるところはきっちり決めてくれる。彼女くらい踊れればマリインスキーのソリストにも引けを取らないと思う。3幕の花園のところの踊りも柔らかく伸びやかで夢のようだった。

コンラッドのシャドルーヒンは、シェスタコワと実生活で夫婦ということもあって、ラブラブさはよく表現できていたけど、コンラッド役にはちょっと優男過ぎるのでは?上手なんだけど力強さは全然なくて、完全に尻に敷かれている感じ。あのキャラクターでよくアリやビルバントらを従えているな~と思ってしまう。

ルジマトフのアリは、ここまで来ると完全に伝統芸能の世界。とにかく吸引力がすごくて、彼が舞台にいると大したことをしていなくても、思わず目が吸い寄せられてしまう。(もう一人、ものすごい吸引力がある人がいて、マールイのファンだったら絶対にわかると思うけどクリギン) 常に張り詰めた緊張感がこめられた一挙一動が美しい。それだけでなく、内省的で思慮深く、なんとも(よこしまな)想像力を掻き立てる深みがある。さすがに年齢もあってマネージュとかは低いし、振付もだいぶ易しく変えている部分はあるものの、ただならぬ佇まい、黒豹のような鋭さとしなやかさは健在。観る者の心に漣(さざなみ)が立ってしまう。これが観られただけで6000円払った価値があるというものだ。今回は3階席で観たけれども、これを近くで観たら魂まで吸い取られそう。
このアホアホ演目の中で、一人で大真面目で気迫が入りまくりなので少々浮いているけど、そこがルジマトフたる所以。修行僧に化けた時の衣の巻きつき加減も、3幕で後ろで結わえた髪の絶妙な乱れ方も、ぶっといアイラインも素敵すぎて死ぬ。嗜虐心を掻き立てるドMさがたまらない。

ロマチェンコワは、とても可愛いギュリナーラを演じていた。はきはきしているけど、元気がよさ過ぎるわけでもなくてエレガンスを残している。マリインスキーで観たノーヴィコワより好感が持てる。アフメットとのパ・ド・ドゥで一瞬ポアントが落ちちゃったけど、あとはまったく問題なし。このパ・ド・ドゥでは顔を覆っているヴェールははずれなくて、プロームとの息も合っていた。3幕のパシャのハーレムでは、すっかり豪華な生活になじんじゃっているのが、ちゃっかり屋さんらしくてまた可愛い。

そのアフメット役のプロームは、長身でくるくるの巻き毛、少年っぽい表情で、不良少年がそのまま奴隷商人見習いになった感じ。小悪党というよりは、精一杯背伸びして悪ぶっているのがこれまた可愛い。1幕では、台の上での跳躍が高く、元気一杯にはじけていて見ていて気持ちよかった。着地がもう少し正確だと、すごく上手に見えるんじゃないかしら。カーテンコールでも舞台の真ん中までポーンとジュッテしてくれて場内を沸かせた。

チェスノコワのビルバントはとにかく演技が濃ゆ~い。面白いくらい表情が豊かで、マイムも大袈裟で笑わせてくれる。だけど濃いといったら、今回キャスト表には名前が載っていないのに、3階席からオペラグラスなしでも一発でわかってしまったクリギンを置いて他にいないでしょう。1幕では女奴隷を品定めするすけべな客、2幕ではフォルバンの一人。ドジョウのようなへんな長い口ひげをつけていて顔を見ただけで笑ってしまった。しっかりビルバント側についてコンラッドにぶちのめされる。そのときの受けの演技までもがコミカル。3幕でも、なにやら軍人ぽい扮装でしれっと存在しているからまた笑っちゃう。ある意味ルジマトフ以上に吸引力が強く、思わず目が吸い寄せられて主役の演技を見逃すこともたびたび。常に小芝居をしていて、表情が豊かで、彼を見ているだけで飽きない。サラサラの長い金髪で本当はハンサムなのに、何でこの人はこんなに笑えるんだろう!

マラーホフのパシャは、パシャの割には間抜け度が低くて男前風なのが独特。パレスチナの踊りのヴィジェニナは背中が柔らかくてとても妖艶。オダリスクの3人は、自己主張がそれほど強くないのが好感が持てた。こちらも、マリインスキーの時に見た3人よりよかったと思う。ミリツェワやステパノワといった主演もこなすダンサーが踊っているから、見ごたえがある。群舞もとてもきれいだったけど、あえて苦言を言うとしたら足音が大きかったことだろう。

ボヤルチコフの演出は相変わらずセンスがなく、プロローグが長かったり、2幕のパドトロワの前にフォルバンの踊りがあったり説明的な演技が入ったりとテンポもよくないのだけど、ストーリーはその分わかりやすくなっている。衣装も、1幕のメドーラのまるでジゼルのような衣装が野暮ったくて頂けなかったり、装置も今ひとつだったり(マリインスキーの噴水つきゴージャスな花園に比べてここのは、とても夢の中とは思えない寂しさ)、いろいろと細かい文句はあるのだけど、このぬるさまでもが親しみやすさにつながっていい感じ。

何よりも、オーケストラの演奏に気合が入っていて、フォルテッシモとピアニッシモにメリハリがあり、時には爆音も炸裂してバレエとの一体感を感じさせるのがよかった。「海賊」なんて音楽がしょうもない演目を演奏させるのがもったいないくらい。さすがにマエストロ、アニハーノフの指揮は違う。「白鳥の湖」が楽しみ!

そういうわけで大満足の公演だった。が、観客の質がよくなくて、客席でしょっちゅう携帯電話の着信音が鳴っていたのが残念だった。それに、素晴らしい演技にはもっと拍手してあげようよ。

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