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2006/12/23

ミラノ・スカラ座バレエ「ラ・バヤデール」(ザハロワ&ボッレ)

待っていました!のザハロワ&ロビーのバヤデール。ジャケットのロビーの写真にはおひげがあるのだけど、実際に見てみたらひげはなかった。

ミラノスカラ座バレエの今までの映像を観ると、演奏と衣装・舞台装置は大変美しいのだけど、ダンサーはいまいち、という印象が強かった。でも、今回はソリストからコール・ドにいたるまでなかなか健闘している。誰もが懸念していたであろう「影の王国」のアラベスク~パンシェも揃っていて美しい。ただしスロープが2段しかないのが物足りないのと、スロープを下りきってから全員でエカルテでキープするところは時々ぐらぐらしている人がいたのが惜しい。さすがにロシア系の影の王国には及ばないけど、多分ABTあたりよりはクオリティは高いのではないかしら。影の王国のバリエーションのレベルもまずまず。ただし、3人ともニコニコしながら踊っているのにはちょっと違和感を感じた。時が止まった感覚や、幽玄さという点では、このシーンは物足りない。が、ダンサーの力量という点では、レベルはなかなか高いように思えた。

苦行僧はジャンプ力があって踊りに迫力があるし、大僧正もなかなか存在感はあった。(ロイヤルのダウエル様やボリショイのユーリ・ヴェトロフを観ていると淡白だけど) ブロンズ・アイドルも、背が高くスリム、皮膚呼吸が出来ないんじゃないかと思うくらい金色に塗りこめられていたけど軽やかで上手だと思った。

ザハロワのニキヤは5月のボリショイの来日公演で観ていたのだけど、相手役のツィスカリーゼがあまりに濃かったのと、前日観たグラチョーワが素晴らしすぎてやや印象が弱かった。この映像が収録されたのも、5月ということで来日公演直後のようだったけど、この映像の方が印象に残るニキヤであると思う。

「何を踊っても姫」と呼ばれるザハロワだけど、今回はさすがに姫ではなくて、華奢で儚げでありながら、もっと威厳がある存在のように見えた。巫女ではあるけれども、相当位の高い神聖な巫女という風情である。真っ白な肌、柳のような細くしなる腕や脚、死ぬ前からすでにこの世の人ではないような雰囲気さえ漂わせている。来日公演のときのザハロワは、大僧正に迫られて、「このあたくしに迫るなんて100年早いわ」というゴーマンさすら感じさせたのだ。今回はもっと大人で、大僧正を嫌がっているのはよ~くわかるんだけど、あなたほどの方がいけませんわ、と表面上は取り繕っている。ガムザッティとの対決シーンでは、ソロルと彼女が婚約したことにショックを受けて、そのクールさが一瞬失われて動転し、手負いの動物のように見えるところがいい。いずれにしても、とても育ちがよく、かつ神々しいまでの美しさ。踊りそのものもち、柔らかい背中、高々と上がるデヴロッペ、気持ちよいほどパッと開くジュテ・アントルラッセと絶好調。影の王国でのヴェールを持ったヴァリエーションも、綺麗に踊っていた。ここは来日公演では結構乱暴だったもので。
ザハロワの演技の中でも一番よかったのは、3幕、ソロルとガムザッティの結婚式でニキヤが亡霊となって現れるところで、ソロルへの愛と裏切られた悲しみで引き裂かれながらも、彼のすべての過ちを許そうとするところが見られる。ソロルへの想いだけが現世に残っている、その情念が幽かに浮かび上がって、彼だけに見える幻なのがよく伝わってきた。
ザハロワはあまりにも造形が美しくてお姫様っぽいので、演技面での評価が低くなりがちなのだけど、相当表現力が増しているのがわかる。

ロベルトもザハロワに負けず劣らず見目麗しい戦士。だけど、彼は戦士としての勇壮さの裏腹の優柔不断さ、気弱さをストレートに出している。ガムザッティを紹介されて、うまく断れないうちにズルズル引きずられて結婚する羽目になってしまった感じ。3幕の結婚式でも、ものすごく嫌そうなんだけど、でも席を蹴って毅然と断ることもできない。要するにダメダメ君なのだ。ニキヤが毒殺された時などはもっとひどくて、彼女が息絶えるところすら見届けないでガムザッティとその場を立ち去っちゃう冷たい男だし。なのに、2幕では相当後悔しているようで、アヘンをがんがん吸っていて色っぽく悶絶しているし。ロビーのように美しい人だから、絵になるのであって、そうでない人だったら目も当てられないかも。最初のラブラブなところでは、さすがラテン男の情熱を体現しているのにね。
踊り自体は、例によって安定していて、サポートも非常に上手だし、ラインも足先もきれい。難しいヴェールのシーンでもしっかりとザハロワを支えていた。この二人はとてもよく合っている。ジュッテは柔らかく品がある。戦士役を踊るのには少し貴族的過ぎる踊りという気もするのだけど、ちょっとお疲れだったのかもしれない。それでも、影の王国でのソロは見事で、背中も反らせてのカブリオールの形が美しい。

ミルタのイザベル・ブリュッソンは、悪くない。背の高い若い美人さんで、最初はおっとりとしたお嬢様だったのが、どんどん性格のきつさが表に出てきている。1幕2場の終わりに「あの女殺してやる~」の決然とした表情は凛々しい。テクニックも悪くない。ただし、ニキヤとの対決シーンでの押し出しはもう少し強い方がいいだろう。ザハロワというスターに対抗するには、相当の悪の強さか、華が必要なのだけど、そのあたりが相当物足りない。2幕婚約式のとき、エカルテもこなしていたが、やや不安定で迫力に欠けていた。さらに圧倒的な華やかさがほしいところだった。3幕の結婚式で、蛇を隠したのと同じような花かごを差し出されて、激しく動揺する演技は良かった。ガムザッティは本来はニキヤと同格くらいのスターダンサーに踊らせたほうが、「ラ・バヤデール」というドラマは盛り上がると思う。

演出はマカロワ版ということで、ブロンズ・アイドルの踊りは3幕の結婚式で踊られ、太鼓やマヌー、オウムの踊りなどのキャラクターダンスがない。それと、ニキヤが蛇にかまれる時の花篭の踊り(曲が速く変調するところ)がないので、ニキヤの死の描写が案外盛り上がらないのが残念。その代わり、影の王国の後に3幕として結婚式がある。ここではニキヤの亡霊が現れ、ソロルの心が激しく揺れ動き錯乱。それを観たガムザッティも動揺したところへ、寺院が崩壊してあの世でニキヤとソロルが結ばれることになるのだ。ロビーがアヘンにおぼれるシーンや、ニキヤの姿が脳裏に浮かぶところは特殊効果を使っていたけど、そういうのは要らないと思う。

カーテンコールにはナタリア・マカロワも登場。さすがにザハロワやロビーと並ぶと小柄だけど、意外と若々しかった。立派なプロダクションに、主演二人の美しさもあって、見ごたえのある映像となっている。画質、音質とも大変良し。

このDVDに収録された公演をご覧になったamicaさんの感想をぜひお読みください。

ミラノ・スカラ座バレエ団「ラ・バヤデール」(全3幕)ミラノ・スカラ座バレエ団「ラ・バヤデール」(全3幕)
スヴェトラーナ・ザハーロワ ロベルト・ボッレ マルタ・ロマーニャ

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バレエのDVD・ビデオ」カテゴリの記事

コメント

naomiさん
わ、私もやっと見ました~~。「ラ・バヤデール」。感涙です。そうそう、ザハーロワさん、かなり演技力上がっていますよね。迫力ありました。ロビーは勿論素晴らしいのですが…

スカラ座バレエ団の質も悪くないとお墨付きを頂き満足しています。えへへ。私も記事を書きましたのでTBさせてくださいね。

私も大感激でしたp(^-^)q

ボリショイのもすご〜〜くよかったけどこの美しいカップルのもこれまたすばらしい☆

これでボッレ、ザハロワのは3作ですね。
考えてみるとボッレ様毎回ザハを裏切る役、、
これもなんか不思議な巡り合わせ

次はザハがロビーを裏切るマノンなんか見たいんですけどー 予定はないかな〜?

amicaさんのも見に行きま〜す!

こんにちは。早々に見られての記事アップですね。私も焦ってやっと見ました。
まさにお宝DVD。なまでも見たいものです・・・。

そうそう、太鼓の踊りがなかったのはちょっと残念だけど(笑)。

すっかりコメントを貯めまくってしまって本当にごめんなさい。年末って何でこんなに忙しいのかしら?私なんかひどいことに年賀状を一枚も書いていないの。帰国してから書くことにしました。

amicaさんの記事はあまりにも素晴らしいので読んでいて感動しちゃいました。また改めて見直したいわ。スカラ座の皆様も良かったと思います。来年の来日が楽しみですね。

ずずさん、
たしかに毎回ロビーがザハロワを裏切る役なので、今度はマノン、いいですね~ザハロワのような完璧美女が落ちぶれていく姿はかなり見たいです。ロビーのデ・グリューはロイヤルの来日公演で見たときにも素晴らしかったし。

うるるさん、
そう、生でも見たいです~なかなかロビーは観る機会がなさそうで。。。これはほんとに素晴らしいDVDですね。
太鼓の踊りは私も大好きなので、踊りありのバージョンでも見たいな!

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