BlogPeople


2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« ミラノ・スカラ座バレエ「ラ・バヤデール」(ザハロワ&ボッレ) | トップページ | 「リトル・ミス・サンシャイン」 »

2006/12/24

12/16 新国立劇場バレエ団「シンデレラ」

お気に入りのダンサーの一人、マイレン・トレウバエフが久しぶりに王子役で出演するということで楽しみにしていた公演。土曜日のマチネということで、劇場はお子様でいっぱい。

「シンデレラ」という演目は、しかしシンデレラや王子よりも、アグリー・シスターズこと義理の姉二人の怪演ぶりが印象的な作品なのだ。男性ダンサーがグロテスクな女装をして、悪乗りをするのである。今回の二人、マシモ・アクリと奥田慎也の二人は素晴らしかった。特にアクリさんの芸達者ぶりは最高!最初の針仕事をしているところから、一挙一動に抱腹絶倒。そしてちょっとシャイで女の子っぽい、でも肝心な時にはちゃんとボケをかましてくれる奥田さんとのコンビネーションもいい。日本のバレエ団で、こんなにノリのよい楽しいアグリーシスターズを見せてくれるのが嬉しい。カーテンコールで、ばかでかい扇子で奥田さんを隠しちゃったり、ウェリントン役の市川さんにチューしたり、脚だけ先に見せて出てきたりと、最高のノリのアクリさん。彼を見るためだけにもう一回観てもいいかも、と思ってしまう。

シンデレラ役のさいとうさんは、とても気立ての優しい、イノセントでつつましい女の子。いい意味でアクのない、素直な印象を残しているので感情移入しやすい。お母さんの肖像画を取り出してそっと取り出すしぐさひとつに、心を動かすものがある。だからシンデレラに変身しても、こんな私がこんな幸せを掴んじゃっていいの、と感じさせる。キラキラ感は少々足りないものの、シンデレラらしいシンデレラに思えるし、元の灰かぶり姫に戻った時も、これで良かったの、いい夢が見られたわと思っているところが見て取れる。だからこそ、偶然にもポケットからガラスの靴がこぼれおちて王子様と結ばれることになってよかったね、と思わせてくれる。踊りは上半身が柔らかくてきれいだけど、アシュトンの難しいステップをこなすのに少々苦労していた様子。よくがんばったで賞をあげたい。

この演目でいつもほろりとさせられるのは、めでたく王子と結婚することになって、今までお世話になったわ、と姉たちと抱き合うところ。アグリーシスターズは悪役ということになっているけど、このアシュトン版ではちょっとイジワルなだけで、本当はシンデレラとはとても仲良しなのだ。ラストの結婚式も、あまりきらびやかではなく、妖精たちに祝福され、しみじみと終わるところが好き。心の優しさが一番大事、というメッセージが良く伝わってくる。

一方、マイレンはテクニック的には安心してみてられる。つま先が美しく、着地がきれい。ジャンプも高いしサポートも上手で、パートナーをとても大事にしているのがわかる。以前は端正だけどまじめすぎて面白みがなかった彼だけど、最近はどんどん個性を発揮してきた。王子らしからぬ、片眉を上げた表情とか面白い。12時の鐘が鳴って帰ろうとするシンデレラを、絶対に帰してなるものかと必死に妨害工作するところも、熱くて素敵だったけどちょっと笑ってしまった。シンデレラはあまり王子の見せ場がないのがもったいないところ。

四季の精は、断然春の西山さんが素敵。春らしいフレッシュさと、音に合わせて軽やかに正確に舞い踊る様子が気持ちよい。冬の厳しさをシャープに表現した寺島ひろみさんも良かった。仙女の湯川さんはいいダンサーだと思うんだけど、持ち味があまり生かしきれていない。アシュトンの細かいパに乗り切れていないし、彼女の艶やかさに合っていないのが残念。四季の精と仙女を観ると、上半身と下半身がまるで逆の動きをするアシュトンの振付ってすごく難しい踊りなのがよくわかる。

道化はバリノフくん。前日風邪を引いて出演しなかったそうで、今日もやや重たかったけど、愛嬌たっぷりの可愛らしさとテクニックの高さは健在。ダンスの量で言えば、王子よりもよほどたくさん踊るし、いっぱい跳ばないといけないので体力的には大変だと思うけど、最後まで元気一杯だった。ダンス教師はひさびさの吉本さん。完全復活、元気になられたようでよかった!ナポレオンは八幡くん。カツラをむしりとられた演技が可愛い。

マリインスキーの完璧なテクニシャンぞろいの公演を観た後では、ちょっと淡白に感じられた。けれども、美しくゴージャスなセットと衣装、そして東京フィルの素晴らしい演奏ですっかり夢の世界に連れて行かれて、楽しかった。何よりもプロコフィエフの難しい演奏を、少々のミスはあったもののほぼ完璧に演奏してくれたのが嬉しかった。

【シンデレラ】
 さいとう美帆
【王子】
 マイレン・トレウバエフ

義理の姉たち: マシモ・アクリ
          奥田慎也
仙女: 湯川麻美子
父親: ゲンナーディ・イリイン
春の精: 西山裕子
夏の精: 西川貴子
秋の精: 高橋有里
冬の精: 寺島ひろみ
道化: グリゴリー・バリノフ
ナポレオン: 八幡顕光
ウェリントン: 市川 透
王子の友人: 陳 秀介、富川祐樹、江本 拓 中村誠
ダンス教師:吉本泰之
仕立屋:澤田展生
洋服屋:神部ゆみ子、楠本郁子
靴屋:高木裕次
床屋:佐々木淳史
宝石屋:井口裕之
御者:末松大輔

« ミラノ・スカラ座バレエ「ラ・バヤデール」(ザハロワ&ボッレ) | トップページ | 「リトル・ミス・サンシャイン」 »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

「シンデレラ」いいですね~。
フィギュアの中野友加里ちゃんがこの曲使ってるの聞いてプロコフィエフの曲を全部聞いてみたくなって、このあいだCD買ったんですが、ぜひバレエも見たくなりました。
DVDとか探してるんですが、アシュトンやマクミランが姉さん役で出ているのがあるんですね。naomiさん見たことありますか?

プリマローズさん、
中野友加里さんの「シンデレラ」いいですよね!良く彼女にあっています。ちょっと摩訶不思議でダークな曲調私も好きなんですよ。この間、ロミジュリとセット(4枚組)で2500円という激安なのを見つけて買いました。

DVDは、私が観たのは、アンソニー・ダウエルとアントワネット・シブレー主演で、アグリーシスターズはアシュトンとヘルプマンってやつです(アマゾンでも売っていますが、リージョン1)。ダウエル様が素敵ですよ。
そう、たしかにアシュトンとマクミランが義理の姉たちを踊っている別のもありますが、こっちは見ていないのです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30328/13178053

この記事へのトラックバック一覧です: 12/16 新国立劇場バレエ団「シンデレラ」:

« ミラノ・スカラ座バレエ「ラ・バヤデール」(ザハロワ&ボッレ) | トップページ | 「リトル・ミス・サンシャイン」 »