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2006/11/30

東京フィルメックス「オフサイド」

東京フィルメックスのイラン映画3本目。

イランのワールドカップ出場がかかったアジア予選の対バーレーン戦。スタジアムに向かう多数のバス。その中に、男の子の格好をしているけれども、華奢で小柄でかわいらしく、どう見ても女の子、という子が一人いる。スタジアムへ向かう人たちから、何をしているんだ、と注意される。そう、イランでは女性はサッカーをスタジアムで観戦することは禁じられているのだ。

警備員や兵士に呼び止められそうになって、走ったり逃げたり、ダフ屋からさらに高い値段でチケットを買う羽目になったり。でも、この少女は結局捕まってしまい、スタジアムの外の一角に、同じように試合を見ようとしてつかまった少女たちとともに集められる。

スタジアムのすぐ外だから、当然試合の歓声は聞こえてくるし、男装したりして苦労してここまで来たからには、彼女たちはどうしても試合を見たい。兵士たちだって、内心試合を見せてあげもいいかなと思いつつ、彼女たちを釈放したことがばれたら大変なことになってしまうものだから、それはできない。代わりに、試合を見ながら実況中継してあげたり、精一杯の親切心を見せる。そしてトイレに行きたいという一人の女の子を見張るために、一人の兵士がトイレに付き添うのだが・・・。

サッカーを愛する気持ちは、世界各国共通のものだな、って思った。「半月」では女性は歌うことを禁止されていたし、この映画ではサッカーのスタジアム観戦が禁止されている。ところが、スタジアム観戦が禁止されているのは、本音は別にあるとしても、建前としては、汚い野次や怒号から女性を守るということになっている。女の子たちを見張っている若い兵士たちにしても、けっして悪者ではなく、彼女たちを守ってあげたいという気持ちがすごく良く出ていた。だけど、女の子たちは、一見男性と見分けがつかないように、髪を短く切っていたり、兵士の制服を入手して着ていたり、顔にペイントをしていてかなり勇ましいし、たくましい。彼女たち、試合は見られなくても、一緒にサッカーについても盛り上がる仲間が見つけられて、途中からはとっても楽しそう。兵士たちと女の子たちの間には、不思議な絆のようなものができてくる。

イランがワールドカップ出場を決めた後の、護送車の中、そして街の熱狂的な盛り上がり方といったらももう、ホント最高だね。その中で一人、沈んだ表情の女の子がいたけど、それには理由があった。このあたりのドラマのもって行き方もうまい。スポーツというユニバーサルな題材を扱いつつ、イランという国における女性の扱いの問題をあぶりだす。かといって、必要以上に深刻になるわけではない。そんな社会の中で力強く生きていく女の子たちの姿にはスカっとさせられた。さわやかで、気持ちよくて、ちょっとほろりとさせられて、誰が見ても楽しめる映画。特にサッカー好きの人は必見!

来年劇場公開も決まっているということで、もう一度見てみたいと思った。

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