ABT City Center 10/28 Matinee
ヴェロニカ・パールトが脚の怪我で今シーズンは出られなくなってしまったため、演目に変更が生じ、「白鳥の湖第2幕」が「シナトラ・スイート」になった。結果的に、一昨日と同一のプログラムになってしまったのが残念。ただし、今日だけ2列目センターとかぶりつきの席なのはうれしい。
Clear choreography:Stanton Welch music:Johan Sebastian Bach
Herman Cornejo Alexandre Hammoudi Blaine Hoven
Xiomara Reyes
Jared Matthews Arron Scott Jesus Pastor Luis Ribagorda
一昨日はアンヘルが踊ったパートを、エルマン・コルネホが踊る。アンヘルとはまた別の種類のスーパーテクニシャンであるエルマンの回転もやはりすごい。軸はまったくぶれず、いったいいつまで回っていられるのかと目を見張る思いだった。エルマンの持ち味は、テクニックはものすごいのに、とてもエレガントなこと。この演目はアイボリーホワイトの衣装といい、洗練されている作品 なので、彼の持ち味はよく合っている。足先も惚れ惚れするくらいキレイで、特に浮かび上がるようなカブリオールの脚捌きにはうっとり。コール・ドでありながら、2番目のパートにアレクサンドル・ハムジが抜擢された。彼はフランス人の長身黒髪の美形で、前からちょっと注目していたダンサーなのだ。来日公演での闘牛士は若干へたれだったのに、「マノン」の紳士や看守役でこの人いいじゃない、と思っていたところ。長身を伸びやかに使ったアラベスクやジュッテが美しく、存在感もたっぷりあった。細かい回転テクニックが光っていたのはジャレド・マシューズ。彼もルックスよし、テクニックよしのダンサー。ヘスス・パストールは、持ち前の柔らかい背中を生かしたまろやかな動きが美しい。が、いかんせん、彼の役柄の見せ場が少なくて残念。シオマラはやぱり一昨日のジュリーよりはずっといい。小気味よい動きとともに、エレガンスも体現できるところがいい。2回目に観ると、作品の構成もよくわかったし、ヴァイオリンとオーボエの響きも楽しむことができた。
Afternoon of a Faun choreography:Jerome Robbins music Claude Debussy
Stella Abrera Jose Manuel Carreno
一昨日と同じキャストのため、印象はほとんど同じ。美しい二人の密やかで繊細な、繭のように閉じた世界観に酔った。陽炎のようなステラ・アブレラが美しすぎる。完璧な肢体、黒い絹糸のような髪。でも、この作品はまた別のキャストでも観てみたい。本来この日出演する予定だったイーサン・スティーフェルや、来週踊る予定のデヴィッド・ホールバーグだったらどんなだっただろう。
Sinatra Suite choreography:Twyla Tharp music Frank Sinatra
Marcelo Gomes Luciana Paris
マルセロの白鳥王子も見たかったところであったが、2幕の王子はあまり踊らないから、こっちの方が良かったかも。なんてったってかぶりつきである。マルセロ大好きなので、平常心では見られていないくらいだ。もーううっとり。彼のパートナーを務めているルチアーナ・パリスと同じような気分である。エレガントで、それなのに大人になりきれていない少年の部分も覗かせていて、もうたまらん、って感じ。派手なテクニックはほとんど封印しているけれど、このような演目だからこそ、踊りのうまさが求められている。小柄なルチアーナを振り回す振付も多いけど、これをあくまでも優雅に見せないといけなくて、それがすっごくうまくいっていて、スムーズ。4番目の曲That's Lifeのコミカルでお茶目なところ、戸惑った表情にもぎゅっとハートを掴まれる。ルチアーナは小悪魔的で、堂々とした存在感。
Fancy Free choreography:Jerome Robbins music Leonard Bernstein
Jose Manuel Carreno Sascha Radetsky Craig Salstein Paloma Herrera Gillian Murphy
舞台に近い席で観るとまた全然違った印象。こうやって観れば十分楽しめるじゃん、っと。シティセンターの演目はやっぱり正面じゃなくても前方で観るのが正解。
この演目はなんといってもホセ・カレーニョの怪しげなマンボ・ダンスに尽きる!いつものノーブルな王子様の姿をかなぐり捨ててのお茶目な腰ふりふり熱演は最高だった。この演目は、水兵さん3人組がいかにバカになりきってコミカルにできるかが勝負の分かれ目だったけど、この3人はすごく良かったと思う。元気いっぱいクレイグの開脚大ジャンプも決まっていたし。でもやっぱりアンヘルも観たかったな~
« ABT City Center 10/27 | トップページ | グランドゼロ、チェルシーマーケット、ハロウィン »
「ABT(アメリカン・バレエ・シアター)」カテゴリの記事
- アメリカン・バレエ・シアター(ABT)で アラン・ベル、カサンドラ・トレナリー、カルヴィン・ロイヤル3世、トーマス・フォースター、ジュウン・アン、スカイラー・ブラントがプリンシパルに(2020.09.11)
- アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の2019年METシーズン、ボッレのABTフェアウェル(2018.10.27)
- マルセロ・ゴメスがABTを退団(2017.12.22)
- ABTの2018年METシーズン、マクレガーの新作(2017.10.30)
- ABTの昇進発表、サラ・レーン、デヴォン・トゥッシャー、クリスティーン・シェフチェンコがプリンシパルに(2017.07.08)
「バレエ公演感想」カテゴリの記事
- KARAS APPARATUS 勅使川原三郎x佐東利穂子「幻想交響曲」(2019.07.19)
- 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』(2018.01.21)
- 勅使川原三郎 KARAS「イリュミナシオン-ランボーの瞬き- 」(2017.12.09)
コメント
« ABT City Center 10/27 | トップページ | グランドゼロ、チェルシーマーケット、ハロウィン »
こんにちは。
この日はかぶりつきですか。羨ましいです。
アレクサンドル・ハムジ…なんとな〜く記憶があります。そういえば目立つ美形君がいました。
コール・ドの中にも、きらりと光るダンサーが増えてきて、これからの成長が楽しみですね。
ヘススもうかうかしていられない…。
投稿: く〜てん | 2006/11/02 09:24
く~てんさん、
今回は、出遅れたのか全体的にあまり良い席が取れなかったのですが、偶然この日だけは、良い席が取れたんです。こじんまりとした劇場の割りに観づらいんですよね、ここは。
アレックス君は、アンヘルのカレンダーにもここ3年ほど登場しています。素敵なママも観に来ていたんですよね。
ヘススは、劇場入りする彼をチラッと見ましたが、ちと汚かったです(苦笑)でも舞台では役が小さい割には目立っていたと思いますよ~。もう30歳だから頑張って欲しいですよね!
投稿: naomi | 2006/11/04 01:54