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2006/10/09

ルジマトフ&インペリアル・ロシア・バレエAプロ

ルジマトフといえば「海賊」のアリか「シェヘラザード」の黄金の奴隷。ところが、実はこの黄金の奴隷を、私は映像でしか見ていなかった。ぜひ一度生で観なくては、と張り切ってチケットを取ったらなんと2列目!新宿文化センターも前方は段差がなく、ちょっと観づらかった。

第1部
「カルミナ・ブラーナ」 インペリアル・ロシア・バレエ
音楽:C.オルフ  振付:M.ムルドマ  

-初春に
春 リュポーフィ・セルギエンコ
ソロ キリル・ラデフ
-居酒屋
ソロ キリル・ラデフ
酔っ払い アレクサンドル・ロドチキン
天使 ユリア・ゴロヴィナ
-愛の誘惑
娘 アナスタシア・ミヘイキナ
若者 ナリマン・ベクジャノフ

「カルミナ・ブラーナ」といえば、昨年の新国立劇場で上演されたデヴィット・ビントレー作品が記憶に新しいところ。どうしてもそのあたりと印象がかぶってしまうところがあった。特に居酒屋のくだりは、同じようなシチュエーションという感じも。そうすると、どうしてもビントレー版の大胆さと斬新さに分があるわけで。

冒頭は、レオタード姿の群舞。これはなかなか迫力があった。ソリストのキリル・ラデフはジーンズを少し加工した感じの衣装。ルックスも端正だし、踊りもずば抜けてよかったと思うけど上腕と腰に大きなタトゥー。彼と同じようなジーンズ姿の若者たちと、それからカラフルな花柄っぽい巻きスカートの女性たちが踊る。それから、居酒屋で若者たちが酔っ払い、ひらひらの衣装を着た女性がひらひらと踊る。これが天使、かな。ビントレー版では、ロースト・スワンが出てくるくだりのあたりである。それを目で追う男たち。クライマックスではまたレオタード軍団に戻る一方、娘役のダンサーが唯一ポアントでジュッテしながら舞台を横切る。このジュッテは、よく跳んでいてなかなかお見事。やがては、若者役のダンサーと、まるでセックスをしているような体勢と動きで終了。45分ほどあってちょっと長かった。こういう定着した印象のある音楽に基づいた作品を作ることの難しさを実感。カンタータだから歌詞があるので、ストーリーがさらに明確になっているから余計に難しい。群舞でそろっていない部分は多々あったけれども、女性ダンサーはプロポーション、お顔の美しい人が多い。男性は、う~ん。たまに腹が出ている人がいたりして(苦笑)。

「アダージェット~ソネット~」   ファルフ・ルジマトフ     
音楽:G.マーラー   振付:N.ドルグーシン

この振り付けのアダージェットは、2年前のルジマトフのすべてガラで観て、確かシャルル・ジュドが踊っていたと思う。(←これは間違いで、ルジマトフと、振り付けをしたドルグーシンしか踊っていないとのこと。槻本さん、ありがとうございました) いやあ、ルジマトフって、体の隅々までのコントロールが行き届いた人だな、というのが第一印象。腕などもいったいどれほどの関節があるんだろう。長いし、指先まで神経が行き届いていて、張り詰めたものを感じさせる。ものすごい動きがある振り付けではなく、とても静謐なのだが、ストイックな印象が強いルジマトフにはとても似合っている演目。背中のしなりもさすがに半端ではなく美しい弧を描いている。終盤のアントルシャ・シスでの引き上げの強さに驚いた。そこから、崩れ落ちるように地面に伏せる。やはり彼はカリスマ性の人だ。

第2部
「シェヘラザード」             
音楽:N.リムスキー=コルサコフ    振付:M.フォーキン  
ゾベイダ:ユリア・マハリナ
黄金の奴隷:ファルフ・ルジマトフ
シャリアール王:ゲジミナス・タランダ
宦官長:ヴィタウタス・タランダ
シャザーマン:ヴィニベク・カイール
オダリスク:コレスニチェンコ、パシコワ、セルギエンコ

お待ちかね「シェヘラザード」。まず、シャリアール王を演じるのがタランダなのがうれしい。相変わらずとても顔がお美しくて素敵。冷たそうに見えて実は優しい人というのが、その美しい瞳に宿っている。太った宦官長を演じるのは彼の弟だそうだが、ユーモラスな演技が達者である。シャリアール王が出かけた後、オダリスクたちは宝石で彼を釣り、奴隷たちを閉じ込めている鍵を奪って、狂乱の宴を繰り広げる。ゾベイダ役のマハリナ。前回見たときよりスリムになっていて、実に官能的で美しい。冒頭シャリアール王とじゃれるところなんて、色っぽい目つきだけですでに18禁の世界である上に、身を妖しくくねらせているのだから。こんなにも妾が妖艶だったら、残忍なシャリアール王も魂を奪われるワケだ。そしてルジマトフ!さすがに彼の十八番であり、伝統芸能として保存したくなるほどだ。彼の奴隷は、奴隷であることをわきまえていて、主人の愛妾ゾベイダ様にひたすら従い、かしづき、うずくまっては、子犬のような目で見上げる。嗜虐心を駆り立て、たまらない。こんな男が奴隷だなんて、なんて倒錯的。女王様にご奉仕します、といった感じなのだ。しかしそこには、立場の違いを超えた燃え盛る愛がある。
そして、びっくりなのが、ルジマトフの衰えを知らない身体能力!2月のバレエの美神ではけっこう不調で、年には勝てないのかと思ったのだが、そんな影は微塵も見せなかった。ステージの上がとても狭く思えるほど飛び回り、見事なトゥール・ザン・レール・アン・トゥールナンを何度も何度も見せてくれた。そして背中の反りがここでも見事な造形を形作る。今生きている人で、黄金の奴隷の扮装がこれほどまでに似合う人もいないだろう。というか、もはや彼以外には考えられない!(って来週14日には後藤晴雄さんの黄金の奴隷を見るわけだが)。ニジンスキーをあの世から呼んでくる以外に、対抗できる人は考えられ得ない。筋肉、骨格の一つ一つが黒豹のように美しい。禁欲的な恭順の視線-しかしそれは野生動物のように鋭い-で射すくめられたら、ゾベイダも、押し寄せる官能の嵐に身を任せるしかないだろう。本当にこれはすごい!ザ・エロスだ!エロエロ大会だ!

狂乱の宴のさなか、シャリアール王が帰ってきて、その場にいる者全員を殺すことを命令する。大虐殺が繰り広げられ、黄金の奴隷もついに倒れる。そしてゾベイダ。持ち前の色香で王を誘惑しながら命乞いをするが、聞き入られない。ナイフを王から奪い、自害するゾベイダ。自分のしてしまったことに気がつき、呆然とした後ゾベイダの亡骸に口づけをする王。最後の王の絶望感にうちひしがれる表情が素晴らしい。さすがタランダは役者だ。

さすがに場内は熱狂していた。今まで観たことがないほど多くの花束(光藍社ショックもあると思うが)、スタンディング・オベーション。ルジマトフとマハリナは幕の前にも2度出てきて、ファンサービスに努めていた。いい物を見せてもらったと思う。至福のとき。15日のBプロにいけないのが残念。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは~。
naomiさんも昨日のインペリアルをご覧になったのですね。

〉さすがに彼の十八番であり、伝統芸能として保存したくなるほどだ。

お,そう思われましたか♪
私も見る度に,「これは文化遺産だ。無形文化財だ」なんて思います。

『アダージェット~ソネット~』のことなのですが,ジュドが踊ったのは,アライスという方の振付で女性とのデュエットの作品です。たぶん,ドルグーシン版は,日本では,振付者本人とルジマトフしか踊っていないと思いますよ。

槻本さん、こんばんは。いつもありがとうございます。
ホント、ルジマトフの黄金の奴隷は世界遺産といってもいいほどですね!ぜひ今の彼の奴隷を映像として残してほしいです。可能な限り生で見る機会は逃したくないと思いました。

そして「アダージェット~ソネット~」の間違いのご指摘、ありがとうございます♪ホント、ちゃんと調べないで書いているのがバレバレです。これもとても心に残る作品でした。
修正しておきますね。

多少首が痛くても、やっぱりルジマトフの金の奴隷を間近で見れるのはすごいことだと。
彼の顔つきも体つきも、この役にぴったりですよね。
だから自然に彼も(もちろん観客も!)熱が入って若返って元気になっちゃうとか?

ああ、見たかったな~エロエロ大会!(笑)

うるるさん、
結局15日も行くことにしちゃいました>ばか
ホント彼の黄金の奴隷は世界遺産級!最近の円熟の演技を映像化してほしいって思います。
気合もものすごく入っていたし、マハリナがまたすごく高貴なのに妖艶で美しくて素敵でした。15日はザハロワなのでまたぜんぜん違ったゾベイダだろうな。

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