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2006/09/25

「ジゼル」ミラノスカラ座バレエ ザハロワ/ボッレ

スヴェトラーナ・ザハロワ&ロベルト・ボッレという、当代2大美男美女によるジゼルは見逃せないと思って、DVD予約して買いました。

といっても、長身プロポーション抜群のザハロワが村娘の役を演じるのは少々無理があるかも、と不安を抱えての鑑賞であったわけだけど、彼女は、本来は似合っていない役柄でもこれだけ見せてくれるのは大したものだと思った。儚い美しさは天下一品。その上、とても優しくてスウィートで優雅なロベルト・ボッレのアルブレヒト像も、最近ではプレイボーイのアルブレヒトばかり観ていたので新鮮だった。

ザハロワはやはり、村娘には到底見えず、百歩譲って「パキータ」みたいに幼いときにさらわれたか迷い込んだかで農村で育つことになってしまった、元はお姫様という設定がふさわしく思えてしまう。ザハロワはとってもかわいらしくて純真でその点はジゼルらしいといえばそうなんだけど、お姫様オーラはやっぱり出ていた。一挙一動すべてが、とても優雅でお姫様なのだ。

そんな彼女に恋する青年ロイス=アルブレヒト。ロベルト・ボッレもまるでギリシャ彫刻のようと形容されることに多い、現実離れした美青年なのだが、この人の場合、美しくても人間味が感じられるところがいい。ジゼルの家の影からいくつも投げキッスを投げる茶目っ気のある表情や、ジゼルと戯れている時の心底幸せそうな表情が素敵。本当にジゼルのことが好きで好きで仕方ないって思わせてくれる、心優しいアルブレヒトだ。二人で並んでベンチに座るシーン、ベンチが小さい上、ザハロワがどっかりと真ん中に座ってしまうものだからロビーは座れなくて困っちゃっているの。とても可愛い二人なのだ。

アルブレヒトの正体がばれて、ジゼル狂乱のシーン。髪留めをはずすところがしっかり見えてしまうなど、ちょっとザハロワの演技はとってつけたようなのが残念。ザハロワに名演技を期待する人もあまりいないと思うけど。まあ、オーソドックスな演技といえるのでは。バチルドの手にキスをしてから、しまった、とあわて、正気を失った彼女を見て大変おろおろするアルブレヒト。ロベルトのアルブレヒトは、少しもジゼルをだまそう、うまいことやろうというところはなくて、自分の軽率さを悔やみながらも、どうしたらいいのかわからなくなっている風。

ジゼルが狂乱の末アルブレヒトの腕の中で死んでしまい、彼女の遺体にすがり付こうとするアルブレヒト。だが、ジゼルの母ベルタは冷たくアルブレヒトを振り払い(当然といえば当然)、村人たちには背中を向けられてしまって呆然とし、彼は走り去る。この辺もとても人間くさいアルブレヒトになっているのだ。

ペザント・パ・ド・ドゥは、「白鳥の湖」の映像で見事な道化師振りを見せたアントニーノ・ステーラ。ところが、ここでの彼の踊りは今一歩である。跳躍力はあるのだが、上半身、特に腕の使い方がばらばらなので綺麗に見えないのだ。女性の方はさらに印象が薄い。う~む。バチルドは、衣装がとにかく地味。ジゼルがバチルドの美しい衣装を見て思わず手にとってしまうという設定に説得力がない。ヒラリオンはかなり印象的だった。ちょっと髪がうすくなっていて、ジゼルに純粋な愛を捧げているというよりは、少々変質者風。あまり同情心を起きさせないヒラリオンである。こういう解釈もなかなか面白い。

そして2幕。ミルタは花嫁のヴェールをかぶって登場。マルタ・ロマーニャは背が高く手足も長く威厳のあるミルタではあるけれども、踊りは少々雑な印象があった。ポール・ド・ブラは美しいのに、パドブレに滑らかさが足りなくて、脚さばきが乱雑に見えてしまう。ドゥ・ウィリは、最初にソロを踊るほう(モイナだったかな?)は非常に美しくて素敵だったのだけど、もう一人は全然駄目。その上ウィリを踊るのに必要な儚さのかけらもなかった。ほかのコール・ドはまずまず揃っていて悪くないと思った。ただ、振付の問題だと思うのだけど、例のアラベスクで左右からずんずん進むところ、ずっとアラベスクで進むのではなく、8拍ごとに一旦降りてパを入れてまたアラベスクで進む、という感じでアラベスクの時間が短いのがとても物足りない。これでは拍手ができない。

ミルタとウィリたちのもうひとつの見せ場、ヒラリオンをよってたかって殺すところも、物足りない。好感度の低いヒラリオンなのだから、もっとじっくりと追い詰めればいいものを、わりとさっさと死なせてしまうのだ。このヒラリオン役のヴィットーリオ・ダマートさんは踊りも演技も上手だと思うのに、見せ場が少なく死んでしまうのが気の毒である。ミルタへの命乞いは真に迫っていて良かったのだが。

ジゼルがウィリとしてデビューするシーン。ジゼルのお墓は舞台の下手奥にある。すごく印象的だったのは、通常ジゼルがミルタに操られ高速回転するところは、後ろ足がア・テールではないもののかなり低い位置に置いたまま回るのに、ザハロワはアティチュードで回転しているのだ。これにはびっくり。こんな風に踊るジゼルを初めて観た。よほどテクニックに自信がなければできないと思う。ただし!カメラワークがここが悪くて、なんと、最初のうちはザハロワの上半身のみを映しているのだ。脚がどうなっているか観たいのに~。

ザハロワのウィリとなったジゼルはとても儚げで浮遊感があって美しかったと思う。ミルタよりも背が高いジゼルってどうよってちょっと思うけど、華奢で腕の使い方がとてもきれいなので、ミルタに支配されつつも抵抗もしているところが見えて良い。グランド・スゴンドへと脚をデヴェロッペすると衣本当に惚れ惚れするほどの美しさだし。役作りとしては、古典的なジゼル像だと思う。生きてはいないけれども、意志だけはしっかり持っているジゼルだ。

マント姿で百合の花を抱えて登場するロベルトは、貴族の扮装で青い衣装が似合い、一段と麗しい。ただ、照明の加減のせいで百合がちょっと黄色く見えてしまったのが残念。心の底から悔やんでいるような、沈んだ表情も美しく絵になる。マントを翻して疾走する姿も様になる。そんな彼のところに手を差し伸べるジゼル。最初はお互いの姿が見られなくても少しずつ感じていく過程が見えてくる。長身で手足の長い二人が一緒に踊ると、気持ちよいくらい大きな踊りに見える。

ジゼルのソロでのザハロワは、スーブスソーのときに背中をかなり反らせているのが印象的だった。ここって下手するとキョンシーがぴょんぴょん跳ねているように見えてしまうのだけど、ザハロワはさすがにこの部分をとても美しく、音楽性豊かに、歌うように踊っていた。素晴らしい。

アルブレヒトがミルタに踊らされるところでは、アントルシャ・シスばかり34回!これには驚いた。こんなにたくさんアントルシャ・シスを見せる人もなかなかいないのでは?個人的にはもう少しいろいろと踊ったほうが変化があって面白いと思うのだけど、その脚力には恐れ入った。命乞いするところもあくまでも優雅で王子らしい。ミルタに踊らされてへとへとになり倒れこむ演技もごくごく自然だし、ジゼルを低い位置でリフトしながら進むところも、リフトが上手である。

倒れこんでしまったアルブレヒトを気遣うジゼル。そこへ夜明けの鐘が鳴り、ウィリたちが去っていく。ザハロワは、アルブレヒトを守り抜いた喜びというよりは、彼との別れを悲しむ感情の方が勝っていたように見える。お墓の方へパドブレしながら後ずさっていくジゼルをアルブレヒトは追うけどなかなか追いつけない。お墓の中に吸い込まれていきながらも(新国立劇場のジゼルのところで書いたけれども、お墓の中に入ってい演出は私は好きではない)、白い薔薇をアルブレヒトに渡していく。華奢なザハロワの腕をみるだけで、そこにこめられた想いが伝わっていくようだ。彼女を最後に感じようと、指を握り締めようとしたその時に永遠の別れがやってくる。お墓に倒れこむアルブレヒトだが、やがて立ち上がり、万感の思いをこめた表情で正面を向くと、そこで幕。幕の下りるタイミングがちょっと早すぎたのが残念。

スカラ座バレエの一番素晴らしいのは、オーケストラの演奏がとても良いことだと思う。バレエは総合芸術だから、そこはすごく大事。あとはソリスト級のダンサーでもう少しいい人が出てくるといいだけど、ね。

いろいろと文句をつけているけれども、やはり、ザハロワ&ロベルト・ボッレという世界最高の美男美女、しかもテクニックもしっかりしている二人によるジゼルが楽しめないわけはないのである。本当にロビーは素敵だったわ。

というわけで、ロベルト愛のamicaさんの、愛にあふれた詳しいレビューもどうぞ。


ジゼル:スヴェトラーナ・ザハロワ
アルブレヒト:ロベルト・ボッレ
ヒラリオン:ヴィットーリオ・ダマート
ミルタ:マルタ・ロマーニャ
クールランド公:フランチスコ・セデーニョ
バチルド:フラヴィア・ヴァッローネ
ベルタ:アンナリーザ・マシオッキ
ウィルフリード:フランチェスコ・ヴェントリーリア
狩猟係:マシュー・エンディコット
ペザントの踊り:ソフィー・サロット、アントニーノ・ステーラ
二人のウィリ:ララ・モンタナーロ、ラウラ・カッチャランツァ

スカラ座バレエ団、スカラ座管弦楽団
指揮:デイヴィッド・コールマン
振付改訂:イヴェット・ショヴィレ

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ミラノ・スカラ座バレエ団

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コメント

naomiさん
わ、嬉しい。こんなに詳しい記事を!!!!TBさせていただきました。

そう、アルブレヒトが死んでしまったジゼルに取りすがったのをお母さんが突き飛ばすところは結構迫力があっていいですよね~。アルブレヒト可哀想…

それからザハロワさんのスーブルソーは本当に綺麗でしたね。人間ではなく本当にウィリという感じがしました。

こんにちは~。お久しぶりです。
このDVD全編は見ていないんですが、この間TVをつけたら2幕のPDD部分だけやってました。ARTSチャンネルというので、クラシック音楽や舞台中心にいろんな映像を見せてくれるのですが、大概古い映像なので、ザハロワのジゼルと分かった瞬間「え、マジ?」とTVにかぶりついてしまいました(笑)見たいと思っていたのでとても嬉しかったんですが、彼女のジゼルは美しいけれど感動できるジゼルではないかな…という感触をもちました。残念ながらボッレの部分はあんまり見られなかったんですが。
図書館に入ったら借りようかな。。。

ラストシーンの幕の下りるタイミング、たしかにもっと遅くしてロビーの表情をもっと見ていたかったです。
ヒラリオンの変質者は笑えました(笑)。あまりバレエダンサーという顔に見えなかったですよね。

Ponさん、
なんと、早々にテレビでちょっと流れたんですね!それはラッキーでしたね。
確かに、ザハロワのジゼルは、演技という意味では古典的というか新味はなく、美しいけど感動に至るまでは行かなかったと思います。ヴィシニョーワのジゼルのように、独自の解釈で強烈な印象を残したのを観ていたり、それから、ルグリとの共演で観たコジョカルのジゼルがあまりにも素晴らしかったですからね。
今年は春から夏にかけてかなりジゼルを観たのですが、個人的には、一番はコジョカル、次がシオマラ・レイエスでした。

うるるさん、
TBありがとうございました!私からも、あとでリンクを貼ってTBしますね。
そう、ほかのジゼルの舞台でも思ったんですが、もう少し余韻に浸らせてほしいって思うこと、多々あります。
ヒラリオンはなかなか役者でしたね。あの役どころは実のところかなり美味しいんじゃないかと思います。ダンサーというよりその辺にいるちょっとスマートなおじさん、じゃなくておにいさんって感じかも。

naomiさん。リンクも張らせていただきました~。

そういえばアルブレヒトを初演したのはマリウス・プティパの兄弟なんだそうですね。だからパリで飽きられた後、プティパがロシアに「ジゼル」を伝えられた、というようなことがスカラ座のパンフかどこかに書いてありました。バレエ界は兄弟姉妹で活躍するケースが昔から多いんですね。

amicaさん、
そうなんですか!それは知りませんでした。プティパの兄弟もダンサーなんですね。たしかに、ジゼルはフランス発のバレエなのは知っていましたが。スカラ座のパンフレットは素晴らしいですね。
兄弟姉妹ダンサーって多いですよね。私の行っているバレエ教室でも、3人兄弟(女の子二人と男の子一人)で通っている子たちがいます。

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