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2006/08/16

世界バレエフェスティバル コジョカル&ルグリ「ジゼル」短評

例によってすっかり遅くなってしまったので、細かいことはまた後日。
素晴らしい舞台でした。ルグリ&コジョカルの組み合わせは実のところしっくりいっていない部分もあったと思うけれども。演技のタイプがだいぶ違うのね、この二人は。年齢差も感じてしまったし。相性という意味では、コジョカルにはコボーのほうが良かったのかもしれない。でも、それぞれの演技&踊りは非常に良かったし感動的。最後はもちろん涙、涙。そしてほぼ全員がスタンディングオベーション、鳴り止まない拍手と数え切れないほどのカーテンコール。

コジョカルは本当に小さくて軽くて幸薄い感じで、内省的な演技を見せてくれた。出てきたときから、ロイスとの恋で幸せでありながらも薄幸そうなのがわかったもの。折れそうなほどの華奢さで病弱なのも説得力あり。狂乱のシーンは、狂っているというより、幸せだったときの時間に自分の中の時計が戻ってしまって、あまりの悲しみに壊されてしまったように見えた。大げさな部分はまったくなく、ただ、心が壊れて死んでしまったのだ。派手さはまったくないけど、ひたすらかわいそうで胸が締め付けられた。

ウィリになってからもその印象は変わらず。ポール・ド・ブラの形はあまり好みではないけど。健気で、アルブレヒトよりうんと若いのに、つつみこむような母性もあって、かわいそう感が人一倍。 そして、本当にこの世のものではないかのような透明感。だけど、芯には強いものがあって、アルブレヒトを守り抜こうとしている、その凛とした姿がまた感動的。微笑を浮かべて踊っている姿が、また涙を誘う。人間ではなくなっても、愛する人と踊れることが幸せだと感じているようで。

ルグリは1幕で出てきたときから貴族様で、身分の低い田舎の小娘と戯れているって感じだった。バチルド姫が出てきたときに、「こんなの嘘よね、嘘だと言って」とすがりつくジゼルにも思わす顔を背けてしまうほどの冷たさ。けれども、ジゼルの死~ウィリになって現れたときにようやく彼女の思いに気がついて心から悔やんでいた。ウィリとなったジゼルの姿をなかなか見ることができていなかったのが印象的。Bプロとガラの「椿姫」ではリフトがいっぱいいっぱいという感じだったけれども、今回は、コジョカルが軽いということもあったかもしれないけどリフトが完璧。ふわりとジゼルを持ち上げる。最後のヴァリエーションの前の、ミルタの前に進み出るブリゼの細かさは名人芸だった。その後のアントルシャ・シスは9回。高く跳んだカブリオールの足先も美しく、衰えはまったく感じられなくて素晴らしいテクニック。コジョカルを小刻みにリフトするところも、息がぴったりだった。そして、本当に踊りすぎて死んでしまいそうなほどの倒れこみ方。 苦しそうに胸を押さえたりしないのに、苦しいのが良くわかる。

朝を告げる鐘が鳴り、アルブレヒトが助かったことを知って嬉しそうに微笑みながらも、まもなくやってくる別れを感じて涙を押し殺しているようなコジョカルにもらい泣き。それを受けるルグリの演技もさすがに、深い愛と悔恨を感じさせてエモーショナルだった。墓に消える前のジゼルから受け取った花一輪と、墓に供えてあった百合の花を抱え、自分の罪深い魂がジゼルによって救われ浄化されたと万感の思いをこめた表情のルグリ。彼のアルブレヒトを生で見るのはおそらく最初で最後だろう。

木村さんのヒラリオンは例によっての濃ゆい演技の名人芸。ルグリよりも背が高くて、スタイル的に引けをとらない。それなのに、ジゼルが死んだときの地面を拳で打ちつける激情や、背中を大きく反らして天を仰いだままのポーズで幕とか、命乞いの必死さとか、熱くて濃くて最高。これを見ただけでも元をとった気がするほど。そして怖くて美しい井脇さんのミルタ。上半身の柔らかさ、パ・ド・ブレの正確さ。本当にすごい。パ・ド・ユイットの皆様も良かった。特に大嶋さん、中島さんは素晴らしい。ただ、演出としては、ぺザントの場面はパ・ド・ドゥのほうが好きだけど。狂乱のシーンで、ジゼルを心配そうに見守る友人役の西村さんの演技も印象的だった。

一緒に観に行った友人が、テレビクルーに聞いた話では、NHKのハイビジョンと芸術劇場で放映される予定とのこと。(日時は未定)

ジゼル: アリーナ・コジョカル
アルブレヒト: マニュエル・ルグリ
ヒラリオン: 木村和夫

【第1幕】
バチルド姫: 浜野香織
公爵: 後藤晴雄
ウィルフリード: 森田雅順
ジゼルの母: 橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット): 小出領子‐古川和則、高村順子‐中島周、
長谷川智佳子‐平野玲、佐伯知香‐大嶋正樹
ジゼルの友人(パ・ド・シス): 大島由賀子、西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子


【第2幕】
ミルタ: 井脇幸江
ドゥ・ウィリ: 小出領子‐長谷川智佳子

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コメント

naomiさん
うわぁ~。これ見たかったんですよねー。NHKで放映してくれるなんて素晴らしいですね。感謝だわ。

amicaさん、こんばんは!
もうミラノに帰られた頃かしら?ジゼルといえばロビーとザハロワのジゼルも楽しみですね。ザハロワはジゼルにしてはお姫様っぽ過ぎる気がしなくもないですが、ロビーはさぞ美しいアルブレヒトでしょうね。ロビーが今回バレエフェスに出ていないのは重ね重ね残念。

放映、楽しみですね!DVDレコーダーのHDDをあけておかなければ。

naomiさん、連日のご鑑賞の上に密度の濃い記事、お疲れ様です。指をくわえて読ませていただいています(笑)。

これ、芸術劇場で放映されるんですか? うれし~~。でも、芸術劇場、よく見逃してしまうんで気をつけなければ!

HDDをあける・・・ほんと、地道な作業が必要ですよね。どんどん「ぶっこんで」録画できるのはいいけれど、たまる、たまる・・・。フィギュアスケートとかもたまったままになったりしていて、先日ようやくHDDにはジョニーウィアとランピエールだけ残して(^_^;)DVDに落としました(笑)。

うるるさん、
さすがに連日の鑑賞&仕事&もろもろですっかり疲れきってしまい、風邪を引いたりアレルギーを出したり。そのため、今日は仕事を休んでいます。といってもこれからマラーホフのジゼルを観に行くわけですが。

HDDはなかなか整理する余裕がなくて。実はもう、ほとんど容量残っていないので、どうしようかと思案中です。
私もこの間のドリームオンアイス、ジョニーとランビエールだけ残していますよ(笑)

こんばんは。
TBさせてもらいました。
私もコジョカルのボール・ド・ブラは好みでないけど演技に感動しました。

メインがルグリで、彼が相手役にコジョカルを選んだと聞いていますよ。

史緒さん、こんばんは。
TBありがとうございます。
コジョカルは何しろ演技が素晴らしかったですよね。やはり私はヴィシニョーワより好みです。ヴィシは押し出しが強すぎてアクがあるところが苦手なので。井脇さんの日記のエピソードも印象的でした。

ルグリさんの推薦だったんですか。パリでの共演がきっと印象深かったんでしょうね。

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» 感想「ジゼル」コジョカル&ルグリ [Fovorite Cafe]
噂には聞いてたけどスタイルが完全に出来上がってるコジョカルの清新なジゼルがとても素晴らしかった。特に二幕では今までに観た愛らしいままのジゼル、許すジゼル、母性愛で包むジゼル、聖霊なジゼル、幽玄のジゼルとそれぞれ深く感動させてもらいましたが、コジョカルの...... [続きを読む]

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