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« 8/15 マラーホフ・ヴィシニョーワ、東京バレエ団「ジゼル」 | トップページ | 世界バレエフェスティバル【Aプロ】8/6その1 »

2006/08/20

「アクロバティック白鳥の湖」広東雑技団

東京公演は残念ながら終了してしまったけれども、あまりの人気ぶりに来年の再来日も決定したこの公演、とにかく面白い!

時期的に世界バレエフェスティバルと重なってしまっていたので、バレエファンで観に行った方は少ないと思うけれども、百聞は一見にしかず。どうせ雑技でしょ、となめてかかったら本当にびっくりすると思う。素晴らしいエンターテインメントだった。

始まりは、あの前奏曲ではなく有名なテーマ「情景」から。ブルメイステル版のように、娘姿のオデットが花を摘んでいると、突然、馬鹿でかいスワンボート(足で漕ぐやつじゃなくて、観光船のようなの)が湖に現れ、そこからロットバルトが出現してオデットは白鳥に変えられてしまう。

一方王子はまどろんでいると、夢の中にオデットが登場する。彼女に惹かれた王子は、彼女を求めて世界中を旅する。スフィンクスの前でラクダに乗ったり(笑)、タイやインドに出かけたり。そして中国でついに、オデットを発見するのだった。
その旅の最中、さまざまな雑技が繰り広げられる。まずは、棒の芸。下で人の肩の上に乗せられた、棒高跳びに使うような長くて細い棒をよじよじとよじ登った人たちが、棒と棒の間を、宙返りして飛び移ったりするのだ。さすがに命綱はつけていたけど、下で肩の上にあるためにぐらぐらしている棒から棒に、ひねりを入れながら飛び移れるのが凄い。それから、帽子をたくさん投げてはキャッチする帽子芸あり、輪の中に入ってぐるぐる回転したりバランスとったり、真っ赤なチャイナドレスの娘さんたちがラインダンスのごとく並んでストローハットを投げてはキャッチしたり(たまに失敗する人もいた)、手を変え品を変え、出るわ出るわ。中には小さい子供もいて、ちっちゃな男の子が細い棒の上に着地しては空中回転をしてまた着地というのを繰り返しているところも凄かった。

さて、2幕では、オデットは、綱渡りのような状態で、綱の上をポアントを履いてパ・ド・ブレしながら登場。さすがにスムーズにはいっていないけれども、綱の上をパ・ド・ブレできるだけでも凄い。そして白鳥のコール・ドはチュチュではなく長いドレス。なんと足元はローラースケートなのだ。しかしローラースケートの履きこなしも非常に巧みで、水面をすべるがごとくスムーズである。
そしてオデットのウ・ジェンダン!さすがに主役を張るだけあって、バレエ歴なんてほとんどないに等しいのにちゃんと白鳥に見えるところがさすがだ。リフトとアクロバティックな動きが多いため、衣装がチュチュではないのは少し残念。しかし、腕の動きもよく研究されていてやわらかく、アンディオールもしていた。そして驚異的な柔軟性。まさに世界びっくり人間という感じで、いったい何度まで開脚できるんだろう、210度以上であることは間違いないな、と思った。王子役のウェイ・バォホァのサポートも素晴らしく上手。肩の上や手のひらの上でのポアント立ちアラベスクや、グランド・スゴンド(6時のポーズね)も難なくスムーズにこなしている。オデットはリフトされたまま、足を平行に180度に開いたかと思うと、一瞬のうちにその足が頭上の上を越えてしまってもう片方の足と平行になるくらいの開脚となっている。一体この人の体はどうなっているんだろう!それなのに、すごい、と思いながらも叙情性を失わないところが凄い。

4羽の白鳥のコミカルなアレンジがとても楽しい。まずは、ポアントを履いた4人の小さな白鳥が登場。と思ったら、この人たちは女性ではないのだ。グランディーバ系のみなさんである。しかしポアント使いはコミカルながらも上手。そして、実際の4羽の白鳥の曲では、4匹のカエルが登場し、倒立した状態で小ハクチョウたちの脚の動きを見せてくれるからすごい。くすくすと笑えるんだけどすごいことをやってくれているわけだ。
ロットバルトは黒鷹王っていうらしいんだけど、相当かっこいいお方。

さて、3幕では、オディールはオデットとはまた別の人が演じている。これがまた妖艶でいかにもオディールって感じの美しいパフォーマー。王子はすっかりだまされる。この舞踏会はなんだか魑魅魍魎の集まりって感じの怪しげなもので、ロットバルトの手下のいろいろな物の怪が登場していて面白い。一輪車に乗っていたり、後ろのトランポリンで驚異的な回転技を見せたり。花嫁候補たちはすごい足技でお花を表現していたりしていて、そのあたりのセンス・オブ・ワンダーは素晴らしいと思った。黒鳥のパ・ド・ドゥでは、王子ではなくロットバルトがダイナミックなマネージュを見せてくれる。オディールはフェッテを見せてくれるかな、と期待したけど3回くらい回っただけだったのはちょっと残念。
一番びっくりしたのは、驚異の軟体芸!まったく骨がないようである。女性パフォーマーが、ものすごく狭い筒のようなところを通り抜けたり、あっと驚くところから顔を出したり、いったい体がどうなっているのか見てみたい。どういう鍛え方をしたらあんなぐにゃぐにゃに曲がる体になれるんだろう。ああ驚いた。

4幕では、王子は果敢にロットバルト=黒鷹王と戦う。そして宙吊りになった彼めがけて矢を射ると、あっけなく倒される。愛の勝利を高らかに歌うかのように、王子の頭の上にオデットがポアントで立ち、美しいアラベスクをしたかと思うと、今度は6時のポーズ。そして、さらに凄いのは、オデットが6時のポーズのままで上体を反らすように倒して床と平行になるのだ。どういう体のバランスで、この姿勢が保てるのか、すごい謎である。しかしあまりにもものすごいので、感動の波が襲ってくる。
さすがに、頭を保護するために、王子は帽子を着用。パンフレットのインタビューを読むと、肩の上にポアントで乗られるため、一生消えないであろう痣ができてしまったとのことだ。夫婦でないと、ここまで自分の体を痛めつけてまですごい技を見せてくれないかもね、これこそ愛なのね、と思った。

面白いのは、悪が滅びた後、白鳥たちの真っ白な世界から、カラフルで生命感あふれる世界に変わったこと。人間の姿に戻った白鳥たちは極彩色といっていいほどの色鮮やかなドレスをまとっていて、華やかな世界にさらに彩りを加えている。悪が滅びたことを象徴的にあらわしていて、うまい、と思った。

いやあ、本当に凄いものを見せてもらった。凄いだけではなく、芸術としても非常に優れているし、いうまでもなくエンタテインメントとしても一級品。笑いどころも随所に。決してきわものではなく、雑技とバレエがうまく、バランスよく融合していて、その境界線がくっきりすることもなくごくごく自然。まったく新しい芸術を作り出した、その創造性には敬意を払いたい。王子はとてもノーブルだし(ちょっと顔が熊川哲也似)、オデットはバレリーナとしても通用しそうな優雅さ、繊細な美しさや表現力と驚異の身体能力。本場サンクトペテルブルグで公演して大人気、ウラノワ賞まで取ってしまうのも良くわかる。

バレエフェス貧乏で安い席で観たのだが、次回はぜひもっと良い席で堪能したいと思った。今回見逃した方、次回はぜひ!

ここでハイライト映像が見られます。

追記:実は前の日に、バレエフェスの会場で、主演のウ・ジェンダンとウェイ・バォホァを見かけた。ウェイ・バォホァを見て熊川哲也に似ているな、でも熊川哲也は今日は公園のはずなので来ているわけがない、と思ったらアクロバティック白鳥の湖のチラシを持った人たち大勢に囲まれ、サインをしてあげていた。しかも、楽屋口から出てきたフェリにカメラを向けている。その無邪気な姿を見てしまった後なので、余計、その凄まじいまでの演技に驚いたのだった。

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コメント

生はやっぱりすごいんでしょうね~~。
以前、配信映像で全幕見たには見たんだけど、そのしょぼい映像ですらすごかったですから・・・。
来年も来るんですね! 来年こそは行きたいな~~。

うるるさん、
そうだ、クラブマガビジョンで公開していたんですよね。うちはフレッツじゃないからな~
ホント生で観たらすごかったですよ。私は最後の1枚のチケットを買ったらしく(ソールドアウトしていたんで)席が余りよくなかったのですがそれでもすごかったもの。
ぜひ機会があれば見てくださいね。百聞は一見にしかず!

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