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« 6/17ソワレABT「ジゼル」ディアナ・ヴィシニョーワ、アンヘル・コレーラ | トップページ | ニューヨークでバレエのクラス »

2006/07/04

7/2 新国立劇場バレエ「ジゼル」

パリ・オペラ座の「椿姫」でファーストキャストを踊る予定だったエルヴェ・モローが怪我で降板してキャストが大幅に変更になったことから、当初予定されていたクレールマリ・オスタが降板。代役は新国立劇場の本島さん。もともとオスタより本島さんが見たかったからちょうど良かったわけだけど。

2週間前にABTの「ジゼル」を観たばかりなのでどうかな、と思って見たのだが、なかなかレベルの高い公演で満足度はかなり高かったと思う。

急なキャスト変更の上、ペッシュが二人のジゼル役と踊らなくてはならなかったのでリハーサル時間も少なかったようだ。パートナーシップではちょっと弱いところがあったが、ペッシュはその分濃い演技で補ったといえるし、本島さんも初役とは思えない素晴らしい演技を見せてくれた。

しかし本島さん、本人はとても可憐な美人さんなのに、あのメイクアップはかわいそうだ。2幕は幽霊だから仕方ないといえなくもないけれども、1幕からあの白塗り、彼女の大きな瞳よりもさらに大きな付けまつげ、頬紅....他の女性ダンサーもそうだし毎回そう思うんだけどここのカンパニーのメイクアップはどうなっているのか(怒)。せっかくの可愛らしい顔立ちが台無しで、顔だけ見たらとても清楚な村娘には見えない。これだったら、素顔で出た方がよほどいいんじゃないかと思うほど。
でも、その分本島さんのジゼルの演技は楚々としていてとても愛らしく、腕の運びも柔らかくて綺麗だったので、なんとかメイクのひどさを補っていた。回転系など、技術的にちょっと弱いと思わせるところも合ったけれども、ほっそりとした腕の運び方が美しいので、可憐に見えた。顔を白塗りにしているせいか?かなり病弱っぽく見える。お母さんのベルタが、踊ってばかりいるとウィリになってしまうわよ、って言っているのに気がつかなかったけど、見落としちゃったのかな?

ペッシュはというと、まず登場してからの濃厚な投げキッス(ちゅーちゅー音つき)4連発に驚く。場内も思わずどっと沸いた。ラテンなアルブレヒトだ。ジゼルに対しては、軽薄っぽくはあるがすごくラブラブなご様子で観ていて微笑ましい。ヒラリオンが角笛を吹いてバチルド他ご一行様が登場したところでは、一生懸命、僕は狩をしていてどうのこうの、と言い訳をしている。バチルドの手に口付けをするところも、義務感で仕方なくやっているって感じで、全然バチルドのことなんて関心ない、というのがバレバレ。ジゼルが発狂したところではどうしたらいいのかおろおろしていて、ジゼルが死んでようやくことの重要性に気が付いたって雰囲気。それにしてもここの村人たちはアルベルトに冷たいなあ。

ハンス(他の版だとヒラリオン)は冨川祐樹さん。スリムでなかなか男前だし衣装もきれい系とヒラリオンには少しカッコよすぎるかも。しかしやっぱり森番だからお花だけじゃなくて鳥とか狩の成果もプレゼントしないとね。演技はちょっと薄めだったけど、踊りの方はアラベスクなどもぴたっと止まって美しく、上手だったと思う。こういう人を育てて、それこそアルブレヒトが踊れるようにすればいいのにね。

1幕の村人たちの群舞は、とにかく衣装がシックな色合いで素敵!照明も美しいし揃っているし目の保養になった。踊りそのものも必要以上にいろいろと繰り出さなくてシンプルなのが良い。東京バレエ団みたいにパ・ド・ユイットとかはどこを観ていいのかわからないしいらない。ペザント・パ・ド・ドゥはバリノフ君と遠藤さん。バリノフ君は怪我をしていたらしいけどすっかり良くなった模様で、派手さはないけど上手。遠藤さんは...ABTでエリカ・コルネホやマリア・リチェットといった素晴らしい人たちを見た後だから不利だった。
収穫祭で少年を担いでいる4人の男性の中に、大怪我をして休んでいた吉本泰久さんを発見。元気そうで少し安心する。

さて、ジゼルの狂乱の場面だが、本島さんのジゼルは、静かに狂っていくという感じで、それでいて迫真の演技で非常に上手だった。あの幸せそうだった少女ジゼルがこんなになってしまうなんて、と胸が締め付けられるようだ。

2幕では、まず、チカチカとした安っぽい電飾が使われているのに違和感を覚えた。東京バレエ団の人魂とかもそうだけど、そんなギミックは必要ないのに。さらに、台車に載って横滑りするミルタ、お墓の中からせり上がるジゼルといった余計な装置が多くて興ざめ。せっかくセットや衣装は素敵なのに。

ミルタの西川さんは怖いメイクをしているのに全然怖くない。パドブレもあまりきれいじゃないな。ミルタはほかのキャストで見たかった。ドゥ・ウィリの真忠さんと寺島まゆみさんも、キャスト表を見たときには期待したけど、期待したほどではなかった。アティチュードバランスも一瞬だったし(マラーホフとヴィシニョーワのDVDでも、小出さんのドゥ・ウィリのアティチュードバランスが、もう一人の佐野さんに比べて全然物足りなかったことを思い出した)、ひょっとして股関節硬い?これも、ABTの素晴らしいヴェロニカ・パールトとステラ・アブレラを観た後遺症かもしれない。その代わり、他のウィリのコール・ドは揃っていて良かった。アラベスクのままずんずん交差して進むところは思ったより揃っていなかったというか途中で耐え切れずに足が下がってきてしまう人が何人かいたけど、それ以外のシーンでは、ウィリ独特のちょっと薄気味悪い怖さが出ていたと思う。特にヒラリオンが殺されるところは、その不気味なまでの揃い方にぞっとした。

さて、本島さんのジゼルは、最初は本当にまったくの精霊って感じて生きているとは思えない軽さと浮遊感。意思というものもまったく見えなくて怖かった。技術的には、もう少し頑張って欲しいところもあったけど(あのア・テールでぐるぐる回転するところとかね)、動き一つ一つがとても柔らかく綺麗だった。ラスト近くのアントルシャ・カトルも、上半身と下半身がうまくバランスが取れていたし。最後の方になっても明確な意志は感じさせないんだけど、それでも、アルベルトを守りたいという想いだけは強く印象的だった。百合の花をミルタに捧げようとするのだけど、これは百合をあげるから許してあげて、と言っているのか?

ペッシュのアルベルト。ペッシュはすごい二枚目って訳ではないのでマントをつけていても萌えないけど、ジゼルを死に追いやってめちゃめちゃ後悔してるのはわかった。ウィリとなったジゼルの存在にはかなり早く気が付いていて、今触れたのは確かにジゼルだった、って演技はしていなかったけど彼女の存在を確信しているような情熱を感じさせてくれた。すごいテクニシャンって訳ではないが、ラスト近くのアントルシャ・シスの20連発はなかなかすごかった。マルセロ・ゴメスのほうが高さがあって綺麗だったと思うけど、この回数はすごい。ペッシュはどうやら足捌き系は得意らしく、バットゥリーも足先が美しかった。リハーサルをあまりできなかったせいか、ジゼルを平行に持ち上げるリフトはきれいには決まらなかった。それでも、全体的には本島さんとの相性、バランスは良かったと思う。

ヒラリオンは相当ウィリ達に小突き回されて哀れだったわ。このあたり冨川さんは上手。

ミルタに踊らされるところで、ペッシュは心臓の押さえ方や倒れこみ方がうそ臭くなくてよかった。ミルタへの懇願の仕方も、すごく必死だった。自分の命を助けてほしいということだけでなく、ジゼルをこれ以上いじめないで、と言っているようだった。ペッシュは演技派なんだな、と思った。ラストの二人の踊りは気持ちがこもっていて素晴らしかったし、何よりも、ジゼルがお墓の中に消えていくところの、もう二度と離れたくない、でもこれで君はやっと安らぎを得られるんだね、という安堵を感じさせる胸がはりさけそうなところをうまく体現していた。本島さんは、ここでは愛する人を守り抜いたわというかすかな勝利感と誇りを感じさせてくれた。それだけに墓のところで機械仕掛けで降りていくという演出がもったいない。。。ジゼルが最後に花をアルベルトに渡すとか、触れた指先が離れていく切なさがこれでは表現できないじゃないの。それでも、最後には涙がじわっと出てくるような感動的な幕切れだった。

全体的に言っても、新国立劇場バレエのレベルの高さがよくわかった。ジゼルの本島さんもまさに適役だったしよく躍り演じていたと思う。満足度の高い公演だったと思う。それだけに、あの古臭くて濃すぎるメイクとギミック多用しすぎの舞台装置を改善して欲しいと思った。それと、山本さん以外の日本人男性ダンサーにもアルベルトを踊って欲しいなと思った。(山本さんの出演日も見たかったのだけどスケジュールの都合で断念)

ジゼル:本島美和
アルベルト:バンジャマン・ペッシュ
ハンス:冨川祐樹
バチルド:湯川麻美子
ペザント・パ・ド・ドゥ:遠藤睦子、グレゴリー・バリノフ
ミルタ:西川貴子
ドゥ・ウィリ:真忠久美子、寺島まゆみ

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
私は、7/1の新国立バレエ「ジゼル」に行って来ました。
厚木&マトビィエンコ主演の日で、ウルウルして帰ってきました。

>収穫祭で少年を担いでいる4人の男性の中に、大怪我をして休んでいた吉本泰久さんを発見。

ほんの一瞬だったので「本当に吉本さん?」と思ってしまいましたが、自分の他にも吉本さんを見た方がいて良かったです。

めぐみさん、こんにちは。
1日のマトヴィ&厚木さんも観たかったです。以前はジゼルは余り好きではなかったけど、観るたびにはまっていきますね。

私は3階席の正面から見ていたんだけど、一応オペラグラスで確認したので間違いないと思います。素敵な笑顔でとてもほっとしました。秋くらいからは復活してくれるかしら?

私も7/2に、この舞台を観ていました。
本島さんの演技力が素晴らしくて、泣けました。
全体的にまとまりのある、いい舞台だったと思います。
あとは…naomiさんと大体同じ感想ですね(笑)ペッシュの投げキッスには笑えました。
(自分のところにも感想をupしたいのに、忙しくて書けません〜泣)

結構前の方の席だったのに、吉本さんに気がつきませんでした…失敗。秋には元気なダンスと笑顔を拝めるかしら?バリノフ君は「こうもり」のゲネ中に突然舞台から消えてしまい、本公演は降板で心配したのですが、ペザントを伸び伸びと踊っていたので安心しました。
取り返しのつかない状態にならぬよう、大事を取って休んだのかもしれませんね。

く~てんさん、
私く~てんさんをお見かけしたような気がしたんですよね。3階席で休憩時間に1階に下りなかったのですが。
本島さんの演技は期待以上に素晴らしかったですね。泣けました。ペッシュとの相性も良かったと思います。今回みたいに新国立の女性&ゲスト男性という組み合わせはよいですよね。

そういえば「こうもり」にバリノフ君が出ていませんでしたものね。でも今回元気そうで良かった!吉本さんも次のシーズンでの復活を楽しみにします。

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