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2006/06/09

ゲルギエフ指揮キーロフ・オーケストラ「シェヘラザード」

この間のNHKの「芸術劇場」はシェヘラザード特集だったし、10月のルジマトフの「シェヘラザード」のチケットを押さえたら、無性に「シェヘラザード」が聴きたくなって、ゲルギエフのこの一枚を入手。実に濃厚でこってりとしていて、官能的な音。録音状態も非常に良くて、一つ一つの楽器の輪郭がはっきり聞こえてくる。それぞれのテーマの絡み合い方が、目くるめく世界へと誘ってくれる。第一楽章は美しいシェヘラザード王妃のテーマが印象的。第二楽章の「カレンダー王子」のファゴットも、エキゾチックでロマンティック。バレエでは使われていない第3楽章は、弦楽器がしっとりと優雅で柔らかく、この組曲の中ではちょっと異色という感じ。圧巻なのが第4楽章の祭りのテーマの激しさがうねりとなってたたみかける。激しいリズムと濃ゆい世界にどっぷり浸かって、くらくらしながら聴き入ってしまった。ドラマティックなテーマが絡み合う終盤は、バレエではシャルマールが帰ってきて、官能の狂宴に耽っていた人々を惨殺するところ。船の難破に合わせて霧のように消えていく終幕も素敵。通に言わせるとこのゲルギエフによる「シェヘラザード」はあまりにも濃厚なので、一番最初に聴くべき演奏ではないそうだけど。

そうそう、この曲の第一楽章の中盤のめくるめく夢幻的なメロディは、ノイマイヤーの「ニジンスキー」の船上のシーンに実に効果的に使われていて、このあたりの曲を聴くと、フォーキンの「シェヘラザード」ではなく、「ニジンスキー」でのイリ・ブベニチェクと、オットーが扮する黄金の奴隷の姿が浮かんできてしまうのよね(涙)。

そしてこのCDの解説書の冊子には、なんとニジンスキーが踊った、陶酔的な表情を浮かべた黄金の奴隷の写真が載っているのです。バレエ・リュスによる1921年の舞台の写真もあり、ヴェラ・フォーキナ演じるシェヘラザードあり、とかなり得した気分になります。

そういうわけで、また「Kirov Celebrates Nijinsky」の「シェヘラザード」を再見。ルジマトフとザハロワの組み合わせは今度の来日公演でも実現するのだけど、残念ながらその日は行けないのです。最初に見たときは、ザハロワは頑張って色っぽさを出そうとしているけど、やっぱり姫オーラが邪魔をしているのよね、と感じていた。が、今回改めて見ると、ザハロワやるじゃん、と思ったのだった。ザハロワはやっぱりサルタンの愛妾には見えないけど、その美貌ゆえか、冷たそうなビッチぶりは発揮できるので、細身の肉体とあいまってサディスティックで倒錯的な印象を与えて、私が観る予定のAプロのマハリナとはまったく違う官能性があるんだな、と。ルジマトフの黄金の奴隷の色気といったらそれはもう、さすが奴隷系の役柄が世界一似合う男だけに、ふるいつきたいような魅力に満ち満ちている。原色系を多用した露出度の高い、悪趣味一歩手前の衣装も、かえって怪しげなこの世界観には合っているのではないかしら。ロシアバレエのこういう過剰なところが私は大好き。

イーゴリ・コールプのラフレシアの花のような怪しい魅力満載の「薔薇の精」といい、勇壮な「ダッタン人の踊り」といい、このDVDは好きモノにはお勧め♪

R.コルサコフ:シェエラザードR.コルサコフ:シェエラザード
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追記:やっと我が家にもバレエフェスのガラの案内などが同封されたNBSからの郵便物が届いた。その中に10月の東京バレエ団の「白鳥の湖」のチラシもあったのだけど、ちょっと目を疑ってしまった。オデットの衣装をまとった上野水香がアティチュードをしているのだが、なんと膝が下を向いているのですわ(驚)。それなのに、足先は外を向いているのだけど、ちゃんとアン・ドォールしていないのに無理やり足先だけ外向きにしているので、実に不自然な膝下となっていて正直見苦しい。こんな写真を宣伝に使ってしまうのはまずいのではないか?

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コメント

ゲルギエフのこんなCDがあったんですね。ジャケットも素敵。聴いてみたいな~~。今度の公演、たしか指揮者未定になってた気がするけど、みずから指揮しないのかしら? 

>イーゴリ・コールプのラフレシアの花のような怪しい魅力満載の「薔薇の精」といい、勇壮な「ダッタン人の踊り」といい、このDVDは好きモノにはお勧め♪

好きモノ=私のことですか?(笑) これ気に入ってます。
おお、コールプの舞は、薔薇じゃなくてラフレシアですか!? なるほど言いえてますね~~。

うるるさん、
そう、このCDジャケットが素敵なんですよ。もともとの音楽のストーリーというより思いっきりバレエのシェヘラザードを意識したアートワークですよね。大体黄金の奴隷の絵がルジに似ているんだもの。

ゲルギエフは前回のキーロフ来日公演では一回だけ指揮をしたようです。今回はどうなんでしょうね。私はゲルギエフのCDはあと「ロミオとジュリエット」を持っていますがこれも良いですよ。

好きモノ=じぶんだけどうるるさんもこういう世界は好みですよね(笑)生のコールプの薔薇は映像よりもさらに毒々しかったです。


あらじゃぁ私もみなさんのお仲間だわ♪

シェヘラザードと薔薇の精が好き。

このザハロア、上品な奴隷の割にはたっぷりミルクを飲んだ猫のようにしどけなく色っぽいんですよね〜

ずずさん、
同じ趣味ですね!私もザハロワの日行きたいのですが所用があって残念です。実は一番観たいのは「ダッタン人の踊り」なんですが(笑)
ザハロワはこれからまだいっぱい映像が出そうですね。

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