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« ABT鑑賞の日々終了そしてフリオ・ボッカ | トップページ | 6/17ソワレABT「ジゼル」ディアナ・ヴィシニョーワ、アンヘル・コレーラ »

2006/06/28

6/17マチネ ABT「ジゼル」パロマ・ヘレーラ、マルセロ・ゴメス

昨日あれだけ素晴らしいボッカのアルブレヒト&シオマラのジゼルを見てしまったのでどうしよう、と思ったのだけど、大好きなマルセロがアルブレヒトなのはこれまた嬉しい。さらに、ヒラリオンはヘススなのだ。去年彼のヒラリオンは大変評判が良かったので、とても楽しみにしていた。メーンキャスト4人全員がラテン系、ウィルフリードやドゥ・ウィリの片割れまでラテンというキャスティング。

パロマのジゼルは、イノセントな村娘という雰囲気は出ているし、1幕の踊りも軽やかで調子はよさそうだった。ただ、ソロのところは、ポアントで片足立って前アティチュードのところなど脚は綺麗なのだが、シオマラに比べて上半身が雑な部分が見受けられた。狂乱のシーンの演技がえらく地味というか内省的である。昨日のシオマラのジゼルは、とても小柄で可愛いのに裏切りを知ってからの豹変振りがすごかった。それに対してパロマは一人で悲しみをこらえているような、そんな役作りで少々物足りない感じ。

一方、マルセロのアルブレヒトは、とても優しげで、ジゼルをとても可愛く思っている。彼女に向けて投げキッスを送ったのは、マルセロだけだったと思う。爽やかで屈託のない笑顔。パロマとマルセロは以前からよくパートナーシップを築いているので、バランスはとてもよく、自然に素朴で微笑ましい普通の恋人同士に見える。マルセロはあくまでも踊りはノーブルであるところに、貴族らしさの片鱗は見えるが、ジゼルのことは遊びではなく本当に愛していたように見受けられた。ジゼルの狂乱のシーンで一番おろおろとうろたえていたのは彼だった。ボッカやアンヘルはこんな事態を招いてしまった自分を責めていたけれども、マルセロはジゼルと同じ苦しみを引き受けていた。感情の出し方はとてもストレートで、ジゼルが死んだ時に遺体に取りすがって泣く姿も一番自然でしっくりきた。ただパロマがシオマラのような、可哀想な演技を見せていないので前日のようには泣けなかったのだが。

ペザント・パ・ド・ドゥはアンナ・リセイカとジャレド・マシューズ。金髪美青年のジャレドがペザントを踊るのは意外。ソロの着地のところでちょっと失敗。昨日のサシャのほうが上手だった。

ヘススのヒラリオン。いやあ、濃い。前日のゲンナディが熱い男でやたらカッコよかったわけだが、ヘススの演技は暑苦しいほど。ねっとりとした視線でジゼルの家を見つめ、ジゼルの玄関に置いた花束がそのままになっていると大げさなまでに悔しがる。アルブレヒトとジゼルの間に割って入るときも、何で俺じゃなくてこんな男がいいんだよ!って食って掛かるイメージ。ゲンナディの時とはまた別の方法で、ジゼルに熱い思いを抱えている男なのだ。ジゼルが死んで、アルブレヒトが剣で斬りつけようとしたときに身を投げ出す姿は、堂々としてかっこいい、というよりはジゼルが死んでしまってもう生きていても仕方ないから殺してくれ、と言っているようだった。(その割には2幕でかなりしつこくミルタに命乞いをするわけだが)

さて、2幕。昨日に続きヒラリオンがジゼルの粗末な墓標を作る。ただの木の枝2本を紐で十字架にしただけというものだ。でも、ヒラリオンは心底ジゼルの死を悼んでいる様子。ミルタ登場。今日のミルタはカルメン・コレーラ。昨日のジリアン・マーフィと比べると上半身が硬い。顔はアンヘルそっくりというかアンヘルが女装したみたいだし(笑)。でも長身でほっそりしていてプロポーションはいいし、何よりも威厳がある。ドゥ・ウィリは二人とも良いが特にコール・ドのジョンジン・ファンが柔らかくて美しかった。

マルセロは長身ハンサム王子なので、マント姿に百合の花の憂い姿が似合うこと。加えて演技もなかなか達者で、ジゼルが通り抜けていった時も、今確かに触れたのはジゼルだったのだ、これは夢でも幻でもないんだと、あくまでもさりげなく自問自答をしていた。リフトは非常に上手で、ふわりと、まるでまったく体重がないかのようにジゼルを平行に、180センチ以上の身長からさらに高いところまで持ち上げていたし、キープ時間が長く、ジゼルを置く時もとても優しい。が、なんといっても驚愕したのは、ミルタに無理矢理踊らされるヴァリエーション。コーダでは、アントルシャ・シスをなんと10回以上も連続して、大変な高さを保って正確に行い、足先がとても美しかった。今回、アルブレヒトは他にフリオ・ボッカとアンヘル・コレーラしか観ていないけど、このアントルシャ・シスの連続技を見せたのはマルセロだけだった。踊らされて苦しげな演技も自然だったと思う。ブリゼも高く脚が上がっていて、美しいバットゥリーの軌跡を描いていた。ただ、倒れこみ方はフリオの方が上手だった(フリオの場合には、体力的な問題で実際にすごく苦しかったのではないかと思われるが)。

パロマ演じる、ウィリとなったジゼル。生身っぽさは消えていて、精霊らしさがよく出ていたと思う。ポール・ド・ブラは美しい。登場してアラベスクのままア・テールで高速回転するところも正確だったが、速度は遅めだったのでミルタに操られている感が弱い(ソワレのヴィシニョーワの速度が驚異的だったとも言える)。パロマは、1幕の人間だった頃のジゼルの部分を感じさせる、健気な娘そのままを演じていた。踊りそのものは、去年の不調を脱したようで丁寧かつ柔らかさもあるけれども、昨日のシオマラの超絶技巧よりは少し落ちる。それでも、マルセロとのパートナーシップが良いので、組み合わせとして見れば不満はない。ただ、パロマのジゼルをまた観たいかというと、パートナー次第としか答えようがない。

ヘススのヒラリオンは2幕で本領を発揮していた。前の日のゲンナディが素晴らしかったので、やや心配だったのだが技術的にも問題なし、というかしばらく観ない間に上手になった?ウィリたちに踊らされるところではシェネが高速でしかも軸がぶれず美しい。ミルタに命乞いをするところはものすごく必死で、得意の背中を深く反らすポーズを取りかわいそうになってしまうし、斜め一列に並んだウィリ達の横をグラン・ジュッテで進むところは、ふわり、ふわりと高く柔らかく上昇していた。無理矢理踊らされているのにここまで綺麗に踊らなくてもいいだろう、と思うほど。見せ場が短いのがもったいないほどの熱演だった。ただゲンナディの方がかっこいいけどね。

ジゼルが墓の中に消えていく前の、永遠の愛を誓うマイムはなかなか良かった。ちゃんとジゼルとアルブレヒトの心がひとつになったのが見えたからだ。そしてジゼルから受け取った花を墓に捧げたアルブレヒトは、感慨にふけりながらも、新しい人生を歩みだせる希望を残した表情で、幕。さすがに、前日のフリオのように舞台袖に歩き去ってしまうなんてことはしなかった。マルセロのノーブルさとまっすぐな純情、二人のパートナーシップが堪能できた良い舞台だったと思う。インパクトの面では前日のボッカ・レイエス、ソワレのコレーラ・ヴィシニョーワよりは弱いと思うけど、「ジゼル」という作品らしいジゼルだったのではないだろうか。

マルセロのアルブレヒトはパートナーリングや足技、演技の達者さがあり、予想以上に良いので、ぜひ日本でもゲストとして踊って欲しいと思った。マラーホフが年齢的に考えてあと数年、だと考えると、彼の後継者としてちょうど良いのでは?

Giselle: Paloma Herrera
Albrecht: Marcelo Gomes
Hilarion: Jesus Pastor
Wilfried: Julio Bragado-Young
Bathilde: Maria Bystrova
Peasant Pas de Duex: Anna Liceica, Jared Matthews
Myrta: Carmen Corella
Moyna: Maria Riccetto
Zulma:: Zhong-Jing Fang

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コメント

バレエ鑑賞にはお金も体力もかかるので、もう知らない!とイジケ気味でバレエ離れが起こりはじめている私ですが、こういうレポートを読ませていただくと、またぐぐぐっとこちらへゆり戻されます(笑)。
ラテンな人たち勢ぞろいな「ジゼル」ですね~~。
マルセロのアルブレヒト、かっこいいでしょうね~~。投げキッスもなんだか想像できるような・・・。
ねっとり濃いヘススのヒラリオン、さらにアンヘルの女装さながらの(笑)カルメンのミルタなど、見所もたくさんですね。

うるるさん、
たしかにバレエ観るのはお金がかかるし、チケットを取るのも大変だし一度面倒になると離れちゃうような気がします。でも一度良い舞台を観ちゃうと、ね。
今回「ジゼル」から観ようと思ったのは、ボッカとマルセロのアルブレヒトが観たかったからです。本当にマルセロは素敵でした♪彼はちょっと口角が上がる笑顔が可愛いんですよね。でも可愛いだけではなくて端正で優しくて。先月のアメリカのダンスマガジンはマルセロ特集で、世界中の女性ダンサーが彼と踊りたがっているって書いてありましたよ。
ヘススのヒラリオンも適役です。演技派の彼にはぴったりですね。

naomiさん、お帰りなさい。早速、レポを楽しく読ませていただきました。予想通りに暑苦しいヒラリオン!(笑)ヘススったらしばらく観ないうちに上手くなったのね〜。すっごく観たいです。次回来日公演ではぜひジゼルを持って来てほしいものです。

現在、トラックバック機能を停止しているので、リンクだけ頂いて行きますね〜。ありがとうございました。
マノンのレポも期待してます♪

く~てんさん、
ワールドカップサッカーに夢中でお返事が遅くなってしまってすみません。
ブログで紹介してくださってありがとうございます♪
今日の新国立ジゼルでお姿をお見掛けした気がしたのですが声をかけそびれてしまいました。

次の来日公演の演目は何になるんでしょうかね。ジゼル、よいと思いますけどね。最近引っ越し公演でのジゼルはあまりなかった気がしますから。この演目の難は男性の役が少ないことですよね。アルブレヒト、ヒラリオン、ペザントの片割れ、ウィルフリード、クーランド伯爵くらいで後者二人は踊らないし。その中でヒラリオン役を好演したヘススは頑張っていると思います!

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