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2006/05/25

5/20 新国立劇場バレエ団「こうもり」(2幕)

困ったことに、「こうもり」は2幕より1幕のほうが面白いのだ。なので、何を書いたらいいのかちょっと困ってしまっていた。

仮面舞踏会から始まるのだが、印象的な振付が少なく、また、他の場面での衣装がとてもセンスがよいのに、ここだけなんだかばらばらで野暮ったくて。
そんな中での見せ場はやはりマイレン・トレウバエフ率いるチャルダッシュだろう。本当に彼はいいダンサーだ。切れがあってはじけていながら、柔軟性があって優雅で。チャルダッシュが終わった後で、ウルリックが同じ衣装を身に着けて出てきて、二人で顔を見合わせて笑うところの茶目っ気も良かった。
赤いビスチェに着替えたフェリもセクシーであでやかで素敵だった。夫をかわいく挑発しながらも気を持たせるところはお手の物。ヨハンとのPDDでは、ピケターンの脚があまり上がっていなくてあれれとは思ってしまったが、存在感で魅せていた。そしてまた、こうもりの羽をつけて(宙吊りで)空高く舞い上がるヨハン。長い脚で飛んでいる姿はとても綺麗。しかし失速。

ひと騒動を起こしてしまったヨハンは留置場に入れられてしまう。その前には鍵の束をジャラジャラさせた署長と、変装したウルリック。ウルリックったら、神出鬼没だし衣装も変幻自在だし、なんだかとっても不思議な存在。鉄格子を曲げちゃって顔を出して、出してくれ~って半泣きのヨハンが可笑しい。さらに、バリトンの独唱にあわせて口パクまでしちゃう。ここの仰々しい演技がまた笑える。テューズリーはこういう2枚目半の役柄もとっても上手なのがわかった。留置場に、長いマントを身につけた先ほどの美女がやってくる。マントの下は、今度は肌色のレオタード。さすがにこの肌色レオタードだと、フェリも体型が少し崩れてきているのがわかってしまって少々きつい。テューズリーと踊っているうちに、レオタードの食い込みが“コマネチ"状態に上がってきてしまっているのがとっても気になってしまった。しかし、パートナーシップはバッチリで、とても美しいPDDになっていたと思う。胴体にお肉がついてきてしまっても、語りかけているようなフェリの美脚は健在。

ヨハンのこうもりの羽根を、ウルリックによって贈られたはさみでちょきんとベラは切り取り、二人は家に帰る。ベラは彼にスリッパを履かせる。疲れきったヨハンはくつろいで、家庭の温かさを知る。テューズリーはイギリス人的な真面目さと上品さを感じさせる人なので、ちょっと羽目を外しちゃったけど元の生活に戻ったって印象を与えていた。

最後はベラとヨハンが盛装して優雅にワルツを踊る。美しくてとても絵になる二人。シュトラウスの音楽は耳なじみがいいので、とても幸福感とゴージャス感のある幕切れだった。

そういうわけで、上演時間も短く小品という感じの作品だったけど、テューズリーの意外な演技の上手さ、フェリの美脚と可愛らしさで心地よい時間を過ごすことができた。何より、狂言回しとしての小嶋直也さんが芸達者で、この公演の成功に大いに貢献していたと言える。ベラのいるところならどこでも現れるし、彼女に惚れていると言うのはわかるけど、ストーカー的でもなければ、生臭さもなくて彼女の幸せを第一に願っている、そんな切なさが感じられて良かった。その上、踊りも素晴らしかった。怪我などの具合でなかなか出演は難しいのかもしれないけど、彼の踊る機会がこれからもいっぱいあればいいのに、と思った。
さらに、ギャルソンやチャルダッシュのマイレン・トレウバエフの群を抜いた上手さといい具合のはじけ方、ユーモラスでかわいらしいメイドの楠元さんも良かった。群舞も、日本人が無理しておしゃれっぽくやっています、というところがなくて小粋な世界をちゃんと作り上げていたし、クオリティの高い公演だったと思う。
オーケストラの演奏も安定していて、パリオペやボリショイでNBSのひどいオケを聞いた後だっただけに、演奏がいいとストレスがなくていい、と実感した。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

新国のHPで「こうもり」の動画を見てみたら面白そうな感じでしたねー。音楽もよく聞くヨハン・シュトラウスだし、やっぱり見てみたかったなぁ。
フェリったらコマネチでしたかぁ(笑)プティの作品て脚を強調させる衣装が多い気がします。ずり上がってくると目のやり場に困りますね。

こんばんは。これ読ませていただいていたら、私もまた「こうもり」(DVDですが)見たくなっちゃいました! 1幕の方がおもしろいっての、同感。私もウキウキしながら見始めて、ちょっとテンションダウンしちゃうんですよね。

オケはパリオペやボリショイはそんなひどかったんですか・・・。

プリマローズさん、
オペレッタのこうもりはまだ観たことがないんですが、ヨハン・シュトラウスはウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでおなじみですものね。私は実のところクラシック音楽全然疎いんですが夫がクラオタなので、馬鹿にされながらお勉強中です。
フェリの衣装は、黒いビスチェや赤いビスチェの時は脚の美しさが強調されていて、とてもスタイルが良く見えていたんですが、さすがに肌色はちょっと...でした。太って見えちゃうんですよね。

うるるさん、
テューズリーのヨハンも二枚目で素敵だったんですが、やっぱりちょっと真面目な紳士って感じで、マッシモ・ムッルの方がイタリアの遊び人って感じで似合っているのかな、って気はしました。でも、別々の魅力があって二人とも良いですよね。

ホントあの2公演のオケは絶句ですよ!東京シティフィルなんてレベルの低い桶を使うなんて信じられないです。肝心のところで音が外れたり、勝手に走ったり、ホント困ったものでした。ボリショイは前回の来日のときには自分たちのオケを連れてきていたんですよね。まあファラオの娘にみたいにしょうもない演目だったらもったいない気はしますが、バヤデールは音楽が素敵なだけにね。ミスが一番目立ったのはパリオペの時の白鳥でした。いい曲になればなるほどミスが目立ってしまって興ざめでしたね。

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