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2006/03/02

マラーホフの贈り物Aプロ2/25

調子が悪い…しかもこの間痛めたのと別の腿を痛めてしまったみたいで今日はお稽古を休む。

Bプロの途中だけどAプロの感想をアップしますね。

○「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」/ケント&マラーホフ

ジュリー・ケントがバッグを持ち黒ぶちメガネで登場。絶対にバッグを手放さそうとしない彼女を見て苛立つマラーホフ。やがてマラーホフはアイスダンスも真っ青の、ジュリーをぶんぶん振り回したりひきずったりするリフトを行う。コミカルな中に超絶技巧が盛り込まれた作品。
踊りのうまい美男美女がおふざけをするというところがポイントなので、美しく、しかもテクニックが伴っていないと面白くない。
私の苦手なジュリーだが、がんばっていてバッグを口にくわえたりわざと下手に踊ったりと好演していた。マラーホフとの組み合わせはビジュアル的に似合っている。でも、ニューヨークで見たABTのイリーナ・ドヴォロヴェンコとマキシム・ベルツェルコフスキー夫妻のコンビの方が、イリーナの完璧美女ぶりとコメディエンヌのセンスが効いていて面白かった。
最近のジュリーは鶏がらのようにぎすぎすと痩せすぎ。マラーホフももっとはじけてもよかったのかもしれない。

○「菩提樹の夢」よりアダージョ/セミオノワ&シュピレフスキー

振付的には、"ガラ公演ではありがちなコンテンポラリー作品”でまったく魅力を感じないが、ポリーナがとても上手なので何とか観ていられる。テクニックもさることながら、切ない表情がとても魅力的。アルテムは大柄ゆえ、重たく見えてしまう。とても端整な顔立ちをしているのに、そもそもこの演目には男性側の見せ場はなくてサポートに徹しなければならず、ポリーナの陰に隠れてまったく目立たなくて残念。

○「椿姫」/ラカッラ&ピエール

当初予定されていたノイマイヤー版とは別の振付だが、音楽は同じショパン。去年「エトワール・ガラ」でラカッラのノイマイヤー版椿姫は観たのだが、どうもしっくり来なかった。ところが、こちらでは、薄物(ただし、かなりラブリーな)衣装をまとったほっそりとしたラカッラがとても薄幸そうなイメージでよく似合っていた。高級娼婦というよりは少女のように見えたが、病に冒されながらも訪れた、つかの間の幸福感をうまく表現していた。
咳き込む演技はややわざとらしい感じもしたが、柔軟な身体を生かした流麗な振付で印象深かった。ピエールはタキシードの衣装がとても似合っていた。少しルグリに似ている面差し。派手なところはないのだが、なにしろサポートが非常に上手な人で、「マノン」の寝室のPDDのような回転を伴う難しいリフトも、やすやすとこなしていた。「椿姫」の世界を舞台によみがえらせることに成功していて、今までそれほど良いとは思わなかったこのカップルの素晴らしさを実感した。

○「ファラオの娘」/アレクサンドローワ&フィーリン

「ファラオの娘」のDVDでも観られる、フィーリンの鮮やかな足さばきは見事。ジャンプは高くないが、アントルシャ・カトルの足先が美しい。素足にスカートの衣装も良く似合う美丈夫ぶり。
アレキサンドロワは小柄なフィーリンに対して大きくて踊りの方も大味だけど、テクニシャンぶりは見せつけた。映像版のアスピッシャがザハロワなのに比べられるとちょっと気の毒かも。アレクサンドロワは、映像でも演じていた侍女ラムゼアの方がテクニックの強さを発揮できて適役だと思われる。
それにしてもこの演目は音楽も振付も古臭くてつまらない。いいのは衣装だけ。「パキータ」「ラ・シルフィード」そして「ファラオの娘」とラコットが復元した作品はろくなものがない。今年の東京バレエ団の「ドナウの娘」もいかにもつまらなそうだ。21世紀にロマンチックバレエの復元って意味があることなのだろうか?「ハイランド・フリング」のようなリメイクならともかく…


○「白鳥の湖」より第二幕/ケント&マラーホフwith東京バレエ団

ロットバルトの登場からコーダまでまるまる2幕の上演。
高岸さんのロットバルトは少しも悪そうではないが、かっこよくていいのだが…
相変わらず大きな足音のコール・ド。4羽の小さな白鳥も顔の向きがまったく揃っていない。その中でさすがに小さな白鳥の小出さんは良かった。また大きな3羽の白鳥は3人とも良かったが中でも大島さんがダイナミックで素敵だった。 そもそも、群舞のフォーメーションがよくないのである。せっかくの主役二人の邪魔!
ジュリー・ケントの白鳥を見るのは去年のMETでフリオ・ボッカと共演したときに続いて2度目だが、さすがに作品の産休明けよりは良くなっていると思った。足先を小刻みに震わせるところなどはうまい。でもやっぱり白鳥というより鶏ガラなのよね。儚い存在感と薄幸そうな美貌は白鳥向きではあるものの、背中がかなり硬い感じがする。足先はきれいだが、股関節も柔らかくはないし。いずれにしてもテクニックではなく美しさで勝負の白鳥。最初に王子とであったときの驚きと拒絶のリアクションが大きくてこちらも驚いてしまった。しっかりとマイムを行うバージョンだったけどマイムも上手ではないし…もともとジュリーは好きなバレリーナではないのでどうしても辛口になってしまうが、古典全幕 のヒロインはそろそろテクニック的に厳しいのではないだろうか。 マラーホフの憂いを秘めた表情はさすがに絶品。ラスト、オデットや白鳥たちが去った後、飛び立つ白鳥の群れを視線で追っていく演技も素晴らしい。白鳥の2幕での王子はあまり踊るところはないので、もったいない感じではある。
それにしても、チャイコフスキーはテープで聴くと興ざめだし、さらにそのテープの録音状態も悪いのは非常に残念。 他の演目にしても、テープを使うにしてももう少し良い録音はなかったのか。

○「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ/セミオノワ&シュピレフスキー

ポリーナの存在感にひたすら圧倒された。一瞬イノセントに見えて、かわいい顔をした悪魔。その魔力は強力で、その場にいる誰もを魅惑することだろう。強い目線と演技力。そして強靭なテクニック。今回のオディールのヴァリエーションは、ボリショイでよく踊られているエキゾチックな音楽を使用したもので(グリゴローヴィッチ版)、アラベスクのまま回転したりフェッテしたり、足が下につくことがほとんどない非常に高度なテクニックを要するものだったが、安定していてよく音楽に乗っていて素晴らしかった。そしてコーダの32回転フェッテ、なんと前半は全部ダブルの高速回転。 腕のポジションが常に同じところにあって、床に突き刺さって天井から糸でつられているようなまっすぐな軸。ポールドブラも綺麗。
こんなオディールを見たら王子はイチコロだろう。もうなすすべもなく踊らされるしかない。圧倒的なポリーナの凄さの前に王子の存在感は弱いが、もともと白鳥の王子はそんなものだから。ほとんど目がいかなかった。さすがにソロでのジュテ・アントラッセやジュッテは、大柄な体に似合うダイナミックで高さもあるものだったが。ポリーナはベルリンなんかにいるのがもったいない。世界中で活躍できる大スターになることだろう。すでにボリショイに客演したりロベルト・ボッレと共演したりしているようだが。

○「ライト・レイン」/ラカッラ&ピエール

ポリーナも凄かったけど、ラカッラもとんでもなかった。少しだけベジャールの「バクチ」に似た作品。どこかインド風のオリエンタルでエキゾチックな音楽に乗って、軟体動物のような肢体をいろいろな方向に曲げたり伸ばしたり、パートナーとエロティックに絡んだり。でも単に柔らかいだけではなく、意思やエロス、香り立つような個性が浮かび上がって、とてつもないインパクト。彼女のなまめかしい体のしなり具合は、ほとんどびっくり人間の領域に到達している。でも、それだけのすごい体勢をとることができるのも、シリル・ピエールの鉄壁のサポートがあってこそだろう。素晴らしいパートナーシップだ。

○「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ/アレクサンドローワ&フィーリン

フィーリンはバジルを踊るにはちょっとノーブルすぎるかもしれない。バルセロナの床屋のお兄ちゃんに見えないが、極めて基本に忠実で、一つ一つのしぐさ、指先、足先に至るまで非常に丁寧で美しくきめていた。黒いタイツを穿くととても脚が細いのがわかる。マネージュなどもいかにもボリショイらしい、力強くも優雅なものだし、バリエーションも美しかった。どちらかといえば小柄な彼に対してアレクサンドロワは背も高ければ体格的にもがっしりとしていてバランスという意味では決して良くはないが(もともとはルンキナが出演する予定でアレクサンドロワは代役)それでもサポートはとても上手。
キトリはアレクサンドロワの持ち味にぴったり。ちゃきちゃきの下町娘という感じで、生き生きと元気良かった。バランスも長い時間まっすぐ立っていられる。フェッテは全部シングルだけどスピーディでしかも雑なところはまったくないし、コーダのピケターンも正確。まさに正統派のふたりだった。

○「ヴォヤージュ」/マラーホフ

キリアンの「小さな死」に使われているのと同じモーツァルトの美しい曲。世界中を旅して回り出会いと別れを繰り返すダンサーの生き様、孤独、人生の旅を表現した作品。だぶだぶの白いジャケットを羽織り揃いの白いパンツ姿のマラーホフは、「眠り」の時の不調ぶりがうそのように、高いジュッテ、驚くほど柔らかく反った背中、神経の行き届いた指先、ふわりと美しく舞う。ツァネラがマラーホフのために創った作品ということもあり、彼の人生が透けて見えるような、場内の空気がマラーホフの人生そのものに染められていくような感動的な逸品。ラストに笑いながら「バイバイ」と手を振るマラーホフを見て泣きそうになった。

フィナーレは「パキータ」の曲に乗って、出演者たちが技を披露しあう。フィーリンとシュプレフスキーのピルエット・アンディオールは、フィーリンのほうが高い角度で素早く回っていて、ずっと年上のフィーリンの貫禄勝ち。ところで、フィーリンとアレクサンドロワがジュッテで舞台を横切るのだが、アレクサンドロワが男性のフィーリンと同じ高さで跳んでいたのにはびっくりした。さすが前回のバレエフェスでアリのバリエーションを踊っただけのことはある。ラカッラとピエールのペアにもびっくり。ラカッラを高々とリフとして、そこから放り投げてキャッチするという超難度のリフトをやすやすとやってしまうピエール。そしてマラーホフは、胸が一番高いところに来るような、空気に浮いてそのまま飛び立ってしまいそうなジュッテを見せてくれた。「眠り」での不調ぶりが嘘のようである。彼には翼がある。

細かい不満はあったけれども、全体的にいえば非常に満足度の高い、充実した公演だった。ポリーナ、ラカッラ、フィーリンの3人は特に素晴らしかったと思う。マラーホフ、素敵な贈り物をありがとう。

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コメント

マルセロいなくとも、よかったようですね~~あちこちでそんな声を聞いています・・・。
私もあきらめずに行けばよかったな~大阪公演。

ポリーナ&シュピちゃんコンビはぜひ見たかったんですよね~~。彼女はそんなに素敵ですか・・・。ロベルト・ボッレとの白鳥も素敵でしょうね~。

naomi さま、拙ブログへのTBありがとうございました。naomi さんのレポも楽しく読ませていただきました。まだまだ寒い日がつづいて怪我しやすい季節ですが、お大事になさってくださいね。

うるるさん、
私もキャスト変更とかいっぱいあったので相当モチベーションが落ちていてチケットも売ってしまったくらいだったわけだけど、行って良かったです。
ポリーナちゃん2003年に観た時はまだこれからの人だと思ったのに、2年ちょっとで大成長!若い人はすごいですよね。アルテム君は…もう少しがんばれ!

Tomokovskyさん
ご挨拶もなくトラバをしてしまってすみません。書いている間眠さの頂点でして…Tomokovskyさんにとっては本当に素晴らしいマラーホフからの贈り物でしたね♪
Bプロはまだこれから書くのですがTomokovskyさんの超詳しい感想がとっても役に立ちそうです。東京バレエ団のコール・ドまでは、私修行が足りなくてなかなか見分けられないもので…

>ご挨拶もなくトラバをしてしまってすみません

とんでもないです。拙ブログは一見さんお断りの料亭とは違いますから(笑)、コメントもコメントなしTBも歓迎です♪

>Tomokovskyさんの超詳しい感想

恐れ入ります。私の場合は読み手を意識したレポというより、自分のための覚え書にすぎないので、長いだけで全然まとまっていないんですよね~。またそのスタイルを変えようとも思っていないんですけどf^^;。東京バレエ団はやはり好きなバレエ団だしダンサーたちにも愛着があるからあそこまでちくちくと書いてしまうのですが(苦笑)、でも本当はあんな風に細かく分析的に見るよりも、naomi さんのように舞台全体を素直に見る方が本当は楽しめると思います。私はひねくれ者なのかも…^_^;

naomiさん、こんにちは。
先月パリに行っていたので、マラーホフ公演を観られず。レポートを楽しく読ませていただきました。セミョーノワは、去年「メダリストたちのスーパーガラ」が印象に残っておりますが、若手の中では、もっとも期待される女性舞踊家ですね。
あと"ヴォヤージュ"で使われているモーツァルトの曲は、テレンス・マリックの「ニューワールド」のテーマ曲になっているんですよ!意外でしょ。映画を観ながらマラーホフのことをつい考えてしまいました。

keiさん、こんにちは。
ココログが障害で書き込みができなくなっていて。パリですか!いいですね~パリオペラ座などご覧になりましたか?
メダリストたちのスーパーガラは行きたかったのに忙しくていけなかったのです。あの時のポリーナのゾベイダが素晴らしかったと聞いています。
テレンス・マリックの「ニュー・ワールド」はとても楽しみです。「シン・レッド・ライン」が大好きな私としては絶対見逃せませんが、マラーホフのことも思ってしまう作品なんですね。

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