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« 3/18 ア ビアント~だから、さよならはいわないよ(牧阿佐美バレヱ団) | トップページ | 3/22 東京バレエ団「ジゼル」 »

2006/03/20

3/7 マラーホフの贈り物 Bプロ

2月28日のBプロの感想はは途中で挫折してしまったので、今回はちゃんと書くぞ~

第1部
ラ・シルフィード
ジュリー・ケント/ウラジーミル・マラーホフ

マラーホフはお疲れか?やっぱりトゥール・ザン・レールが回りきれていなくて1回転4分の3って感じの着地が多かった。さすがに着地は音がなく、軽やかに跳んでいたが、ブレノンヴィル的な脚さばきはそれほど得意ではなさそう。
ジュリー・ケントは相変わらず背中が恐ろしく硬い。表情はコケティッシュな小悪魔系で似合っていると思う。マラーホフもケントもとても幸せそうな表情で踊っていて、そのことには好感が持てた。

アゴン
 ルシア・ラカッラ/シリル・ピエール
またまたラカッラの世界びっくり人間ワールド。本家NYCBによる「アゴン」は来日公演で一度みたことがあるだけなのだが、全くの別物と考えていいだろう。本来はもっとシャープで無機質な踊りだと思うのだが。これはバランシンではないわ。それにしてもラカッラの体の柔軟性は化け物級。ビールマンスピンのような状態をずっとキープしたり、220度くらい開脚したり。よどみなく流れるような動きは、かなり色っぽい。

『マノン』より寝室のパ・ド・ドゥ
 ポリーナ・セミオノワ/アルテム・シュピレフスキー
ポリーナはここでも小悪魔系でとても愛らしいけれども、でもお金も大好き!って雰囲気も醸し出している。まだまだマノンにはなりきっていないけど、ガラだから仕方ないか。対するシュプレフスキーは純朴な神学生っぽいおぼこさが出ているけど、たまに素に戻る瞬間がある。2月28日よりは踊りは安定しているが、やはり後半のリフトでいっぱいいっぱい感というか振付をこなすのに精一杯に見えてしまっていた。ポリーナ、テクニック的にはしでに完璧なのだから今度はぜひ全幕でマノンを踊って見せて欲しいなと思った。

『ライモンダ』よりパ・ド・ドゥ
 マリーヤ・アレクサンドロワ/セルゲイ・フィーリン
ライモンダのピアノソロで踊るヴァリエーション、アレクサンドロワは手を叩く時に音を出したり出さなかったりしたのがアレ?と思った。個人的には、音をパシッと出している方が好み。しかし彼女の脚は恐ろしく強靭だし、上半身も非常に安定していて危なげがない。この日は1階2列目で観ていたのだが、近くで見るとアレクサンドロワの上半身はとても逞しい。肩も腕も筋肉でムキムキだ。あまりお姫様向きではない個性なのだが、ライモンダのヴァリエーションはハンガリー風のキャラクテールが入っているということもあってとても似合う。サンドラ・ブロック似のお顔なのですごい美人ってわけではないのだけど、ゴージャスなのよね。
一方、フィーリンはマントはつけていなかったけど腕にひらひら飾りのついた白い衣装がとてもよく似合って、絵に描いたような異国の王子様。美しい弧を描くジュッテ・アントルラッセ、鉄壁のテクニック。素敵としかいいようがない。

第2部
『エチュード』
 エトワール:ジュリー・ケント/ウラジーミル・マラーホフ/高岸直樹
 白の舞踊手(ソリスト):高村順子/小出領子
 東京バレエ団

「エチュード」は2年前の東京バレエ団40周年ガラで見たのだけど、その時は、上野水香がひどかったのと、コール・ドもバラバラでなんだかな、という印象しかなかった。とにかく、カンパニー全体の実力が試される大変な演目なのである。

小出領子のレベランスから始まる。まずは黒いチュチュ姿のバレリーナたちが延々とバーレッスン。自分がバレエを習っていると、なんだかとても親しみが沸く部分である。実のところ、2月28日に観たときには、後ろアティチュードのあまりの揃わなさに呆れたのであったが、この日は美しく揃っていて良かった。そのあと、ダンサーたちの姿が黒いシルエットになるのは非常にドラマティックで美しい場面である。写真に撮ったらさぞ素敵だろう。

そしてエトワール3人が登場。さすがにマラーホフの動きは非常にエレガント。長い演目だしとにかく踊りっぱなしで体力も消耗するであろう作品なので、時々へたっていたり雑になってしまう部分も見受けられるが、音のしないジャンプと柔軟性はさすが。高岸さんは、大変な奮戦振りだった。ピルエット・アンドオールを延々と繰り広げなくてはならないところも、キビキビとした動きで年齢を感じさせない。もちろん、動きの美しさという点ではマラーホフに負けていたが、ジャンプの高さやエネルギーという点ではむしろ買っていたのではないかと思うほど。ジュリー・ケントはやはり背中が硬い。28日ではポワントが落ちてしまったりミスが目立ったが、この日はミスはなかった。さすがに容姿は美しいのでエトワールらしい存在感はあるのだが。
東京バレエ団の男性陣も奮闘していて、平野玲さん、高橋竜太さんは非常に良かったと思う。ただ、どうしようもないことだけれども、男性陣は全体的にプロポーションが見劣りする人が多い。高岸さんのような長身で見栄えがする、しかもテクニックもしっかりしているダンサーってなかなかいないということだ。
ソリストの高村順子、小出領子の二人も良かった。とても丁寧で愛らしい雰囲気を出せる二人である。それ以外のソリスト級もみな美しく踊っていて安心してみていられた。ところが、ラスト近くで出演者ほぼ全員が横切るようにグランジュッテするところがあるのだが、そこにばらつきが観られた。バレエ教室のお稽古じゃないんだから、と思うような、乱暴な踊り方をする人も見受けられたのである。終盤で出演者もかなり疲れている頃だとは思うのだが。
いずれにしても、一昨年観たときよりは相当レベルも上がっているし、満足度は高かった。観る側もとても疲れる作品である。

第3部
アポロ
 ポリーナ・セミオノワ/アルテム・シュピレフスキー
容姿だけ見ればシュプレフスキーはアポロにぴったりで、あの片肌はだけた白い衣装がズルイ、と思うほど似合っている。長身で筋肉質の惚れ惚れするような肉体に美しいお顔。しかし、あまりに背が高いからなのか、ちょっと猫背気味に見えてしまうのと、大柄なので実際以上に重たく鈍く見えてしまうのが難点。それでも、Aプロの作品よりははるかに合っていると思う。ポリーナは女神テレプシコーラにしてはちょっとキャピキャピしすぎ。踊りそのもののレベルは相変わらずとても高い。シンプルな白い衣装だと、大きな胸が非常に目立ってしまう。「アポロ」はやはりアポロに対して3人の女神たちが出ていた方がいいし、なんだか終わり方も唐突だった。

『ロミオとジュリエット』よりパ・ド・ドゥ
 ルシア・ラカッラ/シリル・ピエール

なんと、去年の11月から3回連続して、バルコニーのないロミジュリバルコニーシーンを観ていただけに、バルコニーがあることが嬉しかった。あたりまえのことなんだけどね。
ラカッラのジュリエットが可愛すぎる!ほっそりとした体に小さな顔、パッと輝いた無邪気な表情は、ほんの少女のようである。ロミオに会えた幸せで全身はちきれそう。見ているこちらの方も幸福感で満たされる。ジュリエットがそこまで脚を高く上げる必要があるのか、というツッコミは別にして。柔軟な体とテクニックだけではない、演技力に関しても彼女は超一流であることを証明していた。フェリが演じるジュリエットは、バルコニーのシーンでも、とても生き急いでいて、この瞬間を燃焼し尽くす情熱がほとばしっている感じなのだが、ラカッラだと、そんな未来のことは考えないで、ただ無邪気にこの幸せを全身で感じていたいという純粋さ、可憐さが心を打つのだ。
一方シリル・ピエールはここでもサポートの上手さを発揮していたが、珍しくソロも踊って安定したテクニックの持ち主であることを見せていた。ロミオにしては少々老けた感じがしなくもないが、ジュリエットとしっかりと気持ちが通じ合っていて、情熱を高めあっているのが見受けられる。今回はクランコ版というわけで、マクミラン版の超絶技巧はないのだが、それでも難しいリフトを多用した非常に美しい振付であった。
去年シュツットガルト・バレエで観たときには、ラストは懸垂のようにバルコニーにロミオがぶら下がっているのが印象的だったのだが、今回は懸垂キスはなしで、バルコニーの上に上がったジュリエットを、ロミオが追いかけて駆け上ってキスをするという情熱的な終わり方だった。
カーテンコールの時の二人のキスが、ラブラブさ炸裂で素敵だった。ここまで幸福感に満たされるバルコニーシーンを観たのは久しぶり。短い時間の間に本当のドラマを見せられた思いがした。

『白鳥の湖』より "黒鳥のパ・ド・ドゥ"
 マリーヤ・アレクサンドロワ/セルゲイ・フィーリン

このペアにとっては最強の演目だろう。アレクサンドロワは悪い女オーラをびしばし放っていて、怖いこと怖いこと。姉御系の顔立ちなので、オディールは似合いすぎである。表情だけでなく踊りでこの邪悪さを表現できるのはたいしたものだ。グリゴローヴィッチ版で使われる短調の曲にあわせてのヴァリエーションでも、強靭なテクニックを披露。ほぼポアント片足に乗ったままの、ゆっくりめ故難しい回転技を見せてくれた。32回転フェッテは、入る時だけダブルで後はずっとシングルだが早くて軸もしっかりしている。(おそらく調子は28日の方が良かったと思われるが)時々腕の位置をアンオーにしているのが、さらに邪悪度倍って感じだ。ムキムキの腕でのピケターンとシェネも大変な迫力だ。
フィーリンは相変わらず黒いタイツに包んだ脚がほっそりとしていて、足先までエレガントで美しい。すっかりオディールの妖気に惑わされて、催眠術にかかったかのような幻惑されて夢見心地の王子である。この人はいつでも「ノーブル」を絵に描いたような品のよさが持ち味だ。ヴァリエーションのジュッテもふわりと軽やかで、細かい点まで気配りが効いている。アレクサンドロワの魔力にかかってイチコロになってしまうのも無理はないボンボンぶりだった。
ボリショイの正統派の底力を見た。ペアとしてはこの二人が今回最高だったといえるだろう。カーテンコールでのフィーリンのマナーのよさもポイントが高い。

アリア
 ウラジーミル・マラーホフ
上半身裸に赤いスパッツ、白いお面をかぶったマラーホフ登場。彼の動きはまるで猫のようにしなやかで動物的だ。ふと、仮面を外して、仮面をじっと見る。芸術と自分との距離感。孤独。芸術家としての彼の人生がここにオーバーラップする。再び仮面をつけて、軽やかに舞ったと思ったら地面に這いつくばる。短くてなんてことのない演目かもしれないけれども、マラーホフにとても似合っていて素敵な小品だった。カーテンコールでのカラーホフは、涙ぐんでいた。

フィナーレ
Aプロと同じ振付。ここでのマラーホフの跳躍が一番美しかった。胸が一番高い位置に上がるジュッテは、まるで彼に羽根が生えたかのようである。軸がまっすぐでリズミカルなフィーリンのピルエット・アンドオール。そのフィーリンと同じ高さで跳躍してしまうアレクサンドロワの強靭さ。高さも動きも揃っていて、実に素晴らしいペアぶりである。

マラーホフの贈り物最終日ということで、最後は「SAYONARA」と書いた看板に、紙ふぶきと紙テープが舞った。カーテンコールの時に自分の体に紙テープを巻きつけたフィーリンとアレクサンドロワがお茶目。一組ずつカーテンの前に出てレベランスする時に、マラーホフは美しいジュテで飛び出すというサービスを見せてくれた。
度かさなるキャスト変更で大変だったであろうこの公演だったけど、優れたダンサーたちと、もちろんプロデューサーでもあるマラーホフのおかげでとても満足度が高かった。

ボリショイ・バレエ団2006年公演オフィシャルブログに、最終日の様子が出ているのでぜひ。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

楽しく読ませて頂きました。
プリントアウトしてプログラムと一緒に保存です。
私記憶がないからこういう詳しい記事であーそうだった〜と思い出せるのでほんとに嬉しいです。

楽の記事もリンクありがとうございました。

今晩は。私も毎度お世話になりましてありがとうございます。
前回のブログでしっかり予習させて頂き・・・
今回また、微細に復習させていただいて感激です。

アレクサンドラワさんの超ド級パワ~は、ホント凄かったですね。客席のこっちが、見据えられてしまいました・・・。
今度、ツィスカリーゼさんと踊ったら、どういうことになっちゃうのか楽しみです。
願わくば、同じ演目ご覧のご予定なら嬉しいですが。(笑)

たまねこさん、こんにちは。
トラバありがとうございます。私も最近記憶力の低下が著しいのですが。
本当にアレクサンドロワはすごかったです。これだけ強力なバレリーナはそうそういないですね。私は、ツィスカリーゼ&アレクサンドロワのファラオの娘を観に行く予定ですよん。

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