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« 鬼が笑う話だけどABT2007年パリ公演 | トップページ | エルヴェ・モロー、エトワール任命おめでとう! »

2006/03/04

「サレンダー 服従の恍惚」

「ニューヨーク・シティ・バレエで踊った著者が見出した神への道……それはアナル・セックスだった。屈服から自己解放への過程を描く驚異の手記」

10年間ニューヨークシティバレエの団員だったToni Bentleyの著書で、ニューヨークタイムズでは今年の100冊(2004年)の一つに選ばれたとのこと。
Toni Bentleyはスザンヌ・ファレルの自伝の共著者であり、ニューヨーク・タイムズのバレエ関連本の書評を書いていたりロサンゼルス・タイムズにもバレエの批評を書いていたりするので大変な才女なんでしょう。

さて、この本の中身はというと、エロティックではあるが、筆者が大変真摯で真面目な人間であるということが見て取れる。

「バレエの世界こそが、神の探求にはまたとない場所だった。極端に言えば、超一流のダンサーは一人残らず神を信じていたのだった。優秀なダンサーになる秘訣は信じる力にあるのだと、わたしは推論した」

うまく踊れないのは神による試練、とダンサーたちは考えてストイックに訓練を重ねた。そんな生活を25年続けて、筆者はついに腰を痛めて踊れなくなった。しかし、一つのことをストイックに追求することは、ついには性愛と快楽のすべてを味わい尽くすことにつながっていったのだった。離婚した後の、美しいマッサージ師との関係。スポーツクラブで会ったラファエル前派の絵画に出てくるような赤毛の美女。そして、「ある男」。初めての肛門性交。それは苦痛と恐怖から向こう側の高みへと進む経験であった。298回も重ねた。快楽と生殖を目的とする通常の性交ではなく、それを超えた結びつきとしてのアナル・セックスこそが、彼女が狂おしくも求めたものだったのだ。
自分の欲望に真摯に向き合い、神と対話しながら歩んだ快楽と苦痛の道もまた、実のところ大変ストイックな行為であり、やはり痛みや苦痛に耐えながらも美を追求するバレダンサーの生き方と重なっていく。

文体は非常に格調高く、セックス、それも一般的ではないセックスを扱っていないにもかかわらず筆者の生き方と同様ストイックで、なぜか清清しい読後感がある。

あとちょっと感心したのは、腰の故障に対して、ダンサーが職業だったためマッサージの費用は保険で補填されるということ。その保険で雇ったマッサージ師とあんなことやこんなことをするわけだけど。

モラルや宗教的な抑圧があるからこそ、行為に並外れた快楽が伴うというところがストイックな中にも滲み出ているのだけど、恋愛、そしてセックスという行為自体、ノーマルだろうとそうでなかろうと、自分自身を見失ってしまうほどの陶酔感があるものであるということを改めて実感する。つまり、この作品は、決して特殊な話ではなくて、誰にでも共感をさせてしまう、シンプルで普遍的な恋愛の物語(ノンフィクションだが)なのだ。

http://www.tonibentley.com/

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