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2006年2月

2006/02/27

ひどい遅筆/マラーホフ

色々と書くネタはあるのに、遅筆がますますひどくなってきて全然書けない。PCの前でずっとうーんと唸っているという非常に非生産的な状態。そして現実逃避でフィギュアの動画とかをダウンロードしているからどうしようもない。頭の中が全然整理できず優先順位もつけられずにとっ散らかっているのだ。返事を書かなければいけないメール、つけなければならないレス、やらなければならない家事、睡眠時間の確保…。

とりあえず一週間前のことだけど「マラーホフの眠り」の感想を書き終えたので過去の日記へどうぞ。

よくバレエ関係のブログを持っておられる方がその日のうちに感想をアップされたりしているけど、本当にすごいと思う。尊敬しちゃう。私はとてもそんな短時間には書けないわ。

昨日は「マラーホフの贈り物」Aプロ。詳しい感想は後で書くけど、「眠り」ではすっかり老けてしまって踊りにも精彩がなかったマラーホフが急に若返っていたので不思議だった。一体何があったんだろう。その秘密を知りたい。私も最近すっかり疲れちゃってダメだから。

オリンピックもついに終わるね。これを機会に夜更かしの習慣を少しは改めないと。

2006/02/23

フィギュアスケート三昧で幸せ

といってもワタクシ今度は女子のショートプログラムを見そこないました。DVDレコーダーをセットしたら間違えてBS1を録画してしまいフィギュアではなくスピードスケートとアイスホッケーが録画されていたのです。女子にはいまいち気合が入らないで観ちゃったってことかしら。
でも、改めて今日なんとか荒川・村主・コストナー・コーエンの演技は観ることができてよかった。皆それぞれ優れていて、荒川さんはダイナミックで正確だし女王っぽい風格がある。村主さんは独特の世界で氷を染めていてなんともいえない雰囲気があり素晴らしい。コストナーは失敗しちゃったけど、動きが大きいし、すらりとしてラインが魅力的。だけど、サーシャ・コーエンはやっぱりずば抜けて凄いね。スピード感、安定感が違う。可愛いし余裕がある。これでは荒川さんは勝てないのではと思ってしまった。
明日は早起きしてみるかな。

さて、にわかフィギュアミーハーファンのわたくしは、ついにフィギュア本にも手を出してしまった。
「COLORS―フィギュアスケート男子シングルフォトブック」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873177413/ressurreccion-22/ref=nosim/
男子を中心に扱った本ってこれくらいしか見つけられなかったんで。
プルシェンコ、ジョニー、ライサチェック、エマニュエル・サンデュ、バトル、ランビエール、ジュベール、高橋大輔、織田信成など13人のトップスケータを中心に50人も紹介している本なのだ。美しい写真もいっぱいあるし、インタビューも載っている。全米選手権で棄権したために地方大会から勝ち上がって復活したジョニーは、ロシアのものは何でも大好き。ヤグディンそっくりと言われ、そのヤグディンをコンサルタントとして雇ったジュベール、エキシビションのためにわざわざ大きな荷物を抱えてコーチや振付師と真剣に取り組むプルシェンコなど、様々な選手の素顔がわかって楽しい。ミーハーフィギュア初心者にはピッタリの本だ。

でも最近のヒットは、「あ"ーーーー!」のクリストファーくんもだけど、王者プルシェンコのエキシビション映像。
http://irue.cafe24.com/holym/plushenko/videos_01~02.htm
とか
http://www.youtube.com/watch?v=N8vXfS6YLHw&search=sex%20bomb 夜中におなかを抱えて大笑いしちゃった。上記COLORSのインタビューでもエキシビションの話が出ていたが、この分厚いマッチョ肉襦袢はそれはもう持っていくことが大変でしょう。プルシェンコは一旦ロシアに帰ったってことだけど、絶対エキシビションの衣装を取りに帰ったに違いない!
あの大真面目な顔で、マッチョ肉襦袢を着て、ストリップしながら4回転サルコウとかコンビネーションジャンプとかしちゃうんだから、もう。服を脱いだり腰を振るたびに盛り上がる観衆。しまいには金色のパンツ一丁になっちゃって、観客席に乱入。彼のフリーの演技からは、とてもこんなことをするお茶目さんとは思えなかったわ。必見!
さすがにオリンピックではこれはやってくれないかしら、ね。

いよいよ女子フリーだわ。わくわく(と取ってつけたような〆)

COLORS―フィギュアスケート男子シングルフォトブックCOLORS―フィギュアスケート男子シングルフォトブック

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2006/02/22

東京バレエ団(マラーホフ版)眠れる森の美女2/18

2幕3幕しか見られていないのでその範囲での感想。

何回も書いているけど、そもそも「眠り」という演目が好きではないのだ。
・中身がなく退屈なのにうんざりするほど長い
・男性ダンサーの踊りが少ない。青い鳥のディヴェルティスマンと、王子は最後のグラン・パ・ド・ドゥだけ。大体半分以上過ぎないと王子が出てこないというのがつまらない。
・オーロラってただ眠って、そこにやってきて眠りを醒ましてくれただけの王子とくっついているだけで意志というものがまったく感じられない。
・あの白っぽいおフランスって感じのヅラが嫌い
・ラストのディヴェルティスマンに出てくるのが赤ずきんちゃんとか長靴をはいたねことかシンデレラなのが、安っぽくお子ちゃま向けっぽくて馬鹿にしているのか!と思う。
・チャイコフスキーの割には、音楽が良くない。プティパが細かい注文を出して振り付け優先でつけられた曲なので仕方ないが。
・そもそも、バレエによく出てくる妖精というのにも興味がない。あるとしたら「真夏」のパックとオベロンだけ。

たしかに「海賊」や「ドン・キホーテ」だって、それに「ライモンダ」だって中身はないけど、キャラクターがすごく魅力的だから何とか見ていられる。だけど、「眠り」は素敵だと思うのが誰もいないのだ。なのになんでみんなあんなにありがたがるのか?バレエに対して食わず嫌いな人って、絶対に「眠り」のバカバカしいまでの空虚さと幼稚さに象徴される部分が好きになれないんだと思うけど。

そういう「眠り」嫌いな私がそれでも観ようと思ったのは、ひとえに、紫とかピンクとかグリーンが乱れ飛ぶ衣装やセットデザインと妖しくナルシスティックなめくるめくマラーホフ・ワールドが観てみたいと思ったから。

しかし何しろ前半が観られなかったというショックが尾を引いていて平常心では観ることができなかった。

雑誌の記事やNBSのホームページである程度衣装やセットデザインを目にしてしまったので、幕が開けたときのインパクトが減ってしまった。予備知識ナシで観たら、それはそれはきっとびっくりしただろう。庭を模したというが、緑色のリノリウムが引いてあって、まさに上記に書いたとおり紫とピンクとグリーンが乱れ飛ぶ世界であった。精たちの衣装はハイネックで袖があって、かなり踊りにくそうだし日本人が着こなすのはかなり難しそうだが、思ったほど似合わないということにはなっていなかった。ただし、やはり衣装が大きめなので衣装ばかりが目立って中の人がかすんでしまっているような気もした。その他のコール・ドも、ピンクと紫が段々になっていて裾がすぼまっているちょっとキバツな感じの衣装。マラーホフの頭の中の世界が、この妖しい色彩感覚に彩られているのだろう、と思った。好き嫌いは分かれると思うけど私は結構好き。

東京文化会館のステージが狭いというのもあるのかもしれないけど、舞台となっている庭が、閉じられた秘密の庭という雰囲気があり、独特の親密な空気が流れていて、妖精たちの囁きが聞こえてきそうだった。

マラーホフ王子が登場。例によってお耽美&ナルシス炸裂。かなり前のほうの席だったので、顔がすごく老けていて疲れているのが気になる。さすがに一つ一つの動き、それから静止しているときのポーズはお美しい。表情は悩ましくもなまめかしくナルシスト入っている。リラの上野水香。一緒に観た友人が、意外にもプロローグと1幕の彼女が良かったと聞いていたので期待していたのだけど、2幕はあまり良くなかった。まず、背中が落ちている。表情の問題もあると思うけど、媚びているように見えていて、リラの精らしい母性が抜け落ちていた。リラの衣装は鮮やかなパープルだが、やはり袖があり、チュチュのサイズもかなり大きめだったので、水香の人並みはずれたスタイルのよさが目立たなかったのは帰ってよかったかもしれないが。腕の運び方は以前よりは改善されていたと思う。

(つづく)

幻影のシーンにオーロラ登場。吉岡美香さんは長身で華奢で見栄えするのだけどちょっと痩せすぎかもしれない。でもお姫様オーラは凄く出ていてこの役には似合っている。お姫様なのに幸薄そうなところなんか特に。脚のさばき方なども綺麗。

カラボスと手下たちが登場。今回のMVPはカラボス役の芝岡さんに決定。長身で堂々としていてビジュアル系な化粧が似合っていてカッコいい。カラボスって一般的には婆さんで、東京バレエ団版の井脇さんが演じるチュチュ姿の邪悪でスタイリッシュかつクールな魔女というのはちょっと異色。だけど、この芝岡さんのカラボスは、オネエ入ってネチネチしているのに凛々しくて素敵だったわ。もっと大げさにやってもいいくらいだけど。
なんと王子とカラボスは全然戦わず、呪いをかけようとするが、リラに追い出されるようにすごすごとカラボスは去っていく。目覚めるオーロラと王子のキス。(こうやって書くとなんだかドラクエみたいだ)
狩猟の場面もパノラマの群舞もなくて、なんだかあっけなく2幕は終わってしまった。

3幕は宝石の精たちの踊りから。ルビー,エメラルド,サファイヤ,ダイヤモンドの4人の宝石の精たちの衣装が、原色に近いすごく派手な色合い。高い襟に長袖パフスリーブで踊りにくそう。メイクも、衣装の色を目の周りに塗っているしとても不思議なキッチュな世界。ダイヤモンドの精の西村真由美さんの踊りがとてもたおやかで美しかった。

キバツな衣装といえば式典長と王様、女王様の衣装がとても珍妙だった。式典長は本来はとても二枚目な野辺さんなのだが、白塗りでピエロチックなメイクとピンクのカツラ。王様女王様もこれはひょっとしたらコントですか!という悪趣味の権化のようなお召し物だった。こういうセンス、決して嫌いではないのだけど。

シンデレラと王子が登場。シンデレラは井脇幸江さん。非常に美しいのだがしっかり者で苦労人のシンデレラという感じ。踊りは相変わらず美しい。王子は木村和夫さん。こっちはあまり王子っぽくないような。なんだか生活感漂う二人であった。

噂の赤ずきんちゃん。通常だったらオオカミとセットで出てくるのだがオオカミの毛皮をかぶって出てくるというのでなんとブラックな、って話題になっていたやつだ。たしかにニヤ~って笑っていて黒い赤ずきんちゃんだったんだけど、踊りはなかったので必要だったかどうか。

フロリナの小出さん。私が小出さんに対する期待値が非常に高いからか(去年のルグリと共演したオーロラは素晴らしかった)、実のところ彼女にしては今ひとつかも、と思ってしまった。頭に小鳥の籠をつけていて、フロリナというよりはカナリアの精という感じ。フロリナって私からするともっとふんわりとしたイメージなのだ。対して青い鳥の古川さんは、ヘアメイクにびっくり。デーモン小暮のような隈取メイク(なのでちょっとカラボスの親戚みたい)に、髪の毛をビジュアル系の人みたいに立てていて、とても青い鳥には見えない。カッコいいことはカッコいいのだが。ヴァリエーションはというと、右側へのバットゥリーは高くて綺麗なのに、左側がショボくてなんだかもったいない感じだった。すくなくとも鳥っぽくはない。私にとって青い鳥は最近ではすっかりハンブルク・バレエのリアブコのあまりにもすごくて本当に飛んでいってしまいそうな青い鳥がデフォルトになってしまってので、それ以上のものには一生出会えない気がしている。

牡猫と子猫のほうは、スタイリッシュな感じでいいと思った。ゴロニャン猫でもなければ媚びている感じもしないしカブリモノ系でもない。前川美智子さん脚がきれいで素敵だった。

グラン・パ・ド・ドゥ。
マラーホフ衰えたと思った。もちろん一つ一つの仕草は美しいし、ジャンプも全く足音がしないのだけど、高さが全然ない。ヴァリエーションのところのマネージュなんか全く跳んでいなくて、愕然としてしまった。疲れが見える顔つきといい、”老い”という文字が頭をよぎってしまった。

一方吉岡さんのほうは、丁寧で綺麗で良かったと思う。オーロラの場合はテクニックというより、お姫様っぽさをいかに動きで表現できるかということが大事だと思っているので、その点では合格点だと思った。ただし、回転系が弱く、サポートつきピルエットは全然回れていなくてマラーホフに回してもらっていた。他の日の公演ではサポートが危なかったという話を聞いたが、この日は特に問題はなし。フィッシュダイブもちゃんとキマっていた。自分の席が1階R列前方でかなり右に寄っていたので、吉岡さんが床を蹴って倒立している裏側が見えてしまったのはちょっと興ざめだったが、それは席の位置の問題だから仕方ない。
他の人たちがピンク、紫と原色使いまくりのけばけばしいもので、マラーホフにしても、似合っているからいいのだけど”紫の貴公子”なのに対して、オーロラの衣装は薄いブルーに花の刺繍がしてある清純なものでかわいらしかった。

アポテオーズのところでいきなりカラボスが登場し、まるでホラー映画のように照明が暗くなる。「アタシがこの結婚式を邪魔してやる」という勢いで、ネチネチとしていて最高なのだが、リラの精に制止され、すごすごと引き下がる。ちょっと安っぽい演出なのだが、そういうところも含めてマラーホフっぽい独特の毒があるセンスだなと思った。

半分しか観ていないのだが、それなりに楽しめたと思う。ザ・マラーホフ・ワールドという感じで紫の薔薇が咲き乱れる怪しい世界。変なものを観た、という気持ちがした。きっと全部観たらお腹いっぱいだろう。ただ、全体的な構成や振り付けに関してはオーソドックスな「眠り」なので、もっと思い切って改訂してみるとさらに面白くなるのではないだろうか。私は基本的にはコール・ド・バレエってそんなに観たいと思わないほうだけど、「眠り」に関しては仰々しい演目なので群舞あったほうがお得感があるのだと思った。

オーロラ姫:吉岡美佳
デジレ王子:ウラジーミル・マラーホフ
リラの精:上野水香
カラボス:芝岡紀斗
カタラビュット/式典長: 野辺誠治
ルビー: 長谷川智佳子
エメラルド:門西雅美
サファイア:佐伯知香
ダイヤモンド:西村真由美

シンデレラとフォーチュン王子:井脇幸江-木村和夫
フロリナ姫と青い鳥:小出領子-古川和則
牡猫と子猫:前川美智子-平野玲
赤ずきん:加藤文

2006/02/21

東京バレエ団「眠れる森の美女」観るまでの話

え~と実は2幕と3幕しか見ていません。

まあ開演の10分前につけばいいやと朝のんびりしていて、また男子フィギュアのフリーなどを観てライザチェックやらジョニーやらジュベールやらに見入っていた自分がイカンかったんでしょうけど。

2時24分蒲田発の京浜東北線に乗ろうとしたところ、まさにその電車が人身事故を引き起こし京浜東北線ストップ。 今人身事故だったら当分電車は動かないだろうと思って、振り替え輸送で東急多摩川線→東横線→日比谷線と大回りした結果、30分も遅れて到着してしまった。これは運転再開を待つか、タクシーで品川まで行くのが正解だったよ。。。判断ミス。。。orz  今まで、開演時間を間違えた時と、仕事で間に合わなかった時以外は遅刻したことは一度もなかったのに。

途中プロモーターや会場に電話したけど、「遅れは知っています。5分遅れでスタートします」というお答え。

いずれにしても、JRは信用できないので、今後は休みの日の公演には余裕を持って出かけることにするけど。(3時開演という中途半端な時間もやめて欲しい!)

次の休憩まで入れてもらえなかったのだが、プロローグと1幕の間には休憩がないので、1時間10分もあるのだ。
そういうわけで、非常に悲しい思いをしてしまったので、2幕3幕の感想については日を改めて書くことにする。残念ながら私は楽しめる精神状態ではなかった。マラーホフ老けた。

実はこの1週間で京浜東北線で人身事故(平たく言えば飛び込み自殺ね)は3回目。死ぬのは自由だけど、一番迷惑な死に方なので別の方法でやってください。それと、鉄道会社も飛び込み自殺防止対策を本気でやって欲しいと思う。普通に自分がホームを歩いていても、たまに線路に引きずり込まれるような感覚を感じることがあるからね。(で、今朝も思いっきり電車遅れたね)

2006/02/19

シヴァコフのCM

レニングラード国立バレエのミハエル・シヴァコフ王子がauのカシオの携帯電話CMに出演しています。

そして実はこのCM、サイトでも見られるんです(教えてくださったお友達Mちゃんありがとう!)

INFORMATIONの「PROMOTIONにTVCF追加」から見られます。
TV放映期間は2/16~3/14までだそうです。

http://www.casio.co.jp/k-tai/w41ca/specialsite/

なんと近日中にメイキング映像も見られるそうです。わーい!
麗しいお顔はちゃんとは映っていないのが残念ですが、美しい脚としなやかな肢体を堪能できます。

2006/02/18

トリノオリンピック 男子フィギュアフリー

男版「瀕死の白鳥」の仕上げはジョニー・ウィアだったのに…

こともあろうに、わたくしショートプログラムを見逃しました。録画どころかちらっとすらも見られなかった…せっかくジョニー・ウィアが「瀕死の白鳥」で踊ってくれたのに(号泣)

とりあえずリベンジとばかりにフリーの方はしっかり録画してさっき飛ばしながらも観たのだが(まともに見ると4時間だからね)。ホントにジョニーくんは美しい☆アメリカ人とは思えない、少女のような繊細な美しさだわ。踊りも柔らかくて綺麗。バレリーナがするような動きをかなり入れている。たしかにフリーの方は守りに入ってしまったし、コンビネーションもうまくいっていなかったので点が伸びなかった。音楽の「秋に寄せて」も美しくて彼の雰囲気にあっていたと思う。

私はフィギュアはそんなに詳しくないしそもそも男子はあまりテレビではやってくれないので、偉そうなことは何もいえないんだけど。
プルシェンコは演技の安定感が別格。何だかんだいってやっぱり飛びぬけてうまい。職人芸と言ってもいいくらいだし、4回転、3回転3回転とつないだコンビネーション、ジャンプの高さと安定感には驚いた。ステップも、ロボットが踊っているみたいと言われているのもわからないではないけど、氷の上であんなに自在に動けるのは単純にすごいと思った。ただ彼はちょっと上半身が堅い?新聞を見たら「趣味はバレエ」って書いてあったので、バレエ歴はあるのかしら。
どれだけ彼が圧倒的にすごい存在かというのを比較した図があるので、見てみると面白いと思う。

アメリカのエヴァン・ライザチェック、ちょっとラテンな男前~!長身で長い手足、完璧な演技。着地もばっちり。テレビの前で大興奮!「カルメン」がぴったりでセクシーなのに爽やかで好きだ。ショートで失敗したのでメダルに届かなかったけど、フリーだけだったら3位だったみたい。私の中では彼が金メダルだわ。

あとやっぱり好みとしてはブライアン・ジュベール(フランス)。お顔も美しいし、演技もダイナミックで好み!それだけに転倒は惜しい。

高橋君も頑張っていたと思う。手足の長さなど、どうしても体型的に見劣りしちゃうのは仕方ないと思うけど、果敢に4回転に挑んでいたし、体も柔らかくて踊りが綺麗。彼の課題はコンビネーションと着地かな。ジャンプの高さも足りない。でも、最後の滑走というプレッシャーのかかる順番で、8位は立派だと思う。4年後は大学の後輩の織田君と二人でまた出て欲しいわ。NHK-BSで観たので、観客席で応援する織田君を見られなかったのが残念。

それにしてもジョニーの白鳥…(しつこい>私)

最終結果はここ

女子に関してはいろいろあってうんざりしているので、次の楽しみはアイスダンスのフリーとエキシビション。

※うるるさんの素敵なレポートはここ

2006/02/16

ニーナおめでとう!女の子だね。

ニーナ・アナニアシヴィリに女の子の赤ちゃんが2月14日、誕生したそうです。
http://ananiashvili.com/whatsnew.htm

Helene Vashadzeちゃんで体重は3000グラム。母子とも健康な状態だそうです。

ニーナは2007年にステージ復帰予定とあるので、今年予定されていたニーナガラはなしですか…。

いずれにしても無事な出産、嬉しいですね。おめでとうございます。

エリカとカルロスおめでとう!

アメリカのDance Magazineのメールマガジンの記事で知ったのだけど、ABTのソリスト、エリカ・コルネホとボストン・バレエのプリンシパル、カルロス・モリーナが1月7日にめでたく結婚したとのこと。

エリカはエルマン・コルネホのお姉さんで、弟と同様小柄だけど跳躍力の素晴らしい、とても素敵なバレリーナ。来日公演での「ドン・キホーテ」で魅力的なメルセデスを踊っていた。そしてコロンビア出身のカルロスは、元はABTのソリストとして「オネーギン」のオネーギン役や「ロミオとジュリエット」のパリス&ティボルト、「白鳥の湖」のロットバルトなどを踊っていた実力派。映像では、ABTの「真夏の夜の夢」のDVDでライサンダーを踊っている。長身で脚が美しく演技力もあって、次期プリンシパル候補と言われていたんだけど、一昨年ボストンに移籍してしまった。
2003年秋にシティセンターシーズン以来、二人のナイスカップルぶりを見てきたので、すっごく嬉しい。

球面三角」さんで知ったのですが、エリカは弟のエルマンと7月に日本でゲスト出演し、「ライモンダ」3幕PDDを踊るらしい。エルマンのジャン・ド・ブリエンヌも楽しみ!

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2006/02/13

2/4 バレエの美神

一週間過ぎてしまってすっかり昔の話になってしまったのですがお許しください。バレエ発表会の練習ばかりで全然ちゃんとした文章を書く暇がない!

ローラン・イレール降板のショックから立ち直れないままの鑑賞となった。ロビーには、イレールからのお詫びの手紙と診断書のコピーが掲示してあった。

久しぶりに気合を入れて前のほうの席を取っていた。7列目、と思っていたのだが実際に座ってみるとなんと2列目だった。前過ぎ…。指揮のアニハーノフさんが目と鼻の先にいる。しかしオーチャードホールの前方はフラットだし、舞台が低いので、奥の方に行ってしまわれると足先が見えない。

☆『ドン・キホーテ』第2幕第2場より「夢の場面」
ガラ公演なのに、幕が開いたらステージをぎっしりと埋め尽くしたコール・ドの面々。舞台装置も入っているし、ドン・キホーテまで登場している。全幕とほぼ同じ非常に美しい舞台が目の前に広がって、ため息が漏れる。「ドン・キホーテ」は3日前に観たばかりだったけど、やっぱり近くで見ると改めて豪華な舞台にうっとり。森の女王のシェスタコワが素晴らしい。2月1日のエフセーエワも良かったけど、威厳はあるが割とパキパキした踊りだったので、シェスタコワの優雅でたおやかな踊りを観るとこちらにすっかり目が奪われる。ABTのダメダメな森の女王たちとか、テレビで放映された新国立劇場の「ドン・キ」のやはりいまいちだった森の女王の記憶しかないからか、シェスタコワの偉大さが身に染みる。
ドゥルシネア姫はペレン。華やかな美人で手脚も長くまずまずの踊りだが、隣にシェスタコワがいると分が悪い。グラン・ジュッテでペレンとシェスタコワが横切るところも、シェスタコワさのうまさがきわだってしまう。ペレン、ドゥルシネアなのに、キトリ役と同じようにクルンとした髪の毛をおでこにつけているのはどうかと思う。ただキトリ役は似合っているね。
キャスト表にはこの二人しか名前が載っていないので自信はないけど、この日のキューピッドは2月1日にも踊っていたシシコワかな。やっぱり名人芸だもの。そしてドン・キホーテも、あの長身と姿勢のよさ、上品さでおそらくはアレクセイ・マラーホフだろう。
幕開けとしては非常に良かったと思う。

☆ロミオとジュリエット バルコニーシーン
イレールのキャンセルに伴い、急遽付け加えられた演目。「ドン・キホーテ」がオーケストラによるゴージャスな演目だっただけに、いきなり音の悪さに落胆。せっかくオーケストラがいるのだからこれも演奏して欲しかった。それに、バルコニーシーンなのにバルコニーがなく、舞台の真中から始まって、踊り自体も途中から始まったという感じ。レドフスカヤは表現が非常に細かくて繊細で美しいダンサーだし、パートナーのスミレフスキーも、写真よりもずっとハンサムで素敵。キスの表現一つとっても、とても情感豊かだ。しかし、あまりにも短いし、マクミラン版のようなリフトもないので、その世界に浸る余裕もなくあっさりと終わってしまった。この二人による全幕のロミジュリは観てみたいと思った。良いダンサーの無駄遣い、って感じの演目になってしまっていて非常に残念。

☆タジラード
上半身裸に白いタイツのシヴァコフと、短い丈のスカートがついた白いチュチュ姿の草刈民代。若い恋人たちの爽やかな逢瀬を描いているらしいけど、ちょっとタミーは苦しい。二人が若い恋人同士に見えないだもの。延々とストレッチを繰り広げる前半は、二人が同じポーズを取りつづけているのだが、シヴァコフよりも脚が開いていないタミー。立ったときに脚が曲がっているタミー。ピルエット1回転で失敗するタミー。マールイの麗しい王子シヴァコフの出演がこれだけ(「眠り」の4人の王子の一人で出てくるとは言うものの)というのもなんだかな、である。でもタミーにクラシック演目を踊られるよりはいいか。

☆オーニス
これも急遽付け加えられた演目。ロモリさんがソロで、ちょっとだぶだぶのパンツとシャツで、民族音楽っぽい郷愁に満ちたアコーディオンの曲に乗せてくるくると楽しげに踊る。かなり長い演目で途中飽きる部分もあるが、ロモリのおじさんっぽい個性が生かされていて良かったと思う。難しそうな動きはないのだが、この長い時間、ずっと細かいパを踊りつづけていなくちゃいけない。とっても安定していて、ブレがまったくなく、本当にこの人は上手な人だと思わせた。いぶし銀の渋さに心を打たれた。

☆レクイエム 
一昨年の「ルジマトフのすべて」で一度見た演目なのだが、その時は途中で意識を失ってしまったため今回も心配だった。が、ルジマトフはすごい!苦行僧的な雰囲気で、この世のあらゆる苦しみを引き受けている様を熱演。すっかり彼の世界に連れて行かれて、魂の一端を感じた。この人は一挙一動が美しい。アライメントが上手だというのもあると思うけど、一つ一つのポーズが決まっていて、どの瞬間を写真に撮っても完璧なのではないかと思わせる。腕には一体いくつ関節があるのか、と思ってしまうほど、腕の動きが繊細で、別の生き物のようだ。ルジマトフは何歳になっても、クラシック演目は踊れなくなっても、この路線で長く踊りつづけてくれるのではないか。本物の芸術家だ。


第2部
☆忘れないで… 
照明がつくとドゥルオが背中を向けて、消えてまたついたら今度は横たわっている。最初のうちは笑いが漏れていたのだけど…
とーっても長い演目でした。ごめんなさい、途中から意識がありませんでした。いかにもダンサー自作自演の作品。途中でピエトラガラは斜めになった板に横たわって出てきたりしたけどあれは一体何の意味があったのだろう。ピエトラガラは思い入れたっぷりに踊っているけど、伝わってくるものがない。水色の薄いドレスが長身に似合って美しいんだけどね。

☆『幻想舞踏会』
ショパンによる音楽がとても美しい。ノイマイヤーの「椿姫」でも使われている曲だ。衣装も優雅で美しいし、もちろんレドフスカヤの踊りも素晴らしい。だけど、レドフスカヤはプティパものの踊りを見せて欲しかったと思った。こんなに素敵なダンサーなのに、その魅力を発揮させることのできる演目を踊っていないのはなぜなんだろう。音楽とダンサーのよさに振り付けが追いついていない。

☆『スパルタクス』よりアダージョ 
ここでようやくまたオーケストラの演奏に。アニハーノフさん指揮のオーケストラでハチャトゥリアンのスコアが聴けるのは幸せ。しばし音楽に身を任せる。しかし!これまたあまりにも短くてもったいない。チェルノブロフキナはスタイルも非常にいいし脚も高く上がるし、美しいし上手なバレリーナだ。他の日ではリフトの失敗もあったようだが、この日は、パートナーのザバブーリンも片手リフトを見事に決めていて、グリゴローヴィッチの恐ろしく難しい振付をこなしていた。二人は私生活でもご夫婦らしい。しかし1月のルンキナとスクヴォルツコフによるボリショイの勇壮かつ情感豊かな「スパルタクス」を堪能した後では、少々分が悪い。はっきり言ってしまえば、タミーなんかいらないしピエトラガラはもっと短い演目にしてもらって、もっとたっぷりとこのアダージオの世界に浸らせて欲しかった。

(寝るのでまた明日)

☆『眠りの森の美女』よりローズ・アダージョ 
オーロラ姫はクチュルク。クチュルクはキトリは似合っていたけどオーロラ@16歳を踊るにはちょっと元気が良すぎて初々しさに欠ける。ローズアダージオで4人の王子の手を取ってアティチュード・バランスを取るところは、バランスを取るのに苦労していてすぐに王子の手を握ってしまっていた。またデヴロッペするところでの脚のあげ方がとても乱暴だった。サポートつきピルエットするところも軸が傾いている。
なんて文句をつけているのだが、実のところ私は王子の一人を演じていたアンドレイ・クリギン(クリギン父)に目が釘付けとなっていたのである。4人の王子は、みんなカツラをかぶっていたのだが、クリギンのみ、カツラなしの地毛で、金髪のロンゲを垂らしていた。紫の衣装がお似合い。そしてあまりにも濃ゆい演技…あんなものを2列目で見せられたら笑うしかない。炸裂する顔芸。オーロラに渡す花にキスをしたり、他の王子にライバル心をメラメラと燃やしまくって邪魔したり。クリギン、おじさんなんだけど(なんてたって息子が今シーズンマールイに入団して親子饗宴をしているくらいなんだから)普通にしていれば背も高いし顔も小さくてハンサムなのに…。王子の中での本命の人はシヴァコフが演じているが、やっぱりカツラをかぶるとかなり間抜けな感じ。いつも思うんだけど「眠り」のカツラはやめようよ~。いくら時代設定がそうだからといって、こんなものを後生大事にかぶっているからバレエは馬鹿にされるんだよ。

☆『眠りの森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥ
ファジェーエフとペレンというありえないほどの美男美女の組み合わせ。ファジェーエフはドン・キの時のほうが調子は良かったのではないかと思ったけど、サポートは今日はばっちりだった。夢の王子様は近い席で観ると本当にキラキラしていて綺麗で笑顔も素敵。踊りは非常に丁寧で、マネージュはやっぱりちょっと高さが足りないかなと思ったけどトゥール・ザン・レールは高さがあるし5番にきれいに着地していて見事。パートナーに向けるマナーのよさもすばらしい。ペレンはアティチュードがとてもきれいだし、先ほどのバタバタしていたクチュルクと違って余裕がある感じでオーロラ向きだと思った。

☆『アヴェ・マイヤ』 
偉大なプリセツカヤ様を迎えて、オーケストラの面々もひときわ嬉しそう。アニハーノフさんがニコニコしているのがわかる。80歳になるというプリセツカヤだけど、背筋がぴんと伸びているし、お顔も美しい。銀色のハイヒールを履いて、紅白の扇子を両手に一つずつ持って、すり足で歩みでる。プリセツカヤ75歳の誕生日にベジャールが贈った作品だということで、バレエというよりは日本舞踊にちかいのかもしれないが、腕の動きは彼女の当たり役「瀕死の白鳥」を思わせるもので、優雅で艶がある。意味もなく感動してしまった。母親がラーゲリで亡くなったり政治的な問題があったり波乱万丈の人生を歩いてきた彼女だが、その酸いも甘いも味わい尽くした上での包みこむような微笑を見ると、感動の波が押し寄せてくる。他の日はアンコールに応えてもう一回踊ったらしいがこの日は一回だけ。暖かい拍手が会場を満たし、なんとオーケストラピットではデジカメで舞台の上の彼女を撮っている楽団員がいた。それに対しても艶然と微笑むプリセツカヤ。舞台からはけていく時の颯爽とした動きはカッコよかった。

☆『シルヴィア』
これもカール・パケットの出演キャンセルによって加わった演目。ノイマイヤー版の「シルヴィア」である。ノイマイヤー版の「シルヴィア」はDVDを買って見たのだけど、映像ではマリ=アニエス・ジロ&ジョゼ・マルティネスだったのが、ロモリ&ムッサンのパリオペ高年齢エトワールコンビに。そのためか、なんだかとても地味~な感じだった。何よりも衣装。急遽加わった演目って分けでムッサンの衣装なんかセパレーツの水着みたいで、ちょっとかわいそうだった。出産後初めての舞台への復帰だったようで、たしかに産後とは思えないスタイルの良さではあったんだけど。そもそもこのPDDは、永遠に眠りつづけるエンディミオンとディアナのシーンということもあって、決してガラ向きではないと思うのだ。
そういうハンディはあったものの、二人ともさすがにパリオペのエトワールというわけで円熟の演技を見せてくれたとは思う。普通に考えれば長身に男顔美人のジロのほうがいかにもディアナって感じなのだが、ムッサンは大人の粋な女性という感じで、地味だけどこういうディアナもありかな、とは思った。肩までの長さの髪も似合っていた。

☆『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥ
ガラの最後をしめくくるのはやっぱりドン・キのグラン・パ・ドドゥ。しかも、ちゃんとキトリの友人たちがついているという豪華版。コシェレワやミリツェワといった、全幕版でも素晴らしい踊りを見せてくれたマールイの美女たちが揃っていて目の保養になる。
で、ルジマトフ。去年のルジマトフのすべて公演を観ても、この人はそろそろバジルを踊るのはきついのではないかと思ったが、その悪い予感は的中。マネージュの重たさは解消していたが、トゥール・ザン・レールなんか、空中回転がギリギリ可能な程度の低さしか飛べていない。しかし腐ってもルジというべきか、やっぱり一つ一つのキメポーズ、見得の切り方は驚くばかりにカッコいい。バジルという本来は軽薄で明るい色男とは全く違った持ち味なのに、ルジマトフのバジルというジャンル(?)は確実に存在しているんだな、と思った。
クチュルクは2月1日に観たばかりだったけど、キトリらしく元気一杯に踊っていた。フェッテは全部シングルだけど速いし、最後のピケターンもびっくりするくらいの超高速。ほかの二日間はキトリをシェスタコワが踊ったようだが、キトリに関してはやっぱりクチュルクの方が似合っているだろう。

そういうわけで、休憩も入れるとなんと3時間40分の長丁場。次に用事を控えていたのでカーテンコールが始まると同時に会場を出たのが5時40分。最後までいたら4時間というのはいくらなんでも長すぎたような気がした。ぐったり。

どうも今回は、マールイの面々の充実振りばかりが目に付いてしまったのが残念。中途半端なコンテンポラリー作品というのは、延々と見せられると厳しい。急な降板などもあって気の毒だった面もあると思うが。良かった、と思うのは「ドン・キ」のシェスタコワ、「レクイエム」のルジマトフ、「眠り」のファジェーエフ、それとプリセツカヤ。それとは別に、パリオペ組の穴を埋めるべく頑張ったロモリには敢闘賞、そして謎の存在感ではピカイチだったクリギン父に特別賞、かな。

第1部
☆『ドン・キホーテ』第2幕第2場より「夢の場面」 〔振付:M.プティパ/N.ボヤルチコフ演出〕
  ドルシネア姫: イリーナ・ペレン
  森の女王: オクサーナ・シェスタコワ
   レニングラード国立バレエ
☆ロミオとジュリエット 〔振付:V.ワシーリエフ〕
  ナタリア・レドフスカヤ/ゲオルギー・スミレフスキー
☆タジラード 〔振付:A.リグライナー〕
  草刈民代/ミハイル・シヴァコフ
☆オーニス 〔振付:J.ガルニエ〕
  ウィルフリード・ロモリ
☆レクイエム 〔振付:笠井叡〕
  ファルフ・ルジマートフ

第2部
☆忘れないで… 〔振付:M=C.ピエトラガラ/J.ドゥルオ〕
  マリ=クロード・ピエトラガラ/ジュリアン・ドゥルオ
☆『幻想舞踏会』より 〔振付:D.ブリャンツェフ〕
  ナタリア・レドフスカヤ/ゲオルギー・スミレフスキー
☆『スパルタクス』よりアダージョ 〔振付:Y.グリゴローヴィッチ〕
  タチアナ・チェルノブロフキナ/ドミトリー・ザバブーリン

第3部
☆『眠りの森の美女』よりローズ・アダージョ 〔振付:M.プティパ/N.ボヤルチコフ演出〕
  オクサーナ・クチュルク
   レニングラード国立バレエ
☆『眠りの森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥ 〔振付:M.プティパ〕
  イリーナ・ペレン/アンドリアン・ファジェーエフ
☆『アヴェ・マイヤ』 〔振付:M.ベジャール〕
  マイヤ・プリセツカヤ
☆『シルヴィア』より 〔振付:J.ノイマイヤー〕
  デルフィーヌ・ムッサン/ウィルフリード・ロモリ
☆『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥ 〔振付:M.プティパ/N.ボヤルチコフ演出〕
  オクサーナ・クチュルク/ファルフ・ルジマトフ
   レニングラード国立バレエ

2006/02/11

トリノオリンピック開会式のロベルト・ボッレ

ブログのアクセスログを見たらいきなり「トリノオリンピック」で検索してこられた方からのアクセス数が爆発的に増えていてびっくりしたわ~
それなのに古い記事で恐縮です。

今日は11時からバレエのレッスンなので生中継で見ることはあきらめ、開会式は録画予約して家に帰ってきてから見た。とはいっても、ボッレの登場まではずっと早送りで。

テクノ科学者といわれているらしいRichie Hawtin(私はよう知らん) とイタリア人振付家 Enzo Cosimi(この人も良く知らない) とのコラボレーションによって実現する今回のプロジェクトは、Richie Hawtin の楽曲 '9:20' に合わせ、 ボッレらのダンサーがパフォーマンスを行うというもの、ってわけで(以前の記事を見てね)。

青×赤×白のぶかぶかの衣装に山高帽をかぶった男が一人登場して踊りだしたと思ったらそれがボッレの様子。ボッレといえばギリシャ神話に出てくる美青年のような美貌+踊るギリシャ彫刻と言われるほどの肉体美なのにこの衣装ではすっかり隠れてしまっている。しかも顔は白塗り。白塗りにしていても、とても美しい顔をしているのはわかるのだが…なぜに白塗り?実況の人は、彼を「未来のヒーロー」と呼んでいるが、どこかヒーローなのかよくわからない。なにやら謎のでかい彫刻が出てきて、その彫刻と向かい合って踊るボッレ。だぶだぶの衣装を着ていても、動きはさすがに美しく、脚を横に高く上げて美しいア・ラ・スゴンド(150度くらいの開脚)を見せてくれている。そして、今度は巨大なバレリーナの張りぼてみたいなのが出てきて、その張りぼての下からなにやらワラワラとバレエダンサーのポアントを履いた足先が束になってタコの足のように見えている。ボッレが服を脱ぎ始めて、脱いだ衣服が転々と散らばっている。しかし肝心の脱いでいるところは張りぼてを映しているよ…

さて、衣装を脱ぐということで期待していたのだが、脱いだ下は、全身タイツ。しかし!この全身タイツ、体にピッタリとしていない感じで太って見えてしまっていのだ。インタビューでボッレは寒さに弱い、すでに風邪をひいたって言っているけど、やっぱり寒さ対策のために分厚い全身タイツにしているのだろうか?タイツは白で、心臓のところを中心に、赤い血管が全身へと広がっているという柄。どうやら、映画「オール・ザット・ジャズ」に登場する衣装とそっくりらしい。

タコ足から抜け出したダンサーたちをリフとしてたりしていたと思ったら、今度はバイクに乗って登場。そして、帽子を脱ぐのだが脱いだら、思わず目が点に。ニワトリのトサカのようなモヒカンなのである。そんなお仕置きをさせられているような、妙な格好をさせられているのに、ボッレは優雅で美しいからさすがだ。だだっぴろい会場で、たくさんのダンサーたちを従えて、美しいピルエットをきめている。身長190cmと長身なので、ひときわ目立っている。たしかに「ヒーロー」と呼ぶに相応しい品と雄雄しさがある。これは持って生まれた天性のスター性だろう。カメラのアングル、何とかならなかったのか。いいところになると別の場所を映していたりして、もう。

ラストは、大勢の「近未来的」?な、やはりへんてこなカッコウをした男性ダンサーたちの群れの間を、フェラーリに載って登場。これでこんなへんてこりんなカッコウをさせられていなかったら、どんなに彼は素敵だっただろうと思いながら、でも、このへんちくりんなお姿でも存在感はひときわだったのできっと彼にとってもキャリア上のプラスになっただろうし、私たちも彼の晴れ姿と美しい踊りが堪能できたからまあいいか、と思ったのであった。

デザイナーと演出家、出て来い!あまりにも奇をてらいすぎだよ~。
お口直しに美しいロベルトのお写真でも紹介します。
firebird_bolle_long20bare_pose_700

ツァネラ振り付けの「火の鳥」です。

そして最後のパヴァロッティの歌声はぷちっと途中で切れちゃうし(再放送では一応最後まで写っていたけど)もう少し臨機応変な対応をできないのかしら、NHK。

2006/02/10

オリガ・モリソヴナの反語法 (米原万里)

「これぞ想像を絶する美の極み!」
1960年代にプラハのソビエト学校に通っていた日本人女性志摩が、ソ連崩壊後、当時の親友と、反語法を駆使して奇天烈な個性をもった老ダンス教師オリガ・モリソヴナの足跡をたどるためにモスクワへ。そこで知ったのは、時代に翻弄された伝説の舞姫や周りの人々の数奇な運命と、スターリン時代の粛清やラーゲリ(強制収容所)のこと。オリガの反語法はいかにして生まれたのか…。

オリガの駆使する反語法というか罵詈雑言がとっても可笑しい「メス豚に乗っかってから考える去勢豚」とか、「他人の手の中にあるチンポは大きく見える」とか「七面鳥にも思慮はあったが、結局はスープの出汁にされてしまった」などなど。ド派手なオールド・ファッションと厚化粧の老婆だが、踊りだすとどんな踊りでも素晴らしく、そして自称50歳だが推定年齢70~80歳なのに、筋肉質の脚とほっそりとした体躯を持っている。

モスクワの劇場で一世を風靡した妖艶な舞姫オリガと、中国の青年と大恋愛の末結ばれたパリの大富豪の娘エレオノーラ。このふたりが、あまりにも苛酷な運命に翻弄され、粛清で家族や愛する者を失い、ラーゲリでの地獄のような日々を乗り越えてプラハになぜたどり着いたのか。そして二人をママと呼ぶエキゾチックな美貌のバレリーナ、ジーナの語った話ですべてのパズルのピースが一箇所に収まる。
493ページという大長編だけど、思わず一気に読むきってしまうほどの勢いがある。

フィクションという体裁は取っているものの、膨大な調査に基づいて、実際にあった話をつなぎ合わせた物語といった雰囲気。あまりにも都合よくヒロインが関係者に出会えて話を聞き出せたというところには違和感はあるものの。この骨太の物語の力の前ではそんなことはどうでも良くなる。

「プラハの春」直前のプラハでの生き生きとした子供たちと、個性的な二人の老女教師たちの描写は楽しい。生き地獄のようなラーゲリでの生活を彼女たちが乗り切れたのは、かつてはダンサーや俳優、歌手をしていた収容者たちが、夜な夜な台詞の暗誦や歌、踊りを繰り広げていたから、という感動的なエピソードに、最後に人の魂を救うのは芸術でありということを思い知らされる。悲惨な歴史を経過しながらも、素晴らしい芸術を生み出したロシアという国の底力が感じられる。

ジーナ探しに尽力した劇場のオバちゃんなど、ロシア人の暖かさが滲み出てくるエピソードの数々も素敵。ボリショイ劇場の話などバレエ関係の話がたっぷりと出てくるので、バレエ好きの人ならなおさら楽しめるのでは?「ジゼル」の衣装が気に入らないからってコール・ドの衣装まで全部作って寄付したという某日本人バレリーナ藻刈富代(!)の悪口も書いてあってかなり笑える。

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2006/02/07

ショック!フリオ・ボッカ引退

PonさんのブログApplauseApplause!で知りました。

あのフリオ・ボッカが、今年の6月22日の「マノン」デ・グリュー役(フェリと共演)を最後にABTのプリンシパルとしては引退するそうです。

ボッカ率いるBallet Argentinoでは来年年年末までは活動するとのこと。

悲しい…バレエ好きになるきっかけは彼のロミオだったので。

何が何でも今年は観に行かなくちゃ。

追記:フリオ・ボッカの公式サイトでは、バレエ・アルゼンチーノでの引退までのカウントダウンをしています。あと、フェリとの「マノン」の寝室のPDDのフラッシュ映像も観られるのでぜひ。
http://www.juliobocca.com/2005/home.htm
めくるめくフリオ様の世界全開のサイトです。

2006/02/05

レニングラード国立バレエ「ドン・キホーテ」

去年12月からのマールイことレニングラード国立バレエの冬ツアーも今日が最後の日。本当にお疲れさまです。
ひょっとしたら日本で一番公演回数の多いバレエ団はマールイかもしれない。毎年夏と冬に公演をやっているので、ありがたみは少ないけど毎年の成長振りを見守ることができるので、不思議な愛着が湧く。

得チケが出た公演ではあったけど、当日券は売切れだったし、招待券を持っている人は途中から満席につき断られていた。オークションで招待券が出回っていたので一瞬落札しようかと思ったけどしたらきっと見られなかっただろう。こんなに楽しくて充実していてアニハーノフさんの指揮による素晴らしいオケがついて5500円で観られるなんておいしすぎる!開演の時には、茶色いモコモコ頭のアニハーノフさんに大きな拍手が。

ドン・キホーテとサンチョ・パンサがドゥルシネア姫の幻を見たあと、幕が開くとそこはスペインの街並み。のはずなんだけど見渡すと皆いかにもロシア人(笑)。でもセットはなかなか豪華。バジル登場。サラサラの金髪も麗しいアンドリアン・ファジェーエフだ。どう見てもスペイン人ではない、少女マンガから抜け出たような王子様的美貌の持ち主なのだけど、なかなかどうして、陽気でおっちょこちょいで、ちょっと軽薄だけど魅力的な色男という役作りはできている。床屋というよりは本当は王子様だけど床屋のコスプレしています、って見えちゃうけど。下は黒いハーフスパッツなので、せっかくの美しいおみ脚のラインが寸断されちゃっているのが残念。

キトリはオクサーナ・クチュルク。現在、あのシャルル・ジュドが芸術監督を務めるボルドー・バレエにミハリョフと一緒に期限付き移籍中。別嬪さんなんだけど、気の強いチャキチャキの町娘って感じでキトリが良く似合う。元気一杯で、ときにその元気が良すぎてバランスを崩しちゃうところもあるけど、ご愛嬌ってところで許せる範囲。

エスパーダは、兵庫公演ではバジルを踊っていたシヴァコフ。この日は大変な雨だったので、くるくるとした巻き毛がやや爆発気味。でも彼もとても脚が美しいダンサーだし、少年っぽさを残しながらも凛々しい闘牛士姿がキマっていた。私はドン・キではバジルよりエスパーダのほうが好き。だってかっこいいんだもん。どうやら彼は風邪を引いていたらしく、本調子ではなかったらしいが、それであれだけ踊れているのだから大したもの。マント捌きも鮮やかだし、エスパーダ特有のドゥミ・ポアントで立っている姿勢の素敵なこと。もう惚れ惚れ~。

大道の踊り子のアリョーナ・ヴィジェニナも黒髪に黒い瞳のエキゾチックな美女で、背中が柔らかくてダイナミックな踊り。マールイの皆さんは、特に女性陣は本当に美人さんばかりだ。

でも、個人的には、闘牛士軍団の親玉である黄色い衣装のクリギンに目が釘付け!実はどうやらクリギンの息子(17歳)もマールイに入団したらしく、しかも私は気がつかなかったんだけどこのクリギンJr.も闘牛士軍団の一人として出演していたらしい。とーちゃんの濃ゆい演技を間近で観るのってどういう気持ちなんだろう。クリギンは40過ぎているけど、背が高くて顔が小さく、一応ハンサムの部類には入るし、長めの金髪を後ろで束ねているのだけど、ひとつひとつの小芝居が面白すぎて、一度見始めるとほかが目に入らなくなるから困ったものである。まだまだ若い者には負けないぜ!と張り切っている姿が笑える、じゃなくて微笑ましい。

忘れてならないのは、ドン・キホーテを演じたアレクセイ・マラーホフ。写真を見るととてもハンサムなお方なのだが。ドン・キホーテを踊るには姿勢が美しすぎるかしら。ずいぶんと優雅で上品な老騎士である。

1幕の見せ場といえば、まずはバジルが花売り娘というかキトリの友人二人と速い曲に合わせて踊るパ・ド・トロワ。ここでのファジェーエフの股関節の柔らかさと音の合わせ方のすばらしさにすごく感心してしまった。この人はうまい!そのあとのキトリのソロは、クチュルクのピケターンの速さと正確さがすごかった。


2幕はジプシーの野営地なのだけど、ここの印象はあまり強くない。強いて言えばジプシーのヴィタリー・リャブコフが渋くてなかなかよかったことくらいか。人形劇も可愛くてよかったけどね。

夢の場面はなんといっても森の女王のエフセーエワが素晴らしく優雅で、しかも高度なテクニックを見せていた。ただし、メイクがちょっと怖すぎ。ものすごく色白で可愛いのに、全く笑わないのは…イタリアンフェッテを始め、踊りは非常に安定していて気持ちよいくらいピタリと止まる。ジュッテで横切るところも、ドゥルシネアのクチュルクともども美しい残像を残していった。
キューピッドのヴィクトリア・シシコワも可愛くて抜群にうまい。キューピッド役のダンサーに対して言うのもなんだけど名人芸という感じだ。ここの夢のシーンは、美術も美しいし、コール・ドもみんな揃っているし別嬪さん揃いなので、他のカンパニーで観たら眠くなりそうなシーンなのに目が離せなかった。

居酒屋の狂言自殺シーンは、ファジェーエフ、ややコミカルさが足りないかな。もっと大胆になって欲しいところ。しかし、横たわっていた時にぴんと伸びた足の甲の美しさには釘付けになってしまった。なんという綺麗な脚と足先なんだろう。女の子のようだ。キトリのクチュルクはやたらとバジルとキスばっかり交わしていて、色っぽい。他のカンパニーでドン・キを観たとき、キトリは足をお行儀悪く出して踏ん張ってかみそりを抜くしぐさをするのだけどここではなかったような気がした。

で、いよいよハイライトの3幕。ヴァリエーションのタチアナ・ミリツェワとイリーナ・コシェレワの二人もめちゃめちゃ可愛い上、踊りも元気一杯で祝宴を盛り上げる。コシェレワのちょっとアヒルっぽい口の形が可愛いのよね。残りの友人4人+3人も、とても綺麗な色のクラシックチュチュで、華やかに踊りを繰り広げる。

そして、グラン・パ・ド・ドゥ。

ファジェーエフは、本来サポートが非常にうまい人だと聞いてたのだけど、今回はちょっと危なかった。片手リフトがちょっとぐらついたのと、フィッシュダイブで一瞬ひやりとさせられた。でも、それ以外は本当に良かった。マネージュの時には長く美しい脚が滑らかに開くのを堪能した。(3幕はさすがに白い衣装で、まばゆいことこの上なし)彼はトゥール・ザン・レールやピルエットは得意だけどひょっとしたらジュッテ系が弱いのかもしれない。でも弱いと入ってもかなりレベルは高くて、ピルエットの正確できっちりとしながら何回も回れることに比べれば、普通だってこと。彼のピルエットは、アンヘル・コレーラのように「これから回るぞ~」って力みがなく(アンヘルが気合を入れているところはあれはあれで可愛いのだが)軽々と回っているという印象。全体的に、ファジェーエフはリラックスしてのびのびと踊っていて、11月に兵庫でヴィシニョーワと踊ったのを観た時とは全然印象が違った。あの時はヴィシニョーワさまと踊らせていただきますって感じだったから。

一方クチュルクは、珍しい左回転フェッテ。全部シングルだけどかなりの速さで正確に回る。たまにちょっと軸がぶれているな、と思うところはあるのだけど、元気よく勢いがあるところはいかにもキトリ。コーダのピケターン&シェネもものすごく速い。音楽も超高速になっているのだけど。

旅立っていくドン・キホーテとサンチョ・パンサ。二人ともとても気品があって、ちょっとうるうるしながら見守ってしまった。

カーテンコールでは、クチュルクはフェッテを、そしてファジェーエフはピルエット・アンディオールを披露しつつ幕が下りた。幕が下りてもファジェエーエフは回り続け、18回までは数えられたけど多分もっともっと踊っていたんだろう。すごい体力とサービス精神だわ。

楽しかった~!こんなに楽しいドン・キは久しぶり。ABTのフリオ・ボッカの最後のバジル以来だろうか。
マールイの皆様がすっかり大好きになったよ。

2006/02/04

バレエ・プレルジョカージュ『N』

実のところ、コンテンポラリーダンスって苦手なのである。キリアンなどネオクラシック系の作品は好きだし、コンテンポラリーの中でも好きな作品もあるのだけど、頭を使わないといけないし、退屈なことも多いし。音楽の使い方も。ネオクラシックだとクラシックの曲を使うことが多いからいいんだけど、コーラスではないヴォーカル入りの曲で踊られるのがあまり好きではない。ヴォーカル入りだったらミュージカルかオペラにしちゃえばいいのだと思ってしまう。なので、実のところベジャールも苦手なのだ。もちろん、その中でよい作品も好きな作品もあるんだけど。 あ、このプレルジョカージュの『N』の音楽には、ヴォーカルは入っていません。念のため。

パリ・オペラ座にアンジェラン・プレルジョカージュが振付けた「ル・パルク」が面白かったので、今回の公演を見ることにした。チケットも安いし。しかし、こんな注意書きがあると非常にびびってしまう。

*『N』には、幼い子供、妊婦、癲癇患者、心臓ペースメーカーや補聴器を付けた方々にはお勧めできない、低周波の大音響ならびにストロボ効果が含まれています。

『N』は世界が犯した罪に対するプレルジョカージュ自身の怒りと絶望が投影されている、という解説があったけど、それはなるほどな、と思った。プレルジョカージュは、N=「haine---憎悪・嫌悪」と理解してほしい(フランス語でNとhaineは発音が同じ) と語っている。

幕が開くと、非常に薄暗い中、二つの山ができている。目を凝らしてみると、それは一見全裸(実際には肌色のレオタード着用)に見える人間が折り重なり合っている。投げ出された手足は絡み合っている。死体の山か、と思ってみていると、ひくひくと動いている。二つの山からひとりずつ人間が四つんばいになって這い出し、獣のように取っ組み合いを始める。勝者と敗者。やがて他の人間(といっても非常に動物的)たちも闘争を繰り広げられる。非常に暴力的で、勝者は徹底的に敗者を、死ぬまで打ちのめし、倒れて動かない相手をずっと転がしいたぶり続ける。同性同士で戦っている人もいれば、男と女で戦っている者も。女性に対する陵辱的なヴァイオレンス。根源的な、原罪的な残虐性。
ゴロゴロと転がり地を這う肉体は、人間というよりは、物質化している。剥き出しの暴力。

ずっと低いノイズのような音が流れているが、やがて、この神経を逆撫でるノイズは増幅されていき、座席まで振動するほどだ。スクリーンには、ずらりと整列した、まるでシャア専用ザクって感じのモビルスーツをさらに邪悪にした感じのロボットがずんずん巨大化しながら迫ってくるように行進する映像が流れ、音と動きがシンクロしていて恐怖感を煽る。これは本当にすごく怖い。

ペアになって踊る男女。ゴロゴロと床を転がるダンサー。最初の方から小さいながらもずっと明滅していた光も、重低音とともに増幅していき、ストロボが延々と光り、デヴィッド・パーソンズ振り付けの「コート」の時のように、ダンサーたちのシルエットが浮かび上がり動きがコマ送りのロボットのように見える。しかし、ダンサーの動きは中腰の状態から、崩れ落ちるように倒れていく動作の繰り返し。崩れ落ちる姿は死を象徴しているかと思ったが何回でも立ち上がっては倒れる。ストロボの光は目を開けているのも辛いほどに。

なかなか面白く見ることはできたのだが、メッセージとして、世界には剥き出しの暴力や憎悪が満ち溢れていて、人間をを戦争や犯罪に駆り立てる、それは人間の、獣としての本能に基づくものなのでは、という人類の「罪」に対する怒りと絶望のみでそれ以上のところが伝わりにくいという気が少しした。希望というものもほとんど見えてこない。ノイズやストロボの使い方も、特に斬新というわけではない。2004年の作品という割には、もはやすっかり手垢のついてしまった表現にすら思えてしまう。ただし、"暴力性”の表現としては理屈を超えて伝わってくる激しくも力強いものがあると思った。

前半は照明が非常に暗くて、ダンサーの姿を確認するのも難しく、また単調なノイズ音楽が低い音量で流れているというのが催眠効果となり、たまに集中力が途切れる瞬間があった。1時間15分、休憩なしである。しかし後半のテンションはすごいものがあり、その結果、すっかりぐったりと疲労困憊してしまった。できれば体調の良いときにもう一度見てみたいと思った。

詳しい解説やインタビューはここで。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000019.html

unoさんの感想はこちら

2006/02/03

情報いろいろ

1/31にバレエ・プレルジョカージュの「N」、2/1にレニングラード国立バレエの「ドン・キホーテ」を観たんだけど、報告は落ち着いてから書きます。

ちょっとショックだった出来事。「マラーホフの贈り物」への出演を怪我でキャンセルしたマルセロ・ゴメスが2月1日のABTのワシントンDC公演に出演していたこと。_| ̄|○
NBSがうそつきなのかマルセロが…。

モイラ・シアラーが亡くなったそうですね。80歳だったそうです。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-2020985,00.html モニカ・メイスンやアントワネット・シブレーから追悼のコメントが出ています。バレリーナとしての活動時期は短かったけど、ロイヤル・バレエ(当時はサドラーズ・ウェルズ・バレエ)の草創期を語る上では欠かせない存在だったとして。 何しろ、アシュトン版の「シンデレラ」の初演キャストですから。その後は女優、作家として活躍したとこの記事に書いてあります。

もちろん、モイラ・シアラーといえば映画「赤い靴」ですが、アシュトンやニネット・ド・ヴァロワがマーゴ・フォンテーンを重用したことに対しての葛藤など色々あったようです。しかし、死ぬまで踊りつづけなければならなかったヒロインと違って、モイラ・シアラーは一度はバレエをやめて女優として活躍するも、晩年に再び復帰したり、本を書くなど多方面で活躍し、幸せな家庭も築いたようです。「赤い靴」は、今すぐ言葉にはできないほどの本当に衝撃的な作品でした。この映画を見てバレエに目覚めた方も多いと思います。モイラの真っ赤な髪が印象的でした。DVD買って見直したいです。

ご冥福をお祈りします。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/2280620.stm

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2006/02/02

レニングラード国立バレエのパンフレット(涙)

友達が得チケを取ってくれたのでレニングラード国立バレエ(マールイ)の「ドン・キホーテ」を観に行ってきた。ドン・キはやっぱり楽しい演目だったし、クチュルクやエフセーシワをはじめロシア人の踊り子はみんなお人形さんのように美しいし、金髪も麗しいファジェーエフの脚のラインと甲の美しさ、アンディオールには惚れ惚れ、髪の毛がプチ爆発気味のシヴァコフのカッコよさにもうっとりで至福の時。クリギンの闘牛士も相変わらず濃くて観ていて楽しい。得チケのB席の割にはよい席を割り当てられてすごくよかったんだけど…
(というわけで、ちゃんとした感想は後日書きます)

マールイは年明けに「白鳥の湖」を見に行った時にパンフレットを購入した。ソリストの皆様の子供時代の写真とか載っていてすごく可愛くて、とってもよくできたパンフレットだった。今日のドン・キのために予習しようと思ってパンフレットを取り出そうとしたら、ない…大体そもそもどこにしまったのかも全然覚えていない。週末に(だ)が帰ってきて、(だ)に部屋が散らかっている、モノが多いと言われて片付けをしたりしているんだけど、その片付けのついでに紛失したのだろうか。でもどうしても見たい。寝る時間になってから探し始めるが、見つからない。文字通り家の中を全部ひっくり返しても見つからない。最後に観たのはいつだったのかもよく覚えていない。10日くらい前に友達が何人か家に来たときに見せた記憶はあるんだけど…
とうとう探していたら朝になってしまった。

そして今日も「ドン・キ」を観に行った帰りにまた家の中をひっくり返して捜しているんだけど見つからないよ(涙)
こんなだったら今日改めて買いなおせばよかった…。

その上「バレエの美神」のイレール様降板というのはダブルパンチ。OTL

2006/02/01

アカデミー賞ノミネート速報

たまには映画ネタでも

Best Picture(作品賞)
Brokeback Mountain
Capote
Crash
Good Night, And Good Luck
Munich

Best Director(監督賞)
Ang Lee - Brokeback Mountain
Bennett Miller - Capote
Paul Haggis - Crash
George Clooney - Good Night, And Good Night
Steven Spielberg - Munich

Best Actor(主演男優賞)
Philip Seymour Hoffman - Capote
Terrence Howard - Hustle & Flow
Heath Ledger - Brokeback Mountain
Joaquin Phoenix - Walk The Line
David Strathairn - Good Night, And Good Luck

Best Actress(主演女優賞)
Judi Dench - Mrs Henderson Presents
Felicity Huffman - Transamerica
Keira Knightley - Pride & Prejudice
Charlize Theron - North Country
Reese Witherspoon - Walk The Line

Best Supporting Actor(助演男優賞)
George Clooney - Syriana
Matt Dillon - Crash
Paul Giamatti - Cinderella Man
Jake Gyllenhaal - Brokeback Mountain
William Hurt - A History Of Violence

Best Supporting Actress(助演女優賞)
Amy Adams - Junebug
Catherine Keener - Capote
Frances McDormand - North Country
Rachel Weisz - The Constant Gardener
Michelle Williams - Brokeback Mountain

Best Original Screenplay(オリジナル脚本賞)
Crash
Good Night, And Good Luck
Match Point
The Squid And The Whale
Syriana

Best Adapted Screenplay(脚色賞)
Brokeback Mountain
Capote
The Constant Gardener
A History Of Violence
Munich

Best Animated Film(アニメーション映画賞)
Howl’s Moving Castle
Tim Burton’s Corpse Bride
Wallace & Gromit: The Curse Of The Were-Rabbit

Best Foreign Film(外国語映画賞)
Don’t Tell (Italy)
Merry Christmas (France)
Paradise Now (Palestinian Authority)
Sophie Scholl (Germany)
Tsotsi (South Africa)

主要6部門に「ブロークバック・マウンテン」が入っていますね。私が今一番観たい映画です。
ジェイク・ギレンホールの成長振りはすごいですね。
フィリップ・シーモア・ホフマンがトルーマン・カポーティを演じた「カポーティ」も楽しみです。
助演男優賞ウィリアム・ハートの「ヒストリー・オブ・バイオレンス」はクローネンバーグではないか!
作品賞にノミネートされた5作品とも面白そうなのが嬉しいですね。公開は皆これからだし。
たまには映画も観なくちゃ。

http://www.oscar.com/

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