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2006/01/29

ロード・オブ・ウォー 世界最強の武器商人と呼ばれた男

「ガタカ」のアンドリュー・ニコル監督、ニコラス・ケイジ主演作品。
何を隠そう(?)実は私ニコラス・ケイジが好きなのだ。しかも見た人の評判がとても良い。今年初めて観る映画だ。
http://www.lord-of-war.jp/index2.html

有楽町の、旧ニュー東宝シネマが有楽座と名前を変えてから、初めて行ってみた。以前はなんだか古ぼけていて一等地にあるのにうらぶれた感じだったけど、さすがにきれいになっているし、椅子と椅子の間が広いので足を伸ばせて快適に観られる。問題があるとしたら、前方の扉のすぐ外に照明があるので、途中入場したり退場する人がいるたびに照明が入り込んできて非常に気が散ること。これは明らかに設計ミス。

弾丸の一生-工場で製造されてから輸出され、最後はアフリカで少年の頭に撃ち込まれるまで-をたどったオープニングはなかなかスタイリッシュ。
そして、薬莢の山の上にたたずむ主人公である武器商人ユーリの独白で映画が始まる。
ニューヨークのリトル・オデッサと呼ばれるウクライナ人街に住むユーリ。家族でウクライナ料理レストランを営むが未来のない貧しい生活で、毎日のように周囲で犯罪が起きる。ある日入った店で強盗に遭遇したユーリは、強盗を撃退したマフィアの持っていた武器に魅せられ、弟を誘って武器商人の道に入る。フリーランスの武器商人として世界のあらゆる紛争地域を歩き回り、あらゆる陣営に武器を売りまくった彼は、商才を発揮してめきめき頭角をあらわし、 富を得て憧れの美しい女性も妻にして贅沢な暮らしをする。インターポールの捜査官に追われるものの、うまく追及をかわし、リベリアの大統領とも渡り合うほどの存在となるが…

なんでもこの映画は実在の武器商人をモデルにしているらしいのだけど、すごい世界だ。このユーリという男は資本金もほとんどなし、素人同然で弟を連れて兵器トレードショーに乗り込んでいく。こんな展示会をやっているということ自体驚きなのだけど、ミリタリーコスプレのお姉ちゃんがコンパニオンで、戦車とかいろいろな兵器が並んでいるところで商談しているっていうこともすごい。そこにいる名うての武器商人はビルボ・バギンス(ロード・オブ・ザ・リング)だし。ソビエトが崩壊して、混乱に乗じてユーリはウクライナの軍人をやっている伯父に、勝手に武器を売らせて大もうけをしてしまう。実際、この時代に勝手に売られて行方不明になった武器はとてつもない量らしい。
そもそも、この映画の邦題、最初は「アメリカン・ビジネス」だったらしい。なかなか皮肉が利いている。

このユーリという男は危機から脱出する名人で、何回も彼を追っているインターポールの捜査官につかまりそうになるが、言い逃れと嘘の天才なのだ。イーサン・ホーク演じるこの捜査官は大変正義感が強いのだけど、徹底的にコンプライアンス(法律遵守)を貫き通しているため、なかなかユーリを捕まえることができない。反対にユーリは倫理観の欠如した男で、妻に武器商人をやっていることがバレた時でも、「自分はこれが得意だからやっている」って悪びれずに言っているくらいで、金のためというよりは仕事を楽しんでいるし罪悪感のかけらももちあわせていない。そういうわけでとんでもない人なんだけっど、観ている側は、この人間くさい男についつい感情移入して、どうか捕まらないで、と思ってしまうから困ったものだ。ニコラス・ケイジは時にはエキセントリックに、時には魅力的に演じていて、とてもはまり役。実は彼はこの映画のプロデューサーも務めている。内容が内容なだけに、アメリカの映画会社は皆二の足を踏んだらしい。

ユーリはリベリアの大統領親子と懇意になる。この大統領がもうめちゃめちゃな暴君。息子の方は「ランボーのマシンガンが欲しい」って言うもんだから「1に出てきたのか、それとも2?」なんて機転を効かすユーリ。ユーリが武器のセールスに行ったときにも、いきなりためし撃ちとばかりに部下を射殺しちゃうのだが、目の前でそんなことが起きているのに「一度つかったらその銃は中古品だから買ってもらわないと困る」なんて度胸の据わったところを見せて、すっかり気に入られてしまうのだ。

ユーリはついに尻尾をつかまれて、刑務所に入れられ、妻子も去ってしまった。弟が殺され粗末な棺に遺体を入れられ偽の診断書を書いてもらったのに銃弾が摘出されなかったことでお縄となってしまうユーリ。そんな彼だが、それでも彼は武器商人であることをやめない。戦争というのは人間の本能なのかと暗澹たる気持ちになってしまう。そのダークな部分までも、娯楽映画的に仕上げているところが、アンドリュー・ニコル監督のうまいところだし、ニコラス・ケイジ、イーサン・ホークというとても芸達者な俳優を使うことで、人間ドラマになっている。

アフリカの某国にユーリの飛行機が不時着したときには、恐ろしいほどのスピードでその飛行機に積み込んだ兵器が人々に持ち去られた。インターポールに拘束され、飛行機の前の椅子に縛られたユーリの前でどんどん兵器や飛行機の部品が持ち去られ、飛行機がスクラップ化する光景はとてもシュールである。武器を売るために先進国が兵器を貧しい国に売って、殺し合いをさせているというのが今の世界なのだ。子供たちですら武器を手にしている。

この間ヤマハ発動機が、軍事転用可能なヘリコプターを中国に売ってしまったということで大問題になっているけど、結局日本だって実質的に武器輸出はしているのよね。そういうわけでこのビジネスはなくならないだろうし、ユーリも逮捕されたところですぐに出てこられちゃうってわけだ。自分が武器を売らなくなっても、結局別の商人が売るわけだし、国家だって取り締まると言いつつも結局は武器を売って貿易黒字を稼いでいる。国連常任理事国の全部が、武器を輸出している国なのだ。「自分がいなくなっても誰かがやるわけだから」と武器商人は自己を正当化して、この商売にまい進する。紛争はなくならないわけだ。

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コメント

おはようございます。TBありがとうございます。それじゃ私も・・・。
(うちは内容100%省いてますが・・・^^;)

naomiさんはこれが初映画でしたか!
私もこれ見たかったのに田舎で公開当初上映してなくってイジイジしてたんですけど(笑)、意外と早く公開されたのでいそいそ出かけてきましたよ(^_^)v

ガタカの監督さんだったんですね、これ。
ニコラス、かっこよかったです。
息子が好きなSMAPのトライアングルを車の中で聞きながら(息子と同乗すると必ずこの曲を聴かされる)この映画を思い出す私でした。

 私もこれ、好きな作品であります。
 ラストの字幕の一言で、どーんと来ました。この作品で描かれている事柄と、「ホテル・ルワンダ」の世界は、明らかに「一つもの」なのですね。
 ところで、ヤマハの件ですが、あの無人ヘリは一世代古いタイプで、軍用に転用できなくもないのですが、あまり脅威にはならないシロモノなのだそうです。
 ちなみに、最新鋭タイプはアメリカに輸出され、NASAが使っているとか。
 中国が相手だとダメで、アメリカはOK・・・、何かヘンですね。

うるるさん、こんにちは。
あんまりヒットしなかったみたいで、割とあっという間に終わっちゃったんですよね、東京では。まだ上映している劇場もあるにはあるけど。
ニコラス・ケイジはなんだかんだいってやっぱりうまい俳優だと思います。彼にはやっぱり華がありますしね。
息子さん可愛い♪

丸山さん、
そういうわけで私もホテルルワンダを観て、同じことを別の側面から描いた映画だと思いました。
ヤマハのヘリコプターの件はそんなモンだろうと思いました。日本からの武器の輸出なんてもっともっと大っぴらにやっているはずだと思っていたし。平和への道は遠いですね。

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