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« ロード・オブ・ウォー 世界最強の武器商人と呼ばれた男 | トップページ | パリオペラ座チケットとかローザンヌコンクールとか »

2006/01/30

「ホテル・ルワンダ」

1994年に起きたルワンダ虐殺事件と、難民たちを自分が支配人を務めるホテルにかくまって1200人の命を救った男性ポールの実話を映画化。フツ族とツチ族の対立が激化し、暴徒化したフツ族の民兵はツチ族を女子供まで次々に殺戮し、100万人以上が虐殺された。ポールはフツ族だが、妻はツチ族だ。ポールのホテルに宿泊している国連軍も、西側諸国も彼らに助けを差し伸べることもできない…。ポールの命がけの戦いが始まった。
http://www.hotelrwanda.jp/index.html

歴史上の事実である事件を扱った話ということで、政治的な内容と思われるかもしれないけど、誤解を恐れずに言えば娯楽作品としてとてもよくできている。そのときに一体何が起きたのか、ということよりも、ポールという一人の男性の視点を通して描いているので、わかりやすく感情移入もしやすい。その上、この作品の演技でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたドン・チードルの静かなる熱演も、この作品のクオリティを高めることに成功している。

ポールは、ベルギー資本の高級ホテルの支配人で、ホテルの宿泊客は欧米の観光客、および国連軍や政府高官、ジャーナリストなどだ。ルワンダ人で支配人に上り詰めた例はとても稀だということで、ホテルマンとしてのプライドが人一倍強い人であり、また沈着冷静な人物だ。自分の家族や近隣の人たちがホテルに逃げ込んだ時も、ホテルのクオリティを下げてしまうからと最初は追い出そうとする。宿泊客の食糧や飲み物を調達するために、過激なフツ族の民兵の親玉に対し、うまく賄賂を使ったり口八丁で取引をする。ホテルマンの仕事を通じて培った国連軍や政府高官、軍、ベルギーのホテルグループのオーナーらと交渉して、ホテルの生命線を保つ。妻がツチ族であることから、妻を殺すように脅かされたり何回もピンチを迎えるが、そのたびに頭を使って危機を逃れる。しかし時としてその冷静ぶりによって、妻の兄弟が行方不明になってしまったりと裏目に出ることもあるのだが。

最初は人々を救おうと思ったわけではなく、ただ家族を守りたいだけだった彼が、あまりにも悲惨な虐殺の数々を目にし、無力感や絶望感に襲われながらも、人々を助けようとする姿は、単純に感動的だ。

一方では、どうしてこんな悲惨なことが起きてしまったかということもきっちり描いている。ジャーナリストが虐殺の様子を撮影してテレビで流したにもかかわらず、欧米諸国はアフリカの小国のことは知るかと引き揚げ、国連軍も縮小されルワンダの人々は見捨てられてしまったという事実も描いている。そもそも、ツチ族とかフツ族という分け方も、実際には民族の違いというのは一切なく、単に外見的な違いを宗主国であったベルギーが勝手に決めただけのことだったのだ。要するに、「ロード・オブ・ウォー」で描かれていたのと同様、この紛争のそもそもの原因は欧米にあるってわけだ。そして一つの紛争が終わっても歴史は繰り返されている。
ニック・ノルティ演じる国連軍の将校とポールのやり取りで、「あなた方はニガーですらない」、つまり欧米人にとってルワンダなんてどうでもいい、アフリカの野蛮人が何百万人殺しあっても知るか、という風に考えられていたことを描いているくだりには鳥肌が立った。

さらに、虐殺を煽り立てるためにラジオでのアジテーションが盛んに使われているというのが非常に恐怖感を伝えていた。人間はメディアを通じての煽動に弱いし、自分たちも本当に気をつけなければならないなと切実に思った。

ドン・チードルだけでなく、ルワンダのために必死にがんばろうとしてもなかなか彼らを助けることのできない矛盾を抱えた国連軍の将校を演じたニック・ノルティ、小さな役ながら正義感に燃えるジャーナリストのホアキン・フェニックス、そしてノークレジットながらホテルチェーンのオーナーを演じたジャン・レノなど俳優陣は本当に素晴らしい。孤児たちを助けようとする赤十字の女性等脇役にいたるまで丁寧に描いていて、よくできた、面白い映画だと思う。これを日本で公開しないのは確かにとてももったいないし、公開できて本当によかったと思った。

ルワンダで起きたことは、決して他人事ではないのだ。いつか日本でおきたっておかしくない。

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コメント

シマリスさん、どうも。
トラバしてくれた上に、わざわざリンクまでしていただいて、ありがとうございます。
もっとヒットして欲しい映画ですよね。
まさしく「観るべし!」な映画です。

KIYOさん、こんばんは。
いえいえ、とても面白く読みました。お客さんの入りもとても良いようですが、拡大公開してもいいほどのクオリティだと思うし、この映画を観てもっと世界のことを皆考えて欲しいですよね。自分たちの国さえよければいい、ってことにならないで。

こんにちは!
私もやっと観てきました。
遠い国のことだから――と無関心でいることが、何よりも罪なことなんだと痛感しました。
でも、観て良かったです!!
そして出来れば、たくさんの人達にも観て、何かを感じてもらいたいです。

honuさん、ようこそいらっしゃいました。
ホント、おっしゃる通り、どこかよく知らない国だから関係ないやということが罪と言うのが一番大きな教訓ですね。
とてもいい映画だから、ホントどんどんたくさんの人に見てもらいたいです。
これからもいらしてくださいね

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