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2006年1月

2006/01/30

パリオペラ座チケットとかローザンヌコンクールとか

土曜日はパリ・オペラ座のチケット取り。「S席2万5千円」「パキータというつまらない演目を持ってくる」「誰とは言わないけど大枚を払おうとは思わない不人気キャストの日がある」「ベラルビが出演するかどうかわからない」と散々あちこちで文句を言われていた公演なのだけど、蓋を開けてみれば売れ行きは大変良いようである。

私はといえば、やはりこの値段の高さにびびってしまい(だって、バスティーユで白鳥を観ようと思ったら一番高い席でも1万円しないのだよ)、一番観たいと思っていたジョゼ・マルティネス/マリ=アニエス・ジロ/カデル・ベラルビの日でもB席で祭典会員の追加購入で取ってもらったって感じ。3階2列目でも1万9千円。そんなに気合が入っていなかったので、そもそも参戦したのは10時を回ってから。でもやっぱりルグリさんは観たいし、とおもって安い席狙いで行ったけど、ぴあで日曜の公演の残っていた席は、4階サイド一番ステージ寄りでおそらく半分以上見えないんじゃないかという最悪の席だったので、週末に観ることをあきらめて平日でD席を取った。残っていたC席も日曜のD席と同様の最悪の席だったし。NBSにかけてみたら10時40分くらいにつながったので、一応初日のニコラ/アニエスの日もC席を一枚取ってみたけど、4階正面が取れているかどうかは後日にならないとわからない。

まとめると、B席、C席、D席一枚ずつ、3階正面、4階正面(希望的観測)、4階サイドと、よい席とは言いがたいのに、合計すると4万5千円とかだから恐ろしい。そしてそんな高額チケットがこんなに売れているってこともすごい。
得チケねらいにしようかな~と思っていたけど、パキータの不人気キャストの日くらいしか出なさそうだわ。

実のところ今のパリ・オペラ座にはさほど惹かれないので(ベラルビには萌えだしルグリは絶対観たいけど)、安めのチケットにしたつもりがこんなに散財となるとは。

チケット取りで疲れてこの日は残りは廃人状態。HDDの整理に励む。そして翌日も廃人。

ところで、ローザンヌコンクールの結果が出たね。
http://www.prixdelausanne.org/en/prixDeLausanne/B36Results.asp

(1) Mr Sergiy Polunin, UkraineRoyal Ballet School, Londres
(2) Mr Chengwu Guo, ChineBeijing Dance Academy, The Secondary Dance School
(3) Ms Hyang Gee Hong, CoréeThe Korean National University of Arts, Pre-school, Seoul
(4) M. Vadim Muntagirov, RussieEcole Nationale de Perm
(5) Ms Shino Mori, JaponReiko Yamamoto Ballet School, Ota
(6) Ms Yijing Zhang, ChineBeijing Dance Academy, The Secondary Dance School

観客賞 Mr Sergiy Polunin, Ukraine
コンテンポラリー賞 Mr Chengwu Guo, Chine

観ていないのでなんともいえませんが。一応日本人の方(森志乃さん)も入賞したということで。
今年は予選がビデオ審査だったり、コンテンポラリーが課題作品(キリアン)があったりとだいぶ様変わりしたよう。
テレビ放映が楽しみです。

「ホテル・ルワンダ」

1994年に起きたルワンダ虐殺事件と、難民たちを自分が支配人を務めるホテルにかくまって1200人の命を救った男性ポールの実話を映画化。フツ族とツチ族の対立が激化し、暴徒化したフツ族の民兵はツチ族を女子供まで次々に殺戮し、100万人以上が虐殺された。ポールはフツ族だが、妻はツチ族だ。ポールのホテルに宿泊している国連軍も、西側諸国も彼らに助けを差し伸べることもできない…。ポールの命がけの戦いが始まった。
http://www.hotelrwanda.jp/index.html

歴史上の事実である事件を扱った話ということで、政治的な内容と思われるかもしれないけど、誤解を恐れずに言えば娯楽作品としてとてもよくできている。そのときに一体何が起きたのか、ということよりも、ポールという一人の男性の視点を通して描いているので、わかりやすく感情移入もしやすい。その上、この作品の演技でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたドン・チードルの静かなる熱演も、この作品のクオリティを高めることに成功している。

ポールは、ベルギー資本の高級ホテルの支配人で、ホテルの宿泊客は欧米の観光客、および国連軍や政府高官、ジャーナリストなどだ。ルワンダ人で支配人に上り詰めた例はとても稀だということで、ホテルマンとしてのプライドが人一倍強い人であり、また沈着冷静な人物だ。自分の家族や近隣の人たちがホテルに逃げ込んだ時も、ホテルのクオリティを下げてしまうからと最初は追い出そうとする。宿泊客の食糧や飲み物を調達するために、過激なフツ族の民兵の親玉に対し、うまく賄賂を使ったり口八丁で取引をする。ホテルマンの仕事を通じて培った国連軍や政府高官、軍、ベルギーのホテルグループのオーナーらと交渉して、ホテルの生命線を保つ。妻がツチ族であることから、妻を殺すように脅かされたり何回もピンチを迎えるが、そのたびに頭を使って危機を逃れる。しかし時としてその冷静ぶりによって、妻の兄弟が行方不明になってしまったりと裏目に出ることもあるのだが。

最初は人々を救おうと思ったわけではなく、ただ家族を守りたいだけだった彼が、あまりにも悲惨な虐殺の数々を目にし、無力感や絶望感に襲われながらも、人々を助けようとする姿は、単純に感動的だ。

一方では、どうしてこんな悲惨なことが起きてしまったかということもきっちり描いている。ジャーナリストが虐殺の様子を撮影してテレビで流したにもかかわらず、欧米諸国はアフリカの小国のことは知るかと引き揚げ、国連軍も縮小されルワンダの人々は見捨てられてしまったという事実も描いている。そもそも、ツチ族とかフツ族という分け方も、実際には民族の違いというのは一切なく、単に外見的な違いを宗主国であったベルギーが勝手に決めただけのことだったのだ。要するに、「ロード・オブ・ウォー」で描かれていたのと同様、この紛争のそもそもの原因は欧米にあるってわけだ。そして一つの紛争が終わっても歴史は繰り返されている。
ニック・ノルティ演じる国連軍の将校とポールのやり取りで、「あなた方はニガーですらない」、つまり欧米人にとってルワンダなんてどうでもいい、アフリカの野蛮人が何百万人殺しあっても知るか、という風に考えられていたことを描いているくだりには鳥肌が立った。

さらに、虐殺を煽り立てるためにラジオでのアジテーションが盛んに使われているというのが非常に恐怖感を伝えていた。人間はメディアを通じての煽動に弱いし、自分たちも本当に気をつけなければならないなと切実に思った。

ドン・チードルだけでなく、ルワンダのために必死にがんばろうとしてもなかなか彼らを助けることのできない矛盾を抱えた国連軍の将校を演じたニック・ノルティ、小さな役ながら正義感に燃えるジャーナリストのホアキン・フェニックス、そしてノークレジットながらホテルチェーンのオーナーを演じたジャン・レノなど俳優陣は本当に素晴らしい。孤児たちを助けようとする赤十字の女性等脇役にいたるまで丁寧に描いていて、よくできた、面白い映画だと思う。これを日本で公開しないのは確かにとてももったいないし、公開できて本当によかったと思った。

ルワンダで起きたことは、決して他人事ではないのだ。いつか日本でおきたっておかしくない。

KIYOさんの感想はこちら

2006/01/29

ロード・オブ・ウォー 世界最強の武器商人と呼ばれた男

「ガタカ」のアンドリュー・ニコル監督、ニコラス・ケイジ主演作品。
何を隠そう(?)実は私ニコラス・ケイジが好きなのだ。しかも見た人の評判がとても良い。今年初めて観る映画だ。
http://www.lord-of-war.jp/index2.html

有楽町の、旧ニュー東宝シネマが有楽座と名前を変えてから、初めて行ってみた。以前はなんだか古ぼけていて一等地にあるのにうらぶれた感じだったけど、さすがにきれいになっているし、椅子と椅子の間が広いので足を伸ばせて快適に観られる。問題があるとしたら、前方の扉のすぐ外に照明があるので、途中入場したり退場する人がいるたびに照明が入り込んできて非常に気が散ること。これは明らかに設計ミス。

弾丸の一生-工場で製造されてから輸出され、最後はアフリカで少年の頭に撃ち込まれるまで-をたどったオープニングはなかなかスタイリッシュ。
そして、薬莢の山の上にたたずむ主人公である武器商人ユーリの独白で映画が始まる。
ニューヨークのリトル・オデッサと呼ばれるウクライナ人街に住むユーリ。家族でウクライナ料理レストランを営むが未来のない貧しい生活で、毎日のように周囲で犯罪が起きる。ある日入った店で強盗に遭遇したユーリは、強盗を撃退したマフィアの持っていた武器に魅せられ、弟を誘って武器商人の道に入る。フリーランスの武器商人として世界のあらゆる紛争地域を歩き回り、あらゆる陣営に武器を売りまくった彼は、商才を発揮してめきめき頭角をあらわし、 富を得て憧れの美しい女性も妻にして贅沢な暮らしをする。インターポールの捜査官に追われるものの、うまく追及をかわし、リベリアの大統領とも渡り合うほどの存在となるが…

なんでもこの映画は実在の武器商人をモデルにしているらしいのだけど、すごい世界だ。このユーリという男は資本金もほとんどなし、素人同然で弟を連れて兵器トレードショーに乗り込んでいく。こんな展示会をやっているということ自体驚きなのだけど、ミリタリーコスプレのお姉ちゃんがコンパニオンで、戦車とかいろいろな兵器が並んでいるところで商談しているっていうこともすごい。そこにいる名うての武器商人はビルボ・バギンス(ロード・オブ・ザ・リング)だし。ソビエトが崩壊して、混乱に乗じてユーリはウクライナの軍人をやっている伯父に、勝手に武器を売らせて大もうけをしてしまう。実際、この時代に勝手に売られて行方不明になった武器はとてつもない量らしい。
そもそも、この映画の邦題、最初は「アメリカン・ビジネス」だったらしい。なかなか皮肉が利いている。

このユーリという男は危機から脱出する名人で、何回も彼を追っているインターポールの捜査官につかまりそうになるが、言い逃れと嘘の天才なのだ。イーサン・ホーク演じるこの捜査官は大変正義感が強いのだけど、徹底的にコンプライアンス(法律遵守)を貫き通しているため、なかなかユーリを捕まえることができない。反対にユーリは倫理観の欠如した男で、妻に武器商人をやっていることがバレた時でも、「自分はこれが得意だからやっている」って悪びれずに言っているくらいで、金のためというよりは仕事を楽しんでいるし罪悪感のかけらももちあわせていない。そういうわけでとんでもない人なんだけっど、観ている側は、この人間くさい男についつい感情移入して、どうか捕まらないで、と思ってしまうから困ったものだ。ニコラス・ケイジは時にはエキセントリックに、時には魅力的に演じていて、とてもはまり役。実は彼はこの映画のプロデューサーも務めている。内容が内容なだけに、アメリカの映画会社は皆二の足を踏んだらしい。

ユーリはリベリアの大統領親子と懇意になる。この大統領がもうめちゃめちゃな暴君。息子の方は「ランボーのマシンガンが欲しい」って言うもんだから「1に出てきたのか、それとも2?」なんて機転を効かすユーリ。ユーリが武器のセールスに行ったときにも、いきなりためし撃ちとばかりに部下を射殺しちゃうのだが、目の前でそんなことが起きているのに「一度つかったらその銃は中古品だから買ってもらわないと困る」なんて度胸の据わったところを見せて、すっかり気に入られてしまうのだ。

ユーリはついに尻尾をつかまれて、刑務所に入れられ、妻子も去ってしまった。弟が殺され粗末な棺に遺体を入れられ偽の診断書を書いてもらったのに銃弾が摘出されなかったことでお縄となってしまうユーリ。そんな彼だが、それでも彼は武器商人であることをやめない。戦争というのは人間の本能なのかと暗澹たる気持ちになってしまう。そのダークな部分までも、娯楽映画的に仕上げているところが、アンドリュー・ニコル監督のうまいところだし、ニコラス・ケイジ、イーサン・ホークというとても芸達者な俳優を使うことで、人間ドラマになっている。

アフリカの某国にユーリの飛行機が不時着したときには、恐ろしいほどのスピードでその飛行機に積み込んだ兵器が人々に持ち去られた。インターポールに拘束され、飛行機の前の椅子に縛られたユーリの前でどんどん兵器や飛行機の部品が持ち去られ、飛行機がスクラップ化する光景はとてもシュールである。武器を売るために先進国が兵器を貧しい国に売って、殺し合いをさせているというのが今の世界なのだ。子供たちですら武器を手にしている。

この間ヤマハ発動機が、軍事転用可能なヘリコプターを中国に売ってしまったということで大問題になっているけど、結局日本だって実質的に武器輸出はしているのよね。そういうわけでこのビジネスはなくならないだろうし、ユーリも逮捕されたところですぐに出てこられちゃうってわけだ。自分が武器を売らなくなっても、結局別の商人が売るわけだし、国家だって取り締まると言いつつも結局は武器を売って貿易黒字を稼いでいる。国連常任理事国の全部が、武器を輸出している国なのだ。「自分がいなくなっても誰かがやるわけだから」と武器商人は自己を正当化して、この商売にまい進する。紛争はなくならないわけだ。

2006/01/28

Kings of Danceプログラム変更

アンヘル・コレーラ、イーサン・スティーフェル(ABT)、ヨハン・コボー(ロイヤルバレエ)、ニコライ・ツィスカリーゼ(ボリショイ・バレエ)というトップスター4人の豪華共演で、去年の秋から注目していた公演が、このKings of Dance。
ニューヨーク(シティセンター、2/23~26)とオレンジカウンティ(OPAC's Segerstrom Hall 2/16-19) で開催。
KingsOfDance

ところがローラン・プティの「若者と死」で日替わりで4人のキャスト相手に出演する予定だったディアナ・ヴィシニョーワがマイリンスキーフェスティバルの「オンディーヌ」のリハーサルが入ってしまい、降板。ローラン・プティは代役になんと草刈民代を指名したのだった。一番最初は、「若者と死」の「死」役はルシア・ラカッラだったはずなのに。

が、今日になってPlaybillに、演目変更のニュースが
「若者と死」に代わって、イヨネスコが原案、デンマーク人振付家・ダンサーのフレミング・フリントの振り付けによる「The Lesson」(64年舞台初演)が上演されることになり、コボーのパートナー、アリーナ・コジョカルが出演することに。
この作品は去年のロイヤル・バレエのシーズンのオープニングに上演されたわけなのだけど、「ラ・シルフィード」との同時上演で、殺人を扱っていて内容的に物議をかもしたため、子供の多い土曜日のマチネの上演は別の作品に差し替えられた。

この作品についてヨハン・コボーが語ったインタビューをたくさん目にして、とても注目していたのであった。
どういう内容かというと、バレエ教師が教え子の少女の脚に病的な執着を見せ、その少女に熱心に指導をした挙句の果てに絞め殺してしまうというもの。ヨハン・コボーが白塗りメイクで変態的な教師を熱演して大きな話題を呼んだのだった。実際に観に行った人の話だと、このコボーが表を歩いていたら絶対に避けて通ってしまう、そんな感じのやばい演技だったそうで。
詳しい内容は、チャコットのダンスキューブで
病的でサディスティックなバレエ教師を、アンヘル・コレーラ、イーサン・スティーフェルというどちらかといえば明るいイメージのダンサーがどう演じるのが、とっても気になる。こういう変わった演目は滅多に日本で観られる機会がないわけだし。その他、NYCBに振付けた新作「Klavier」も大好評のクリストファー・ウィールダンが、4人のダンサーそれぞれに新作を振付けるということで、超贅沢な公演となった。ニューヨークに行きたい!

※それにしても、この写真ではニコライ・ツィスカリーゼがひときわ濃くて異彩を放っています。5月には彼のソロルとタオール卿を見ることができるので楽しみ!コボーもアリーナと一緒にバレエフェスに出演するようですし。

2006/01/27

「白鳥の湖」についてのコメント集

今年は年明けにマールイ(レニングラード国立バレエ)と新国立劇場で「白鳥の湖」を観ました。4月には、パリオペラ座のヌレエフ版「白鳥の湖」も見る予定。11月にはキーロフの来日公演で「白鳥」が予定されていてロパートキナが踊るはずなので必見でしょう。発表会でも白鳥の3幕をやるし、けっこう白鳥づいています。

ponさんのブログApplause Applause!で、アメリカのバレエ雑誌Dance Magazine 2月号の記事が紹介されています。白鳥(オデット/オディール)の演技に定評のあるバレリーナ達がこれから白鳥を踊りたい若者達に送る、自らの経験をふまえたメッセージとアドヴァイスについてなのですが、ponさんによる、とても素晴らしい訳と要約が載っています。ぜひ雑誌を入手して本文を読んでみたいと思いました。
ヤンヤン・タン、ウリヤーナ・ロパートキナ、イリーナ・ドヴォロヴェンコ、イヴリン・ハート、スヴェトラーナ・ザハロワなどの言葉を読むと、また違った目でオデットとオディールを見ることができるのではないかと思います。
そういうわけで、Applause Applause!さんにぜひ記事を読みに行ってみてください。「白鳥の湖」やバレエの演技に関心がある方だったら絶対に面白いと思います。ponさんのブログは、これ以外にも、海外(NY)在住ならではの視点で書かれているとても面白い記事がたくさんありますので、毎回楽しみに読ませていただいています。

さて、日本では、SWAN MAGAZINEの冬号が、「もっと、白鳥の湖」という特集を組んでいます。
マシュー・ボーン版の「白鳥の湖」で美しく繊細な王子を演じた首藤康之の美麗なグラビアが載っているほか、バレリーナではK-BALLETの康村和恵とABTのミシェル・ワイルズ、そのほかABTのアンヘル・コレーラとベルリン国立バレエのアルテム・シュプレフスキーのインタビューが掲載されています。
K-BALLETの「白鳥の湖」はオデットとオディールを別のバレリーナが踊るヴァージョン。康村さんも正直に「プリマとしては白と黒両方踊ってみたい」と言っているけど、「より深い感情表現に到達するのであれば違う人間が演じ沸けたほうがベターだと踊ってみて実感しました」と優等生なお答え。残念ながらまだ私は彼女のオデット/オディールは見たことがない。
一方、ミシェル・ワイルズは「振付を忠実に踊れはおのずと求められているものは表現できるのではないかしら?バレエのストーリーって現実離れしたものが多いから、あまり細かいことは考えていません」「だってそれがバレエのお話ですもの。そこには論理なんてあまりないんじゃないかしら」と語っています。う~む。彼女の白鳥は一昨年のMETシーズンで観ているけど、回転は得意だけど何も心に残らなかった、それはやっぱり解釈と演技の問題なのでしょうね。
アンヘル・コレーラは「人生を替えてしまうような出会いという視点で見れば、誰でも理解できる物語だよね」と語ってています。これはたしかにわかりやすい解釈。

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2006/01/25

マラーホフの贈り物キャスト変更

http://www.nbs.or.jp/news/detail.php?id=289によると、

スヴェトラーナ・ルンキナは所属団体のスケジュールの都合により、マルセロ・ゴメスは怪我のため出演できなくなり、代わりにマリーヤ・アレクサンドローワとマルチン・クライエフスキーが出演。これに伴い、Aプロ、Bプロともに演目が変更に。
 またマラーホフが当初Aプロで踊る予定となっていた新作「イドメネオ」は、初演の準備が遅れたため、変更となった、ということです。
未定となっていたルシア・ラカッラとシリル・ピエールの出演作品も決定しました。
そういうわけで、新しいプログラムはこちらです。
http://www.nbs.or.jp/stages/0602_malakhov/program.html

Aプロではラカッラ/ピエールは「椿姫」と「弦楽のためのアダージョ」、Bプロでは「アゴン」とクランコ版の「ロミオとジュリエット」です。
マルチン・クライエフスキーは「レ・ブルジョア」、アレクサンドロワとフィーリンはAプロで「ファラオの娘」「ドン・キホーテ」、Bプロで「白鳥の湖」3幕と「ライモンダ」です。

というわけで、私、今回マルセロ・ゴメス目当てで4回分もチケットを取っていましたが、マルセロが出ないのでチケットを2回分放出します。はっきり言ってショックで立ち直れません。早く良くなって、METでは活躍して欲しいものです。International Stars of Balletで素晴らしい演技を見せたルンキナが来ないのも残念です。

※チケットはおかげさまで引き取ってくださる方がいらっしゃいました。

ついでにチャコットでのキャンペーン情報です。
http://www.chacott.co.jp/j/shop/sub060301.html
マラーホフ来日記念フェアがチャコット渋谷本店で開催。

○マラーホフ フォトコレクション
2006年1月26日(木)~2月28日(火) 11:00~20:00
チャコット渋谷本店 地下1階 オーディオ・ビジュアルギャラリー
チャコットが撮影してきたマラーホフとパートナーたちの写真の中から厳選した未公開写真約20点を展示。

○TDKコア マラーホフフェア
2006年1月26日(木)~2月28日(火) 11:00~20:00
チャコット渋谷本店 地下1階 オーディオ・ビジュアルギャラリー
期間中、対象商品お買い上げのお客さま、先着30名さまにネイルケアセットをプレゼント!

○マラーホフ トークショー
2/20(月)16:00~17:00
チャコット渋谷本店 8階スペースネクストステージ
トーク後にサイン会もあるそうです。
1/26(木)~2/12(日)までの期間中、渋谷本店にて“マラーホフbyチャコット”商品か、マラーホフ出演のDVD・ビデオ、書籍をお買い上げの方の中から、ご希望の方に参加応募券をご記入いただきます。応募いただいた方の中から抽選で50名さまをご招待

○チャコット&NBS presents マラーホフの贈り物フェア
2006年1月26日(木)~2月10日(金)
チケットをご購入の方に、マラーホフから3つの素敵なプレゼント!
● チケットご購入公演のプログラム→もれなく進呈!
●マラーホフのサイン入り生写真→抽選で100名様に!
●“マラーホフbyチャコット”商品→抽選で30名様に!

肉離れ…

今日も寒かった。最低気温マイナス1度の最高気温3度。

その寒さのせいか、バレエの稽古中に内腿に激痛が。
どうやら体がまだ十分温まっていないうちに無理にストレッチをして、ハムストリングスの肉離れを起こした模様。
ストレッチをしている時に痛気持ちいいという感じのときがあるので、同じかな、と思っていたらバーレッスンで痛いほうの足では立てないくらいになってしまってヘロヘロに。
一応センターと、発表会の練習もやったけどこんな状態なのでホント情けない感じで途中でへたりこむ。
肉離れなんて本格的にやっているような人しかならないと思っていたのに。

昼間、仕事で上司になぜか解剖学の本を3冊も渡されたので暇な時に読んでいた。特に筋肉の図解をした「肉単」という本がかなりマニアックで面白かった。ボディビルダーのモデルの人が、髪の毛のある竹中直人って感じだったけど(笑)思わず脚などの筋肉を真剣に見ていたのだけど、そしたらこんな羽目になるとは。歩くのもちょっとつらい。

とりあえず冷やして、近々医者に見てもらうことに。

2006/01/23

「シザーハンズ」チケット取り狂騒曲

最近休みの日は起きたら大抵午後なのだけど、今日はマシュー・ボーンの「シザーハンズ」の先行予約の日だったので目覚し時計までかけて朝9時に起きた。しかし、まいったね。インターネット予約のみなのだけどホリプロのサーバーがよほど非力なものを使っていたらしく、エラーばかり出てしまう。エラーメッセージも、キャパシティを超えるアクセス集中って英語で出るばかりで。席の番号が出て最終的に決済するところでクリックしていないのに「更新ボタンが押されたのでエラー」というメッセージが出たのには参った。最終的に取れたチケットは、その席の3列後ろだもん…。結局、PCの前で3時間半。午後から人が家にくるのに何の準備もできなかったよ…。現地で見てきた人の話で、1度見ただけでは登場人物も多くて同時多発的に話が進むので、よくわからないから何回か見ることを勧めるっていわれたんだけど、こンな感じだから結局千秋楽しかまだとっていない。ゆうぽうとだから安い席でもそこそこよく見えるだろう、と思って追加する席は安い席にするつもり。先行予約はS席のみなのだ。

ホリプロチケットサイトにはお詫びの文章が出ていたけど、そんなことはいいからサーバー増強して欲しいです。しかもあんなにアクセスが集中していたのにチケットはまだ全然余裕で残っているらしいし。私は全然いい席が取れなかったのに...orz 後で取った人のほうが良い席が取れたらしい。これで得チケ乱発とかしたらマジでうらむわよん。

2006/01/22

ミヒャエル・ゾーヴァの世界展

東京は雪ですわ。起きたら昼の2時orz...

友達に誘われて、銀座の松屋で開催中の「ミヒャエル・ソーヴァの世界展」へ。

寒いけれどもかなり混雑していた。

映画「アメリ」の中で使用されていた、アメリのベッドの上に飾られていた絵や豚のベッドサイドランプで知られる画家、ということしか知らなかったんだけど、とても良かった。

私が豚が大好きで、豚のぬいぐるみを集めている。その豚がモチーフの作品がすごく多いのだ!中でも「スープ豚」は傑作。もうたまりません。美しく湖へとジャンプする「ケーラーの豚」も最高。

動物を使った絵に素晴らしい作品が多い。「ソーヴァの箱舟」ではノアの箱舟を思わせる小舟にたくさんの動物たちが乗っているんだけど、荒れた海なのに悲壮感はないし、別の小舟では女の子とゴリラが乗っている。
静謐な画面の中にちょこんといる動物にそこはかとない寂寥感とユーモアが漂っていて。絵本の挿画が多い。「エスターハ―ジー」は小さなうざぎの種族が、年齢を重ねる度にどんどん小さくなってしまうので、大柄なお嫁さんをもらおうとベルリンに出かけていくという話。踏まれないように道の端っこを歩く小さなうさぎ。

フランクフルト・オペラ座のオペラ「魔笛」の美術を手がけていて、その絵本も出しているのだけど、「魔笛」の不思議な世界を巧みに、でも独特の少しシュールなタッチで描いている。実際の舞台の写真もあったけど、この「魔笛」を見てみたいと思った。

ドイツにも歌が別の歌詞に聞こえてしまう人が多いようで、その「空耳アワー」的なところを絵にしたシリーズも面白い。

そして私が大好きな「ウォレスとグルミット」の新作にも参加しているというから楽しみ!また、ルドルフ・ヌレエフが飼っていた犬の話(もちろんフィクションだけど)を本にした「ヌレエフの犬―あるいは憧れの力」の挿画も描いていたのだった。

展覧会の外には絵本やポストカードがいっぱい売られていた。欲しいものばかりで困った。展覧会のカタログがあればそれが一番良かったけど残念ながらそれはなし。彼が創作活動について語り、そして代表作を45点収録した「ミヒャエル・ソーヴァの世界

それと、豚をモチーフにした物語「エーリカあるいは生きることの隠れた意味」 を買った。原作者エルケ・ハイデンライヒは「ヌレエフの犬」の作者でもある。

家でお風呂につかりながら「エーリカ」を読む。絵本とはいいつつ、内容は完全に大人向け。「狂ったように働いたのでお金は稼いだけどいやな一年」を送ったバツイチの30代後半の女性ベティが、寂しくなってクリスマス・イヴに前夫を訪ねるためにベルリンからスイスのルガーノまで行く。プレゼント用に、大きな豚のぬいぐるみを買ってエリーカと名づけるが、旅の間、このエリーカを見て道行く人々は思わず微笑んだり話し掛けたりする。そして何かが起きる、という話。辛い生活を送っている人がこれを読むと、人生もちょっとしたことで変わるかもしれない、というほのかな希望をもたせてくれる、ほろ苦いけどとてもいいお話だ。お風呂の中でちょっと泣いた。

陰鬱な鉛色したベルリンの空と、冬の暗い装いの人々の中でひときわピンク色に輝くエーリカ。こういうぬいぐるみ、欲しいな。

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2006/01/19

International Stars of Ballet続き

「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ ツィガンコワ/ソリモシ
ツィガンコワは妖気漂って女蜘蛛のようなオディールを演じていて素晴らしかった。同じロシア人でも、この間見たザハロワの黒鳥とは対照的で、目力が強く挑発的で退廃的な色気がある。フェッテもダブルをはさんでいて安定していたし、シェネもすごく速くて正確。一方ソリモシは王子というよりは最近のジョン・トラボルタって感じだけど、めちゃめちゃ誠実そうで、オディールに会えて嬉しくてたまらないところがよく出ていた。きっと彼はめちゃめちゃいい人に違いない。相変わらずサポートは上手だし。ジュッテは後ろ足が伸びていないところがやや気になったけど、まあ問題ない部類でしょう。オディールの手に何回もキスしようとしては逃げられてがっくし、でも希望を捨てないで最後のコーダでついに叶えられて幸せなところを観ると、その後裏切られてこの人はどうなっちゃうのかしら、と心配してしまった。そういう妄想を起こさせてしまうほど、独特の世界を作り上げていたってことで、楽しませてもらった。

「火の鳥」宮内真理子(新国立劇場)/ジョ二ー・W・チャン(ロイヤル・ウィニペグ/バレエ)
ジョ二ー・W・チャンって誰だろうと思ってプログラムの写真を観てちょっと考えて、そして合点が行った。映画祭、東京フィルメックスで去年上映された映画「ドラキュラ 乙女の日記より」でドラキュラ役を演じていたチャン・ウェイチャンだ。これは、ロイヤル・ウィニペグ・バレエの「ドラキュラ」を無声映画風に着色モノクロで撮影したもので、とても美しい作品だったのだ。今はバレエマスターになっているので、まだ舞台に立っているとは知らなかった。
今回の「火の鳥」は、R・スントという人の振付によるもの。宮内さんはとても小柄で華奢だけど、時にはシャープで時には繊細な表現を見せ、非常に優れたバレリーナであることを見せていた。一番ポピュラーなフォーキンの「火の鳥」も微妙な作品だと思っている私は、こっちの「火の鳥」もなんだかよくわからないな、と思ってしまったのだが、とりあえず宮内さんは素敵だと思った。チャン・ウェイチャンも写真はとてもおっさんな感じだったが、舞台上の本人はほっそりしていてスタイルがよく、踊りも綺麗な人だった。東洋人的な容姿が却ってエキゾチックで素敵。

Get What You Gave メルクリエフ/シショワ
振付はなんというか、フォーサイスの「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」に非常に似ている。中心軸がどこに行ってしまったの、という感じのくらくらするところとか。でも、キメがなくてシャープさに欠ける振付なので、ふにゃふにゃした印象。マリインスキー劇場のダンサーであるミロシニチェンコが振付けたということだが、良くある現役ダンサーが振付けた微妙な作品って感じだ。ツートーンの衣装がまたこの二人に似合わない。シショワは股関節がものすごく柔らかいんだけど、小柄で決して細くないところがばれてしまう。メルクリエフはさすがにここでも安定感抜群。

「ロミオとジュリエット」バルコニーシーン タラ・バートウィスル/ジェイミー・ヴァルガス(ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
神戸のガラもそうだったけど、バルコニーシーンでバルコニーがないとちょっと興ざめな感じ。
ジュリエット役のタラ・バートウィスルはきれいな人ではあるし踊りも上手だし表現力も素晴らしいと思うけど、ちょっと大人っぽすぎる感じ。対するヴァルガスの方はまっすぐな若者風でロミオという役には合っているけど、この二人の組み合わせはどうなのかな。振付は、ダンツィヒ。非常にしっとりとしていて、叙情的なのだけどちょっとしっとりしすぎていて退屈なところもあり、なんだか時間が経つのがとても長く感じられた。独特の世界は作り上げていて、二人のダンサーはアーティストとして非常に優れたものを感じさせただけにちょっと残念。

「ファラオの娘」パ・ド・ドゥ ルンキナ/スグヴォルツォフ
この演目は音楽が致命的につまらない。振付も、なんでエジプト人がラ・シルフィードのような脚捌きの踊りを踊るの、ってかんじなのだけどこの脚捌きがこの演目の最大の見せ場だから仕方ないか。
フィーリンの素晴らしい脚捌きを映像で観た後だとスグヴォルツォフはやや分が悪いけど、ムハメドフ系の重そうな体の割には、綺麗な5番に収まるアントルシャ・シスは高くて見事だった。なんと言っても彼のようないい体のいい男があの露出度の高い衣装を着るだけで萌える。このパ・ド・ドゥは女性の見せ場は少ないけれども、ルンキナはとても丁寧に踊っていて素敵だった。

「Dying for Peace」 ジュゼッペ・ピコーネ

ピコーネが、いきなり白ブリーフ一丁で登場。しばらく静かな状態で、やがて聞きなれたイントロが流れる。出た~!!!!この1年で男性がパンツ一丁でこのサン=サーンスの「動物の謝肉祭」というか「瀕死の白鳥」のメロディを踊るのを見たのは3回目。振付はマラーホフの「ヴォヤージュ」でおなじみのツァネラ。ピコーネは体もしなやかで股関節が柔らかく、表現力もあるひとだ。そして最後の「死」の表現も非常に美しかった。ところが!実は私の席の横に子供ばかり4、5人の団体がいて、その中で一番小さい未就学児童らしき男の子が、この公演中ずっと姉らしき女の子としゃべりつづけていたのである。最初は大きめの声だったので身内から注意され、ささやき声となったのだがささやき声のほうが気になるのである。しかもこの演目は音楽も割と静かなので、余計邪魔なのだ。途中で何回かその子のところを振り返ったりしたのだけど一向に黙る気配はないし。親が一緒ではないので親にも注意できない。大体この公演はカーテンコールどころかレベランスの時間さえロクにとっていないものだから、その隙に注意することもできない。(いくらなんでも踊りをやっている最中に声を出して注意するのは気が引ける)そういうわけで、ピコーネの素晴らしいソロはこのクソガキに台無しにされたのだ。というか、未就学児童をこんなところにつれてくるのが間違っているんだけど。

さて、白鳥の死の余韻もそこそこに、エンディングへ。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第3楽章で、出演者がポーズをとっているところから始まる。陰影のある照明がスタイリッシュ。男性ダンサーが一人ずつ登場してジュッテを見せながら横切ったりするのは良くある演出だけど、その後、最初はパートナーと出ていたのが、パートナーを変えて登場したり、「フー・ケアーズ?」の女性陣たちがいっしょにくるくると回転したり。そして、シェシナが真中で延々と得意なフェッテを披露する周りを、メルクリエフが「ドン・キ」のときよりも多いマネージュをぐるぐると決めて、目立ちまくる。あんなに回れるなんて大したスタミナだ。最後はまた全員で綺麗なポーズでキメ、とエンディングは素敵だった。ゴージャスなライモンダの衣装の中村祥子さんの隣にパンツ一丁のピコーネというのはかなり間抜け感があったけど、ピコーネもさすがに素晴らしい肉体美の持ち主だしかわいい顔をしているので、情けない感じにはならない。

演目ごとのレベランスやカーテンコールの時間をロクに取らないでサクサクと進め、余韻も何もあったものじゃない、テープの音質がひどい、エンディングに芸術監督のクレスツォフ(ボリショイ)が出てこない、など色々と問題はあったけれども、滅多に観られないダンサーが観られたし、色々と発見があって、とても楽しんだ公演ではあった。個人的に一番印象的だったのはやはり「スパルタクス」とボリショイ組かな。でもソリモシの不思議な魅力にあてられたり、メルクリエフのすごいテクニックに感心したり、バランシンダンサーとして素晴らしいモニク・ムーニエやフィリップ・ニールが観られたり。たまにはこういうのもいいと思う。

2006/01/18

1/17 International Stars of Ballet 2006

日曜、月曜と二日続けてバレエのお稽古、しかも日曜は半日やるとヤワな私はもう筋肉痛だらけ。歩くたびに腿の内側の筋肉が痛い。

さて、気分が何かともやもやしていたので、ここは一丁バレエでも観に行くか!と思い立ってオーチャドホールへ。そういえば1年近く前も、思い立ってオーチャードへ、というのを何回もやったような気がする。

ちょっと気になっていたのは、このガラ公演には、ジュセッペ・ピコーネやタマシュ・ソリモシなどABTに縁のあるダンサーが出演すること。それから、最初はミシェル・ワイルズが出演するはずだったのが骨折をして、代役がモニク・ムーニエ。ABTのサイトから名前が消えてあれ?と思ったダンサーだ。Ballet TalkってアメリカのバレエBBSでも彼女は今いずこへ、と話題になっていた。もともと出演がすごく少ない人だったんだけど。そういうわけで、当日券でB席を。あまり売れていないだろうなと思ったら、少なくとも2階席はほぼ満席だった。

セットはほとんどなし、音楽も録音テープでまあ寄せ集めガラって感じではあったんだけど、値段以上のものは楽しめて満足度は高かった。

なんといっても

またパンツ一丁で男の瀕死の白鳥かよ。

「ライモンダ」3幕GPDD 中村祥子/ジュゼッペ・ピコーネ(ウィーン国立歌劇場)
いきなり幕が上がって拍手をする時間もなく、始まっていた。中村祥子さんを生で観るのは初めて。とても日本人とは思えない長身&プロポーションのよさで、ライモンダのハンガリー風のお姫様ポーズが良く似合う。うっとり。すべての振りを、どんな難しいこともあまりにも易々とこなしてしまうので口あんぐり。ピコーネは2階席一番後ろから見ると、顔はアンヘル・コレーラ激似でかわいい。プロポーションはアンヘルよりいいし、端正で派手さはないけど身体能力もあっていいダンサーだと思った。

「ムソルグスキーワルツ」 アンナ・ツィガンコワ/タマシュ・ソリモシ(ハンガリー国立バレエ)
なじみのない演目ではあったけど、素敵だった。なんかしっとりと大人な感じなんだけどワイノーネンなのよね。さて、ソリモシさんといえば去年のABTのMETシーズンでゲスト・プリンシパルだったのに「ライモンダ」を一回だけ踊っていなくなっちゃった人なのだよね。しかも、実は一瞬だけ来日公演にもキャスティングされていたという。とりあえず、あのやたら色男なプロフィール写真は嘘だと思ってください。体型もどっしりとしていたりして。でも優しそうなお父さんって感じで、それはまた別の意味で魅力的。落ち着いた美しい演目なんだけど、「マノン」の沼地のPDDを思わせるような難しいリフトが出てきたりして。ソリモシはリフトが得意な人だね。しかもなんだかとても素敵な満面の笑顔。ツィガンコワは大人っぽくて、めちゃめちゃ美人だししなやかで表現力があって上手だと思った。

「ドン・キホーテ」3幕GPDD エレナ・シェシナ/アンドレイ・メルキリエフ(マリインスキー・バレエ)
メルクリエフ君といえばウィーンフィルのニューイヤーコンサートに出たり、前回のマラーホフの贈り物に出演していたりして割とおなじみの方。麗しい王子タイプだけど、なんとなく前回観たのと印象が違っていて、なんだか男っぽくなっていた。踊りはキーロフらしく上品で綺麗であまりバジルっぽくないような。(イカン、アンヘルのバジルの観すぎで、バジルといえばあんなものだと刷り込まれてしまっている)しかし、あの片手リフトの安定性は見事としかいいようがない。まったく微動だにしなくて、びっくりするほど長いことバランスを保てるんだから。要はとっても上手だってこと。シェシナは小柄なんだけどよく回っていた。2回に一回ダブルを入れるフェッテも安定していたし、バランスも驚異的に長いし上手。フェッテのところは音楽が恐ろしく速い、と思ったんだけどちゃんとついていっているからすごいテクニックだと思う。

「スパルタクス」アダージオ スヴェトラーナ・ルンキナ/ルスラン・スクヴォルツォフ
ルンキナは、出産を経ているとは思えないほっそりとした美しい肢体で流れるようによどみなく踊り、びっくりするほどの柔軟性と情感がこもっていて素晴らしかった。表現力に驚いた。スクヴォルツォフはルックスがまんま私のストライクゾーン(笑)。濃いハンサムなんだけど体系的にはちょっとムハメドフ系で、スパルタクスの衣装が似合っていた。これを見ると、やっぱりボリショイの来日公演で「スパルタクス」が観たかった!と思う。録音状態のひどいテープで聞いても、ハチャトゥリアンのスコアは素晴らしいし。

「フー・ケアーズ?」パロマ・ヘレーラ(ABT)、モニク・ムーニエ(ABT?)、ヴァネッサ・ザホリアン(サンフランシスコ・バレエ)、フィリップ・ニール(NYCB)
今まで、まったく舞台装置というものが使われていなかったんだけど、さすがにこの演目だけはそれがないと様にならないので摩天楼の雰囲気を出した背景が出ていた。フィリップ・ニールはさすがのバランシン・ダンサーで余裕の踊り。すごく爽やか。パロマは、細かくてとても難しいパを、音楽に合わせて正確にキビキビと踊っていたんだけど、たまに、しゃかりきになって踊っているように見えちゃうのが惜しい。モニク・ムーニエはABTでは口さがない連中に「太りすぎでなかなか役をもらえない」と言われていたんだけど、決して太っているわけじゃなくて、骨格が大きいのではないかと思う。ゴージャスな美人で、今風ではないけど、さすが元NYCBのプリンシパル、ちょっと前のアメリカン・ビューティって感じで魅力的だった。ザホリアンもかわいいし上手だと思うけど印象に残りづらいかも。プティパなどが続いた後にこの演目はいい口直しになって、ガラにはもってこいだね。

(つづく)

2006/01/14

トリノオリンピック開会式

あの麗しいロベルト・ボッレが2月10日のトリノ・オリンピックの開会式で踊るのは皆知っていると思うけど、どんな感じなのかがロイター通信のボッレのインタビューで出ていた。イタリアでは10代の女子から、アイドル歌手顔負けの人気があるらしい。

イタリアのデザイナーDaniela Dal Cinデザインの未来的な衣装に身を包み、イタリアのコンテンポラリーの振付家Enzo Cosimiによる振付で踊るとのこと。セットはほとんどナシで、踊りは4部構成、ロベルトは100人のダンサーを率いて踊るらしい。このインタビューで、ロベルトは寒さが最大の懸念事項だと言っているけど、それって、また得意の裸族な衣装を着るってことなのかしら?

それにしても、これがちゃんとテレビ中継されるかどうかが心配。

ってわけで、一応放送予定を付け加えておきます。

トリノ・オリンピック開会式テレビ放映予定
2006年2月11日(土)AM 3:55~7:00 NHK総合(生中継)
2006年2月11日(土)AM 3:55~7:00 NHK Hi-vision(生中継)
2006年2月11日(土)AM 3:55~6:55 NHK BS1(生中継)

http://www3.nhk.or.jp/olympic/

うるるさんの記事も見てね。

1/9 新国立劇場「白鳥の湖」

裏番組にマールイ(レニングラード国立バレエ)の「白鳥」が重なっていたにもかかわらず、1月7日、9日のザハロワ&ウヴァーロフ主演の新国立「白鳥」はチケットが発売と同時に瞬殺、だったらしい。私は運良くネットで一発で取れたけど、貧乏なので2階ギャラリー席。ここはちょっと見切れてしまうけど、舞台にとても近い上、バルコニーなのでプチセレブ気分になれるところである。

ザハロワの白鳥はDVDでロベルト・ボッレと共演したミラノスカラ座(ブルメイステル版)のを観ているのだけど、これを見て今回の公演を観ようと思ったのだった。オデットの時の夜の闇に溶けてしまいそうな儚い美しさにノックアウトされたから。しかもブルメイステル版は黒鳥のPDDの曲がチャイコフスキーPDDの曲で盛り上がりに欠けるので、プティパっぽいので観たいと思ったので。

新国立劇場は長身のダンサーが揃っているけど、やっぱりウヴァーロフが登場すると大人と子供みたいだ。道化は、本来予定されていた吉本さんが怪我のために降板し、前日のマチネとソワレにも出演したという研修所二期生、21歳のの八幡さんが代役。この八幡さんがとても小柄なのだけど、大変なテクニシャンで驚いた!1幕ではグランド・ピルエット・アンドゥオールで32回転を披露。唖然としてしまった。初役なので演技はまだこれからだと思うけど、とても可愛いし、ジュッテの際の脚の伸び方も伸びやかで見ていて気持ちがよい。そしてウヴァーロフと並ぶとウヴァーロフの胸くらいまでしか身長がない。いずれにしても、1幕の盛り上げ役は道化だから、道化が良いと得した気分になってしまう。

「白鳥の湖」の王子は本来どういうキャラクターかというと、一言で言えば「バカ」だと思う。だって白と黒との区別もつかないんだよ。(というのは、去年某宴会での話題なのだけど)世間知らずで、純粋で、マザコンで、情けなくて、騙されやすい。ウヴァーロフの王子は、このキャラクター設定にぴったりだと個人的には思っている。ハンサムなんだけど、どこか間抜けな感じが(ファンの方、怒らないでください!)

パドトロワは真忠さん、内富さんとマイレン。このあたりは、やっぱり一昨日のマールイのほうに軍配を上げたくなる。一昨日は内富さんがミスをしてしまったらしいのだが、今日もなんだかとても緊張している感じがして硬かった。真忠さんはわりと音楽的な踊りで軽やかで悪くなかったと思う。でも少しオーラというか輝きが足りないかな。パドトロワってオーラが必要な役かというとそんなことはないんだけど。でも、ABTのシオマラ・レイエス&エリカ・コルネホ&エルマン・コルネホなんか最強パ・ド・トロワ(主役より上手)だったからね。個人的に贔屓のダンサーであるマイレンはとてもよかったと思う。彼は顔つきとプロポーションで損していて、どうしても硬い雰囲気があるんだけど、踊りは非常に安定していて上手だし、サポートもうまい。次のシーズンではまたぜひ主役を踊って欲しい一人だ。元マールイだけど、一昨日マールイでパドトロワを踊ったプロームより良い。

そして1幕2場でついにザハロワ登場。ザハロワの白鳥のすごいところは、白鳥が突然美しい娘に変身する「信じられない光景」というのを踊りで再現してしまうところだ。「白鳥の湖」という演目を何十回も観ているけど、それが感じられたのは他にはイリーナ・ドヴォロヴェンコだけだ。なんという美しさだろう。ザハロワというバレリーナを評する言葉で多いのは、姿かたちはこの上なく美しいしプロポーションも抜群だけど、プラスαの何かが足りないということ。ただただ美しいだけでそれ以上のものがない等等。確かに、ミラノスカラ座のDVDでの彼女はそうだったかもしれない。でも、ザハロワは着実に変化している。白鳥の儚さ、よるべなさ、しかし内に秘めた強さを叙情性を持って演じられるようになってきている。腕は必要以上にくねくねさせないで、ポールドブラの美しさで勝負していて、白鳥でも人間でもないところを表現している。ザハロワの脚以上に美しい脚を見つけるのは非常に困難だ。美脚のダンサーといえばラカッラがいるけど、ラカッラの白鳥はちょっと別物というか特殊な白鳥という感じだった。ザハロワのアティチュードの曲線美はほとんど奇跡のようで、おもわずぼ~と見とれてしまう。重心は比較的前のほうに置いているけど、胸を反らせて背中の柔らかさを強調するような表現が多かった。足の甲もすごい。あんなに甲が前に出ていてよく立っていられるな、と思うほどだ。バランスの取り方も絶妙で、ポアントはまさに床に突き刺したという感じの安定感。
もはや、王子はオデットのバーとしか機能していないような(笑)
ウヴァーロフは長身で、しかも上半身は比較的がっしりしているのでザハロワとのバランスも絶妙な上、リフトも上手なので、安心して観ていられる。ザハロワと身長のバランスが合うパートナーってなかなかいないだろうから。ほかはゼレンスキーとボッレくらい?
グラン・アダージオのリフトもとても軽やかで音楽を生かしたものになっていた。オーケストラは某所で散々ひどいと叩かれていたけど、この日は問題があったとは思わない。ダンサーの動きをよく見て演奏していたと思う。ただ、セルゲイエフ版は最初のマイムがないのがちょっと物足りないと思う。ザハロワがあのマイムをやるところを観てみたかった。

新国立劇場のコール・ドはいつもながらレベルが高い。たまに顔の方向がややずれている人がいる以外はとても揃っているし、足音もほとんどしない。4羽の小さな白鳥では一番右の人が少しずれていたかもしれないけど。大きな4羽の白鳥では、厚木さんがスタイルの良さとダイナミックな踊りで際立っていた。

(お風呂に入るので続きはまた後で)

2幕では、ウヴァーロフはおなじみのボリショイの白い衣装で登場。女王様役の鳥海清子さんがはっとさせられるほど美しい。花嫁候補たちが立ち並び、花束を手にした王子が品定めをするが、結局誰も気に入った姫がいなくて彼女たちの前を素通りする。「どうして私が選ばれないのよ」と思い思いに演技をする姫たち。しかもこれが真忠さん、本島さん、川村さん、寺島まゆみさん、厚木さん、西山さんという超豪華美女軍団。しかし彼女たちの頭に乗っかっている帽子は、まるでソフトクリームのようにとぐろを巻いている。一歩間違えたら別のとぐろを巻くものにも見えてしまうのでかなり笑ってしまった。

そこへオディールとロットバルト登場。本来だったらオディールに集中してみなくちゃいけないところだけど、やっぱりロットバルトの衣装とメイクが面白すぎてこっちを観ちゃう。ラーメンパーマのロングへアに紫の口紅とほとんどヴィジュアル系ロッカーって感じだから。去年もここで観ているので見慣れているはずなんだけど改めてみるとやっぱり仰天しちゃう。演じている市川さんは長身でいいダンサーだと思うのだが。ザハロワは邪悪さと力強さを増していて、登場シーンもインパクトがあってよかった。とっても嬉しそうな王子。そして間髪をおかず彼らの手下であるスペイン軍団の踊り。マイレンのスペインの踊りはカッコいい!背中の柔らかさ、音楽性に優れているのがよくわかる。湯川さん、楠元さんの女性二人もダイナミックで、この手の役はお手のものという感じだ。もう一人の男性中村さんも悪くないけどマイレンよりはちょっと落ちる。ナポリのバリノフはちょっと調子が悪いのでは?もちろん平均点以上ではあるけど、彼の踊りはこんなものではないはずだ。ナポリ、チャルダッシュとマズルカは振り付けが面白くない。

黒鳥のPDDでは、ザハロワは姫オーラで光り輝いている艶やかな黒鳥を踊っていた。一点の曇りもない悪いお姫様だった。以前酒井はなのインタビューで、オディールはあんなことでもしないと王子に振り向いてもらえないかわいそうな存在だと言っているのを読んで、なかなか面白い解釈だと思った。でも、ザハロワは生まれつき悪魔の娘なのだ。ピケターンが素晴らしい。速いしポアントは床に突き刺さってばかりいるし。フェッテは、全部シングルで通していたけどぶれずに安定していて力強いかった。無理してトリプルとか入れて音に合わなくなるよりこっちの方がいい。

そんな彼女にすっかり幻惑された王子は、愚かにもあまりにもあっさりと、ためらいもなく愛を誓ってしまう。花束をオディールに渡すけどここで正体が判明し、オディールは高笑いしながら花束をバラバラと放り投げる。花が舞い散る演出はなかなかカッコいい。ちょっと感心したのは、王子は愕然として放心状態になるけれども、ママ~と甘えるのではなく、自分の意志で湖の方に走っていくこと。

3幕は、とにかくセルゲイエフ版で一番気に入らないところで、オデットが登場するまでが無駄に長いことだ。しかも白鳥のところに黒鳥たちもまじっていて、コール・ドとして観た場合に美しくなくて嫌。(オリジナルのプティパ/イワーノフ版も本来はそのはずらしいけど)2羽の白鳥を踊った厚木さんと川村さんはとても美しく存在感があり、繊細な白鳥らしい踊りでとても良かった。今度白鳥の湖を上演する時には、ぜひ彼女たちにもオデットを踊って欲しいと思ったほど。
散々つまらない群舞で引っ張ったあと、ようやくオデットが登場。弱っているけどやっぱりここでも姫。このあたりのザハロワの演技はまだちょっと弱い。この版はマイムも少ないから、何を考えているのかがわかりにくいところだ。王子は初めてここで頼りがいのある立派な若者として登場しロットバルトと戦う。ロットバルトの片翼をもいで、退治し、ハッピーエンドへ。ボヤルチコフ版の終わり方よりはましだと思うけど、ハッピーエンドというのはこの音楽にはあまり合っていない気がした。

全体的な感想としては、

・セルゲイエフ版はつまらん。マイム少ない、キャラクターダンスの振り付けが面白くない、1幕2場の大きな白鳥の踊りの振り付けが美しくない、3幕は無駄に長い。ロットバルトの見せ場が少ない。
・衣装のセンスをなんとかしてほしい。ロットバルトは、悪魔の姿の時はまあ許せるけど2幕はやっぱりあまりにも日本人がやるにはキツい。帽子が色々と登場するけど、特に花嫁候補の帽子はお仕置きとしてかぶられているんじゃないかと思うほど。「眠り」でも「くるみ」でもカツラの使い方などは日本人に似合っていなくてひどい。いくらロシア風にやりたいからといってこれはちょっとありえない。
・群舞は非常に素晴らしい。揃っているし足音もしない。これは世界に誇れることだと思う。
・道化役の八幡さんの今後がとても楽しみ!今回の嬉しい驚き。
・川村さん、厚木さんにオデット役を踊らせてみると良いのでは?
・ウヴァーロフの王子は可もなく不可もない感じだが、薄味。それは、振り付けに負うところが大きい。この演出で、どうやって王子の内面を描けようか。だが去年観た山本隆之さんはもう少し演技をしていたと思う。ザハロワの引き立て役というか黒子になってしまっていた感じが強い。ただ、誠実で純粋なところは良く出ていたと思うし、サポートは上手だし、非常に安定していて危なげはないのは良いこと。
・ザハロワはずいぶん進化した。あの圧倒的な美しさと身体能力に、表現力がつけば鬼に金棒。若手では世界最強のオデットだろう。あまりに美しすぎるというのは、逆に美しさにばかり目が行ってしまって大変だと思うけど、これから先の更なる進化がとても楽しみだし、幸い日本での公演数も多いので成長を見守る楽しみもある。

いずれにしても、このお値段でザハロワと素晴らしい美しいコール・ドを見せてくれるのは凄いことだ。今回公演は4回だけなのが非常にもったいない。新国立劇場のダンサーが主役の回は2回しかないし。たしかに12月のくるみが終わったばかりで、このあとには「ナチョ・ドゥアトの世界」も控えていてスケジュールは厳しいとは思う。それでも、平日は休みにしていいから、その次の週末にも2、3回公演を行って新国立劇場のダンサーに主役を踊らせればよかったのにと思う。女性でオデットを踊れる人は、すでに経験している真忠さんや西山さんもいれば、まだ踊っていないけれど川村さん厚木さんも踊れそうだ。男性はなかなかいないのが厳しいけど去年王子を踊ったマイレンがいるので、貝川さんか山本さんにもう一回踊ってもらっては?ダンサーのレベルが高いのだから、もっと多くの人に観て欲しいものだ。

2006/01/13

1月7日 レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」

Odile

今年初めてのバレエは、セゾンカード貸切で半額というのに釣られてついつい買ってしまった公演。よく考えてみたら、東京国際フォーラムAホールという、バレエを観るのに最も適さない世界最悪の会場であった。なんてたって5000人以上も入るのである。たまたま2階最前列のセンターというまあまあ良い席が取れたので、まいっかとは思った。でも、2階席といえども普通のホールよりは高い位置のため、幕が開くまではとっても不安だった。結論から言えば、東京文化会館の3階正面より少し低いくらいか。舞台の距離も危惧していたほどではなく、まあ許せる範囲ではあった。さすがに広いので、せっかくのオーケストラの音が拡散してしまったのは残念だが。それにしても、いくら半額で貸切公演、余った席は得チケでさばいたとはいえ、この5000人も入るホールでルジマトフなどのスターが主演しているわけでもないのにほぼ満席というのはたいしたものだと思う。

キャスト表を見ると、お気に入りのクリギンが出演していない。ちょっとガーンと思うが、指揮者にアニハーノフの名前を確認して少しホッとする。知らない方のために紹介するとアフロのような爆発ヘアーの若き俊英で、彼の指揮を目当てに来る人も結構いるらしい。

今日の王子はアルチョム・プハチョフ。まだ20代半ばと若いのだけど、かわいそうにちょっと額が後退していておでこが目立つ。が、登場した瞬間に白タイツに包まれた彼の脚に目が釘付けになった。なんと長くてほっそりとしているのだろう。しかも、これが動き出すと実にしなやかで優雅でこの上なく美しい。こんなに脚の美しい男性ダンサーを初めて見たかもしれない。脚がすべてを物語っているって感じなのだ。背が高く顔も小さく全体のプロポーションもとても良いので、少々髪の毛が薄くたって大丈夫。とてもノーブルでお育ちの良い、そして意志の強そうな王子様だった。
パ・ド・トロワはロマチェンコワ、ミリツェワ、そしてプローム。すごく丁寧に踊っていてイイ感じ。ミリツェワが可愛くて良かった。プロームも良いんだけど、最後の方はちょっとへばっていたかも。
王子の1幕のヴァリエーション。ジュッテ・アントルラッセが高い!2階席から見てもその高さがわかる。プハチョフはいいダンサーだ。
今回の版はボヤルチコフ版(マールイの芸術監督ですね)。キーロフや新国立劇場で採用しているセルゲイエフ版をアレンジしたものだ。道化、もしくは道化がいない場合代わりに踊るベンノ(王子の友人)がいないのが物足りない。1幕1場はパドトロワくらいしか見せ場がないのでね。

1幕2場の湖畔のシーン。さすがにコール・ドは揃っていて美しい。あたりまえのことかもしれないけど、体型も揃っていて、皆脚が長くて美しいね。そしてオデット登場。オデット役のステパノワは実はプハチョフと新婚ほやほやである。そういうわけで二人の息はぴったり。ステパノワというバレリーナの個性なんだけど、比較的大柄でダイナミック、顔立ちも姉御系なので、儚いというよりはかなり押し出しの強いオデットである。身体能力に優れていて、アンディオールした脚も美しいしジャンプも高く、ポアントも強い。ある意味野生の白鳥っぽい感じなので好き嫌いは分かれるかもしれない。でも腕の動きはとても細やかで繊細。役作りにすごく努力したって感じがする。コーダの最後の決めポーズは、王子の膝の上に片脚を載せてリフトされるというもので、なかなか難しそうだけど綺麗に決まっていた。
ロットバルトは、ミャスニコフ。ちょっと特殊メイク系。長身でなかなかカッコいいし、跳躍も派手なんだけど、この版はあまり見せ場がないのだよね。残念!

第2部だけど、これがまた大変コンパクトで、ロシアの曲とかは省略されている。オディールとロットバルトが登場したらいきなりスペインの踊りで、さくさくと民族舞踊が展開して、すぐに黒鳥のPDD。スペインの踊りの男性二人は二人とも長身でハンサムで大変目の保養になった。女性二人もうまい。しかし、この版、民族舞踊の振り付けがいまいちだな。せっかく衣装はとても美しいし、オーケストラもノリノリだったのに。

ステパノワはどう考えても個性としてオディールのほうが合っている。もう水を得た魚のようにピチピチしちゃって。もともと目力が強い人なので、華やかでとても強気な誘惑者がぴったりだった。しかし王子との相性はいい感じ。32回転は、シングル、シングル、ダブルの繰り返しだがとても早くてしかも軸がしっかりしていて、安定していた。王子の方ももちろんテクニック的にはばっちりなのだけど、問題があるとしたら、とても賢くしっかりしていそうな王子なので、こんなに簡単にオディールに誓うとは思えないことくらいか。(新国立でのウヴァーロフはこの点、いかにも育ちが良すぎてポヤヤンとしているから、簡単に間違いを犯しそうで説得力がある)

セルゲイエフ版、そしてそれをもとにしたボヤルチコフ版の白鳥が何がいやかって、3幕が長すぎることである。黒い白鳥とかも出てきて、あのスローテンポの曲でなにやら踊っていると、早くオデットとか出てきて話を先に進めて頂戴、と思ってしまうのだ。そして幕切れ!セルゲイエフ版だとハッピーエンドになるところ、こっちは結局オデットと王子は湖にのまれ、同時にロットバルトも沈むわけなんだけど、この湖が舞台の奥の方だし、身を投げるのではなくただ波にのまれる感じなのでドラマティックさに欠ける。ロットバルトにしても、翼をもがれるとか王子に倒されるわけじゃないし。初めて見る人だったら、このあと波が引いて二人は結ばれてめでたしめでたしになるかな、と思ったらラストシーンは白鳥たちしかいなくてあれれ、彼らは一体どうなったの、なんて思ってしまうのだ。終わり方だけ取れば「白鳥の湖」のあらゆるヴァージョンの中でも一番つまらないかもしれない。

と散々文句は言っているけど、それは演出上の問題なのであって、ダンサーの踊りや演技、そしてオーケストラに関しては非常に満足度が高かった。2階席のセンターから美しいコール・ド(群舞)を観られると自分もすっかりその世界に浸ることができて幸せな気分になる。6500円だと思うととても得した気がした。
カーテンコールでは、なんとロットバルト、オデット、王子と3人が緞帳の前にジュッテで登場するというサービス振り。貸切デーで、バレエを観るのが初めてという人も多かったようだけど、一切手抜きナシの本物を見せてもらい、これをきっかけにバレエ好きの道に進む人もいるんじゃないかな、と思った。

写真は、ロビーに展示してあったオディールの衣装。ここの衣装はなかなかゴージャスでセンスも悪くない。

2006/01/12

ヘスス近況

マシュースワンにいまだかまけていたり、3連休で2回(こちらは古典版だけど)白鳥の湖を観たりとすっかりヘスス(Jesus Pastor)のことを忘れかけていたけど、今朝たまたまABTのサイトをチェックしたらいきなりプロフィール写真が変わっていてびっくり。
http://www.abt.org/dancers/detail.asp?Dancer_ID=120
いきなりイケメン風の写真でいったいどうしちゃったのかしらと思ってしまった。 実物の2倍(当社比)はカッコいい。
それと、METシーズンとシカゴ公演の出演予定が書いてあって、

Sylvia 7/5/2006
Romeo and Juliet
Le Corsaire 5/24/2006, 7/8/2006
Swan Lake
Giselle
Chicago: Le Corsaire 3/31/2006, 4/1/2006

だそうです。シルヴィアはオリオン、ロミジュリはマキュ-シオ、海賊はビルバント、白鳥は(多分)ロットバルト、ジゼルはヒラリオンだと思われます。 よかったね~キャスティングしてもらえて(笑)
マノンは残念ながらなしか、良くてベガ-チーフ(乞食のかしら)でしょうかね。
こうやってスケジュールがおぼろげながら出てくると、やっぱりまたNYに行かなくちゃ、と血が騒ぐのでした。
ヴェロニカ・パールトやジャレド・マシューズのプロフィール写真も更新されていたし。

3連休で観たマールイと新国立劇場の白鳥の感想がなかなか書けないから、現実逃避。

2006/01/11

くるみわり人形 E.T.A.ホフマン

年末にバレエ「くるみ割り人形」を2回観たので、原作を読んでみた。ポプラ社から出ている版だ。

絶版になっているみたいだけど、種村季弘による翻訳もあるみたい。

ホフマンというと、「コッペリア」の原作「砂男」の作者としても知られていて、怪奇小説の人、という印象が強い。バレエ「くるみ割り人形」は正確には、ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」をデュマ(父)がフランス語に翻案したものを元に作られている。そのため、ホフマンの原作ではマリーとなっているヒロインの名前が、ロシア圏ではマーシャ、そしてフランス語圏ではクララ(もともとクララはマリーの人形の名前)と変わっている。で、いろいろとバレエを見ている人なら全員知っている話だと思うけど、クララ(マリー、マーシャ)がそのまま同じダンサーで2幕の金平糖の精のヴァリエーションを踊る版と(ワイノーネン版など)、金平糖の精を別のダンサーが踊る版(ピーター・ライト版、プティパ/イワーノフ版)がある。

で、今回は原作の話をすると、くるみ割り人形なんて子供の話じゃん、と思っていて読んでみたらこれがめっぽう面白い。まず、夢と現実が錯綜して最後には夢が現実になるという構成。バレエだと当然上演時間の関係もあって一晩の出来事ということになっているけど、原作では、ねずみの軍団との戦いなども何晩にもわたって繰り広げられるし、伯父ドロッセルマイヤーがマリーに読み聞かせたピルリパート姫の話などは、10年以上にも及ぶ大河ドラマである。
マリーは、ねずみ軍団との戦いの話を親に話しても全然信じてもらえなくてうそつき、と言われるけど実際には嘘じゃなくて、最後に本当にくるみ割り人形は王子様に変身してマリーを迎えに来る。
バレエのくるみ割り人形でちょっと白ける部分と言うのは、1幕はドラマのみで踊りが少なく、2幕はストーリーとはあまり関係ないディヴェルティスマン(踊り)が繰り広げられ、最後に2幕は全部夢でしたという夢落ちということなんだけど、本当は夢じゃなかった、というところがいい。(マシュー・ボーンの「くるみ割り人形」は夢から覚めたクララの前に美青年のくるみ割り人形が現れるという結末なので、これもまた「夢ではなかった」という設定)
同じダンサーが通しで踊るのは、少女の成長物語として描くため、なんて説明はされているけど、ワイノーネン版は正直言って全然面白くない。

ドロッセルマイヤー伯父さんの怪しさがとても好き。ドロッセルマイヤーは、ねずみと人形たちの戦いを高いところから見守っていたり、いろいろな発明をしたり、不思議な話を聞かせてくれたり、自己顕示欲が強かったり、とっても魅力的なキャラクターなのだけど、その魅力が出ているバレエというのは実際には少ない。ピーター・ライト版の「くるみ」はその点、(ロイヤル・バレエのDVDの)アンソニー・ダウエルという名ダンサーにドロッセルマイヤーを演じさせて、そもそもねずみたちとの戦いは、ドロッセルマイヤーがネズミ捕りを発明したからということから始まり、くるみ割り人形が甥であるという設定がちゃんと入っているから、面白いと思う。ねずみのカブリモノもとってもリアルだし、他の出演者もクララにアリーナ・コジョカル、金平糖の精に吉田都、王子にジョナサン・コープ、くるみ割り人形にイヴァン・プトロフと超豪華。バーミンガム・ロイヤルのくるみ割り人形DVD(同じくライト版)のドロッセルマイヤーの、人さらいのおじさんのような怪しさもなかなか魅力的だ。こちらも吉田都さんがイレク・ムハメドフと素晴らしいヴァリエーションを踊っている。

それとやっぱり、この原作は幻想とホラー的な要素がかなり強い。7つの頭のねずみの王様、なんて考えただけで不気味で怖い。バランシン版のくるみ、私は見たことがないのだけどこれはこの7つの頭の王様が出るらしい。それが夜な夜な人形たちをかじってしまったり、マリーの体の上を這いまわるのだから!人形たちの擬人化もうまい。ピルリパート姫がねずみの貴婦人に呪いをかけられてしまって世にも醜い姿にさせられてしまった描写もかなり生々しい。王様の大好物である脂身をねずみたちが食べてしまったので、ねずみたちが罠にかけられて殺されてしまい、その復讐なのである。ちょっとだけ残酷な話。

そうやって読んでみると、この間観たバレエ・ビアリッツの「くるみ割り人形」はかなり原作に忠実にバレエ化しているのがわかる。
観ていないけど、多分熊川哲也版の「くるみ」もサイトのあらすじを読む限りでは、原作の精神を受け継いでいる印象がある。

くるみ割り人形の、日本の各バレエ団の上演については、チャコットのWEBマガジン「ダンスキューブ」に詳しく出ている。
http://www.chacott-jp.com/magazine/around/tokyo_37.html また、マリインスキー・バレエのパリ公演の「くるみ」(ゲルギエフ指揮、ミハイル・シェミアキンの演出、美術、衣裳、キリル・シーモノフの振付)が収録されたというニュースも載っている。こちらはかなり変わった版のようだけど…。

2006/01/05

今年の観劇予定

手元のチケットを整理していたら、けっこうたくさん出てきました。
パリオペとボリショイのほかは大きなカンパニーはキーロフくらいしかないけれども、上半期~夏にかけては相変わらず多いですね。
下線が引いてあるものは、すでにチケットを手配済みのもの。それ以外は、観ようかな、どうしようかなって感じ&これからチケットが発売というラインアップです。今年も2回は海外でバレエを観たいので、できるだけ絞り込むようにしないと…。

1月 レニングラード国立バレエ 「白鳥の湖」
1月 新国立劇場バレエ 「白鳥の湖」
1月 バレエ・プレルジョカージュ 「N」
2月 バレエの美神
2月 東京バレエ団 マラーホフ版「眠れる森の美女」
3月 リヨン・オペラ座バレエ
3月 マラーホフの贈り物 Aプロ・Bプロ
3月 新国立劇場バレエ 「ナチョ・ドゥアトの世界」
4月 ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団 「カフェ・ミュラー」 「春の祭典」
4月 東京バレエ団 <ベジャール=ディアギレフ>
4月 パリ・オペラ座バレエ 「白鳥の湖」 「パキータ」
5月 ボリショイ・バレエ 「ラ・バヤデール」 「ファラオの娘」
5月 新国立劇場バレエ団「こうもり」
6月 ベジャール・バレエ・ローザンヌ 「バレエ・フォー・ライフ」 「愛、それはダンス」
6月 NDT1
6月 新国立劇場バレエ団「ジゼル」
7月 モンテカルロ・バレエ 「シンデレラ」「夢」
7月 世界バレエフェスティバル全幕特別プロ 「ドン・キホーテ」「ジゼル」
7~8月 世界バレエフェスティバル Aプロ・Bプロ、ガラ
7月 小林紀子バレエ・シアター 「The Invitation」
8月 マシュー・ボーン&ニューアドベンチャーズ 「シザーハンズ」
8月 服部有吉+首藤康之
11月 マリインスキー・バレエ 「白鳥の湖」他
12月 東京バレエ団 ベジャール版「くるみ割り人形」

親切なクムジャさん

2004年に観た映画で一番面白かったのが「オールド・ボーイ」そうゆうわけで、必然的にものすごく期待をしちゃう。世間的な評判はあまりよくないわけだけど…。

イ・ヨンエさんのコスプレ映画。清楚なワンピースや被虐感満載の女囚ルックから、洋菓子店の店員、そして黒革のコートが似合うハードボイルドな女まで。虫一匹殺せないような、天使のような顔をして「親切なクムジャさん」と呼ばれながらも実のところ刑務所時代から相当腹黒いわけで。出所してからは当時の仲間にも手のひらを返したように振舞うわ、いきなり被害者の親のところに行っては指を詰めるわですごい活躍ぶり。ほわわ~んと無邪気に笑ったかと思ったらぞっとするような無表情になったりして、その得体が知れないところがかなり怖い。

国民女優イ・ヨンエさんを起用しているから復讐3部作の前2作品に比べればソフトな描写ではあるものの、やっぱりとってもエグくてバッド・テイストな感じが好き。13年間かけた復讐計画の大掛かりなことといったら、ほとんどギャグの領域である。生き別れてオーストラリアにいた娘に事の顛末を語りながら、それをヘタクソな同時通訳をさせたりとか、珍奇なお遊びもここまで悪趣味な感じでやるとブラボーと思う。そして被害者の皆様の復讐合戦!あそこまでいってしまうと身も蓋もないし、人間の本性を描いたとっても残酷なところなんだけど、なぜか笑いが止まらなくなりそうになった。こういうところにパク・チャヌク監督の独特のアクの強さと才能が観られると思った。「チャングムの誓い」でヨン姫のファンになって映画館に行ってしまった方はびっくりしちゃうと思う。

前2作に比べて復讐の動機付けが弱いとか、穴だらけの復讐計画とか、クムジャさんが何を考えているのかわからないとか、あんなに綺麗な母親からこんなに不細工な娘が生まれていいのかとか、いろいろ言いたいこともあるけど、ラストシーンのアレといい、国民的美人女優を使ってこんな突拍子もないヘンな映画を創っちゃうパク・チャヌクは只者ではないな。イ・ヨンエもさることながら、こんな損な役を引き受けちゃうチェ・ミンシクもすごい。

2006/01/04

2005年のバレエの総括

ホントあほみたいに通った一年だったのだけど、ほとんどが白いトリさんに振り回されたという感じでした。
よって、理性的に考えられないのでトリ関係は別にして、去年印象に残った舞台を振り返ることにします。

すごくたくさんの人があげているので月並みになってしまうけれども、まずは2月のハンブルク・バレエが凄かった。「ニジンスキー」が一度しか観られなかったのが残念。一度にあんな情報量の洪水の中に放り込まれて、思考がパンクしそうになった舞台。イリ・ブベチェニク、服部有吉、アンナ・ポリカルポヴァ、凄すぎた。もちろんその後の「眠れる森の美女」もとんでもなかった。私は「眠り」はバレエの退屈なところが満載でとても大嫌いな演目なのだけど(だってオーロラったら寝ているだけじゃん。赤頭巾とか長靴を履いた猫とか、馬鹿にしているのか)ノイマイヤーの「眠り」は全然違う。異常に切なくて妖しくて美しい。そしてリアブコの青い鳥!あんな青い鳥を見たことがない。

ロイヤル・バレエの吉田都さんが素晴らしいのは言うまでもないことだけど、ダーシー・バッセルの輝きにも圧倒された。中でも「マノン」の彼女は、凄まじいまでの変貌を遂げていて驚かされた。テクニック、演技とも頂点にある人だと感じた。それだけに、引退ではないけれどもプリンシパルの座を去ることが残念でならない。タマラ・ロホのナチュラル・ボーン・ファム・ファタルぶりも強烈な印象を残した。

あとはやはりシュツットガルト・バレエ。ロミジュリもよかったけど、やっぱり「オネーギン」の素晴らしさには脱帽。マニュエル・ルグリの入魂の演技にも心を打たれたが、カンパニーとしての平均点の高さに驚かされた。そしてなんといってもマリア・アイシュヴァルト!「オネーギン」というタイトルではあるけど「タチアーナ」という内容のドラマである。私たちとはあまりかけ離れていない葛藤を抱えた、普通の女性を深みと哀切さ、そして抑えた激情で演じたその迫力は凄まじかった。もちろん、振り付けとしての魅力もあるわけだが。

ガラは9月のスペインガラが、コンセプトも一貫していたし、バレエも、バレエ以外のダンスもとても充実していて見ごたえがあった。「三角帽子のファルーカ」のジョゼ・マルティネス、「オー・ソレ・ミオ」のアナ・ラグーナが特によかった。11月のルジマトフ・ガラも相変わらず充実していた。いろんなサイトで話題騒然となったイーゴリ・コルプの「白鳥」と「薔薇の精」のインパクトは今も強烈に残っている。コルプの出演する舞台は今後も要注意である。

海外に何回か舞台を観に行ったけど、6月のABT,METシーズンの「海賊」は楽しかった。こういう派手な演目がABTには似合う。中でもエルマン・コルネホのランケデムと、カルロス・アコスタのアリが凄かった。「白鳥の湖」のマルセロ・ゴメスのロットバルトは相変わらずセクシーで魅力的。エルマンは、来日公演での「ドン・キホーテ」の主役デビューとリード・ジプシーも鮮烈だった。ABTは来日公演は怪我人も多く全体的に精彩に欠けたのがとても残念。女性ダンサーは深刻な人材不足だし。12月のバレエ・ビアリッツの「くるみ割り人形」も振り付けの面白さ、ダンサーの能力の高さでとても楽しめた。

というわけで、今年もいい舞台にたくさん出会えるといいな~。

12月24日 東京シティバレエ「くるみ割り人形」

クリスマスに一人で家にいるのも寂しいし、だったらバレエが観たいなと思っていくことに。チケットはソールドアウトだったのだけど、偶然黄凱さんのファンクラブの方がいて取っていただいたしかもとても良い席。ありがとうございます!

福田一雄さん指揮の東京シティフィルの演奏&コーラス付きでS席4500円はお得だ。クリスマス・イヴの日ということもあって、通常のグッズ販売のほかにもクリスマスにちなんだお菓子が売られていた。地元の洋菓子店の出店のよう。「くるみ割り人形」だから金平糖まで売っていて、気分は盛り上がる。

金平糖の精を踊った志賀育恵さんは日本バレエフェスティバルで観たことがあるけれども、バレエ団自体は初めて。今回の子役は「江東区でバレエを育てる会」で、オーディションで選ばれた子達だったのだが、なかなかレベルは高かった。単に子供が踊っているだけじゃなくて、踊りのテクニックとともに、演技力や個性も重視されているのがわかる。中でもコロンビーヌ、ピエロそしてムーア人の人形3人を踊った子達は芸達者だった。この日のクララも、「育てる会」の村木真美さんだったのだが、団員の人に劣らずとても丁寧に踊っていたと思う。くるみ割り人形のキム・ボヨンは体のラインが美しく、王子らしい王子だった。

演出はイワーノフ版に基づいて石井清子が構成・演出・振り付けたものだったが、いろいろと工夫がされていて楽しかった。特にねずみとおもちゃの兵隊たちの戦いでは、ねずみが怪我をすると担架が出現し、赤十字の旗を掲げているところなんか可愛くてよかったと思う。お菓子の国でのディヴェルティスマンでも、キャンドルケーキの人が巨大なスカートで登場して何事かと思ったら子供たちが二人ずつスカートの下から現れるという演出がとっても面白い。各国の踊りの振り付けもよかったし。特にトレパックは跳躍が多く男性ソリストが凄く大変だと思うけど元気いっぱいだった。

唯一残念だったのは、この構成だと、金平糖の精とコクリューシュ王子の出番がとても少ないこと。特に黄凱さんの出番を楽しみにしていただけに。黄凱さんは立っているだけで貴公子って感じでとってもノーブルで美しかった。ただし体調が少々悪かったようで、少し踊りが重たかった気がする。それでも、すごく丁寧に踊っていてまさに眼福という感じ。志賀育恵さんの金平糖の精も容姿の美しさもあってキラキラとしていてお姫様オーラ全開、踊りもとても優雅で素敵だった。

カーテンコールではステージからお菓子が投げ入れられたり、ねずみや兵隊を演じた子供たちが花道を走りながらお菓子投げをしたり、そしてコーラスによるクリスマスキャロルとクリスマスの雰囲気がいっぱい。観客にとっては素敵なクリスマスプレゼントになったと思う。

2006/01/03

フランス、また来る日まで。

ついにフランスを去る日がきてしまった。朝7時20分発の飛行機でビアリッツを出発し、10時35分のシャルル・ド・ゴール発で成田に帰る。
ホテル(Centre-Biarritz)には前の晩にチェックアウトの手続きだけ済ませてきた。ホテルに泊まっているのはどうやら私たちだけのようで、出発は6時ごろなのでスタッフは不在となる。その代わり、タクシーの手配は済ませてくれた。

Henriet

舞台から帰った後は、晩ご飯代わりに先ほどアンリエットで買ったチョコレートムースケーキ「ベレ・ド・バスク」をいただく。これが巨大なんだな。すっごくおいしいのだけどこってりと濃厚な味わいで、食べるのは大変。部屋に紅茶もコーヒーもないので、ミネラルウォーターだけなのはちょっとキツイ。すると一緒に行ったかねぼん嬢が、日本から持ってきた柿の種を出してくれた。柿の種の辛さで味を中和するとちょうどイイ感じになる。食べ終わった後は、一仕事終えたって感じだ。

さて、朝になってホテルを出ることに。すると、マダムVeroniqueさんの手書きのメッセージが残されていた。温かい人柄を感じさせるメッセージに思わずうるうるしてしまう。

フランスは冬は8時を過ぎないと明るくならない。ビアリッツ・アングレ・バイヨンヌ空港に到着しても真っ暗だし寒いこと寒いこと。並んでいる人の様子をうかがうと、アメリカ人やイギリス人が多かった。シーズンオフとはいえ、やっぱり人気のリゾートなんだな。今度はぜひバイヨンヌなどにも行ってみたい。本当に素敵な思い出がたくさんでき、素敵な人たちに会えたビアリッツ、そしてパリ。ありがとう。近いうちにまた行きたい!

しかしここからが大変だった。飛行機は30分遅れで出発(なにやらフランス語で言い訳していたが何をいっているかはさっぱりわからず)。シャルル・ド・ゴール空港に着いたときは、まだ1時間あるから大丈夫、荷物のチェックインも済んでいるし、と思ったのだけど、同じ2Fターミナルなのにゲートがとても遠い。出国の手荷物検査がとんでもない大混雑で、カオス状態だった。客も係員も目が血走っている。離陸が近い便の客を優先的に通している。それにしても、何で日本人がまったくいないんだろう???
手荷物検査の厳重さといったら、今までで最も厳しかった。一人一人金属探知機にかけられ、細かいボディチェックを受ける。こんなところまで触るの?なんてところまで触られてしまうのだ。これでは時間がかかるわけである。やっと終わって一息つこうと思ったら、成田行きのエールフランス便は間もなく搭乗手続きを終了しますって日本語のアナウンスだ。それからゲートに行くまでが大変。すごい混雑なのでパルドン、パルドンと言いながら人々の波をかき分けてダッシュ。持ち込み荷物が30キロくらいになってしまったので追加料金をかからなくするため、手荷物の量をふやしたからすっごく重いのに。免税店はおろか、トイレに行く暇もありゃしない。結局私たちは最終搭乗者になってしまったようだ。成田行きは出発が迫っているからこちらへ、なんて誘導は一度もなかったのに。本当に焦った。
ところで、このエールフランスの便、乗ってみたらわかったがガラガラである。行きの飛行機はフランス人の子供で充満していたのに。フライト・アテンダントに一人で何席も使っていいですよ、と言われ、ゴロンと横になって割と楽チンに成田まで帰ることができた。
朝6時40分に成田着。そして私は会社に向かったのである…。

追記:メラトニンのおかげで時差ぼけにはならなかったものの、あまりにもろくなものをフランスで食べなかったため、栄養失調で倒れてしまった。バレエのクラスでは、色んな人に「痩せたね」といわれた。次回は野菜ジュースやカロリーメイトなどを持参で行くつもり。

2006/01/02

バレエ・ビアリッツ「くるみ割り人形」12月18日

17時開演と昨日より早い時間のため、お子様率が非常に高い。それにしてもフランス人の子供って可愛いね♪金髪率が高くて本当にお人形さんみたい。1400席の会場は超満員で補助席も出る盛況ぶりだ。グッズ売り場のお姉さんが顔を覚えていてくれて、ニコニコ微笑みかけてくれた。素晴らしいスタッフと観客に支えられているカンパニーなんだな。
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舞台の内容もキャストも前の日とまったく同じなので、詳しいことは書かないけど。よく観ていると、ネズミと戦うおもちゃの兵隊軍団にクリスがいるのを発見。さらには、雪の精の中にもクリスをはっきりと確認することができた。頭を白いニット帽で覆い、長くてたっぷりとしたボリュームのロマンティックチュチュをまとうと、目のパッチリしたかわいらしい顔と相俟ってまるで女の子のようだ。美しいポール・ド・ブラ。伸ばした指先から粉雪を舞い散らせる演出が幻想的で素敵。しかし美しいけれども、体力的にはめっちゃ大変な振付である。動画を見ればわかると思うけど、腕をぐるぐる回しながら雪を降らせ、細かいパの連続、そして走り回ったと思ったら高くてリズミカルなジュッテの連続で体力の限界に挑戦って感じである。もともとは女性ダンサー用の振り付けなので、柔らかさ、優雅さも必要だ。
http://www.balletbiarritz.com/gb/0310cassen.html 男性ダンサーにとってはこれを踊るのは大きなチャレンジだといえるけど、クリスは立派にその役目を果たしていた。ジュッテした時の後ろ脚の美しさ、背中の柔軟性は際立っている。
ここの振り付け、大好き。

さて、休憩時間。幕の下から、先ほどの雪の精たちが散らしていった雪を掃除するのが見えたりするのだけど、幕の前のステージには大勢の子供たちがよじ登り、跳んだり跳ねたり踊ったり。先ほどの雪の精たちの踊りがよほど気に入ったと見える。「くるみ割り人形」の上演の時は、日本でもいつも客席にお子様がたくさんいるけど、子供たちがこんな風にはしゃいでステージの上に登っているところなんて見たこともない。普段だったら眉をひそめてしまうような光景なのに、不思議とすごく微笑ましく思えた。

2幕での、赤ちゃんを醜く変えられてしまうくだりって、よく考えてみたら結構ホラーな場面なのだけど(原作を読むと、特にすごくダークな感じなのだ)、王様と女王様を演じているダンサーがすごくマイムが上手で、とってもユーモラスに思える。赤ちゃんとのシーンはちょっとマッツ・エックの「アパルトマン」を思わせた。マランダインの振り付けはとてもオリジナリティがあるのだけど、誰かに似ているとしたらマッツ・エックが一番近いのではないかと思った。魔法を解くくるみの実が、まるでラグビーボールのように扱われているのもなんだか面白い。こういうモチーフって、けっこう子供が喜びそうな気がする。

クリスが踊ったスペインの踊りを観ている間は本当に至福の時。キューピーさんのように頭の中心部の髪の毛が立っていて可愛い。2番プリエの時のお尻の筋肉の動きを見ていたり、思いっきり目の付け所が腐女子である。ああ反省。
そうこうしているうちに、花のワルツである。本当にここのバレエ団のダンサーは何回も着替えては肉体的に苛酷な踊りを踊るのだから大変だ。ましてや、この花のワルツはクラシックの群舞に近い踊りなのだから。ここでも、クリスの美しい足の甲とよく開く股関節、アラベスクを堪能できた。

マリー役のダンサーMagaliはずっと出ずっぱりだし、複雑なリフトも多いし、群舞と一緒になって踊ることも多いのに相当スタミナがあって、最後までテンションの高さを保ちつづけていた。華があるし、個性的なので一度見たら絶対に忘れられないと思う。こういった小規模の、オリジナル振り付けやコンテンポラリー系、ネオクラシック系のカンパニーだとスター主義とはかけ離れた舞台づくりをするという印象があるが、このカンパニーのよさは、一人一人のダンサーの個性を大事にしているところだと思った。振付家が、ダンサーの特質に合わせて作品を創っているのだろう。

斬新な演出、大人じゃないとわからないような内容もあるのだが、この作品、観客に大変受けていたし、子供たちも喜んでいた。子供の観客が多い舞台だと、大抵、子供が舞台に飽きてしまって落ち着かなかったりするものだけど、みんなお行儀よく観ていたと思う。
「くるみ割り人形」はなんといっても、まずチャイコフスキーの曲が素晴らしい。一つも捨て曲がなく、真珠の珠や宝石のような、キラキラしたメロディが続いてとても幸せな気分になる。甘酸っぱい記憶を思い起こさせてくれる。その曲にちゃんとマッチした振り付けになっているのが、この作品の勝因なのではないかと思った。

終演後、会場のロビーで名残惜しそうにしていたら、素敵な女性が近寄ってきた。彼女はこのバレエ団のバレエミストレスだという。日本には10年前に松山バレエ団のところに行ったわ、なんて話してくれてその上握手まで求められた。「素晴らしい舞台だった、日本に来てくださいね」と私たちは言った。さらに、サングリアまでご馳走になってしまった。

それにしても、帰国してフィギュアスケートの浅田真央の演技を観るたびに涙がぽろぽろ出てきてしまって困ったものだ。くるみ割り人形のメロディがこんなにも美しく、懐かしく、幸せな記憶を呼び覚ますものだとは。
本当にここまで観に行ってよかった。日本にもいつか来て欲しい!

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