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« 1月7日 レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」 | トップページ | トリノオリンピック開会式 »

2006/01/14

1/9 新国立劇場「白鳥の湖」

裏番組にマールイ(レニングラード国立バレエ)の「白鳥」が重なっていたにもかかわらず、1月7日、9日のザハロワ&ウヴァーロフ主演の新国立「白鳥」はチケットが発売と同時に瞬殺、だったらしい。私は運良くネットで一発で取れたけど、貧乏なので2階ギャラリー席。ここはちょっと見切れてしまうけど、舞台にとても近い上、バルコニーなのでプチセレブ気分になれるところである。

ザハロワの白鳥はDVDでロベルト・ボッレと共演したミラノスカラ座(ブルメイステル版)のを観ているのだけど、これを見て今回の公演を観ようと思ったのだった。オデットの時の夜の闇に溶けてしまいそうな儚い美しさにノックアウトされたから。しかもブルメイステル版は黒鳥のPDDの曲がチャイコフスキーPDDの曲で盛り上がりに欠けるので、プティパっぽいので観たいと思ったので。

新国立劇場は長身のダンサーが揃っているけど、やっぱりウヴァーロフが登場すると大人と子供みたいだ。道化は、本来予定されていた吉本さんが怪我のために降板し、前日のマチネとソワレにも出演したという研修所二期生、21歳のの八幡さんが代役。この八幡さんがとても小柄なのだけど、大変なテクニシャンで驚いた!1幕ではグランド・ピルエット・アンドゥオールで32回転を披露。唖然としてしまった。初役なので演技はまだこれからだと思うけど、とても可愛いし、ジュッテの際の脚の伸び方も伸びやかで見ていて気持ちがよい。そしてウヴァーロフと並ぶとウヴァーロフの胸くらいまでしか身長がない。いずれにしても、1幕の盛り上げ役は道化だから、道化が良いと得した気分になってしまう。

「白鳥の湖」の王子は本来どういうキャラクターかというと、一言で言えば「バカ」だと思う。だって白と黒との区別もつかないんだよ。(というのは、去年某宴会での話題なのだけど)世間知らずで、純粋で、マザコンで、情けなくて、騙されやすい。ウヴァーロフの王子は、このキャラクター設定にぴったりだと個人的には思っている。ハンサムなんだけど、どこか間抜けな感じが(ファンの方、怒らないでください!)

パドトロワは真忠さん、内富さんとマイレン。このあたりは、やっぱり一昨日のマールイのほうに軍配を上げたくなる。一昨日は内富さんがミスをしてしまったらしいのだが、今日もなんだかとても緊張している感じがして硬かった。真忠さんはわりと音楽的な踊りで軽やかで悪くなかったと思う。でも少しオーラというか輝きが足りないかな。パドトロワってオーラが必要な役かというとそんなことはないんだけど。でも、ABTのシオマラ・レイエス&エリカ・コルネホ&エルマン・コルネホなんか最強パ・ド・トロワ(主役より上手)だったからね。個人的に贔屓のダンサーであるマイレンはとてもよかったと思う。彼は顔つきとプロポーションで損していて、どうしても硬い雰囲気があるんだけど、踊りは非常に安定していて上手だし、サポートもうまい。次のシーズンではまたぜひ主役を踊って欲しい一人だ。元マールイだけど、一昨日マールイでパドトロワを踊ったプロームより良い。

そして1幕2場でついにザハロワ登場。ザハロワの白鳥のすごいところは、白鳥が突然美しい娘に変身する「信じられない光景」というのを踊りで再現してしまうところだ。「白鳥の湖」という演目を何十回も観ているけど、それが感じられたのは他にはイリーナ・ドヴォロヴェンコだけだ。なんという美しさだろう。ザハロワというバレリーナを評する言葉で多いのは、姿かたちはこの上なく美しいしプロポーションも抜群だけど、プラスαの何かが足りないということ。ただただ美しいだけでそれ以上のものがない等等。確かに、ミラノスカラ座のDVDでの彼女はそうだったかもしれない。でも、ザハロワは着実に変化している。白鳥の儚さ、よるべなさ、しかし内に秘めた強さを叙情性を持って演じられるようになってきている。腕は必要以上にくねくねさせないで、ポールドブラの美しさで勝負していて、白鳥でも人間でもないところを表現している。ザハロワの脚以上に美しい脚を見つけるのは非常に困難だ。美脚のダンサーといえばラカッラがいるけど、ラカッラの白鳥はちょっと別物というか特殊な白鳥という感じだった。ザハロワのアティチュードの曲線美はほとんど奇跡のようで、おもわずぼ~と見とれてしまう。重心は比較的前のほうに置いているけど、胸を反らせて背中の柔らかさを強調するような表現が多かった。足の甲もすごい。あんなに甲が前に出ていてよく立っていられるな、と思うほどだ。バランスの取り方も絶妙で、ポアントはまさに床に突き刺したという感じの安定感。
もはや、王子はオデットのバーとしか機能していないような(笑)
ウヴァーロフは長身で、しかも上半身は比較的がっしりしているのでザハロワとのバランスも絶妙な上、リフトも上手なので、安心して観ていられる。ザハロワと身長のバランスが合うパートナーってなかなかいないだろうから。ほかはゼレンスキーとボッレくらい?
グラン・アダージオのリフトもとても軽やかで音楽を生かしたものになっていた。オーケストラは某所で散々ひどいと叩かれていたけど、この日は問題があったとは思わない。ダンサーの動きをよく見て演奏していたと思う。ただ、セルゲイエフ版は最初のマイムがないのがちょっと物足りないと思う。ザハロワがあのマイムをやるところを観てみたかった。

新国立劇場のコール・ドはいつもながらレベルが高い。たまに顔の方向がややずれている人がいる以外はとても揃っているし、足音もほとんどしない。4羽の小さな白鳥では一番右の人が少しずれていたかもしれないけど。大きな4羽の白鳥では、厚木さんがスタイルの良さとダイナミックな踊りで際立っていた。

(お風呂に入るので続きはまた後で)

2幕では、ウヴァーロフはおなじみのボリショイの白い衣装で登場。女王様役の鳥海清子さんがはっとさせられるほど美しい。花嫁候補たちが立ち並び、花束を手にした王子が品定めをするが、結局誰も気に入った姫がいなくて彼女たちの前を素通りする。「どうして私が選ばれないのよ」と思い思いに演技をする姫たち。しかもこれが真忠さん、本島さん、川村さん、寺島まゆみさん、厚木さん、西山さんという超豪華美女軍団。しかし彼女たちの頭に乗っかっている帽子は、まるでソフトクリームのようにとぐろを巻いている。一歩間違えたら別のとぐろを巻くものにも見えてしまうのでかなり笑ってしまった。

そこへオディールとロットバルト登場。本来だったらオディールに集中してみなくちゃいけないところだけど、やっぱりロットバルトの衣装とメイクが面白すぎてこっちを観ちゃう。ラーメンパーマのロングへアに紫の口紅とほとんどヴィジュアル系ロッカーって感じだから。去年もここで観ているので見慣れているはずなんだけど改めてみるとやっぱり仰天しちゃう。演じている市川さんは長身でいいダンサーだと思うのだが。ザハロワは邪悪さと力強さを増していて、登場シーンもインパクトがあってよかった。とっても嬉しそうな王子。そして間髪をおかず彼らの手下であるスペイン軍団の踊り。マイレンのスペインの踊りはカッコいい!背中の柔らかさ、音楽性に優れているのがよくわかる。湯川さん、楠元さんの女性二人もダイナミックで、この手の役はお手のものという感じだ。もう一人の男性中村さんも悪くないけどマイレンよりはちょっと落ちる。ナポリのバリノフはちょっと調子が悪いのでは?もちろん平均点以上ではあるけど、彼の踊りはこんなものではないはずだ。ナポリ、チャルダッシュとマズルカは振り付けが面白くない。

黒鳥のPDDでは、ザハロワは姫オーラで光り輝いている艶やかな黒鳥を踊っていた。一点の曇りもない悪いお姫様だった。以前酒井はなのインタビューで、オディールはあんなことでもしないと王子に振り向いてもらえないかわいそうな存在だと言っているのを読んで、なかなか面白い解釈だと思った。でも、ザハロワは生まれつき悪魔の娘なのだ。ピケターンが素晴らしい。速いしポアントは床に突き刺さってばかりいるし。フェッテは、全部シングルで通していたけどぶれずに安定していて力強いかった。無理してトリプルとか入れて音に合わなくなるよりこっちの方がいい。

そんな彼女にすっかり幻惑された王子は、愚かにもあまりにもあっさりと、ためらいもなく愛を誓ってしまう。花束をオディールに渡すけどここで正体が判明し、オディールは高笑いしながら花束をバラバラと放り投げる。花が舞い散る演出はなかなかカッコいい。ちょっと感心したのは、王子は愕然として放心状態になるけれども、ママ~と甘えるのではなく、自分の意志で湖の方に走っていくこと。

3幕は、とにかくセルゲイエフ版で一番気に入らないところで、オデットが登場するまでが無駄に長いことだ。しかも白鳥のところに黒鳥たちもまじっていて、コール・ドとして観た場合に美しくなくて嫌。(オリジナルのプティパ/イワーノフ版も本来はそのはずらしいけど)2羽の白鳥を踊った厚木さんと川村さんはとても美しく存在感があり、繊細な白鳥らしい踊りでとても良かった。今度白鳥の湖を上演する時には、ぜひ彼女たちにもオデットを踊って欲しいと思ったほど。
散々つまらない群舞で引っ張ったあと、ようやくオデットが登場。弱っているけどやっぱりここでも姫。このあたりのザハロワの演技はまだちょっと弱い。この版はマイムも少ないから、何を考えているのかがわかりにくいところだ。王子は初めてここで頼りがいのある立派な若者として登場しロットバルトと戦う。ロットバルトの片翼をもいで、退治し、ハッピーエンドへ。ボヤルチコフ版の終わり方よりはましだと思うけど、ハッピーエンドというのはこの音楽にはあまり合っていない気がした。

全体的な感想としては、

・セルゲイエフ版はつまらん。マイム少ない、キャラクターダンスの振り付けが面白くない、1幕2場の大きな白鳥の踊りの振り付けが美しくない、3幕は無駄に長い。ロットバルトの見せ場が少ない。
・衣装のセンスをなんとかしてほしい。ロットバルトは、悪魔の姿の時はまあ許せるけど2幕はやっぱりあまりにも日本人がやるにはキツい。帽子が色々と登場するけど、特に花嫁候補の帽子はお仕置きとしてかぶられているんじゃないかと思うほど。「眠り」でも「くるみ」でもカツラの使い方などは日本人に似合っていなくてひどい。いくらロシア風にやりたいからといってこれはちょっとありえない。
・群舞は非常に素晴らしい。揃っているし足音もしない。これは世界に誇れることだと思う。
・道化役の八幡さんの今後がとても楽しみ!今回の嬉しい驚き。
・川村さん、厚木さんにオデット役を踊らせてみると良いのでは?
・ウヴァーロフの王子は可もなく不可もない感じだが、薄味。それは、振り付けに負うところが大きい。この演出で、どうやって王子の内面を描けようか。だが去年観た山本隆之さんはもう少し演技をしていたと思う。ザハロワの引き立て役というか黒子になってしまっていた感じが強い。ただ、誠実で純粋なところは良く出ていたと思うし、サポートは上手だし、非常に安定していて危なげはないのは良いこと。
・ザハロワはずいぶん進化した。あの圧倒的な美しさと身体能力に、表現力がつけば鬼に金棒。若手では世界最強のオデットだろう。あまりに美しすぎるというのは、逆に美しさにばかり目が行ってしまって大変だと思うけど、これから先の更なる進化がとても楽しみだし、幸い日本での公演数も多いので成長を見守る楽しみもある。

いずれにしても、このお値段でザハロワと素晴らしい美しいコール・ドを見せてくれるのは凄いことだ。今回公演は4回だけなのが非常にもったいない。新国立劇場のダンサーが主役の回は2回しかないし。たしかに12月のくるみが終わったばかりで、このあとには「ナチョ・ドゥアトの世界」も控えていてスケジュールは厳しいとは思う。それでも、平日は休みにしていいから、その次の週末にも2、3回公演を行って新国立劇場のダンサーに主役を踊らせればよかったのにと思う。女性でオデットを踊れる人は、すでに経験している真忠さんや西山さんもいれば、まだ踊っていないけれど川村さん厚木さんも踊れそうだ。男性はなかなかいないのが厳しいけど去年王子を踊ったマイレンがいるので、貝川さんか山本さんにもう一回踊ってもらっては?ダンサーのレベルが高いのだから、もっと多くの人に観て欲しいものだ。

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コメント

あー満足しました。ありがとうございました、naomiさん。
ザハロアは私も白鳥の写真を見て一目惚れ。なんて美しい。。。
白鳥はDVDでしか見たことがないんですけどしなやかな体が大好きです。今年こそはと思いながらまた見逃しちゃって、でもnaomiさんのレポで見た気になれそう!
若手の八幡さんてかたnaomiさんの一押しならこれからが楽しみですね。特に日本は男性ほんとに少ないから。CMじゃないけど、がんばれわかぞーですね。

ずずさん、
そうそう、ホントザハロワはお姿だけでも麗しいので、その上表現力を身につけつつあるのさ今後がますます楽しみです。
八幡くん、小さいから役柄がかなり限られてきちゃうけど、うまいしかわいいし楽しみです。小柄なダンサーに合う役をもっと増やして欲しいですね。

ザハロワはミラノスカラ座の白鳥(DVD)を観て、すごい白鳥だ!と思ったんですよ。それって、ホセ以来で(~_~;) 雌雄の差はあれど、ドーブツ的な白鳥を見た感動がありましたよ。
でも、きれいなだけで物足らないなんて言われてるんですか? ドン・キを見たときは確かにピンと来なかったけど、それは似合ってないせいだと思ってました。
彼女はすごく長身だそうだからボッレやらウヴァーロフとかとよく一緒に踊れていいですね~(笑)

うるるさん、こんばんは~
ザハロワは、腕をクネクネさせなくてもごくごく自然に白鳥を表現できる稀有な人ですね。ホセ以来!ってなんかわかる気がします。
たしかにキトリはあまり彼女の個性に合っていない気はしました。
やっぱり白いクラシックチュチュのザハロワはもう犯罪って感じです。そして美しい男性にかしづかれるのが似合いますね(笑)

>美しい男性にかしづかれるのが似合いますね(笑)
ここにハゲシク反応・・・ウン、ウン(笑)
理想ですね・・。

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