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« パリ3日目・オペラ座をはしご&マレ | トップページ | 12/16 ジェイソン・パイパーLAST SWANその2 »

2005/12/27

ジェイソンラストSWANの輝き

上演前に腹ごしらえと、ベニさんのパニーニ屋に行く。昨日行った時は遅かったのであまり客がいなかったが、さすがに夜7時ごろは大繁盛で大忙しの様子。しかし、あちこちから飛んでくる注文をさばきつつ、手際よくパニーニを焼いたり飲み物を取り出したり代金を受け取ったりするベニさんの仕事ぶりは芸術の域にまで達していて感心しちゃった。忙しい時にも決して愛想を忘れなくて、好感度大だ。

そしてついに、SWAN LAKEをみるのも最後の日となってしまった。今日は当初は観る予定ではなかったのに、初日に到着してから窓口で買ったら思いがけず良い席が取れた。睡眠も十分取ったし、腹ごしらえもしたし、用意は万端だ。

この日の王子は、王子役としては初めて観るニール・ペリントン。マシュー・ボーンの「くるみ割り人形」の来日公演でボンボン(フリッツ)やキューピッドを踊っていて、そのときはちょっとベン・スティラーに似ていて、とてもユーモラスな印象が強かった。そんな彼が、この作品での要というか感情移入のポイントと言える王子役を演じられるのだろうか?

しかしニールの王子は良かった。踊りも端正で丁寧だし、何より演技が上手だ。演技のタイプとしては、クリスに近いのではないかと思う。鬱々としている内向的なサイモンとは対照的に、感情を比較的ストレートに素直に出すタイプである。本当は普通の青年なのに、たまたま王室に生まれついてしまったため、様々なプレッシャーに押しつぶされそうになっているという感じだ。女王に対しては一丁前に反抗的なところも見せている。女王からの扱いは、昨日のサイモンに対しての方が冷たく、ニールに対しては母親らしい思いやりが少し感じられた。小柄で細身のため、ジェイソンとのバランスも良い。顔立ち的にも、ちょっとチャールズ皇太子系おやじ入り気味なのがこの役柄に合っている。
4幕、ザ・スワンが白鳥たちに殺されてしまった後の、感情を爆発させたような泣きっぷりも上手で、観ているこちら側も感情移入して涙が出てきた。
しかし、クリスに演技の性質が似ているだけに、クリスの王子が思い出されて、やっぱりクリスの王子は別格といっていいほど素晴らしかったとその幻影が頭をよぎってしまうのである。この日の王子がクリスだったらどんなに良いだろう。

もうザ・スワンは踊らないと言っているジェイソン、彼のスワンを観るのはこの日が最後になるであろう。そして、まさに渾身の演技を彼はここで見せてくれた。王子との相性も今日のほうが良かったし、圧倒的な力が全体的にみなぎっていた。2幕の登場シーンでの神々しいまでの輝き。聖なる野獣だったのが、もはや野獣ではなく、美しい肩から白い翼が生えているのが見えるほどだ。腕の動き一つとっても、波打つような滑らかなしなやかさ。鋭い視線。去り際に王子に振り向いたときの片脚バランスの長さと安定感。柔らかい野のシャープなキック。いつの間に彼はこんな高みに上り詰めてしまったのだろうか。そして、これは滅び行くものだけが持つ美しさであるということに気付いてしまった。

ジェイソンの白鳥は、予め自分の先が長くない、王子と出会ってしまったからには、待っているのは死であるということを知ってしまっている。残された短い生の中でいかに光り輝くか。そして王子を輝かせるか。その決意がザ・スワンの踊りの中に見えるから、ますます孤高の輝きを放つのである。ジェイソンの一つ一つのパを観るだけで、思わず涙ぐんでしまう。2幕はいい踊りがたくさんあるけれども、私はコーダが一番好きだ。(その次にはビッグ・スワンの踊りが好き)ザ・スワンと王子の魂が共鳴し、高まっていくクライマックス。そしてザ・スワンが「オレについてきているか」と王子に振り返る慈愛に満ちた視線。つられて王子もとても美しく踊るのだ。ニールとジェイソンは見事な対になって、素晴らしいハーモニーを奏でていた。二人とも背中が柔らかく、腕も脚も後方へすっと伸びて美しい弧を描いていた。このコーダはこうでなくっちゃ。

(つづく)

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コメント

naomiさん

素晴らしいレビュウにジェイソンの素晴らしい舞台を観たときの感動が生々しく蘇ってきました。
身体が震えるほどです。
ありがとうございます。

naomiさんのジェイソン描写すごいです。涙でちゃいました。そしてしみじみあぁもう見られないんだってつくづく実感してきました。私の心の中で踊っているジェイソンtheSwan/Stranger大切にします。
続きが楽しみです。

Mikiさん、こんばんは。
いや~照れます。見てから少し日数が経っているし、忘れているところも多いので。
でもやっぱりスワンはいいですよね!

ずずさん、こんにちは。
そう、自分の中で踊っているジェイソン、大切にしてくださいね~ジェイソンもきっと喜ぶはず。私も時々自分の心の中のジェイソンやホセやクリスに会いに行きます。

なるほど。naomiさんのレポを読んで、二幕のジェイソンが放った透明感の理由がわかりました。来るべき運命を受け入れた者の境地だったのね。キリストのような。だから、彼の表情には慈愛と哀しみが同時にあったのだ。ジェイソンは踊り込むことで、それが「わかった」のですね。そして、見続けてきたnaomiさんにもそれが「わかった」のね。その深化の過程がなによりドラマチックと思えてきた。作品の力ですね。

asukoさん、
そう、このSWAN LAKEって、ダンサーの魅力もさることながら、やっぱり作品自体の力があると思うし、踊っていくうちにどんどん理解が深まる作品なんだろうと思います。だから、以前に踊ったダンサーが帰ってきたりもするわけなんえdすよね。役柄自体も進化するので、今後また誰が踊るかはわかりませんが(グレンもパリで踊ったというし)、どんなザ・スワンが観られるかが楽しみです。

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