BlogPeople


2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 『ティム・バートンのコープスブライド』 | トップページ | 東京国際映画祭アジアの風『ミッドナイト、マイ・ラブ』 »

2005/11/06

新国立劇場バレエ団「カルミナ・ブラーナ」

カール・オルフの曲「カルミナ・ブラーナ」(映画「オーメン」のテーマといえばわかりやすい)を元に、バーミンガム・ロイヤルバレエ芸術監督のデビッド・ビントレーが振り付けたバレエ。インタビューとか記事とか見たらなんだかとても面白そうだったので。当初行く予定はなかったけどNY行きもダメになっちゃったし、とヤフオクでチケットを落札していくことに。

いやはや、面白かった。最初は十字架のビジュアルとか、神学生とか言うからとても真面目くさった作品かと思ったらかなりユーモラスでブラックで風刺が利いていた。全然知らなかったんだけど「カルミナ・ブラーナ」って歌詞がとても下世話で面白いのよね。英国王妃を抱きたい、とか酒とか色欲とかのことばっかり。昔の神学生はこんなことばっかり考えていたのか。大作というよりは、異色の作品で、面白いんだけど後世に残るものかどうかはちょっと判断が難しいところ。

冒頭は、あの印象的な合唱に乗せて、目隠しをしてハイヒールを穿き、黒のボディコンドレスに身を包んだ運命の女神フォルトゥナが登場。かっこいい。とてもシャープな動きで、あまりバレエっぽくないといえばそうかもしれない。しかしここでのつかみは重要。

第1部「春」神学生たちが例の白い襟をつけて踊る。ジュッテ、ジュッテとかなり素早い動きで迫力とインパクトがある。ただ、個人的に日本人なのに赤だの金髪に近い茶髪だのに染めているのはどうかなと思う。神学生1のバリノフ君、神学生3のイアン・マッケイはさておき。後で彼らが派手なアロハのような衣装に着替えて登場するのだけど、どう見てもヤンキー集団。一応神学生なんだからさ。

神学生1(グレゴリー・バリノフ)は純真で真面目そうな青年だけど、金髪の頭の悪そうな女の子(役名は恋する女、さいとう美帆。美人だね)を好きになって追い掛け回したり傾いたイスの上に乗ったりするけどあえなく振られて愕然とする。神学生2(吉本泰久)は色欲と信仰に引き裂かれて苦悩するが結局は色欲の方に引きずられ、目の前のロースト・スワン(焼かれた白鳥)に同情しつつも、豚のような男たちとともに食べてしまう。そして神学生3(イアン・マッケイ)は運命の女神を前に服を脱いでパンツ一丁にまでなって追い掛け回しパ・ド・ドゥを踊るけど、最後には審判が待っていた。娼婦たちと大騒ぎを繰り広げたものの、実は彼女たちはみな運命の女神のクローン人間だったのだ!デヴィット・ビントレー曰く彼らは皆地獄に落ちたとのこと。ひえ~。

おかっぱ頭の妊婦&不気味な赤ちゃんを背負った女、乳首と陰部が透けた黒シースルーレースのドレスの娼婦たち、前述のヤンキーのようなアロハシャツの若者たち、そして第3部「求愛」では一見全裸にも見えるような乳首や性器を描いたボディスーツ状の衣装を一同が身につけたりと、なかなかヘンな衣装のビジュアルセンスが楽しい。裸ボディスーツは、日本人で胸とか全然ないからかえってやらしい感じ。

中でもすごくブラックでビジュアルセンスが抜群なのは第2部「居酒屋にて」。七面鳥が出てくると思いきや、登場したのはロースト・スワン。真忠久美子がショーガールの扮装をして、白い大きなセンスを持ってお皿の上に乗っている。きれいなはずのあたしが焼かれて豚のような男たちに食べられようとしている。なんでこのあたしが、って感じでラストの表情は爆笑モノ(でも笑っている人は全然いなかったけど)男たちの扮装もホント豚のような醜いかぶりものしちゃっているし、食欲なのか性欲なのかローストスワンにがつがつとむしゃぶりついている。その中でおこぼれに預かろうとしている神学生2はやっぱり地獄に落ちるべきだよね。

ダンサーたちもよかった。特に神学生1,2、3は皆とても力の入った踊りでよく訓練されている感じがする。バリノフ君は普段から非常に安定しているので安心して見ていられるし、キャラクターがこの役にとても合っていた。吉本泰久は、今までは全然評価できないダンサーだったけど、一皮向けたようで、ピルエットの回数も多かったし、倒立するような難しい動きにも果敢に挑戦していた。イアン・マッケイはなんといってもルックスが抜群にいい。顔も可愛いし、体の線の美しさといったら、もう鼻血モノ。後半はずっとパンツ一丁で踊るのだけど(脱いだ服をきちんとたたんで持ちながら踊るところは非常に可笑しかった。きっと躾がいいんだね)、このギリシャ彫刻というかカルヴァン・クラインのアンダーウェアのモデルのような体を見せてくれるのだから眼福。実際彼のショーツはカルヴァン・クラインだったし。(そんなところまで見ているなって>自分)あ、もちろん踊りのほうもばっちりで、運命の女神とのカラミもよく合っていた。

運命の女神役のシルヴィア・ヒメネスは手脚が長くて、カリスマ性を感じさせるシャープなダンサー。かっこいい。難しいことをやっているのに難しさを感じさせないところがいいね。アンヘルやタマラ・ロホ、ヘススと同じヴィクトル・ウリャテバレエ学校の出身。ローストスワンの真忠久美子さんはそのびっくりした表情が可愛かった。体のラインも綺麗で、ショーガールにぴったり。

1部の男性群舞は迫力があったけど、途中のちょっとミュージカルっぽい振付でのヤンキー集団踊りはやや退屈だったし、コール・ドのレベルとしても今ひとつ、この作品の世界観が体現できていない感じがしたのは残念。髪の毛を染めたって、堕落した神学生には見えないのよ。娼婦たちの踊りも、いまいち娼婦っぽくなくて、体つきの貧弱な日本人のお姉ちゃんが踊っているって感じで、ここは今ひとつ。でも、クライマックス、運命の女神と彼女のクローンたちが独特の鋭い動きで踊るところには、ぞくぞくするほどの高揚感があった。男性ダンサーたちもハイヒールを穿いてボディコンスーツで踊る踊る。

高揚感といえば、音楽。カルミナ・ブラーナはなんといっても音楽そのものに圧倒的な力がある。狭いオーケストラピットに合唱団がずらりと座り、その前にソプラノとバリトンとカウンターテナーが鎮座。オーケストラの演奏に合唱、独唱が聴けるというのは本当に素晴らしいし、ソリストたちの歌のレベルも恐ろしく高い。バリトンの河野克典の声域の広さや声の使い分けには驚いた。オーケストラピットで歌っていると少し音がこもってしまってもったいない。演奏の方も及第点。ややもすればこの音楽の力にダンスが負けてしまいそうだけど、斬新な演出にダンサーの気合が加わって、いい勝負になっていたと思う。

余裕があればもう一回くらい観てみたかった。ぜひとも再演して欲しい作品。 踊りのほうもだけど、こうやって素晴らしい歌手による独唱、合唱、オーケストラが一緒になって作り上げられた芸術が、このお手ごろな価格で味わえるのは嬉しい。

追記:第一部として「ライモンダ」1幕の夢のシーンが上演された。厚木三杏の踊りはとても音楽的で、上品かつ綺麗だ。後半のヴァリエーションでの前アティチュードがちょっと雑だったのと、未見にしわを寄せてしまうこと以外は良かったと思う。彼女は手足が長くて顔が小さくとてもスタイルがいいから映える。デニス・マトヴィエンコも調子が良かったようで、トゥール・ザンレール・アン・トゥールナンも飛ばしていた。絵になる二人だが、厚木さんが誇り高い姫君には見える反面、ジャンへの思いというのが見えにくかったかもしれない。コール・ドも綺麗に揃っていたし、衣装もブルーが夢のシーンに合っていてとても素敵だった。ただ、「カルミナ・ブラーナ」の前座としてこの作品が良かったのかどうかはちょっと疑問。

Shevaさんの素晴らしいレポートはこちら

「カルミナ・ブラーナ」11月5日
佐藤美枝子(ソプラノ)、ブライアン・アサワ(カウンターテナー)、河野克典(バリトン)
運命の女神フォルトゥナ :  シルヴィア・ヒメネス
神学生1 : グリゴリー・バリノフ
神学生2 : 吉本泰久
神学生3 :  イアン・マッケイ
恋する女 : さいとう美帆
ローストスワン : 真忠久美子
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s271/s271.html

« 『ティム・バートンのコープスブライド』 | トップページ | 東京国際映画祭アジアの風『ミッドナイト、マイ・ラブ』 »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

 「カルミナ・ブラーナ」、よかったですか・・・、残念!
 新国立劇場に勤めている知り合いが「チケット取っといてあげようか?」と言ってくれてたんですが、カミさんの都合が合わなくて、断念。
 観たかったです・・・。

丸山さん、お久しぶりです。お元気でしたか?
うん、コレはすごく面白かったですよ。
テレビカメラが入っていたらしいので、ひょっとしたら放映などあるかもしれませんが。
バレエだけじゃなくて、歌とオーケストラのそう合計術という感じだったのが良かったです。お知りあいに新国立劇場の方がいらっしゃるんですね!とてもよかったとお伝えくださいね。

なぜかTBがWになってしまいます。
ごめんなさい!!!

ひとつ削除していただけますか?

12月Paris楽しみですね~
情報楽しみにしておりますわね。
私は1月組です~

Shevaさん、こんにちは!
トラバしていただけるなんて光栄です。もう一つの方は削除しておきますね。
カルミナ・ブラーナ面白かったですよね。Shevaさんのルポも読み応えがありました。私は2階のサイド席だったので、見えなかったところもあって、予算が許せば一度正面でも見たかったんですが。

パリは下手したら2回しか見られないんですが、その代わりクリス君の公演も観ることができるんですよ。帰ってきたらまた報告しますね。

「カルミナ・ブラーナ」なら日本での本家O.F.C.を忘れてもらっては困ります。バレエだけでなく合唱団員も踊ります。今年はオルフの3部作一挙上演!年末は合唱舞踊劇版「カルミナ・ブラーナ」をよろしくお願いします。

O.F.Cさま
その公演のチラシ拝見して、面白そうだと思ったところです。というか、実は私のバレエの先生の旦那さんが出演者の中にいたので、多分観に行くことになるのでは、と思いました。後藤和雄さんも出られますしね。
合掌団員も踊るってすごそうですね。楽しみにしています。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30328/6920082

この記事へのトラックバック一覧です: 新国立劇場バレエ団「カルミナ・ブラーナ」:

» MUSTSEE-Bintley'sCarminaBurananowinJapan Part1 [シェヴァのバレエ鑑賞記]
MUSTSEE-Bintley'sCarminaBurananowinJapan Part1カルミナ・ブラーナ2005年11月3日 東京・初台 新国立劇場CARMINABURANAMusic:CarlOrffChoreography:DavidBintleyDesign:PhilipProwseLighting:PeterMumfordScenery&Costumes:ProductionofTheBirminghamRoyalBalletCondu...... [続きを読む]

« 『ティム・バートンのコープスブライド』 | トップページ | 東京国際映画祭アジアの風『ミッドナイト、マイ・ラブ』 »