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« 東京国際映画祭『ジョニの約束』 | トップページ | フランス行き手配ほぼ完了 »

2005/11/01

東京バレエ団《M》

三島由紀夫好きだし聖セバスチャンを踊る大嶋正樹さんのファンだしというわけで楽しみにしていたわん。

三島の作品って結構たくさん読んでいたんけど、自分は三島のどこを知っていたのかってちょっと自問自答したところもあった。この部分はこの作品の引用、とか三島のこういう性向を取り入れた、と部分的にはわかるんだけど。そしてそれをすごく巧みに取り入れてアレンジしているというのもわかるんだけど、情報量がすごく多くて一度では消化し切れない感じ。本当はもう一度ちゃんと観た方がいいんだろうけど。ところどころ難解に思えたところがあった。

私は首藤康之が聖セバスチャンを演じた時の「M」を観ていないので、わりとまっさらな状態で観ることができたと思う。大嶋さんの聖セバスチャンは、体のラインといい、肉体の存在感といい、ストイックさといい、とてもよかったと思う。冒頭の矢を射られている姿はエロティックで美しかったし。(この姿って、下手したらすごく間抜けになってしまうのよ)欲を言えば倒錯的な色気が足りないのが惜しい。セバスチャンというのは三島の憧れの姿であり、同時に彼のコンプレックスの反映でもあるのだけど、そのあたりはちゃんと出ていたと思う。もう少し出番が多ければなあ。

三島を象徴する少年役に、天才少年ダンサーとして一部で有名な福士宙夢(スリム)くん。声を出したり、切腹するところまであってかなり難しい役だと思うけど、良く演じていた。
少年と並んで実質的な主役であるといってもいいのが、古川和則演じるⅣ(シー死)。最初老婆の姿で出てきたときはいかりや長介かと思ったけど(笑)これまた難しい役をよく演じたと思う。でも、演技に関してはもう少し頑張りましょう。初役で初日だったからだと思うけど硬かったし、迫力に少々欠ける部分も。踊りに関しては、文句なし。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは東京バレエ団のプリンシパル男性陣の充実振りを見せてくれていると思うのだけど、中でも木村和夫さんが一番美しく踊れていて、良かったと思う。後藤晴雄さんも良くなってきているけど肝心なところで時々雑になっている気が。高岸さんはいつもの高岸さんで、安心してみていられる。

禁色のシーンの印象がひどく薄い。どうしても男性陣のほうに目が行ってしまって。致命的に危なさや妖しさに欠けるんだよね。う~む。鹿鳴館の円舞曲の7人は良かったと思う。体の線の美しさが際立つ衣装だ。なかでも平野玲さんがよかった。

女を演じた吉岡美佳さんは、迫力と妖艶さがあってよかったと思うし、海上の月の小出領子さんもやわらかい女らしさと包み込むような温かさがあった。

一番鮮烈だったのは、やはり切腹シーンと、それに続いて桜吹雪が舞い落ちるところ。美しいね。やっぱり日本人は桜だよ。桜吹雪の量が半端じゃなく多くてどかん!って落ちてきたって感じがしたけど。楯の会のメンバーが桜の枝を抱えて横移動する演出は効果的。
そのあとにシャンソンが流れるのはちょっと違和感を感じたけど。

桜というのは、三島のみならず、日本人の美意識の大きな部分を占めるものだと改めて思う。鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』でも北野武の『DOLLS』でもそうだったし、『櫻の園』もそう。桜が散っていくところの儚さ、美しく散るという美学は、少年三島の切腹シーンと重ね合わされているというところで、ベジャール、ちゃんと日本人をわかっていると思った。

これを言うとベジャールファンに怒られると思うし、ここがベジャールのアイデンティティの部分なのだからどうしようもないんだけど、私はシャンソンが嫌いで、ベジャールの作品はシャンソンを使うことが多いのが気に入らないのだ。

最初と最後が海。「豊饒の海」だね。ベジャールはオリエンタリズムに逃げ込むことなく、ちゃんと三島をわかってこの作品を作っていると思う。

この作品、すごく東京バレエ団らしい(個性に合っている)作品なので、もっともっと上演回数を増やして、踊りこんでいったらすごくいいものになっていくと思う。もっと観たいもの。

少年:福士宙夢
Ⅰ-イチ:高岸直樹
Ⅱ-ニ:後藤晴雄
Ⅲ-サン:木村和夫
Ⅳ-シ(死):古川和則
聖セバスチャン:大嶋正樹
射手:野辺誠治
船乗り:中島周
女:吉岡美佳
海上の月:小出峰子
【禁色】
オレンジ:高木綾
ローズ:上野美香
ヴァイオレット:井脇幸江
【鹿鳴館】
円舞曲:高村順子,長谷川智佳子,西村真由美,高橋竜太,平野玲,辰巳一政,宮本祐宜
貴顕淑女:大島由賀子,坂井直子,矢島まい,村上華奈,野辺誠治,長瀬直義,横内国弘
ソファのカップル:大島由賀子,野辺誠治

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