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2005年9月

2005/09/30

バレエ/ダンス関係雑誌2題

油断するとすぐに場所を取るのでなるべく雑誌は買わないようにしているんだけど。

ダンスマガジン11月号は、ABT来日公演特集だから発売日を指折り数えるほど楽しみにしていた。
http://www.shinshokan.co.jp/dance/dance-index.html表紙に「コレーラ」と書いてある割にはアンヘルのインタビューがないのは、次の号のスペインガラで取材しているってことなのかしら?他にインタビューはエルマン・コルネホ、マルセロ・ゴメス、パロマ・ヘレーラ、ジュリー・ケント。男性二人は好きなダンサーなので嬉しいけど女性二人はあんまり好みではない。いつも思うんだけど、なんでダンスマガジンのインタビューって、日本のどこが好きとか私生活のこととか、くだらないことばっかり聞くんだろう。写真に関して言えば、テーマとヴァリエーションの見開きの写真は、写真そのものはよいのだけど解像度が低いため粒子が粗い。その上、ページの折れ目のところにプリンシパルのマルセロが来てしまっている。デザイナーは何を考えているのだろう。他の写真はなかなかよいのだけど、女性はパロマの写真ばっかり。ジリアンの方が素晴らしかったのに少ないのは残念。あと怪我のため1作品しか出なかったけどマキシム・ベロツェルコフスキーの写真が1枚もないのは寂しい。
ヘススは「テーマとヴァリエーション」で1枚だけ写っていて、顔はちょっと変だけど脚がすっと開脚していて、この写真に写っている20人近くのダンサーの中でも一番美しいのが嬉しい。

でもこの号の白眉は、フリオ・ボッカと三浦雅士の対談だろう。彼のダンス人生を知る上では必読といえる、充実した内容。「ドン・キホーテ」「ライモンダ」の熱演の写真とあわせて読むと、改めて彼の偉大さがわかる。そしてフリオのカンパニーで学んだエルマン・コルネホが、フリオのラストバジルの翌日に、初めてのバジルを踊ったというのは象徴的なことだったんだなあ。

ほかに「エトワール・ガラ」「日本バレエフェスティバル」などなど、盛り沢山で、今年の夏って本当にバレエの公演が多かったんだな、と振り返ることができてちょっと感傷的な気持ちになった。

次に「DDDdancedancedance」創刊2号。
http://www.ddd-dance.com/創刊号はマシュー・ボーン特集なのに買わなかった私。実はコンテンポラリーダンスってそんなに得意な分野じゃなくて。
でも、この号はシュッツトガルト・バレエの特集と、マニュエル・ルグリ様のインタビューが載っていたので買ってみた。ついでに、「春の祭典」ニジンスキー版復刻の特集まである!シュッツトガルト・バレエに関しては、そんなに読むところはなかったけど、それでも写真の使い方がとても上手くて、ビジュアル面で優れているのですごくいい記事に見えるところがミソ。

ルグリ様のインタビューは、まず写真が素敵。とても雰囲気のある場所で撮っているなあ、と思ったらなんと撮影地は東京文化会館なのだ。ルグリ様がいるとパリィって感じのお洒落さ。しかもお茶目な写真もあったりしてすごく素敵。インタビューの内容も面白い。どれほど彼が「オネーギン」という作品に思い入れがあって愛していて、どこが好きなのか、今回の出演がどうやって実現したのかを語っていて、その情熱には涙が出そうになった。一方で、エトワールという地位には大変な誇りを持っていて、「私も頑張ればエトワールになれるのかも」というように思われるべきものではないと語っている。さらには、最近のパリオペラ座で、引退の近いダンサーの功績に対して敬意を表するという意味でエトワールに傷心させるというケースについて批判的な意見も述べている。いいインタビュー。

長くなってしまったので詳しくは書かないけど、ニジンスキー版の「春の祭典」の復元にいたるまでの話も大変面白い。プロダクションスケッチやデザイン画、初演当時の写真なども載せている。以上3つの記事だけで1000円出してもいいかな、という気にさせられる。それ以外の、コンテンポラリー/ダンス系の記事なども、門外漢の私にとっても面白く読めたし、ベリーダンスなどもちょっとやってみたいな、なんて思わされたり。新しい雑誌なので校正ミスや誤植はけっこう見られるし、海外での公演予定は面白いけど何でこっちの劇場派乗っているのにあっちはないんだろう、って思うようなところもあるんだけど、1冊の雑誌として非常によく出来た号だと思った。

2005/09/27

「四月の雪」

もう少し後で公開される「春の雪」とタイトルをいつも間違えそうになってしまう。あっちは、原作が死ぬほど好きなのに令嬢聡子役があの(自粛)竹内結子という許せないキャスティングなので一生見ません。

ヨン様ってたしかに素敵だとは思うけど、演技はあんまりうまくないよね。というか大根?いつも同じ顔をしているし。たしかに、あまり感情表現をしない役ではあるんだけど。肉体美のほうはさすが。
相手役のソン・イェジンの演技は素晴らしい。悲しみに沈む地味な若い主婦が、彼との出会いを通じて少しずつ色っぽく変わっていき、でも意識不明の夫に対する罪悪感にも揺れる思いを、生活感を漂わせながらも表現していて見事だ。「ラブストーリー」の元気な娘とは完全に別人。それだけにヨン様の大根ぶりが目立ってしまった気がしてしまう。ついでに、意外にもとてもグラマーで、下着姿でのベッドシーンには相当ごっくんときてしまった。

韓国では評判が悪いらしいけど、決して悪い映画ではない。ホ・ジノ監督の演出力は確かだ。互いの配偶者が不倫関係にあり、交通事故に遭って意識不明の重体になった夫と妻。不倫関係を暗示させるデジカメの動画やコンドームといった現場に落ちていた品々が、やりきれない思いに追い討ちをかける。相手の不義を責めたいのに、意識を失っているし自分が介護までもしなければならない。さらに、この事故に巻き込まれたまだ若い被害者が亡くなっており、葬儀に弔問に訪れたところ罵られる。やり場のない怒りと悲しみ。孤独感。そしてやがてそんな二人が傷を埋めあうように接近する。

またもや静謐な映画である。台詞も非常に少ない。そして、主人公の二人以外には、意識不明のお互いの配偶者(意識不明なので当然なにもしない)と、男の同僚と義理の父がちらっと登場するくらいで、二人がすごく孤独に生きていることが痛いほど伝わってくる。植物人間状態となった夫や妻を黙々と看病するだけ。そんな中どうしようもなく惹かれあってしまうのは必然的なことだったのだろう。おもむろに登場するキスシーンやベッドシーンの激しさには、びくっとしてしまうほど驚いてしまった。

演出としては、どのキャラクターに寄り添っているわけでもない。突き放した感じすらする。互いを求め合う姿は激しいのに、どこか陰鬱で冷ややかさすら感じられる。それは恋愛ではないように見える。互いを求めざるをえない状況なのだ。とても悲しいことである。しかもそれは、彼らを不幸のどん底に陥れた不倫と同じことをしてしまっていることなのだから。

いつまでもこの状況が続くわけではなく、二人の配偶者に変化が訪れて、二人の関係に決定的な変化が訪れる。彼女のいなくなった部屋に佇む彼と、その彼の姿をまた別の場所から見守る彼女。「八月のクリスマス」でも、彼女の姿を店の窓からいとおしそうに見つめる主人公の姿があったが、同じような胸を締め付けられる場面である。

ここから先はネタバレになってしまうので多くは書かないが、「八月のクリスマス」や「春の日は過ぎ行く」の終わり方が極めて秀逸だったのに対して、ちょっと安易だったのが残念だった。ただ、ここで終わりなのではなく、ハッピーエンドに見せかけて、実のところ決して明るくはない未来を感じさせるところは、どす黒くていいけど。
撮影が秀逸だった前2作に比べて、この作品ではシネマトグラフィは今一歩だったのが惜しい。

2005/09/24

チャーリーとチョコレート工場

子供の頃この原作が大好きだった。ロアルド・ダールの小説自体、全部読破した気がする。とはいっても、それはロンドンでの頃でそれ以降読み返していないからどんな話だったかは忘れた(おい)

実は不勉強で知らなかったんだけど、一度ジーン・ワイルダー主演、メル・スチュアート監督で映画化していたのね。すごい取り合わせなのでぜひ見てみたい。


今回のティム・バートン版は、くらくらするような音楽と色彩の洪水、極彩色でキッチュな世界が素敵。一見子供向けの内容に毒を盛り込みまくり。ウィリー・ウォンカの登場シーンの人形たちが焼けて溶けるところはマジでホラー映画だわ。そして5人の子供たちが言うことを聞かなくて、一人一人ゲームオーバーを宣告されるようにひどい目に遭って退場させられるところ。なにもここまでのことをされなくても、という気がしなくもないけど、あれだけ酷い目に遭っていても結局全然懲りていないところがいいよね。

唯一チャーリーだけが素直で思いやりのある良い子というわけだけど、良い子ゆえ、唯一キャラが立っていなくて目立っていないというのが問題点か。その分4人の邪悪なガキ、特にビッチな女の子二人が際立っていた。アタシが絶対に勝ち組よ!ってなかなかこんなにイヤ~ンなコはいないよと思う反面、大人の言うことを素直に聞いている子供というのもそんなにいるもんじゃないよな、と思ったり。
実はこの悪ガキどもの方が気に入っているんじゃないかな、バートンは。

ストーリー自体はすごく単純で、チャーリー以外の4人の子達が一人一人脱落していき、そのたびに、工場で働くウンバ・ルンバという小さな人たちがワラワラと出てきては、歌って乱舞するミュージカルシーンというパターンの繰り返し。したがって、子供たちがどうやって脱落してはお仕置きされ、ウンバ・ルンバたちがどんな歌と踊りを見せてくれるかというのが見せ所となっている。ここが上手いからこの映画は成功している。特に、同じオヤジ顔をしたクローン人間的なウンバ・ルンバたちの歌と踊りがもう最高!夢にも出てきそうでちょっとクセになる感じ。ゴーマン少女ベルーカがリスたちの大群に襲われるところも、完全にホラー映画だね。

あとはやっぱり、ウィリー・ウォンカを演じたジョニー・デップの怪演ぶりにとどめをさす。エキセントリックな演技がピカイチなのは当然わかっているわけだけど、孤独感をにじませながらも子供のような無邪気さを持っている変人というのがピッタリ。ふとした「ハハッ」って笑いとか、わざと子供にルールを破らせるような行動をさせるいたずらっ子ぶりとか、ウンバ・ルンバのパフォーマンスを見ては一緒にノッているところとか、いちいち芸が細かい。でも本当に孤独な人なんだよね。

それとウィリ―の父親クリストファー・リーと、子供時代のウィリ―のエピソードが切ないね。ウィリ―についての新聞記事が壁一面に貼ってあるクリニックには泣けたよ。
もちろん、踊るのが大好きチャーリーおじいちゃんもいいね。

チャーリーのお父さんを演じたノア・テイラーってここでは容姿がちょっとティム・バートンに似ている。あのお父さんが彼自身の投影なのだろうか。

cineclicheさんの評はこちら
映画VS名古屋さんの評はこちら

2005/09/21

7月27日マチネABT「ドン・キホーテ」

気がつけばもう2ヶ月も経ってしまっていて、書かないと忘れそうなので…

キトリ : シオマラ・レイエス
バジル (理髪師,キトリの恋人) : マキシム・ベロセルコフスキー(降板)→エルマン・コルネホ

メルセデス (踊り子) : エリカ・コルネホ
エスパーダ (闘牛士) : サッシャ・ラデッキー
ドン・キホーテ : ヴィクター・バービー
サンチョ・パンサ (ドン・キホーテの従者) : アレハンドロ・ピリス=ニーニョ
ガマーシュ (裕福な貴族) : フリオ・ブラガド=ヤング
ロレンソ (キトリの父) : バック・コリンズ
木の精の女王 : カルメン・コレーラ
アムール : サラ・レーン
花売り娘 : アンナ・リセイカ アドリエンネ・シュルト
ジプシーの踊り : ローラ・ヒダルゴ カルロス・ロペス

「シンフォニエッタ」でマキシムが怪我をして、急遽代役でバジル役を踊ることになったのがエルマン・コルネホ。なんと、この日がバジルデビューとなったのである。もちろん、日本に来て急に踊ることに決まったので、2日間くらいで全部の振付を入れたというから大したもの。NYではおろか、ABT入団前にも踊ったことはなかったらしい。実は予算の関係で、この日はB席、1階の最後列だったのだが、エルマンのバジルデビューをなんとしてでも見届けなくちゃ、と急遽チケットを買いなおした。

身長165センチと小柄なエルマンがバジルとしてどのような踊り&演技を見せてくれるかということが最大の注目点だったわけだけど、立派に合格点をつけられる素晴らしい出来。キトリ役のシオマラ・レイエスとは身長も釣り合い、普段からよくパートナーとして踊っているので息も合っていた。可愛くて素敵で、思わず応援したくなっちゃうようなカップル。
彼の魅力はまず、とてもチャーミングなところ。小柄でキュート、庶民的な感じが彼なりのバジル像となっていた。1幕の片手リフトはちょっと不慣れで歩いてしまったものの、踊り自体はいつものように安定感抜群。二人の花売り娘を従えてのパ・ド・トロワのキビキビと小気味良いピルエット。狂言自殺の時のひょうきんな演技。他の誰とも違うバジルだった。

そして3幕のグラン・パ・ド・ドゥ。思ったのは、ここで急にバジルが大人になっているのだ。それまでは、頼りないアンちゃん風だったのが、キトリと結婚することになって、男としての責任感が生まれ、急に頼もしくなっているのである。ここでのバジルは、すごく男っぽくて堂々としていてかっこいい。エルマンといえばキャラクテールを演じる時にはウルトラC級の難しい技を決めたり、重力が存在しないかのように恐ろしく空高く舞い上がったりとテクニシャンのイメージが強いのだが、ここでは、主役らしい、落ち着いた踊りを見せていた。もちろんピルエットは速いしマネージュのときもふわりと上がっているのだけど、必要以上に派手なことをしていなくて、それがかえってカッコいいのである。

シオマラ・レイエスのキトリはとても良いと思った。今回今ひとつ精彩に欠ける(わりには出番が多い)パロマ・ヘレーラよりも断然安定していて良かったように思えた。彼女もキビキビと元気よくおきゃんでキトリのキャラクターに合っている。小柄なためか、無理してブンブン回っているって感じがしないのがいい。なんといっても、3幕のコーダのグラン・フェッテで扇子をぱっと開いて高く上げては下ろすという技がとても可愛らしい。

エスパーダのサシャ・ラデツキーは明らかに役不足。まずマントさばきがヘタクソで顔にまとわりつきそうなのが致命的。何の役をやってもまったく印象に残らないダンサーなのだ。対して、メルセデスのエリカ・コルネホは素晴らしかった。弟の初バジルで張り切ったのだろうか。小柄なのに、とても艶やかでダイナミックでカッコいい。正確なポアント使い。今回の3人のメルセデスの中では彼女がベストだろう。他の二人が今ひとつだったというのも歩けど。

フリオ・ブラガド=ヤングのガマーシュ。これは最高!ものすごく演技が細かい上、手脚の動き自体は非常に美しい。ガマーシュって、転んだり飛んだりといったとことがかなり多いので、ちゃんと動ける人じゃないとだめなのだが、彼は見事に演じていた。さすが「真夏の夜の夢」でポアントを履いてロバを踊っただけのことはある。とぼけた味わい。そしてキトリのパパ、ロレンツォとの掛け合いがすごく面白くて、時々メーンの踊りよりも彼らの芝居の方に目が行ってしまう。ドン・キホーテを演じたヴィクター・バービーも、この役を踊るには美しすぎるかなと思うくらい品と哀愁を漂わせていた。

あとリード・ジプシーのカルロス・ロペスは、前日のエルマンとはまた違った魅力を見せてくれた。とても男っぽくて硬質、重みのある踊りがいかしている。どちらかといえば彼も小柄な部類だと思うけど、シャープで存在感が大きくて素敵だった。

残念ながら闘牛士たちはこの回は二線級が多く、恐ろしいほど踊りが揃っていないように思えた。

そんなわけで、マチネで空席も結構あったのだが、とてもいい公演だったと思う。いいバジルデビューを飾ることの出来たエルマンに拍手!

2005/09/20

ディアギレフの夕べ/Dances Diaghilev パリ・オペラ座バレエ


パリ・オペラ座バレエ団がバレエ・リュスの興行師セルゲイ・ディアギレフを称えて1985年に上演した舞台。
バレエ・リュスの中でも特に人気の高い4作品、「ペトル―シュカ」「薔薇の精」「牧神の午後」「結婚」が上演されている。
残念ながらDVD化されておらず、ビデオも国内盤は入手が難しいようだけど、輸入盤のビデオならアマゾンのマーケットプレイスなどで購入可能。

「ペトルーシカ」(1911年)
台本:イーゴリ・ストラヴィンスキー 振付:ミハエル・フォーキン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー 装置:ブノワ
キャスト:ペトルーシュカ=ティエール・モンヌ、踊り子=モニク・ルディエール

なぜか心を持ってしまい、バレリーナ人形に恋をした人形ペトルーシカの悲劇。カーニバルの猥雑な雰囲気と、純粋なペトルーシュカとの対比が見事。人形っぽい動きというのはすごく難しそう。その上、手足がまるで生きていないかのようにぶらぶらさせながらも踊っているっていうのがすごい。人形の滑稽なメイクの下に隠された哀しみが伝わってきて、息苦しくなる。ペトルーシュカ、バレリーナ、そしてムーア人と3体の人形が箱の中で一緒に踊っているところから興奮させられる。恋に苦しみながらも、臆病で思いを伝えられないペトルーシュカは、バレリーナにも疎んじられ、カーニバルの熱気の中ムーア人に殺されてしまう。亡霊となったペトルーシュカが見世物小屋の屋上から人々を見下ろすエンディングも印象的。

「薔薇の精」(1911年)
台本:ゴーチェの詩による 振付:ミハエル・フォーキン
音楽:ウェーバー「舞踏への招待」(ベルリオーズ編曲) 装置:バクスト 
キャスト:薔薇の精=マニュエル・ルクリ、少女=C・ド・ヴィルピアン

今までも生の舞台でルジマトフとABTのエルマン・コルネホで観たし、映像でもイーゴリ・コールプが踊ったのを見た作品だが、踊る人によってすごく違いが出るのが面白い。
20年も前の舞台だけに、ルグリが若くてほっそりして匂い立つようだ。もちろん、かぐわしい薔薇の香りである。柔らかくしなやかで軽やかだ。ルジマトフがこってりと濃厚で官能的、コルネホが野性的かつ妖精的、コールプが妖しくて宇宙人っぽい?のに対して、一番ノーブルで繊細な感じなのがルグリだと思った。彼が窓から飛び去った後の余韻に浸る少女の表情がまた素敵。

「牧神の午後」(1912年)
台本:マラルメの詩による 振付:ワツラフ・ニジンスキー
音楽:クロード・ドビュッシー 装置:バクスト
キャスト:牧神=シャルル・ジュード、ニンフ=マリ・クロード・ピエトラガラ

半獣半神の牧神がニンフ(妖精)たちの一人と戯れ、彼女が去ったあと、その衣装をもらって岩に上に敷き、横たわって悶える。常に顔は横向きとエジプトの壁画を思わせるような構成。跳躍や回転は一切なく、内股のパという斬新な作品。舞台装置もすごく凝っている。牧神は常に吼えたり身をよじったりしているのだが、演じているシャルル・ジュードの体のラインが美しく、顔立ちや雰囲気も神々しいほどの高貴な印象を湛えているため、上演当初は大変なスキャンダルになったらしいという自慰を思わせるシーンも、驚くほど慎ましやかに見える。

「結婚」(1923)
振付:ブロニスラヴァ・ニジンスカ 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
装置・衣装:ゴンチャローワ
出演:花婿:ガデル・ベラルピ、花嫁:エリザベット・プラテル

ニジンスキーの妹ブロニスラヴァ・ニジンスカ振付の作品。ロシアの農村の伝統的な結婚式儀礼を舞台にしている。まず、ストラヴィンスキーの、独特のリズムで進む音楽のインパクトがすごく大きい。独唱、コーラス、ピアノ、打楽器と独特の音階を駆使したメロディが耳にいつまでも残る。結婚というお祝いの儀式だというのに、花嫁も花婿も喜びの表現がほとんどなく、重苦しく押し黙ったまま無表情でいる。プラテルとベラルピという美男美女揃いなのがさらに怖い感じというべきか。皆お揃いの白いシャツに黒いスカートやズボンで、シメントリーに、抑制されたステップを淡々と踏むが、その単調な感じがかえって不穏である。解説を読むと、農村の花嫁が子供を産み、労働力として期待された時代、結婚が喜びではなく因習に抑圧されることを表現していると書いてあるが、なるほどそんなイメージである。花嫁の長い付け三つ編は一体何を象徴しているのだろうか?

というわけで、実はこの「結婚」が一番強烈なインパクトがあった。ロイヤル・バレエ版もあるようなのでこれも後で見てみたい。ビデオだけど画質もよく、主演のダンサーたちがそれぞれ大変優れた踊りや演技を見せているので、見ごたえはたっぷり。バレエ・リュスを知る上では必見。

2005/09/19

アンヘル・コレーラとABTの仲間たちカレンダー&スクリーンセーバー

アンヘル・コレーラがABTの若手ダンサー10人とのカレンダーを今年も製作。
thedan1←クリックすると大きくなります。
私は去年のカレンダーを購入したんだけどすごく大きなサイズで送られてきた時には仰天した。本体と送料が同じくらいの値段したもの。
去年のカレンダーは友達の間で「パンツカレンダー」と呼んでいて、白いブリーフ一丁で踊るダンサーたちの写真だったんだけど、今年は上半身裸にジーンズとなった。全員が飛んでいる瞬間をカメラが捉えていてなかなか面白いと思う。

メンバーは以下の通り。
Angel Corella, Buck Collins, Bo Busby, Kenny Easter, Alex Hammoudi, Blaine Hoven, Vitali Krauchenka, Jared Matthews, Patrick Ogle, Aaron Scott、Roman Zhurbin
アンヘル以外は全員コール・ド。去年はソリストのへスス・パストールと、惜しまれながら退団してしまったダニー・ティドウェルもいたんだけどね。

このカレンダーサイト、ABTファンに嬉しいのは、スクリーンセーバーがダウンロードでき、メイキングの写真も見られるだけでなく、カレンダーに出たダンサーにメッセージまで送れること。
良かったら買ってあげてください♪私もまた買うつもり。

2005/09/15

メタリカ:真実の瞬間:Some Kind of Monster

メタリカっていえば私の青春の一部なのであり、ファーストアルバムをリアルタイムで聴いたのであった。初来日公演が大学受験と重なってしまって泣く泣く断念し、隠し録音テープを擦り切れるまで聴いたし、今となってはとてもレアな「Garage Days Revisited」のピクチャーLPなんかも持っている。コンサートは大人になってから行った。
でも、やっぱり多分にもれずブラック・アルバムあたりで挫折して、LOADは買ったけどあまり聴いていなくて…。メタリカはやっぱり「Kill'EM ALL」「Ride the Lightining」「Master of Puppets」の3枚に尽きると思っているのだった。(「..and Justice for All」も良かったけど同時期に出たMEGADETHのアルバムの方が好きだったりして)
なので、この映画を観て一番嬉しかったのは、本当に初期の頃の映像も少し観られることだ。デイヴ・ムステインや、故クリフ在籍時の映像は涙なくして観られない。

さて、この映画は、現時点で最新作となっている「St.Anger」のレコーディング期間およそ2年間をドキュメンタリー映画として製作したもの。ベーシストのジェイソン・ニューステッドの脱退から始まり、ジェイムズ・ヘットフィールドがアル中のリハビリのために1年以上の長期にわたって戦線離脱。その後も、メンバーの激しい確執などがあって月額4万ドルという大枚でサイコセラピストまで雇い、700日かけてアルバムが何とか完成しツアーに出発するまでが描かれている。

すごいなあ、と思ったのはイメージダウンも恐れず、メンバー(主にジェイムズとラーズ)の対立を赤裸々に収録しているところ。ジェイムズに向かってラーズがすごく顔を近づけて「Fuuuccccccck You!」って言い放つところなど強烈。お互いに歯に衣を着せずにボロクソに批判しあっていて、バンドは空中分解の危機へ。(そんな中一人飄々としていてサーフィンとかしているカーク・ハメットがいい味を出している)
ジェイムズとラーズとカークはもう20年以上も一緒にやってきていて、長年一緒に活動した上での積年のストレスとか不満とかの爆弾を抱えていて、今にも大爆発しそうな状態となっている。そんなところを包み隠さずキャメラは捉えている。
まあ、なんとかアルバムが無事リリースされ解散の危機が回避されたからこそ、この映画も封切られたのだろうしそういう意味でメタリカは「勝った」わけである。

曲や歌詞が作り出されて行く過程も実にこと細かく描かれていて、特にメタリカのファンでなくても、創造ということに興味がある人だったらとっても面白く観られること請け合い。さらに、仕事上の人間関係の解決のヒントにもなる。ラーズは非常に賢い男で、メタリカとはどうあるべきかというのを常に考えている。なにやらとんでもない現代美術のコレクションを持っていたという意外な一面も見せている。スラッシュメタルのバンドの一員というイメージとは程遠い。でも同時に尊大でお子ちゃまなところもあるんだな。

もう一つ面白いな、と思ったのは、なんと現メガデスのデイヴ・ムステインとラーズの20年ぶりくらいの対面シーンが出てくること。メガデスだって累計1500万枚アルバムを売るなど、それなりの成功を収めてきた。しかし、メタリカをクビになったというトラウマは20年もデイヴを苦しめてきて、「あの時辞めていなかったら」「今メタリカにいたら」という負け犬根性の思いがドロドロにあふれているところは相当つらい。「ラジオからメタリカの曲が流れていたら耳をふさぎたくなる」その思いは切ない。このとき、まだハナタレ小僧だった二人が仲良く演奏している映像が流れて、さらに胸が詰まる。あまりにもメタリカは大物になってしまったのだ。でもデイヴ・ムステインはビジュアル的には全然変わっていないな。美少年だったラーズはすっかりおっさんになってしまったのに。

レコーディング前に脱退したジェイソン・ニューステッドの話もちょっとつらいところがある。「セラピー受けるなんて馬鹿馬鹿しい!」人間関係ってこうやって壊れてしまい、それがお互いに深い傷を負わせてしまうのだってことがよくわかって切ない。

年がばれてしまうけど、デビューしてから20数年。自分だって中学生だったのがすっかりいい年になってしまったし、彼らもすっかり太ったりおっさんになったり、あんな過激な音楽を作っていたのがジェイムズなんか娘をバレエ教室に通わせていたりすっかりマイホームパパなんかになっちゃっている。ラーズも上半身裸になると唖然としてしまうくらいおっさん体型だし。(ここでも一人、少し頭は薄くなったもののあまり変わっていないのがカーク・ハメット)そしてバンドの問題にセラピストを雇って人間関係を何とか解決しようとするところとか、実質的なメンバーとなっているプロデューサーのボブ・ロック(彼がメタリカの音楽をつまらなくした張本人とも言われているわけだが)やら、マネージャーやら色々と関係者が出てきて、メタリカっていまや一大ビジネスなんだな、自分が好きだった頃の彼らはここにはいないな、と思ったりして。ナップスター騒動もちょっと出てきて、ファンの大顰蹙を買う彼らを堂々と映し、それに対してガキ大将のように開き直るラーズ。さすが大物。

それでも、困難を乗り越え、新しいベーシストをオーディションで決め(けっこう有名なバンドのベーシストがこぞって受けにきているのが笑える)、録音もどうにか終わり、ツアーに出発。これだけの苦労の過程を見てきた後のライヴには、感慨もひとしお。とりあえず次来日したらまた観に行きたいと思った。所有している初期のアルバムがみんなLPなので、CDで買いなおさなくちゃ、とも思った。このSt.Angerを買おうということに結びつかないところがポイントだが。(追伸:一応メタリカのアルバムを買おうと思ってCDショップに行ったものの、結局買ったのはメガデスのベスト盤&ライブDVDのセットだった)

2005/09/13

愛についてのキンゼイ・レポート

キンゼイ・レポートって学生のときに読んだフェミニズムの本とか、「モア・レポート」とか読んでいたらでてきたので興味を持っていたんだけど。
その上、「ゴッド・アンド・モンスター」のビル・コンドン監督・脚本作品、主演はリーアム・ニーソンってわけでかなり期待していた。昨日観ようと思ったら上映開始時間に間に合わなくて(代わりに「メゾン・ド・ヒミコ」を見る)出直してきた。

いやはや、面白い。
キンゼイって人は、すごく抑圧的な父の下で、くそまじめに育っていて昆虫をひたすら採集していたら気がついたら中年になって、教え子の女学生と結婚する。ところが、結婚した時に処女と童貞だったので初夜がうまくいかない。医者のところに相談しに行って、それがきっかけでセックスの行動に興味を持って、人間の性行動の研究を始めるわけだが…

あくまでも大真面目にセックスの研究をしているうちに、好奇心と研究の一助になれば、と助手の男性と寝たり(そしてその事実を速攻で妻に告白)、挙句の果てに妻とその男性と寝させたり、研究室の人たち同士で夫婦交換を奨励したり、とエスカレート。息子にも変態扱いされる始末。女性の性行動の実際を生で観察までしちゃって。

しかし、世間的に逸脱しているといわれていた同性愛や獣姦に興味を持って、性というのは本当に人それぞれだというとてもリベラルな考えの持ち主だった故、世間の大バッシングを受けたり、共産主義者との関わりを追求されたり、研究資金が下りなくなったりと苦労する。学者バカもここまで来ればすごく立派だと思う。そんな彼についていく妻もたいした度量の持ち主だが、ただ耐えたりするだけではなく、彼の妻らしく大胆な所もあったりするのが小気味良い。調査用のインタビューでも、本当にセックスを楽しんでいて、そのことにまったく罪悪感を持っていない様子が現れていて、すごく魅力的だ。

超堅物の父親とキンゼイの関係、そしてさらに息子との関係に連なって行くところはうまい。特に、ジョン・リスゴー演じる父親に、性行動インタビューをするエピソードはとても切なく胸を打つ。

ラスト近く、レズビアンの女性に感謝されるくだりがとても感動的。しかも、この女性を演じているのが、「ゴッド・アンド・モンスター」で忠実な女中を印象的に演じてオスカーにノミネートされたリン・レッドグレーヴというキャスティングが素晴らしい。

リーアム・ニーソンも、この相当な変人である役を演じるのはすごく大変だっただろうと思うけど、見事に、真面目で頑固ゆえちょっと行き過ぎてしまう、でも誠実な博士を演じていて素晴らしかったと思う。保守的な時代の中で、自分を曲げずに、好奇心の赴くままに突っ走って生き抜いた人は美しい。

それにしても、人間の性行動って面白い。本当に何でもありであり、色んな性愛の形があっていいものだと思わされた。

助手を演じたピーター・サースガード(「ニュースの天才」で好演)の正面全裸(チンコ丸出し)シーンにちょっとびっくり。あれはどう考えてもキンゼイを挑発していたんだね。 とても目つきがセクシーだった。その挑発におずおずと乗るキンゼイがなんだか可愛かった。二人の間に愛はないのに、キスシーンがとても美しくて。

2005/09/11

なみおか映画祭終了

なみおか映画祭には行ったことはないけど、映画好きの友達で行ったことがあるひとはいるので色々とその噂は聞いていた。なんと映画祭でプリントを買い上げて上映しているということですごいことをやっている、素晴らしい映画祭だと聞いていた。ところが、こんなニュースが…。

<なみおか映画祭>今年限り ポルノ上映で補助金打ち切り

全国の映画ファンに親しまれている青森市の「中世の里なみおか映画祭」の実行委員会は8日、映画祭を大幅に縮小し、今年で最後とすることを決めた。日活ロマンポルノを特集する企画に、市教委が補助金130万円を打ち切り、会場も貸さなくなったため。文化庁は日活ポルノの芸術性を認めて補助を決めていた。

映画祭は92年に「映画館のない町で国内にないような映画祭をやろう」と青森市と合併する前の旧浪岡町で始まり、今年が14回目。これまで国内外からフィルムを買い取るなどして上映してきた。今回は11月19日から23日まで、日活の巨匠と言われた神代辰巳監督を取り上げ、22作品を上映する予定だったが、内容を知った市教委が「補助事業にふさわしくない」として、実行委に補助金を出さないことを伝えていた。
(毎日新聞) - 9月8日22時39分更新


神代辰巳作品が補助事業にふさわしくないから会場すら貸さないしそれどころか映画祭も終わらしてしまうなんて、一体どこの星の出来事ですか。
こういうことを決めた人って、たぶん神代どころか日活ロマンポルノすら観たことがないしポルノってつくだけでやらしーものだと思っているんですね。文化庁のお墨付きだってあるのに。
すごく悲しいこと。
神代作品って本当に素晴らしいです。自分が人間という感情をもつ動物に生まれてよかったと思わせてくれます。特に「赫い髪の女」の宮下順子は凄すぎます。何回でも見たい。私はシネパトスで痴漢にあいながら通いつめました。22作品も神代作品が観られるなんてなんて素晴らしいこと!浪岡まで行ってもいいと思いました。それなのに。

濡れ場がそれほど多いわけでもなく芸術として優れていて、(そもそも人間だったらセックスだってするわけだし両親がセックスしたんだから自分が生まれたわけでしょ~)今の時代これほどの素晴らしい作品は作れないと思う。それなのに、これがふさわしくないんだったら何がふさわしいんでしょうか。
それに教育委員会が口を出しているというのが良くわかりません。 教育上よろしくないんだったら年齢制限もうけて上映すればいい話。
今までだって、ロマンポルノのドキュメンタリー「サディスティック&マゾヒスティック」を上映したり、ハードコアなしーんのある映画だって上映してきたんです、この映画祭では。

浪岡町が青森市に吸収合併されてしまったことも背景の一つにあるようですが(だから、平成の大合併なんて弊害ばかりで文化を破壊して回っていてろくなことがひとつもないんだってば)

なんか恥ずかしいです。
こんな考え方が権力をもっているこの国が嫌になってきました。
そのうち自由にものを言うことも出来なくなるような気がしてきました。 選挙の結果だってあんな体たらくだし。
これが日本の現状だよって、諸外国に知ってもらう必要があると思えてきました。

なみおか映画祭
http://nff.jp/
終了にあたってのプログラム・ディレクターのコメントが掲載されています。必読。

2005/09/10

9/8 スペイン情熱のバレエGALA

面白かったです!これで8000円はマジでお得。2回分取ってよかった!と思ったもの。
ダンサーのレベルも高いし、エンターテインメント性もあって、しかも観たことのないオリジナリティあふれる演目の数々。

1. 組曲-コルドバ、1830年代の作曲家不詳のボレロ、パーカッション、宴会
 ローラ・グレコ、マリア・ビボ、マイテ・バホ、ガラ・ビヴァンコス、ナニ・パニョス、
  ラファエル・エステヴェス
2. 「海賊」のパ・ド・ドゥ  (振付:マリウス・プティパ)
  タマラ・ロホ、イゴーリ・エブラ
3. Caught(振付:デヴィッド・パーソンズ)  
  アンヘル・コレーラ
4. パ・ド・ドゥ~そして誰と?~(振付:ナチョ・ドゥアト)
  タマコ・アキヤマ
5. Come again-舞台"モリア"より(振付:ゴ-ヨ・モンテロ)
  ゴ-ヨ・モンテロ
6. 黒鳥-白鳥の湖、第三幕より (振付:マリウス・プティパ)
   ホセ・カルロス・マルティネス/ラウラ・オルミゴン
7. 5つのイサドラ・ダンカン風ブラームスのワルツ(振付:フレデリック・アシュトン)  
  タマラ・ロホ
8. 白鳥XXI(振付:イゴーリ・エブラ)
  イゴーリ・エブラ
9. 調和-ムデハルより(振付:M.A.ベルナ)
 ミゲル・アンヘル・ベルナ、マイテ・バホ
10. 私なりに(振付:ヴィクトリア・エウヘニア)
  ラウラ・オルミゴン
11.粉屋の踊り ファルーカ(<三角帽子>より)(振付:レオニード・マシーン)
  ホセ・カルロス・マルティネス
12.オー・ソーレ・ミオ(振付:マッツ・エック)
  アンナ・ラグーナ
13.ドン・キホーテ パ・ド・ドゥ(振付:マリウス・プティパ)
  アンヘル・コレーラ/シオマラ・レイエス

バレエガラと銘打っているが、全部が全部バレエってわけでもなかった。というか、バレエよりフラメンコ的な演目の方が新鮮で楽しめた。

オープニングは、本に文字が書かれている映像をバックに(これは多分「ドン・キホーテ」なんだろう)、出演者全員がそれぞれの踊りの衣装でポーズをとっている。そして1つ目の演目の人たちを残して去っていく。かっこいい。

ジョゼ・マルティネス(本公演ではホセ・カルロス・マルティネズと表記)は素晴らしいね。黒鳥は相手の方(ラウラ・オルミゴン)がちょっといまいちだったのが残念だったけど、それでもその端正さには満足。「三角帽子」の彼は素晴らしい。ファリヤの曲は変拍子が多くてとても踊りにくいと思うけど、かっこよかった!「三角帽子」の粉屋はカッコ悪い役のはずなおに。スターの輝きだよ。ジュテもふわっと上がっていて気持ちよい。

アンヘルは相変わらずだったけど、アンヘルらしい「コート」を見せてくれた。この作品はドキドキさせられるね、何回見ても。ストロボとのタイミングもばっちりだった。マラーホフの猫ジャンプとは違っていて(振付も違う?)、この作品でも元気いっぱい。 惜しむらくは、出口近辺が明るかったりして、ストロボが焚かれていないときでも完璧な暗さが再現できていないから、ちょっとアンヘルの姿が見えてしまうことだろうか。静止しているアンヘルを見ると、彼がすごく高いところを飛んでいるのがわかるし、アクロバティックなことも軽々とこなしていてやっぱりすごい。脚の反応も熱狂的だ。

「ドン・キホーテ」はシオマラちゃんのキトリが超可愛い。フェッテの時の扇子の使い方ー上にあげて開いて回転する、がまたすごく可愛い。アンヘルとの組み合わせは可愛いコンビって感じで好感が持てる。タマラ・ロホみたいにトリプルとかはいれないけどすごく安定したフェッテで、少しずつ前に進んでいっているのが面白い。
アンヘルは例によって笑っちゃうほどぐるぐる回っていたけど、ABTのときみたいな10回転以上、というのはやっていなかった(9日には10回転やったけど)。ラストのグランフェッテはまた煙が出そう、床にめり込んでしまいそうだった。どうだ!って顔をするところが可愛い。 シオマラとの目配せがすごく楽しそうで、見ていると幸せな気分になる。難を挙げれば全幕のときよりもずいぶんと踊りが雑なことだろうか。

「白鳥XXI」のイーゴリ・イェブラ。パンツ一丁。前半は音楽なしで息遣いが聞こえてきた。すごく体がしなやかで、背が高くて手足が長い(ついでに顔も可愛い)途中からサン・サーンスの動物の謝肉祭(というより「瀕死の白鳥」と言った方がわかりやすいか)の音楽。照明が美しい。繊細で、生っぽくて、男版瀕死の白鳥って所か。でもこれを見ると、やっぱりマシュー版のスワンを思い出しちゃう。(イェブラ自身による振付)次のザ・スワンは彼でどうかしら?

そのイェブラとタマラ・ロホの「海賊」。タマラの回転は相変わらずすごくて、シングル・シングル・トリプルのペースでずっと続けていた。しかも余裕で回っているところがすごいし軸もぶれない。イェブラはアリ役にしてはちょっと華奢だし、衣装、あれはひょっとしてイジメですか?地味な茶色いパンツでアクセサリーも頭飾りもまったくなしで、本物の奴隷みたいだったよ。踊りはとても綺麗なんだけど、細いので迫力があまり感じられないかも。マネージュはふわっとしていてよかった。

タマラ・ロホのイザドラ・ダンカンも薄物のピンクの衣装で、妖艶な妖精って感じの匂い立つ雰囲気があって素敵だったけど、盛り上がる前に終わってしまった感じ。フィリップ・ガモンさんのピアノ演奏も良かった。しかしタマラちゃんはやっぱり女優だね。彼女の撒いた花びらに後でジョゼがすべっていたけど。

あとマッツ・エック作品も面白かった!アナ・ラグーナ最高。スペイン人の皆さんがゲラゲラ笑っていたけど、ここまでインパクトがあってしかも楽しい作品って早々ないと思う。ナチョの作品を踊った秋山珠子さんもよかった。フラメンコっぽい作品もこうやって観ると新鮮だしすごくかっこいい!ゴジョ・モンテロの「Come Again」はダンサーの身体能力の高さにびっくり。あの地を這うような、しかしなめらかな動きは見たことがない。そしてフラメンコ作品「調和」なんか観ている間、あまりのカッコよさにしびれっぱなしだった。フラメンコなんだけど、女性ダンサーがフラメンコの靴ですごいピルエット見せちゃうんだよ。映像で何回繰り返しても多分飽きないと思う。

つなぎにドン・キホーテの寸劇っぽいのが挿入されるのも楽しい。脈々とセルバンデスの世界が展開され、〆に「ドン・キホーテ」のグラン・パ・ド・ドゥに持って行くという構成がうまい。
その寸劇の中でのサンチョ・パンサ役の太ったおじさんがまた踊りが上手なんだ。 凄まじいリズム感!もう一人のナニ・パニョスはヘスス・パストルによく似ている。フラメンコダンサーだということなんだけど、バレエダンサーと同等もしくはそれ以上の身体能力と優雅さ。

でも一番のヒットは観客席のスペイン人たちでしょう。とことん楽しんでいる彼らと一緒に見ることが出来てよかったって感じ。アンヘルの踊りに「かっこいいよ~」って声援を飛ばしていたおじさんも最高でした。カーテンコールでは総立ち。見ていて幸せな舞台だったね。明日も見られると思うとさらに幸せ。

http://www.tate.jp/gala.html

2005/09/09

フェチバトン

友達からいただきました。

■Q1■あなたは何フェチ?

○お尻
○肩甲骨
〇指

後姿にかなりやられます。

■Q2■異性を見る時、まず何処を見る?

○目

■Q3■最近プッシュ出来る部位
これって自分の体のことなんでしょうか?キャー

○ルルベしたときのふくらはぎの筋肉(あんまりついていないんだけど)
〇胸(小さいなりに形は良い)

■Q4■異性の好きな部位5つ

○指
○目
○首筋
○お尻(美しい人だけね)
○腹筋

■Q5■フェチを感じる衣装は?

○白シャツ(基本)
○いい体をしている人限定で、白いTシャツ
○大神源太みたいなあみあみシャツ(ダンサー限定)
○ほっそりした人のジーンズ
○詰襟学生服(美少年限定)←まるでおばさんみたいだ。あ、おばさんといっていい年だけど。
○車掌さんの制服(制服フェチなんだよ。悪かったな)
〇着物

ああああなんだか自分が変態に思えてきた。

2005/09/07

世界ふしぎ発見!「パリ 花の都とオペラ座の怪人」

2005/09/03(土)21:00

地上波のバラエティ番組だと思って録画の用意もしていなくて失敗!なかなか充実した番組だったのだ。

大体こんな内容だった、というのをまとめると、

・オペラ座で働く人たちは、オペラ座には本当に怪人がいるって信じている。
・実際に地下ふかくに水路があって、ナマズが住んでいる。
・怪人の指定席であるボックス席は、思いっきり舞台が見切れる。(が客席からは目立つ席なのでお洒落をしないと!)
・歌姫クリスティーヌには実在のモデルがいた。
・パリオペラ座バレエの衣裳室を紹介。ジュエルズの衣裳を見せてくれたけど、本物のダイヤモンドやルビーを使っているとのこと。(でも、見たところちょっとうそっぽい)
・衣装に緑色は使わない。緑色は緑青の毒で死んだ人がいて縁起が悪いため。 (では「ジュエルズ」のエメラルドはどうするの?)
・同じくロープのことをロープって言わない。これも縁起が悪いため
・昔のカツラって本当にすごいボリュームでしかもキテレツ。

・パリオペラ座学校への取材。プラテル校長登場。ちょっと痩せて疲れた感じ?8歳で男女15人ずつ入学して卒業できるのは6人、POBに入団したのは去年は3人だとのことです。
生徒の姿は見られたけど、団員が映らなかったのはちょっと残念。
・一番上のフロア、ガラス張りのドームの下がバレエの稽古場。実際の舞台の傾斜を再現しているとのこと。光が
さしていて気持ちよさそうな空間。
・屋上では、蜂蜜を作っていて、この蜂蜜がオペラ座名物に。(実際に買った人の話だと値段は高くて、味は普通だそうです。でもパッケージはお洒落でかわいい)
・クイズで、「ラ・シルフィード」(番組中では「シルフィッド」って呼んでいた)という作品ではじめて導入されたある技術があるそれは鉄鋼の技術の進歩に伴って実現した技術だ、というのがあって、バレエを観ている人ならわかると思うけど正解はピアノ線を使った宙乗り。さすがに、宮本亜門や黒柳徹子といった舞台人は全員正解していた。

実際にこれでガルニエにいって見たらさらに楽しめることでしょうね。行きたくなってしまいました。

2005/09/01

踊り強化週間

今週末にクラスのプチ発表会があるので、週3回ペースでクラスに通っていた。今年の1月末から始めたのだが、今年の前半はマシュー白鳥にNY行きにABT来日で、レッスンなんて週に1回くらいしか行っていないものだから、全然上達しない。一つヴァリエーションを踊るだけなのだけど、まず振りが全然覚えられない。先週の土曜日に一人で通しで踊ったら、途中で一つ間違えたらもうズタボロになってしまって、半泣き状態。今も必死にカンニングペーパーを頼りにおさらい中。

普段はバレエを観て偉そうなことを言っているのだけど、いざ自分が踊るとなると本当に情けなくて情けなくて。まず最大の問題は指先がきれいではないことだ。手にどうしても力が入ってしまう。アラベスク一つとっても、なんだか踊りが流れてしまって丁寧さに欠ける。音に合わせることだってできていない。こうやって書いているとますます落ち込んでしまう。完全なアンドォールだってできていないんだからしょうがないよね。

たまに会社のトイレとか廊下でも踊っているのだ~。

週に3回の稽古に加えて、日曜日には別口で「踊る研究会」にも参加して2日に1回くらい踊っていると、さすがにすごい筋肉痛だ。ふくらはぎはパンパンだし、つま先も痛い。夜になると早く眠くなるし昼間仕事をしていても眠い(苦笑)。

曲は「白鳥の湖」のパ・ド・トロワ。ABTだったらエルマン・コルネホのすごい跳躍とか、エリカ・コルネホの驚異的な脚力が見られる個所。マシュー・ボーンだったら、劇中劇「蛾」でギャヴくんが踊っているところだ。

とりあえず発表会終わるまでは頑張らないと、恥掻いちゃうわ。あ、狭いスタジオでの内輪の会なので、残念ながら部外者は見られません。お見せできるようなものでもないのですが。衣装は綺麗なんだけどね。ホールでやる発表会は来年の春の予定らしい。

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