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2005年8月

2005/08/28

マシュー・ボーン「白鳥の湖」2005/2006ツアーキャスト

New Adventuresのサイトで発表になりましたね。

The Swan/Stranger --
Jason Piper
Alan Vincent

The Prince --
Simon Wakefield
Neil Penlington

The Queen --
Oxana Panchenko - 1st 6 weeks of USA tour
Isabel Mortimer - some UK weeks plus 2nd half of Paris
Saranne Curtin - some UK weeks plus 1st half of Paris

The Girlfriend --
Leigh Daniels

The Private Secretary --
Alan Mosley

ところで気になるのは、王子のアンダースタディ。サミュエル・プラントとドミニク・ノースだよ。
ドミニクは将来のザ・スワン候補と言われているようだけど、まずは王子か!
今回の新しい王子、ニール・ペリントンはいまいちいじけているルックスが気に入らないし、もうひとりの新しい人は情報が入っていないのでなんともいえない、ということは、代役二人の方が見たいかも!
さらに、スワンNo.3にグレン・グラハム、スワンNo.4にピーター・ファーネス。これってザ・スワンのアンダースタディってことなんでしょうか?ピーターさんダイナミックな踊りで好きだけど、癒し系のルックスなのでザ・ストレンジャーが想像しにくいんだけど。しかも執事のアンダーでもあるし。

それと、ホセ。実はホセがパリ後半から出るらしいという情報をつかんでいたので、真相はいかに?勅使河原さんの公演との重なり具合を見ると、たしかに12月中旬からはスケジュールは空いているようだけど。

出ないつもりだと聞いていたキャストも今回出演しているし、なかなかそそられるんだけど、でもアランのザ・スワン…う~む実際この目で見ていないからなんともいえないけど。ジュテが地を這うようだったと聞いているだけに不安だ。アランがダブルキャストで入っていると聞いた時点で(そしてクリスが出なさそうな時点で)、ロンドンやパリまで出かけて観に行く可能性は大幅に減ってしまったのが正直なところ。

備忘録代わりに、バレエ動画リンク

アンヘル・コレーラ出演の、ロレックスのCM
ちょっと「マトリックス」調?かなりお金がかかって凝っています。
アンヘルの華麗な跳躍がたっぷり堪能できます。

ロイヤル・バレエの韓国公演のサイトから。「マノン」と「シンデレラ

ボリショイ・バレエのやはり韓国公演のサイトから、「スパルタクス」と「ジゼル」。
韓国はブロードバンド盛んだから、いいですよね。

サドラーズ・ウェルズ劇場のサイトから、「愛と幻想のシルフィード

8/18東京バレエ団「眠れる森の美女」

どうも最近文章を書こうというモチベーションが泣く、更新が滞ってしまっている。
この間の東京バレエ団の「眠れる森の美女」も気がついたら時機を逸してしまった。

ルグリ様は素晴らしかった。立っているだけで気品を体現できる方。体の隅々まで気配りが行き届いていて一つ一つの仕草も、これ以上美しい軌跡を描くことがあるのかと思えるくらい。美しさを体で表現できる稀有な方です。小出さんに対しては先生モードが入っていたが愛情たっぷり。怪我がまだ回復しきっていないようで、跳躍などは押さえ目だったけど、眠りの王子はこれくらい控えめな方がいいのよ。

とはいっても、やっぱり東京バレエ団版の眠りは、王子が3幕まで登場しないし、省略されたシーンがあまりにも多くてせっかくのルグリ様の使い方としては実にもったいない。だから、直前まで行くかどうしようか迷ってチケットを取らなかったんだが。もっとルグリ様が見たかった。逆に1幕はカラボスが出てくるまで退屈で退屈で。もともと「眠り」は退屈な演目だと私は思っていたのだが、退屈さを我慢すれば素晴らしい3幕が観られると思うと我慢できた。それなのに…せめてルグリの出番がもう少し多ければ。森の中のシーンもなんだか意味不明。カラボスをどうやって退治したのか、ということすらよくわからなかった。

あと特徴的なのは、カラボスがまるでオディールのように黒いチュチュを着ているというところ。カラボス役の井脇幸江さんが実にカッコいい。手下どもにリフトされつつ、デヴロッぺしまくり、踊りまくり。ただし、この役は彼女くらい存在感のあるダンサーでないと、逆に滑稽になってしまう危険性があると思った。

小出領子のオーロラは、愛らしくてお姫様らしい品と、初々しさと、ほどよいキラキラ感があってよかった。かなり緊張しているようで、笑顔が少なめだったのは残念だが、踊りにはこれといって欠点がない。ローズアダージオも、緊張感を漂わせながらも、頑張っていてバランスもよくできていた。ルグリ様のサポートの良さもあって、3幕のフィッシュダイブもきれいにきまった。彼女を見ていると、吉田都さんのように長い間愛されるバレリーナになってくれるのではないかという気すらしてくる。

4人の花婿候補が高岸直樹、木村和夫、後藤晴雄、野辺誠治という錚々たる顔ぶれ。高岸さんの濃い演技が面白かった。でもオーロラを見守る目は、花婿というより父親って感じだったけど!

演出上の難はあるものの、主役二人が素晴らしかったので、幸福感に満たされた舞台であった。

衣装や装置のしょぼさはこの際忘れてあげよう。王様、女王様の衣装はさすがにあまりにもセンスがひどくて、気の毒な感じではあったが。

2005/08/22

ダンシング・ハバナ Dirty Dancing : Havana Nights

ここにきてようやく映画づいてきたって感じ。
ラテン系注目俳優のディエゴ・ルナ主演のハリウッド映画ということで観に行きたいと思っていたのだ。

ホントにディエゴ君は最高に可愛い!ちょっとタレ目で眠たげな目。上目遣いされちゃっただけですっかりノックアウトされてしまった。ほっそりとしたあごと小さな口に薄い唇、エクボが素敵。「天国の口、楽園の終わり」(この邦題嫌い)で共演していたガエル・ガルシア・ベルナルも可愛いけど、ディエゴのほうが、より私の好みかもしれない。踊りが得意な役柄ということで、当然ながらナイスバディである。キュートなセクシーさだ。実年齢25歳ということだけど、10代で通用しそう。

実はこの映画「ダーティ・ダンシング」のリメイクなのである。オリジナルに敬意を表して、パトリック・スウェイジがダンス教師役で出演していた。20年近く経過しているのですっかりおっさんになってしまったが、さすがスクール・オブ・アメリカン・バレエ出身だけあって踊りは恐ろしくうまい。それに比べるとディエゴ君は踊りのほうはもう少し頑張れって感じ。

1958年、キューバ革命前夜が舞台。父親の転勤でキューバに家族で引っ越すことになった優等生のケイティが、偶然街で見かけたハビエルのダンスに魅せられ、親に内緒でダンスコンクールに出場することになったというストーリー。真面目で内気な女の子が、ラテンダンスを知りハビエルとの出会いの中で少しずつ自分を解放していくというもの。だんだん大胆になって行くケイティが魅力的。彼女の両親は、もともとはダンサーだった。だが、彼らを含むアメリカ人たちは露骨に現地人を見下しているし、キューバの人たちはアメリカの傀儡政権の下で独立運動を繰り広げているという時代背景。一種の“身分違いの恋”的な要素もあるわけだ。上映時間が短くて十分描き切れていないところもあるけれど、ダンスの持つ魔力は伝わってくるものがあると思う。あとは、せっかくのダンスシーンがカット割が多くて上半身しか映っていないところが多いのが残念。

なんてことはない映画なのかもしれないけど、キューバのクラブでのセクシーなサルサのシーンには圧倒された。ダンスって見るのも踊るのも楽しいしワクワクさせられるな、と楽しめた一本。音楽も、サルサからソン(「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に出てきた音楽)など、魅力的な曲が盛りだくさん。さらにディエゴくんの魅力満開だから、個人的にはすごく気に入った。

2005/08/21

ランド・オブ・ザ・デッド LAND OF THE DEAD

以前はホラー映画全然ダメだったのに、最近は全然平気になってきてしまった。アルジェントあたりがきっかけだったかな?特にゴア系(死体ぐちゃぐちゃ系)は苦手だったはずなのに。

ゾンビの父、ジョージ・A・ロメロ監督の最新作。というわけで元祖ゾンビ。最近のゾンビは走ったりするらしいけど、この映画は正統派ゾンビなので、集団でのしのし歩くだけ。その代わり、かなーり頭がいい。ゾンビは水がダメだったはずなのに、みんなで川を渡ったりする。そのうち兵士から銃を奪って武器の使い方も身につける。ゾンビの親玉は“ビッグ・ダディ”と呼ばれる黒人のおっさんなのだが、こいつが一番頭がいい。その上、そこはかとない哀愁も漂わせている。ゾンビを撃退するのに花火を使っているというのがお祭りっぽくていい。花火好きのゾンビなんてちょっと可愛い。

話としては一応文明批評みたいなところがあるのか?電気が通っているフェンスで封鎖された街があって、金持ちは、でかいタワーを中心にいい暮らしをしているけど貧乏な連中は隔離されてスラム暮らしをしている。金持ちの親玉がデニス・ホッパーというのがちょっと違和感。せこそうではあるが悪い奴に見えないし。ホッパーはこっち側の人間でしょう。
そいつのために使われている鉄砲玉チョロがジョン・レグイザモというキャスティングはいいと思う。葉巻を拾わせたせいで手下を犠牲にしちゃったりとかなりやなやつではあるんだけど、実質主役でおいしいところは(ビッグ・ダディの次に)持っていっている。

ゾンビと店で戦わされているねーちゃんにアーシア・アルジェント様。登場したところはなかなかいい感じだったのだが、活躍が少なく、結局はアーシア様の無駄遣いでもったいなかったかも。

上映時間が93分しかなくて、ちょっと短すぎる、なんだかあっさりと終わってしまって(終わり方は言わないけど微妙にバッドエンド)それがちょっと物足りない。テンポはすごくいいので飽きずに見ていられるし、ゾンビ軍団が高級ショッピングセンターに押し入って金持ち連中を殺戮して行くところはなかなか気持ちいいんだけど。ゴアシーンはふんだんにあるけど(PG-12なんで見せない工夫はしつつも残酷。へそピアス引きちぎりとか痛そう!)、怖さは全然ない。

でもゾンビマニアは必見でしょう。ちょっとギャルっぽい金髪ゾンビはなかなか可愛い。

2005/08/18

「妖怪大戦争」

三池崇史大先生の新作は超大作!ということで否が応にも期待は膨らみっぱなし。評判もいいようだし。でも三池先生には脱力作品をたくさん作られたという過去もあるのでちょっと心配になりつつも観に行ってきた。

「DEAD OR ALIVE」じゃん、これ。
夏休み全国公開映画(一応ファミリー向け)でよくもまあこんなことやったな。天晴れだ。

基本的には普通に面白い娯楽映画だと思う。三池は子供の心理を描くのがとても上手くて、両親の離婚で姉と離れて田舎で暮らさなければならない寂しさとか、ほのかな異性への興味の芽生えとか、すごく繊細に描いていると思う。タダシを演じている神木隆之介も演技は上手だしカワイイ。麒麟送子の衣装がよく似合っている。

妖怪さんがこれでもか!とたくさん出てくるのは壮観。妖怪さんって出ているだけでなんか楽しいというか、うれしくなっちゃう。一反もめんとか、空を飛んじゃうんだよ。中には顔を青く塗っただけの竹中直人とかもいたけど。ついでにいうと、特殊メイクしなくてもそのまま出てきただけで妖怪として通用するような方々も…

三輪明日美のろくろっ首は妖しくていいね。タダシくんの顔をペロペロなめちゃって。ちょっとしか出ないけどただ佇んでいるだけの雪女もきれいだったし、いつも瞳とふとももが濡れている川姫はとてもかわいかった。アギの栗山千明は微妙。お肌が汚い…。

すねこすりは鬼のように可愛い。ぬいぐるみがあったら欲しいくらい。もちろん、きゅんきゅん鳴くやつ。

それにしても「妖怪大戦争」の正体があれだったとは!戦争というより祭りだワッショイだというのがアナーキーでよろしい。日本中の妖怪が東京に集結しているところはホント実際に観てみたい。ビール(キリン限定)を飲むと妖怪が見えるのなら、私も普段は飲まないビールを飲んでみてもいいかも。

魔人加藤保憲を演じる豊川悦司、ハマリ役。もともとのあのちょっと酷薄そうな顔つきがピッタリ。でもせっかくなら、島田久作もカメオ出演して欲しかった。

クライマックス近くの水木しげるのせりふ
「戦争は腹が減るだけ」はいいですな。
一瞬「シベリア超特急」の水野晴郎の「戦争反対」大演説を思い出しちゃったけど。

妖怪大戦争、といっても悪い妖怪は一人も出てこないところがポイント。
作り手の妖怪への愛がそこらじゅうにあふれているのを感じて、思わず微笑みたくなってしまう、そんな映画だった。もちろん、続編希望!

2005/08/17

7月26日 ABTフリオ・ボッカ最後の「ドン・キホーテ」

キトリ : パロマ・ヘレーラ
バジル (理髪師,キトリの恋人) : フリオ・ボッカ
メルセデス (踊り子コ : カルメン・コレーラ
エスパーダ (闘牛士) : マルセロ・ゴメス
ドン・キホーテ : ヴィクター・バービー
サンチョ・パンサ (ドン・キホーテの従者) : フラヴィオ・サラザール
ガマーシュ (裕福な貴族キゾク) : ギョーム・グラファン
ロレンソ (キトリの父) : アイザック・スタッパス
木の精セイの女王 : ヴェロニカ・パールト
アムール : アン・ミレウスキ
花売り娘 : マリア・リチェット エリカ・コルネホ
ジプシーの踊り : ルチアーナ・パリス エルマン・コルネホ

実はこれが私にとって今回のABT来日公演のメーンイベント。92年の来日公演でお見かけして以来ずっと憧れの人であったボッカ様の最後のバジルなのだ。しかも、彼のバジルを観るのは初めてでもある。その花道を飾るべく、他のキャストも超豪華。エスパーダにマルセロ・ゴメス、リード・ジプシーにエルマン・コルネホと主役を晴れるプリンシパル(しかも二人とも超ラブ)を持ってきている。

フリオ様のバジルは、外見こそやや老けているものの、元気いっぱいピチピチ弾けている。ノリノリのイケイケだ。花売り娘の二人を従えて踊る時には、おじさんが若い娘を二人はべらして鼻の下を伸ばしているように見えなくもないけど。素晴らしいのは、ピルエットの正確さ。軸がまっすぐで、寸分のずれもなく美しいしスピードも完全にコントロールされていて、エリカ・コルネホとマリア・リチェットの若い実力派の二人に決して引けを取らないどころかぐいぐい引っ張っているのがわかるところ。だから、舞台がすごく生き生きする。
もともとサポートの上手さには定評がある彼なので、片手で高々とキトリをリフトするところも余裕だ。2幕の勢いのついたフィッシュダイブもばっちりでまったく不安に思うことなく観ていられる。

何より、独特の茶目っ気が最高!2幕の狂言自殺のシーンでは、かみそりでわき腹を刺した振りをすると、指揮者に指示して音楽を一旦止めさせてしまい、マントを敷いて横になってから、誰も観ていないことを確認して再び音楽を演奏させるという芸の細かいところを見せてくれた。3幕のグラン・パ・ド・ドゥでのマネージュでは、ものすごく高速で回っているというのに、途中で飲み物をぐいっと飲んで見せたりと、逆に自分の演技にすごい自信がなければできないことをやってみせた。

ちょっとスタミナ不足の部分はあるようだけど(例によって1幕の途中から汗だく状態)、それを除けば彼のバジルは最高!お茶目で軽薄で、でもビシッと決めなければならないところはちゃんとキメる。顔の表情一つ観ていても豊かで飽きない。エンターテインメントとして一級品だ。まだまだやれるのに、これで終わりだなんて、あまりにももったいなさ過ぎる。グラン・パ・ド・ドゥのピルエットもバネが効いていて鮮やかで、火花が散るようだった。

パロマ・ヘレーラのキトリははまり役のはずなのに、なんだか今一歩だった。今回やっぱり不調?もちろんグランフェッテではダブルをたくさん入れていてくるくると速く回っているのだが、なんで雑に見えてしまうのだろう。雰囲気はすごくキトリらしくていいのだけど。あと、ボッカとのパートナーシップは、さすがアルゼンチン人同士で鉄壁ではある。

エスパーダのマルセロ・ゴメス。やっぱり彼にはバジルをやって欲しかったな。エスパーダはカッコいい役だけど、踊りのシーンが少ないのよね。マルセロは背が高いので、彼がマントを振り回すとマントがとても小さく見えるのがちょっと笑える。(ついでに、ステージもすごく狭く見える)2幕のソロなどは惚れ惚れするほどのいい男加減で、着地しての決めポーズがビシッと決まっている。白い闘牛士の衣装も凛々しく素敵。メルセデスのカルメン・コレーラは似合っているかな、と思いきやそうでもなかった。長身なのだけどちょっと細すぎるのと、踊りがやや雑。

そしてフリオ様に続く今日の功労者はなんと言ってもエルマン・コルネホ!ABTの現在のヴァージョンのドン・キホーテを観るのが初めてなのだが、リードジプシーのシーンは非常に短いながらも、すべての記憶をもさらっていってしまう鮮烈な踊りである。彼の辞書には重力という言葉が存在しないかのようなふわっとした跳躍、空を切る鮮やかで高らかなトゥール・ザン・レール。この一瞬で、エルマン・コルネホというダンサーの存在は誰もの心の中にも永遠に刻まれたことであろう。

前述の花売り娘二人は、可愛らしくテクニック的にも非常に安定していて言うことなし。森の女王ヴェロニカ・パールトは気品があって美しいが、やっぱりイタリアン・フェッテはちょっと苦しそう。アムール(キューピッド)のアン・ミレウスキはとても愛らしく踊りもキビキビしていていいし、ジプシー娘のルチアーナ・パリスもしなやかでワイルドで魅力的だった。闘牛士の踊りは、今日はファーストキャストでクレイグ・サルスタテイン、ダニー・ティドウェル、エリック・アンダーウッドら活きがいいメンバーが揃った。(でも踊りは笑っちゃうくらい揃っていないけど)

そして忘れてはならないのが、ドン・キホーテ役のヴィクター・バービーである。演技派で、かつてのダンスール・ノーブルだけあって動きがとても綺麗だった。この版はキャラクター・ダンサーが目立った活躍をしており、キトリのパパ、ロレンツォ役はDVD「白鳥の湖」で化け物ロットバルトを踊ったアイザック・スタッパス。実際には若くてハンサムな人なのだが、キャラクターロールをやらせると上手なんだな。

プロダクション全体の話をすると、街並みがくすんだ色使いで衣装もパステルカラーでバラバラの色なので、ちょっと華やかさに欠ける気がする。それよりも困ったのが2幕で、ジプシーの野営地のシーンが暗く、ジプシーたちの顔が判別できない。(ついでに言うと、ジプシーたちがみな謎の長髪で上半身裸、なんだか暴走族の集団みたいだ)夢のシーンも、ちょっと薄暗いしドゥルシネアや森の女王始めコール・ドの衣装にいたるまで暗い水色なので、夢のシーンで想像するキラキラした部分がないのがちょっと…だ。

ボッカ最後のバジルということで、カーテンコールのときに「感動をありがとう」という大きな看板が下りてきて紙吹雪が舞った。ボッカ様もさすがにちょっと驚いたみたいだったけど、本当に感慨ひとしおって感じ。大きな花束を持った女性たちが舞台のほうに駆け寄ってきて、観客たちはみなスタンディングオベーションで、この素晴らしいバジルへ惜しみない拍手。本当にありがとう、フリオ様。引退なんて言っていないで、まだまだ他の役はいっぱい踊ってね。

2005/08/14

「運命じゃない人」

久しぶりに映画を見ちゃったよ。最近まったく映画を見る気にならなくて、でもこの映画が評判がよいのは知っていたし友達からも面白いよってメールをもらっていて。
なんか決められた時間に映画館に行くのが面倒なのである。時間を守るのが苦手という自分の性格のせいなのだが。

土曜日はいつも昼過ぎまで寝ているくせに、洗濯したり掃除したりゴミを捨てたりでやたら忙しい。気がついたら目の前でバスが走り去ってしまって、このままでは上映時間に間に合わない。あきらめて別の作品を観ようと思って部屋に戻ってネットで時間の検索をしたのだが、見たい作品がほとんどなくて、あっても時間が合わないのだ。そう、映画ってなんでいつも観ようと思っても時間が合わないんだ!だから観に行かないんだよね。なんで、見ようと思った時に映画は始まらないのか?だから皆映画はシネコンにしか行かないんだよ。シネコンだったら大抵何かの映画は、その時にちょうど始まるわけだから行きやすいよね。

気を取り直して再度渋谷行きに挑戦し、何とか上映開始時間に滑り込んだ。狭い方のスクリーンになっているので立ち見になってしまう。

いやあ、面白かった。なにがどう面白かったと説明するのも野暮な面白さだ。宮田君という天然記念物みたいに真面目で要領の悪そうな男性がいて、彼を中心に5人の登場人物それぞれの視点で話がコロコロ展開するのだが、軸となっているのが彼なのがこの映画の成功した要因だと思う。

「おい、早く地球に住みなさい!」

物語の終盤、あまりの人の良さに、宮田君は親友の探偵、神田君にこう説教される。この神田君の言っている台詞の一つ一つが格言みたいで面白い。
「30過ぎたら出会いなんて文化祭もないんだし絶対にない!」
「電話番号をなめるな」
それを一つ一つ真に受ける宮田君。

5人の登場人物の視点と時制のずれをねらった演出は、誰もがタランティーノ的だって言うだろうけど、「間」が絶妙なんだ。

一見コワモテでカッコいいやくざが実は非常にせこくて哀愁がただよっているところも面白いね。

恋愛がどうのこうの、なんてことより私はこの宮田君&神田君コンビのいい味出し加減が気に入った。この二人のコンビの続編が見たい。

ユカリューシャ

だめだ。やっぱり私はどうしても斎藤友佳理がだめだ。 妖怪にしか見えない。
「カルメン」は先日ラカッラのプティ版のを観たばっかりで演出が違えども、なんか完全に別世界で。ストレートプレイや「白鳥の湖」の王子役で新境地を開いた首藤さんの演技が素晴らしかっただけに、きつかった。

「ラ・シルフィード」でのマチュー・ガニオとの組み合わせも、もうほとんど親子って感じ。こんなに麗しい青年があんな物の怪のようなものに 惹かれるわけないだろって思ってしまう。マチューは足先は惚れ惚れするくらい綺麗で、彼の足ばっかり見ていた。上半身は不安定。

「椿姫」も去年のルグリ&ルディエール、先日のイリ&ラカッラ のを観たばかりだし。なんかなまじルグリが出ているだけにさらに許せないものを感じてしまった。
上半身がなんだか不安定なのが観ていて辛い。ポール・ド・ブラも美しくない。すごく癖がある踊りだ。
脚のほうは決して悪くないんだけど。 なにより、和風の白塗りお化けみたいな顔がダメ。いくらバレエに顔は関係ないからって言ったってね。 (そういうことを想定して、わざわざ顔が見えにくい2階最後列のチケットを買ったんだけど)

あ~久しぶりに言いたい放題言ったらちょっとスッキリ。

東京バレエ団のみなさまは全体的にはよかったと思う。 上野水香は相変わらず踊りが雑だけどね。脚を振り上げればいいってもんじゃないんだってば。 パ・ド・カトルの吉岡美佳さんが丁寧な踊りで、とてもよかった。小出さんも踊りがとても安定していていい。

7/24ABT「ライモンダ」は…。

ライモンダ(ドリス伯爵の一人娘) : ヴェロニカ・パールト
ジャン・ド・ブリエンヌ (ライモンダの恋人) : マルセロ・ゴメス
アブデラフマン (サラセン人の騎士) : ゲンナジー・サヴェリエフ
アンリエット (ライモンダの友人) : マリア・リチェット
クレマンス (ライモンダの友人) : アンナ・リセイカ
ベルナール (ライモンダの友人/吟遊詩人) : デイヴィッド・ホールバーグ
ベランジェ (ライモンダの友人/吟遊詩人) : ダニー・ティドウェル
シビル・ド・ドリス伯爵夫人 : ジョージナ・パーキンソン
白い貴婦人 (ドリス家の守護者) : カルメン・コレーラ
家令 : カーク・ピーターソン
サラセンの踊り : ローラ・ヒダルゴ アーロン・スコット
スペインの踊り : クリスティー・ブーン ジーザス・パスター
ハンガリーの踊り : サッシャ・ドマハウスキ サッシャ・ラデッキー

昼公演の休み時間に、夜観に行きたいけど安い当日券残っていないかしら?と昼の「エトワール・ガラ」を観に行っている友人に聞かれ、チケット売り場で残席状況をチェックしていたら、知らないおじさんに「夜いけなくなったからあげるよ」とチケットをいただいてしまった。しかもS席で前方(しかし段差はしっかりある)のど真ん中という極上席である。なんとラッキーなことか。

しかしこの日はまたまたハプニング続きだった。

当初ニーナ・アナニアシヴィリが出演の予定が、ニーナが出演をキャンセルしたためにキャストが大幅にシャッフルされ、ライモンダはヴェロニカ・パールト、ジャンはマルセロ・ゴメスそしてアブデラーマンは一瞬タマシュ・ソリモシになっていたが、結局当初予定されていたゲンナディ・サヴェリエフに。ヴェロニカは推定身長175cmと大柄なので、相手役を務められるのは長身のマルセロ・ゴメスしかいないのだろう。

ヴェロニカはキーロフ出身で、手足が長く上半身特にポール・ド・ブラの使い方が非常に美しいダンサーである。また、気品のある美貌の持ち主で外見的にはライモンダにぴったりだ。ただし、決定的に下半身特にポアントが弱い。ライモンダのようにポアント使いが非常に重要な役柄には正直辛い配役なのだ。とにかくいっぱいいっぱいで踊っているって感じだ。その代わり、お姫様らしい気品は十分ある。

ジャン役のマルセロ。ABTの中でも個人的にお気に入りの一人。貴公子から悪魔まで演じ分けられる演技力、長身マッチョなのにノーブルなところが魅力的だ。加えて脚のラインの美しさ。サポートが非常に上手で上背があるといえども、ヴェロニカも大きいためちょっと苦労していたところもあった。が、アブデラーマン登場でライバルに対する嫉妬をメラメラ燃やしていたり、彼のほうに傾いているライモンダを見ておろおろしたりと演技がいちいち面白い。ちょっとやんちゃなところがありつつも、跳躍は思いっきりダイナミックで、気持ちいいくらいすっと開いた脚にほれぼれとする。

ゲンナディ・サヴリエフ。この人は、いつも踊りが安定していて、安心してみていられる人だ。その上ボリショイ仕込みの男らしさと華麗なテクニックの持ち主である。彼のアブデラーマンは実直で真面目な男で、すごく堂々とライモンダに求愛している。部下にも尊敬されている立派で高潔な人物だ。ところが、今日の舞台には魔物が潜んでいたらしい。1幕の登場してから一番最初のソロでアブデラーマンが滑った。転びはしなかったものの、決してミスをしないのがサヴリエフだと思っていたのに。

災難は続く。スペインの踊りで女性ソリストが見事にすっ転んだ。舞台中央でのあれほどの派手な転倒はなかなか見られない。

アブデラーマンとジャンの決闘。この二人の決闘だと、なんだかジャンの方が青二才でアブデラーマンのほうが貴族に見える。サヴリエフは得意の体を斜めに向けた超絶技巧トゥール・ザン・レールを決めて会場がどよめいたが、比較的あっさりと死んでしまった。ゲンナディもマルセロも踊りが美しい二人なので、この二人の対決シーンはまるで舞いを見ているみたいで、血なまぐさいはずなのにちょっとうっとり。

そして最大の悲劇。結婚式のクライマックス、ライモンダのヴァリエーションでやっちゃった。なんだかヴェロニカがポアントに乗り切れていなくてよれよれになっている、もうちょっとで終わるからがんばれ~と思っていた矢先に転んでしまったのだった…。うううう。本当に今日は転ぶ人だらけ。床に何か仕掛けでもあるのか?

なんだかそれから頭が真っ白になってしまって覚えていないよ。ちうか、思い出したくないのかもしれない。せっかく愛するマルセロの主役の日なのに…。なんだか暗い気持ちで帰途につくことになった。大好きなABT来日公演なのにこの晴れない思いはなんなんだろう。ただラストシーンのマルセロの優しい笑顔だけが頭に焼きついた。

2005/08/12

ABTライモンダ7/24マチネ

2日間で3回もあのパステルカラー地獄のライモンダを観てしまうのだから我ながらアホだと思うのだが、やっぱりこのキャストだったら見逃すわけに行かない。

ライモンダ(ドリス伯爵の一人娘) : パロマ・ヘレーラ
ジャン・ド・ブリエンヌ (ライモンダの恋人) : ホセ・カレーニョ
アブデラフマン (サラセン人の騎士) : フリオ・ボッカ
アンリエット (ライモンダの友人) : ミスティー・コープランド
クレマンス (ライモンダの友人) : サラ・レーン
ベルナール (ライモンダの友人/吟遊詩人) : クレイグ・サルスティン
ベランジェ (ライモンダの友人/吟遊詩人) : カルロス・ロペス
シビル・ド・ドリス伯爵夫人 : ジェニファー・アレキサンダー
白い貴婦人 (ドリス家の守護者シュゴシャ) : アンナ・リセイカ
家令 : ギョーム・グラファン
サラセンの踊り : ルチアーナ・パリス ダニー・ティドウェル
スペインの踊り : カルメン・コレーラ ヴィタリー・クラウチェンカ
ハンガリーの踊り : カリン・エリス=ウェンツ ジーザス・パスター

マチネは、本当はABTのプリンシパルの中でも一番の貴公子マキシム・ベロセルコフスキーがジャンを踊るはずだったのに、金曜日のシンフォニエッタで怪我をしてしまったらしく、突然のキャスト変更となった。代役は、もともと出演する予定だったのにニーナが出演しなくなったことでキャンセルとなっていたホセ・カレーニョが復活。たしかに、ホセさまも貴公子ではある。

いやはやホセ様はいつ観てもノーブルで端正である。ただ、「ライモンダ」という演目は実は主人公の片方ジャンの役は極めてつまらないわけで、ただ貴公子に見えているのに残酷に恋のライバルを殺しちゃうって一点だけが変わっているくらいだ。3幕の結婚式シーンでは親の敵を取ったような勢いで踊りまくるけど、アブデラーマン殺しと結婚式以外は大して見せ場もない。いってみればホセ様の無駄遣いだ…。

タイトルロールのライモンダはというと、さすがにいろいろと派手なテクニック見せびらかしシーンもあるし1幕から色んな人にリフトされまくるし衣装だっていっぱい変わる。ところが、23日の日記にも書いたとおり、このアンナ・マリー・ホームズバージョンは、ライモンダがセクシーな異邦人に転びかけたり、宝石とか見てよろめいたりとかなりしょうもないお姉ちゃんという設定だ。
で、演じるのはパロマ・ヘレーラ。今回、パロマはめっちゃ調子が悪い。去年のMETで観た時などはとても精緻な踊りをする人という印象が強くて可愛らしく、好感をもてたのだが、とにかく来日公演では踊りが雑なのである。回転系は得意だし動きはすごく速いのだが上半身が揺らいじゃって、あまりきれいではない。1幕で言えば夢のシーンでのヴェールの扱いが乱暴なのだ。

というわけで、なんといってもこの日の儲け役はアブデラーマンのフリオ・ボッカおじさんだ。あのウルトラマンのように真っ赤な衣装と大げさな冠。マントは小柄な彼には大きすぎてまるでマントが踊っているみたい。それでも、登場した瞬間にすごいやつが出てきたって感じの禍禍しさと過剰なおやじフェロモンを撒き散らしていて強烈。目力がすごい。あの真剣すぎるまなざしで見つめられたらそれだけでくるくるくるくる…と永遠に回っちゃいそうだ。彼の熱烈な求愛によろっときて、思わず「はい」って言ってしまいそうになって母親にたしなめられるライモンダ。しぐさのひとつひとつに重みと威厳があるし、体は小さいのに動きはいちいちダイナミックだ。そう、もちろんこの日は、この人を観るためにチケットを取ったのである。そして見事彼は期待に応えてくれたのだった。

23日のへススが、すごく真面目で一途な甘い若造アブデラーマンなら、この日のフリオは、熱くてワイルドでひとみの中にメラメラと炎が燃えているような勇者って感じで、同じ役柄でこうも違うかと思った。もう年なはずなのに、ソロも跳躍が高くダイナミックで迫力があり、2幕ではライモンダを本当にさらっていってしまいそうな勢いだった。ジャンと激しく決闘して倒れ、死んで行くときでも、そのメラメラ視線を最後までライモンダから離さず、じりじりと彼女に向かって這いつくばりながら絶命した。あんなに愛を捧げてくれた男が、自分の恋人に殺されちゃうもんだから、そりゃもうショックというか死んで行くところの熱い瞳が一生頭から離れないでしょう。

というわけで、フリオ・ボッカの印象ばかり残って後はあまり頭に残らないようなライモンダでした。見せ場の結婚式でのヴァリエーションも、もちろんパロマはちゃんとこなしていたが、未だアブデラーマンの死から立ち直っていないって感じで、100%ハッピーではなさそうだ。

サラセンの踊りのダニー・ティドウェルの踊りは弾けていて、かつとても丁寧なパで、短いのに見ごたえがあり、もっと彼のダンスを観たい!って思いにさせられた。白の貴婦人アンナ・リセイカ。とても品がよく優雅な踊りをする人で、威厳も感じられて素敵だったと思う。ヘススのハンガリーは、まあ、振付自体があまり魅力的ではないので評価はできない。

ホセ様はノーブルで端正なだけに、突然この優しくて穏やかな貴公子が、別に悪いことをしていたわけでもない、単なる恋のライバルを残忍に内臓までぶちまけさせて殺しちゃうなんて。ギャップがすごい。羊の皮をかぶっていて実は悪いやつなのかもしれないので、ライモンダは結婚したあと気をつけたほうがいいのかもしれない。

2005/08/10

第15回日本バレエフェスティバル

行こうかどうしようか迷った挙句、新国立劇場の「第15回日本バレエフェスティバル」へ。実は未だナマで「若者と死」を観たことがなかったので、それを見てみたいと思って。
到着したのは開演前25分だったが、当日券は比較的残っており、D席5000円で4階の3列目の席を買う。3階までは結構行ったことがあるのだが4階は初めて。最初はすごく高いところだと思ったけど、慣れてくると案外見やすい。ただし、今日の公演の性質上あまり普段バレエを観ないような方も多く、最前列の人たちはことごとく前のめりに観ていてすごい邪魔。

「グラン・パ・クラシック」梶原将仁、前田新奈
印象薄い。前田さんピルエットダメかも。

「眠れる森の美女」第3幕グランド・パ・ド・ドゥ マイレン・トレウバエフ、真忠久美子
マイレンは地味ながらも非常に安定しているしサポートも上手い。
真忠さんは…きれいなんだけど上半身が弱い。苦しい。回転も弱い。

「ラ・シルフィード」2幕PDD 逸見智彦、島田衣子
逸見さんが黒いソックスなのに、照明が暗く、ご丁寧に地模様までつけていたのでせっかくの脚さばきがちゃんと見えなかった。もう少し考えて欲しい。でも二人ともとてもよかったと思う。島田さんのシルフィードは悪戯っぽくて可愛い。どこかのお化けとは大違い。

「ライモンダ」第3幕パ・ドゥ・ディス 法村圭緒、宮内真理子
ABTの悲惨なライモンダを琵琶湖で見たものだから、とてもほっとさせられた。宮内さんはお姫様オーラ全開でキラキラしていた。ライモンダのヴァリエーション、上半身をあまり使っていないのが気になったが、手を叩く音がしっかりしているのは気に入った。法村さんもノーブルかつ安定していて良かったと思う。

「ホフマン物語」第二幕よりPDD 森田健太郎、田中祐子
「ラ・シルフィード」と同様、暗い照明と地模様で、森田健太郎が黒いタイツ着用だったため脚のラインがまったく見えず。
なじみのない演目なので、判断は保留。(多分森田さんは良かったのだと思う)

「内uchi/外soto]より 西島千博、酒井はな
日本人の演目としては唯一の非・クラシック系。対角線上に並べられた扉の間で繰り広げられる男女の物語。リフト振り回し系が多くてなかなか大変だと思うが、情念とドラマを感じさせて、素敵。 はなさんはこういう役柄が似合う。

「海賊」第2幕よりパ・ド・トロワ 下村由理恵、佐々木大 長瀬伸也
今日の演目の中では一番受けていたかもしれない。通常ガラだとパ・ド・ドゥとして踊られることが多く、珍しいケース。メドーラの下村さんはテクニックが強く、フェッテも2回に1回はダブルを入れていた。華のある人。コンラッドの佐々木さんの背中の柔らかさは特筆もの。コンラッドの割には派手に踊りまくる。長瀬さんのアリは、ABTで散々すごいアリを見てきた目には物足りない部分はあったけど、十分健闘している。佐々木さんが代役だというのが信じられないくらい息も合っていて、よくまとまっていた。 一点つっこむとしたら、コンラッドとアリの衣装がすごく似ていて、一瞬どっちがどっちだかわからなくなったこと。

「ラ・バヤデール」幻影の場よりPDD デニス・マトヴィエンコ、アナスタシア・チェルネンコ
マトヴィエンコのソロルの衣装が、真っ青でだぶだぶでまるでパジャマみたい!しかも水泳帽みたいな帽子つき。何とかならなかったのか。今まで日本人だったので、急に金髪スタイル良しのマトヴィエンコが登場すると新鮮。ダイナミックで美しいジュテが素敵。チェルネンコは美人でスタイルも大変良いが、踊りは弱い。ベールの踊りは苦しそうだった。

「カルメン」シリル・ピエール&ルシア・ラカッラ
すごく残念な点が一点。ガラ公演なのに生オーケストラの演奏があることで、ちょっとランクアップした感がある公演だったのに、この演目だけテープで急にしょぼく感じられてしまったこと。
それにしても、言い尽くされていることではあるけどラカッラの脚はすごい。全身脚って感じだ。脚が独立した生き物のようだ。さすがにダンナとのパートナーシップはばっちり。ただ細すぎて妖艶さとかファム・ファタル感があまりないのだよね。ここまでくると人間を超越しているから。それなのにナマっぽい。イケナイもの、やばいものを見てしまった気がする。

「若者と死」イーゴリ・ゼレンスキー&スヴェトラーナ・ザハロワ

ゼレンスキーのワンショルダー衣装はラッシャー木村みたいだ。一瞬笑ってしまった。彼が演じる若者は、理由は不明だけどすごく苦悩しているのはよ~くわかる。気が触れたように激しく踊る踊る。パワー炸裂しちゃっているよ。とりあえず彼のトゥール・ザン・レールは軸もしっかりしていて速いけど美しい。一時期の不調ぶりからは想像もつかない復活振りだった。ただテクニックが勝ちすぎている感がある。一方ザハロワの「死」。ザハロワにあのおかっぱカツラは似合わない。いかにもカツラっぽい。まっ黄色のドレスもどうしたものか。ただあの人間離れしたスタイルと無表情さが意外にも不穏な感じがしてかなり怖い。一本調子の怖さなのだが。ラカッラほどではないにしても、あの長くてものすごい甲の脚をすんごく高くデヴロッぺで上げながら接近していくのは、なかなかゾクゾクする光景である。ゼレンスキーもザハロワも、役柄の掘り下げ方は足りないし、本来の「若者と死」とは別物と思わせているが、それでもなお、独特の世界観を舞台上に作り上げて観客を釘付けにする強烈な何かを持っていた。やっぱりスターは違う。

2005/08/06

愛と涙のABT追っかけ記びわ湖編

京都へと出発。日帰りで来る友達と待ち合わせ、京都の伊勢丹で買い物をした後出陣。せっかく京都くんだりまで出かけ、時間もあったのに観光一つ、土産ひとつ買わない。
急速に雲行きが怪しい天気。大津の駅についたらパラパラと雨が降っている。
大津駅は県庁所在地とは思えないほどのローカルなところ。びわ湖ホールへ、とタクシーの運転手に伝えると、先ほども東京から来た方を乗せたとの話。何でも遠くは北海道からオペラを見に来る方もいらっしゃるとか。地元の人々がこのホールを誇りに思っている様子が伺えてほほえましい。シドニーのオペラハウスを意識したとのことで、なるほど、近づいていくと湖畔に佇むその姿は美しい。

地下に立派な車寄せがあり、そこで下りてホールに入ると、広々とした空間に圧倒される。二つのホールがあり、それをつなぐロビーにはレストランがあって、琵琶湖を一望できる。ホワイエからも湖の眺めが。お天気が今ひとつなのが残念。こちらは喫煙所は外のスペースが用意されていて大変よろしい。そして劇場内に足を踏み入れて驚いた。チケットを取ったのが遅かったので、2階のサイド席だったのだが、真横向きだと思っていたのに一つ一つのイスが斜め前を向いていて非常に見やすい。いわゆる馬蹄形の劇場だが、2階席は1階席に続いてなだらかにあり、1階席と言い張ってもいいくらいである。2階席、4階席には行かなかったがエスカレーターで上がれるようになっており、見やすそうだ。音響も良いしステージも広く、理想的なホールといえる。

ライモンダ(ドリス伯爵の一人娘) : パロマ・ヘレーラ
ジャン・ド・ブリエンヌ (ライモンダの恋人) : アンヘル・コレーラ
アブデラフマン (サラセン人の騎士) :ヘスス・パストール
アンリエット (ライモンダの友人) : マリア・リチェット
クレマンス (ライモンダの友人) : エリカ・コルネホ
ベルナール (ライモンダの友人/吟遊詩人) : サッシャ・ラデッキー
ベランジェ (ライモンダの友人/吟遊詩人) : ゲンナジー・サヴェリエフ
シビル・ド・ドリス伯爵夫人 : ジェニファー・アレクサンダー
白い貴婦人 (ドリス家の守護者シュゴシャ) : アンナ・リセイカ
家令 : ギョーム・グラファン
サラセンの踊り : ミスティー・コープランド バック・コリンズ
スペインの踊り : カルメン・コレーラ ヴィタリー・クラウチェンカ
ハンガリーの踊り : マリア・ビストロヴァ ジャレード・マシューズ

しかし、公演の方はボロボロだった。
前の日不調だったパロマがさらに調子が悪い。ピルエットでもぐらぐらしていて。1幕で手をついたのに続き、マルセロの代役のヘススとのPDDのフィッシュダイブ。ライモンダの夢のシーンで、白い衣装に身を包んだアブデラーマンがライモンダをリフトするところで、まっさかさまに落ちてしまった。なんとか手をついたのだが、一歩間違えれば頭を強打する大怪我につながっている状況。これはヘススのミスだと思う。手が滑ったのか支えきれなかったのか。さすがにこの後はパロマは奮起して、2幕では見違えたようにがんばっていたが、クライマックスのピアノ伴奏のヴァリエーションのところでも、振りをこなすので精一杯で、見ているのが辛かった。ずっとポアントでパドブレで小刻みに動くので苦しそう。それでも、最後はバッチリ決めたところはさすが。

マリア・リチェットとエリカ・コルネホの二人はこの日も丁寧に軽やかに踊り、素晴らしかった。アンヘルとこの二人に支えられたステージといえるだろう。

アンヘルがその分一生懸命頑張っていて、いつも以上に回っていた。本来の振付ではここはトゥール・アン・レールしないところだろう、って個所でもやっていた。沈んだ客席を沸かそうとするその心意気に泣きそうになった。
ヘススはというと、1幕で自信喪失してしまったのか、動きにダイナミックさが消えてしまい、なんだか大人しく死んでいってしまって…。(あんなアブデラーマンならさっさと死んでしまえと思ったのも事実)カーテンコールでもいつもの笑顔はないし、拍手の量も非常に少なかった。隣の客などは途中から腕を組んで一切拍手をしなくなり、アンケートに文句を書きまくっていた。

終演後、どうやらダンサーたちはさっさとバスに乗り込み、ファンサービスも一切なしでお帰りになってしまったようだ。私たちは京都駅でヤケかき氷を食べ、新幹線に乗って東京に戻っていった。怒涛のABT来日公演全日程制覇はこうやって終わったのだった。ともあれ、この殺人的な過密スケジュールをこなしたダンサーたちやスタッフの皆様、お疲れ様でした。

ABT涙の追っかけ記(大阪編)

時制が前後して混乱しちゃうかもしれないけど。

びわ湖にマルセロ・ゴメスが出ないショックから立ち直れないまま、飛行機で行こうとしたら京急線で事故発生で15分の遅れ発生。果たして間に合うように着けるのか?羽田空港を猛ダッシュ。チェックイン機がマイレージカードをなかなか認識してくれなくて焦る。なんとか飛行機にギリギリで乗り込むことができて、伊丹空港で友達と合流し、大阪駅へ。ホテルは大阪フェスティバルホールの近くで(注意:隣接しているホテルではない)、歩けない距離ではないけど荷物もあるので地下鉄で行くことにする。しかし、大阪駅、梅田駅のわかりにくいことといったら。梅田の地下を、クソ暑い中何週もぐるぐると回ってしまった。大阪駅からホテルまでの距離よりも長い距離歩いたことは間違いない。
ようやくたどり着いたらちょうど3時だったが、ぼーっとしているうちに開演時間になってしまった。

1部
「テーマ&ヴァリエーション」(振付:ジョージ・バランシン)
出演:ミシェル・ワイルズ、デイヴィッド・ホールバーグ ほか

第2部
ソリストらによる小品とパ・ド・ドゥ
「ばらの精」(振付:ミハイル・フォーキン)
出演:エルマン・コルネホ、シオマラ・レイエス、
「海賊」のパ・ド・ドゥ(振付:マリウス・プティパ)
出演:パロマ・へレーラ、ホセ・カレーニョ
「ロミオ&ジュリエット」のパ・ド・ドゥ(振付:ケネス・マクミラン)
出演:ジュリー・ケント、アンヘル・コレーラ

第3部
「シンフォニエッタ」(振付:ジリ・キリアン)
出演:カルロス・ロペス、ヘスス・パストール、ダニー・ティドウェルほか

大阪公演はガラ。テーマとヴァリエーションはミシェル・ワイルズとデヴィッド・ホールバーグ。それにしてもミシェルはひどい。これでプリンシパルとはとても思えない。体が堅い。重たい。金髪美人でスタイルがいいからみんなごまかされているのか?特に背中の堅さは、何か入っているんじゃないかと思うほどだ。デヴィッドのほうが柔らかいんだもの。足音が大きい。完全にはアンドオールしていないため、足の甲が下を向いている。だめだ~。デヴィッドは東京では今ひとつ調子が良くなかったようだけど、この日は比較的良かったと思う。ほっそりとした美脚の持ち主の割には踊りに湿り気がある人ではあるが。
後半になって男性ダンサーが登場し、ようやく面白くなってくる。でもやっぱりバランシンをABTがやるのは無理がある。音譜と戯れるまでは至っていない。
コール・ドは一応それなりに踊れる人たちを選んで入れているようではあった(これだけ何回も観ると、さすがにコール・ドも半分以上顔と名前が一致するようになってしまう)

ロミジュリ。東京のガラでは、2階の見切れ席だったため、バルコニーが全部見えなかったという痛恨の事態があった演目だ。
やっぱりアンヘルとジュリーのバランスの悪さはちょっといかんともしがたい。が、(正面から見られたというのもあるけど)東京よりはぐっと良くなったと思う。アンヘルの高速回転も抑え目ではあるし、ジュリーもしっとりとした情感がある。(が、あと7~8年前の彼女でこの演目は見たかった。去年のMETは、幸いにも産休中でロミジュリには出演せず)
でもやっぱり、「ABT NOW」でのフリオ・ボッカとフェリのカップルには遠く及ばないし、去年のアンヘル・フェリや、シオマラ・マルセロのほうが胸に来るのよね。バルコニーのシーンで一番大切だと思っている高揚感と、この一瞬を精一杯駆け抜けていく感じが伝わってこないからだろうか?マクミラン・リフトを完璧に再現することの難しさを改めて感じる。

薔薇の精。たとえばルジマトフの薔薇の精はむんむんとむせ返るような色っぽくてかつマッチョな精で、イーゴリ・コールプは妙な色気のある物の怪って感じなのだ。少女の初めての舞踏会の余韻の中で登場するエルマンは、甘さを残しつつもすごく真っ当な感じの、性を超越しながらも少年ぽい妖精。一瞬も止まることのない振付の中で跳躍したり羽ばたいたり、非常に大変な踊りなのだが、6月の薔薇のように新鮮ながくわしさがあり優雅である。シオマラも実年齢33歳とは思えないくらい愛らしい。彼女は演技派だと常々思っている。やっぱり最大の難点は、窓がないこと。だって、最後に精が窓から飛び去っていくところが最大の見せ場じゃない!セットがないなら前の日に徹夜してでも作ったわよ。

海賊。ホセ様のアリはノーブルで気高い。本当は高貴な生まれなのがさらわれてしまって奴隷に身をやつしているけど、その精神性の高さが隠そうとしても隠し切れない。踊りも正確無比で、しっかりとした軸と安定感。自在にスピードを変えるピルエットは、余計な力が一切加わらなくてもすっと美しく回転している。自分の体を完璧にコントロールできているのだろう。甘さとストイックさの完璧なバランス。ところが、パロマ・ヘレーラが絶不調。足元はもつれているし、回転が得意なのにピルエットもシングルしかできていない。上半身もふらふらで、どこか体が悪いようにしか見えない。とても心配だ。

シンフォニエッタ。当初予定されていたマキシム・ベロセルコフスキーとマルセロ・ゴメスが欠場したことが非常に痛い。この二人の長身美脚ダンサーを欠いていることが、この作品の疾走感を減じてしまっている。脚の長い二人が、同じ高さでグランジュテをシメントリーに繰り返す高揚感が、見ていてとても気持ちよかったのに。しかも予定にあったジリアン・マーフィも出演していない。例によって11本のトランペットが出演するがやっぱり演奏はひどい。でも作品自体は、うまくいえないけど面白いのである。草原を駆け抜けていく感じ。ダニー・ティドウェルの踊りが突出していい。それなのに彼は今月いっぱいで退団だということであまりにももったいない。ヘススの柔らかい粘りのある動きは、キリアン作品には向いていると思う。ミスティ・コープランドは踊りそのものはいいのに、明らかに太りすぎなのが困ったものである。男性ダンサーが大変だな、と同情しちゃうから。

さて、大阪で一番困ったのは、喫煙者天国であること。なんと大阪フェスティバルホールは分煙されていないに等しく、区切られていない室内のスペースが喫煙所となっていて、ロビー全体がタバコ臭くてたまらない。喫煙所がお手洗いの出入り口の近くなので、お手洗いに行こうとするとタバコの煙をモロに浴びることになる。しかも中二階も全部喫煙フロア。東京のホールは喫煙所は屋外になっているというのに。タバコのにおいがあるとせっかくの公演も興ざめだ。

そして楽屋口!なんと建物の構造上、楽屋口が隣接しているホテルのロビーになっているのだが、バーゲンセールに群がるおばちゃんのごとくダンサーに群がっている恐ろしい様子を見て、早々に退散。キミたちダンサーだったら誰でもいいのか?

びわ湖編に続く。

2005/08/05

7月23日 ABTライモンダ

ライモンダ(ドリス伯爵の一人娘) : ジリアン・マーフィー
ジャン・ド・ブリエンヌ (ライモンダの恋人) : アンヘル・コレーラ
アブデラフマン (サラセン人の騎士キシ) : ヘスス・パストール
アンリエット (ライモンダの友人) : マリア・リチェット
クレマンス (ライモンダの友人) : エリカ・コルネホ
ベルナール (ライモンダの友人/吟遊詩人) : サッシャ・ラデッキー
ベランジェ (ライモンダの友人/吟遊詩人) : ゲンナジー・サヴェリエフ
シビル・ド・ドリス伯爵夫人 : ジョージナ・パーキンソン
白い貴婦人 (ドリス家の守護者シュゴシャ) : カルメン・コレーラ
家令 : カーク・ピーターソン
サラセンの踊り : ミスティー・コープランド
バック・コリンズ
スペインの踊り : クリスティー・ブーン
ダニー・ティドウェル
ハンガリーの踊り : マリア・ビストロヴァ
ジャレード・マシューズ

ようやく本題に。

ABTによる「ライモンダ」のプロダクションを見るのは初めて。セットが非常に豪華。パステルカラーで、まるでディズニー映画に出てくるおとぎの国のようだ。「ライモンダ」はジャン・ド・ブリエンヌが十字軍に出征するという設定から(注意:このプロダクションでは出征しない)、中世のお話のはずなのだが、時代考証はあってないようなものである。まずはライモンダのお友達クレマンスとアンリエット、吟遊詩人のベルナール&ベランジェらが舞台に。この4人に着いてはベスト・キャストといってもいいと思う。特に女性二人はABTでもプリンシパルになってもおかしくない実力の持ち主で可愛らしい。

そこへライモンダのジリアン・マーフィ、そして次にジャン・ド・ブリエンヌのアンヘル・コレーラが登場。この時点ではライモンダとジャンはまだ婚約者ではないって設定みたいだ。

つぎにアブデラーマン登場。今まで写真で見てきたアブデラーマンって長身のマルセロ・ゴメスのだったから、小柄なへススが着るとまるでマントが踊っているみたいだ。しかも真っ赤でなんだか半分ギャグみたい。ヘススは顔がエキゾチックなのでサラセンの騎士という役は似合っているけど、それにしても踊りにくそうである。アブデラーマンはやたら目がマジに愛を訴えていてなかなか暑苦しい。あんな風に見つめられたらドキドキするのは確かだ。が、ジャンもアンヘルなのでかなり暑苦しく、それに対してクールなジリアンなのであった。

高価そうな首飾りをアブデラーマンがプレゼントすると、ライモンダは「まあ~嬉しいわ♪」って表情を見せるが、母である伯爵夫人に「そんなに軽薄に物欲しそうな顔をしてはいけません」とたしなめられ、慌てて断る。あれ?次に、アブデラーマンが献上するのは子供二人。キャー人身売買。でもアブデラーマンは目がマジで、こんなにいい贈り物をあげるんだから、って感じ。ライモンダはそれぞれの男性と踊り、「どっちのオトコがいいのかしら?」とちょっと迷う。あれ?「ライモンダ」って婚約者が不在中にアブデラーマンが乗り込んできても心を奪われずジャンを思いつづけた貞女物語じゃなかったかしら?嵐のようにアブデラーマンは走り去って行く。インパクトは確かにあるキャラクターだ。

夢のシーンに移って行くときの場面転換が、これまたディズニーランドっぽくて、建物の書割が上に上がっていくとなぜか根っこが生えている。暗い空に紫色の花々の咲き乱れている紗幕は美しい。幻想的な照明、コール・ドの白い衣装もまさに夢の世界だ。家の守り神であるところの白の貴夫人の像が下に下がっていくと、生身の姿となった白の貴婦人が登場。白い長いベールをかぶっていてこれまた踊りにくそうだ。踊るはアンヘルの姉のカルメン。長身でスリムなのだが、白の貴婦人を踊るにはちょっと品がない踊りをする人である。ジャンにプレゼントされた白いヴェールを持ち、竪琴に合わせてのライモンダのソロ。う~んややヴェールの扱いが雑なのでは?ジリアンは可愛らしいんだけど。

ジャンの幻が現れてのPDDは、アダージオのみなのでアンヘルとジリアンという派手な回転得意な二人にしてはとても地味な感じ。貴婦人の後ろにジャンが去っていくと、今度現れたのは同じく白い衣装のアブデラーマン。こってりとねばっこい踊りを見せてくれる。でもヘススはリフトが苦手、かつジリアンが大柄なのでかなりてこずった感じがした。なんとかこなしたって感じで一安心(注:この後びわ湖公演でまさにこのシーン、ヘススはパロマを落っことしてしまう)白の貴婦人の像がまたするすると出現する。ちょっとこのあたり笑ってしまう。

2幕に再び現れたアブデラーマンは今度はオレンジ色の派手派手な衣装だ。視線でバチバチ火花を散らすがジャンは一緒にいたくないと退席。まず吟遊詩人二人のソロがあって(ゲンナディはかっこいいね。こんな役にはもったいない。翌日にはアブデラーマンを踊るんだけど)、それからアブデラーマンがサラセンの踊りとスペインの踊りを献上する。ふたつともやっぱり衣装が派手派手。サラセンのバックとミスティ、スペインのクリスティとダニー、二人とも良かった。ABTの人たちは群舞は苦手だけどこういうキャラクターダンスでは弾けていて魅力を発揮できるのだ。サラセンの踊りの時には子供たちも踊るけど、この子供たちもなかなか良く踊っている。次にジャンがハンガリーの踊りを献上。いわゆるチャルダッシュなので、そんなに見ていて面白いものではない。

そしてある意味クライマックス。アブデラーマンが愛を告白する。ソテやジュテを組み合わせたソロは、なかなかダイナミックかつヘススらしい柔らかさもあって色っぽかった。混乱するライモンダ。気持ちの揺れを象徴するように、シェネの高速回転、目にも止まらぬ速さでくるくるくるくる回る回る。いよいよジリアンの本領発揮って感じだ。アブデラーマンは半分拉致するような勢いでライモンダに選択を迫る。舞台の奥まで強引に連れて行き、ライモンダに寄りかかる。なかなかセクシーで熱情的なシーンだ。半分くらい、ライモンダの気持ちはアブデラーマンに傾いているって感じだ。だがジャンの姿を目にしたライモンダは拒絶し彼のもとへと走っていく。「なぜだ~」っと今度はアブデラーマンが混乱し取り乱す。ジャンに襲い掛かり、後ろからジャンの首を締め上げる。

家令が決闘を宣言し、ジャンは刀、そしてアブデラーマンは半月刀で戦う。チャンバラのところは正直なんだか迫力がない。決着は比較的すぐについてしまい、ジャンの剣がアブデラーマンの横腹を切り裂き、そしてとどめの一撃が下腹部に突き刺さる。けっこう残酷。倒れこんだアブデラーマンはじりじりとライモンダの方に這って熱いまなざしを彼女に向けたまま、がくんと絶命。ただただライモンダを一途に思い続けた結果がこれだ。(が、役としては派手で、演技力も発揮できるし、とてもおいしい)
恋人の思いがけず残忍な側面を見てしまったライモンダは走り去る。そりゃそうだろう、こんなことで殺されちゃったアブデラーマンはかわいそうとしかいいようがない。でも簡単に立ち直ってしまうところが、何にも考えていないって感じでいい。

次の場面ではすっかり気を取り直して、ライモンダとジャンの華やかな結婚式が執り行われる。グラン・パ・クラシックで、4組の男女X2(クレマンス&アンリエット、ベランジェ&ベルナールも入れて)の華やかなダンス。男性ダンサー4人がそれぞれ一人ずつトゥール・アンレール。キャスト表にはグラン・パ・クラシックのメンバーは載っていないが、金髪美青年&美脚のデヴィッド・ホールバーグがその中の一人として登場。ライモンダがまた例によってすごいスピードでダブルやトリプルを入れたピルエット&ピケターン。軸が正確で力強い。
8組のカップル&ジャンが一斉にリフトをしている様子は壮観だ。 ハンガリー風の、手を頭のところにやるポーズがなかなかカッコいい。

そしてガラ・コンサートでよく見る、手を打ち鳴らしながらのピアノ伴奏のライモンダのヴァリエーション。ジリアンのポアントワークは強くて正確だけど、去年の秋、新国立劇場での吉田都さんのあまりにも精緻で上品なヴァリエーションが頭にこびりついているので、ちょっと物足りない。上半身の柔らかさ、軽さが足りないのかもしれない。
ジャンのヴァリエーション。今まで、比較的抑え目に踊っていたアンヘルのスイッチがぱちっと入る音が聞こえた気がした。ジャンはコレまでは踊りに見るべき部分があまりなかったので、水を得た魚のように、親の敵でも取ったかのように踊りまくる、踊りまくる。二人とも高速ピルエットをギュインギュインと披露しまくり。最後は、家の守り神である白の貴婦人に一同、一礼。

やっぱりライモンダは結婚式のシーンの、無意味でイケイケな派手派手しさが盛り上がって楽しい。退屈な1幕を我慢し観続けた甲斐があるってわけだ。異教徒なら残酷な扱いをしてもいいとか、政治的に正しくない、中身のない(しかもライモンダは結構尻軽なマテリアル・ガール)作品だけど、とりあえず華やかだもんね。

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