7/24ABT「ライモンダ」は…。
ライモンダ(ドリス伯爵の一人娘) : ヴェロニカ・パールト
ジャン・ド・ブリエンヌ (ライモンダの恋人) : マルセロ・ゴメス
アブデラフマン (サラセン人の騎士) : ゲンナジー・サヴェリエフ
アンリエット (ライモンダの友人) : マリア・リチェット
クレマンス (ライモンダの友人) : アンナ・リセイカ
ベルナール (ライモンダの友人/吟遊詩人) : デイヴィッド・ホールバーグ
ベランジェ (ライモンダの友人/吟遊詩人) : ダニー・ティドウェル
シビル・ド・ドリス伯爵夫人 : ジョージナ・パーキンソン
白い貴婦人 (ドリス家の守護者) : カルメン・コレーラ
家令 : カーク・ピーターソン
サラセンの踊り : ローラ・ヒダルゴ アーロン・スコット
スペインの踊り : クリスティー・ブーン ジーザス・パスター
ハンガリーの踊り : サッシャ・ドマハウスキ サッシャ・ラデッキー
昼公演の休み時間に、夜観に行きたいけど安い当日券残っていないかしら?と昼の「エトワール・ガラ」を観に行っている友人に聞かれ、チケット売り場で残席状況をチェックしていたら、知らないおじさんに「夜いけなくなったからあげるよ」とチケットをいただいてしまった。しかもS席で前方(しかし段差はしっかりある)のど真ん中という極上席である。なんとラッキーなことか。
しかしこの日はまたまたハプニング続きだった。
当初ニーナ・アナニアシヴィリが出演の予定が、ニーナが出演をキャンセルしたためにキャストが大幅にシャッフルされ、ライモンダはヴェロニカ・パールト、ジャンはマルセロ・ゴメスそしてアブデラーマンは一瞬タマシュ・ソリモシになっていたが、結局当初予定されていたゲンナディ・サヴェリエフに。ヴェロニカは推定身長175cmと大柄なので、相手役を務められるのは長身のマルセロ・ゴメスしかいないのだろう。
ヴェロニカはキーロフ出身で、手足が長く上半身特にポール・ド・ブラの使い方が非常に美しいダンサーである。また、気品のある美貌の持ち主で外見的にはライモンダにぴったりだ。ただし、決定的に下半身特にポアントが弱い。ライモンダのようにポアント使いが非常に重要な役柄には正直辛い配役なのだ。とにかくいっぱいいっぱいで踊っているって感じだ。その代わり、お姫様らしい気品は十分ある。
ジャン役のマルセロ。ABTの中でも個人的にお気に入りの一人。貴公子から悪魔まで演じ分けられる演技力、長身マッチョなのにノーブルなところが魅力的だ。加えて脚のラインの美しさ。サポートが非常に上手で上背があるといえども、ヴェロニカも大きいためちょっと苦労していたところもあった。が、アブデラーマン登場でライバルに対する嫉妬をメラメラ燃やしていたり、彼のほうに傾いているライモンダを見ておろおろしたりと演技がいちいち面白い。ちょっとやんちゃなところがありつつも、跳躍は思いっきりダイナミックで、気持ちいいくらいすっと開いた脚にほれぼれとする。
ゲンナディ・サヴリエフ。この人は、いつも踊りが安定していて、安心してみていられる人だ。その上ボリショイ仕込みの男らしさと華麗なテクニックの持ち主である。彼のアブデラーマンは実直で真面目な男で、すごく堂々とライモンダに求愛している。部下にも尊敬されている立派で高潔な人物だ。ところが、今日の舞台には魔物が潜んでいたらしい。1幕の登場してから一番最初のソロでアブデラーマンが滑った。転びはしなかったものの、決してミスをしないのがサヴリエフだと思っていたのに。
災難は続く。スペインの踊りで女性ソリストが見事にすっ転んだ。舞台中央でのあれほどの派手な転倒はなかなか見られない。
アブデラーマンとジャンの決闘。この二人の決闘だと、なんだかジャンの方が青二才でアブデラーマンのほうが貴族に見える。サヴリエフは得意の体を斜めに向けた超絶技巧トゥール・ザン・レールを決めて会場がどよめいたが、比較的あっさりと死んでしまった。ゲンナディもマルセロも踊りが美しい二人なので、この二人の対決シーンはまるで舞いを見ているみたいで、血なまぐさいはずなのにちょっとうっとり。
そして最大の悲劇。結婚式のクライマックス、ライモンダのヴァリエーションでやっちゃった。なんだかヴェロニカがポアントに乗り切れていなくてよれよれになっている、もうちょっとで終わるからがんばれ~と思っていた矢先に転んでしまったのだった…。うううう。本当に今日は転ぶ人だらけ。床に何か仕掛けでもあるのか?
なんだかそれから頭が真っ白になってしまって覚えていないよ。ちうか、思い出したくないのかもしれない。せっかく愛するマルセロの主役の日なのに…。なんだか暗い気持ちで帰途につくことになった。大好きなABT来日公演なのにこの晴れない思いはなんなんだろう。ただラストシーンのマルセロの優しい笑顔だけが頭に焼きついた。
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