BlogPeople


2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 日帰り名古屋&バレエ発表会 | トップページ | マシュー・ボーン「白鳥の湖」4月9日マチネ »

2005/04/07

マシュー・ボーン「白鳥の湖」4月6日

3週間の地方公演が終わってやっと東京に帰ってきた。この日を指折り数えて待ちくたびれた、って感じ。

舞台を観てこんなにぐったりと疲れたのは初めてかもしれない。今日は3列目センターブロックで観ていたのだが、近い分ものすごく集中して観た気がする。一瞬でも見逃してなるものかと食い入るように観てしまったし、観る側のエモーションに激しく訴える作品だから、精を吸い取られたような気分になる。最前列より舞台や低い位置での演技も見えるので比較的観やすい(が、前に座っている人が帽子をかぶって観ていた。逝ってよし)。

今日はなんとジェイソンとニールというレアな組み合わせ。実は今まで9回観たうち、8回までもがジェイソンなのよね。ジェイソン大好きだけど、たまにはホセも観たい。ホセは観客席にいたようだけど。ニールは一時帰国していたらしく、今日が日本に戻ってきてからの第一日目。

そう、この組み合わせは王子役ニールのほうが身長がずっと高いのである。2幕や4幕でザ・スワンが王子をリフトするときにかなり大変そうだった。リフトに失敗していることがあった。ニールが復帰1日目ということもあって、ちょっと調子が悪そう。1幕終わりのソロでの2番のグランプリエは美しかったけど。

しかし思ったより二人の演技のかみ合わせはうまくいっていた。ジェイソンは一生懸命背伸びをしていた。アダムのように長身のスワンやストレンジャーのほうがカリスマ性を感じさせるので、王子よりも小柄なスワンってどうかな、と思っていたがジェイソンはいつもよりも強さ、獰猛さ、獣性を感じさせる演技だった。目の力がものすごく強い。それなのに、すごく無垢で高潔で真っ白で透明な存在に見えた。ニールがほっそりとしていて背が高い分、“なんか無駄に背だけ高いけど弱々しくvulnerableなお坊ちゃま王子”って感じで、それに対して野生の生存本能が発達していて、生きる力がみなぎっている白鳥が別の世界を教えてあげている、という印象があった。白鳥たちが去った時の王子の嬉しそうな、思わず笑みがこぼれている恋しているような、昨夜の恋の余韻を楽しんでいるようなところが印象的。

ニールの本領発揮はやはり3幕の舞踏会からだろう。ガールフレンドを人一倍嫌っている感じで、「触るんじゃない、この女」と台詞が聞こえてきそう。それに対して、ストレンジャーに対しては、見た時から好き好きオーラが全開。さっそくストレンジャーの胸を触りまくり。タンゴのシーンでもストレンジャーに擦り寄り甘えようとして振りほどかれる。その分、ストレンジャーへの王子の邪険な態度はいつも以上で、すごく暴力的だった。ストレンジャーは小さい分、自分をいつも以上に大きく見せようと大きな態度に出ているのだ。

そして3幕の終わりの銃を持ち出したシーンでのニール王子の憔悴しきった演技!シャツの全面をはだけ(ギャランドゥまで丸見えだよ、ニール)髪は乱れ、上着の袖はまくれあがっている。もっとすごいのが目。時には白目を剥き、時にはガラス玉のように澄みきった青い目を見開き哀しみと怯えを表現し、本当に正気をなくしたようだった。4幕のロボトミーシーンのちょっと暴れる感じの狂気の表現もすごい。この人は本当に演技者だな、と思う。ラスト、ザ・スワンが目の前で死んでいくのを見て、悲しみのあまり気が触れてしまい抜け殻のようになった姿は正視するのがつらいほど。白鳥の一人にとどめを刺されて死んだ時、この人にとってこの世界は生きていくのがあまりにもつらかったんだな、死ぬことが彼にとっては救済だったんだな、と思わされる。

3幕のジェイソン=ストレンジャーは、相変わらずノリの軽い、みんなに愛嬌と色気を振りまきながらも実は誰に対しても興味がなく好きなのは自分自身だけって感じの、堕天使のような男だった。いつもに輪をかけて悪くていじめっ子。3幕の終わりで王子に殴られて盛大に吹っ飛んでいったのは驚いたけど。

4幕のザ・スワンは3幕ストレンジャーとは裏腹に、ものすごく優しく哀しい。体に刻まれた赤い傷が痛ましくも美しい。白鳥たちにいたぶられる王子を見て、僕の大事な人に手を出すな、僕が守ってあげないと誰が彼を守ってやれるのか、彼が痛めつけられていると自分も同じように傷を負ってしまう、いまや彼は僕自身の大切な一部分なんだから、彼を守りぬけない自分は生きている価値がない、という絶望的なまでの強い愛を表現していた。
瀕死の白鳥の演技は、胸にきりきり響いてきて、観る側のエネルギーも消耗させる。同じように憔悴した気持ちになりそうだ。

相変わらずスタミナ面ではちょっとはらはらさせるジェイソンではあるが(だって、結局3連投だもんね)、演技も踊りもどんどん良くなっているし、体はどんどん柔らかくなってきていると思う。アームスもしなやかで脚が上がるようになった。背中も柔らかさを増している。コンビネーションとしてはいつものパートナー、クリスとの演技のほうがいいとは思うけど、相手が変わるとやっぱり演技は変わるのか、と実感した。いろんなバリエーションが見られるのは面白い。

今日から登場の女王役、ニコラ・トラナは今までのオクサーナ・パンチェンコと比べて年齢も上の分、落ち着いて威厳があった。すごく厳しい女王様という感じ。踊りはさすがに美しいが、まだ少し不慣れなところもあるかも。3幕の手袋を脱ぐシーン、エロいよな。

« 日帰り名古屋&バレエ発表会 | トップページ | マシュー・ボーン「白鳥の湖」4月9日マチネ »

マシュー・ボーン」カテゴリの記事

コメント

行ってない公演なのに、こんな風なのかなーと
想像させてくれる、すばらしい日記ありがとうございます。
白昼にトリップしてしまいましたっ。

これから、公演見てきます。
落ち着かないです。

別の白鳥の湖見て、公園が浮かぶところ、
笑えますねーっ。わかりますーっ。

namiumi さん、こんにちは。コメントありがとう!
さて、「白鳥の湖」ご覧になられた感想はいかがでしたか?ぜひお聞かせくださいね。
もうすっかり中毒で現実の社会からドロップアウトしそうで怖いです。
観終わって思い入れたっぷりのところを書いているので、後で読み返すとちょっと恥ずかしいです。でもまだあと10回くらい?観るのでまたいろいろ書いちゃいそう。

同じく中毒です(笑)
ジェイソン&ニール、ご覧になったのですね!うらやましぃ~。

penicillinさま
いつもブログ楽しく読ませていただいています。ホントやばいです。土日で4回はもう途中で死ぬかと思いました。でも根性で乗り切りましたが。

ジェイソン&ニールは面白いコンビでした。そのちょっとちぐはぐなところが新鮮で、またいつものパートナーと違った味が出ていると言うか。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30328/3598809

この記事へのトラックバック一覧です: マシュー・ボーン「白鳥の湖」4月6日:

» 香水じゃなくてバレエっす。マシュー・ボーンの「白鳥の湖」 [香水まにぁっくヾ(@゜∇゜@)ノとほほ伝書]
今日は何にしようかなぁと久々にパークアベニュー。 うーん水仙の香りはやっぱり好き。 マシュー・ボーンの「白鳥の湖」を観てきました。オーチャードホール 東京フィルハーモニー交響楽団の生演奏付き、という豪華。 男性が踊る白鳥がきれい・・・。なんたって男性ダンサーの三角筋が美しい・・・。 マッチョは嫌いなんだけど、筋肉にずっと見とれました。 王妃のドレスがくるりと揺れる踊りもリリカルできれい。 ラス... [続きを読む]

» マシュー・ボーン [映画と芝居とお酒について]
マシュー・ボーンの「白鳥の湖」鑑賞。 彼(女)の作品にはいつも、震えるような素晴らしい場面と、辟易する意味過剰なうんざりする場面が混在する。 「リトル・ダンサー」を思い返すまでもなく、SWANのシーンは素晴らしかった。 客席には若いバレエファンの女性たちに混じって年配のカップルや大人の男性も散見され、なかなか良い雰囲気。 着物姿の女性が目立ったのも、晴れの場にふさわいしく、雰囲気を醸し出していた。 &n... [続きを読む]

» マシュー・ボーン [映画と芝居とお酒について]
マシュー・ボーンの「白鳥の湖」鑑賞。 彼(女)の作品にはいつも、震えるような素晴らしい場面と、辟易する意味過剰なうんざりする場面が混在する。 「リトル・ダンサー」を思い返すまでもなく、SWANのシーンは素晴らしかった。 客席には若いバレエファンの女性たちに混じって年配のカップルや大人の男性も散見され、なかなか良い雰囲気。 着物姿の女性が目立ったのも、晴れの場にふさわいしく、雰囲気を醸し出していた。... [続きを読む]

« 日帰り名古屋&バレエ発表会 | トップページ | マシュー・ボーン「白鳥の湖」4月9日マチネ »