『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』
『モーターサイクル・ダイアリーズ』のメイキング・フィルムなんだけど、単なるメイキングに留まっていないドキュメンタリー。
映画の中ではロドリゴ・デ・ラ・セルナが演じたゲバラの親友アルベルト・グラナード。その本人、御年82歳のアルベルトが、映画の撮影スタッフとともに50年前の旅を再びたどるという趣向になっているのだ。彼は数年前に医師を引退し、今はキューバで家族に囲まれて暮らしているという。 『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』にでも出てきそうなイイ感じのおじいさんだ。
映画の中で、アルベルトは、年下の物静かで純粋なエルネスト・ゲバラに対し、陽気でおしゃべりで憎めない存在として描かれていた。アルベルト本人がとても82歳とは思えないほど元気で、50年前に彼らに会った人たちにも“落ち着きがない”なんて言われちゃうくらいのまるで少年のようなおじいさんなのである。 いかだに乗ってアマゾンの川上りしちゃうし若さいっぱい。ヴェネズエラでエルネストと別れた後も、60年代に二人はキューバで再会して一緒に革命を戦う。
冒頭、ガエル・ガルシア・ベルナルとロドリゴ・デ・ラ・セナに映画の中で登場したバイク「ポデローサ号」を贈られて大喜びのアルベルト。早速後ろにガエルを乗せて試運転。そして、奥さんと子供たちを連れて、南米縦断の旅に出発するのだ。とにかく元気、元気でエネルギッシュ。彼も、エルネストも出会った人たちにとても愛されていたのがわかる。「出会うのは嬉しいけど、別れるのが寂しい」と語るアルベルトはとても人懐っこい。
南米のなんともいえない空気感と光、青い空が印象的だった。真っ白な砂漠の吸い寄せられるような美しさ!マチュビチュの荘厳な雰囲気。50年前とほとんど変わっていないであろう、貧しい人々。彼らの人生を決定的に変えたハンセン氏病の病院を一行は再訪し、エルネストとアルベルトに実際に治療を受けた人たちも登場する。アマゾン川を泳いで渡るシーンは、ガエルがスタントなしで演じているメイキングを観るだけでも感動。気合がビンビンに伝わってくる。ロドリゴもすごくいい顔をした素敵な俳優だな。ついでに、監督のウォルター・サレスが意外と若くて男前なのにも驚く。
ハンセン氏病院でのダンスのシーン、メイキングはすっごく楽しそう。音楽は有名なマンボの曲とかをいろいろ使っているけど、それもすごくいい。
ラストにはゲバラの演説と、アルベルトの深い瞳のクローズアップ。この旅がいかに二人の若者の生き方を変え、そして世界を変えていったのかがさらによくわかり、映画『モーターサイクル・ダイアリー』の感動をさらに高めてくれる作品だった。
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