蘇るニジンスキー神話 Kirov Celebrates Nijinsky
2002年パリ・シャトレ座/収録作品:『シェヘラザード』(振付:フォーキン/出演:ザハロワ、ルジマトフほか)『薔薇の精』(振付:フォーキン/出演:アユポワ、コルブほか)/『ダッタン人の踊り』(振付:フォーキン/出演:バイムラードフ、ラッサディーナほか)『火の鳥』(振付・台本:フォーキン/出演:ヴィシニョーワ、ヤコヴレブほか)
ハンブルク・バレエの来日公演『ニジンスキー』ですっかりノイマイヤーにはまったわけだが、肝心のニジンスキー作品をそんなによく知らなかったというわけで、amazonで見つけたこのDVDを購入。リージョン1とあるが実際にはリージョンフリーのようだ。
キーロフのスターたち、ザハロワ、ルジマトフ、コルプ、ヴィシニョーワらが出演していてすごく豪華。(国内盤も実は出ていたけど、高いのでこっちの方がお勧め)
やっぱり特筆すべきは壮麗で勇壮な「ダッタン人の踊り」だろう。生のコーラス付ですごい迫力。この作品は去年ルジマトフのガラで観たんだけど(振付は別)、ガラだったので出演者もそれほど多くなく、しかも主役の人が不思議な弁髪ハゲヅラをかぶっていたのだった。さすがに今回はそういうことはなくてすごくゴージャス。群舞は揃っているとはとても言い難いが。
ルジマトフとザハロワの「シェヘラザード」。ザハロワは本当に脚が長くてほっそりしていて、9頭身くらいの見事なスタイル。しかもその長い脚のしなること!ウェストが驚くほどほっそりしているだけに、アラブ風の露出度の高い衣装がかえってエッチっぽい。この人のアラベスクはラインがとんでもなく綺麗だわ。ルジマトフの黄金の奴隷は彼独特の濃厚でねっとりとした演技と力強くもねばっこい飛翔。濃いルジマトフと愛らしいザハロワという濃淡の組み合わせがちょうどいいバランス。ガラなのに舞台装置や衣装が豪華絢爛で見ごたえたっぷり。
イーゴリ・コルプの「薔薇の精」。私が最後に観た薔薇の精はその濃厚なルジマトフのだったので、それに比べればずいぶんとあっさりとした印象。コルプは比較的細身で繊細に、かつ軽やかに踊る人だった。体重をまったく感じさせないところはたいしたもの。
ヴィシニョーワの「火の鳥」。「火の鳥」といえばベジャール版の印象が強いので、意外と牧歌的な雰囲気にけっこう違和感があったのだが。さすがにヴィシニョーワはテクニシャンで、しかも例によってとても妖艶。うまいなあ、と思うんだけどあまり好きになれないダンサーだ。が、好き嫌いは別にすれば本当に美しく踊っていると思う。13人の乙女たちが悪魔に幽閉されているという話で、悪魔が骸骨の姿をしていてちょっとコントを観ているかと思ってしまった。笑えるんだけど作品としてはちょっと長く、やや弱いか。
ヨーロッパやアメリカのカンパニーでは観られない、ロシアっぽさが堪能できて面白いDVDではある。
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