『カンフーハッスル』功夫
朝帰り後、少し仮眠して洗濯をして新宿へと出撃。新春『カンフーハッスル』オフなのだ。
実は新宿ミラノ座で映画を観るのって超久しぶり。どれくらい久しぶりかと言うと、最後にここで観たのって『ハンニバル』。大体そもそも新宿には極力行かないというのがあるんだけど。椅子が新しくなっていてゆったり配置されているのには驚いた。でも、劇場ロビーに入ってすぐ喫煙所があってとても煙たいのはNG。今時は室内でタバコなんて吸えるほうが間違っている。映画の予告編前に「映画鑑賞マナー講座」と映像をかけていたのはいいことだと思うけど、“携帯はオフかマナーモードにしましょう”ってマナーモードもダメじゃん、と思うわけだが。
さて、映画の方。私はチャウ・シンチーの映画って昔から好きで、『ゴッドギャンブラー』シリーズはDVDボックスを持っているし『少林サッカー』は香港盤と日本盤両方持っているし『食神』は映画館で3回観てこれももちろんDVDを持っている。マウスパッドは『喜劇王』だし日本未公開の『千王之王』までDVD持っている。
当然、『カンフーハッスル』もものすごく期待していたわけだ。
その期待は、というと半分叶えられ、半分裏切られたという感じか。「豚小屋」と呼ばれるボロ長屋の、いかにもダメダメそうな住民たちがすごく強いのにはうれしくなっちゃう。中でも3人のカンフー達人がしびれるほどカッコいい。赤いパンツを透けさせている仕立て屋なんかもう最高。市井で地道に貧しく暮らしている人たちが実は凄腕、という設定は私好み。そして彼らを上回るカッコよさなのが、この長屋の管理人夫妻!後半の彼らがカジノに乗り込むシーンなど、マカロニウェスタンっぽくてしびれる。(彼らを演じた俳優たちは、かつてのカンフー映画のアクションスターだったということを後で知ったわけだが、こういうオマージュの捧げ方、いいね) あと、『少林サッカー』では歌手志望の青年として爆笑を誘った青年が、いつも半ケツの理髪師で今回も笑わせてくれる。
一方、街を支配しているギャングたち。冒頭、彼らが少しずつ勢力を増すのに比例して、ダンスする彼らの人数が増えていくという演出が洒落ている。俯瞰からのダンスシーン、面白い。前半はすごく凶悪で強いのに後半だんだんヘロヘロに情けなくなっていくというギャップが楽しい。
欠点としては、やや残酷なこと。香港武侠映画なんて残酷なものだ、といわれれば確かにそうなのかもしれないけど、愛すべきキャラクターの一人がアッサリ暗殺者に首ちょんぱされるのはちょっと悲しい。あと、主人公であるはずのチャウ・シンチー演じる男がなかなか活躍せず、後半拳法の極意を身につけて強くなっても、アクションがCG使いすぎで生味感がない。前半の達人たちのアクションが凄いだけに、しょぼく見える。そのCGだって今のハリウッド映画にも多用されているものと変わりないし。このあたりもう少しオリジナリティを出してほしかった。『マトリックス』のユエン・ウーピンをアクション監督に使っているから仕方ないのか。(アクション演出の一部はサモ・ハン・キンポーだが)
しかし大ヒットを飛ばした後の次回作でも、下ネタ系の下品でくだらないギャグを使っている点は愛すべきところだ。蛇に噛まれてシンチーが唇ビローンとなるところなんて死ぬほど笑った。多分一般ウケという点では『少林サッカー』の方が上だろうけど、これだけ自分のコダワリであるところのカンフーに対する愛情とお下劣ギャグをマニアックなまでに入れているシンチーってたいしたものだと思う。
観終わった後は、歌舞伎町のドン・キホーテの隣のビルにある香港料理の店へ。火鍋と点心食べ放題。ここの点心は食べ放題なのに相当おいしい。店員が少なくてなかなか注文にこないけど、値段も安いしお得。気がつくと終電になってしまった。新宿は遠いよ。
« アンヘル&ジリアン「白鳥の湖」再び | トップページ | 新国立劇場『白鳥の湖』1/10 »
「映画」カテゴリの記事
- 11/27 公開 映画「コール・ミー・ダンサー」主演、インド出身のダンサー、マニーシュ・チャウハンにインタビュー(2024.11.22)
- 映画『リル・バック ストリートから世界へ』(2021.08.17)
- セルゲイ・ポルーニン出演映画『シンプルな情熱』7月2日より公開(2021.07.02)
- マシュー・ボーンin シネマ「赤い靴」2月11日劇場公開(2021.02.11)
- 2月6日マシュー・ボーン出演『赤い靴』オンライントークイベント開催(2021.02.03)
コメント