レニングラード国立バレエ『海賊』
Kバレエの「白鳥の湖」のチケットと「映画芸術」のベストテン号が届く。「映画芸術」は対談に参加しているわけなんだけど。でもやっぱり『ユダ』が1位なのってどうなんだろう、と思う。劇場で一回、ビデオでも1回観ているんだけど、それでもこの映画はわからないから。やりたいことはよくわかるし、意欲的な作品なんだけど、淡々としすぎているし、知的障害者を天使に見立てているというのも好きじゃない。こういう映画が作られるから、日本映画って面白くないと言われちゃうんだと思う。その上ビデオ撮りだし。
評論家の方が挙げられている映画のタイトルを観ていると、本当に私って最近映画を観ていないんだな、と反省することしきり。今月も終わろうとしているのに、まだ2本しか映画を観ていないし。 映画を観る習慣が体から抜けてしまった気がしてしまう。
東京文化会館でレニングラード国立バレエ『海賊』。秋に観たガラ公演『ルジマトフのすべて』のルジマトフの『海賊』PDDが良かったので。しかし今日のルジマトフは心なしか元気がなくて、前回の気迫が感じられなかった気がする。得チケで取った4階右サイド一番後ろの席だったというのもあるのかもしれないけど。『海賊』は奴隷アリが主役ではない作品なのでルジマトフの踊りももともとそんなにあるわけではない。しかしマネージュで全然飛んでいなかったのにはちょっとショック。
一番印象に残ったのは、キャラクターロールが得意なビルバンド役のクリギン。濃厚な演技で観ていて楽しい。1幕の終わり、財宝を盗み出そうとして捕まってしまうところの目を見開いている姿などには大笑い。役者だのう。メドーラ役のペレンはキビキビと踊っていて清潔感と勢いが感じられる。パ・ド・トロワのヴァリエーションでもトリプルを入れたりしてずいぶん回っていたけど、たまにちょっと傾いている気がしなくもなかった。しかし全体的にはかなり綺麗。ギュリナーラ役のミリツェワは可愛らしかった。
そしてコンラッド役のシェミウノフ。身長195センチとのことで、でかい!顔はかなり濃い目。メドーラとのラブシーンはなかなかセクシーだったし、きちんと踊っていていい雰囲気のダンサーだけど、まだスターのオーラが足りない。アフメット(他の版の役名ではランケデム)のシェヴァコフは、奴隷商人にしてはちょっとかわいすぎだったけど、台の上での踊りは迫力があった。
『海賊』という作品自体の問題なのかもしれないけど、3幕の群舞が長すぎて作品のエキゾチックな雰囲気にもあっていなくて退屈。3幕は男性ダンサーの踊りがほとんどないし、パ・ド・ドゥやパ・ド・トロワも2幕でほとんど終わり。1幕、2幕の東洋的な怪しくてイケイケさが続けばすごく楽しいのに、ちょっと物足りない感じだった。
マールイ(レニングラード国立バレエ団)の舞台を観るのはすごく久しぶりだったけど、各ダンサーの技量は揃っていて、カンパニーのレベルは高いのではないかと思った。もう少し派手になってもいいと思うんだけど。
(写真は、会場ロビーに展示されていたメドーラの衣装。実際にはもっと鮮やかなブルー)
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