今年最後の観劇 新国立劇場『くるみ割り人形』
クリスマスの風物詩、バレエ『くるみ割り人形』が今年最後の観劇。「くるみ」といえばお子ちゃま向けのしょうもない作品といわれることが多いのだけど、やっぱりチャイコフスキーの音楽は素晴らしいなと改めて思った。それと、この間ロイヤルの「くるみ」をDVDで観て、この作品って実はちょっと怪奇風味もあって面白いんじゃないかと。
新国立劇場のワイノーネン版は面白みに欠けると言われていて、なるほど、たとえば東京バレエ団の生き生きとした感じとか、ロイヤルの華麗な部分というのはなかった気もするけど、期待しなかったせいか、かなり満足度は高かった。
王子役は初主役のマイレン・トレウバエフ。一応ワガノワ主席卒業、ペルミバレエコンクール入賞、元マールイ劇場ソリストという華麗な経歴の持ち主の割にはわりと地味な存在。ルックスも日本人の間に混じって違和感ないし。しかし!さすがに指先や足先まで細かく行き届いて美しく滑らかで安定した踊りを見せてくれる人で、実力派なので密かにファンだった。応援しているダンサーの初主役を観るわけで観る側としてもけっこう緊張してしまう。課題の表情の堅さが取れないところがあるけど、サポートもうまいしラインはきれいだし、いつもよりもスタイルも良く見えて主役デビューは合格でしょう。マーシャ役の西山裕子もかわいらしく正確な踊りでよくやったと思う。他は道化のグレゴリー・バリノフ、この人もとても上手できれいなダンサーなのにキャラターロールが多いね。人形っぽい存在感はこの役にピッタリだけど。トレバック(ロシアの踊り)の市川透も喝采を浴びていた。東洋の踊りは反面振付があまりにもつまらなくて一瞬意識が遠のきそうになった。
マイレン、次の主役の白鳥の湖は観に行けないんだけど、来シーズンも主役をいっぱい踊ってくれるといいな。
いずれにしても、全体的にはとてもよかった!
それから新国立劇場のパティオのクリスマスツリーがとてもきれいだった。いいクリスマスのすごし方ができたと思う。
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