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2004年11月

2004/11/30

『トロピカル・マラディ』&『Turtles Can Fly』

東京フィルメックスのコンペ作品は結局4本しか観なかったんだけど、この2本がグランプリ(『トロピカル~』)と審査員特別賞、観客賞(『Turtles Can Fly』)を受賞したってことだ。もちろん『Turtles Can Fly』の方が好きなわけだけど、作品のクオリティから言ってもこのあたりが受賞というのは予想の範囲内。

タイ映画「トロピカル・マラディ」。ウド・キアーのトークショーを最後まで聞いていたらちょっと前を見逃してしまったのだが、一言で言えば何にも似ていないヘンな映画。前半と後半とスパッと2本にできるような作品なのだけど、対にしたことに意味があるような、ないような。前半は兵士と農夫のカップルの日常を淡々と描く。すごく淡々としているのだけど、男性器型のお守りを見せて撫でさせる謎のおばさんとのエピソードとか、ちょっと笑えるところもアリ。前作「ブリスフリー・ユアーズ」ではかなり退屈したけど(生ちんこが大写しで大きくなるところはびっくりしたけど)、この映画は淡々としている割には退屈しない。後半は、ジャングルで虎の霊に取り憑かれた男の魂と遭遇した兵士の話。時間の経過とともにどんどん空が暗くなり、最後の方は真っ暗で時々人魂と思しき?光が飛び交うほかはほとんど何も見えない。虎に取り憑かれた男を象徴させるような、全裸で刺青だらけの男が唐突に登場。合間に、虎の絵とナレーションが挿入される。そして虎と兵士の魂は最後に触れ合う…。ジャングルを感じさせるアンビエントな電子ノイズが独特のグルーヴを感じさせる。なかなか理解するのが難しい映画だけど、突出した個性はあって、それゆえグランプリに輝いたのかも。(「ブリスフリー・ユアーズ」に続き同じ映画監督に2度も賞を与えてしまうのはどうか、という気はするが)

あと、ティーチインで「タイ映画を観るのはこれが初めてだけどこの映画を観てタイ映画の印象が出来上がってしまった」という質問が笑えた。『マッハ!』とかパン兄弟の作品とか『アタック・ナンバー・ハーフ』、タイ映画はアクションやホラー、コメディの印象が強くて、こんなに前衛的な作品ばかりだと思ったら大変だ。監督の話で、「トロピカル・マラディ」がタイで意外とヒットしたと言うのにも驚いた。こんなに作家性の強い作品が。

今回かなり楽しみにしていたバフマン・ゴバディの「Turtles Can Fly」期待に違わず力強く素晴らしい作品。国連に買い取ってもらえるため、地雷を集めるイラク在住クルド人難民の子供たち。リーダー的な存在の男の子サテライトはそのお金で衛星テレビ用のアンテナを買い、人々はテレビのニュース映像に見入る。この難民キャンプに余地能力を持つと言われている両腕のない少年と妹、そして幼い子の3人家族がやってきて、サテライトはこの可愛らしい妹に好意を抱くのだが…という話。地雷で脚を失った子供たちがたくさん登場し、ものすごく哀しい話なのだけど生き生きとして利発なサテライトや子供たちの姿にはユーモアもある。テレビを通してサダム・フセインやブッシュの姿が写されているのが、本当の戦争の真実は一番弱い子供たちの中にあるという明快な主張を、センチメンタルになることなくパワフルに描く。『酔っ払った馬の時間』でもそうだけど、この監督の作品は自然と人を見事に捉えたシネマトグラフィが素晴らしい。日本での公開が来年秋とかなり先なのが残念だ。イラク戦争開戦直前にイラク国内で撮影されたとのことだけど、アメリカ軍によるファルージャ掃討作戦で大勢の民間人が犠牲になっている今こそ、観られなければならない映画でもある。グランプリに最もふさわしい作品だろう。ティーチインの時間が短かったのが残念。友人が上映終了後クルド語で「あなたの映画はとても良かったです」と言ったところゴバディ監督が喜んでいたのが印象的。

フィルメックス疲れ

ここんところ、仕事する→フィルメックスで映画を観る→知り合いに遭って飲む→翌日死亡→仕事中に死ぬ思いをする→また映画を見る→また飲む→死亡→寝込む→色んなお薬を飲んでさらにわけわかんなくなる(クスリには超詳しくなっちゃった。これはこれで非常にやばい)→また飲む
という毎日の繰り返し。映画祭の毎日はホント大変。映画を観るだけだったらそうでもないんだけど。

フィルメックスも終わり。個々の作品についてはまたゆっくり書くとして、面白さでは
1.「ナルシスとプシュケー」(ボーディ・ガーボル)
2.「Turtles Can Fly」(バフマン・ゴバディ)
3.「世界で一番悲しい音楽」&『ドラキュラ 乙女の日記』(ガイ・マディン)
番外 ウド・キアートークショー
以下、無しっていうことで。

う~むコンペ作品で面白かったのがバフマン・ゴバディだけというのが…。かといって特別招待作品も「カナリア」がそこそこ良い(何しろ俳優がよい)くらいで。でも、上記作品を観られただけでも良かった。本当は余裕があったらボーディ・ガボールのほかの作品とか内田吐夢とか観たかったんだけど…。
いずれにしても、フィルメックス以外でもボーディ・ガボールとガイ・マディンはフィルムで観られる機会を作ってほしいと切に思う。

とある雑誌で今年のベストテン&ワーストテンを選ぶ必要が出てきて、今年公開作品のリストをもらったのだけど、恐ろしく映画を観ていない。特に劇場公開の日本映画なんて10本ちょっとしか観ていないことに愕然。 観る前にネットで公開直後に映画の評判を確かめられるのも善し悪しで、経済的な理由&時間がなく面白くなさそうな映画はすぐ避けて通ってしまうのでワーストは特に該当作があまりない。今のところワースト最有力候補は『殺人の追憶』。ポン・ジュノはなんであんなに評価されるのか私は全く理解できない。

2004/11/24

ウド・キアー様トークショー@フィルメックス

今日は起きたのが午後4時半!ウド・キアーのトークショーは5時50分というわけで、大慌てで有楽町へ。

一昨日の「ナルシスとプシュケー」の上映でも少し話を聞くことができたわけだけど、本当に面白い人だ、彼は。相変わらず澄んだ青い目が美しい。(若い頃は彼曰く、「大変ルックスが良かった」とのこと。60歳の今でも十分カッコいいけど)

まず最初の40分は独演会。生まれてから今までのライフストーリーをユーモアたっぷりに語ってくれた。IMDBにも書いてある有名な話だけど、第二次世界大戦にドイツで生まれた彼は、生後すぐに病院で空襲に遭い、病院の看護婦や他の新生児はみんな亡くなってしまったのに彼の母と彼は奇跡的に助かったという逸話。17歳の時に偶然バーで当時16歳のファスビンダーと知り合い、後にシュテルン誌で彼の記事を見かけて連絡をとって出演することになった経緯。ポール・モリッセイ監督の「悪魔のはらわた」に出演した直後に同監督のドラキュラ役をオファーされ、5日間で10キロ痩せろと命令されて断食したため、ドラキュラ役では車椅子に座って演じることになったこと。ガス・ヴァン・サントの「マイ・プライベート・アイダホ」に出演する時には4週間風呂にも入らず髪も洗わなくてビジネスクラスの飛行機に乗ったこと。1994年から30年のプロジェクトで毎年少しずつ撮影中のラース・フォン・トリアー監督作品「Dimension」のこと。(終了時に自分が生きているかどうか不安らしいが)「エンド・オブ・デイズ」では蛇は大丈夫かと聞かれ、「大好きだ」と答えたために本当は苦手な蛇を素手でつかまされたこと。日本のCMに出演した時のエピソードも披露。

そして質問タイムでは積極的に観客から質問を募り、時間になっても「Kill him!」と勝手に(?)延長。私も運良く、「悪い人の役が多いけど、それは自分の内面を反映したことですか?」と質問でき、「私はクラシック音楽を愛好し、ガーデニングを行ったり飼い犬を可愛がったりと良い人間だ。良い人間だからこそ、悪役を演じるのが好き。映画に出演中だったら全裸で外を走っても逮捕されないし」と答えてくれた。 好きな映画作品はベルイマンやダグラス・サークだそうで(意外)。最近だともちろんタランティーノや盟友フォン・トリアーなどなど。

最後に、「エンド・オブ・デイズ」で共演したシュワルツェネッガーの言葉を引用。「I'll be Back!」。

2004/11/21

東京フィルメックスとウド・キアー

さて、東京フィルメックスが始まった。http://www.filmex.net/index.htmオープニングは塩田明彦の「カナリア」、かのオウム事件をモチーフにした物語だ。塩田作品といえば「走る」シーンがとても印象的に使われてるのが印象深くて、今回も子役が疾走する場面が最初の方と中盤に登場する。撮影が素晴らしくて、走るシーンをほとんどワンカットで捉えたり、表情だけを捉えつづけたり、と。そして子役二人の演技も見事。石田法嗣と谷村美月のふたりには注目すべきだと思う。ルックスもとてもかわいいし。
オウム真理教をモデルにしたカルト宗教団体の描き方は、実際の信者の関係者に取材ができなかったということもあって、想像の範囲を逸脱するものではないが、反面主演の子供の描き方はとても痛ましくて生々しい生を感じさせるものだった。どの作品でも言えることだけど、塩田明彦は世界に対して戦っている子供を描かせると抜群にうまい。
オープニングそしてQ&Aを含めると3時間半。さすがに疲れた。Q&Aの内容も充実していた。

今日はハンガリーの夭折した映画監督ボーディ・ガーボルの代表作「ナルシスとプシュケー」そして中国の朱文の「雲の南へ」。「ナルシスとプシュケー」は凄い映画だった。18世紀の末に貴族とジプシーの間に生まれたエリザベートことプシュケーと、彼女に詩を教えた詩人で医師のラーツィことナルシスのかなわぬ恋の物語。だが、物語の後半は文化的に言ってももう20世紀になっているという大掛かりな話で、舞台もヨーロッパ中を移動するという大作。奔放で高貴かつ野性的なな女プシュケーと、病に冒された自己愛の強い詩人の間の、熱烈で周りの人々を巻き込みながら、時空も超えながらも決して結ばれない愛の悲しさ。青味を帯びた美しく幻想的な映像、二重露出やぶれといった実験的な要素、壮大でちょっと法螺話めいた語り口。手術シーンなどのちょっとグロな描写、解剖学の博物誌が登場したかと思えば豚が翼を生やして飛んだり奇想天外な部分もあり。ティーチインに登場したウド・キアーによれば、今回のプリントではかなりカットされた部分があるとのことで、パンフレットには3時間40分ヴァージョンがあるという。これも観てみたかった。

ウド・キアー大先生にはサインももらっちゃった。実物は背の高い、かっこいいおじさんである。フレンドリーで素敵な方。だがナルシスを演じた彼は金髪に青い瞳のエキセントリックで恋に狂った男だった(24年前ということで、その若いこと。美しいといってもいいほど)

「雲の南へ」は念願の雲南への旅行を果たした初老の男が様々な出来事に遭遇する話。笑いのポイントはかなりあるけど、この内容だったらあと15分くらい短くできたのでは?雲南への旅行のわりには観光的なシーンは少ないが、数少ない雲南を捉えたショットは広がりがあって素晴らしい。主人公のおじさんは真面目なお父さんなんだが、そのくそ真面目ぶりが色んな事件を引き起こすからおかしい。ロングショットが多くて、それだけにラストのクローズアップは印象的だった。

しかし最前列はでの鑑賞は厳しい。パイプ椅子でお尻は痛くなるし、(釜山映画祭では前から3列は観づらいので割引しているんだよね)日本語字幕と映画の画面は絶対に一緒には読めないので、途中から英語字幕のみみていた。映画の画面だけ見るんだったら問題ないのだが

2004/11/13

携帯電話水没&ミーシャの「ドン・キホーテ」

久しく残業をしていなかったため、久しぶりに月曜日に11時近くまで仕事をしたら疲れてしまった。今週は一週間ずっとダメダメで、水曜日にはトマトの缶詰の蓋で手をざっくり切ってしまって大流血。今日は携帯電話を会社のトイレに落とした。もちろん携帯はご臨終となり(水没させるのは2回目)、今度からvodafoneは水没は保障制度を使わせてくれなくなったので機種変更することに。というわけで、安くなっていた海外通話対応の機種を購入。もちろん?海外バレエ遠征に備えてである。しかし、ちょっと旧型なので使いにくい。特にメールのうちにくさといったら…。

限定で廉価版が出ていたので、ミハイル・バリシニコフ主演のABT「ドン・キホーテ」のDVDを購入。1983年撮影というからもう20年前である。メトロポリタン・オペラ劇場の緞帳は今と同じに見えるが。
噂に名高いミーシャのバジル役だが、恥ずかしながら観るのは初めて。本当に元気いっぱいで愛嬌があって。でも、アンヘル・コレーラみたいなラテンで能天気系ブンブン丸バジルではなく、いたずらっぽくちょっとセクシーでプレイボーイっぽくて小さいのに素敵。跳躍力があって若々しく、スターの輝きを見せてくれる。闘牛士の踊りとか全然揃っていなくて群舞は雑だけど、ダレるところがなく(いつもだったらちょっと退屈する夢のシーンもないし、ジプシー女のソロなどもない)、スピーディでザッツエンターテインメント!という感じで展開する。背が高くて彫りが深くかっこいいな、と思ったエスパーダ役のパトリック・ビッセルは麻薬の過剰摂取で亡くなってしまっていたのね。

来年のABTの来日公演は「ドン・キホーテ」をやるので楽しみ。バリシリコフ版ではないと思うが。バジル役はアンヘル、ホセ・カレーニョ、マルセロ・ゴメスあたりか?でも、フリオ・ボッカのが観たい。エスパーダはデヴィッド・ホールバーグとゲンナディ・サヴァリエフだろう。キトリはニーナ、パロマ、ジリアンかな?わくわく。

2004/11/10

マラーホフ&東京バレエ団「白鳥の湖」

ラッキーにも公演直前にチケットを余らせた通りすがりの方から3列目のチケットを入手。

しかし一番の見所が井脇さん、木村さん、後藤さん、大島さんのスペインの踊りだったとは(泣)。井脇さんの背中の柔らかさを生かしなおかつダイナミックな踊りは絶品。木村さんもちょっと悪っぽくてかっこよかった。

とりあえずしばらく上野水香のクラシックは観る気がしない。この情感のなさは一体何。止まっているところは綺麗だしもちろんスタイルは抜群だしバランスも良いのだが、バレエというのは動いているからバレエなのであって、いくら体が柔らかくて脚が上がるからって、機械仕掛けのようにカクカクとした動きではオデットにならないんだってば。生身の魅力に乏しく表情のバリエーションも少なく、なぜ王子があんなに彼女に恋するのか全く理解できない。(そういう意味では、まだオディールのほうがまし) 踊りは多分踊っているうちにこなれてきてもう少しなめらかになるとは思うのだけど、演技力がないのはいかんともしがたい。技術はあるんだから経験を重ねて演技力をもう少しつけてね。

マラーホフも哀しいことにどんどん踊れなくなってきている。三幕のヴァリエーションではへばっていた。とはいっても、ラインの美しさはやはり絶品。その上、水香から演技を引き出そうと一生懸命魂を込めて踊っているのはよくわかる。三幕のマザコンうぶ王子演技はかなりコミカルで観ていて楽しめた。役柄を自分のものにしようという気概が漂ってきている。4幕で調子を取り戻していて素晴らしかった。時々、演技から醒めて先生モード入るんだよね。

大嶋正樹の道化。大嶋さんは不調だったらしいけど、演技で補っていて最高にチャーミング。グランフェッテではがんばってガンガン回っていて魅力的。後藤さん、佐野さんのパ・ド・トロワは良かった。もちろんラテン系ノリの高岸さんロットバルトは、アップリケの衣装を着ていても素敵だったよ。東京バレエ団はずいぶんと退団してしまった人がいるが、コール・ドは揃っていてまずまず。足音の大きさを除けば。あと、演出の問題なんだろうけど2幕の白鳥の群れが登場するところが、ドタドタドタ…と勢いがよすぎて儚げな白鳥というよりは野性化した鳥の群れという感じだった。

それと、やはり衣装があまりにも古びているのは切ない。新国立劇場の豪華な衣装を観た後では、特に。1月に新国立劇場の白鳥の湖を取ったのだが、こちらのプロダクションと衣装は楽しみなのだ。

2004/11/09

「オールド・ボーイ」すごいね。

昨日は熱を出してだるくて一日寝ていた。予約していた病院もキャンセルし、一歩も外に出られない状態。いっときは本当に死ぬかと思ったよ。夜すこし良くなったので、オットが買ってきたストーンズの「ブリッジス・トゥ・バビロン・ツアー」のDVDを観る。97年のライヴだけどミック・ジャガーの若々しくスリムなこと!声もしっかり出ているし腰も振っているし昔と全然変わっていない。曲はベストアルバムといってもいいくらい有名な曲ばかりだし、音は分厚いし、彼らはライヴバンドなんだなと改めて実感(ライヴを観てしまうと、スタジオ録音がつまらなく思えてしまうのが難なのだが)。このDVD,2時間ライヴがつまっていて1500円は本当にお買い得。

今日も半日死んでいたけど、さすがにずっと死んでいるわけに行かないので、洗濯大会の後チネチッタに出陣。パク・チャヌク監督「オールド・ボーイ」を観る。

この映画は予備知識なしで観た方が絶対面白いので、中身には極力触れないようにする。「復讐者に憐れみを」に続く復讐ネタで、独自のヴァイオレンスワールドは健在。(どっちかというと心理的なヴァイオレンスと悪趣味さは「復讐者に~」のほうが凄いと思うけど) チェ・ミンシクの演技も相変わらず狂っている。先週「花咲く春が来れば」で田舎の音楽教師をやった人とは思えないほど。大きな生タコを丸ごとむしゃぶりつくように食べたり(15年ぶりに揚げ餃子以外のもの食べるからだけど)犬のまねをしたり、あんなことしたりこんなことしたり、取り憑かれたような凄みがある。

アクションシーンにおけるロングショットやゲームっぽい横移動の構図、省略法といった映像の工夫が独創的で見飽きない。スタイルに凝りすぎている面があり、後半一瞬ダレるし、ネタを台詞で説明してしまっているという難点もあるにはあるが、全体的に異常なまでのテンションの高さがあって、目が離せない。耳に残る携帯の着信音の使い方。後半まで登場しないユ・ジテの、クールな悪役ぶりがいいね。あの登場の仕方は絶品。

娯楽映画で、これだけの目を背けたくなるような残虐シーンや若くて可愛い女優の脱ぎがあってなおかつヒットしちゃうというのが、韓国の面白いところ。

2004/11/07

「モンスター」

休み明け、またまた体調が悪くなってしまったのだけど、今週末で「モンスター」終わってしまうと聞いてなんとかふんばって映画館へ。 渋谷のシネマライズまで行く元気がなかったので丸の内TOEIへ(劇場名は変わったけど改装はしていないのね)

ジャーニーのDon't Stop Believin'が、リーとセルビーが出会った翌日のスケート場のシーンで印象的に使われていた。実は2、3日前に家人が家で聞いていたばかりだったのだ。 エンドロールでももう一回流れたけど、歌詞の意味を考えると余計切ない曲だ。

本作でオスカーを獲ったシャリーズ・セロンの化けっぷりは言うまでもなく凄い。デ・ニーロ的だなあと思った。外見だけじゃなくて、品のない喋り方とか、どかっとした座り方とか、ホワイトトラッシュな娼婦になりきっていたのは見事。セルビーと知り合ってどんどん男前になっていくし。最初に殺した客にひどいことをされた時の反応も決して過剰ではなく、ちゃんと、こんな目に遭わされたときに取るであろうリアクションとなっている。

だが、それよりもクリスティーナ・リッチがいい演技を見せていたのでは、と思った。出会ったときには孤独な心を潤すような言葉をかけるのに、相手に依存し思い通りにならないと拗ねてみせてまるで相手を遠隔操作するかのように振舞うイヤ~な女を存在感たっぷりに演じていた。あの無邪気を装った上目遣いはちょっと忘れられない。

アイリーンとセルビーの恋愛を中心軸にしているとはいえ、実際に起きた事件をそのまんま描いているような、意外性のない映画ではある。アイリーンの不幸な生い立ちについては、最後の犠牲者を殺すところで触れているくらいで、ことさら彼女に同情的に描いているわけではないしドラマティックに仕上げているわけじゃない。下品で粗野な女で、最初のうちは殺人はやむにやまれないことだったのに次第に、金と車を得るために、そして快楽としての殺人まで犯すことになっていってしまう(=モンスター化)。「神様許して」と言いながらも、優しいなおじさん相手に銃をぶっ放す時には快感を感じているのがわかるから。

でも、考えてみれば、そんな育ち方をすれば誰でも彼女のようになってしまう可能性はあるのかもしれない。そんなアメリカの暗部を感じた映画であった。彼女が住んでいたテキサスはブッシュのお膝元で、死刑執行数全米一なんだよね。

2004/11/04

モーターサイクル・ダイアリーズ

映画祭とバレエにかまけていて、そういえば最近全然映画を映画館で観ていないと思って上映中作品のスケジュールを軽く調べたら、なんと!もう「モンスター」が終わってしまうではないか。渋谷まで行くのは面倒なので、川崎チネチッタへ久しぶりに行くことにする。

しかしいざ川崎についたら、ものすごい列。同じ川崎でもTOHOシネマズはいつもがらがらなのに。しかしチケットを買うときまで忘れていた。今日はレディースデーだってことを。そして「モンスター」は満席だったので、「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観ることに。

チェ・ゲバラの青春時代の旅を映画化したとあって、もっと彼の思想的な背景が出てくるのかな、と思ったら若き日のゲバラは普通のどこにでもいそうな青年だった。ガエル・ガルシア・ベルナルは相変わらず子犬のような目をキラキラさせていて、青春のきらめきを感じさせてくれる。ポンコツのバイクに二人でまたがって、お金もなくただ世界を見てやろうという意志と口八丁で(無謀にも)南米大陸を縦断する二人。でもそのシンプルな意志がやがて世界を変えて行くのだと思うとなんともいえない感慨が迫ってくる。イラクに行って無言の帰宅をしてしまった青年だって、実はそんな人になることだってあったのかもしれないのだし。
ラテンアメリカの乾いた空気とぎらつく太陽。マチュビチュの驚異的な遺跡と先住民族の人々。平凡な男の子(おぼっちゃま)がそれらを見て体験して、自分の中の何かを変えていく様子が、ガエルの目の中に物語られていて、いいものを見せてもらったと思った。

2004/11/03

東京フィルメックスのチケット取り

せっかくの祝日なのに早起き。

東京国際映画祭のチケット取り失敗に懲りて、今回は仲間内で手分け。あさ8時から蒲田のチケットぴあに並ぶ。前の日からお腹を壊していて、半分うつらうつらしながら待つ。3番目に到着。なんとか、仲間のおかげもあって目当てのチケットは全部取ることができた。

予定としては、
20日(土) 19:00 カナリア
21日(日)13:00 ナルシスとプシュケ
21日(日)16:20 雲の南へ
22日(月) 19:00 柔道龍虎榜
24日(水)19:00 Turtles Can Fly
25日(木) 19:00 懺悔<ざんげ>
27日(土)18:50 世界で一番悲しい音楽
28日(日) 13:40 明日が来なくても
     18:50 クロージングセレモニー/ドラキュラ 乙女の日記より

ってことで、1週間の間に9本観ることになる。東京国際より本数多いじゃん。
他にも興味を持った作品はあるんだけど、体力的にこの辺が限界だろうな。一番楽しみなのは、やっぱり「ブレイキング・ニュース」が良くできていたジョニー・トー監督の「柔道龍虎榜」。カルト教団を扱ったという塩田明彦の新作「カナリア」や滝本誠さん絶賛が絶賛していた「フラワー・アイランド」の監督の新作「懺悔(原題はSpider Forest)」、シャールク・カーン主演のインド映画「明日が来なくても」ももちろん楽しみ。今回取らなかったのは、前回グランプリを受賞した「ブリスフリー・ユアーズ」の監督「トロピカル・マラディ」。だって、「ブリスフリー・ユアーズ」は生○んこが大きくなるシーンが大写しになったところしか記憶にないんだもの。

有楽町朝日ホールは映画を観る環境としてはあまりよくないけど、キャパシティはあるので、東京国際よりはチケットがとりやすいし、ほぼ毎回ティーチインもあるのでより映画祭っぽくて好感が持てる。 指定席になるのは今年が初めてで、センター席はなかなか取れなかったが仕方ないか。

「ナルシスとプシュケ」は今回特集上映があるというハンガリーのボーディ・ガーボルの特集上映のうちの一本。ウド・キアー先生の主演作。imdbで調べてもようわからんかったが、こういう作品はなかなか観る機会もないので。

チケットを取り終えたあと帰宅したら、もう眠くて仕方なくて、速攻で寝る。起きたらもう2時過ぎで、こんなにお天気がいいのに洗濯もできなかったよ。ここしばらく、休みの日は寝てばかりいる。

2004/11/01

東京国際映画祭終了

今年はそんなにたくさん観ていないのに、天候不順もあって疲労困憊してしまった。最終日の今日も昼近くまで寝込む。
昨日の「カンフー・ハッスル」の上映は相当盛り上がったようで、祭りに参加できなくて残念。お正月映画の一番の楽しみということで。

さて、今日はアジアの風クロージング。行けなくなった友人にチケットを譲っていただいた。例年アジア映画がよく上映されていたシアターコクーンというやや広めの会場だが、映画を観るにはかなり席がしんどい。前の方だったのだが、段差がなく椅子も堅くて足元が狭い。こんなところにずっと座っていたらエコノミーシート症候群になってしまいそうだ。(しかし席がよいはずのヴァージン六本木でもお尻がとても痛くなってしまったのだが)

アジア映画賞の発表に続き、「花咲く春が来れば」の上映。オーケストラになかなか採用されず、恋人とも別れてしまったトランペッターが、田舎の中学のブラスバンド部を教えることに。寂れた炭鉱にあるこの学校のブラスバンド部は、大会で優勝しなければ廃止されるとのことだった。人生に迷えるダメ男が、中学生たちを教えるうちに自分を取り戻していくという、よくあるパターンの話ではある。男の過去の恋愛の話と町の薬剤師との淡い恋、中学生たちの話と話の中心があちこちにぶれていて、しかも決着がついていなさそうなのは気になるが、場面ごとの演出はしっかりしていて、ウェルメイドな映画になっている。なんといっても、主演のチェ・ミンシクの演技が素晴らしい。カリスマ的なテロリストから天才画家、平凡なおっさんまで演技の幅の広い人だ。子供たちや心優しい町の人々に出会って変わっていく様がよくわかる。炭鉱の出口で子供たちが演奏するシーンは「ブラス!」を連想させるけど素敵な場面。そして中心的な子役の男の子は、「先生、キム・ボンドゥ」でも印象的だった子。というわけで、他の映画で観たことがあるような部分は多いものの、韓国映画の平均点の高さを感じさせる、いい作品だったと思う。エンディングの寂寥感と心温まる部分がミックスされていて後味はいい。

今日、今回の映画祭で初めてティーチインを経験した。監督は「春の日は過ぎゆく」「八月のクリスマス」の助監督&脚本家であるという。なかなか誠実な感じのする人であった。

しかし新設された「黒澤明賞」10万ドルの賞金が山田洋次とスピルバーグだなんて悪い冗談としか思えない。コンペに出品するような若手監督にあげればいいものを、何を今更世界の億万長者であるスピルバーグにあげるのだろう。これが今年の映画祭で一番頭に来た出来事かも…。

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