コロンバイン・ハイスクール・ダイアリー
太田出版
ブルックス・ブラウン, ロブ・メリット著, 西本 美由紀訳
コロンバイン高校襲撃事件の犯人二人と友人、中でもその片方ディランとは小学校時代からの親友というブルックスによる手記。ブルックスはもう一人の犯人であるエリックに、事件の直前「おまえのことは嫌いじゃないからここから離れろ」と警告をされていた…。
体育会系のJOCKS(運動バカ)が幅を利かせるコロンバインで、犯人二人も、ブルックスも陰湿ないじめを受けていて、教師にも無視され、居場所がなかった…というわけで、一歩間違えれば犯人になっていたかもしれない(事実、ブルックスは事件への関与を疑われた)少年による等身大の心情が綴られている。ブルックスは彼らと同じようにいじめられていても、現実と虚構の世界を混同しなかった。でも、彼らを止めることはできなかった事実に苦しめられたし、同じ疎外感を感じてきたわけだ。
簡単に銃を手に入れられるアメリカの銃社会は確かに悪い。犯人たちは暴力的なゲームや暴力を歌ったロックやインターネットのサイトに夢中になっていた。だけど、それだけが悪いというわけではない。暴力的な音楽やゲームは暴力的な社会を反映しているし、ミュージシャン自信は暴力を礼賛しているわけではない。受け止める側の問題なのだ。異端である彼らをのけ者にするコロンバイン高校という場所は、アメリカ社会の縮図であるということが感じられるし、”恐怖”が少年たちの心を破壊していくプロセスが手にとるように見えてくる。
友人が13人もの学校の仲間を殺し、犯人として疑われ、学校には来るなと教師に言われて生活をめちゃくちゃにされたブルックスが、それでも戦い抜き次第に癒され立ち直っていくところは静かな感動を呼ぶ。犠牲者の一人であるレイチェルのエピソードも胸を打つ。犯人たちが襲撃前に残した遺書代わりのビデオのメッセージの内容には戦慄を覚えるともに、ここまで彼らが追い詰められてしまっていたということに胸が潰れる思いがする。
そして、コロンバイン高校で起こったことは今の日本とも決して無縁ではない。恐怖が恐怖を呼び、暴力性を加速していく今の世の中において、多くの人に読んでもらいたい本である。どんなひどい世の中でもあきらめなければ、報われるのではという希望が感じられる。
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