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2004年9月

2004/09/30

「エイプリルの七面鳥」とカダフィ大佐

今度とある週刊誌に映画評を不定期ながら(しかもペンネームで)書かせてもらうことになり、僭越ながら「エイプリルの七面鳥」を拝見。

実は観る前はそれほど期待していなかった作品だったのだが(だってル・シネマだし結末が想像できる作品だし)、思いがけず非常に良かった。

ヒロインはケイティ・ホームズ。「ドーソンズ・クリーク」などのアイドルからちょっと脱皮して、タトゥーとか入れている、家族に嫌われている女の子の役。でも、もうすぐ死んでしまうママのために、感謝祭の七面鳥を料理するため一生懸命になる。不器用そうだけど七面鳥にいろいろと詰め物をしているところを観ると、料理って楽しそうでいいなあ、と思った。彼女の住んでいるアパートの住民が、言葉が通じなかったり変人だったりで可笑しいし、ボーイフレンドもなぜかボコボコにされたり。

彼女の家族の方も、妹が思いっきりイヤなやつだったり、母親の方もこの不良娘に相当複雑な思いを持っていたりちょっとエキセントリックで、彼らの感情の襞が丁寧に描かれている。終わり方は想像どおりとはいえ、言葉に頼らない表現で処理の仕方がうまい。5000万円という低予算の映画だけど、80分という短い時間にコンパクトに濃くつまっていて、よい映画はビデオで観ても良いなあ、と思った次第。

とにかくアパートの住民が揃いも揃ってへんな、エキセントリックな人たちなんだけど、エキセントリックと言えばこんなニュース。
http://www.asahi.com/international/update/0928/014.html

カダフィ大佐の息子(その名もハンニバル)がパリのシャンゼリゼ通りをポルシェで140キロで逆走して捕まったけど外交官特権で無罪放免という話題。ひさしぶりにカダフィ大佐の名前を聞いた。最高指導者なのに大佐とはこれいかに、と思ったらエジプトのナセルを尊敬していて、その「大佐」という肩書きから「カダフィ大佐」と名乗ることになったとか。
カダフィ大佐の正式の肩書きは「社会主義人民リビア・アラブ・ジャマヒリア革命指導者」だそうで。社会主義国だったのか。 勉強になるわ。

カダフィ大佐の息子と言えばもう一人、サッカー選手がいて、リビアの石油会社がユベントスのスポンサーでそのおかげでユーベの役員をして、その後、サッカーやりたいってとペルージャで登録。なんかの試合に勝った時ときチームメイト一人一人に車プレゼントしたとか。リビアにいた頃、相手チームのサポーター銃撃したりいろいろとやってくれていたみたい。独裁者の息子って何でバカなのが相場なんだろう。

私も暇だな。

2004/09/29

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」(のチケット取り狂騒曲)

気がつけばまた一つ年を取ってしまった…ぜんぜん成長しない自分。やばい。 年齢不詳の女として引き続きやっていきます。

というわけで、自分への誕生日プレゼント?に日曜日に早起きして東京国際フォーラムのぴあステーションに並び、来年のマシュー・ボーン「白鳥の湖」のチケットを購入。しかも6枚も取ってしまったよ。去年も東京で6回観たから、同じ枚数だしまあいっかって札びら切ってしまった。さらに6枚のうち4枚は1万5千円するオーケストラつき。自分の所持金のこと何も考えていなくて、勢いで取っちゃった。首藤さんが王子を踊るって言うし。今度のスワンにも謎のスペイン人がいて、しかもマシューのサイトの写真を見る限りではなかなかカッコいいではないか。来年はABTとかロイヤルとかシュツットガルトなどバレエの来日ラッシュなので、観る公演を絞り込まなければならないし、「白鳥の湖」も3回くらいにしておこうと思ったのに…。ばか。 首藤さん、ラクダのシャツとか一升瓶とか似合いそう(と言ったらファンに怒られちゃうけど、チケットをこんなに買わせるくらい魅力があると言うことでお許しを)

東京国際フォーラムでは「人体の不思議展」を開催中だけど、10時の開場前から長蛇の列。日曜の朝から死体を観に行くなんてなかなかみんな趣味がいいなあ。私も観に行きたいと思っているんだけど。グロ系苦手なはずだったのに。

2004/09/28

ニューヨークシティバレエ3連発

オーチャードホールは見づらい、チケットが高い、その上ホアキン・デ・ルースとロバート・チュ-ズリ-は来日しないと散々公演前から不満をこぼしていた本公演。でも終わってみると、それなりに楽しめたと思う。

“物語”とエモーションが好きな自分としては、もともとバランシンをはじめとするアブストラクト(抽象的)バレエはそれほど好みではなかったりする。そもそもバランシン作品はガラで一部しか観たことなかったわけだが。改めて一つ一つの作品を全体で観るとなかなか面白い。23日のBプロは3回の一番後ろで観た訳だが、『セレナーデ』は高い位置で全体を観られて良かったと思う。(同時に、コール・ドが揃っていないこともわかってしまうけど)

でも振付でいえば、バランシンではなく、クリストファー・ウィールドンによる『ポリフォニア』(ほんの少しユーモラスで、斬新かつアクロバティックな作品)や、ピーター・マーティンス振付の『ハレルヤ・ジャンクション』(ミニマルなピアノ曲にあわせて、これまた複雑で超絶技巧で飛ばしまくっていて、クラクラ酔わされる斬新な一作)がものすごく面白かった。
もちろん、バランシンの『アゴン』などはさすがに傑作といわれるだけのことはある美しさと緊張感が漂う作品だけど。

これが楽しみだった『ウェストサイドストーリー組曲』は『マリア』とか『トゥナイト』などがなかったり、痛ましい事件の後でいきなり和解していたりと映画から入った人間としてはあれれ、と思うところもあったが。
『スターズ・アンド・ストライプス』は楽しかった!ガラではたいていパ・ド・ドゥしかやらないけど、おもちゃの兵隊のような男性群舞は最高に盛り上がったし、3部のソロを踊った小柄なトム・ゴールドが良かった。コーダの女性コール・ド脚あげまくりもノリが良くてアメリカーンな感じ。ラストの星条旗のところは、さすがにここまで能天気でよいのだろうか、と思うけど。

『フー・ケアーズ』は6月のルグリのが良すぎて今回はあんまり感心せず。ニラス・マーティンスがダンサーとしてありえない体型でドン臭くて…。全体的にNYCBの男性プリンシパルはみんな太めで重たくて今ひとつだった。基本的にスター不在のカンパニーだけど、男性ダンサーは、ホント、ヨーロッパやABTのスターを見慣れている目にはつらい。『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』もいつもガラでトップ男性ダンサーの踊りを観ているから、今回のチュ-ズリーのピンチヒッターだったらしいスティーヴン・ハンナは冴えなく見えた。

反面、女性プリンシパルはかなり良い。『アゴン』『ポリフォニア』『ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト』のウェンディ・ウェーランの驚異的な脚の長さと優雅さ。『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』のアレクサンドラ・アンサネッリの愛らしさ。『デュオ・コンチェルタンテ』のダーシー・キースラーの年齢を経た成熟、とそれぞれ魅力的。

今回、新日本フィルの演奏もかなり良かったのだけど、個人的なヒットは『ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト』『デュオ・コンチェルタンテ』でソロを弾いたカート・ニッカネン。北欧系の美形でヴァイオリニストにしておくにはもったいないほど。もちろん演奏も良かったけど、けっこうオペラグラスで姿を追ってしまったよ。『デュオ・コンチェルタンテ』では舞台に上がったし、ダンスなしで演奏が続くところがあるので、お姿を堪能。

いろいろと文句を垂れてしまったけど、やっぱり生の舞台はいい!音楽と美しい舞台に酔いしれることができたここ数日だったわ。日曜日の終演後マークシティ内の中華料理店でウェンディ・ウェーランとトム・ゴールドを見かけたけど、ウェンディの脚の長さと美しさといったらもう!

2004/09/27

TOKYO NOIR

オットの実家でウズベスタン、サマルカンドの土産話を聞きに行った後、銀座シネパトスで「TOKYO NOIR」の初日へ。
http://www.kss-movie.com/tokyonoir/

「PAIN」の石岡正人監督、そして熊澤尚人監督による3話オムニバス作品。初日舞台挨拶つき。35歳になったキャリア女性の変身物語、彼を友人に取られたショックでヘルス嬢になった女子大生、そして失踪した恋人を探すうちに同姓同名の女性と入れ替わり夜の東京をさまようOLという、SEXと変身をテーマにした中篇集。女性の目から見た恋愛が等身大に描かれていて、出来は良いと思う。吉本多香美、中村愛美、吉野きみか、そして関彩と女優陣もがんばっているし、遠藤憲一の証券ディーラーのやさぎれてちょっと危うい魅力は素敵だった。夜のシーンが多く、東京の夜が魅力的に切り取られているだけに(特に3話目の吉野きみかが光の海のような東京をドライブするシーンは素敵)、フィルムだったらもっときれいだろうなと少し残念に思った。フィルムじゃないと女優の肌もきれいに映らないし。

1話目、生理がこなくなってしまったヒロインに医師が言った言葉「この年になると少しは恋愛もしないと体に毒だ」というのにはグサ。

2004/09/25

コロンバイン・ハイスクール・ダイアリー

太田出版
ブルックス・ブラウン, ロブ・メリット著, 西本 美由紀訳

コロンバイン高校襲撃事件の犯人二人と友人、中でもその片方ディランとは小学校時代からの親友というブルックスによる手記。ブルックスはもう一人の犯人であるエリックに、事件の直前「おまえのことは嫌いじゃないからここから離れろ」と警告をされていた…。

体育会系のJOCKS(運動バカ)が幅を利かせるコロンバインで、犯人二人も、ブルックスも陰湿ないじめを受けていて、教師にも無視され、居場所がなかった…というわけで、一歩間違えれば犯人になっていたかもしれない(事実、ブルックスは事件への関与を疑われた)少年による等身大の心情が綴られている。ブルックスは彼らと同じようにいじめられていても、現実と虚構の世界を混同しなかった。でも、彼らを止めることはできなかった事実に苦しめられたし、同じ疎外感を感じてきたわけだ。

簡単に銃を手に入れられるアメリカの銃社会は確かに悪い。犯人たちは暴力的なゲームや暴力を歌ったロックやインターネットのサイトに夢中になっていた。だけど、それだけが悪いというわけではない。暴力的な音楽やゲームは暴力的な社会を反映しているし、ミュージシャン自信は暴力を礼賛しているわけではない。受け止める側の問題なのだ。異端である彼らをのけ者にするコロンバイン高校という場所は、アメリカ社会の縮図であるということが感じられるし、”恐怖”が少年たちの心を破壊していくプロセスが手にとるように見えてくる。

友人が13人もの学校の仲間を殺し、犯人として疑われ、学校には来るなと教師に言われて生活をめちゃくちゃにされたブルックスが、それでも戦い抜き次第に癒され立ち直っていくところは静かな感動を呼ぶ。犠牲者の一人であるレイチェルのエピソードも胸を打つ。犯人たちが襲撃前に残した遺書代わりのビデオのメッセージの内容には戦慄を覚えるともに、ここまで彼らが追い詰められてしまっていたということに胸が潰れる思いがする。

そして、コロンバイン高校で起こったことは今の日本とも決して無縁ではない。恐怖が恐怖を呼び、暴力性を加速していく今の世の中において、多くの人に読んでもらいたい本である。どんなひどい世の中でもあきらめなければ、報われるのではという希望が感じられる。

コロンバイン・ハイスクール・ダイアリーコロンバイン・ハイスクール・ダイアリー
ブルックス・ブラウン ロブ・メリット 西本 美由紀 他

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2004/09/23

六本木でドキュメンタリー2本

たまには映画を観なくちゃ、と久しぶりにヴァージンシネマズ六本木ヒルズへ。普段シネコンは川崎のチネチッタばかりなのだが、比較すると、窓口がかなり行列するのは同じだが、窓口の数が7つと少なく、しかも川崎だと上映開始間近の作品を観る人は優先してくれるのにそれもなし。トイレの数も少ないと思う。
パンフレットの見本が置いていないのも不親切(チッタもそうだけど)。大体そもそも、六本木ヒルズに着いたところで、ヴァージンがどこにあるかもよくわからないのが一番困った点なんだけど。

ドキュメンタリー2本続けては疲れる。「フォッグ・オブ・ウォー」は混雑していて一番前の列になったのだが、画面に近いところでドキュメンタリーのビデオっぽい映像を観るのはつらいし字幕も読みづらかった。映画そのものは非常に面白い。マクナマラは大学時代に「世界核戦略論」を読んでいたんだけど、やはり賢い人だ。賢い人でも間違いはするものだな。それをちゃんと認めて、間違いから学んでいるところが凡人と違うところだ。撮影当時85歳というが非常にかくしゃくとしていてガタイもよく、とてもその年齢には見えない(若い頃はなかなか男前である)。第二次世界大戦当時、B-29での低空による日本空爆を提案し、しかしそれで多くの民間人の人命が奪われたことを知って「10万人の死で償われる勝利とは」と語ったところはこの人の人間性を感じる。キューバ危機の話とかベトナム戦争とか勉強になる話がいっぱいあったので(映画「13デイズ」ではマクナマラの役はディラン・ベイカーが演じていた)、ビデオが出たら改めて観たいと思った。

「ソウル・オブ・マン」は、ブルースの父というべき3人のミュージシャンと、彼らの遺産について描いた作品だが、同じヴェンダーズの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」ほどの幸福感はないというかブルースは悲しい音楽だということか。カサンドラ・ウィルソンの深みのある歌声はやっぱり素晴らしい。ブラインド・ウィリー・ジョンソンやスキップ・ジェイムズの部分は再現ドラマになっているのだが、20年代のアメリカの濃厚な空気がよく伝わってきている。一瞬しか流れないクリームの「I'm So Glad」かっこいい!

でもやっぱりドキュメンタリー2本立ては疲れたわあ。もっと体調のいいときに臨むべきだった…。
六本木ヒルズってとても写真に収めづらいところだと思うけど記念撮影をしている人が未だに多いのには驚いた。

2004/09/21

最近映画観てなくてやばい&バレエなホームパーティ

3連休の2日目、朝からとても暑い。9月も下旬に入ろうとしているのに未だにタンクトップなど着てしまう。そして連休なのに映画も観に行っていない。それどころか、今何やっているのかもよくわかっていなかったりする。
忘れないように、観たいと思っているものでも挙げておくか。

・インファナル・アフェア2無間序曲(1作目はDVDまで買っているしアンソニー・ウォンやン・ジャンユーが出ているとあれば観るしかないけどあっという間に終わりそうで怖い)
・LOVERS(評判はよくないけど、とりあえずチャン・イーモウ作品は全部観に行くことにしているし久しぶりの金城だし)
・アイ・ロボット(「ダークシティ」のアレックス・プロヤス監督作品だからとりあえず必見)
・ヴィレッジ(絶対にまた騙されるというか怒りを感じそうな気がするけど、ネタとしては観なくちゃ?)
・フォッグ・オブ・ウォー(一応国際法専攻で大学時代にマクナマラの著書は読んでいるから。六本木まで行くの面倒だけど)
・IZO(三池作品は必見だし。ボロカスにけなされている作品だけど、「荒ぶる魂たち」「許されざる者」という武知・三池コンビ作品は好きだったりするので)
・「父、帰る」(旧ソ連関係の映画は観ておかないとイカンし、評判いいし)

絶えず観たい映画が10本くらいあった1年前に比べて少なくなっているね。

バレエ関係友人8人を招いて自宅でビデオを観ながら延々とご飯。恐ろしいことに、この9人は全員今年のニューヨーク、METでABTを観に行った仲間なのである。6年前のとんねるずの生でダラダラいかせてのABTに木梨憲武が乗り込んだ回とか(意外と憲武がうまいのに驚く&アンヘルの煙が出そうな回転はこの当時からだった!)ボリショイのイワン雷帝(ベトロフがすごい)とかベジャールのパクチの謎の映画とか、アマンダ・マッケローのコンクール出場時の24年前の映像とか、貴重なものをたくさん見せていただく。あっというまに8時間が経過。美味しいものをいろいろと持ってきていただいたし楽しかった。あとは自分がもう少しテキパキ料理できるようにならないと!

2004/09/18

今観るとさらに味わい深い『ワイルドシングス』

ずいぶん前に友人に借りたまま借りっぱなしだったDVDを鑑賞。一部で「生ベーコン」ことケヴィン・ベーコンの局部が話題になったこの作品。
いやあ、このあけっぴろげなエクスプロイテーションぶりがいいですね。いまやチャーリー・シーンの嫁であるデニース・リチャーズ脱いでいます。こんなに発育のいい女子高生がいるものだろうか。マット・ディロンは最近はコメディみたいなのにばかり出ているけどこのときはまだ二枚目っぽい。ネーヴ・キャンベルは『バレエ・カンパニー』ではバレリーナだけど、こっちのゴス少女のほうが持ち味が出ているのではないだろうか。テレサ・ラッセルは『デブラ・ウィンガ-をさがして」ではすごくおばさんになっていたけどこのときはまだいける感じ。ビル・マーレイは法廷シーンでは、カラオケでいつブライアン・フェリーを歌いだすのかと思ったよ。みんな薄着でワニとか出てきたりヨットでの殺しとかあったりリッチなんだか安っぽいんだかわからない雰囲気が最高。
しかも冗談みたいにどんでん返しが多いし。エンドグレジットに伏線がみんな登場!だもん。
ケヴィン・ベーコンのアレは期待したほどではないけど、「インビジブル」といい、脱ぐの好きだよね。やっぱり刑事役が彼という次点で警戒すべきだったわ。

反省。
友人にパンツを見られ、それがユニクロだとバカにされてしまった。(ユニクロ愛用者なので仕方ないのだが)ローライズのジーンズを穿いていないからって手を抜いてはいけなかったのだ。あわてて?カルヴァン・クラインの女性用ボクサーショーツを購入。一枚2500円は高いと思うけど。

2004/09/15

某雑誌の対談に参加&朝4時帰り

某映画雑誌の企画で、新作映画3本を観た上で編集長始め女性数人で対談するというのに参加してきた。
以前仕事をした映画会社のK嬢を始め、映画業界の方や雑誌の編集の方などのメンバーで、今業界にいないのは私だけなのでお恥ずかしい。(しかも写真も載るらしい。ああ恥ずかしい)

お題の映画3本のうち予め観たのは、グルジアを舞台にしたフランス映画「やさしい嘘」と、60年代に活躍したバンド、ゴールデンカップスのドキュメンタリー「ワン・モア・タイム」。

「やさしい嘘」はグルジアに住むおばあちゃん、母と娘の3人を描いたドラマで、娘を演じたのはカネフスキーの傑作「動くな!死ね!甦れ!」の女の子。ヨーロッパとロシア文明の交じり合うグルジアの豊かな文化、美味しそうな食事やワイン。キェシロフスキの「トリコロール」の撮影監督による美しく繊細なシネマトグラフィ、女性監督らしい細やかさの感じられる映画。終わり方には予定調和的なところが感じられるものの、ちょっと気が強いおばあちゃん役の女優さんが素晴らしくて好ましい印象。おばあちゃんのお金がなくても、年をとってもマニキュアをしたりスカーフなどでお洒落を楽しんでいるのが素敵。

「ワン・モア・タイム」はグループサウンズ全盛時に「長い髪の少女」というヒット曲を飛ばしたことで知られるゴールデンカップスのメンバーと再結成ライブを追った映画なのだが、今回課題になっていなければ観ることはなかった映画だろう。名前くらいしか聞いたことのなかったバンドだし。しかし、GSといっしょくたにされていたこのバンドの音楽性が素晴らしい。60年代末、テレビにも多く出演してアイドル的な人気もあった彼らの音楽は、めっちゃブルースで、TVなのにヴァン・モリソンとかマディ・ウォーターズの曲のカバーを(もちろん英語の歌詞で)演奏しているのだ。演奏技術もすごい。キーボードはかのゴダイゴのミッキー吉野だし、ベースのルイスルイズ加部(フランス人のハーフで若い頃は少女マンガから抜け出たように美形)は後にピンク・クラウドを結成。メンバーチェンジを盛んに繰り返したグループで、柳ジョージやアイ高野も参加していた。さらに、インタビューに登場する面々が、北野武、矢野顕子、ショーケン、土屋昌巳、クレイジーケンバンド、CHAR、ジョー山中など恐ろしく豪華である。彼らの出身地横浜に治外法権があり、ベトナム戦争から休暇を取った兵士でライブハウスが賑わい、沖縄が返還される前という時代に、こんなにいかした連中がいたとは!そして、30年の時を経ての再結成ライブ。少年にかえったような彼らの、相変わらずブルースなライヴパフォーマンスもノリがよく素晴らしい。60年代末、自分が生まれる少し前のファッションや風俗もたくさん出てきて、とーっても面白かった。当時の不良少女みたいな女の子たち、今でもかっこいいし。ライヴシーンがとても長いけど、それだけ自分たちの音楽に自信があるってことだろう。しかも、「あの頃は良かった」みたいなノスタルジーがあるわけでもなく、あいかわらずいかした不良オヤジなのがいい。ゴールデンカップスを知らなくても、ロックが好きな人だったら絶対に気に入ると思う。

映画の紹介が長くなったけど、対談そのものは盛り上がったのか盛り上がらなかったのかわからない面もあった。自分と同世代、もしくは少し若い女性たちと、60近い編集長(かの脚本家)のジェネレーション・ギャップみたいなのもあったわけだが。だけど、終わった後に飲みに繰り出した後は盛り上がること。編集長が脚本を書いた映画の話題を発端に、男と女、SEXについての話題で朝の3時半までかかってしまった。みんなの話を聞くにつけ、自分は既婚者であるということもあるしすっかり歳を感じてしまったわけだけど。今時の若い娘のセックス観は自分とは隔世の感があるわあ。

それはともかくとして、非常に楽しい一夜であった。こういう会はまた参加したいな。さすがに朝4時に帰宅したので翌日は仕事がつらかったし、タクシー代も相当かかっちゃったけど、その価値はあったと思う。

2004/09/12

映画をなかなか観られない&「ぼくセザール、10歳半1m39cm」

財布を紛失した際に、日本映画テレビ技術協会の会員証もなくしてしまった。この会員証を持っていると東京近郊のほとんどの映画館で1000円で映画を観られるのである。ということは、1000円以上お金を払って映画を観る気にならないということでもあり、再発行されるまで映画はお預けなのだ。くそう。

しかし振り返ってみるとそもそもほとんど新作の映画を観に行っていないのであった。観たい映画が少ないってことなんだけど。

親にもらった株主招待券で、「ぼくセザール、10歳半1m39cm」を観る。父親が面白いって言っていたんで。フランス人の子供ってマセているな~。主人公のセザールはデブって設定でそれをしきりに気にしているけど、可愛くて全然太っているようには見えない。親友のモルガンが、金髪ドレッドヘアのかっこいい男の子で、ベジャール・バレエ・ローザンヌのジュリアン・ファヴローにちょっと似た不思議なエキゾチックな顔立ち。セザールが恋しているサラという女の子がとても10歳とは思えないオトナっぽい美少女で、監督の娘らしい。刑務所ネタとか、離婚ネタとか、けっこう洒落になってないじゃん!というところも笑い飛ばしていて明るい。ロンドンに行くくだりではやや誇張されたブリティッシュアクセントが懐かしい。そしてパンクなおばちゃんを、あのアンナ・カリーナが演じているのはビックリした。ラストのまとめ方がやや強引なこと以外は、子供の率直な視線もあって楽しい映画になっていると思う。

せっかく交通費をかけて新宿に来たから、と紀伊国屋で「コロンバイン・ハイスクール・ダイアリーズ」を買って、ドラッグストアに寄ったらついつい、土屋アンナちゃんのポスターに惹かれているうちにファンデーションとパウダーを買ってしまった。貧乏なのに何やってるんだろう。ついでにハンブルグ・バレエの「ニジンスキー」と「眠りの森の美女」のチケット代、合計4万円余りも入金しちゃうし。月曜日からしっかり働かないと。

2004/09/09

ティム・ウィロックス『ブラッド・キング』

財布を紛失(多分盗難)して困るのは、お金がないことはもとより、キャッシュカードも使えなくなったので貯金を下ろすのも面倒(某みずほ銀行にいたっては、口座がある支店まで出かけていかないとカードが再発行できないという。勤め人が平日の3時までに銀行の窓口に行かなければカードを手に入れられないってどういうサービスの悪さなんだろう…)で、手元に現金がなく、さらにクレジットカードも使えないので本当にどうしようもないことだ。

仕方ないので、オットにお金を借りて仮の仕事に出勤中(とりあえず昼間は映画業界から足を洗ったのである)。でも、交通費だけでもバカにならない。派遣OLなので通勤経費は自腹だし。それなのに、手元には借りた1300円しかなかったのに、ついつい本屋に寄って840円もする本を買ってしまったりして。

先月の失業以来、ミステリー関係の読書がマイブームで、サラ・ウォーターズの『荊の城』の妖しくて耽美的な雰囲気に魅せられてから同じ作者の『半身』を読み、それからライターのMKさんに勧められたティム・ウィロックスの『グリーンリバー・ライジング』にハマった。ウィロックスは日本では2冊しか出ていないが、独特のどろりと濃厚な人物描写が悪魔のように心に絡みつくような作風。『ブラッド・キング』は『グリーンリバー・ライジング』と訳者が変わってしまったせいか最初のうちはやや読みにくいかと思ったが、途中からページを繰る手が止まらなくなる。暗い情念がどろっと伝わってきて、しかもノワール系のアクション映画を読むようなハードボイルドな感覚もある。恐るべし。執拗に仔細に描きこまれた人間が血と肉を持って、皮膚感覚に訴えてくる。

ウィロックスを読んだらノワール系の小説を読みたくなり、ちょっと前にマイブームだったジム・トンプソンの、買ったまま読んでいなかった「真夜中のベルボーイ」に着手。そして今日本屋でお金もないのに買ったのは、IRAのテロリストも登場するピート・ハミルの「天国の銃弾」。現実逃避に、ミステリー小説はいい。

ブラッド・キングブラッド・キング
ティム ウィロックス Tim Willocks 峯村 利哉

角川書店 1996-12
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2004/09/07

財布をなくすの巻

こんな荒れたお天気の日に外に出ようと思ったのが間違いだったのかも。そして、バスはもうなるべく使いたくないと思ったのだ。

昼間に試写を観る予定が試写室の場所がわからなくて、川崎で「LOVERS」を観ようと思った時、バスではなく電車を使うべきだった…。バスは時間も読めないというのに。

昼間にものすごい雨が降っているときに慌ててバスに乗り込み、バスカードの足りない分を現金で払った時に財布を開いたはず。そして空いている席に座ってずぶぬれになった足を拭いた時に落としたのか、それとも川崎駅の地下街を走っている時に落としたのか。おそらくバスの中だとは思うのだけど。私にしては珍しく現金が1万円ほど入っていたし、NYで買ったばかりのDKNYの財布だし(たくさんカードを入れることができて便利だった)キャッシュカードやクレジットカードもたくさん入っていて。カード類は全部止めたのだけど、お金が一銭もなくて家に帰れなくなりそうで参った。今、交番ではお金を貸してくれないし、電話したバスの営業所もえらく不親切だし。結局今日は何もできなかったというわけである。あ~あ…。なんてついていないのかしら。

営業所に後で電話しても届いていないというし、スリに遭ってしまったのかもしれない。ただでさえ貧乏なのにこんな目にあうとは。「父と暮らせば」の前売り券とか、図書券とか、日本映画テレビ技術協会の会員証とか、かなりたまったタワーレコードのポイントカードとか、保険証とか大事なものがいっぱい入っていたのに。帰宅して不貞寝。

2004/09/06

東京バレエ団「ドン・キホーテ」(9月4日)

2週間ぶりのバレエは東京バレエ団「ドン・キホーテ」。
開演前にものすごい雨でどうなるかと思ったら、終演後はもっとすごいことになっていました…。おかげで風邪を引いてしまいました。

「ドン・キホーテ」は楽しくて派手でお気に入りの演目の一つ。東京バレエ団版は、去年の世界バレエフェスティバルでゲストにウヴァーロフ、ステパネンコをゲストに迎えたのを観ていて、高岸直樹のエスパーダの演技がとても気に入ったので、楽しみにしていました。

やっぱり高岸さんのバジルは最高に魅力的で、本当に濃ゆくてよく回っていて明るくて楽しかったです。背が高いから映えるし、彼の陽性のキャラクターに良くあっていたと思うのでした。勢い余っているところもあったけど元気が良くて観ていて気持ち良かったです。サポートにやや不安ありだけど。

上野水香は、前回のガラのときよりは全然良かったけど、手のへんな装飾がやっぱり気になるし、あとキトリっぽくないというかきりっとした部分が足りない、可愛らしいのだけど子供っぽい感じがしてしまったのが難だったような。軟体動物のような柔らかさ。脚はさすがに良く上がっていたし、バランスもちゃんとしていたけど。大きな失敗はなかったし無難なスタートではあると思うけど。これから頑張って味をつけていってね、という感じでした。 去年のステパネンコのシャープなフィッシュ・ダイブはさすがに望めませんでした。

井脇さんのメルセデスは凛として華やかで美しく、背中を大きくそるところの妖艶さと力技には驚嘆。吉岡さんのジプシーもとてもドラマティックでよかったと思います。晴雄さんのエスパーダ、マント使いでちょっと失敗していたけど全体的には良かったし。
もちろん、飯田先生のサンチョ・パンサもくるくるよく回っていて最高でした。

というわけで、1部がちょっと長いけどとても楽しめました。B席は全体がよく見えて値段も安かったのでお得感あり。端に昨日バジルを演じた木村さんの姿も見えたりして、主役意外でも見所の多い、充実の舞台でした。

帰りは混雑している上野を避けて、品川のアトレにできたグランドセントラルステーションのオイスター・バーへ。NYでは行けなかったというリベンジを果たしたのでした。おいしかったし、値段も思ったよりかなり抑え目でこちらもお得感あり。こんなに品川がおされなところになっているとは。

2004/09/02

ダイアルアップ接続はストレスが…。

久しぶりにダイアルアップで接続しています。万が一のための従量制をつかっているので、請求が怖いです。
本当にイッツコムは使えないです。サポートは夕方6時半までしかやっていないので、勤め人には本当に不便。(勤め人じゃないけど) やっぱり光に乗り換えるべきだった。

今日は「ドリーマーズ」を再見して、エルミタージュ美術館展に行って、それからまたアテネフランセでピンク(サトウトシキ監督の「ロストヴァージン やみつき援助交際」)を観たのだけど、接続代が気になるので詳細はまた後日。サトウトシキ監督とは面識があるのに、観るのは初めてだったけどよかったです。エルミタージュは金銀財宝とエカテリーナ女王の12人の愛人に圧倒されましたわ。 しかもロシアの民はこの時代が一番幸せだったなんて最高。一度はマリインスキー劇場で本場のキーロフ・バレエを観てみたいもの。去年のABTのNYシティセンター公演でロシア人のおじさんがキーロフ観劇ツアーのチラシをせっせと配っていたのを思い出しました。

2004/09/01

アテネフランセでピンク映画3本立て

無職の特権として昼間に映画を観に行くというのがある。しかもピンク専門館以外ではなかなか見る機会のないピンク映画の特集上映だ!というわけで急にまた酷暑となったところだけど頑張ってアテネフランセの坂を登ることにする。
http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/2004_08/NSPMtop.html

しかしこれだけ豪華なラインアップなのだからもっと人の入りが良いかと思ったらそうでもないのがもったいない。女性の姿なんてほとんどないのだから…。 (「痴漢電車 さわってビックリ!」では監督と主演の川瀬陽太のぶたいあいさつまであったのに)

最初は2本だけにしようかと思っていたのだが、2本とも出来が良かったので思わず3本目まで観たら、3本目が一番面白かったという幸運。平均60分という短い尺(集中力のない自分にはかえって好都合)、必ず何分に1回はカラミを入れなくてはという制約、そして低予算の中で商品として満足度の高いものを作っているのが良い。しかもフィルム至上主義者の自分としては、低予算でも35ミリというのがありがたい。一般日本映画で、これだけ平均的に面白い映画って今作れるものなのだろうか、と思わされるのだ。

宙ぶらりん(SEX配達人 おんな届けます)監督/堀禎一 
倦怠期にあるカップル。ホカ弁屋で働く女の前に、毎日午後3時にイカフライ弁当を買いに来る(ちょっとおたくっぽい)男がプロポーズ。一方、デリヘル嬢の運転手である片割れの方は、同僚のデリヘル嬢を買って一瞬本気になっちゃったりとダメダメぶりを発揮。どこにでもあるような男女の心の襞をうまく掬い取った映画だと思う。ここまでダメな男と一緒になることがヒロインにとって幸せとは到底思えないけど。

にぎって(OL性白書 くされ縁)監督:今岡信治
別れたはずのカップルが、ふとした偶然で再会してついにはある奇跡が起こるという筋だけ聞くとファンタジックなのだけど、実はかなりユーモラス。振られた新彼に贈られた指輪を外そうとして両手を煮えたぎる油の中に突っ込んでフライしてしまい、さらには食あたりして振った男の部屋のトイレを借りようとして間に合わず、両手をぐるぐる巻きにされた状態で親から暇つぶしの電話がかかってきたり、変態夫婦に捕まって鞭打たれたり、最後には青木ケ原の樹海をさまよう羽目になってしまうのだから、ヒロインの受難は相当なもの。浮気相手の女に金属バットで殴られたり小学生にぶつかった男や彼女の乗ったタクシーを追い掛け回したりする主人公も相当大変だけど。それなのに終わり方で「イイ話」に思えてくるから可笑しいものだ。

耳を澄ます夏(痴漢電車 さわってびっくり!)監督/榎本敏郎
タイトルは聞いたことがある、有名な作品だけど観てみると噂になるだけのことはある、実にウェルメイドなラブコメ。気弱なサラリーマンが痴漢をした女性は実はスリで、彼女のスリ稼業の片棒を担がされる羽目に陥り、さらに彼女の犯罪行為はエスカレートし…。女スリ役の麻田真夕がとにかくキュートだ。痴漢とスリという犯罪者二人組なのに憎めないのは、彼女のキャラクターに負うところが大きいと思う。言ってみれば、『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンの役に通じるところがある、暴走しながらも実は純情な魅力。裏エピソードとしてスリ常習犯の男と刑事の不思議な関係というのもあって、こちらもユーモラス。幕切れの仕方も、ラブコメの王道を行っているちょっとロマンティックなハッピーエンド。

ホント、ピンク映画を一般の上映会場で観られる機会はもっと増やして欲しいものだわ。アップリンクさまからDVDシリーズ「ニッポンエロティックス」
http://www.uplink.co.jp/nippon_erotics/
が出ているので興味のある方は是非。

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