ニューヨークシティバレエ3連発
オーチャードホールは見づらい、チケットが高い、その上ホアキン・デ・ルースとロバート・チュ-ズリ-は来日しないと散々公演前から不満をこぼしていた本公演。でも終わってみると、それなりに楽しめたと思う。
“物語”とエモーションが好きな自分としては、もともとバランシンをはじめとするアブストラクト(抽象的)バレエはそれほど好みではなかったりする。そもそもバランシン作品はガラで一部しか観たことなかったわけだが。改めて一つ一つの作品を全体で観るとなかなか面白い。23日のBプロは3回の一番後ろで観た訳だが、『セレナーデ』は高い位置で全体を観られて良かったと思う。(同時に、コール・ドが揃っていないこともわかってしまうけど)
でも振付でいえば、バランシンではなく、クリストファー・ウィールドンによる『ポリフォニア』(ほんの少しユーモラスで、斬新かつアクロバティックな作品)や、ピーター・マーティンス振付の『ハレルヤ・ジャンクション』(ミニマルなピアノ曲にあわせて、これまた複雑で超絶技巧で飛ばしまくっていて、クラクラ酔わされる斬新な一作)がものすごく面白かった。
もちろん、バランシンの『アゴン』などはさすがに傑作といわれるだけのことはある美しさと緊張感が漂う作品だけど。
これが楽しみだった『ウェストサイドストーリー組曲』は『マリア』とか『トゥナイト』などがなかったり、痛ましい事件の後でいきなり和解していたりと映画から入った人間としてはあれれ、と思うところもあったが。
『スターズ・アンド・ストライプス』は楽しかった!ガラではたいていパ・ド・ドゥしかやらないけど、おもちゃの兵隊のような男性群舞は最高に盛り上がったし、3部のソロを踊った小柄なトム・ゴールドが良かった。コーダの女性コール・ド脚あげまくりもノリが良くてアメリカーンな感じ。ラストの星条旗のところは、さすがにここまで能天気でよいのだろうか、と思うけど。
『フー・ケアーズ』は6月のルグリのが良すぎて今回はあんまり感心せず。ニラス・マーティンスがダンサーとしてありえない体型でドン臭くて…。全体的にNYCBの男性プリンシパルはみんな太めで重たくて今ひとつだった。基本的にスター不在のカンパニーだけど、男性ダンサーは、ホント、ヨーロッパやABTのスターを見慣れている目にはつらい。『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』もいつもガラでトップ男性ダンサーの踊りを観ているから、今回のチュ-ズリーのピンチヒッターだったらしいスティーヴン・ハンナは冴えなく見えた。
反面、女性プリンシパルはかなり良い。『アゴン』『ポリフォニア』『ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト』のウェンディ・ウェーランの驚異的な脚の長さと優雅さ。『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』のアレクサンドラ・アンサネッリの愛らしさ。『デュオ・コンチェルタンテ』のダーシー・キースラーの年齢を経た成熟、とそれぞれ魅力的。
今回、新日本フィルの演奏もかなり良かったのだけど、個人的なヒットは『ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト』『デュオ・コンチェルタンテ』でソロを弾いたカート・ニッカネン。北欧系の美形でヴァイオリニストにしておくにはもったいないほど。もちろん演奏も良かったけど、けっこうオペラグラスで姿を追ってしまったよ。『デュオ・コンチェルタンテ』では舞台に上がったし、ダンスなしで演奏が続くところがあるので、お姿を堪能。
いろいろと文句を垂れてしまったけど、やっぱり生の舞台はいい!音楽と美しい舞台に酔いしれることができたここ数日だったわ。日曜日の終演後マークシティ内の中華料理店でウェンディ・ウェーランとトム・ゴールドを見かけたけど、ウェンディの脚の長さと美しさといったらもう!
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