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2016/09/25

9/17 あいちトリエンナーレ プロデュースオペラ 勅使川原三郎「魔笛」

あいちトリエンナーレ2016プロデュースオペラ
W.A.モーツァルト作曲『魔笛』

(全2幕・ドイツ語上演・日本語字幕付き・日本語ナレーション)
公演日時: 2016年9月17日(土)、19日(月・祝)各日15:00開演
会  場: 愛知県芸術劇場 大ホール

【指揮】 ガエタノ・デスピノーサ
【演出・美術・照明・衣裳】 勅使川原 三郎
【合唱】 愛知県芸術劇場合唱団
【管弦楽】 名古屋フィルハーモニー交響楽団
【キャスト】
賢者ザラストロ:妻屋 秀和
夜の女王:髙橋 維
王子タミーノ:鈴木 准
王女パミーナ:森谷 真理
鳥刺しパパゲーノ:宮本 益光
弁者&神官Ⅰ:小森 輝彦
恋人パパゲーナ:醍醐 園佳
侍女Ⅰ:北原 瑠美、侍女Ⅱ:磯地 美樹、侍女Ⅲ:丸山 奈津美
従者モノスタトゥス:青栁 素晴
神官Ⅱ:高田 正人
武士Ⅰ:渡邉 公威、武士Ⅱ:小田桐 貴樹
童子Ⅰ:井口 侑奏、童子Ⅱ:森 季子、童子Ⅲ:安藤 千尋
【ダンサー】
佐東 利穂子
渡辺理恵 川島麻実子 奈良春夏 沖香菜子 吉川留衣 矢島まい 三雲友里加 政本絵美
秋元康臣 宮川新大 氷室友 岡崎隼也 松野乃知 永田雄大 入戸野伊織 高橋慈生

http://aichitriennale.jp/artist/index.html#op

あいちトリエンナーレ2016のプロデュースオペラは、勅使川原三郎さん演出による『魔笛』。東京二期会を中心とした歌手陣、佐東利穂子さん、そして東京バレエ団のダンサーたちが参加しての舞台となった。

ゲネプロの舞台写真はこちらで観ることができる。
http://natalie.mu/stage/news/201978

http://ebravo.jp/archives/29017

愛知県芸術劇場の大空間に勅使川原さんがデザインした舞台装置はシンプルだ。3つの大きさが異なる金属製の輪が3組宙に浮かび動いて重なり合ったりして、時にはザラストロの神殿となったり壁となったりと様々な図形を描く。2幕では、もう一つ大きな輪も登場する。『魔笛』ならではの三位一体の世界観を巧みに象徴させている。夜の女王と三人の侍女は羽根と毛皮をあしらった黒のゴージャスなドレス、ダンサーたちは白いレオタードの上にシースルーのレースのぴったりとした衣装、パミーナ、パパゲーノ、パパゲーナは白(パミーナは青いタイツ)、ザラストロも白と基本的にモノトーンなのだが、タミーノは鮮やかなオレンジで戦隊モノのヒーローのような姿。

ここまではスタイリッシュなのだが、それ以外のキャラクターの姿はなかなか強烈だ。ぬりかべから大きな手が突き出たモノスタトゥスの滑稽な姿はあまりにもインパクトが大きいし、マシュマロマンというかテレタビーズのような着ぐるみ姿の愛らしい童子たち、エジプトの壺のような神官。タミーノを神殿まで導きながら、よちよち歩きをする童子たちの姿は実にキュートでフィギュアが欲しくなるほどだし、つま先で横歩きする神官たちの大真面目な姿も可笑しい。人間とそれ以外のキャラクターとの差別化がくっきりできていた。『魔笛』って歌詞はよく見てみるとかなりユーモラスなわけで、こういう面白おかしさを衣装で表現するのは、幅広い年齢層の観客にアピールするうえでも効果的だった。(前日には、中学生向けの招待公演も行われたとのこと)

今回勅使川原さんが採った演出手法は、本来歌手が言う台詞をカットして、日本語のナレーションを佐東さんに語らせるというもの。その間歌手はマイムをしたり、振付けられた動きをするものの、基本的には歌唱に集中し、ダンサーたちがキャラクターの心情を表現したり世界観をつくりあげる。ダンサー一人一人が登場人物と対になっているわけではなく、時にはタミーノを襲う大蛇に化けたりする。佐東さんのナレーションは滑舌もきれいで声もよく通りわかりやすいし、物語も理解しやすい。だが、日本語ナレーションでストーリーを説明するという演出については、作品の流れを少し阻害するところがあって、賛否両論はあるようだが、ゴテゴテとなりがちなオペラにあって、そぎ落とした簡素さで作品の本質を伝えようとしている。

東京バレエ団のダンサーたちは、バレエ団内でオーディションを行って16人の精鋭を選抜し、春からワークショップを行ったとのこと。普段踊っているようなクラシックバレエの動きではなく、勅使川原さん独特の重心が低い中で空間を上半身を大きく切り裂くように動かす振付で、慣れるのに苦労はあったと思うが、ダンサーたちは見事にモノにしていて、見ごたえがあった。さすがに佐東さんは群舞になってもその鮮やかな動きとスピード感で際立っているが、彼女とペアになって踊った入戸野伊織さん、岡崎隼也さんには存在感があったし、秋元康臣さんの動きの美しさも格別。ただ、1幕ではダンスのシーンが多いものの、2幕では冒頭と終盤くらいだったし、女性ダンサーの活躍のシーンが少なく、もう少しダンスを観たかった気もする。合唱団の背後にチラチラ見えるダンサーたちの姿は、ちらっとしか見えないのにとても効果的ではあったが。

歌手陣は大変充実していた。特にパミーナの森谷真理さんはパワフルな歌声の持ち主で、パミーナに強い意志を持たせていたし、パパゲーノの宮本益光は愛嬌ある演技がこのキャラクターにもぴったりで、すばしっこくダンサー顔負けに良く動いていた。パパゲーノと、とても魅力的なパパゲーナ役の醍醐園佳さんの「パパパパ…パパゲーノ」の二重唱も聴きごたえがあった。鈴木准さんのタミーノもはまり役。妻屋秀和さんの重厚な歌声はザラストロにふさわしい。ガエタノ・デスピノーサの指揮もとても良かったと思う。

レベルの高い歌手陣に演奏、そして勅使川原さんの演出にダンスと、大変充実して見ごたえ、聴きごたえのあった楽しい公演。総合芸術としてのオペラの価値とは何かということを考えさせられた。東京バレエ団と勅使川原さんのコラボレーションも、今後継続するといいと思う。


この勅使川原版『魔笛』は来年3月に神奈川県民ホールと大分のiichiko総合文化センターで、指揮者やオーケストラ、一部の歌手を入れ替えて再演される。オペラファンも、ダンスファンも観て損のない舞台だ。


神奈川県民ホール・iichiko総合文化センター・東京二期会・神奈川フィルハーモニー管弦楽団 共同制作公演
神奈川県民ホール・オペラ・シリーズ2017
W.A.モーツァルト作曲 魔笛 全2幕

公演日時: 2017年03月18日(土)~2017年03月19日(日)    開演:14:00 (13:15開場)

【指揮】川瀬賢太郎 【演出・装置・照明・衣裳】勅使川原三郎
【出演】18日/19日
ザラストロ:大塚博章/清水那由太 夜の女王:安井陽子/高橋維
タミーノ:鈴木准/金山京介 パミーナ:嘉目真木子/幸田浩子

両日出演/パパゲーノ:宮本益光 パパゲーナ:醍醐園佳
侍女Ⅰ:北原瑠美 侍女Ⅱ:磯地美樹 侍女Ⅲ:石井藍
弁者&神官:小森輝彦 モノスタトス:青栁素晴 神官Ⅱ:升島唯博
武士Ⅰ:渡邉公威 武士Ⅱ:加藤宏隆

ダンス:佐東利穂子 東京バレエ団 合唱:二期会合唱団
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

チケット発売 10/1(土)  かながわメンバーズKAme先行発売(インターネット受付のみ)9/17(土)
チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)http://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/
【チケット購入者特典】公開リハーサルとステージ見学:公演直前のいずれかの日程で開催予定。詳細は12月下旬頃ホームページにて発表予定。
【プレレクチャー】青島広志のたのしい名作オペラ講座 オペラ「魔笛」の魅力 2017年2月4日(土)14:00 小ホール

http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=34583


iichiko総合文化センター・神奈川県民ホール 共同制作公演
勅使川原三郎 演出 モーツァルト 作曲
オペラ『魔笛』

3月11日(土)

出演
川瀬賢太郎(指揮) 
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(管弦楽)
二期会合唱団(合唱)
http://www.emo.or.jp/img_file/information/145681304929412-2.pdf

2016/09/22

ウラジーミル・シクリャーロフ、NBAバレエ団「ロミオとジュリエット」にゲスト出演予定

ミュンヘン・バレエ(バイエルン州立バレエ)に1年契約で移籍したウラジーミル・シクリャーロフ。

マリインスキー・バレエにも籍は残っており、9月30日にはマリインスキー劇場での「シェヘラザード」、10月1日には「薔薇の精」に出演する予定です。

Друзья, в Петербурге, открою Новый сезон с труппой Мариинского театра шедеврами хореографии Михаила Фокина. 30 сентября балет " Шехеразада " с @tereshkinavv и 1 октября выйду в миниатюре " Призрак Розы " с @sharpkc / Friends, in St. Petersburg, will open the New season with the @mariinsky theatre in ballets of Mikhail Fokine. September 30th, " Schéhérazade " and October 1st will be released in miniature "Le Spectre de la rose" . #vladimirshklyarov #mariinsky #newseason #ballet #seeyousoon #toitoitoi #balletdancer #питер #мариинка #балетыФокина #работаемребят 💪🏻 #доскоройвстречи #балет #билетовнет #шехеразада #призракрозы #lespectredelarose #scheherazade

Vladimir Shklyarovさん(@vladimir_shklyarov)が投稿した写真 -


そのシクリャーロフですが、来年2月のNBAバレエ団「ロミオとジュリエット」にゲスト出演します。


2016-09-21 2017年2月25.26日『ロミオとジュリエット』公演にマリインスキー・バレエのウラジーミル・シクリャローフの出演が決定しました!!
http://www.nbaballet.org/index.html

ロミオとジュリエット
http://www.nbaballet.org/performance/index.html

2017年2月25日(土)開場17:15・18:00開演
2017年2月26日(日)開場13:15・14:00開演
会   場: 東京文化会館大ホール
チケット料金:
SS席 12,000円/S席 10,000円/A席 8,000円/B席 6,000円
学生券 3,000円

NBAバレエ団の「ロミオとジュリエット」は、マーティン・フリードマン振付で、コロラド・バレエのために2003年に振付けられたもの。日本初演となります。


なお、ミュンヘン・バレエのシーズンオープニングを飾る「ジゼル」のキャストが一部発表されています。

https://www.staatsoper.de/staatsballett/stueckinfo/giselle-alt.html

Natalia Osipova (09-23-2016) Sergei Polunin (09-23-2016)
Maria Shirinkina (09-25-2016) - afternoon Vladimir Shklyarov (09-25-2016 - afternoon)
Ksenia Ryzhkova (09-25-2016) - evening Osiel Gouneo (09-25-2016) - evening
Svetlana Zakharova (09-29-2016) Vladimir Shklyarov (09-29-2016)

さすがに話題のキャストであるオシポワとポルーニンのシーズン初日はソールドアウト、ザハロワとシクリャーロフ主演の9月29日の公演もほとんどチケットが残っていません。

マリインスキー・バレエ/ゲルギエフ指揮「ロミオとジュリエット」ヴィシニョーワ&シクリャローフ [DVD]マリインスキー・バレエ/ゲルギエフ指揮「ロミオとジュリエット」ヴィシニョーワ&シクリャローフ [DVD]

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2016/09/18

リオ・パラリンピックの閉会式は9/19(月・祝)午前8:15より(大前光市さん出演)/追記

熱戦が繰り広げられているリオ・パラリンピック。そのリオ・パラリンピックも日本時間9月19日(月・祝)に幕を閉じます。

リオ・パラリンピックの閉会式では、次のパラリンピックを開催する東京への引継ぎセレモニーも行われます。

「POSITIVE SWITCH」というコンセプトで、障害をきっかけに独自の世界観を確立したモデルやダンサーらのパフォーマンスで、東京の魅力を世界に発信するとのことです。 企画演出は、音楽監督の椎名林檎さんら五輪閉会式と同じチームが手がけるそうです。

主な出演者は中学生の時に右足を切断し、今は義足のモデルとして活躍するGIMICO(ギミコ)さん、20代前半で左足を失ったダンサーの大前光市さん、暗闇を体感するワークショップで活動する視覚障害者の檜山晃さんの3人。スタジアムの特設ステージで、東京の近未来を示した映像や音楽とともに8分間のパフォーマンスを披露するとのことです。

http://www.asahi.com/articles/ASJ9963XRJ99UTQP037.html

というわけで、何回かこのブログでもご紹介してきた、交通事故で左足を失ったダンサーである大前光市さんも出演してパフォーマンスを披露します。先日も、ある発表会で大前光市さんが演じるカラボスを観ましたが、独特の演技力で存在感があり、実に邪悪で魅力的なカラボスでした。リオではどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか?

パラリンピックの閉会式は、日本時間で9月19日(月・祝)午前8:15~よりNHK総合テレビです。お見逃しなく。
http://sports.nhk.or.jp/paralympic/tv-guide/day=2016-09-19/index.html

大前光市さんの代表作の一つ「目覚めよと叫ぶ声がきこえる」

リオデジャネイロ2016パラリンピック閉会式で行われるフラッグハンドオーバーセレモニーについて

https://tokyo2020.jp/jp/special/rio-to-tokyo/paralympic-flaghandover/

義足ダンサー 閉会式で舞う
http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20160918-OYTNT50023.html

義足で「希望」のダンス 下呂出身・大前さん、閉会式へ
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/rio2016/paralympic/news/CK2016091702000236.html

追記:このパフォーマンスはNHKのリオ・パラリンピックサイトでノーカット版を視聴できます。
http://sports.nhk.or.jp/paralympic/video/element/video=32982.html

2016/09/17

「ニーナ・アナニアシヴィリ 最後のクラシック・ガラ」記者懇談会

2017年3月に「ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~」公演が開催されます。

http://www.ints.co.jp/nina-final/index.htm

そのニーナ・アナニアシヴィリを囲んでの記者懇談会が行われましたので、参加してきました。

「オールスター・バレエ・ガラ」での相変わらずの柔らかい腕の表現力や美しいつま先、そして年を重ねても変わらない可憐さ。この記者懇談会でのニーナも、実年齢とはとても思えないほどの愛らしさで、受け答えの中にもチャーミングが人柄が現れていました。そして、バレエに対する想いを熱く語る姿には情熱があふれていました。

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今回の公演のプログラムについて

「ジョージア国立バレエ(グルジア国立バレエ)の芸術監督は今年で11シーズン目となります。ここで63本の新作バレエを振付し上演しています。レパートリーは幅広く、プティパの古典作品からアシュトンなど、そして現代作品まで上演しています。キリアンの作品を上演しているのは、旧ソ連のバレエ団では珍しいのですが、ジョージア国立バレエでは行っています。バランシンの作品もレパートリーにありますが、ジョージアはバランシンの出身国であり、上演できることは誇りです」

「3月にTBS主催で公演を行います。私が芸術監督をしていた11年間で上演した作品、重要な作品、観てほしい作品を上演します。『白鳥の湖』も私にとって重要な作品なので上演します。ABT、そしてボリショイでの主演デビューは『白鳥の湖』でしたし、いつ踊っても魅力的な作品なので外すことはできません」

「また、バランシンの『モーツァルティアーナ』『セレナーデ』は現代作品ですが、バランシン作品もすでに古典となっているし、以降の振付家の先生となっている、振付の見本となっており、踊りの内的なものを語っている作品です。バランシンはアメリカに渡って自分なりのバレエをつくりあげた人で、デュエットもあるし、音楽的に優れています。『モーツァルティアーナ』『セレナーデ』はチャイコフスキーの音楽を使っていますし、チャイコフスキーの夕べと言ってもいいプログラムです。まずプティパの作品を皆さんにご覧いただき、プティパに基づいてバランシンが自分の作品をつくりあげるところを見ていただきたいと思います」

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「『モーツァルティアーナ』も思い入れのある作品です。スザンヌ・ファレルの下で、ニューヨークで踊り始めた作品なのです。これは、バランシンが亡くなる前に、彼女のために振付けた最後の作品なんですよ。音楽はチャイコフスキーですが、モーツァルトに対する畏敬の念が込められているのです。フィナーレを、チャイコフスキーらしいけど今までとは一線を画すようなもので、白と黒を基調としています。祈りをしているところから始まり、レイクイエムを思わせます。魂は天に行っても生きていることが感じられる明るいフィナーレなんです。

『モーツァルティアーナ』は私は踊りたい作品だったのですが、ボリショイのレパートリーには入っていなくてなかなか踊る機会がありませんでした。当時は、所属しているバレエ団でしか踊ることができないのが一般的でしたが、珍しく私はABTで踊ることができました。そして、誕生日に私の夫がこの作品を踊る権利をプレゼントしてくれたのです。当時は芸術監督がワシーリエフ、総裁がファジェーチェフという恵まれた状況で、ボリショイで踊ることができ、スザンヌ・ファレルの振付指導で『アゴン』『シンフォニー・イン・C』『モーツァルティアーナ』というバランシン作品の公演を初めてボリショイで上演できました。私はニューヨーク・シティ・バレエで1988年にバランシンを踊っていたものの、ボリショイではなかなか踊ることができず、実現まで20年くらいかかってしまったのです」

「ジョージア国立バレエでは、『コンチェルト・バロッコ』『モーツァルティアーナ』がレパートリーに入っていますが、踊るのが難しい作品です。音楽的に振付けてあるので、軽やかだけど踊るのは大変です」

「イリ・キリアンとは長年の友人なので、日本のお客さんには彼の作品も見せたいと思い、『小さな死』を上演します。また、アシュトンの『タイス』、プティパの『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』も観ていただきたいと思います。これらも、ダンサーにとっては難しい作品で、きちっとクラシックダンサーとして訓練された技法がないと退屈な作品になってしまいます。『ドン・キホーテ』のキトリは、明るく冗談を言う女の子で、自分に一番近いキャラクターです」

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最後のクラシック・ガラという題名ですが、「最後」とついている理由は?

「これで引退というわけではありません。『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』『白鳥の湖』は私は今後は踊らないので、最後のクラシック・ガラとしたわけです。これらの作品は私が踊ってきたクラシック作品の代表的な作品なので観ていただきたいと思います。

各作品、今回踊る場面は?

「今回は3部構成にして、ディヴェルティスメント、『眠れる森の美女』は抜粋と3幕が主体、『ドン・キホーテ』は3幕、そして『白鳥の湖』は2幕と4幕を上演します」

古典を踊り続けている理由は何でしょうか。

「古典作品はとても難しいのです。毎日レッスンをして体を維持しなければなりません。ボリショイでは、ワリーシエフ、マキシーモワ、ベスメルトノワという手本がいましたし、私も若いダンサーの手本となりたいのです。現代のバレリーナは手脚が長くて身体能力も高いのですが、アクロバティックなだけではなく、内的なもので表現できるようにならないといけません。現代バレエと古典を踊るにはセンスも必要です。アレクセイ・ラトマンスキーは、プティパ時代の振付を再現して、脚を高く上げすぎないように工夫をしています」

バレエ団は国際化していますか?

「ジョージア国立バレエには、外国人のダンサーが10人おり、主に男性ダンサーです。そのうち日本人は、3人の男性ダンサーと2人の女性ダンサーがおり、来年も一人入団します。そのほか、アメリカ人、イギリス人、ベルギー人もいます。皆ジョージアのバレエ学校出身でずっと成長する過程を見てきています。バレエ団は若返っていて、コール・ド・バレエのレベルが高くなっています。ソリストはゲストで呼ぶことができますが、コール・ド・バレエは呼ぶことができませんし、コール・ド・バレエの質がバレエ団全体のレベルを決めるのです」

注目している振付家は誰でしょうか?

「いろいろと優れた作品を作る振付家がいますが、まずラトマンスキー、ユーリ・ポソホフ、ヨルマ・エロなどです。また、NDTで振付けているMedhi Walerski (マディ・ワレルスキ)も、1月にジョージア国立バレエのために新作を振付けています。アレクセイ・ファジェーチェフには、バレエ団のために『ジゼル』を振付けてもらいます。彼には、『白鳥の湖』の改訂版も振付けておらいました。また、チャブキアーニの作品『ゴールダ』の復刻も行います。この作品でのジョージアの踊りは、日本人のダンサーが素晴らしく踊ってくれました。また、ファジェーチェフはベラルーシのバレエ団のために『ラウレンシア』の復刻も行いました」

「また、若い無名の振付家を呼んで作品を作ってもらうことも考えています。かつて、ラトマンスキーを振付家として呼んだ時には彼はまだ現役のダンサーで振付家としては無名でした。日本でも良い若い振付家がいたらぜひ紹介してほしいと思います」

「今回上演される『白鳥の湖』の振付は、ファジェーチェフが新しく振付けたものですが、2幕と4幕なので、特に新しいところはありません。若い頃に習った振付そのままです。若いダンサーには、自分が教わったことを伝えて行きたい、昔のクラシックの伝統を学んでほしいと思います」

「YouTubeが発達してすごく便利になった反面、弊害もあります。それを参考にしてしまうことで批判することなく受け入れてしまったり、スタイルの混同が見られるのです。振付というのは、先生と生徒、振付家とダンサーの間で同じところで話し合いながら、目線をどこに向けるか、その時の手の形、脚の形はどうなのかといったことを一から、口で伝えてもらわなければ。ロシアでは手から手へ、脚から脚へと言いますが、伝えていくべきものです。以前、折り鶴の形をしたイアリングをプレゼントされたことがありましたが、折り鶴も、自分で折るのは難しくて、教えてもらわないと折ることができませんよね」

ジョージア国立バレエ団のダンサーの数は?

「65名おり、うち25名が男性ダンサーです。今回の来日メンバーは40名です。年齢はとても若く、男性ダンサーで一番年齢が高い人で30歳です。女性は22歳から25歳くらいのダンサーが多いです。一番年上なのは私です(笑)先ほど話したように、私は手取り足取り教わってきたので、同じように自分で動いて見本を見せて、そうやって育てて行きたいと思ってそうしています。私も教えますが、ダンサー同士でも教え合って助け合っています」

今回のゲストダンサーは?

「ABTのマルセロ・ゴメスが出演します。彼はパートナーとして優れていて、俳優としても舞台での存在感が素晴らしいです。またボリショイからは、アレクサンドル・ヴォルチコフが出演します。彼とは、ボリショイ劇場で、今年の2月にラトマンスキー振付の『レイア』という作品を踊りました。ダンサーとしてはもちろん、人ととしてもとても優れた青年です。また、皆さまはまだご存じではないかもしれませんが、日本人の高野陽年さんとよく組んで主役級の踊りを踊っています。日本人のパートナーとしては、K-Balletの宮尾俊太郎さん、遅沢祐介さんに続いて、高野さんが3人目となります。今まで、120人以上のパートナーと踊ってきましたが、舞台上のことで、私生活では踊っていませんよ(笑) 約120人のうち多くのダンサーがもう現役を退いていますが、フィーリンやウヴァーロフ、ファジェーチェフなどと踊りましたね」

とても充実した内容となること間違いないこの公演、ニーナのファンのみならず、バレエファンは見逃せませんね。


「ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~」

出演:ニーナ・アナニアシヴィリ(ジョージア国立バレエ団芸術監督)

ジョージア国立バレエ団ほか、豪華ゲストダンサー出演予定!

管弦楽:シアター・オーケストラ トーキョー

日 時

2017年 3月16日(木)~20日(月・祝)

Aプログラム
3月16日(木)19時開演
3月18日(土)15時開演
「白鳥の湖」より 第2幕・4幕
「セレナーデ」
「眠れる森の美女」より  / ほか

Bプログラム
3月19日(日)14時開演
3月20日(月・祝) 14時開演
「タイス」パ・ド・ドゥ
「モーツァルティアーナ」
「ドン・キホーテ」より / ほか

※開場は開演の30分前。

会 場

東京文化会館 大ホール
料金(全席指定)(税込)
S席 18,000円  A席 14,000円   B席 11,000円
C席 8,000円   D席 5,000円

お問合せ・予約: チケットスペース 03-3234-9999
月~土10:00~12:00/13:00~18:00 (日・祝は休み)
※チケット発売日及び公演開催の日曜・祝日は営業
2016年10月22日(土)発売

2016/09/16

ディアナ・ヴィシニョーワが2017年6月にABTでさよなら公演

ディアナ・ヴィシニョーワが、2017年6月にABTでのさよなら公演を行うことが発表されました。

DIANA VISHNEVA TO GIVE FINAL PERFORMANCES WITH ABT
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=560

ヴィシニョーワは、2017年6月19日と23日に「オネーギン」のタチヤーナ役を踊ります。オネーギン役はマルセロ・ゴメス。6月23日がさよなら公演となります。

2003年のMETシーズン「ロミオとジュリエット」で初めてABTにゲスト出演したヴィシニョーワは、アンヘル・コレーラとのペアで大センセーションを起こします。2005年にはABTのプリンシパルとなりました。

ABTでは、ジュリエットの他、「マノン」のマノン、「ジゼル」のジゼル、「真夏の夜の夢」のタイターニア、「ラ・バヤデール」のニキヤ、「椿姫」のマルグリット、「シルヴィア」のシルヴィアなど多くの主役を踊り、またラトマンスキーが振付けた「眠れる森の美女」では初演キャストを務めました。NYでは絶大な人気があり、彼女が主演する日は、大きなメトロポリタン・オペラハウスもいつもソールドアウトとなるほどでした。

近年、ヴィシニョーワはABTへのゲスト出演は続けながらも、自身の活動に軸を移しつつあり、出演回数が減ってきていました。ABTも最近はゲストをあまり呼ばず、自前のダンサー中心のキャスティングを行うようになってきています。

今年の7月に40歳を迎えたヴィシニョーワは、マリインスキー・バレエや自身のプロジェクトなどで引き続き踊り続けることになると思われます。が、アンヘル・コレーラ、ウラジーミル・マラーホフ、そしてマルセロ・ゴメスとの素晴らしいパートナーシップによるドラマティックな彼女の舞台がABTで観られなくなるのは寂しいことですね。METで観た幾多の名舞台の思い出が蘇ります。

http://www.nytimes.com/2016/09/16/arts/dance/diana-vishneva-to-leave-american-ballet-theater-in-june.html

New York Timesの記事には、彼女のコメントがあります。

「古典を踊るのをやめるわけではありません!」たくさんのプロジェクトがありすぎたので、退団することを選んだとのことです。「単に自分自身の100%をABTに捧げることが不可能となっただけです」 タチヤーナ役を踊るのを選んだのは、その力強くてドラマティックな内容と、彼女が最も信頼するパートナーの一人であるマルセロ・ゴメスと踊ることができるからとのこと。

またヴィシニョーワは、この2017年6月の公演が公式なさよなら公演となるものの、今後、ABTに単発のゲストとして出演する可能性は残したいとのことです。


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2016/09/15

ユリア・ステパノワがボリショイ・バレエのプリンシパルに昇進

ボリショイ・バレエのユリア・ステパノワが、プリンシパルに昇進すると発表されました。

http://www.bolshoi.ru/about/press/articles/congratulations/

2009年にマリインスキー・バレエに入団したステパノワは、ワガノワ・アカデミー時代から大変な逸材と言われつつも、ファテーエフに冷遇されて、マリインスキー時代にはあまり昇進できませんでした。2014年の夏、マリインスキー・バレエのロンドン公演で「白鳥の湖」のオデット/オディール役を踊って大評判となりました。同年にマリー・タリオーニ賞も受賞していますが、モスクワ音楽劇場バレエに移籍、来日公演では「白鳥の湖」の大きな三羽の踊りを踊っています。

2015年にボリショイ・バレエに移籍したステパノワは、今年の夏のボリショイ・バレエのロンドン公演で大活躍。ソリストで入団したのですが、今回、3階級特進でプリンシパルに昇進しました。

長身で、マリインスキーらしい詩情豊かな腕の使い方が印象的なステパノワ、大変な美貌の持ち主ですが、ものすごく細いわけではなくて女らしい体型をしています。リュドミラ・セメニヤカに師事しているとのことです。まさに大輪の花という表現がふさわしい存在です。

ステパノワは、ボリショイ・バレエの来年の来日公演でも「白鳥の湖」に主演します。

http://www.japanarts.co.jp/bolshoi_b2017/cast.html

6月11日(日) 18:00
<開場 17:15・終演予定時間 20:35>
ユリア・ステパノワ / アルチョム・オフチャレンコ

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なお、ミラノ・スカラ座の若手ダンサー、ジャコポ・ティッシがボリショイ・バレエに移籍することになったようです。
http://www.gramilano.com/2016/09/la-scala-dancer-jacopo-tissi-joins-bolshoi/

ミラノ・スカラ座バレエ学校を卒業後、ウィーン国立バレエに入団したティッシは、1年でミラノに戻りました。ちょうどスカラ座は、ラトマンスキー版の「眠れる森の美女」をカンパニー初演するところで、当初はスヴェトラーナ・ザハロワとセルゲイ・ポルーニンが主演する予定でした。ところが、ポルーニンが怪我で降板。ザハロワの相手役に、無名の新人であるティッシが抜擢され、見事に期待に応えザハロワからも絶賛されたとのことです。その後、「マノン」のデ・グリュー、マウロ・ビゴンゼッティの「シンデレラ」の王子など主演が続きました。

ところが、スカラ座のワジーエフ芸術監督がボリショイ・バレエの芸術監督に就任することになり、後任にビゴンゼッティが就任しました。4月から引き継ぎ期間でビゴンゼッティがスカラ座で仕事をしていたのですが、ティッシはビゴンゼッティのやり方が合わないと感じたようです。

ワジーエフに連絡を取ったティッシは、夏の間ボリショイに招かれ、ロブーヒンの不在中にザハロワのリハーサル相手を務めたとのことです。そしてワジーエフに招かれ、8月にティッシはスカラ座を退団してボリショイに入団を決めました。

まだティッシにロシアの就労ビザが到着していないため、今現在はまだ入団はしておらず、どの階級となるかは未定ですが、デヴィッド・ホールバーグに次ぐ外国人ダンサーの入団となります。

2016/09/14

ワールド・バレエ・デー・ライブ、今年は10月4日(火)に開催

恒例行事となりつつあるワールド・バレエ・デー・ライブ。去年、一昨年は10月1日でしたが、今年は10月1日が土曜日となるためか、10月4日(火)に開催されることになりました。

http://worldballetday.com/

予告編
https://youtu.be/tvbVphP6b0o

今年も、オーストラリア・バレエ、ボリショイ・バレエ、ロイヤル・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、そしてサンフランシスコ・バレエの5カンパニーが参加し、合計20時間、生中継でクラスレッスンやリハーサル、インタビューなどを見せてくれます。

ロイヤル・バレエのウェブサイトから
http://www.roh.org.uk/news/world-ballet-day-returns-on-4-october-2016

今年は、生中継は参加カンパニーのFacebookLIVEを使っての中継となり、後日、ダイジェスト版がYouTubeで提供されるとのことです。詳細は後日発表されます。

2014年に始まったワールド・バレエ・デー・ライブ、昨年は世界で200万人以上が視聴したそうです。クラスレッスン一つとっても、カンパニーの違いがよく分かるのでとても興味深いです。
今年はどんな映像が見られるか、楽しみですね。

なお、こちらのサンフランシスコ・バレエのプレスリリースによると、
http://www.prnewswire.com/news-releases/world-ballet-day-live-returns-on-october-4-2016-300326666.html
モンテカルロ・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエ、ボストン・バレエ、オランダ国立バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)、香港バレエ、ヒューストン・バレエ、マイアミ・シティ・バレエ、ノーザン・バレエ、パシフィック・ノースウェスト・バレエ、クイーンズランド・バレエ、スコティッシュ・バレエ、ウェスト・オーストラリア・バレエも参加するとのことです。日本のバレエ団が入っていないのがつくづく残念ですよね。(オーストラリアとは時差も少ないのですが)

2016/09/13

冨田勲 追悼特別公演  冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』

冨田勲 追悼特別公演として、冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』が11月11日、12日にオーチャードホールで上演されます。

http://www.dr-coppelius.com/


「ドクター・コッペリウス」は、2016年5月5日(木)に他界した、世界的作曲家・シンセサイザー・アーティストの冨田勲氏が、上演を夢見て他界直前まで創作を続けていた舞台作品です

他界前にストーリー原案と音楽の構想のほとんどを遺しており、冨田氏が長年追い求めてきた「宇宙への夢と希望」に満ち溢れた巨大なストーリーが、オーケストラとシンセサイザー、そしてバレエと3DCGを伴いながら展開されます。バーチャル・シンガーの初音ミクも登場致します。

宇宙へ飛び立つことを夢想する主人公コッペリウスと、それを叶えるべく異界からやってきた初音ミクが織りなすストーリーとなっており、小惑星イトカワ、そしてその先の未知なる星へ、宇宙を自在に行き来しながら展開される、時空を超えたスペースバレエシンフォニーです。

初音ミクと共演するコッペリウス役には風間無限さん、そして振付は辻本知彦さんが担当します。

さて、先日、初音ミクの3DCG作成のための収録作業を見学させていただきました。ダンサーが、モーションキャプチャーマーカーを体中につけて辻本知彦さんの振付を踊ったのを収録する様子です。キャプチャーされたダンサーの動きを、3DCG映像に変換することで、ダンサーの動きを初音ミクの動きに移し替えて行くのです。たくさんのカメラに囲まれたダンサーが振付を踊ると、瞬時にそれが初音ミクが踊る映像に変換されていくところを見ることができたのは、とてもワクワクしました。

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写真:白石理

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写真:白石理

ダンサーはほぼ全身にモーションキャプチャーマーカーを着けていますが、初音ミクの指先と髪の毛の表現はそれでは捉えきれないので、別途CGで製作するそうです。そのため、この場で観ることができた初音ミクの映像では、指先や髪の毛の動きはまだありませんでした。また、ミクの動きの中には、アン・ドゥダン、ターンインした振付などもあったりするので、クラシックもコンテンポラリーも踊ることができて、しかもミクの体型に近いダンサーが選ばれたとのことです。

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写真:白石理

また、この日に収録されたシーンは、初音ミクはスニーカーを履いて踊っているのですが、ポワント(トウシューズ)を履いて踊っているシーンもあるので、モーションキャプチャーマーカーを付けたポワントを履いて踊るところも収録されたとのことです。

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写真:白石理

振付の辻本知彦さん。日本人で初めてシルク・ドゥ・ソレイユにダンサーとして出演した経歴を持ちます。
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写真:白石理

大変興味深い題材のため、外国からも取材が来ていました。

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写真:Naomi Mori

冨田勲と糸川英夫の夢を現実に

さて、なぜ初音ミクはバレエを踊るのでしょうか?それには大変興味深い逸話が隠されていました。

冨田勲氏が尊敬してやまなかった日本ロケット工学の父、故糸川英夫氏。天才的な科学者でありながら、60歳にしてバレエをはじめ、同氏の楽曲に合わせて舞台でバレエを踊ったこともある糸川氏が、ある日、冨田氏にこうつぶやきました。「いつかフォログラフィーとバレエを踊りたい」。

糸川博士の名前が最近になってにわかに有名になったのは、2010年の小惑星探査機「はやぶさ」の惑星イトカワからの帰還からです。惑星イトカワは、糸川英夫氏から名付けられた惑星でした。糸川氏が開発した隼戦闘機は、冨田勲少年にとっては憧れの的だったのです。

その糸川英夫氏は、なんと62歳の時に貝谷バレエ団に入団し、バレエを始めて熱中しました。貝谷八百子団長の下、日夜練習に励んで上達したのです。

1977年に、冨田勲氏は、モーグ・シンセサイザーで演奏した「惑星」を貝谷バレエ団で使ってもらおうと録音テープを貝谷八百子氏に渡し、それを聴いた糸川氏は、「この曲に合わせてぜひ僕はバレエをしたい」と語りました。実際には「盲目の科学者」というみすぼらしい学者の姿をした役を彼は演じましたが、帝国劇場で、10分間のソロを振付けて踊ったのです。「いつかフォログラフィーとバレエを踊りたい」はその時の言葉でした。

冨田氏が集大成として作り上げる「ドクター・コッペリウス」は、この糸川氏の夢を舞台の上で実現する、音楽・バレエ・映像が渾然一体となった音楽・舞台作品です。

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写真:Naomi Mori

とてもスケールが大きく夢のある話ですよね。糸川さんと冨田さんという二人の魂が乗り移ったドクター・コッペリウス(風間無限さんが実際に当日舞台の上で踊る)と、3DCGの初音ミクが舞台の上で共演するのです。これは未だかつて例のない、画期的な公演となることでしょう。どんな舞台になるのか、今からとても楽しみです。


指揮はオペラ、バレエの分野で目覚ましい活躍を繰り広げる渡邊一正氏。演奏は、渡邊氏が2015年4月からレジデント・コンダクターを務めている、東京フィルハーモニー交響楽団が担当。

本公演では、「ドクター・コッペリウス」とともに、同じく初音ミクをソリストに起用したことで大きな話題となった、2012年初演の冨田勲氏の代表作「イーハトーヴ交響曲」も演奏されます。


冨田勲 追悼特別公演

冨田勲×初音ミク

『ドクター・コッペリウス』

2016.11.11FRI 開場 18:00 開演 19:00
2016.11.12SAT 開場 12:30 開演 13:30
2016.11.12SAT 開場 17:00 開演 18:00

曲目・演目

第1部:「イーハトーヴ交響曲」
第2部:「ドクター・コッペリウス」

スタッフ

制作・ストーリー原案:冨田勲
初音ミク3DCG技術:クリプトン・フューチャー・メディア

出演

指揮:渡辺一正
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:調整中

第2部「ドクター・コッペリウス」
エレクロニクス:ことぶき光
振付:辻本知彦
出演:初音ミク、風間無限

Bunkamuraオーチャードホール
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20161111.html

2016/09/12

ベルリン国立バレエ、サシャ・ヴァルツ芸術監督就任の波紋/追記あり

ベルリン国立バレエが、現在の芸術監督であるナチョ・ドゥアトの契約を更新せず、任期が切れる2019年より、サシャ・ヴァルツと、現スウェーデン王立バレエ芸術監督のJohannes Öhmanが就任することについては、いろいろと波紋を呼んでいます。

Nacho Duato Out, Sasha Waltz In at Staatsballett Berlin

http://dancemagazine.com/news/nacho-duato-sasha-waltz-staatsballett-berlin/

サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanの次期芸術監督決定の件は、ベルリンの市長より発表されました。

また記者会見が開かれました。サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanは、古典と現代作品の両方から構成されるレパートリーとする予定です。また、ヴァルツは自身のベルリンをベースに活動するカンパニー、サシャ・ヴァルツ&ゲスツでの活動も続けます。

Johannes Öhmanが主に経営と管理業務を中心に行う共同芸術監督となるため、ヴァルツは今後も振付活動を行うことが可能になると、彼女は記者会見で語っています。二人は5年契約を結びました。ヴァルツは毎年、彼女のカンパニーの既存の作品を一作品、ベルリン国立バレエで上演し、5年の任期の間に3作品新作を振付けることになります。

ところで、この決定に対して、ベルリン国立バレエのダンサーたちは反発しているとのことです。
http://www.morgenpost.de/kultur/article208219065/Etwas-wird-passieren-Es-gaert-beim-Staatsballett.html

ベルリン国立バレエは、88人の団員で構成されている、ドイツ最大のバレエ・カンパニーです。全員がクラシック・バレエ出身です。ナチョ・ドゥアトの契約が更新されないことを、彼らは9月7日(水)に聞かされましたが、サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanが次期芸術監督となることは、新聞記事で知ったとのことです。直接そのことを知らされず、関係者の中で最後に報道で知ることになったことに対して、団員は不信感を持ちました。「ベルリン・フィルは主任指揮者を自分たちで選ぶことができるのに、なぜ自分たちはできないんだ?」

また、2019年と3年後の芸術監督交代が今決定したことも、不信感を広げる結果となっています。こんな状況では踊りには集中するのも難しい、3年後、どうなるのかわからないカンパニーに誰が入団したがるのだろう、と団員たちは思っているとのことです。

「ウラジーミル・マラーホフは、芸術監督となる前からここで仕事をしていました。ナチョ・ドゥアトも、就任する前から仕事をしてマラーホフからも引継ぎを受けました。でも、サシャ・ヴァルツはこのバレエ団に興味を持っているのだろうか?このバレエ団について何を知っているのだろう」とバレエ団のスポークスパーソンは語りました。
(なお、サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」は、ベルリン国立バレエのレパートリーに入っています)

ベルリン国立バレエの団員たちは、今年待遇の向上を求めて団結し、ストを行いました。その結果、ダンサーたちの待遇は改善し、全員が複数年契約を勝ち取ることができたのです。この勝利は、彼らに自信を与えました。「失うものなど何もない」と彼らは語っているとのことです。「青天の霹靂で決まったこの決定は、覆すことだってできる」と。

日曜日には、ナチョ・ドゥアトの「バッハへのオマージュ」がコーミッシュ・オペラで上演されますが、ここで団員によるデモが予定されて実施されました。

デモについての記事。公演開始一時間前に行われました。写真には、プリンシパルのナディア・サイダコワが写っています。
http://www.morgenpost.de/kultur/article208223359/Staatsballett-demonstriert-gegen-Sasha-Waltz.html

また、サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanの次期芸術監督就任に反対するオンライン署名活動もchange.orgで始まっており、すでに5000人の署名が集まっています。(日本からも署名することは可能)日本語での説明もあります。
https://www.change.org/p/rettet-das-staatsballett-save-staatsballett


【ベルリン国立バレエ団のために力をお貸しください!】

ベルリン国立バレエ団は現在、ドイツ国内で最も規模が大きく、かつ、ベルリンで唯一のクラシックバレエ団です。現在の組織の前身も含めると100年以上の歴史をもっています。それゆえに、私たちベルリン国立バレエ団所属ダンサー一同は、2019/20年期に予定されているサシャ・ヴァルツ氏とヨハネス・エーマン氏による共同監督体制を拒否いたします。

この任命は残念ながら、例えるならば、テニストレーナーをサッカーのコーチに起用したり、美術館館長をオーケストラの首席指揮者に採用するのと同じようなものです。 ミヒャエル・ミュラー市長およびティム・レンナー氏によるこの判断は、ダンスやバレエについての伝統や成長過程に関してまったく無知であることを露見させています。
特に言及すべきは、このような発表が3年も前になされたことであり、それはバレエ界では前代未聞であるばかりでなく、バレエ団にとって侮辱であり、今後のバレエ団の活動に影響を及ぼすものです。

この発表が選挙選のさなかに行われたことは、私たちにとって、芸術の発展よりも政治的都合が優先され、私たちバレエ団や、私たちの伝統、私たちの芸術のあり方、そして私たちの観客に対する配慮が欠如しているように思われてなりません。

そして、私たちは共同監督という考えに対して断固反対いたします。

候補者は、鮮明な芸術的ビジョンを持ち成功に導くことができる人材が、バレエ団の方向性を明確に整理していけるよう、一名だけが立てられるべきです。

そのことから私たちは、現在のような三者構造ではなく、総監督一人の就任を要請します。

私たちはサシャ・ヴァルツ氏の活動に対して敬意を抱いていますが、私たちバレエ団を率いるという点ではまったく不適任であると判断しています。サシャ・ヴァルツ氏は、モダンダンス劇場の振付家です。氏の求める舞台の形には、クラシックバレエのダンサーが培ってきたものとはまた違った資質が求められます。

サシャ・ヴァルツ氏のベルリン国立バレエ団への共同監督への任命そのものが、世界で認められてきたクラシックバレエ団の評判を損ない、世間の目だけでなく、特にクラシックバレエとして鍛錬を積んできたバレエダンサーや振付家にまで影響を及ぼすことになります。

これらの事実を考慮した上で、ベルリン市長兼文化評議員のミヒャエル・ミュラー氏および次官ティム・レンナー氏に、今回の任命の撤回を要求いたします。

 私たちは、ベルリンオペラ財団の財団理事会に、承認しないよう提案いたします。

むしろ、2018/19年のナチョ・デュアト氏の後任としてベルリン国立バレエ団総監督を選出するための委員会設立を求めます。

この委員会に、政治や行政に並び、私たちバレエ団に所属するバレエやダンスの専門家が加わることを強く望みます。

これまでの経験により私たちは、新しい監督選出にいたる過程に参与できるようになることを要求いたします。
私たち、ベルリン国立バレエ団のダンサーたちは、議員のみなさま、世界中のバレエの仲間たち、そしてなにより、私たちの大切な観客の皆様に、この署名運動へのご協力をお願いいたします。

なお、上記の署名は、ベルリン国立バレエの公式Facebookページでも告知がされており、ここでもダンサーたちの動きが支援されているようです。

New York Timesにも記事が出ていました。
http://www.nytimes.com/2016/09/17/arts/dance/dancers-protest-new-leadership-plans-at-staatsballett-berlin.html

サシャ・ヴァルツのインタビューが載っています。

サシャ・ヴァルツはこのような反響があるとは思っていなかったそうです。「クラシック・バレエ出身のヨハネスが共同監督となるので、良いバランスが取れるはずです。私たちは古典を踊るのはやめると明言していないし、50%は古典とする予定です。バレエ団では、私の舞踊言語が中心となるという懸念があるようですが、5年間の間に3作品しか私の新作は上演しませんし、一年に1作品しか私の旧作は上演されません。残りはネオクラシック、モダンとコンテンポラリーとなり、そんなに狂気じみたことではありません」

また、ヴァルツは、Öhmanと彼女の就任のための交渉は1年前からあり、選挙を控えての早急な決断ではなかったと加えました。Öhman氏は、バレエ団のダンサーの代表との意見交換を長い期間でしており、二人は来週ダンサーたちと会うとのことです。「彼らの懸念が和らぐことを期待しています」と彼女は語りました。

2016/09/11

VOGUE JAPAN エトワール・ガラ特集第2弾

今晩0時より(正確に言えば月曜日午前0時より)、NHK-BSプレミアムシアターで「エトワール・ガラ2016」のテレビ放映があります。
http://www4.nhk.or.jp/premium/

その「エトワール・ガラ」のVOGUE JAPANの特集記事第2弾がアップされましたので、お知らせします。
直前にリハーサルにお邪魔してインタビューさせていただきました。

写真家井上ユミコさんによる素敵な写真や、彼らのInstagramからの美しい写真もアップされています。

レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェのインタビュー

エトワールを目指せ! パリ・オペラ座バレエ団、注目の新人に独占インタビュー
http://www.vogue.co.jp/celebrity/risingstar/2016-09-11

レオノール・ボラックのインタビューとクラスレッスン、リハーサル動画
http://www.vogue.co.jp/videos/celebrity/VJ102-Interview-2016-09_ORIG_Leonore

バンジャマン・ペッシュのインタビューと、クラスレッスン、リハーサル動画動画
http://www.vogue.co.jp/videos/celebrity/VJ102-Interview-2016-09_ORIG_Benjamin

「エトワール・ガラ2016」を観る前の予習にぜひご覧いただければと思います。そして来年3月の来日公演で大活躍する予定のレオノール・ボラック、注目してくださいね。

あのシルヴィ・ギエムを輩出した、世界最古にして最高峰のバレエカンパニー、パリ・オペラ座バレエ団🇫🇷ダンサーの頂点である「エトワール🌟」に最も近い存在として注目の3人に独占インタビュー! またムービーでは、クラスレッスンの風景から、リハーサルシーンまで、世界で活躍する彼らの貴重な映像をお届け中🎥詳しくは、プロフィールのリンクからご覧ください🔗 Behind the scenes of Étoile Gala 2016 by dancers of Paris Opera Ballet. See the full version from the link in the bio.#EleonoraABBAGNATO @benjaminpech7 @amandinealbisson @dorotheegilbert @laurahecquet_ @benjaminpech7 #MathieuGANIO @leobaulac @audricbezard @humarchand @germainlouvet @balletoperadeparis #ballet

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