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2015/07/31

ドキュメンタリー映画『ロパートキナ 孤高の白鳥』が2016年1月公開

ウリヤーナ・ロパートキナの素顔に迫るドキュメンタリー映画『ロパートキナ 孤高の白鳥』(Ulyana Lopatkina: A Russian Star)が、2016年1月下旬より、渋谷Bunkamuraル・シネマほかにて公開される事が決定しました。

http://lopatkina-movie.jp/

本作では、彼女が母校を訪問し、少女だった自分と向き合いながら、踊り始めた理由について語る他、貴重な舞台映像や最愛の娘とのプライベートショットとともに、孤高のプリンシパルの素顔に迫る。

 ウリヤーナ・ロパートキナは、8月に開催される3年に1度のバレエの祭典「第14回世界バレエフェスティバル2015」に出演する他、9月20日から3日にわたってオープンクラスを行う。そして、11月26日から来日するマリインスキー・バレエ公演では、「愛の伝説」のバヌー、そして「白鳥の湖」のオデット&オディールを披露する。

◎上演情報『ロパートキナ 孤高の白鳥』
監督:マレーネ・イヨネスコ
出演:ウリヤーナ・ロパートキナ、アニエス・ルテステュ、ジャン=ギョーム・バール
2016年1月下旬ロードショー

監督のマレーネ・イヨネスコは、バレエのドキュメンタリー映画を多く撮影してきたことで知られています。最近では、ギレーヌ・テスマーとピエール・ラコット夫妻についてのドキュメンタリー、「バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~ 」、アニエス・ルテステュのドキュメンタリー「至高のエトワール  ~パリ・オペラ座に生きて~ 」、DVD「アニエス・ルテステュ-美のエトワール-」、「マチュー・ガニオ&カルフーニ~二人のエトワール~ 」などを監督しています。
http://www.marleneionesco.com/

このドキュメンタリー映画は、韓国で今月開催される 11th Jecheon International Music & Film Festival という映画祭に出品されるため、映画祭のサイトで予告編が公開されています。

映画のセールスのサイト
http://widehouse.org/film/ulyana-lopatkina-a-russian-star/

「イン・ザ・ナイト」「マルグリットとアルマン」「愛の伝説」「レ・シルフィード」「ロシアの踊り(ルースカヤ)「カルメン」「ダイヤモンド」「瀕死の白鳥」などを踊る姿が観られるとのことです。

ダンソマニに、イヨネスコがこの映画について語ったインタビューが掲載されています。(フランス語)
http://www.marleneionesco.com/dansomanie---film-ouliana-lopatkina.html

撮影は白夜祭の時に行われたのですが、マリインスキーで撮影するときには、劇場側に細かい条件を付けられていろいろと困難があったようです。しかしロパートキナは非常に協力的で、条件をすべて受け入れてくれ、貴重な映像を提供してくれたほか、プライベートも撮影することができたようです。撮影終了時には、イヨネスコだけでなく撮影スタッフにもプレゼントや花を贈るなど、人柄的にも素晴らしかったとのことです。非常に精神性の高い人物とイヨネスコは評しています。白夜祭の時に彼女に会ったルテステュ、ジョゼ・マルティネス、ジャン・ギョーム・バールらのインタビューもあるとのことです。

世界バレエフェスティバル、そして11~12月のマリインスキー・バレエの公演で彼女の至高の踊りを観ることができるのが楽しみですが、こちらの映画も楽しみですね。

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ところで、ルテステュのドキュメンタリー映画「至高のエトワール  ~パリ・オペラ座に生きて~ 」も素晴らしい作品でしたが、配給会社アルシネテランが倒産してしまったため、DVDがお蔵入りしてしまったのが残念です。

2015/07/30

ボリショイ、セルゲイ・フィーリン芸術監督の契約を更新せず

ボリショイ・バレエは、現在の芸術監督であるセルゲイ・フィーリンの契約を更新しないと、タス通信が報道しています。

http://www.gazeta.ru/culture/news/2015/07/30/n_7420113.shtml

現在のフィーリンの契約は、2016年3月17日までであると、ボリショイ劇場の総裁ウラジーミル・ウーリンが発表しました。

「私は、2016年3月17日に切れるセルゲイ・フィーリンとの契約は延長しないことを決定しました。法的には、雇用契約の2か月前での報告で問題ないのですが、この重要性と信義則、セルゲイに敬意を表して、前もって彼に知らせ、次のステップへと進めるための十分な時間を与えることにしたのです」とウーリンは語りました。

しかしながら、芸術監督の後継者候補の名前を、ウリンは挙げませんでした。

少し前に、フィーリンは実に34回目となる目の手術を6月に受けたとのことですが、体調は良好とのことです。

皆さんご存知のように、フィーリンは2013年1月に顔に酸をかけられて視力に重大な損害を与えられる重傷を負いました。犯人の一人とされるダンサー、パーヴェル・ドミトリチェンコは現在懲役6年の刑に服しています。

英語の記事(AFP配信)
Russia's Bolshoi theatre to ditch acid attack ballet chief
http://news.yahoo.com/russias-bolshoi-theatre-ditch-acid-attack-ballet-chief-104620415.html

もう一つロシア語の記事
http://tass.ru/kultura/2152056

フィーリンは、タス通信に、この決定は予測されていたことであり、特に批判されるようなものではないと語っています。「現代においては、これは当たり前のことですし、フェアだと思っています。プロフェッショナルとして自分を前進させ、新しいことをしなければなりません」と。

フィーリンは来シーズンも芸術監督として働き、契約が終了した後も、ボリショイと協働するような仕事をオファーされているとのことです。

また、ウーリンによると、フィーリンの退任後現在の芸術監督の仕事は一旦リセットされ、より狭い範囲の業務とするとのことです。そして9月ごろフィーリンの後任が発表されるそうです。

ウーリンは、フィーリンに個人的にこの決定を伝えたそうです。「今までのボリショイの歴史のように、芸術監督交代のニュースをメディアから知るのではなく、総裁から伝えられるということが重要なのです」

ウーリンは、フィーリンの仕事ぶりに不満を持っていたわけではないと語っています。それどころか、彼の今までの功績をたたえていました。「バレエ団で素晴らしいダンサーたちが現れ、ボリショイ劇場の新装後、素晴らしい新作が上演されました」特に、ローラン・プティ、ピエール・ラコット、ジョン・ノイマイヤー、ジャン=クリスロフ・マイヨーのような著名な振付家の作品をボリショイで上演したことをフィーリンの功績としています。また、グリゴローヴィッチの2つの作品が復元されて上演されました。

「フィーリンの契約更新が行わなかったのは、主に劇場内部の事情によるものです」とウーリンは語りました。

ウーリンによれば、ボリショイ・バレエの芸術監督の仕事は、今後は組織の管理が中心になるとのことです。バレエ団を支え、高い品質の公演をスケジュールを守って上演し、ツアーのスケジュールを遂行することだそうです。しかしながら、劇場のマネジメントと共に、レパートリーの戦略を立てることも業務の一部ではあると強調もしていました。


*****
おりしも、フィーリン襲撃後を追ったドキュメンタリー映画「ボリショイ・バビロン」が公開されます。

セルゲイ・フィーリンは、ボリショイ・バレエの芸術監督に就任してから、デヴィッド・ホールバーグら外部のダンサーを入団させ、エックの「アパートメント」、マクレガーの「クローマ」、クランコの「オネーギン」、ノイマイヤーの「椿姫」などの現代作品をレパートリーに加えたほか、マイヨーに新作「じゃじゃ馬馴らし」を振付けてもらうなど、レパートリーを改革しました。その改革は、「じゃじゃ馬馴らし」が黄金のマスク賞を総なめするという結果によって、高く評価されました。

しかし、ボリショイ内には強力な反対勢力もあり、ニコライ・ツィスカリーゼが彼を強く批判するなど様々な問題が起きた矢先の襲撃事件でした。混乱の中で、ツィスカリーゼはボリショイを退団し、前総裁のイクサーノフも辞任し、モスクワ音楽劇場の総裁だったウリンが総裁に就任しました。ウリンは、フィーリンの改革路線に否定的で、レパートリーもグリゴローヴィッチの「愛の伝説」のリバイバルなど、旧来のものに戻し、新作にしてもロシア人の振付家に手掛けさせるなど、懐古路線に戻しました。片目をほぼ失明してしまったフィーリンは、実質的に権力を骨抜きにされてしまったわけです。

フィーリンが去った後のボリショイはどうなっていくのでしょうか?

芸術監督の仕事の範囲が狭くなるということは、劇場の総裁の権限が今よりも大きなものになると解釈できそうです。

2015/07/29

2016年7月 ジャパン・アーツ創立40周年記念~オールスター・バレエ・ガラ開催

2016年7月に、ジャパン・アーツ創立40周年を記念したオールスター・バレエ・ガラが開催されます。

http://www.japanarts.co.jp/blog/blog.php?id=1474

≪出演予定≫
ニーナ・アナニアシヴィリ
マルセロ・ゴメス
スヴェトラーナ・ザハーロワ 他

管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2016年7月23日(土)~27日(水) 東京文化会館

≪公演詳細≫2015年秋発表(予定)

とのことです。鬼が笑うくらい先の話ですが、楽しみですね!

6月にK-BALLET COMPANYの「海賊」に出演したニーナ・アナニアシヴィリを観たのですが、50歳を過ぎているとは思えないくらいの完璧なテクニックで、キラキラしたスターオーラも健在でした。「海賊」のグラン・パ・ド・ドゥを観て涙が出てくる日が来るとは思いませんでした。グラン・フェッテもコントロールが効いていて見事でした。そのニーナがまた観られると思うと本当に嬉しいです。他のメンバーが誰になるのかも、気になりますね。ボリショイ、マリインスキー、ABTのダンサーたちとなることでしょう。


ついでに、今日マリインスキー・バレエの来日公演のプロモーション用動画がアップされていたのでご紹介しましょう。
「白鳥の湖」オクサーナ・スコリク

「愛の伝説」ウリヤーナ・ロパートキナ

「ロミオとジュリエット」

ただいま、サマーキャンペーンとして、マリインスキー・バレエの一部の公演がお求めやすい席で販売されます。7月30日から8月14日まで。
http://www.japanarts.co.jp/s_campaign2015/index.html
S席が17000円、A席が13000円なのでかなりお得ですよね。

2015/07/28

ボリショイ・バレエの追加昇進発表/「ボリショイ・バビロン」予告編

ボリショイ・バレエの2014-15シーズンが終わりましたが、最後に昇進発表がありました。先日、アンナ・ニクーリナとアナスタシア・スタシュケヴィッチのプリンシパル昇進などの発表がありましたが、追加しての発表です。

http://www.bolshoi.ru/en/persons/ballet/

デニス・ロヂキンがプリンシパル昇進

マリーヤ・ヴィノグラードワがリーディングソリストに昇進

マリーヤ・セメニャチェンコがファーストソリストに昇進

アレクサンドル・ヴォドペドフがソリストに昇進


デニス・ロヂキン(ロシア語ではローチキンと読むのが正解らしいです)は、ザハロワと組むことが最近多くて活躍は目立っていましたが、個人的には、プリンシパルにはまだまだという印象があります。パートナーリングが上手くない、演技力もあまりないのですが、長身で見栄えのする容姿、ソロでは伸び伸びと綺麗に踊るので今後の成長が期待できますね。地方のバレエ学校出身ですが、ニコライ・ツィスカリーゼのボリショイ時代の最後の弟子というか秘蔵っ子でした。

9月には、サンクトペテルブルグ・バレエ・シアターの来日公演にロヂキン出演するので、成長ぶりを観ることができますね。


マリーヤ・ヴィノグラードワは、小柄ですがゴージャスな美貌の持ち主で、6月に、イワン・ワシーリエフと結婚したばかり。2013年の「スパルタクス」での共演が縁だったようです。今まであまり日本で観る機会がありませんが、テクニックが強く、次回の来日公演ではきっと期待できるでしょう。「スパルタクス」のフリーギア、「ラ・バヤデール」のガムザッティ、ジゼルなどを踊っています。


マリーヤ・セメニャチェンコは、もともとはモスクワ音楽劇場バレエにいて、前回の来日公演でも活躍しましたが、セルゲイ・フィーリンがボリショイの芸術監督に就任するのに伴い、ダンチェンコからボリショイに移籍しました。長身で、やはり美貌の持ち主です。

******

さて、ボリショイ・バレエの舞台裏に迫ったドキュメンタリー映画「ボリショイ・バビロン」が9月19日より劇場公開されます。予告編も公開されました。フィーリンの襲撃事件、マリーヤ・アラーシュ、ボリス・アキモフらのインタビューなども出てきて大変興味深いですね。

https://youtu.be/EMeE5T9sEj0

2015/07/27

『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』公演

来年1月に、Bunkamuraオーチャードホール、愛知県芸術劇場、そして大阪フェスティバルホールで、『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』が行われます。

http://www.bunkamura.co.jp/topics/orchard/2015/07/stars_in_the_moonlight_music_ballet_concert.html

ヨーロッパで活躍するピアニストのジョルジュ・ヴィラドムスが、パリ・オペラ座のエトワール、エルヴェ・モローと組んだ「Luz de Luna(「月の光」)」公演が昨年11月3日に、ニューヨークのカーネギーホールで開催されました。ヴィラドムズが母国メキシコの恵まれない子供たちに音楽教育を提供するために設立したCrescendo con la Musica財団の資金集めのために行われた公演でした。

http://www.jorgeviladomsweber.com/home/luz-de-luna

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ヴァイオリニストのチャーリー・シエムも迎え、イリ・ブベニチェク振付の「月の光」(昨年の「エトワール・ガラで初演)などを上演したこの公演は好評で、第二弾として今年の6月にジュネーヴで公演が行われました。こちらには、ヴィラドムズ、モローのほか、イザベル・シアラヴォラとチェリストのゴーティエ・カプソンが参加しました。

そしてこのたび、モロー、ヴィラドムズに加えて、オペラ座のきらめくエトワール、マチュー・ガニオ、ドロテ・ジルベール、若手No.1の人気と実力を誇るヴァイオリニスト三浦文彰が参加して、さらにパワーアップした公演が実現することになったのです。

『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』

【日 程】2016年1月10日(日)18:00開演/11日(月・祝) 15:00開演

【会 場】Bunkamura オーチャードホール 

【出 演】バレエ:エルヴェ・モロー、ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ、ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス、ヴァイオリン:三浦文彰

【演 目】「LUNA」(モロー振付)、「月の光」(ブベニチェク振付)、「瀕死の白鳥」(フォーキン振付)、「トリスタンとイゾルテ」(マンシーニ振付)、リスト:「バラード 第2番 ロ短調」、イザイ:「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調“ バラード”」 他

【チケット料金】S=¥13,000 A=¥9,000 B=¥7,000(税込)
    
【チケット一斉発売】2015年9月5日(土)

【お問合せ】Bunkamura 03-3477-3244(10:00~19:00) 


なお、東京以外の公演の日程は以下の通り

1月13日(水) 愛知県芸術劇場コンサートホール
1月14日(木) 大阪フェスティバルホール

パリ・オペラ座バレエでも人気トップの3人の美しきエトワールと、気鋭のピアニスト、ヴァイオリニストによる豪華な夢の共演、とても楽しみですね!エルヴェ・モロー自身による振付作品もあるほか、ジョルジオ・マンシーニ振付、マチュー・ガニオとドロテ・ジルベールが共演した話題作「トリスタンとイゾルデ」も観られるのがまた楽しみです。

2015/07/26

7/19 バレエ・アステラス2015

昨年、一昨年と行けなかった「バレエ・アステラス」に久しぶりに行ってきました。

指揮:デヴィッド・ガルフォース
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

『シンフォニエッタ』
振付:牧阿佐美
音楽:C.グノー
新国立劇場バレエ研修所
第11期生(阿部裕恵、髙橋依吹、廣川みくり、廣田奈々、中島瑞生)
第12期生(赤井綾乃、杉山澄華、関 優奈、丸山さくら、渡邊拓朗)
予科生 (羽石彩乃)

ひざ下丈のドレスを着た研修生のみなさんは体型も揃っていてプロポーション良く美しいけれど、これと言って突出した人はいなかったように思えた。男子2人は背も高めで今後が楽しみ。しかし作品は面白くなく、ダンサーの良さをアピールするものでもなかった。

『ラ・シルフィード』
パ・ド・ドゥ振付:A.ブルノンヴィル
上山榛名・塚本士朗(貞松・浜田バレエ団)

2人とも健闘していて、特に塚本さんは前半は足捌きもきれいで良かったと思う。照明と衣装の色が保護色になってしまっていて見えにくいところもあった。

『グラン・パ・クラシック』
振付:V.グゾフスキー
フォガティみこ(インディアナ・バレエ・コンサヴァトリー)
ノア・ロング(元カナダ国立バレエ団)

「ファースト・ポジション」で有名になったミコさんも18歳となり、来シーズンにはバーミンガム・ロイヤル・バレエに入団する。すっかり大人っぽくなって、少し肉付きも良くなった。バランスのキープ力はあるしグランフェッテは安定していて美しく、テクニックはしっかりしているのだけど、いろんなコンクールを総なめにしていた頃のキラキラ感が少し失われていたのは残念。ノア・ロングは2009年にはエリック・ブルーンプライズに出場していてパートナーのエレーナ・ロブサノワ(現在プリンシパル)は受賞していたのだけど、彼はバレエ団を退団して「ビリー・エリオット」の全米ツアーで青年ビリーを演じていたとのこと。まだ20代なのに、すでに現役を引退しているようでもったいない。

『白鳥の湖』第2幕アダージォ 
振付:プティパ/L.イワーノフ
奥野 凜、ロベルト・エナケ(ブカレスト国立歌劇場バレエ団)

当初は「ディアナとアクティオン」の予定だったのが演目変更。「ディアナとアクティオン」の方で観たかった。「白鳥の湖」の2幕は、あまりガラ向きの演目ではないし、男性ダンサーの踊りが観られないし。奥野さんはプロポーションに恵まれて大変美しい人。繊細でたおやかな白鳥で、しっかりとアンドゥオールしていてラインの美しさが感じられてた。ロベルト・エナケは、「アリーナ・コジョカル・ドリームプロジェクト」に出演した時は”ロバート・エナシェ”という表記だったので、どっちが正しいのだろうか。サポートが上手でよく息が合っていたし立ち姿も王子らしくて素敵だった。

『幻想~白鳥の湖のように~』クレアとアレクサンダーのパ・ド・ドゥ 
振付:J.ノイマイヤー
河野舞衣、ジェイムズ・リトル(バイエルン国立歌劇場ミュンヘンバレエ団)

ノイマイヤーの「幻想~白鳥の湖のように~」からのパ・ド・ドゥが日本人ダンサーで観られるなんて、素晴らしい。主人公ではなく、主人公の友人カップルの、幸福感に満ちたパ・ド・ドゥ。DVDではシルヴィア・アッツオーニとアレクサンドル・リアブコが踊っている。河野さんは、表情が繊細かつ豊かで、それも顔の表情だけではなく、体全体から歓びがにじみ出ていてとても素敵。恋人たちの語らいの場面であるのに、ノイマイヤーらしくリフトもたくさん登場して大変な作品だけど、軽やかでとても愛らしい。パートナーのジェイムズ・リトルもこの複雑なパートナーリングを見事にこなしていた。

 『ドン・キホーテ』第3幕グラン・パ・ド・ドゥ  
振付:M.プティパ / A.ゴルスキー
木村優里・井澤 駿(新国立劇場バレエ団)

今シーズン、主役にもたくさん抜擢されていて大活躍していた井澤さん。彼は長身で見栄えがする容姿と相俟ってスター性があるのだけど、特に上半身が硬いきらいがあった。でもバジルは、そんな彼の欠点が目立たず、スタイリッシュに決めていて華やかで良かった。木村優里さんは、研修所卒業してからすぐに「白鳥の湖」のルースカヤを踊り、来シーズンも「くるみ割り人形」の主役に予定されており、ソリスト入団で大変期待されている。背が高くて顔も小さくプロポーションに恵まれている。しかし、良くなかった。まず、右脚がアンドゥオールしていないという致命的な欠点がある。このアンドゥオールできていないのは、グランフェッテの時に上げる脚の位置が開いていなくて、変なところで脚が上がってはロンドゥジャンブしているという結果に結びつく。いくらトリプルをたくさんグランフェッテに入れていても、それでは興ざめである。また、音に合っておらず動きの流れが良くないうえ、手の使い方にも癖がある。客席は非常に沸いていたが、これではとても拍手できない。入団してしっかりこれらの問題点を修正してもらいたい。


『シンデレラ』グラン・パ・ド・ドゥ   
振付:鈴木稔
林ゆりえ(スターダンサーズ・バレエ団)・木下嘉人

やはりプロのバレエ団で真ん中を踊ってきた人の踊りは安心する、と林ゆりえさんの踊りを観て思った。「シンデレラ」のこのシーンは派手さはないけれど、そんな中でも彼女には華やかさがあって目を惹きつけられる。木下さんはライプチヒ・バレエなどで踊ってきて来シーズン新国立劇場バレエ団に入団する。経歴からしてもコンテンポラリーの方が得意そうだが、着地もきれいで古典もしっかりしている。

『パリの炎』パ・ド・ドゥ   
振付:V.ワイノーネン
多久田さやか(ロシア国立バレエモスクワ)
清瀧千晴(牧阿佐美バレヱ団)

多久田さやかさんは、コンクール入賞歴も華やかで、結構ベテランだと思っていたのに若手ダンサーちゅうしんのこのガラに出るんだ、と少し驚いた。でもロシアで活躍しているだけあって、非常に技術的に強くて跳躍も高い。清瀧さんは、「パリの炎」というよりはもっとノーブルな印象の強いダンサーだし、今回も派手に決める、ということはしていなくてエレガントだったが、クリアな動き、ふわっとしたジャンプ、足音のしないきれいな着地で素晴らしかった。日本で活躍している男性ダンサーの中ではピカイチの一人だと思う。

『海賊』奴隷のパ・ド・ドゥ   
振付:M.プティパ
日髙世菜、吉田周平(ブカレスト国立歌劇場バレエ団)

幕が開いたら、吉田周平さんが口髭をつけていたので少々笑ってしまったけれども、奴隷商人らしいあくどくてユーモラスな演技をしっかりしていて、役になりきっていたのは好感度が高い(この役を踊ったのは初めてとのこと)。日高さんは長身で手足がとても長く、衣装から見えるお腹も腹筋がくっきり割れていて実に恵まれたプロポーション。その長い手足を綺麗にコントロールしていて、ダイナミックでしなやかで美しい。吉田さんはランケデム役ならではの、深いプリエに降りてからの跳躍が非常に高くて柔らかさもあって素晴らしい。日高さんが長身なのでサポートは少し大変そうだったけど、息は合っていたし、二人とも魅せるツボを心得ているので非常に楽しかった。カーテンコールまでしっかりと役になりきっていて、この日一番のパフォーマンス。

 『海賊』グラン・パ・ド・ドゥ    
振付:M.プティパ
齊藤 耀、三木雄馬(谷桃子バレエ団)

改めて、三木雄馬さんの美男子ぶりに目を見張った。日本人の男性ダンサーでこんなに美形な人がいるとは。奴隷姿も良く似合う。踊りの方は、前半は力強くダイナミックで良かったけど後半少し失速。齊藤 耀さんは調子が悪かったのか、グランフェッテの途中でトウをついてしまってそのまま終了してしまった。

『アルルの女』より抜粋 振付:R.プティ
菅野茉里奈、ウェイ・ワン(ベルリン国立バレエ)

菅野さん、ウェイ・ワンとも表現力に非常に優れていて、ドラマティックだった。菅野さんは、一途にフレデリを想うヴィヴェットの悲しみ、苦悩を愛らしくも切なく演じていた。そしてウェイ・ワンは、愛する女が目に前にいながらもアルルの女の幻に取りつかれて正気を失い、ついには死へとダイブしてしまう男の心の変遷、細かい心境の変化をまるでセリフが聞こえてくるかのように表現。身体のキレもとても良くて、その動きからも物語が伝わってくる。ファランドールの音楽が高揚していくとともに、狂気も増していって、大きく目を見開いてためらうことなく飛び降りる跳躍も美しかった。彼はベルリンではまだコール・ド・バレエだけど、中国国立バレエではプリンシパルだったようだ。菅野さん、ウェイ・ワンとも容姿にも恵まれていて、このような物語が良く似合う。


「バレエ・アステラス」はもともと、海外で活躍するダンサーを見せるという目的のあるガラだったのだが、昨年より、海外のバレエ学校がゲスト出演するという当初の趣向がなくなってしまい、その分、日本で踊るダンサーも出演するようになった。この変更によって、コンセプトがずれてしまったように感じられる。海外バレエ学校の交流というのも大事な要素だったのだが。そして、海外で踊るダンサーと日本で踊るダンサーを並べての公演だと、どうしても、海外で踊っているダンサーたちの方がずっと表現として優れたものを見せているというのがよくわかってしまう。唯一、清滝千晴さんは、日本で踊っているダンサーでもこれだけ素晴らしいというところを見せてくれたのだが。(彼も、ボリショイバレエ学校に留学し、また文化庁新進芸術家海外研修員としてボリショイなどで研修をしていた)

予算の都合などもあって元のコンセプトに戻すのは難しいのかもしれないけれど、日本で踊るダンサーや、ダンサーの卵たちが、海外で踊るダンサーたちに刺激を受けて、芸術性を磨いてくれることを願うばかりである。

2015/07/24

ボリショイ・バレエの新作「現代の英雄」初演(追記あり)

7月22日に、ボリショイ・バレエで、今シーズンの新作「現代の英雄」が初演されました。
http://www.bolshoi.ru/en/performances/813/

ミハイル・レールモントフの有名な小説を原作とし、振付はかつてボリショイで活躍したダンサーで、現在はサンフランシスコ・バレエの常任振付家であるユーリ・ポソホフが振付しました。26歳という若さで決闘のために亡くなったレールモントフですが、「現代の英雄」は大変人気のある小説です。主人公ペチョーリンは、ネガティブな面もある男性ですが魅力的な人物で、エフゲニー・オネーギンと並んでロシア人にとっての永遠のヒーロー像です。

リハーサルの写真
http://www.bolshoi.ru/en/about/press/photo/hero/

この作品は、「BELA」「TAMAN」「PRINCESS MARY」の3つのパートに分かれており、それぞれ異なった年代を描いているため、主人公ペチョーリン役もパートが変わると別のダンサーが踊ることになります。


7月22日、26日
Pétchorine : Tsvirko/Ovcharenko/Skvortsov
Bela : Smirnova
Mary : Zakharova
Ondine : Shipulina

23日、25日
Pétchorine : Lobukhin/Lantratov/Lopatin
Bela : Vinogradova
Mary : Stashkevitch
Ondine : Alexandrova

24日
Pétchorine : Tsvirko/Ovcharenko/Merkuriev
Bela : Smirnova
Mary : Krysanova
Ondine : Shipulina

ボリショイのサイトでは、非常に詳しいあらすじも(英語でも)掲載されています。
http://www.bolshoi.ru/en/performances/813/libretto/

ボリショイ劇場のマガジンには、リハーサルの写真と、ポソホフのインタビューが載っています。原作のある物語バレエではあるのですが、物語を忠実にバレエ化するのではなく、バレエを作り上げるために原作をもとにしたパズルを作ったとのこと。それぞれのエピソードで呼び起される感情を、感情的、歴史的、文化的な様相から描きたかったそうです。

またポソホフによれば、芸術監督のセルゲイ・フィーリンが、振付家ポソホフと、演出家のキリル・セレブレニコフ(舞台の演出や映画監督としても著名ですがバレエを手掛けるのは初めて)が協力して新しいバレエ作品を創ることを提案し、セブレニコフが、「現代の英雄」のバレエ化が良いと答えたそうです。ポソホフ自身は、「エフゲニー・オネーギン」か「戦争と平和」のバレエを作りたかったそうです。

なお、キリル・セレブレニコフは、今月開催されているアヴィニョン演劇祭で、ラース・フォン・トリアーの映画「イディオッツ」の舞台化を行っています。先月、彼のプロダクションのうち7作品はポルノなのではないかと捜査の手が入り、さらにロシアの文化相も彼の古典作品の舞台化は不適切ではないかと批判したなど、議論を呼ぶ演出家のようです。

こちらにもポソホフのインタビュー記事が(英語)
http://rbth.com/arts/2015/07/21/yuri_possokhov_bolshoi_ballet_can_produce_new_generation_of_choreographe_47927.html

リハーサル映像

ゲネプロの映像
http://www.ntv.ru/novosti/1446699/

映像にもある傷痍軍人は、実際に車いすに乗っている3人の車いすダンサー("Russian National Wheelchair Dance Sport team members)が演じているとのことです。

こちらは初日の映像
http://tvkultura.ru/article/show/article_id/137962

こちらの映像はさらによくわかると思います。ザハロワやスミルノワ、ツヴィルコらの踊りや、車いすダンサーの踊りも。バレエのクラスを行っているシーンもありますね。

ファイナンシャルタイムズの批評(英語)
A Hero of Our Time, Bolshoi Ballet, Moscow — review
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/103d328c-311d-11e5-91ac-a5e17d9b4cff.html


カーテンコールの写真は、ダンソマニのフォーラムにアップされています。
http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=7138&sid=982b6db699fa9107c8442c8986feb93a

32歳という若い作曲家Ilya Demutsky に作曲を依頼したこの作品、オペラ的な歌声なども使った音楽も特徴的だったようです。かなり大胆な演出もあったようで今までになかったような作品だったとのことですが、批評家の評判は良いようです。また、怪我で長いこと舞台を遠ざかっていたオルガ・スミルノワがこの作品で無事復帰を果たしました。

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2015/07/20

7/18 ロシアバレエ トップダンサー達によるグラン・ガラ

2013年に始まった田北志のぶさんによる「グラン・ガラ」、3回目の今年は、東京と仙台だけでなく、全国での公演を行うようになりました。最初の公演が行われた川口公演をまずは観ましたた。(この後、武蔵野、横須賀と観に行く予定)

Grangala

エレーナ・エフセーエワが劇場の都合で来日が遅れているため、川口公演には出演できないとの掲示があり。7月20日にマリインスキー劇場で「ラ・バヤデール」のガムザッティを踊る予定になっているので、そのためかもしれない。おそらくその後は合流してくれるはずです。

川口リリアホールは、川口駅に直結していて交通の便は大変良い。前の方8列くらいは真っ平で観にくそうだったけど、私がいた16列目あたりは段差もありとても見やすかった。音響が悪いのか録音の音質の問題なのか、音楽が良くなかったのは残念。

「白鳥の湖」第3幕より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
マリア・アラシュ、アレクサンドル・ヴォルチコフ

来日直後だったためか、二人とも本調子ではなかったようで、アラシュが珍しくグランフェッテで途中でトウがおちてしまった。ヴォルチコフは、ヴァリエーションではドゥーブルアッサンブレで一周してくれたのだけどそれで疲れたのかコーダではいっぱいいっぱいの様子。しかし、二人ともボリショイ・バレエならではの品格と美しさがあったのは流石だった。

「DEUX」
振付:クレール・ブリアン、音楽:ジャック・ブレル
アンドレイ・エルマコフ

当初はエフセーエワとのパ・ド・ドゥの予定だったのだが、彼女が出演できなくなったため、エルマコフのソロパートへ変更。ジャック・ブレルの歌に合わせて、愛の幻影を激しく求める男性の情熱的な姿を見せてくれた。白のシャツに黒のパンツというシンプルな姿のエルマコフは最初は白い薔薇の花を持っていた。美しいラインとエレガントな動きの中にドラマ性があって魅力的だった。後半の公演ではパ・ド・ドゥ版が観られることだろう。

「バヤデルカ」第二幕より:ガムザッティとソロルのグラン・パ・ド・ドゥ
オレーサ・シャイターノワ、ブルックリン・マック

初めて観るオレーシャ・シャイターノワはキエフ・バレエのソリスト。小柄で愛らしく、とても若い(2013年バレエ学校卒業)。非常に軽やかで力みがなく、小気味よくくるくる回ってくれるし、ポール・ド・ブラも美しい。イタリアンフェッテも完璧。なるほど期待の新星とプログラムに書いてあるだけのことはある。ヴァルナ国際コンクール金賞受賞のブルックリン・マックは、最近では話題のミスティ・コープランドと「白鳥の湖」を踊って注目された。バネがあって跳躍は非常に高いし、柔軟性もあってソロル役はぴったりだけど、少し力みがあったかもしれない。彼はテクニックがあるだけでなく、キーロフ・アカデミーで学んだだけあって、腕の使い方などがエレガントなのが良い。

「カルメン組曲」抜粋
振付:アルベルト・アロンソ
田北 志のぶ、アレクサンドル・ザイツェフ、イーゴリ・コルプ

アロンソ版「カルメン」からの抜粋で、カルメンのハバネラのソロ、ドン=ホセのソロ、エスカミーリョのソロ、カルメンとエスカミーリョのアダージョ、カルメンとドン=ホセのアダージョという構成。ストイックなイメージの田北さんはカルメンのキャラクターはちょっと違うかな、と最初感じたけれども、彼女ならではの強くセクシーな情勢を熱演してくれた。田北さんは脚が長くて美しいので、カルメンの衣装も良く似合う。ザイツェフは純朴そのもののドン=ホセで、カルメンに魅せられていくのが良く伝わってきたし、二人のパ・ド・ドゥでのパッションもどこか切ない。コールプのエスカミーリョはもはや十八番で、スタイリッシュでけれんみたっぷりに魅せてくれる。このガラならではの組み合わせは何とも贅沢で見ごたえがあった。


「海賊」より:メドーラとアリのグラン・パ・ド・ドゥ
オレーサ・シャイターノワ、ブルックリン・マック

ブルックリン・マックは、こっちの方が良かった。観たことのないようなあっと驚く跳躍も見せてくれたし来るだろうなと思ってやっぱり見せてくれた540も決まった。シャイターノワははつらつとしていて、小気味よく音楽性が大変優れていて、コーダの高速シェネも美しい。これから間違いなく頭角を現す一人だろう。

「愛の伝説」より:メフメネ・バヌーとフェルハドのパ・ド・ドゥ
振付:ユーリ・グリゴローヴィッチ
音楽:アリフ・メーシコフ
マリア・アラシュ、アレクサンドル・ヴォロチコフ

「愛の伝説」から、醜くなってしまった自分の顔がもしも元の美貌だったら、と女王メフメネ・バヌーが妄想の中でフェルハドと結ばれる切ないパ・ド・ドゥを抜粋。フェルハドの衣装は、これは罰ゲームか、と思うほど微妙なものだったけど、ヴォルチコフはサポートで頑張って、グリゴローヴィッチらしい垂直さかさまリフトも魅せてくれた。映画館中継でもこの役を踊ったアラシュの表現力の素晴らしさは言うまでもない。ガラの中で見せるには難しい作品だけど、見ごたえはあった。

「ロミオとジュリエット」より:バルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:レオニード・ラヴロフスキー
田北 志のぶ、イーゴリ・コルプ

田北さんとコールプのロミオとジュリエットなんて、一般的なロミオとジュリエットのイメージとかけ離れているんじゃないかと思っていたのだが、杞憂だった。確かに大人のカップルではあるのだけど、二人とも初々しく、恋の歓びを甘く伝えてくれていて、とても素敵だった。田北さんはスレンダーな体型なので案外ジュリエットの衣装が似合うし、表現も非常に細やかで少しずつ高揚する気持ちを素直に、はにかみながら見せていて愛らしい。コールプは髪型は変だったけど、彼も少しシャイなところを見せてくれて、若々しく見えてくるからアラ不思議。ラヴロフスキー版ならではの奥ゆかしさ、生々しさがない振付も相まって、切ない余韻を残してくれた。

「Notation I-IV」
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:ピエール・ブーレーズ
アレクサンドル・ザイツェフ

マラーホフのために振付けられた「ノーテーション」だが(マラーホフは世界バレエフェスティバルでも踊っている)、ザイツェフは初演のセカンド・キャストで、彼は現在ショルツ作品の振付指導者としても世界中で活躍している。今回楽しみにしていた作品の一つ。4つのパートが異なる感情を表している作品なのだが、かなり高度なテクニックを要するし音楽に合わせての非常に激しい動きがある。シュツットガルト・バレエを退団して2年経ったザイツェフだが、バレエ団時代の技術と体型を保っているのが素晴らしく、驚くような柔軟性、そして物語のない作品の中に感情とドラマを見せてくれるところは流石だ。

ここにザイツェフがこの作品を踊った映像があるのだけど、この時からおそらく何年も経っているだろうに、体型も雰囲気も技術もほとんど変わっていないのだから恐れ入る。
https://youtu.be/R3fzbWRF6PU

「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
田北 志のぶ

田北さんは非常に腕が長く、ロシア・バレエの体現者ならではの、美しく繊細な腕使いがドラマティックだ。震えるような細かいパ・ド・ブレ。彼女の持つ少し硬質な雰囲気が、凛として気高い白鳥の姿に重なり、そんな中でも潔く死を迎えるのではなく、時には激しく抗い、そしてついに力尽きて死んでいく様子を通して、生と死の儚さを感じさせてくれる。いろんな人の「瀕死の白鳥」を観てきたけれども、現役ではロパートキナが一番だが田北さんはその次くらいに素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていると思う。まさに入魂の演技。

「ドン・キホーテ」第三幕より:キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥ
マリア・アラシュ、アンドレイ・エルマコフ

当初はエフセーエワがキトリを踊る予定が、彼女の来日が遅れたことで代役にアラシュ。グランフェッテ32回転を2回も踊らなくてはならなくて大変だと思うが、今回は踊り切れて良かった。ボリショイならではの華やかさがあるし少しエキゾチックな容姿もキトリに合っている。エルマコフは正統派マリインスキースタイルのダンサーなので、流派が合わないところはあるけれども、長身なのに綺麗に良く跳ぶし、気品がありつつも決めるところはきっちりと決めてくれるのが良い。長い脚と美しいつま先にはうっとり。初めて組む相手だろうにサポートもうまく、魅力的なバジルだった。

最後は、1回目、2回目と同じように、「花は咲く」の歌に合わせて出演者たちが花を持って客席に降りてきて、花を配るという趣向(ヴォルチコフも、あの珍妙な罰ゲーム衣装で!)。温かみがあって、とても素敵なガラ公演だった。今回、近郊での公演が多かったため、チケットの売れ行きがやや苦戦していて空席も目立ってしまっていた。でも、ロシア・バレエの魅力を再認識させてくれるし、出演者も良いダンサーばかりなので、迷っている方はぜひ観てほしいと思う。

今後の公演の予定

http://fsquare-freedomstudio.co.jp/concertschedule.html#201507takita

エルマコフのInstagramから、終演後の写真
https://instagram.com/p/5RXsXqh-GB/

2015/07/18

TV番組ボリショイ(ビッグ)・バレエが帰ってくる!寺田翠さん、大川航矢さんも出場

2012年にロシアの国営テレビKulturaで放映されて大きな話題を呼んだバレエ番組、ボリショイ・バレエ。(ボリショイ、とはボリショイ・バレエ団のことではなくて、大きな(ビッグ)バレエ、という意味)

2012年に放映された時には、クリスティーナ・シャプラン、セルゲイ・ポルーニン、ウラディスラフ・ラントラートフ、アルチョム・オフチャレンコ、アンドレイ・エルマコフ、オルガ・スミルノワらが出演していました。バレエ団を代表して出場したペアが踊り、審査員、および視聴者の投票で順位を決めるものです。この時は、1位がシャプラン、2位がポルーニン、3位がエルマコフという結果。

http://tvkultura.ru/vote/answer/vote_id/1/brand_id/22545

この素晴らしい番組、Большой балетで検索すれば前回の動画なども視聴することができます。


さて、このビッグ・バレエが今年帰ってくることになりました。

ボリショイ・バレエ団のサイトにも情報が載っています。
http://www.bolshoi.ru/about/press/articles/2015/3389/

ボリショイ・バレエからは、ダリア・ホフロワとイーゴリ・ツヴィルコ、
マリインスキー・バレエからはレナータ・シャキロワとエルンスト・ラティポフ、ナデージダ・バトーエワとキミン・キム。
ミハイロフスキー・バレエからはアナスタシア・ソボレワとヴィクトル・レベデフ、
クラスノヤルスク劇場バレエからは Ekaterina Bulgutova と Yuri Kudryavtsev
ペルミ・バレエからは Inna Bilash と Nikita Chetverikov
タタール・カザン・オペラ劇場バレエからは、寺田翠さん、大川航矢さん

以上6バレエ団、7組が出場することになります。(前回の台風の目、モスクワ音楽劇場バレエは出場しないのですね)

審査員は、ブリジット・ルフェーブル、ウラジーミル・ワシーリエフ、リュドミラ・セメニャカ、Xiao Suhua(北京舞踊アカデミー教師、振付家)、ファルフ・ルジマトフ、ナタリア・オシポワ、エフゲーニャ・オブラスツォーワが務めるとのこと。司会はイルゼ・リエパ。

収録は7月28日から8月6日まで行われ、秋にテレビ放映されるそうです。


ロシア・バレエの精鋭たちが競うこの番組で、日本人ペアの寺田翠さん、大川航矢さんが出場することは凄いことです。2013年のバレエ・アステラスで2人の素晴らしいテクニックを目の当たりにした方も多いことでしょう。第12回ペルミ国際バレエコンクールで1位と2位に輝いたペアです。どれくらい健闘するか、楽しみですね。

「パリの炎」

こちらは、二人がこの番組のためにリハーサルする様子。ロシアのニュースから。

http://tvkultura.ru/article/show/article_id/137468/

これは彼らが所属するタタール・カザン・オペラ劇場のサイトに掲載された、番組のお知らせ
http://kazan-opera.ru/news/10069/

マリインスキー・バレエから出場するレナータ・シャキロワは、現在はまだワガノワ・アカデミーの学生で、先ほど卒業公演を終えたばかり。マリインスキー・バレエの団員一覧にはもう名前は載っていますが、コール・ド・バレエでの入団です。しかしながら、アカデミー在籍中からマリインスキー・バレエの公演「コンチェルトDSCH」「アポロ」等に主演し、またワガノワ・アカデミーの「くるみ割り人形」に主演している期待の星です。


ボリショイ・バレエのダリア・ホフロワとイーゴリ・ツヴィルコがこの番組のためにマルコ・ゲッケの作品リハーサルをしている映像。彼らは、このほか、ユーリ・ポソホフとヴァチェスラフ・サモドゥーロフの作品も踊るそうです。
http://tvkultura.ru/article/show/article_id/136643/

2015/07/14

イレク・ムハメドフがENBのバレエ・マスターとキャラクター・アーティストに

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)が新入団、昇進と退団を発表していました。

http://blog.ballet.org.uk/promotions-new-joiners-20152016-season/

一番の大ニュースは、ボリショイ・バレエ、ロイヤル・バレエと活躍した大スターのイレク・ムハメドフが、プリンシパル・バレエ・マスターとキャラクター・アーティストとしてENBに参加することです。

ムハメドフは、ギリシャ国立バレエ、スロベニア国立バレエの芸術監督を歴任した他、ENBでもゲスト教師として活躍していました。ダンサー、教師としての経験を若いダンサーに伝えるとともに、キャラクター・アーティストとしても舞台に立ってくれるということで、非常に嬉しいニュースです。演技力に定評のある彼の舞台、ぜひ観たいものです。

Alison McWhinney, James StreeterとMax Westwellがソリストに昇進。ジェームズ・ストリーターは、小林紀子バレエシアターに客演し、「NHKバレエの饗宴」にも出演しているので、踊る姿を見た方は多いのではないでしょうか。彼は振付の才能もあり、先日ネット中継されたENBの若手振付家の夕べでも、作品を披露していました。2014年のローザンヌ国際コンクールに出場してスカラシップを獲得し、YAGPでもグランプリに輝いて昨年入団したばかりのCesar Corrales セザール・コラレスが早くもジュニア・ソリストに昇進します。

ゲスト・アーティストとして迎えられるのがオシール・グネーオ。現在ノルウェー国立バレエのプリンシパルです。今年の世界バレエフェスティバルに出演するので、今年の夏彼の踊りを観ることができるでしょう。

新入団としては、Naomi Bottomer (イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクール), William Beagley, Josephine Frick 、Erik Woolhouse (3人ともロイヤル・バレエ・スクール)そして、ローザンヌ国際コンクールのスカラシップを獲得した金原里奈さんです。エリック・ウルハウスは、日英ハーフで、第15回NBA全国バレエコンクール 中学生男子の部 1位です。Young British Dancer of the Year 2014にも輝いています。

一方でベテラン・プリンシパルのドミトリー・グルージェフ(22年も在籍)とアリオネル・ヴァルガスが退団します。昨年入団したジョアン・セバスチャン・ザモラ(映画「ファースト・ポジション」に出演)は退団し、ジョフリー・バレエに移籍します。


ENBは、非常にテクニックの強い若手ダンサーに恵まれている一方で、男性ダンサーのプリンシパル級が相次いで退団しています。現在、リード・プリンシパルには、オランダ国立バレエから移籍したイザック・エルナンデス、プリンシパルにはヨナ・アコスタとアレハンドロ・ヴィレレスしか男性ダンサーはいません。ベテランプリンシパルが2人去ったことで、空席がさらにできることになります。ゲストを迎えることも多いバレエ団ですが、男性プリンシパルの強化が一つの課題となることでしょう。

芸術監督のタマラ・ロホは強いリーダーシップを発揮しており、2018年には本拠地をロンドンの東部に移転し、バレエスクール、事務所、スタジオ、リハーサル室などを新築する予定です。
http://blog.ballet.org.uk/announcement-new-home/

また、昨シーズンのアクラム・カーン、リアム・スカーレット、ラッセル・マリファントを起用した「Lest We Forget」トリプルビルが非常に高い評価を得ており、来シーズンは女性振付家3人による新作トリプルビルを上演する予定と、非常に意欲的な試みをしています。日本人ダンサーも多く活躍しているENB、ぜひ日本でも舞台を観たいものですね。

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