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2014/12/21

フィリップ・バランキエヴィッチが2017年よりチェコ国立バレエの芸術監督に

今年の7月にシュツットガルト・バレエを退団したフィリップ・バランキエヴィッチ。その後はゲストダンサーとして、そしてフリーランスのバレエマスターとして活動してきましたが、このたび、チェコ国立バレエの芸術監督に2017/18シーズンに就任することが発表されました。

https://m.facebook.com/photo.php?fbid=757763807611495



フィリップ、まだ踊れるのですから、それまでの2年間は引き続きバレエの舞台に立ち続けて欲しいなと思います。最近も、彼はビルギット・カイル率いるカールスルーエバレエで、「じゃじゃ馬ならし」のペトルーチオ役を演じています。

ちなみに、チェコ国立バレエ芸術監督の他の候補者としては、イリ・ブベニチェクとダリア・クリメントヴァがいたとのことです。チェコ人の二人ではなくバランキエヴィッチに決まったのは彼がそれだけ評価されたとのことですよね。

http://www.ceskenoviny.cz/zpravy/novym-umeleckym-sefem-cinohry-nd-bude-daniel-spinar/1161264

2014/12/19

ベルギー、モネ劇場がすべてのダンス公演をキャンセル

ベルギー国立モネ劇場(ベルギー王立歌劇場)は、ブリュッセルで1700年に公共の劇場として創立された名門劇場です。ベルギー独立の舞台ともなり、300年以上の歴史を誇っているわけですが、中でも、1960年に誕生した、モーリス・ベジャールの20世紀バレエ団の本拠地として知られていました。

1981年から85年までは、ジェラール・モルティエが芸術監督でした。また、2008年まで音楽監督を大野和士が務めていたこともあります。いち早く舞台衣装の世界に高田賢三、クリスチャン・ラクロワなどを衣装デザインに起用するなど、先進的な試みを続けてきた前衛的な劇場です。

1992年からは、アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケル率いるローサスがレジデンス・ダンス・カンパニーとして活動してきました。

ところが、政府の予算削減でモネ劇場はダンスの企画を止めることが決定されました。(また、予定されていたバロックオペラの制作もすべて中止)

http://www.brusselnieuws.be/nl/nieuws/rosas-aanslag-op-brussels-danspubliek

もう少し詳しい記事
http://www.lesoir.be/735811/article/culture/scenes/2014-12-16/monnaie-licencie-16-personnes-et-abandonne-danse

もともと、ベルギーの2015年度文化予算は3480万ユーロと決定されていました。しかしながら、政府は15%の削減を迫りました。モネ劇場については、今後四年間で、48万ユーロにまで年間予算が削減されてしまうことになります。劇場は16人の職員を解雇します。そして、現在制作に取り掛かっているケースマイケルの新作を除き、すべてのダンスプログラムがキャンセルされることになりました。

2016年に予定されていたモンテヴェルディのチクルス、そしてクルト・ヴァイル「三文オペラ」の新制作もキャンセルされました。年間9~10の上演作品を、7~8作品に減らす予定にもなっています。

さらに、ルドヴィク・モルローがモネ劇場音楽監督職を今月いっぱいで辞任することにもなりました。
http://slippedisc.com/2014/12/flash-news-music-director-walks-lout-on-top-opera-house-the-second-this-year/

当然、ケースマイケルはこの事態に対して激しく抗議をしています。
ローサスのFacebookより
https://www.facebook.com/rosasdancecompany

「モネ劇場のマネジメントがプログラムからすべてのダンスをキャンセルするというニュースは、私にとって信じられないものです。歴史上から見ても、ダンスはモネ劇場の使命の一部でした。ベジャールとホイスマンの栄光の日々ののち、ダンスの予算はシステマチックに削減され続けています。まずジェラール・モルティエによって、そしてその次のBernard Foccroulleの時にも。そして今のPeter De Caluweはすべてを切り捨てようとしています。ブリュッセルは世界のダンスの首都の一つであるのに、その重要性を無視しています。

30年間もの間、ローサスは、ベルギーのアントワープ、ブリュッセルのほか、パリ、ロンドン、ベルリン、アムステルダム、ニューヨークなど世界の大都市で公演を続けてきました。Peter De Caluweの決定は、ローサスはベルギーを本拠地とすることはなくなったということを意味しています。私は別の本拠地を探し求めなければならないのでしょうか?」
アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケル 
ブリュッセル、12月17日


ブリュッセルを代表するダンスの巨匠としてはもう一人、シディ・ラルビ・シェルカウイがいます。彼は現在、1月10日にBunkamuraオーチャードホールにて初日を迎える「PLUTO」のために東京に滞在していますが、激しい衝撃を受けて、ベルギーの新聞にコメントしました。

「非常に悲しく思います。私はモネ劇場で7年間仕事をしてきました。Peter De Caluweは就任した時に、この劇場をアンヌ・テレサ・ド・ケースマイケル、アクラム・カーンそして私に提供したいと語っていました。ブリュッセルにおける私の公演は、モネ劇場、もしくはモネ劇場の支援を受けて他の会場で上演されてきました。もしこの決定がなされてしまったら、私は共同制作の場を失うだけでなく、ブリュッセルの人々に私の作品を見せる場も失ってしまいます。明日どこに行けばいいのでしょうか?ピーターと私は、来年3部作を制作するという話を進めていました。これは残念ながら実現しないことになります」

「ピーターはおそらく、この厳しい予算の中で選択の余地がなかったのではないかと思います。今年10月に初演されたばかりのオペラ「Shell Shock」(音楽はニコラス・レンズと、ロックミュージシャンのニック・ケイヴが担当)を手掛けたとき、モネ劇場の合唱団とオーケストラを使用しました。ピーターは音楽を最優先にさせたいと思っているのは理解できるけれど、でも非常に悲しいです。」

「私が「Shell Shock」を上演した時、それはモネ劇場で初演され、オーストラリア、ニューヨーク、そしてヨーロッパ中の人々がそれを観にやってきました。今後はブリュッセルでそのようなことを行うことは不可能となり、ブリュッセルの世界の中での地位は低下します。私ももちろん、仕事の重心を移すことになります。おそらく、ロンドン、パリ、もしくは東京になることでしょう」


予算の削減により、ローサスに対する政府の補助金も大幅に削減されます。
http://www.brusselnieuws.be/nl/nieuws/rosas-aanslag-op-brussels-danspubliek

ベルギーの Kaaitheater(芸術文化センター)とローサスはともにダンスのプラットフォームを作り上げて、共同制作により年間3,4作品を上演してきました。このたびの予算削減により、ローサスの補助金は12万ユーロとなります。さらに、モネ劇場でダンス公演が無くなってしまうことにより、ローサスから10万ユーロもの収益が失われてしまいます。芸術文化センターでは、引き続きローサスの作品を上演しますが、この予算削減により、大きな新作を制作することは事実上不可能となってしまいました。

もっとも重要なコンテンポラリーダンスのカンパニーが、ブリュッセルのメーンステージであるモネ劇場で上演を行うことができなくなってしまったら、ブリュッセルのダンス都市としての地位は間違いなく低下してしまうでしょう、と関係者の見解は一致しています。

2014/12/18

SWAN MAGAZINE 38 2014年冬号

SWAN MAGAZINE 38 2014年冬号が発行されました。

http://swanmagazine.heibonsha.co.jp/

冬らしい、ミッドナイトブルーと白が印象的な美しい表紙。

巻頭連載のパリ・オペラ座 エトワールに夢中!は
Vol.21 ジェレミー・ベランガールです。

最近はあまり踊っていない印象がありますが、来年3月の「白鳥の湖」ではロットバルト役を踊る予定。個性派の彼は古典よりは現代作品の印象が強く、フォーサイスと「パ・パーツ」のリハーサルに入るという時点でのインタビューでした。また、ミュージシャンとしての一端も見せ、ポートレートもバレエダンサーというよりはミュージシャンのようです。引退まで3年ですが、引退してもダンスは止めないそうです。

特集は新国立劇場バレエ団。

新制作「眠れる森の美女」で2014/2015シーズン開幕
新国立劇場バレエ研修所 発表公演
大原永子舞踏芸術監督インタビュー
2014/2015シーズン公演ラインナップ
[Review] CLOUD/CROWD ダンス公演ラインナップ

「眠れる森の美女」の写真がふんだんに使われており、主役だけでなくて、3幕のキャラクターロールのダンサーたちの舞台写真も載っているので、新しいダンサーたちの顔を覚えるのにもとても役に立ちます。

公演ラインアップや大原新芸術監督へのインタビューは、もっと突っ込んだ内容にした方が良かったと思いますが。(今回のラインアップも、「眠れる森の美女」も、ダンサーのクオリティは高いけど、疑問符がたくさん、と思う方が多いですから)

観に行くことができなかった「CLOUD/CROWD」のレビューも読めたのは良かったです。

〔連載] ハンブルク便り4
いつの間にか連載になっていたハンブルグ・バレエだよりは、「ジゼル」と「ヴェニスに死す」のレポート。ノイマイヤー版の「ジゼル」は一般的なコラーリ&ペロー版をベースにしつつも、ひねった設定や振付もあるようなので、大変興味深いです。日本に来ないうちに、ハンブルグ・バレエもだいぶ世代交代しているようで、「ジゼル」にも「ヴェニスに死す」にも、最近プリンシパルに昇進したばかりのアレクサンダー・トリシュが主演していました。アリーナ・コジョカルがジゼル役でゲスト出演しているのも話題でした。

ハンブルグ・バレエでは、ソリストとして、そして振付家としても活躍する大石裕香さんのほか、有井舞耀さん、石崎双葉さん、さらに今シーズンからは菅井円加さんと日本人ダンサーが増えてきました。その中で、今回は2007年に入団した有井さんのインタビューが掲載されています。「ジゼル」ではドゥ・ウィリの一人ズルマ役を踊っています。ノイマイヤーとの共同作業についても語ってくれていて、これもまた興味深いです。


日本人初のブノワ賞に輝き、先日はノーベル賞授賞式でも踊った木田真理子さんのインタビューもあります。大変な栄誉をつかむ前には、様々な試行錯誤があり、ブノワ賞受賞を招いた作品「ロミオとジュリエット」も初演キャストということでマッツ・エックと創り上げた役ですが、怪我をしたり、初日が近づいているのにジュリエットという役がわからないと苦しんだり、様々な苦悩があったそうです。

さらにもう一つ、デンマークのペーター・シャウフス・バレエのプリンシパル、高橋陽子さんのインタビューも面白かったです。往年のスターダンサーであるシャウフスは現在自らのカンパニーを率いており、ナタリア・オシポワとイワン・ワシーリエフをゲストに招いてアシュトン版「ロミオとジュリエット」を上演したり、シャウフスのオリジナル作品をロンドンのコロシアム劇場などで上演しています。彼の振付けたチャイコフスキー三大バレエは、イレク・ムハメドフをゲストに迎え、大胆な演出が賛否両論を呼びました。普通のバレエ団とは違った私設カンパニーならではのエピソードが読めます。

ハンガリー国立バレエに移籍したSHOKOこと中村祥子さんからの便りも。元気で活躍されている様子が伝わってきます。

そして「SWANドイツ編」は第二話。ノイマイヤーの「オテロ」のオーディションを真澄とレオンは受けますが、レオンは不合格、真澄はデスデモーナ役の代役に選ばれます。レオンは、どの役を踊っても彼にしか見えないというのが不合格の理由だったとのこと。そして、二人の間に亀裂が入ります。さて、レオンは、真澄は、そして「オテロ」はどうなるのでしょうか?

番外編である「SWAN 白鳥の祈り」愛蔵版(全二巻)も発売されました。この愛蔵版だけの、書下ろしエピソードも加えられているので、SWANファンは必読です。

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2014/12/16

「エトワールをめざして ~パリ・オペラ座バレエ学校の子どもたち~」ほかTV放映情報

以前にも放映されていますが、パリ・オペラ座学校の生徒たちを追ったドキュメンタリー「エトワールをめざして ~パリ・オペラ座バレエ学校の子どもたち~」がアンコール放映されます。

12月31日(水)午後6:00~ Eテレ
http://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2014-12-31/31/05535/

非常によくできたドキュメンタリーで、レッスンや寮生活に1年間密着して、子供たちの生きる厳しい世界を見せて行ってます。


ほかにもいくつかバレエ/ダンス関連番組がありますのでご紹介を。

12月17日(水)22:00~ NHK BSプレミアム
踊る阿呆
森山未來・自撮り365日

http://www4.nhk.or.jp/odoruahou/

昨年10月から単身イスラエルへ渡った森山未來。インパル・ピント・カンパニーを拠点に活動していた彼が、一台のカメラを渡されて、自分で自分を撮影した記録映像。大変面白そうです。


12月21日(日)24:00~ NHK BSプレミアム
プレミアム・シアター 
ベジャール・バレエ団&東京バレエ団、ズービン・メータ指揮「第九交響曲」
今年11月の舞台が早くも登場


12/24(水) 24:30- NHK BSプレミアム
ドキュメンタリー映画特集 「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」


1月1日(木)19:00〜 NHK Eテレ 
「ウィーンフィル・ニューイヤー・コンサート 2015」


1月16日(金)9:00~ NHK BSプレミアム 
「輝く女 吉田都」(再放送) 
25日(木)25:55~の放映もあり
ロイヤル・バレエで「オンディーヌ」を踊る都さんに密着したドキュメンタリー。


1月19日(月)9:00〜 NHK BSプレミアム
「サンクトペテルブルク 音楽の都300年の物語  ゲルギエフとたどる 栄光と苦難」(再放送)
1月26日(月)24:45〜の放映もあり


「エトワールをめざして ~パリ・オペラ座バレエ学校の子どもたち~」は、このDVDのダイジェスト版です。

未来のエトワールたち パリ・オペラ座バレエ学校の一年間 [DVD]未来のエトワールたち パリ・オペラ座バレエ学校の一年間 [DVD]

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2014/12/15

ウェアモアのカタログとプロモーション映像

バレエ・ウェアのブランド、ウェアモアの2015年のカタログとプロモーション映像がアップされています。

プロモーション映像には、シュツットガルト・バレエのアンナ・オサチェンコとアリシア・アマトリアン、ナショナル・バレエ・オブ・カナダのエヴァン・マッキーの他、パリ・オペラ座学校の生徒たちが登場しています。撮影は今年の夏、パリで行われたとのこと。いずれも大変脚の美しいダンサーたちで、とてもクラシックで美しい映像です。

http://youtu.be/cCnpVt0dLlA

こっちは短縮版のプロモーション映像
http://youtu.be/aifwGIUdeW0


ギャラリー
http://www.wearmoi.com/photos/2015

カタログ(アンナ・オサチェンコ、エヴァン・マッキーがモデルで登場)
レオタード
http://www.wearmoi.com/store/1-leotards

スカート
http://www.wearmoi.com/store/8-dresses

メンズ
http://www.wearmoi.com/store/3-men

ウォームアップ
http://www.wearmoi.com/store/7-warm-up

今回のカタログ、PDFでダウンロードできます。
http://www.wearmoi.com/_elements/pdf/WEARMOI2015_NOUVEAUTES_bd.pdf

2014/12/13

ベルニス・コピエテルス(モンテカルロ・バレエ)が引退

モンテカルロ・バレエを代表するバレリーナで、振付家で芸術監督のジャン=クリストフ・マイヨーのミューズであったベルニス・コピエテルス

彼女の最後の公演が、今年の12月31日となることが、モンテカルロ・バレエのFacebookで発表されていました。
https://www.facebook.com/balletsdemontecarlo2014/photos/a.1571986293037748.1073741830.1432840016952377/1574143116155399/?type=1&theater


1970年11月16日にベルギーで生まれたベルニスは、ジュリアード音楽院で学んでいた88年にローザンヌ国際コンクールでスカラシップを受賞し、ロイヤル・バレエ・オブ・フランダースに入団します。91年にモンテカルロ・バレエに移籍し、以降、数多くのマイヨー作品の初演キャストを務めました。

代表作として「ロミオとジュリエット」のジュリエットとキャピュレット夫人、「シンデレラ」の仙女と継母、「ラ・ベル(眠れる森の美女」のベル、「真夏の夜の夢」のタイターニア、「くるみ割りサーカス」のドロッセルマイヤー、「LAC白鳥の湖」の黒鳥の母、「シェヘラザード」のシェヘラザードなどがあります。また、マイヨーの作品だけでなく、多くの振付家とのコラボレーションを行っていて彼女のために振付けられた作品も多く、またベジャールの「ボレロ」のメロディ役なども踊っています。

最近では、ジャン=クリストフ・マイヨーの振付指導者・振付助手としても活動しており、ボリショイ・バレエで初演された「じゃじゃ馬馴らし」をはじめ、彼の作品が他のバレエ団で踊られる際の振付指導を行ってきていました。他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも多く行ってきています。

ベルニスはモナコ公国の勲章を受章しているほか、レオニード・マシーン賞、そして2011年にはブノワ賞も受賞しています。世界バレエフェスティバルなど、日本の舞台にも何度も立っています。

長身で完璧なプロポーション、ショートカットの似合う両性具有的な美貌、そして圧倒的な身体能力と表現力の持ち主であるベルニスは、バレリーナの既成概念を打ち破る唯一無二の存在でした。40歳を過ぎても精力的に踊ってきましたが、ついに引退を迎えることになってしまったのですね。

ジャン=クリストフ・マイヨーのFacebookにアップされているベルニスの写真は、どれもため息の出るような、圧倒的な美しさで、ドラマティックです。こんなにも美しい女性がいるのだろうかと思うほどです。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1037979266228979.1073741867.622555451104698&type=1


モンテカルロ・バレエは、来年2月27日~3月1日に来日公演があります。話題作「LAC~白鳥の湖」で、私もとても楽しみにしています。
http://www.nbs.or.jp/stages/1502_montecarlo/index.html

パリ・オペラ座バレエを引退後も日本公演に出演してくれたアニエス・ルテステュやイザベル・シアラヴォラのように、ベルニスも出演してくれたら嬉しいですよね。

http://youtu.be/UQX15R5eLbs

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2014/12/12

ノーベル賞授賞式にて、木田真理子さん他スウェーデン王立バレエダンサーが踊る

12月10日に行われたノーベル賞の授賞式。平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんのスピーチはとても感動的なものでした。

この授賞式の晩餐会で、スウェーデン王立バレエダンサーのダンサーたちが踊っています。

ルヤン・アンダーション振付の「Exposition and the body」を鳴海令那さんと児玉北斗さん
http://youtu.be/qPNTKj0l3dU

Nobel Banquet 2014 - Second Divertissement
http://youtu.be/3I4yr-EitKQ

Nobel Banquet 2014 - Third Divertissement 木田真理子さん
http://youtu.be/kRn1hYSQPmw

このバレエ団らしく、全部現代作品なのがとても興味深いです。セレモニー用の作品という感じではなくて、それぞれ見ていて面白い作品です。

2014/12/11

ENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)の「海賊」映像ダウンロード販売

タマラ・ロホ率いるENBが上演して、好評を博した「海賊」。この「海賊」の今年1月の公演が映像として収録され、ダウンロード販売/レンタルされます。開始は英国時間、12月11日の午後5時より。

http://blog.ballet.org.uk/le-corsaire-rent-buy-high-definition/

詳細ページはこちら
http://www.digitaltheatre.com/production/details/english-national-ballet-le-corsaire

メドーラ役にアリーナ・コジョカル、コンラッドはワディム・ムンタギロフ、ギュリナーラに高橋絵里奈さん、ビルバントにヨナ・アコスタと大変豪華なキャストです。

http://youtu.be/UO6ixtaawTE?list=PLvOYhHfLGWWNVqLkOt8FbAyjwoEg9eUws

この「海賊」の映像は、Digital Theatreというプラットフォームを通じて配信されます。

http://www.digitaltheatre.com/

価格は、レンタル£3.99 (購入日から30日の間、最初に視聴開始した時から48時間以内に視聴できる)通常画質の購入£8.99 HD版購入£10.99 です。無料ソフトDigital Theatre Desktop Playerをダウンロードすれば、この映像をパソコンにダウンロードして、オフラインで視聴することも可能です(PCに保存可能)。また、iOSのアプリもあるので、iPhone, iPadでの視聴も可能。

また、DVDとブルーレイでの発売も予定されているそうです。

なお、このDigital Theatre、バレエはこの「海賊」のほかはロイヤル・バレエの4作品を配信しているのみですが、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー、アルメイダ劇場、グローブ座、ヤング・ヴィクなど、特に演劇公演の映像を多く取り揃えていて、大変興味深いです。オペラ、クラシック音楽のコンテンツもあります。

2014/12/10

11/28、30 ナショナル・バレエ・オブ・カナダ「ニジンスキー」

ジョン・ノイマイヤーの「ニジンスキー」といえば、ハンブルグ・バレエの来日公演を覚えている方も多いと思うのだが、初めてハンブルグ・バレエ以外で上演されたのがナショナル・バレエ・オブ・カナダ。2013年に上演された際に好評で、すぐに翌年の再演が行われた。

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作品の解説(ハンブルグ・バレエのサイトより)
http://www.hamburgballett.de/e/_nijinsky.htm

プロモーション映像(ノイマイヤーのインタビュー有)
http://youtu.be/Uw6OoBWA3OY

ボリショイ祭りの合間を縫って、4日間でトロントに行ってきて「ニジンスキー」を観てきた。

トロントの観客は、バレエ観劇を社交の一端ととらえている感じが強く、また家族連れなども多かったりして比較的観客は保守的だと言われる。「ニジンスキー」の前に上演された「マノン」が、マルセロ・ゴメスまでゲストに迎えたのにもかかわらず、チケットセールスは芳しくなかった。しかしながら、この「ニジンスキー」に関しては、非常に客の入りが良かったようで、最終日はなんとソールドアウトになったという。口コミで盛り上がり、リピーターも多かった模様だが、それは作品の力によるところが多かった。もちろん、ナショナル・バレエ・オブ・カナダのダンサーの力量も素晴らしかったと感じた。

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Nijinsky
A ballet by John Neumeier
Choreography, Sets*, Costumes* and Lighting Design: John Neumeier
*based partly on original sketches by Léon Bakst and Alexandre Benois
Music: Frédéric Chopin, Robert Schumann, Nikolai Rimsky-Korsakov and Dmitri Shostakovich
Lighting Reconstruction: Ralf Merkel
Premiere: The Hamburg Ballet, Hamburg, Germany, July 2, 2000
The National Ballet of Canada Premiere: March 2, 2013

Vaslav Nijinsky Guillaume Côté ニジンスキー : ギョーム・コテ
Romola Nijinsky Xiao Nan Yu ロモラ・ニジンスキー : シャオ・ナン・ユ
Serge Diaghilev Evan McKie セルゲイ・ディアギレフ : エヴァン・マッキー
Bronislava Nijinska Jenna Savela  ブロニスラヴァ・ニジンスカ(ニジンスキーの妹) : ジェナ・サヴェラ
Stanislav Nijinsky Dylan Tedaldi スタニスラフ・ニジンスキー(ニジンスキーの兄) : ディラン・ティダルディ
Eleonora Bereda Svetlana Lunkina エレオノラ・ベレダ(ニジンスキーの母) :スヴェトラーナ・ルンキナ
Thomas Nijinsky Brent Parolin トーマス・ニジンスキー(ニジンスキーの父) :ブレント・パロリン

The Golden Slave/The Faun Keiichi Hirano 黄金の奴隷/牧神 平野啓一
The Spirit of the Rose Naoya Ebe 薔薇の精 江部直哉 
Tamara Karsavina Sonia Rodriguez タマラ・カルサヴィナ: ソニア・ロドリゲス
The New Dancer Leonid Massine Skylar Campbell レオニード・マシーン :スカイラー・キャンベル
Harlequin in Carnaval  Naoya Ebe 「カルナヴァル」のアルルカン 江部直哉 
The Young Man in Jeux  Skylar Campbell 「遊戯」の若い男 : スカイラー・キャンベル
Petrushka Jonathan Renna ペトルーシュカ : ジョナサン・レンナ

「ニジンスキー」はもちろんハンブルグ・バレエの作品であり、ほぼ毎年のように上演されている重要なレパートリーの一つである。したがって、ハンブルグ・バレエと同じレベルの上演にするのは至難の業だ。私はハンブルグ・バレエの「ニジンスキー」を最後に観たのはハンブルグで2007年ということで、かなり前のことになってしまうのだが、圧倒的なインパクトを与えられたことはよく覚えている。2005年の来日公演で観たイリ・ブベニチェク、2007年に観たアレクサンドル・リアブコ、タイプは違うけど二人ともとてつもない表現力を持つダンサーである。リアブコは、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの初演でもゲスト出演をした。

さて、カナダでの上演はどうだったか。今回が再演になるということで、少し馴染んできた部分もあると思われる。そして今回も、初日までジョン・ノイマイヤー本人が振付指導に携わった。もちろんハンブルグ・バレエと同じレベルの上演であるとは思わないが、カンパニー全体の上演クオリティは極めて高かったと思われる。クラスレッスンなどで、何人かのダンサーと話をしたのだが、ノイマイヤーの「ニジンスキー」という作品を踊ることができるという喜びが、カンパニーにとって大きなモチベーションになっているように感じられた。

World Ballet Dayのリハーサルから、2幕、スタニスラフとニジンスカの凄まじいソロ
http://youtu.be/YF7r3YPAF7M

幕はなく、劇場に入ると、ニジンスキーが観客の前で最後に踊ったスイス、サンモリッツにあるスヴレッタ・ホテルの白いセット。着飾った男女が入ってくるが、その中には、ニジンスキーの父トマス、母エレオノラの姿もある。真っ赤なドレス姿の妻、ロモラも。「神との結婚」と呼ばれた1919年1月19日午後5時のパフォーマンス。白い着物のような衣をまとったニジンスキーが歩み出るとそれを脱ぎ、黒いパンツ姿でピアノの音に合わせて軽やかに舞う。この踊り自体には、まだ狂気の影は観られない。背後に現れる黒いシルクハットにタキシード姿のセルゲイ・ディアギレフ。邪悪なまでの響きをさせる彼の拍手によって、踊りは一度遮られる。

『シェヘラザード」の音楽とともに、ニジンスキーが演じてきた様々なキャラクターが登場して彼とともに踊る。ニジンスキー自らが踊る「レ・シルフィード」の詩人を始め、「シェヘラザード」の黄金の奴隷、「牧神の午後」の牧神、「薔薇の精」、「アレキナーダ」のアルルカン、「ペトルーシュカ」。これらのキャラクターは、ニジンスキーの分身であるとともに、彼を苦しめ惑わす幻影でもある。彼を見出し、愛し、様々なことを彼に教えたディアギレフ。時には父のように温かく見守ることもあれば、厳しく接することもあった。ニジンスキーとディアギレフのパ・ド・ドゥには、2人の複雑な愛憎関係が見て取れて、しまいにニジンスキーを突き放すディアギレフの冷酷さと激しい憤怒が伝わってきた。

妖艶に踊るニジンスキーに恋し、バレエ・リュスに押しかけ入団して、しまいには彼の妻となるロモラ。船上で繰り広げられる、ニジンスキーとロモラ、牧神の三者によるもつれ合ったパ・ド・トロワには、人間としてのニジンスキーより、彼が演じた幻影を愛してしまった淫蕩な女ロモラの姿が見て取れる。

ニジンスキーは「遊戯」「牧神の午後」「春の祭典」と、ほかの誰にも真似のできない、唯一無二の作品を創作していき、それらの作品のモチーフがところどころに現れる。「遊戯」の若者は、やがて彼にとって代わりディアギレフに愛されるレオニード・マシーンだ。古典的な中にモダンさもある美しいバレリーナは、タマラ・カルサヴィナ。バレエ・リュスを彩ったダンサーやキャラクターが乱舞する様子は、えも知れぬ陶酔感をもたらす。

ニジンスキーには、振付家として名を残す妹ブロニスラヴァ・ニジンスカの他に、同じくダンサーを志していた兄スタニスラフがいた。だが、スタニスラフは転落して頭を打ったことが原因で少しずつ狂気に囚われていく。妻の情事。第一次世界大戦の影も、さらにニジンスキーの苦悩に拍車をかける。バレエに革命をもたらした「春の祭典」の狂乱と、戦争の狂気、スタニスラフの死が重なり、ニジンスキーはさいなまれる。ロモラとの結婚に激怒したディアギレフによりバレエ・リュスを追放されたニジンスキー。やがて完全に狂気に陥った彼を、悪妻と呼ばれたロモラは支えていく。橇に焦点の合わない目をした夫を載せて引きずって歩いていくロモラ。そして冒頭の「神との結婚」へと物語は、舞台上に現れる円環のモチーフのように戻っていく。

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カナダで「ニジンスキー」を上演する発端となったのは、ギョーム・コテがこのタイトルロールを演じることを熱望したことからだった。そろそろ、ダンサーとしての代表的な役が欲しいと思った彼の思いを汲み、芸術監督のカレン・ケインがノイマイヤーに談判して実現した。その前にも、ナショナル・バレエ・オブ・カナダはノイマイヤーの「かもめ」を上演している。

それだけこの役を演じることを望んだだけあって、コテは大変な熱演ぶりだった。彼は、リアブコのようなキレキレのテクニシャンタイプのダンサーではないし、彼のように役が憑依するタイプでもなければイリ・ブベニチェクのような繊細さも欠けている。コテは真正面に、愚直なまでに役に向き合った。彼は最初から狂っているわけではない。自分の芸術に真摯に向き合い、美と芸術に取り憑かれるあまり、自らが演じ、そして作り上げたキャラクターたちに思考を支配され、狂気へと至っていくのだった。普通の人が狂ってしまうのが一番怖い。この役を4回演じた彼、4回目に、ついに振り切れて、ラスト「神との結婚」の凄まじいソロへと至っていく。リアブコやイリ・ブベニチェクの印象が残っていると、物足りないところもあるかもしれない。だが、コテは、自分の持てるものをすべて誠実に出し切って、忘我の境地に達し、最後に燃焼つくしたことを感じさせた。それは観客の感情を大きく動かすものであった。

ニジンスキーの妻、ロモラは複雑なキャラクターだ。彼女は明らかにニジンスキーより、彼の演じるキャラクターである黄金の奴隷、牧神、薔薇の精の官能的な姿態に惹かれている。人間ニジンスキーではなくて、幻想である客らたーを愛したのだ。それがやがて、ニジンスキーが妻に対して疑念を抱く原因にもなっていく。ロモラは、ニジンスキーが狂気に陥ってからも、ニジンスキーの医師と情事を重ねるが、一方で夫を支え続ける。ロモラ役のシャオ・ナン・ユは大柄でともすれば大味になりがちなところがあるダンサーなのだが、ここでは抑え目に、他人に理解されづらいロモラという悪妻をひたむきに演じて好演していた。別キャストでロモラ役を演じたのは、スヴェトラーナ・ルンキナ。彼女が演じたロモラは、凛としていて強い中に脆さがあり、色香漂う中に情感もあり、こちらは圧倒的だった。ルンキナに惚れ込んだノイマイヤーは、彼女のために新作を創りたいという意欲を燃やしているという。

ディアギレフにはエヴァン・マッキー。怪我で降板していたのだが、数日前にノイマイヤーたっての依頼で出演することになったのだという。黒いシルクハットとタキシードが、これ以上似合う人はいないのではないかと思うほど、ぞくぞくするような美しさ。実際のディアギレフは美男ではなかったが、ハンブルグ・バレエの初演もイヴァン・ウルバンという美形ダンサーが演じている。ディアギレフに容姿は似ていないが、優雅な一挙一動にカリスマ性を漂わせ、洗練された身のこなし、そしてニジンスキーを操り、支配する暴君さながらの様子。エヴァンならではの、役を何層にも分析して作り上げる手法が見事に効果を上げていた。後姿だけでも、凄まじい威圧感を見せている。冒頭、ステージ後方にひっそりと姿を現しただけでも不吉なものを感じさせ、エレガントな手つきで拍手する音にも身震いさせられる。ディアギレフは、ニジンスキーとのパ・ド・ドゥだけでなく、黄金の奴隷とのパ・ド・ドゥもあり、相手男性ダンサーをリフトする必要のある難しい役だ。怪我から明けたばかりのエヴァンだったが、サポートには定評があるだけあって、しっかりと持ち上げて、妖しく、そして緊張感あふれるめくるめく場面を作り上げていった。

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特筆すべきはニジンスキーの兄スタニスラフを演じたディラン・ティダルディ。彼はローザンヌ国際バレエコンクールのファイナルで、この「ニジンスキー」のスタニスラフのソロを踊ったのだった。その結果、ハンブルグ・バレエスクールのスカラシップが獲得できてそこで学んだ。本来、この役はダブルキャストだったのだが、ノイマイヤーが彼をたいへん気に入ったため、シングルキャストとなった。スタニスラフ役の初演ダンサーは、服部有吉さん。服部さんもすごかったが、ディランもすごい。必ずしもクラシックバレエの語彙に従わないような、極端な内脚、体を捻じ曲げたり、地面に転がったかと思えば驚くような高さで何回も跳躍する。まさに狂気の取り憑いた役であり、小柄で少年のような風貌が見せる痛ましさの中に、凄まじい苦悩と情念が伝わってくる大熱演だ。

黄金の奴隷と牧神という二大セクシーロールには、平野啓一さん(ロイヤル・バレエの平野亮一さんの兄)。日本人の男性とは思えないようなねっとりとした妖艶さを漂わせていたが、考えてみればニジンスキーの風貌も東洋的であったし、実際のニジンスキーが演じた牧神に似ていたのかもしれない。彼の写真などをよく研究してポーズや動き、表情を作っているのが分かった。この公演のプログラムやポスターも、平野さんの牧神をフィーチャーしたもので、鍛え上げられた素晴らしい肉体美を披露している。存在感の大きさ、両性具有的な色気があって、とても素敵だった。薔薇の精、アルルカンを踊った江部直哉さんは、少年のようなほっそりとした体つきだが、腕の使い方も繊細だし、なかなか降りてこないような高い跳躍、連続したドゥーブル・アッサンブレの着地も美しかった。

「春の祭典」では我を忘れたような凄まじいリードを見せるのが、ブロニスラヴァ・ニジンスカ役のジェナ・サヴェラ。激しく踊りながらも、普通ではありえないような方向に身体を曲げたりしている。そして彼女に率いられた群舞は、ショスタコーヴィッチの交響曲11番「1905年」の一斉射撃の音に合わせ軍服姿で舞台上を駆け回り圧倒的なハイパワーですべてを破壊するかのように踊り狂う。これこそが、ニジンスキーが感じた戦争の恐怖、軍靴と銃声なのであった。男性のコール・ド・バレエのレベルが充実しているこのバレエ団には、この作品は大変良く似合っていた。

バレエ団専属オーケストラの演奏は、ABTの首席指揮者であるオームスビー・ウィルキンスのバトンの下、「シェヘラザード」、ショスタコーヴィッチ「1905年」とオーケストラの技量が問われる作品で良い響きを聞かせてくれて、よりドラマティックに作品を盛り上げていった。(ハンブルグ・バレエの「ニジンスキー」来日公演は、演奏がテープだったのは返す返す残念なことだった)

「ニジンスキー」は観てしまったら表現とダンスの持つ力に打ちのめされてしまい、その作品の世界に囚われてしまうほどの魔力を感じさせる。バレエと美、自らの創造に取り憑かれてついに狂気に陥ってしまうニジンスキー。バレエという芸術の世界を生み出す錬金術師として、美に取り憑かれ、やがてヴェニスで死を迎えるディアギレフ。美とクリエーションのためにどんな犠牲でも厭わなかった二人の姿が、私たち観客を惹きつけてやまないのだろう。私がなぜ、バレエという芸術に惹かれてしまうのか、その答えの一つがこの作品の中にあるのだと感じ、心ふるえる体験だった。ノイマイヤーがこよなく愛するバレエ・リュスのスピリットが息づく、麻薬のような作品。

カナダでも、リピーターが続出し、評判が評判を呼んで最終週はソールドアウトとなったのだ。同じように打ちのめされ、取り憑かれたようになった人がたくさんいたのだと思う。またいつか、この作品を世界のどこかで観てみたい。

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なお、別キャストでは、ルネッサンス絵画から抜け出たような金髪巻き毛の美青年スカイラー・キャンベル、そして入団3年目のコール・ド・バレエ所属のフランチェスコ・ガブリエル・フロラがニジンスキー役を演じた。キャンベルは観られなかったのだが、やはり美少年のフランチェスコ、まだ成熟度が足りず深みが足りないところがあるものの、技術的には素晴らしく、繊細な表現で大きな印象を与えた。このバレエ団は、魅力的な日本人男性ダンサー3人をはじめ、若手の男性ダンサーが充実している。スヴェトラーナ・ルンキナ、ギョーム・コテ、グレタ・ホジキンソン、エヴァン・マッキーとスターもそろってきたので、来日公演がいつか実現しないかな、と思う。

2014/12/09

ボリショイ劇場で、ウクライナのためのチャリティ・ガラ開催/追記

12月7日に、ボリショイ劇場で、ウクライナ若手ダンサー支援のためのチャリティバレエ公演が行われました。

時事通信の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141207-00000094-jij-int

“Ballet Without Borders” と題されたこの公演は、ボリショイ・バレエの日本公演を終えたばかりのスヴェトラーナ・ザハロワが主催し、やはりウクライナ出身のユーリ・バラノフ(ボリショイ・バレエのソリスト)がプロデューサーとなって開催されたものです。収益は、ウクライナのキエフ・バレエ学校のために寄付されます。


テレグラフ紙の記事
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/11278734/Russias-Bolshoi-theatre-hosts-concert-in-aid-of-Ukraine.html

AFP配信の記事
http://www.wort.lu/en/culture/moscow-gala-at-bolshoi-world-ballet-stars-dance-for-ukraine-548460a00c88b46a8ce45061

ビデオレポート
http://www.vesti.ru/videos/show/vid/629109/#

公演はソールドアウトで大きな成功だったと、バラノフはAFPに語っています。しかしながら、クリミア併合に伴うルーブルの急落で、目標収益30万ドル(約3600万円)の半分にも届かない見通しとのことです。

ウクライナとロシアとの間の紛争で4000人もの人々が死亡し、クレムリンは、4月以降ウクライナ東部の分離主義者たちを支援してきました。そのため、この公演は政治的にも微妙な位置にあり、スポンサーを見つけることはできなかったそうです。しかし、バラノフは、このガラは政治とは距離を置いているとしています。「これはアーティストのためのイニシアチブであり、政府やマネジメントとは関係ありません」

「どんな国に住んでいるにしても、子供たちを助けることが大事なのです」とザハロワは語っています。昨年、政治状況が悪化する前にキエフの母校を訪れた後、彼女はこの公演のことを思いついたそうです。

キエフ・バレエ学校は旧ソ連において、トップのバレエ学校でしたが、ザハロワは母校を見て惨状にショックを受け、改装と修理の必要性を感じたそうです。特に屋根の状態がひどく葺き替えが必要だと。

公演に参加したナタリア・オシポワも「子供たちを助けるために来ました。目を背けることはできない。冬のレッスン室に震えながら入るひどさがどんなものか、思い出します」

ニュース動画
http://youtu.be/4axNH1EY31I

このガラには、他にミハイロフスキー劇場バレエのレオニード・サラファーノフ、イングリッシュ・ナショナル・バレエのアリーナ・コジョカルらキエフ出身(コジョカルはルーマニア人ですが、キエフ・バレエ学校出身でキエフ・バレエにも在籍)のダンサーが出演しています。

しかしながら、政治的なメッセージがまったくないわけではないようです。

パトリック・ド・バナが振付け、ザハロワとド・バナが踊った「Digital Love」という作品は、ウクライナの親ロシア派が放ったミサイルによって撃墜されたマレーシア航空MH370の犠牲者にささげる作品だと、バラノフは語っています。

この作品は、今年8月の上海のド・バナのガラで初演されたもので「距離、遠距離の恋愛についての作品」とド・バナは中国でのインタビューで語っていました。「これは、この電子的な世界における愛、世界の片側からもう片側に感情、情感とつながりを持とうとすることについての作品です」 したがって、政治的な意図は全くない、撃墜そのものに対する関連性はないとしています。

ウクライナのバレエのレベルの高さは世界に知られています。キエフ・バレエ学校の芸術監督、日本出身の寺田宜弘さんは、ザハロワの善意により公演が開催されることはありがたいけれども、この悪条件の中でも、バレエ学校は世界トップレベルの教育を行っていると強調していました。「ウクライナ人は、世界のバレエ界を制覇しています」キエフ出身の最高のダンサーたちが海外で踊らなければならないことを「悲しいし、国のためによくない」としています。

プログラム
http://www.bolshoi.ru/en/performances/824/

「カルメン組曲」はザハロワと、やはり来日公演に参加していたデニス・ロヂキン、そしてデニス・サヴィンらが出演。オシポワとイヴァン・プトロフが「ロミオとジュリエット」とラッセル・マリファント振付の「Two times Two」、そしてコジョカルとアルチョム・オフチャレンコが「椿姫」、ヤーナ・サレンコとディヌ・タマズラカルが「白鳥の湖」、ザハロワとサラファーノフが「海賊」、エイフマン・バレエのニーナ・ズミエヴェッツとデニス・クリミュークがエイフマンの「赤いジゼル」を踊っています。

カーテンコール映像
http://youtu.be/HiSRRLyFmfw


追記:キエフ・バレエ学校は支援金の受け取りを拒否すると表明したとのことです。

バレエ慈善興行で政治対立=「主宰者はプーチン支持」-ウクライナ
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014121400019

ザハロワが、ウクライナ南部クリミア半島を編入したプーチン・ロシア大統領を支持しているのが原因とのことです。

キエフ国立バレエ学校のドロシェンコ校長は文化省ウェブサイトに掲載した文書で「興行に参加したウクライナのダンサーらはザハロワがクリミアでのプーチンの政治を支持する書簡に署名していたことに気付いていないようだ」と語った上で、「そうでなければ、ダンサーらはこの挑発的な茶番劇への参加に同意しなかったはずだ」と指摘した。
 さらに校長は「興行で得られた資金は、ウクライナが失った数千人の命や広大な領土とは比べものにならない」と切り捨てた。

ザハロワは、プーチンがクリミアの併合を行ったことを支持する書簡に署名をしているとのことです。

これは非常に難しい問題で、学校側の言い分もわかるし、チャリティに参加したダンサーの多くは善意で参加しているはずなので、なんともコメントしづらいところです。今月末のキエフ・バレエの「バレエ・リュスの夕べ」に当初出演を予定していた、マハリナとルジマトフが出演がキャンセルとなってしまったのも、この問題が関係しているからです。紛争が平和的に解決し、わだかまりが解けることが一番なのですが、なかなか一筋縄ではいきません。

もう少し詳しい英語のニュース(AFP配信)
http://zeenews.india.com/news/world/ukraine-ballet-school-rejects-charity-from-pro-putin-dancer_1514148.html

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