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  • 東北地方太平洋沖地震 義援金

2015/09/03

ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップスが解散

鬼才エドゥアール・ロック率いるカナダ・モントリオールのダンスカンパニー、ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップス。

来日公演も何度もしており、デヴィッド・ボウイなどのミュージシャンとのコラボレーションでも知られています。エドゥアール・ロックのミューズでもあったカリスマ的な女性ダンサー、ルイーズ・ルカバリエが主演したスリリングな「ベラスケスの小さな美術館」は劇場公開され、また超高速のポワント技術を駆使した「アメリア」は大きな人気を呼びました。

そのラ・ラ・ラ・ヒューマンステップスが35年間の活動に終止符を打ち、解散することを発表しました。エドゥアール・ロックは、芸術監督と振付家を辞任し、カンパニーは消滅します。

http://www.lalalahumansteps.org/english-1980-2015/

最後に行ったツアーで大きな赤字を残してしまい、今後の財政的な支援の拡大も望めないことが、解散の大きな理由ということで、非常に残念なことです。

オフィシャルサイトで、エドゥアール・ロックは、カンパニーを支えてきたダンサーたち、スタッフ、そしてコラボレーションしたミュージシャン、照明、衣装などの舞台芸術家たち、モントリオール市やカナダのアーツカウンシル、そして公演を行った劇場への感謝の意を、一つ一つ名前を挙げて表明しています。日本では、びわ湖ホール、Bunkamura、さいたま芸術劇場、さらには会津、大分、高知などの劇場の名前が挙げられています。こんなにも世界中の多くの都市で公演してきたのかと驚きました。

クラシック・バレエとコンテンポラリーを融合させた斬新な振付、最先端のアーティストたちとのコラボレーション、抜群のビジュアルセンスなど、ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップスは素晴らしい作品を残してきました。ダンサーたちも、美しくテクニックの高いアーティストばかりでした。解散が惜しまれます。

エドゥアール・ロックは、ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップス以外でも、数々のカンパニーに振付を行っており、特にパリ・オペラ座バレエでは、代表作の一つ「アメリア」と、2002年に初演され、昨年リバイバル上演された「AndréAuria」など、3作品がレパートリーとして上演されています。また、2011年にはディアナ・ヴィシニョーワのために作品も創作しています。今後も振付家としての活動は続けます。

「アメリア」

「ベラスケスの小さな美術館」

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2015/09/02

パリ・オペラ座の公式サイトリニューアル

パリ・オペラ座の公式サイトがリニューアルされています。
https://www.operadeparis.fr/

演目ごとのチケット発売日なども載っているので、チケットも買いやすいのではないかと思われます。

https://www.operadeparis.fr/billetterie

そして、カドリーユに至るまで、ダンサー全員のプロフィールが、撮り下ろしのスタイリッシュなプロフィール写真と共にアップされ、エトワールについては動画もアップ。期間限定の契約団員も名前だけは載っています。

https://www.operadeparis.fr/artistes/ballet/ballet-compagnie

ただ、徹底的にシンプルでスタイリッシュなあまり、演目ごとの紹介も、トップ画像は舞台などの写真ではなくイメージ写真なので、ちょっとピンときにくいところもあるのではないかと感じました。

なお、9月15日には、新しい試み「 3e Scene 」が始まります。
https://www.operadeparis.fr/bande-annonce-3e-scene

作曲家、振付家、ビジュアルアーティスト、演出家、映画監督、作家などが劇場を離れたところでクリエーションできるデジタルプラットフォーム、とのことです。詳細はこの日に明らかにされることでしょう。


2015/09/01

8/29 Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015 東京バレエ団 横浜ベイサイドバレエ

横浜市が、3年に一度のダンスの祭典として開催しているDance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015のプログラム<横浜ベイサイドバレエ>

http://dance-yokohama.jp/eventprogram/dance/

実は私は野外でバレエを観たことがなかった。前の週に開催された「横浜ベイサイドステージ」が初めての野外ダンス鑑賞だったというわけである。この「ベイサイドステージ」も、蛯名健一(EBIKEN)、DAZZLE,HIDEBOH featuring AFRA, ARTE Y SOLERAというバラエティに富んだ豪華ラインアップで、とても楽しい舞台だった。

赤レンガ倉庫
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当日横浜は、雨の予報。3時に公演開催が発表され、開演時間は雨が降っていなくて一安心。8月にしては異例の気温の低さのため、防寒対策も呼びかけられていた。 象の鼻パーク 特設ステージ、舞台の向こうにはベイブリッジ。客席方面には黄昏ゆく、みなとみらいの夜景という美しいシチュエーションだ。


「タムタム」
振付 フェリックス・ブラスカ、音楽 ジャン=ピエール・ドゥルエ/ピエール・チェリザ
ソロ 岸本秀雄
パ・ド・ドゥ 吉川留衣、梅澤紘貴
パーカッション ヴァンサン・バウアー
トムトム アドリアーノ・ホセ・ドス・サントス・テノリオ

パーカッションとトムトムが舞台上での生演奏なのが嬉しい。アフリカンな印象のあるこの音楽は、野外公演にとても似合っている。まずは岸本さんのソロから。身体のラインの美しい岸本さんは、一つ一つのポジションが美しく、伸びやかでとても丁寧に踊っていた。彼はこの日3演目で出演と大活躍。トムトムの演奏に乗って、女性ダンサーたちが3人ずつ登場しての群舞、男性ダンサーたちも加わる。群舞の女性ダンサーたちは、音楽によく乗っていて、それでいて良く揃っていて美しくも躍動感あふれて楽しげな雰囲気を作り出してくれた。吉川さんと梅澤さんの美男美女によるパ・ド・ドゥ。吉川さんもほっそりとした身体のラインの美しさが際立つ。複雑なパートナーリングも見事にこなしていたけれど、少し組体操っぽい振付。そして再びトムトムの音楽によるクライマックスへ。ダンサーたちのリズムの乗り方は素晴らしいけど、ポワントを履いた踊りでクラシックバレエ的な生真面目さもある。ラストでの昂揚感で肌寒さも吹き飛んだ。

こちらの動画では、ソロは木村和夫さんが踊っている。


「ドン・キホーテ」第1幕より

キトリ 上野水香
バジル 木村和夫
ドン・キホーテ 安田峻介
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
メルセデス 奈良春夏
エスパーダ 森川茉央
二人のキトリの友人 乾友子、吉川留衣
ロレンツォ 永田雄大
東京バレエ団、東京バレエ学校

東京バレエ団のお家芸である「ドン・キホーテ」。決して広くはない舞台上に、子役を含めたたくさんのダンサーを載せて、非常に楽しく演じてくれた。舞台の上に立っている一人一人が細かく演技しているので、どこを見ていいのかわからなくなるほど。まずは木村さんが久しぶりにバジル役を演じてくれたのが嬉しい。綺麗に伸びたつま先、細かい足捌き、高く上がる脚、舞台上にいるほかの誰よりも美しい踊りを見せてくれた。片手リフトは回避してキトリを両手で上げていたけれども、ここは通常の劇場の舞台ではないのだし安全策で良いと思う。一見真面目そうなバジルだけど、しっかりとキトリの友人たちを口説いて見せたり、結構隅におけないプレイボーイだった。上野さんも、キトリはキャラクターに良く合っていて、細かいマイムも見せてくれたし、カスタネットのソロでのピッと高く上がるバットマン、柔軟性を生かした跳躍など見ごたえがあった。二人の間の会話が聞こえてきそうな演技も良かった。

アンサンブルが非常に充実していて、夜空に舞う色とりどりの女性ダンサーたちの衣装が美しい。安田さんはもしかしたら初めてのドン・キホーテ役かもしれないけれども、キャラクテールの演技も笑わせてくれた。トランポリンで放り投げられるサンチョ・パンサの岡崎さんも、夜空に高く舞い上がりながらひねりも入れていてお見事。エスパーダの森川さんは、長身でかっこよいのだが、ちょっと膝がゆるいのと、マント捌きに少し難あり。舞台が狭くて思う存分に動けないところもあるかもしれないのだが。闘牛士の中で、岸本さん、松野さんはクラシカルで目を引く。キトリの友人役2人は実力派でレベルが高いし、女性コール・ドの艶やかさも印象的だった。子役たちも魚を振り回したり大活躍して、観る者を笑顔にするような素敵な舞台だった。


「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

柄本 弾
杉山優一、岸本秀雄、森川茉央、永田雄大

「ドン・キホーテ」が終わって場面転換の間に、ポツポツと小雨が降り始めた。気温も下がっており、観客は雨具や防寒着を身につけ始めた。少し風もあり、悪条件の中での柄本さんのボレロ・デビュー。

スポットライトに手が照らされての始まりはなかなか良い感じだったけど、「ボレロ」はやはり難物。プリエが浅い、とかポーズのキメが足りない、といったところが見えて、振付をなぞっているようにも思えてしまった。そのうえ、雨で円卓の上は滑りやすそうな状態。いっぱいいっぱいだった。しかし柄本さんは、逞しい上半身がこの作品に似合っているし、一生懸命に作品と格闘しているように見えて、その青年らしいひたむきさは大変好ましく思えた。「ボレロ」は振付通りに美しく踊ればいいというのものではなくて、踊る人の精神性が見えてこなければ空虚な作品になってしまう。美しい踊りよりも、内面が見える踊り。

柄本さんの踊りには、東京バレエ団の中で積み重ねられ、受け継がれてきたベジャールのスピリットが、確かに存在しているのが見えた。そして、彼を支えるリズムの面々。仲間の晴れ舞台を支えようと、彼らが一丸となって力を振り絞っているところに心を打たれた。東京バレエ団の男性のレベルも上がってきていて、特にソリスト4人は、柄本さんとレベルの違いはほとんどない。ここでも、岸本さんの美しさに目を奪われた。メロディ役が突出しているのではなく、全員で一つの作品となっている。こういう未完成で未熟なボレロも、心を打つものがある。そして柄本さんのひたむきさは、いつか大きな花を咲かせるだろう。小雨が舞う中、なかなか忘れがたいような舞台に出会えたと感じた。

横浜のみなとみらい、象の鼻テラスという比較的アクセスが良く夜景の美しいで場所の野外バレエは、天気には恵まれなかったものの、とても素敵な体験だった。演目も、野外向けの楽しい作品をそろえてくれたし、東京バレエ団のパフォーマンスも素晴らしくて満足度が高かった。思ったより見づらさもなく、音響もちょうどよい音量だった。非常に良い企画だったと思う。事前に雨具や防寒着を用意していったので、思ったより大変ではなかった。ぜひとも、この企画は続けてほしいと思う。

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015は、約200プログラムという大規模なダンスの祭典。「横浜バレエフェスティバル」「横浜ベイサイドステージ」とすでにいくつかのプログラムに参加してきたけれども、10月4日までこの祭典は続く。まだまだこれからいくつもの公演を楽しむ予定。

2015/08/30

『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』9/1チケット発売

理想的なスタイルと類まれな芸術性をもつパリ・オペラ座バレエの人気エトワール エルヴェ・モローと、美しい容姿も兼ね備えた新進気鋭のメキシコ人ピアニスト ジョルジュ・ヴィラドムスが、昨年NYカーネギー・ホールにて行ったバレエと音楽の夕べ

これまでにない贅沢な音楽とバレエの共演で、カーネギー・ホールは歓喜の渦に包まれました。この企画がさらにパワーアップし、2016年1月、『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』として日本に上陸します。

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(c) Ann Ray

公式サイトもオープンしています。
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/16_stars/index.html

日本公演には、座長のモロー、ヴィラドムスに加え、オペラ座エトワールのマチュー・ガニオ、ドロテ・ジルベール、ヴァイオリニストの三浦文彰が出演。

実力はもちろん美しい容姿をも兼ね備える最高にゴージャスな5名がお贈りするのは、世界初演2作品と日本初演3作品を含むバレエと独奏で構成された計11作品。シューベルトを魅了した19世紀の詩人ザイドルによる『さすらい人が月に寄せる歌』からインスピレーションを得た“月、夜、旅人”をキーワードにした至極の作品群は、まさに5人の才能を味わい尽くすことができる贅沢なプログラムとなっています。

この公演のチケットが、9月1日(火)10:00からMy Bunkamuraにより先行<先着>販売開始されます。
エルヴェ・モローの直筆サイン色紙を、MY Bunkamuraにて本公演のチケットをご購入した方の中から抽選で3名に当たるプレゼントも実施されます。


エルヴェ・モローが日本のために企画した公演とは?
http://feature.madamefigaro.jp/culture/150806ballet/
(エルヴェ・モローが、フィガロ・ジャポンでこの公演にかける想いと、それぞれの演目について語ったインタビュー記事。これを読むと、どんな公演になりそうなのかがよくわかります)

また、最新のダンスマガジンでは、エルヴェ・モローが三浦雅士氏と対談し、今までの道のりと、アーティストとしての心構え、より演劇的な役を好むことについて語っています。映画や文学が好きで、作品を踊るときには原作を熟読するなどリサーチを欠かさないという彼だからこそ、ドラマティックな役柄に深みを持って演じることができるのですね。

公演日程
2016/1/10(日)18:00開演
2016/1/11(月・祝)15:00開演

会場
Bunkamuraオーチャードホール

【チケット発売日】
先行<先着>販売:2015年9月1日(火)10:00~9月4日(金)23:59
         一般発売:2015年9月5日(土)10:00~

曲目・演目

『LUNA』
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ「ヴォカリーズ」
振付:エルヴェ・モロー
バレエ:エルヴェ・モロー
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

リスト:『バラード 第2番 ロ短調』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『瀕死の白鳥』
音楽:カミーユ・サン=サーンス「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
バレエ:ドロテ・ジルベール
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

サン=サーンス:『序奏とロンド・カプリチオーソ』
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『タイトル未定』
音楽:アルヴォ・ペルト「鏡の中の鏡」
振付:パトリック・ド・バナ
バレエ:エルヴェ・モロー&マチュー・ガニオ
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『月の光』
音楽:クロード・ドビュッシー
振付:イリ・ブベニチェク
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

イザイ:『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調“ バラード”』
ヴァイオリン:三浦文彰

『トリスタンとイゾルテ』よりパ・ド・ドゥ
音楽:リヒャルト・ワーグナー
振付:ジョルジオ・マンチーニ
バレエ:ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ

『月の光のかたわらで』
音楽:フィリップ・グラス「エチュード第5番」
振付:バンジャマン・ミルピエ
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

ポンセ:『メキシカン・バラード』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『フィナーレ』
音楽:マヌエル・ポンセ
編曲:ギャスパール・グラウス「エストレリータ~小さな星~」
振付:エルヴェ・モロー

DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2015年 10 月号 世界バレフェスティバル全幕特別プロ「ドン・キホーテ」コジョカル&ムンタギロフDANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2015年 10 月号 世界バレフェスティバル全幕特別プロ「ドン・キホーテ」コジョカル&ムンタギロフ

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ABTの元プリンシパル、ヨハン・レンヴァル死去

アメリカン・バレエ・シアターで1996年までプリンシパルとして活躍した、ヨハン・レンヴァルが死去しました。肝不全で55歳という若さでした。

http://www.nytimes.com/2015/08/30/arts/dance/johan-renvall-american-ballet-theater-principal-dies-at-55.html

ヨハン・レンヴァルはスウェーデン出身で、もともとはフィギュアスケートの選手として、スウェーデン選手権でメダルを獲得するほどでした。スウェーデン王立バレエに在籍中に、1978年にヴァルナ国際コンクールで銀賞を受賞し、ABTに移籍。1980年にソリストに、1987年にプリンシパルに昇進しました。1980年のナタリア・マカロワの「ラ・バヤデール」の初演で、ブロンズ・アイドルを踊ったことで知られています。

身長が高くなかったこともあり、王子より高度なテクニックを生かした役が得意でしたが、一方で、アンソニー・チューダーの作品などのドラマティックなバレエで、踊りを通しての演技力を発揮しました。他に、「海賊」のアリ、「コッペリア」のフランツ、「ラ・シルフィード」のジェームズ、「くるみ割り人形」の王子、グレン・テトリーの「春の祭典」などを踊っています。特に、現代作品の振付家に重用され、ファーストキャストに抜擢されることが多かったとのことです。

チューダー振付「「ダーク・エレジー(暗い悲歌)」

見事な跳躍力は、DVDになっている、ミハイル・バリシニコフとシンシア・ハーヴェイ主演の「ドン・キホーテ」の一幕、エスパーダのソロのところで観ることができます。

また、DVD「レ・シルフィード、シルヴィア、トライアド、パキータ」では、マクミラン振付「トライアド」に出演しています。同じくDVD「ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか」では、「ガチョーク賛歌」に出演。

こちらの映像でも、彼の踊りの素晴らしさを垣間見ることができます。

ダンサーとしての活動の傍ら、振付も手掛けたり、ABTの同僚と共に自身のツアーも行ったりしていました。そして引退後は、ABTのサマースクールの教師など、多方面でバレエ教師として活動して後進の指導に当たり、中には国際コンクールで受賞した教え子もいました。

ABTのFacebookでも、彼の死を悼んでいます。

ABT mourns the passing of former Principal Dancer Johan Renvall, who joined the Company in 1978. His 18-year career with...

Posted by American Ballet Theatre on 2015年8月26日

ご冥福をお祈りします。

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2015/08/29

「愛と哀しみのボレロ」デジタルりマスター版公開、ボーン「白鳥の湖3D」「眠れる森の美女」アンコール上映他、恵比寿ガーデンシネマでバレエ映画上映

今年の秋はバレエ映画が熱いですね。今日ドキュメンタリー映画「バレエ・ボーイズ」が公開となったほか、9月19日より、やはりドキュメンタリー映画「ボリショイ・バビロン」が公開されます。

そして、9月から10月にかけて、恵比寿ガーデンシネマで、バレエ映画やバレエ公演の映像収録が次々と劇場公開されます。

http://www.unitedcinemas.jp/yebisu/movie.php


一番の注目は、クロード・ルルーシュ監督の名作『愛と哀しみのボレロ』が初めてデジタル・リマスター版で劇場公開されること。

http://www.fashion-press.net/news/18737

ベルリン、モスクワ、パリ、ニューヨークを舞台に、ルドルフ・ヌレエフ(バレエダンサー)、エディット・ピアフ(歌手)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮者)、グレン・ミラー(音楽家)といった芸術家たちをモデルに作られた大作ですが、なんといってもラストでベジャールの「ボレロ」を15分間にわたって踊るジョルジュ・ドンが圧巻です。

2015年10月17日(土)〜11月13日(金)
恵比寿ガーデンシネマ(TEL 0570-783-715)


また、K-BALLET COMPANYの「シンデレラ」も劇場公開されます。こちらは、恵比寿ガーデンシネマだけでなく、ユナイテッド・シネマ、シネプレックス、他 全国21ヶ所の映画館で上映されます。
http://www.k-ballet.co.jp/news/view/1428
http://www.tbs.co.jp/kumakawa/special/

【キャスト】神戸里奈、井澤諒、浅川紫織、ルーク・ヘイドン ほか
【上映期間】9月26日(土)~10月9日(金)
ユナイテッド・シネマ豊洲 スクリーンNo.10では、9月26日(土)10:30~11:00(11:00~13:00本編上映)神戸里奈、井澤諒、宮尾俊太郎 ほかによる舞台挨拶も予定されています。

熊川哲也さん振付の「シンデレラ」は夢いっぱいの素敵なプロダクションです。


併せて、恵比寿ガーデンシネマでは、
10/11(日)~10/16(金)≪期間限定公開≫
熊川哲也 Kバレエ カンパニー15周年記念クライマックス 『海賊』in Cinema の上映もあります。今年5月に劇場公開された映像のアンコール上映です。


さらに、マシュー・ボーン関連作品2作品も、好評につきアンコール上映が決定しています。

(「白鳥の湖」3Dは、本日(8月29日)よりシネプレックス幕張でも上映されています。「眠れる森の美女」は宮城県のMOVIX利府でやはり8月29日より上映されます)

2015/10/13(火)~10/16(金)公開≪4日間限定公開≫
マシュー・ボーンの「白鳥の湖」3D  【好評につき、アンコール上映決定!】

2015/10/13(火)~10/16(金)公開≪4日間限定公開≫
マシュー・ボーンの「眠れる森の美女」  【好評につき、アンコール上映決定!】

マシュー・ボーンシネマ 公式サイト
http://matthewbournecinema.com/


なお、マシュー・ボーン「眠れる森の美女」は10月17日を皮切りにツアーが始まり、12月1日~1月24日にロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場での公演が行われます。来年には来日公演も予定されています。2016年4月までは、英国内のツアーが続いているようなので、来日はそれ以降でしょうね。
http://new-adventures.net/sleeping-beauty/tour-dates

2015/08/28

8/19 横浜バレエフェスティバル

2015年8月19日(水)6:30PM 神奈川県民ホール

http://yokohamaballetfes.com/

バレエコンクールのメダリストや、現在活躍中の若手ダンサーを集めた第一部「フレッシャーズ・ガラ」と、世界トップクラスのバレエダンサーが出演した第二部「ワールドプレミアム」の2部で構成された、日本人ダンサー中心の「横浜バレエフェスティバル」。

付随して、木田真理子さん、児玉北斗さんによるワークショップを開催したり、オーディションで「フレッシャーズ・ガラ」の出演者を選んだりと、ダンサーの育成ということも目的にしているのが興味深かった。演目についても、なかなか観られないような作品が「ワールド・プレミアム」で上演されたりと、充実したガラだったといえる。


<第1部>フレッシャーズガラ
佐藤健作による和太鼓演奏とオープニング

オープニングとエンディングの演出がスタイリッシュでよかった。佐藤健作さんの迫力ある和太鼓から始まり、暗闇で一組一組がスポットライトで照らされて浮かび上がるように映し出されてポーズしたり踊ったり。日本で見ないような洗練具合だった。

「眠りの森の美女」第3幕よりオーロラ姫のヴァリエーション
川本真寧(横浜バレエフェスティバル2015出演者オーディション第1位)

11歳の川本さんは、金田・こうのバレエアカデミー所属で、今年のNBAバレエコンクール、バレエ部門小学生の部 3位の3に入賞。2015YAGP日本予選ではプリコンペティブ部門で3位だった。この年齢なのでまだ小さくて、非常に華奢なのだけど、オーロラらしい優雅さと輝きが感じられた。


「コッペリア」第3幕よりフランツのヴァリエーション
 五十嵐脩(横浜バレエフェスティバル2015出演者オーディション第2位、芸術監督・スーパーバイザー賞)

五十嵐脩さんは、去年ダンス・ツアーズの「ダンス・ツアーズ:未来の星」賞を受賞し、「ロイヤル・エレガンスの夕べ」で、ベアトリス・ポター物語を踊った子(志村昌宏・有子バレエスタジオ)。YAGP2015日本予選ではジュニアクラシック部門の4~6位で、13歳か14歳。フランツ役なので王子様役ではないけど、でもしっかり王子様。軸のしっかりしたピルエット、柔らかさもあって端正だしテクニックもある。


「タリスマン」よりニリチのヴァリエーション
 永久メイ(2013年YAGPファイナル ゴールドメダル1位)

モナコのプリンセス・グレース・アカデミーに留学中の永久さん。手脚が長くて容姿が美しい。魅せ方のうまさもプロ並みで、今後どんなバレリーナに育って行くのかが楽しみ。

YAGPファイナルのこの映像、8番目、3分27秒くらいからドルシネアのヴァリエーションを踊っている。


「コッペリア」第3幕よりスワニルダのヴァリエーション(ABTバリシニコフ版)
 相原舞(アメリカンバレエシアター)

相原舞さんは、顔小さく可愛らしく華奢で、スワルニダはロマンティックチュチュだったけど脚が非常に美しく、きれいにアンドゥオールしている。クリーンでクリアだけど柔らかくて綺麗。ABTのコール・ドですでに2年活躍していて、フレッシャーズの一部より二部に相応しいダンサーだけどこれからの飛躍も楽しみ。

相原舞さんのインタビュー
http://balletnavi.jp/article/pickup/20150804-3013/

「サタネラ」よりパ・ド・ドゥ
 畑戸利江子(2013年モスクワ国際バレエコンクール銅賞)
 二山治雄(2014年ローザンヌ国際バレエコンクール第1位)

二山さんの身体能力は抜きん出ていて、特にシソンヌの時の股関節の開き方が凄かった。ゴムまりのような跳躍力と実に柔らかくしなやかな身体。マネージュの時の前脚が高く上がって綺麗に伸びているのも印象的で、実に美しい踊りをする人だ。サンフランシスコ・バレエの研修生の契約をもらったけど、進路は未定とのこと。やはりせっかくの契約を生かしてサンフランシスコで研鑽を積んで、その素晴らしい実力を伸ばしてほしいと思った。パートナーリングも悪くはないけど、ソロがすごいだけに、カンパニーでその辺も磨かれれば鬼に金棒。畑戸さんは、ポワントの運び方が抜きんでて精緻だし、可愛らしい衣装も良く似合って作品の雰囲気にとても良く合っていた。


<第2部>ワールドプレミアム1

「horizontal episode」オセローより(振付:平山素子)
平山素子(ダンサー・振付家)
久保紘一(NBAバレエ団芸術監督、元コロラドバレエ団プリンシパル)
宮河愛一郎(元Noism団員)

「オテロ」をモチーフとした作品とのことで、舞台上に大きな白い紙が置いてあって、それが吊られて行き、最後にはその紙を切り取ったような小さな紙片が疑惑のハンカチのモチーフとして機能するという仕掛け。意欲的な作品だし、未だ衰えない久保紘一さんのテクニック、久保さん、宮河さんによるリフトなど魅力的なモチーフがあるのだけど、完成途上の作品という印象が否めなかった。照明もちょっと暗いのでわかりづらいところがあった。


「アルトロ・カントⅠ」よりパ・ド・ドゥ(振付:ジャン=クリストフ・マイヨー)
 小池ミモザ(モンテカルロバレエ団プリンシパル)
 加藤三希央(2014年ローザンヌバレエコンクール第6位、モンテカルロバレエ団)

モンテカルロ・バレエの来日公演でも踊られた作品。音楽はモンテヴェルディで、このバロック的な音楽と相俟ってほの暗い照明が官能的な雰囲気を醸し出す。加藤さんはスカートを着用していて、小池さんは加藤さんより長身なので倒錯的な要素もあり、小池さんが加藤さんを操るような振付もあってスリリングだ。マイヨーのおひざ元のダンサーたちによる踊りが観られるのはわくわくする。小池さんの研ぎ澄まされた鋭い動きによる支配力、カリスマ性は流石であり、ベルニス・コピエテルス引退後のモンテカルロ・バレエを代表するプリマとなったのが実感できた。


「ソワレ・ド・バレエ」(振付:深川秀夫)
米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
奥村康祐(新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)

音楽はグラズノフの「四季」。星空がきらめくような背景のもと、パープルのグラデーションの美しいチュチュを着用した米沢さんが美しい。ネオクラシック的な作品で、方向転換を多用したフェッテアラベスクなど、これでもかという難しいテクニックが盛り込まれている。それを涼しい顔で易々と踊ってしまうのが米沢さんの凄いところで、コーダでのグランフェッテも3回転をさりげなく放り込んでいる。奥村さんも、マネージュの美しさ、エレガントさで魅せるとともに、トゥール・ザン・レールとピルエットの連続技もきれいに5番に着地しながら決めてくれた。


「excuse us」(振付:JAPON dance project )
青木尚哉(ダンサー、振付家)
児玉北斗(スウェーデン王立バレエ ファースト・ソリスト)
柳本雅寛(ダンサー、+81主催)

いきなりブルー・ハーツの「トレイン・トレイン」でぐるぐると舞台を走り回る3人。リフトに失敗した青木さんが凹んで、ダンスなんて辞めてやる、と言い出したところ残りの二人がなだめてなんとか続けさせようとする。すると、さっきの衣装のままの米沢さんと奥村さんが出てきて、なんと米沢さんは児玉さんと踊ってアラベスクでポーズするし、今までの出演者たちまで舞台に登場してぞろぞろと歩き回りながら「青木さん、頑張って」と青木さんを励ましていく。音楽は美空ひばりとなる。ついに青木さんはダンスを辞めることをやめると宣言する、という展開に。果たしてこれが「ダンス」と言えるのかという疑問が浮かび上がるものの、踊り続けることとミドルエイジクライシスを取り上げているということで、やはりこれは「ダンス」なのだろう。

オリジナリティもあってとても可笑しい作品だったのだが、惜しまれるのが、3人のセリフがちょっと聞き取りづらかったこと。神奈川県民ホールはかなり広い会場なので、マイクなどを取り入れるべきだったと思われる。


<第3部>ワールドプレミアム2

「半獣」牧神の午後よりパ・ド・ドゥ(振付:遠藤康行)

小池ミモザ(モンテカルロバレエ団プリンシパル)
遠藤康行(フランス国立マルセイユ・バレエ団ソリスト、振付家)

「牧神の午後」の音楽。最初遠藤さんしか見えないのだけど、背後に隠れるように小池ミモザさんがいて二人羽織のように腕だけが後ろから出ていて、この腕のしなやかな動きにまず目を奪われる。やがて二人が踊り出すけど、二人の衣装が腰のところでベルトで繋がれていて離れられない。離れようとしたりくっついたり、引っ張り合ってバランスを取ったりの不自由さの動きが官能的。離れた後の振付も独創的だった。舞台の後ろが白い紗幕のようになっていて、幕の裏へと行った遠藤さんの姿が影絵のようにになって小池さんと向き合って踊る。白い幕に映し出された波紋も美しい。最後は小池さんが転がってこの紗幕の後ろへと消えていく。この作品は、アイディアと美しさとエロスに満ちていて、思わず見入ってしまった。二人のダンサーの強い存在感もあり、この日の白眉と言える見事なパフォーマンスだった。


「ジゼル」第2幕よりパ・ド・ドゥ
高田茜(ロイヤルバレエ団ファーストソリスト)
高岸直樹(元東京バレエ団プリンシパル)

お墓が右側にあるという少し変則的な配置。高田茜さんは、細く長いラインがきれいで、ロシアでの教育のたまものである柔らかくしなやかなポールドブラが美しい。足の甲もよく出ており、ジゼルらしい空気をはらんだ幽玄な雰囲気があって彼女ならではのジゼル像がしっかり見えた。ロイヤル・バレエでもジゼル役で近々デビュー予定とのことなので、もしかしたら日本でも観られる機会があるかもしれない。高岸さんは、さすがにアルブレヒトのヴァリエーションは少し苦しそうなところもあったが、サポートは上手く、なによりもジゼルへの愛が感じられて良かった。こういうベテランならではの表現力やスピリットを若いダンサーに伝えていくというのも、ガラのコンセプトの中にあると感じた。


「眠りの森の美女」よりパ・ド・ドゥ(振付:マッツ・エック)
湯浅永麻(ネザーランド・ダンス・シアター)
Bastian Zorzetto(ネザーランド・ダンス・シアター)

マッツ・エック振付の「眠れる森の美女」をこのガラで上演できたのは、素晴らしい成果だ。オーロラの目覚めの美しい音楽が流れているのに、王子は死体袋のような大きな袋をずりずり引きずって舞台を何周もして、オーロラはこの中から現れる。湯浅永麻さん、奔放な動きがとってもかっこよく雄弁だった。二人がユニゾンで踊るところも揃っているし、エック作品をエックらしく大胆に切れ味鋭く踊っていて、楽しかった。いつか全幕が観たい。湯浅さんはopto dance projectでも踊っているけど、なかなか観る機会はないので、エックを踊る彼女が観られて本当に良かった。

このNDTの映像でも、湯浅さんがオーロラを踊っている。

「海賊」第2幕よりメドーラ、アリ、コンラッドのパ・ド・トロワ
小野絢子(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
八幡顕光(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
加藤三希央(2014年ローザンヌバレエコンクール第6位、モンテカルロバレエ団)

小野さんのアダージオやヴァリエーションは揺るぎのない気品で輝いている。少しグランフェッテは苦手そうだったけど、きっちりまとめた。八幡さんはアリを踊るのがとても嬉しそうで、跳躍もびっくりするくらい高かったし2連続の540でキメてくれた。ひげをつけた加藤さんは、この二人より若いけど、迫力では負けることなく、美しいクラシックテクニックを披露。ガラの締めくくりにふさわしく盛り上げてくれた。新国立劇場バレエ団は、最近男性ダンサーも充実しているので、ぜひ「海賊」もレパートリーに加えてほしいと思う。

エンディングも、和太鼓の演奏に合わせて出演者が一組ずつ踊り、スタイリッシュに締めてくれた。ほとんど退屈する時間のない、あっというまの公演だった。

*******
特に「アルトロ・カント」、「半獣」、エックの「眠りの森の美女」と現代作品が、ダンスの”いま”を捉えたようなクオリティの高さで見ごたえがたっぷりあった。深川秀夫、遠藤康行と日本人振付家の作品も取り上げているし、「ジゼル」からバレエ・リュスへのオマージュもある「半獣」、そして現代的なエックの「眠りの森の美女」へと移り変わるバレエの歴史の流れも辿れるような構成は非常に興味深い。これも、遠藤康行さんが芸術監督としてしっかりとプロデュースして、きちんとしたコンセプトを持って作り上げた成果だと思われる。一方でこれから世界へと羽ばたく若いダンサーたちも見せてくれた。世界の第一線で活躍するダンサーたち、そして新しい作品を紹介したことは、ダンサーの卵たちにとっても大きな刺激となったことだろう。日本のダンサーたちは、今や世界全体でも非常に高いレベルにあるのが実感される。

とても良いガラだったが、課題はあると感じられた。まず、横浜で平日の6時半開演は勤め人にはつらい。行きたいけど開演に間に合わないから断念した友人がたくさんいた。せめて7時開演にするべきだったと思われる。また、告知が行き届かない部分もあった。内容も出演者も素晴らしいのだから、もっとお客さんが入ってほしかった。しかし、公演を行うのは初めての主催者であるのに、これだけ芸術性、クオリティの高いものを実現させたのは素晴らしい成果である。来年も開催する予定なので、非常に楽しみだ。

マッツ・エック振付「眠れる森の美女」

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2015/08/22

第14回世界バレエフェスティバル  Bプロ

遅くなりましたが、Bプロの感想です。8月9日と13日の2回観ていて、キャストや演目に変更がありました。

http://www.nbs.or.jp/stages/2015/wbf/

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団  
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル (「ノー・マンズ・ランド」、「椿姫」)
チェロ:遠藤真理、ハープ:田中資子(「瀕死の白鳥」)   
出演:矢島まい[東京バレエ団](「こうもり」)

第1部

「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ/音楽:チェーザレ・プーニ
ヴィエングセイ・ヴァルデス オシール・グネーオ

トップバッターとして客席を暖める役割を十分に果たしてくれた。ヴァルデスは、得意の長いバランスだけでなく、ここではグラン・フェッテでも魅せてくれた。一回4回転も入ったように見えたし、うまく説明できないのだけど腕の動きがまさに矢を繰り出すような感じで、今まで見たことがないようなものだった。後半は「ドン・キホーテ」でも見せた、両腕をア・ラ・スゴンドに広げて腕の力を使わないでの回転。最後のサポート付きピルエットでは、サポートを外しても回り続けるというスーパーテクニックを披露。技術がとてつもなく高いのに、気品を失っていなくてディアナらしさを見せてくれた。グネーオはやはりピルエットが凄い。速度も形も完璧にコントロールしていて、ピルエットのフィニッシュで足をアラベスクさせたりしている。また、片足をクー・ド・ピエの位置に下げてピルエットを続けるというのも難易度が高い。グネーオは褐色の肌が美しく、アクティオンの露出度の高い衣装も非常によく似合っていてまるでサラブレッドのようだった。


「シナトラ組曲」より"ワン・フォー・マイ・ベイビー"
振付:トワイラ・サープ/音楽:フランク・シナトラ
イーゴリ・ゼレンスキー

「シナトラ組曲」は私はマルセロ・ゴメスが踊っている印象が強いのだが、ゼレンスキーは大人の魅力。長身でプロポーションが良いのでタキシードがとてもよく似合う。オリジナルのミーシャと比較すると物足りないし、少し地味ではあるのだが、味わい深くスタイリッシュで素敵なソロだった。大スターなのにカーテンコールではちょっと恥ずかしそうにしているところも魅力的。


「ペール・ギュント」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:アルフレット・シュニトケ
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ

ノイマイヤー版の「ペール・ギュント」は未見。音楽は、グリュックではなく、ノイマイヤーがシュニトケに依頼したものとのこと。赤いオーバーオールのペール・ギュント(レヴァツォフ)、ピンクのヴェールで髪を覆ったソルヴェイ、おそらくここは最後に彼が息絶えるラストシーン。足場のようなセットが組まれ、レヴァツォフの手の上にラウデールが乗るという難しいリフトが登場する。全編で観たらとても面白い作品のように思えるけど、この一シーンを切り取って見せるのは少し難しかったかもしれない。レヴァツォフは非常に背が高くハンサムだが、少し背中が硬そうだ。ラウデールも長身で手脚が細長く美しい。


「悲しみのエチュード」より 4つのダンス (8月9日のみ)
振付マルセロ・ゴメス/音楽:フレデリック・ショパン
マルセロ・ゴメス

ゴメスはこの日の朝に日本に到着したとのことで、ヴィシニョーワと合わせる時間がなかったため、代わりに特別にこの日だけソロを踊った。ある意味、この日に来た人はラッキーだったと言える。朝に到着したばかりで、4曲もソロを踊ってしまう彼の体力に驚かされるとともに、彼の音楽性の豊かさも改めて実感。


「ライモンダ」より 幻想のアダージオ
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ

二幕の幻想のシーンから。派手なところは一切ないけれども、どのシーンを切り取っても美しいことこの上ない、ロパートキナの動きは一切のよどみがなく流れるように滑らかで美の体現。ひたすらサポートに徹しているコルスンツェフの騎士ぶり、彼のサポートがあるからこそ、ロパートキナの完璧な美が実現するのだということも実感する。マントのたなびかせ方も見事。この二人が主演した「ライモンダ」が観たい。


「椿姫」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドマーカー (9日)
マリア・アイシュヴァルト アレクサンドル・リアブコ (13日)

マラインのアルマンは、デュマ・フィスの原作に出てくるアルマンそのもの。まっすぐで向こう見ずで、火傷しそうなほど情熱的で未熟。マルグリットにからかわれ、身をかわされてばったりと倒れこむところから、身を投げ出し足元にすがりつくところまで、完璧にアルマン。ノイマイヤー独特の複雑なリフトも流れるよう。年齢を重ねてもいつまでも初々しくて、病と老いにおびえていたマルグリットが心を許し希望を持ち始めるのも、思わず納得してしまう。また彼が踊る「椿姫」全幕を観たい。

残念ながら、2公演終わったところでマラインが膝を痛めたとのことで降板し、代役にアレクサンドル・リアブコ。アルマンを踊っているバレエフェス出演者はたくさんいたけれど、ノイマイヤーのカンパニーの、ベスト・アルマンが代役になってくれたのは良かった。リアブコは本当は決して若くないのに、とても初々しくて素直でストレートなアルマンを好演。急な代役で、初めて組むアイシュヴァルト相手だったのにリフトもとてもスムーズで、演技の呼吸もぴったり。恋に落ちた、優しいけど激しさも秘めた青年として非常にドラマティックに演じてくれた。

アイシュヴァルトは、シュツットガルト・バレエではあまりマルグリット役を踊っていないのに、それでもこれだけの完成度の高い、細やかな演技を見せてくれた。艶やかさの中に病の苦しみや不安を抱え、そんな中でも、こんな私だけど恋してもいいかもしれないと心が解けていく様子を見せてくれた。鏡の中のやつれた表情とは対照的な、アルマンに向ける華やかな艶笑の対比。スカートの裾がアルマンの顔にかかってしまうところを、よけてあげるなどの気配りも見せる。本当にバレエ界の至宝のような彼女を手放してしまって、シュツットガルト・バレエは何を考えているのか、と思ってしまう。(ミラノ・スカラ座へのゲスト出演を中心に、まだまだ頑張ってくれているのはうれしいが)


第2部

「眠れる森の美女」
振付:ルドルフ・ヌレエフ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ マチアス・エイマン

ミリアム・ウルド=ブラムが怪我のために降板してしまい、ウィーン国立バレエのリュドミラ・コノヴァロワが代役。急な代役で、しかもウィーン国立バレエの「眠れる森の美女」はヌレエフ版ではなく、ピーター・ライト版なので大変だったのではないかと思う。しかし、ヌレエフ版「くるみ割り人形」のDVDで主演しているだけあって、コノヴァロワはう初々しさはないけれど実力派でテクニックが強い。ヌレエフ版の振付ってやはり非常に難しくて、王子のコーダなども、アン・ドゥダンのピルエットの連続て鬼、と思ったけどこれを難なく踊ることができるのは流石マチアス。ヴァリエーションのマネージュも足先まできれいに伸びてスピード感があって美しかった。


「ノー・マンズ・ランド」
振付:リアム・スカーレット/音楽:フランツ・リスト
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

第一次世界大戦100周年を記念したENBのトリピルビル「Lest We Forget」の中のリアム・スカーレット振付作品。新しい振付家の作品が少ないこのガラで、スカーレット作品を取り上げてくれたのはよかった。

粗末な服に身を包んだコジョカルの後ろから、上半身裸のコボーが登場する。二人は目を合わすことはなくて、最初、コジョカルは彼の存在に気が付いていないようである。おそらくコボーは、戦争に行ったきり帰ってこなくて、死んでしまった恋人の幻なのだ。まるで、「ジゼル」の2幕のウィリとなったジゼルのように。二人のパ・ド・ドゥは複雑で高度なリフトが中心の激しいもので、コジョカルの強靭さと柔軟性には目を見張らされる。彼女の深くて激しい悲しみ、強い想いが伝わってきて、見ているうちに涙がにじんでくる。やがて彼女は彼の存在に気が付き、ここでやっとお互いの姿を目で捉える。しかし彼はまた舞台の後ろへと後ずさって消えていき、一人取り残される彼女。カーテンコールでは、コジョカルの目にも涙が光っていた。

振付を通して物語を語ることができるスカーレットの才能、表現者としてのコジョカルの圧倒的な力。この日の舞台の中でも、トップクラスのものだった。見事な作品であり、やはり非常に評価が高く英国ダンスアワードも受賞したアクラム・カーンの「Dust」と合わせて、このトリプルビルを観たいと強く思った。ENB、招聘してくれないでしょうかね。特に、戦争のことが他人事ではなくなった今の時代だからこそ、観られるべき作品なのだと思う。


「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ

サラ・ラムの紫のチュチュは、タチアナ・テレホワに贈られたものだそう。お姫様度の高いメドーラだったけど、技術的なレベルは非常に高くて、グランフェッテも正確で、ダブルも入れながら安定していて美しかった。ムンタギロフのアリは、やはりアリを演じるには気品があってあまり奴隷らしくはないものの、長身であるにもかかわらずのスプリット跳躍、柔らかい着地、ダイナミックなマネージュで素晴らしい。ENBの「海賊」のDVDでは彼はコンラッド役なので本来の持ち味はそっちなのかもしれないけれど、正統派クラシックバレエを魅せてくれた。


「ヴァーティゴ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
ディアナ・ヴィシニョーワ マルセロ・ゴメス

これは、シュツットガルト・バレエなどでもよく上演されている「カジミールの色」を改題して振付を少し変えて、衣装も変えたものだった。元の衣装は、マレーヴィッチの作品にインスパイアされた辛子色のものだったけど、今回は二人とも黒になったので、ずいぶんとシャープな雰囲気に仕上がった。そして、ヴィシニョーワの強靭で柔軟な動きをもってすると、やはり全く違った作品に見えてくる。猛獣使いのようなマルセロのサポートもお見事だけど、彼の魅力はヴィシニョーワの強烈さに食われている感じもする。ストーリー性はないのに実に雄弁でダイナミックで面白い。

Diana Vishneva / Marcelo Gomes / Vertigo from Dianavishnevaofficial on Vimeo.


「ギリシャの踊り」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ミキス・テオドラキス
オスカー・シャコン

オスカー・シャコンは実に美しいダンサー。褐色の肌、ウェーブのかかった長めの髪、引き締まって野性的で美しい肉体。この作品自体は少し古く感じられるところもあるけれど、でもやはりベジャールのダンサーが踊るベジャールというのは別格であり、よいアクセントになったと思う。ギリシャ的な音楽に寄り添うような音楽性が素敵で、若く美しい男性を讃える賛歌となっていた。


第3部

「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー

サレンコはマクミラン版ジュリエットは初役のはずだが、9月に始まるロイヤル・バレエの新シーズンでこの二人はペアを組む。マックレーのロミオはスピード感とキレがあってソロは本当に素晴らしく、ロミオのはやる気持ちが伝わってくる。サレンコは非常にうまいのだけど、ジュリエットを演じるには少し妖艶すぎたかもしれない。そしてやはりこの作品に取り組むのが初めてなので、パートナーリングは今一歩。特に、ロミオが跪いた状態でジュリエットをリフトするところは、もっと思いっきり持ち上げてほしいところだ。そしてもう少しマクミランらしい、オフバランス的な大胆さを見せてほしかった。二人の胸の高まりも伝わってこなくて、マクミランのロミオとジュリエットを観た感じはあまりせず。


「伝説」
振付:ジョン・クランコ/音楽:ヘンリク・ヴィエニャフスキ
アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル

映画「愛と喝采の日々」でマリシア・ハイデとリチャード・クラガンが踊っていることで知られる作品。物語は特にないが、クランコ作品らしいダイナミックなリフトが見所。白い衣装でさらに華奢さが目立つアマトリアンの美しいパ・ド・ブレ、歌うような柔軟性と詩情が素敵で、リフトされた時の姿勢も美しく身体能力の高さをうかがわせる。フォーゲルは、「オネーギン」の時はリフト不調だったけど、ここでは、片手リフトなどは非常に良かった。彼はストーリーのないバレエの方がずっと良い。でもアマトリアンの音楽性豊かで繊細な踊りの印象の方が強い。


「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
タマラ・ロホ アルバン・レンドルフ

この二人には「椿姫」は合わないというのが、多くの観客の意見だろう。豊満なタマラは、病人メイクをしたところでやはり病で命の火が今にも消えそうなマルグリットには似合わないし、繊細さにも欠けるので熱演すればするほど空回りしてしまう。まるでダース・ベーダーのような登場シーンの姿一つとっても、違和感があった。アルバン・レンドルフは、実は「椿姫」のアルマン役でブノワ賞を受賞しているのだが、ブノワ賞の選定基準は、彼のケースを除いても謎が多いのだ。彼はプロポーションが良くなくて、背が低い、脚が太い、顔も大き目なので、美青年が演じるアルマンを見慣れている日本の観客にとってはとてもつらい。タマラとのパートナーリングも良くなくて、3回続けてリフトするところでは、うまく持ち上がらず、息が上がっているのは上階の観客にも聞こえていたようだ。フレデリック・ヴァイセ=クニッテルのピアノも、ショパンのバラード1番という難曲にはかなり手こずっているようでミスタッチが目立った。レンドルフはテクニックはあるダンサーなので、もう少し別の演目で踊ればよかったのに、と思う。

「レ・ブルジョワ」
振付:ベン・ファン・コーウェンベルク /音楽:ジャック・ブレル
ダニール・シムキン

シムキンの「レ・ブルジョワ」なんてもう見飽きた、と思わないこともないけれども、さすがに演じ方については、だいぶ大人っぽくなったと感じられた。ダニールのお父さんのドミトリー・シムキンがこの作品の初演ダンサーなので、きっとお父さんにも特訓されたのだろう。今までは中学生が粋がっているようだったけど、20代の青年、眼鏡をかけているのでハリーポッターにも似ているけど成人には見えてきた。テクニックは相変わらず見事で、最後は2つ連続540を決めてくれた。でも、2003年の世界バレエフェスティバルでこの作品をかっこよく粋に踊ったフィリップ・バランキエヴィッチのことが懐かしくなってしまう。


「オールド・マン・アンド・ミー」(8月9日のみ)
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

9日は、マルセロ・ゴメスとヴィシニョーワが合わせる時間がなかったので、Aプロと同じ演目。この作品、好きなので何回観られても良いのだが。前半のベンチの上でセクシーに身をくねらせるヴィシニョーワ、浮かぬ顔のマラーホフから転じて、「空気人形」のユーモラスなやり取り。そして最後の、モーツァルト23番をバックにベンチを媒介にし、フラッシュバックする光の中で近づいてみてはすれ違い、最後の誰もいないベンチでの切ない余韻と、味わい深い作品だ。


「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ 
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ 
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー 

エルヴェが「トゥゲザー・アローン」で負傷したために、実現しなかったオーレリーとエルヴェの「マノン」が、一部だけとはいえ東京で観られる贅沢。
手紙を書いているエルヴェ・モローの憂いに満ちた横顔の美しいこと。一途で情熱的な演技、長い脚で描くアラベスクはエレガントで長い腕の包容力もあり、理想的なデ・グリューだった。オーレリーも衣装がよく似合って非常に美しいのだけど、マノンを演じるには、ファム・ファタル性というか愛らしさの中にある魔性があまり感じられず、9日に観た時には少々クールさを感じてしまったのだが、彼女の理知的な美貌もそう感じさせてしまったのかもしれない。が、これがおそらく最後の二人で踊る「マノン」だった13日には、クライマックスに向けての気持ちの高まり愛を感じて、これが二人の「マノン」の見納めかと切ない気持ちになった。


第4部

「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ ウラジーミル・マラーホフ

サレンコは今回、毎回2演目を踊って大活躍。こちらの「シンデレラ」もアダージオだけだったが、「ロミオとジュリエット」よりこちらのキラキラ輝くシンデレラがサレンコには似合っていた。マラーホフは持ち上げ係。ノースリーブでタイツには縦のラインが入っている異色の王子衣装だけど、マラーホフは少し体を絞っていて、まだ王子衣装が似合うと実感した。そしてシンデレラに向ける暖かい愛情が感じられて胸が熱くなった。彼の王子姿もこれで見納めなのかもしれない。


「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウリヤーナ・ロパートキナ

ロパートキナの十八番だけど、何回観ても毎回、違った感動と高い精神性を感じさせてくれる見事なパフォーマンス。床を滑るような滑らかなパドブレ。腕の動きは大きくゆったりとしていて、関節などどこにもないように見えるほど。白鳥という生き物ではなくて白鳥の精なのだろう、この動きは人間どころか鳥や動物にも見えないほどの静かな波のようなたおやかさ。そのエレガントな中でも、白鳥は生きるために戦っているし、強い気持ちで抗っている。ついに力尽きる時ですらも、凛としていて誇り高い。何回観ても、この短い時間の中で生と死のドラマを違った形で見せてくれる。


「シルヴィア」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:レオ・ドリーブ
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ

シルヴィアとアミンタが年月を経て再会したシーン。スーツケースを下げたシルヴィア、二人ともすでに若くない。再会の戸惑いから始まり、かつての情熱を少しずつ取り戻すふたり。ノイマイヤーの作品は好きだけど、「シルヴィア」に出てくるフレックスの足先の多用や、ちょっと奇妙な感じの振付は私の好みではない。しかし、アッツオーニ、リアブコとノイマイヤー作品最大の伝道師である二人がこれを踊ると、この不思議な動きにも物語性が感じられて、二人の心境をこまやかに、的確に伝えてくれるのだ。愛を確かめ合ったものの、二人は再び別れてしまう運命。だけど、最後に去っていくアミンタをシルヴィアが捕まえるところで、深い愛を二人は感じさせてくれて、思わずじわ~と涙がにじんでくる。なんという素晴らしいペアだろう。


「こうもり」よりパ・ド・ドゥ
振付:ローラン・プティ/音楽:ヨハン・シュトラウス2世
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ

実はウィーン国立バレエの沖縄公演も観に行っていて、ルグリの美しい高速シェネや鮮やかなステップを堪能してきたのだが、ベラ役にイザベル・ゲランを迎えてさらにパワーアップ。ルグリのウルリックには、ユーモラスな中にもエレガンスがある。好演したメイド役の矢島さんや、ゲランとの掛け合いは、セリフが聞こえてくるようだし、ベラが着替えている間の、ディアゴナルに進んでいくピルエットがどれもキレがあって美しい。相変わらず惚れ惚れするような足先で、まだまだ現役感がある。ゲランは、最初の白い服の時の欲求不満気味の演技は可愛らしく、そして変身した後の圧倒的な脚線美には驚かされた。プロポーションが今も美しいのは、Aプロの「フェアウェル・ワルツ」でもわかったけど、脚を完全に露出した状態での、すらりとしているだけでなく色気もたっぷりあって、それだけで語る脚というのは流石だ。その脚の動かし方のニュアンスも、プティ作品ならではのコケットリーがあってたまならい。今回の世界バレエフェスティバルの最大の収穫が、ゲランの復帰であることは、多くの観客も同意することだろう。


「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ

お祭りガラならではのお遊びと愛情に満ちた、とても楽しい「ドン・キホーテ」。隙あらばマーシャにキスしてしまうラントラートフ。アダージオが終わってレベランスする前に、手を取ろうとすると、「その前にキスしてよ」と甘えるマーシャ。舞台袖に捌けていくときも、アティチュードで可愛くポーズしてからジュッテで去って行ってサービス満点。観客とのコミュニケーションもたっぷりとってくれた。アダージオでの片手リフトは、マーシャは片脚をルティレの位置まで上げていて、よりダイナミックさが増して見栄えがした。去年の来日公演では、まだ怪我から完全復帰していなかった彼女はグラン・フェッテしなくてピケで代用したけど、今回はしっかりと32回転決めてくれた。カーテンコールでは2人ともジュッテで飛び出し、二人の間の駆け引きややり取りもユーモラスで楽しかった。誰もが彼らのことを大好きになったことだろう。


Bプロの方が、古典と現代作品の演目のバランスが取れていて、より楽しめる良いプログラムになっていたように感じた。ノイマイヤー作品が4演目というのは、賛否が分かれるところもあるかもしれないが。今のコジョカルの最良の部分を伝えた、気鋭のリアム・スカーレット「ノーマンズ・ランド」、ノイマイヤーの神髄「シルヴィア」、ベテランの魅力が発揮された「こうもり」、至高のロパートキナ2作品と名演が続いた。


カーテンコール映像

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2015/08/19

ABTの2016 METシーズン、ラトマンスキーの「金鶏」北米初演

アメリカン・バレエ・シアターの2016 メトロポリタン・オペラハウスでのシーズンが発表されています。

http://mobile.nytimes.com/blogs/artsbeat/2015/08/18/american-ballet-theater-to-debut-ratmansky-work-next-spring/?ref=arts&_r=0&referrer=

注目は、常任振付家であるアレクセイ・ラトマンスキーがデンマーク・ロイヤル・バレエに2012年に振り付けた「金鶏」の北米初演。バレエ・リュス、ミハイル・フォーキンが振り付け、音楽はリムスキー=コルサコフ、ナタリア・ゴンチャロワが美術を担当した作品にインスピレーションを得ています。

そのほか、ショスタコーヴィチ三部作、ラトマンスキー版「眠れる森の美女」の再演、さらには、世界初演作品ひとつと、ラトマンスキー作品の割合がぐっと増えたシーズンとなりました。

メトシーズンの中心となる古典作品は、「白鳥の湖」「海賊」マクミラン「ロミオとジュリエット」と比較的少なめ。一方で、久しぶりにも戻ってくる「シルヴィア」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」とアシュトン作品が二つ入りました。アルバン・レンドルフ、ジェフリー・シリオと小柄な男性ダンサーが移籍してきたので、「ラ・フィユ・マル・ガルデ」は打ってつけでしょう。

今回は、「白鳥の湖」は前からのマッケンジー版ですが、将来的にはこれも、ラトマンスキー版になるのかもしれません。来シーズン、ラトマンスキーはチューリッヒ・バレエのために新しい「白鳥の湖」を振り付けます。ミラノ・スカラ座との共同制作で、初演版の「白鳥の湖」に近い演出になるとのことです。

2016年ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの振付はイリ・ブベニチェク

毎年注目される、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのバレエシーン。今までも、ジョン・ノイマイヤーなど名だたる振付家が手掛けてきましたが、2016年のバレエシーンの振付は、イリ・ブベニチェクに決定したとのことです。踊るのはウィーン国立バレエ。

http://www.danzaedanzaweb.com/articolo/749/prosit-neujahr-con-bubenicek

2016年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサート、指揮はマリス・ヤンソンスに決定しています。

すでにイリの「ル・スフル・ド・レスプリ」もウィーン国立バレエのレパートリーになっているので、いずれ実現するかも、と思っていたのですが現実になったのですね。


ドレスデン・バレエを先日退団したイリ・ブベニチェクですが、ロベルト・ボッレ&フレンズのツアーにダンサーとして参加するとともに、振付家としての活動の幅は広がっています。来年1月30、31日には、東京シティバレエ団に、『L'heure Bleue(青い時間)』という新作を振り付けます。


また、来年1月の『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』では、エルヴェ・モローが、イリ・ブベニチェク振付の「月の光」を踊ります。

「Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~」については、フィガロ・ジャポンのWebサイトで素晴らしい記事が載っていますので、ご紹介しますね。

エルヴェ・モローが日本のために企画した公演とは?
http://feature.madamefigaro.jp/culture/150806ballet/

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