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  • 東北地方太平洋沖地震 義援金

2014/10/01

ジュリー・ケント、パロマ・ヘレーラ、シオマラ・レイエスがABTを引退

ABTを代表する女性プリンシパル3人、パロマ・ヘレーラ、ジュリー・ケントそしてシオマラ・レイエスが2015年のメトシーズンに引退することが発表されました。

http://nyti.ms/1nHeRP2

シオマラ・レイエスは5月27日の「ジゼル」、パロマ・ヘレーラは6月9日、ラトマンスキーによる新振付の「眠れる森の美女」、ジュリー・ケントは6月20日の「ロミオとジュリエット」がさよなら公演となります。

パロマ・ヘレーラの引退はすでに発表されていましたが、ジュリー・ケントとシオマラ・レイエスの引退にはびっくりです。特にシオマラ・レイエスはまだ若々しく衰えも見えなかったので意外でした。

ABTを代表する3人のトップ女性スターが引退するとなると、このバレエ団の今後が非常に気になります。最近プリンシパルになったヒー・セオは技術が非常に弱くてファンにそっぽを向かれており、逆にイザベラ・ボイルストンはテクニックはあるけどポール・ド・ブラが雑で芸術性に欠け、2人ともちょっと前のABTなら絶対プリンシパルにならなかったレベルのダンサーだからです。

今のABTの強みは常任振付家にラトマンスキーを戴いていることと、マルセロ・ゴメスがいることくらいになってしまいましたね。実力を高く評価されていたにも関わらず役に恵まれず移籍した加治屋百合子さんは、移籍先のヒューストン・バレエで早くも大活躍して人気が高まっているようです。ソリストレベル、コール・ドでは良いダンサーはいるのですが。

2015年3月 スコティッシュ・バレエの来日公演「ロミオとジュリエット」

スコットランドのスコティッシュ・バレエが、23年ぶりに来日公演を行います。演目は、クシシュトフ・パストール振付の「ロミオとジュリエット」。

公演名:スコティッシュ・バレエ団 2015年日本公演
演目:「ロミオとジュリエット」
振付:クシシュトフ・パストール
音楽:プロコフィエフ
公演日程:2015年3月26(木)~28(土)
3月26日(木)19:00
27日(金)、28日(土)14:00

会場:Bunkamuraオーチャードホール
料金(予定):S12,000 A10,000 B8,000 C6,000(税込)
発売日(予定):2014年11月
お問合せ キョードー東京 0570−550−799 ローソンチケット 0570−000−407
主催:キョードークラシックス、キョードー東京、ローソンチケット 


クシシュトフ・パストールは、ポーランド国立バレエの芸術監督であり、オランダ国立バレエの常任振付家としても活躍してきました。2012年の世界バレエフェスティバルでは、彼が振付けた美しい作品「トリスタンとイゾルデ」をスヴェトラーナ・ザハロワ、アンドレイ・メルクリエフが踊っていて評判を呼びました。

この「ロミオとジュリエット」は、パストールがスコティッシュ・バレエのために2008年に振付けた作品です。今年のスコティッシュ・バレエのツアーではロンドンのサドラーズ・ウェルズ、エジンバラ国際フェスティバルなどで上演されて大人気を呼びました。英国のテレグラフ紙で4つ星を獲得するなど、非常に評判の高い作品です。現代に舞台を移してドラマティックに描かれた愛の物語となっています。

http://www.scottishballet.co.uk/romeo-juliet/romeo-a-juliet.html

http://youtu.be/6qbqop_O9qw

スコティッシュ・バレエは、最近、非常に意欲的な作品を上演しています。マシュー・ボーンの「ハイランド・フリング」(愛と幻想のシルフィード)をニューアドベンチャーズ以外のバレエ団として初めて上演して話題を呼びました。また、来年はアメリカ・ツアーも予定されており、シカゴ、ヒューストン、ピッツバーグなどで、気鋭の女性振付家アナベル・ロペス・オチョアの「欲望という名の電車」を上演します。これらの作品もぜひ観てみたいですよね。

2014/09/30

カルポー賞をオニール八菜さんが受賞

Dansomanieさんによれば、今年のカルポー賞はオニール八菜さんが受賞したそうです。

カルポー賞は、1982年に設立された賞で、ガルニエを飾っている彫刻「ダンス」で知られているジャン=バティスト・カルポーの名を戴くものです。パリ・オペラ座バレエのダンサーのうち、女性ダンサーは22歳以下、男性ダンサーは24歳以下が受賞資格があります。コール・ド・バレエの若手ダンサーの中で、特に目覚ましい実績を上げたダンサーに贈られるものです。受賞者には賞金が贈られます。

過去の受賞者の一覧はこちら。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Prix_du_Cercle_Carpeaux

第一回を受賞したのはエリック・ヴ=アン、以後、シルヴィ・ギエム、エリザベット・モーラン、マニュエル・ルグリ、ローラン・イレールなど錚々たる受賞者の名前があります。オニール八菜さんも、彼らに続くようなスターになることが期待されますね。昨年受賞したのは、パク・セウンとジェルマン・ルヴェ。パク・セウンは今年年末の「ラ・スルス」ジェルマン・ルヴェは「くるみ割り人形」に主演する予定です。

なお、皆様ご存知かと思いますが、早くも年末の「ラ・スルス」「くるみ割り人形の日ごとキャストは発表されています。

ラ・スルス(泉)
http://www.operadeparis.fr/en/saison-2014-2015/ballet/la-source-jean-guillaume-bart?genre=2

くるみ割り人形
http://www.operadeparis.fr/en/saison-2014-2015/ballet/casse-noisette-rudolf-noureev?genre=2

オニールさんがチャコットのカタログのモデルを務められるということで、撮影の様子の動画がアップされていました。
http://youtu.be/HFIWEIIZbaI

2014/09/29

マラーホフ財団 タリオーニ賞の受賞者

ウラジーミル・マラーホフが今年1月に設立したマラーホフ財団が主催する、第一回タリオーニ・ヨーロッパダンス賞の受賞者が9月27日に発表されました。

このNPOは、ダンサーを、教育のための援助提供、さらなるトレーニングの機会、医学的なニーズへの対応、そしてメンテナンスといった分野で支援するために設立されました。さらに、ダンサーへの交換プログラムや、文化機関への支援も行うことを目的としています。


Best Production ベスト・プロダクション
Classical Miniatures (Leonid Jacobson Company) 「クラシカル・ミニアチュアーズ」 ヤコブソン・バレエ

Best Choreographer 最優秀振付家
Thierry Malandain (Cinderella, Ballet Biarritz) ティエリー・マランダン 「シンデレラ」バレエ・ビアリッツ

Best Company 最優秀カンパニー
Northern Ballet ノーザン・バレエ

Best Director 最優秀芸術監督
Martin Schläpfer (Ballett am Rhein) Martin Schläpfer (ドイツ・ライン劇場)

Best Male Dancer 最優秀男性ダンサー
Alban Lendorf (Royal Danish Ballet) アルバン・レンドルフ (ロイヤル・デンマーク・バレエ)

Best Female Dancer 最優秀女性ダンサー
Alina Cojocaru (English National Ballet) アリーナ・コジョカル (ENB)

Best Male Young Dancer 最優秀若手ダンサー
Xander Parish (Mariinsky Theatre) ザンダー・パリッシュ (マリインスキー・バレエ)

Best Female Young Dancer 最優秀若手女性ダンサー
Yulia Stepanova (Mariinsky Theatre) ユリア・ステパノワ (マリインスキー・バレエ)

Best Young Choreographer 最優秀若手振付家
Natalia Horecna ナタリア・ホレシナ

Best Designer 最優秀デザイナー
Keso Dekker (Choreartium, Bayerisches Staatsballett) Keso Dekker 「Choreartium」ミュンヘン・バレエ

Best Conductor 最優秀指揮者
Pavel Bubelnikov (Mariinsky Ballet, Mikhailovsky Ballet) Pavel Bubelnikov マリインスキー・バレエ、ミハイロフスキー・バレエ

Best Ballet DVD 最優秀バレエDVD
Dance & Quartet (Heinz Spoerli, Hagen Quartett, Zürcher Ballett, Arthaus Musik) 「ダンス&カルテット」チューリッヒ・バレエ、ハインツ・シュペルリ

Prize of Honour Lifetime Award 貢献賞
Royal Danish Ballet デンマーク・ロイヤル・バレエ

なお、マラーホフは最近オフィシャルFacebookサイトを開設しています。
https://www.facebook.com/vladimir.malakhov

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ニューヨークのFIT博物館でダンス&ファッション展、オーレリー・デュポンの写真展示

ニューヨークのFIT(ファッション工科大学)博物館にて、ダンス&ファッション展が行われています。

2014年9月13日 – 2015年1月3日まで。

http://www.fitnyc.edu/22418.asp

ロマンティックバレエの時代、1830年代から現在に至るまでの、バレエの様々な衣装が展示されています。ファニー・エルスラーが着たスペイン風の衣装、カリンスカがデザインしたバレエ・インペリアルの衣装。アンナ・パブロワやマーゴ・フォンテーンのポワント。バレエ・リュスの個性的な衣装たち。イヴ・サンローランの「バレエ・リュス」コレクション。ヌレエルやバリシニコフが着用した衣装。

現代の衣装も多く展示されているようです。イヴ・サンローラン、ジバンシイ、ジャン・ポール・ゴルチエ、クリスチャン・ラクロワ、ヴァレンチノ・ガラヴァーニ、アイザック・ミズラヒ、プラダらによる衣装も。川久保玲がデザインしたマース・カニンガムの作品の衣装。この展覧会のために作られた、ウェンディ・ウェーランをフィーチャーしたアートワークも展示されています。

こちらにも、いくつかの衣装の写真があります。
https://www.flickr.com/photos/museumatfit/sets/72157645196307161/

レビュー
http://observer.com/2014/09/fits-dance-and-fashion-exhibit-has-ballet-inspired-work-from-rodarte-saint-laurent/

オープニングでは、アシュリー・ボーダー、折原美樹さん、エヴァン・マッキーやNYCBのダンサーたちが出席したようです。
http://www.nytimes.com/interactive/2014/02/28/fashion/20140921-bill-cunningham-evening-hours.html?_r=0

そして、この展覧会のために、もう一つクリエイションが行われました。ニコラ・ル=リッシュの写真集などで知られている写真家のアン・ドアノーが、オーレリー・デュポン、ジェレミー・ベランガールを撮影した映像と写真を撮り下ろし、展示されているのです。"Metamorphosis" と題されたものです。彼女のブログで、その一部を見ることができます。ベランガールがペトルーシュカに扮していたり、二人がシディ・ラルビ・シェルカウイがオペラ座のために振付けた「ボレロ」のリカルド・ティッシによりデザインされた衣装を着用しているところなどを捉えています。

http://www.annedeniau-fromztoa.com/2014/09/g-like-glimpse-through-the-labyrinth-of-time.html

http://vimeo.com/annray/metamorphosis

METAMORPHOSIS - Trailer - 2014 from ANN RAY aka ANNE DENIAU on Vimeo.

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2014/09/28

マリインスキー・バレエの新シーズン、ウィールダン振付「アリス」を上演

マリインスキー劇場の232回目となるシーズンの幕開けに伴い、芸術監督のワレリー・ゲルギエフが記者会見を開きました。このシーズンは、チャイコフスキーの生誕175年という記念の年でもあります。シーズンはオクサーナ・スコリク、エフゲニー・イワンチェンコ主演の「白鳥の湖」で開きました。

ロシア語の記事
http://news.mail.ru/inregions/st_petersburg/91/culture/19655501/

バレエに関して少し驚くようなニュースがありました。クリストファー・ウィールダンが振り付けた「不思議の国のアリス」がマリインスキー・バレエのレパートリー入りするというものです。そのほか、グリゴローヴィッチの「石の花」、そして「青銅の騎士」、バランシンの「スコッチ・シンフォニー」のリバイバルがあります。

「青銅の騎士」はプーシキン原作、ロスティスラフ・ザハロフ振付で音楽はレインゴリト・グリエール作曲、1949年初演で、60年代に多く上演された作品です。

「Vaganova Today」の著者であるジャーナリストのキャサリン・ポーリックさんによると、以下の役デビューが予定されているそうです。

クリスティナ・シャプラン 「ジゼル」「ルパルク」「ロミオとジュリエット」「ラ・バヤデール」
オクサーナ・スコリク 「眠れる森の美女」オーロラ、「アンナ・カレーニナ」
ザンダー・パリッシュ 「眠れる森の美女」
ティムール・アスケロフ、アンドレイ・エルマコフ 「ロミオとジュリエット」ロミオ
キム・キミン 「シンデレラ」王子

http://www.ballet-dance.com/forum/viewtopic.php?f=31&t=40500

マリインスキー劇場からの正式なプレスリリースもありました。
http://www.mariinsky.ru/news1/news2/26_232sept/

Vaganova Today: The Preservation of Pedagogical TraditionVaganova Today: The Preservation of Pedagogical Tradition
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2014/09/27

ミュンヘン・バレエ、ラトマンスキー版「パキータ」をネット中継

バイエルン州立劇場は、先々シーズンより、Staatsoper.tvとしていくつかのオペラ、バレエ作品の生中継を無料で行っています。昨シーズンは、「ラ・バヤデール」などの生中継を行いました。

今シーズンの上演ラインアップも発表されています。バレエは、アレクセイ・ラトマンスキーが新たに振付ける「パキータ」、そしてマイケル・サイモン、アズール・バートン、ラッセル・マリファントの作品のトリプルビル(フランク・ザッパを音楽に使った作品もあります)が中継されます。

Staatsoper.tvは、今までも日本との時差を考慮して、見やすい時間にずらしての中継をしてくれていたので、今回もそうなるのではないかと思います。パフォーマンスの内容は毎回とても素晴らしいので、後日もアーカイブで観られると嬉しいのですが…。

Jan. 11, 2015, 6.00 p.m.
Paquita
Choreografie: Alexei Ratmansky / Marius Petipa
Musical direction: Myron Romanul
Soloists and ensemble of the Bayerisches Staatsballett

May 19, 2015, 7.30 p.m. (C.E.T.)
Der gelbe Klang / Spiral Pass / Konzert für Violine und Orchester
Choreographien: Michael Simon / Aszure Barton / Russell Maliphant
Musical direction: Myron Romanul
Soloists and ensemble of the Bayerisches Staatsballett


2014/09/26

舞踏家カルロッタ池田さんが死去

フランス、ボルドーを拠点に活躍していた舞踏家のカルロッタ池田さんが9月24日に亡くなりました。73歳でした。

朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASG9T6WFGG9TUCVL014.html
福井県生まれ。女性だけの舞踏グループ「アリアドーネの会」を日本で立ち上げ、舞踏家の室伏鴻さんらと1978年にパリで公演。大反響を呼び、暗黒舞踏という表現様式を海外に知らしめる先駆けの一人となった。フランス・ボルドーを拠点に活動していた。

時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014092600109
 福井県出身。東京での大学時代にクラシックダンスを学び、本格的に舞踏を開始。1978年から仏国内で公演を行い高い評価を獲得、80年代に活動の拠点をフランスに移した。日本の前衛芸術「暗黒舞踏」を海外に紹介した先駆者の一人とされる。 (パリ時事)

カルロッタ池田さんは、フランスで活動していたこともあり、日本よりフランスで圧倒的に有名な存在だったようで、現地の新聞でも、その逝去は大きく取り上げられています。

こちらの記事(英語)では、カルロッタ池田さんが、シャルル・ジュド率いるボルドー・バレエで「座頭市」を振付けた時の写真が掲載されています。
http://www.straitstimes.com/lifestyle/theatre-dance/story/japanese-dancer-carlotta-ikeda-dies-france-20140926

「座頭市」の映像。市の役は、シャルル・ジュドが演じています。
http://youtu.be/_izE70Nih94

このチャンネルで全編観ることができます。
https://www.youtube.com/user/geoffopera1

カルロッタ池田さんは、肝臓がんを患いながらも晩年まで現役で活動されており、最後の舞台となったのは、昨年11月のボルドーのフェスティバルでした。多くの作品を生んできた偉大な舞踏家でした。

フランス語の訃報記事ですが、彼女の詳しい紹介や写真が載っています。
http://www.sudouest.fr/2014/09/25/mort-a-bordeaux-de-la-danseuse-carlotta-ikeda-1683369-2780.php

クロアチア、ボスニア旅行記(モスタル、サラエヴォ)最終回

旅行記、ずいぶんと間が開いてしまいましたが、これが最終回です。

旅も終盤となりました。今日はドブロヴニクから出発し、最後の目的地、ボスニア・ヘルツェゴヴィナに向けて出発します。

再び、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの海沿いの飛び地ネウムで休憩してから、一旦クロアチアに出国し、再度ボスニア・ヘルツェゴヴィナに入国。今までの陸路の入国の中では一番入国手続きに時間がかかりました。手続き所に何台もバスや車が止まっており、30分ほど停止。バスを降りていたら、中に戻るように促されました。それでも、手続きはすべて運転手のマリオが代行してくれて私たちは係官には会う必要はありませんでした。

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ネウム。ここにはドライブインとスーパーがあり、クロアチアと比較して物価が安いため、クロアチアから買い出しに来る人も多いとか。お土産物もいろいろと売っており、皆さん結構買い物をされます。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナに入国すると、外の風景が変わってきています。ほぼ内陸の国なのですが、なだらかな坂や山、川や湖、翠の中に点在する家々や家畜。のどかで自然がとても美しいところです。

到着したのは、モスタルというボスニア・ヘルツェゴヴィナ南部の中心都市。バスターミナルですでに無料Wi-Fiが使用できた。ここで、大勢の子供たちのグループに出会います。揃いのTシャツを着ている、小学校高学年か中学生くらいの子供たちです。日本人を見るのがよほど珍しいのか、一緒に写真に写りたがっていたし、英語で話しかけてきたりして人懐っこいし、とっても元気が良く明るい子供たちでした。ここでもみんなスマホを持っていて、それで写真を撮っています。それから、近くの教会からは、若い修道士たちがたくさん出てきました。

若い女性のガイドさんは英語が流暢で、子供時代にはアメリカのシカゴに住んでいたという。そのため、実際には戦争は体験していないそうです。ところが、この街にはいたるところに戦争の傷跡がある。弾痕が無数に開いた廃屋、実際に使われている建物にも弾痕があったり、崩れかかった建物も。また、明らかにクロアチアより貧しい国に入ったというのがわかるのは、子供の物乞いを何人か見かけたこと。さっきのスマホを持ってはしゃいでいる子たちとの違いは何なんだろう、と考えてしまいました。

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弾痕の残る建物

モスタルのシンボルは、世界遺産に登録されている橋、スターリ・モスト。モスタルは古くから交易で栄え、15世紀からオスマントルコの支配下に入りました。1566年に作られたこの橋はネレトヴァ川にかかり、橋脚が一本もなく、中央に向かって急こう配となっている、すっきりとした造形の美しい石橋。中央部に立っている若い男性がいましたが、25ユーロ払えば、この20メートルの高さから下に飛び込んでくれるという。水の色は深い緑で、橋の上から見る風景は異国情緒が漂い、周辺の緑と相まってとても美しい。ボスニア・ヘルツェゴヴィナは人口の70%がイスラム教徒だそうですが、モスタルではキリスト教徒と半々だそうです。実際、髪をスカーフで覆ったイスラム系の美しい女性をたくさん見かけたし、コーランを路上で売る人たちもいました。

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ところが、この橋は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争で1993年に破壊されてしまいました。橋の西側はクロアチア系カトリック教徒、東側はボシュニャク人イスラム勢力が支配していて攻防を繰り広げたそうです。橋の近くの土産物店で、橋が破壊された時の記録映像を流していました。この映像は衝撃的で思わず言葉を失ってしまいます。美しい橋が完全に崩壊するまでの様子が克明に記録されていました。橋のたもとには、DON'T FORGET '93と書いた石碑が置いてあります。今ではこの橋は復元されて、復元されたのちに世界遺産に登録されたということです。

モスタルの街自体は、観光客で大変にぎわっています。特に東側のイスラム側にはたくさんの商店が並んでおり、イスラムの影響を受けたエキゾチックで色とりどりの小物やアクセサリー、スカーフなどが売っていました。ボスニア・ヘルツェゴヴィナは銅製品の産地ということで、銅でできたアクセサリーには独特のオリエンタルなデザインが施されていて、スタイリッシュで素敵です。銅を細工しての皿などを制作している工房の様子なども見学させてもらいました。4代にわたってここで仕事をしているとのこと。値段もとても手ごろだし、デザインもすぐれているので、お土産にすると喜ばれるものだと思います。トルコ的な陶器のお皿、銅のブレスレットやピアスなどなど。観光地なので、大体の店でユーロが使えます。

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川沿いにはコスキ・メフメッド。パシナ・ジャーミヤという大き目のモスクもあります。橋を撮影する絶好のポイントですが、モスクには入場料が必要です。


昼食は、ボスニア名物のチェヴァプチチを頂きました。皮なしのソーセージですが、これはとてもおいしいです。

そこから、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都、サラエヴォへと移動します。相変わらず窓の外の風景は美しいのですが、時々無残に崩落した建物を見かけます。3軒並んでいて1軒だけ廃墟になっていて、ほかの2軒はきれいに整えられているのでいったい何が起こったのか、と胸騒ぎがします。緑豊かな山肌に抱かれているのに、戦争の傷跡が残っているのを見るのは、自然が美しいだけにとても痛ましく感じられました。時には、道端に墓銘碑がぽつんと立っているのを見かけます。戦争で亡くなった人たちだそうです。

サラエヴォは、高い山々の中の盆地にある街。やはり山肌に転々とオレンジ色の屋根の家々が並んでいる風景はのどかです。宿泊したホテルは中心地から少し離れていますが、高層でモダンな建物。路面電車がたくさん走っていますが、この路面電車の走るスピードが、私たちの乗っているバスよりも早いという不思議な状態です。ヨーロッパで初めて、そして全世界で2番目に早く終日(朝から夜まで)運行の路面電車が運行された町だそうです。

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前日までサラエヴォは大雨だったそうで、街の中心部を流れる川は濁っており、水位は非常に高かったです。ニュースでもちらっとは目にしていたのですが、バルカン半島で大雨が続いており、その時点でもボスニア・ヘルツェゴヴィナでは10数人の方が亡くなっていたとのこと。サラエヴォ市内はそこまでの被害はなかったようですが、この大雨と洪水はこの国にとてつもないダメージを与えたことを、帰国してからのニュースでもみかけて、とても胸を痛めました。しかも、洪水で地雷が流出してしまい爆発する騒ぎが発生しており、国民の4分の1にあたる95万人が避難しているといいます。

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ここでの現地ガイドさんは若い男性で、オペラ座のエトワール、マチアス・エイマンによく似ています。まずはボスニア・ヘルツェゴビナの国立図書館へ。ここは、ボスニア紛争で1992年に破壊されたそうですが、22年の時を経て5月9日に復元されて再オープンしたばかりだそうです。この復元については、日本からの資金援助もたくさんあったとはガイドさんの話。破壊された際には、200万冊近くの蔵書が焼失したそうです。

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新装されたばかりの図書館

そこから旧市街バチュシャルシャの方へと歩きます。銅製品などエキゾチックなものを販売している商店が並びます。ボスニア・ヘルツェゴヴィナは、東と西が出会う文明の合流地点なので、街の雰囲気もやはりオリエンタルなオスマン・トルコ帝国由来のものと、ハプスブルグ帝国の影響、スラブの影響とあって興味深いものでした。バチュシャルシャの広場には、木製の六角形の水飲み場があり、そこが待ち合わせ場所として機能しています。ここも、ロマ系などの子連れ物乞いがたくさんいます。スリなども多いそうなので気を付けるようにとのことでした。

ガジ・フスレヴ=ベグ・モスクは1531年に建てられた、とても大きく美しいオスマン建築です。白い建物で、ここでは祈りを捧げている人たちがたくさんいました。、サラエヴォ包囲ではガジ・フスレヴ=ベグ・モスクも大きく損傷を受けたそうです。サラエヴォは1992年4月5日から1996年2月29日までセルビア人勢力の包囲下にあり、この間12,000人が死亡し、50,000人が負傷。このうち85%が市民だったという悲劇が起きたのでした。

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そしてこのモスクのほど近くには、第一次世界大戦の引き金となった、かのサラエヴォ事件の舞台となったラティン橋がありました。1914年にオーストリアの皇太子フランツ・ヨーゼフ夫妻が暗殺された事件です。橋のすぐそばに博物館がありますが時間が遅いため閉まっていました。でも博物館の窓には、暗殺犯たちの写真や裁判の様子などの写真が掲示されているので外から見ることができます。 ちょうど第一次世界大戦開戦から100年という節目の年でしたね。

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そこから少し歩くと、フランツ・ヨーゼフ夫妻が宿泊する予定だったというホテル・ヨーロッパの前を通りました。中にも入りましたが、ここのティールームはクラシックでウィーン風の重厚さと華麗さがあります。そしてカトリック教会の大聖堂「イエスの聖心大聖堂」へと歩きました。サラエヴォで最も大きな、壮麗な教会でステンドグラスが見事です。聖堂内の椅子に白いリボンが結び付けられていましたが、先ほどまで結婚式が執り行われていたようでした。聖堂の前には、弾痕のある地面に赤いペンキがぶちまけられていたようなモニュメントがありました。ここで流血事件があった痕跡だそうです。これは「サラエヴォのバラ」と呼ばれ、町中にいくつも残っているとか。

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簡単な市内観光が終わり、マリオのバスが到着する間に少しガイドさんと話しました。ボスニア・ヘルツェゴヴィナはサッカーが盛んで、このたび初めてワールドカップに出場します。ガイドさんは、子供のころ「キャプテン翼」がテレビで放映されていたので、日本に親しみを持ったそうです。84年生まれだったので、子供のころは戦争の記憶もあったそうで、「本当につらかった」そうです。ホテル・ヨーロッパの前でバスを待っていたのですが、ホテルの前の建物、ヨーロッパ風のクラシックで美しい建物なのですが1階は商店となっており、保存状態はあまりよくなく、そして弾痕がたくさん残っていました。

旧市街の方へ向かった時に通った通りでは、黄色いホテル・ホリデイインがありました。そういえば、このホリデイインは昔ニュースで見覚えがあったのです。ボスニア紛争の時に各国のジャーナリストがここに宿泊して戦況をここから伝えていました。電気も水道も止まってガラスは銃弾によって破壊されていたりしていたのですが、今ではきちんと修復されていました。このあたりには、悪名高い「スナイパー通り」です。「動くものは全て砲撃の対象」となっていたそうで、高層マンションなどにも銃弾の跡が残っています。

ボスニア内戦 民族紛争の真実 前編(ボスニア紛争のドキュメンタリー)
http://youtu.be/ydUA7w8XGAs

帰りは商業の中心街をバスで通りましたが、こちらの方はごく普通のヨーロッパの都市の繁華街という感じで現代的な雰囲気で活気がありました。着実に戦争からは復興している感じです。

ホテルに戻っての夕食。ホテルの最上階が回転レストランとなっていて、サラエヴォ市内を一望できます。ところが、不思議なことに、夜景らしきものは全然見当たりません。夜がとても暗いのです。ホテルの近くには高層団地などもあるのですが、どうやらここでは遮光カーテンを使うことが多いので明かりが漏れないのですね。サラエヴォ空港がかなり近くにあるので、空港の光を見ることができました。明日、この空港から帰国することになります。

サラエヴォでの短い観光では、本当にいろんなことを考えさせられました。わずか20年前にここで起こった戦争のこと。東西の文明が出会い美しいこの街で、人々が殺し合ってしまったのはどうしてだったのだろうか。ずいぶん前に観たマイケル・ウィンターボトム監督の映画「ウェルカム・トゥ・サラエヴォ」を見直したくなりました。

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翌朝、帰国の途に就く前に、ホテルのすぐ横にある廃墟群を見てきました。破壊されたアパートメント、弾痕が残る崩れかかった壁などたくさんありました。真っ青に晴れた美しい空の下、雑草が生い茂るなかでこれらを見ると、もう言葉を失います。20年以上経っても生々しいです。すぐ隣にある、宿泊ホテルが近代的で豪華なのに対して、手つかずのままでこんなに廃墟が残っているとは。

すぐ近くにショッピングセンターがあったのでそこまで歩きましたが、外観はきれいなのに中は薄暗く、商品の数も少ないのです。しかし、これまであまり縁がないところに来て、そして実際に戦争があった場所に足を運ぶことは、とても意義深いことだと思いました。行ってみないと、伝わってこない重みがあり、打ちのめされました。同じ国の人たち同士が殺し合うというのはどういうことなのか、それは、現在もウクライナやイスラエル/パレスチナ、シリアなどで行われていることですが、とにかく戦いが終わり平和が訪れることを望んでやみません。


サラエボ空港からミュンヘン空港を経て帰国し、ビジネスクラスでの快適な帰国の途でしたが、いろいろと考えさせられたこと、感動したこと、いろいろとありました。ベテランのツアコンの方も、とても知識・経験が豊富で感じがよくて、楽しく過ごすことができました。高齢で足も弱くなっていた父との旅は大変なところもありましたが、とても充実したものでした。そして、これが父との最後の旅となってしまいました。今月、元気で現役で仕事もしていた父が突然倒れ、病院の集中治療室に運ばれ、意識を取り戻さないまま、帰らぬ人となってしまったのでした。商社マンとして海外で長く活躍し、旅が好きで、クラシック音楽、映画、美術、歌舞伎にも造詣が深く、また最近までテニスを楽しみ阪神タイガースを愛した父。とても知識欲が旺盛で、社交的で友達もたくさんいたようです。父親との旅というのはちょっと照れくさいもので、ありがとうの言葉も言えないままの別れとなってしまいました。この旅は、父からの最後の贈り物となりました。お父さん、ありがとう。

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クロアチア、クルカ国立公園にて父。この笑顔が遺影となりました。

2014/09/25

11/8.、9 彩の国さいたま芸術劇場にてミルピエの「L.A.Dance Project」

今シーズンよりパリ・オペラ座バレエの芸術監督に就任するバンジャマン・ミルピエ。2012年に彼が設立したカンパニー、L.A.Dance Projectが11月に初来日を果たし、彩の国さいたま芸術劇場で公演を行います。

http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/1100

L.A.Dance Projectは単なるダンスカンパニーではなく、個性的な存在感を放つダンサーたちの他、新しい作品ごとに振付家、作曲家、美術家など異なるジャンルのアーティストが結集し、ユニークな制作を行っています。その活動が高く評価されたことが、ミルピエがオペラ座の芸術監督に選ばれた大きな理由の一つです。

今回上演するのは、デイヴィッド・ラングの音楽、造形作家バーバラ・クルーガーによる大胆な舞台美術とミルピエの振付からなる『リフレクションズ』、ミルピエが一目を置く気鋭の振付家エマニュエル・ガット(パリ・オペラ座にも作品を振付け)の『モーガンズ・ラスト・チャグ』、そして『クインテット』ではダンサーたちの驚くべきタレントに触発されたウィリアム・フォーサイスがL.A.版を新たに再振付したそうです。

「クインテット」
http://youtu.be/mW52n7iex_U

L.A.Dance Projectはまだ歴史は浅いものの、パリ・シャトレ座とロサンゼルスのミュージック・センター、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ、リヨンのメゾン・ドゥ・ラ・ダンスをパートナーとするなど大変注目されています。来日公演前の10月には、ニューヨークのBAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)でも公演を行います。NYCBの元プリンシパルであるセバスチャン・マルコヴィッチがバレエマスターを務めています。

今後のパリ・オペラ座バレエの方向性を占う上でも、見逃せない公演となりそうです。また、現在、パリ・オペラ座の「水晶宮」と併せてミルピエ振付の「ダフニスとクロエ」も映画館で上映されていますので、こちらも併せて観ると非常に興味深いことでしょう。

日時
2014年11月8日(土) 開演15:00、9日(日) 開演15:00

会場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

上演作品
バンジャマン・ミルピエ振付『リフレクションズ』
エマニュエル・ガット振付『モーガンズ・ラスト・チャグ』
ウィリアム・フォーサイス振付『クインテット』

出演
L.A. Dance Project

主催・企画・制作
公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団

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