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2016/07/28

第27回ヴァルナ国際コンクールの受賞結果

第27回ヴァルナ国際バレエコンクールの受賞者が発表されました。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=990810121039215&id=444071619046404

シニア男性
金賞 ポール・マルク(パリ・オペラ座バレエ)
銀賞 ホルヘ・ボラーニ(ケンタッキー・バレエ・シアター)
Yue Shi(ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
銅賞 大巻雄矢さん(スロベニア国立バレエ)
Sunwoo Lee (韓国)

シニア女性
金賞 アマンダ・ゴメス(カザン劇場)
銀賞 白井沙恵佳さん(ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
ジョイ・ウーマック(クレムリン・バレエ)
銅賞 中島麻美さん(スロベニア国立バレエ)
Yeonjae Cho(韓国)
Elena Svinko(ブルガリア)

ジュニア男性
金賞 William Beckham(アメリカ)
銀賞 益田隼さん(Variation Ballet School)
Seu Kim(韓国)


ジュニア女性
金賞 ルー・シュピヒティク(チューリッヒ・バレエ)
銀賞 金原里奈さん(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
銅賞 Goheun Lee(韓国)

みなさま、おめでとうございます!

若手バレエ登竜門、白井さん銀賞 バルナ国際コンクール:朝日新聞デジタル (写真、白井さんの恩師のコメントつき)
http://www.asahi.com/articles/ASJ7X72NWJ7XUHBI04X.html

2016/07/25

第27回ヴァルナ国際コンクールの決勝(3rdラウンド)進出者

第27回ヴァルナ国際コンクールの決勝(3rdラウンド)進出者が発表されています。

https://www.facebook.com/444071619046404/photos/a.478618985591667.1073741850.444071619046404/988326854620875/

ジュニア部門では、

益田 隼さん (2014年YAGPジュニア1位、2016年YAGPファイナリスト、Variation Ballet School)
金原里奈さん (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
ルー・シュピヒティク (チューリッヒ・バレエ、2015年ローザンヌ国際コンクール観客賞)

など8人がセカンド・ラウンドに進出

シニア部門では

白井沙恵佳さん (ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
中島麻美さんと大巻 雄矢さん (スロベニア国立バレエ)
二山治雄さん (白鳥バレエ学園)
ポール・マルク (パリ・オペラ座バレエ コリフェ)
ジョイ・ウーマック (アメリカ出身、クレムリン・バレエ プリンシパル)
フランチェスコ・コスタ (イタリア出身、ウィーン国立バレエ ソリスト)
アマンダ・ゴメス (ブラジル出身、ロシアのカザン劇場 ファーストソリスト)
Jorge Javier Lopes Barani (キューバ出身、ケンタッキー・バレエ・シアター プリンシパル、YouTubeチャンネルに動画がたくさん)
Yury Kudryavtsev (クラスノヤルスク劇場、テレビ番組「ビッグ・バレエ」に出演)

など17人がセカンド・ラウンドに進出しています。

ファイナル・ラウンドは26日21:00~ から。表彰式とガラ公演は29日20:30~からです。3rdラウンドの模様も、ネット中継で視聴することができます。(日本との時差は6時間)
http://www.tv1channel.org/index.php/livetv

オペラ座ポール・マルクの1stラウンドの映像

ボリショイ・バレエのロンドン公演詳しいキャスト

ボリショイ・バレエのロンドン公演が7月25日から始まります。ロイヤル・オペラハウスでの上演。

http://www.roh.org.uk/about/bolshoi

主演キャストはもちろんすでに発表されていますが、各公演の詳しいキャストがボリショイのサイトにアップされています。「白鳥の湖」と「パリの炎」は来年の日本公演も予定されている演目なので、脇キャストの参考になるかもしれません。

「ドン・キホーテ」では、まだコール・ド・バレエのマルガリータ・シュライナーがキトリ役デビューします。また、「白鳥の湖」では、マリインスキー・バレエでは主演しているものの、ボリショイでは役デビューとなるユリア・ステパノワがオデット/オディール役を踊ります。ステパノワは、日本公演でも一度「白鳥の湖」を踊る予定なので、注目されます。

なお、チケットはほぼソールドアウトです。

http://www.bolshoi.ru/en/performances/921/

Don Quixote 「ドン・キホーテ」

25 July, 7.30 pm
Kitri: Olga Smirnova
Basilio: Denis Rodkin
A Street Dancer: Anna Tikhomirova
Espada: Ruslan Skvortsov
The Queen of the Dryads: Yulia Stepanova
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Roman Simachev

26 July, 7.30 pm
Kitri: Maria Alexandrova
Basilio: Vladislav Lantratov
A Street Dancer: Anna Okuneva
Espada: Vitaly Biktimirov
The Queen of the Dryads: Yulia Stepanova
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Roman Simachev

27 July, 7.30 pm
Kitri: Ekaterina Krysanova
Basilio: Semyon Chudin
A Street Dancer: Anna Tikhomirova
Espada: Ruslan Skvortsov
The Queen of the Dryads: Anna Nikulina
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Georgy Gusev

28 July, 7.30 pm
Kitri: Margarita Shrainer (debut)
Basilio: Artem Ovcharenko
A Street Dancer: Angelina Karpova
Espada: Vitaly Biktimirov
The Queen of the Dryads: Anna Nikulina
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Georgy Gusev

Swan Lake 「白鳥の湖」

29 July, 7.30 pm
Odette-Odile: Olga Smirnova
Prince Siegfried: Denis Rodkin
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Nina Kaptsova, Kristina Kretova
The Fool: Vyacheslav Lopatin

30 July, 2.00 pm
Odette-Odile: Anna Nikulina
Prince Siegfried: Ruslan Skvortsov
The Evil Genius: Mikhail Kryuchkov (debut)
Friends to the Prince: Kristina Kretova, Daria Khokhlova
The Fool: Denis Medvedev

30 July, 7.30 pm
Odette-Odile: Ekaterina Krysanova
Prince Siegfried: Semyon Chudin
The Evil Genius: Igor Tsvirko
Friends to the Prince: Nina Kaptsova, Kristina Kretova
The Fool: Georgy Gusev

1 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Olga Smirnova
Prince Siegfried: Vladislav Lantratov
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Kristina Kretova, Daria Khokhlova
The Fool: Vyacheslav Lopatin

2 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Yulia Stepanova (debut with the Bolshoi Ballet Company)
Prince Siegfried: Artem Ovcharenko
The Evil Genius: Igor Tsvirko
Friends to the Prince: Anna Okuneva, Ana Turazashvili
The Fool: Georgy Gusev

8 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Svetlana Zakharova
Prince Siegfried: Denis Rodkin
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Anna Okuneva, Ana Turazashvili
The Fool: Vyacheslav Lopatin

9 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Olga Smirnova
Prince Siegfried: Semyon Chudin
The Evil Genius: Mikhail Kryuchkov
Friends to the Prince: Nina Kaptsova, Kristina Kretova
The Fool: Denis Medvedev

10 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Svetlana Zakharova
Prince Siegfried: Denis Rodkin
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Anna Okuneva, Ana Turazashvili
The Fool: Vyacheslav Lopatin

The Taming of the Shrew 「じゃじゃ馬馴らし」

3 August, 7.30 pm
Katharina: Ekaterina Krysanova
Petruchio: Vladislav Lantratov
Bianca: Olga Smirnova
Lucentio: Semyon Chudin
Hortensio: Igor Tsvirko
Gremio: Vyacheslav Lopatin
The Widow:Julia Grebenshchikova
Baptista: Artemy Belyakov
The Housekeeper: Anna Tikhomirova
Grumio: Georgy Gusev

4 August, 7.30 pm
Katharina: Kristina Kretova
Petruchio: Denis Savin
Bianca: Nina Kaptsova
Lucentio: Artem Ovcharenko
Hortensio: Alexander Smoliyaninov
Gremio: Denis Medvedev
The Widow: Anna Balukova
Baptista: Karim Abdullin
The Housekeeper: Yanina Parienko
Grumio: Georgy Gusev

The Flames of Paris 「パリの炎」

5 August, 7.30 pm
Jeanne: Ekaterina Krysanova
Philippe: Igor Tsvirko
Adeline: Nina Kaptsova
Jerome: Vyacheslav Lopatin
Mireille de Poitiers: Yulia Stepanova
Antoine Mistral: Denis Rodkin

6 August, 2.00 pm
Jeanne: Kristina Kretova
Philippe: Mikhail Lobukhin
Adeline: Anna Nikulina
Jerome: Denis Savin
Mireille de Poitiers: Anna Tikhomirova
Antoine Mistral: Artem Ovcharenko

6 August, 7.30 pm
Jeanne: Maria Alexandrova
Philippe: Vladislav Lantratov
Adeline: Nina Kaptsova
Jerome: Alexander Smoliyaninov
Mireille de Poitiers: Yulia Stepanova
Antoine Mistral: Denis Rodkin



Le Corsaire 「海賊」

11 August, 7.30 pm
Medora: Maria Alexandrova
Conrad: Vladislav Lantratov
Gulnare: Anna Tikhomirova
Birbanto: Denis Savin
Pas d'esclaves: Nina Kaptsova, Vyacheslav Lopatin

12 August, 7.30 pm
Medora: Anna Nikulina
Conrad: Mikhail Lobukhin
Gulnare: Nina Kaptsova
Birbanto: Vitaly Biktimirov
Pas d'esclaves: Kristina Kretova, Igor Tsvirko

13 August, 2.00 pm
Medora: Yulia Stepanova (debut)
Conrad: Denis Rodkin
Gulnare: Kristina Kretova
Birbanto: Vitaly Biktimirov
Pas d'esclaves: Margarita Shrainer, Alexander Smoliyaninov

13 August, 7.30 pm
Medora: Ekaterina Krysanova
Conrad: Igor Tsvirko
Gulnare: Anna Tikhomirova
Birbanto: Denis Savin
Pas d'esclaves: Nina Kaptsova, Vyacheslav Lopatin

Seyd, the Pacha: Alexei Loparevich (all the performances)
Isaac Lanquedem: Yegor Simachev (all the performances)

2016/07/24

ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ 2017年3月

オールスター・バレエ・ガラの幕が開けました。出演ダンサーは11人で一人2演目ずつとそれほど作品数は多くないのですが、充実ぶりは素晴らしく、オーケストラの演奏だけでなく、舞台上で安藤赴美子(S)、小林美恵(Vn)、中野翔太(p)、遠藤真理(Vc)による生演奏もあり、非常に贅沢な時間を過ごすことができました。

特に、復活を果たしたアレッサンドラ・フェリの、「ロミオとジュリエット」の寝室のシーン(エルマン・コルネホ共演)のしなやかな動き、心の叫びが伝わってきそうな鮮烈な演技、ジュリエットの激情が胸を突き刺して素晴らしかったです。ガラの一シーンとは思えないほどの濃厚で激烈なドラマで、思わず涙がにじんでしまいました。スヴェトラーナ・ザハロワ、マチアス・エイマン、マルセロ・ゴメス、新星カッサンドラ・トレナリー、ジリアン・マーフィーなど他のパフォーマンスもすべて素晴らしく、これは絶対に見逃してはいけません。この豪華メンバーならではの華やかなフィナーレも必見です。


初日のレポート(ジャパン・アーツのサイトより)

開幕!オールスター・バレエ・ガラ (芸術監督ラトマンスキー、ニーナ・アナニアシヴィリのインタビューもあり)
http://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=2190

eぶらあぼのリハーサルレポート(写真がたくさん)
http://ebravo.jp/archives/28023

会場には、ジャパン・アーツが招聘した様々なバレエ公演のパネルなどが飾ってあり、とても見ごたえがあります。若い日のニーナ・アナニアシヴィリがとても美しい。
Young_nina


さて、今回この公演のチラシが配布されていました。

ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~ 

ニーナ・アナニアシヴィリのクラシック・バレエ最後のステージとのことです。白鳥も、キトリも、これが見納めとあります。

出演:ニーナ・アナニアシヴィリ
    ジョージア国立バレエ団ほか、豪華ゲストダンサー出演予定
管弦楽:シアターオーケストラ・トーキョー
一般発売 10月予定

2017年
3月16日(木)19:00、18日(土)15:00 
「白鳥の湖」より第2幕・4幕
「セレナーデ」
「眠れる森の美女」より ほか

3月19日(日) 14:00、20日(月・祝)14:00
「タイス」パ・ド・ドゥ
「モーツァルティアーナ」
「ドン・キホーテ」より ほか

東京文化会館 大ホール
S席 18000円 A席 14000円 B席11000円
C席 8000円 D席 5000円


(来年3月は、パリ・オペラ座バレエの来日公演も予定されているようですが、オペラ座もおそらく会場は東京文化会館だと思われますので、この前後ということになりそうですね)

年齢は重ねたものの、相変わらずの可憐さ、そして波打つような腕の動き、美しいつま先と足捌きは健在のニーナ。この公演は見逃せませんね。

2016/07/23

7/1、2 H・アール・カオス「エタニティ」、トークショー

H・アール・カオスでは6年ぶりという公演が開催されるとあって、これは愛知県芸術劇場まで行かなければと愛知までやってきた。

初期から観ているわけではなく、「神々を創る機械」「Drop Dead Chaos」「春の祭典/ボレロ」くらいしか観ていないのだけど、大島早紀子さんと白河直子さんの創り上げる、身体性と精神性が絶妙なバランスを作っている美しい舞台は鮮烈な印象を残している。

そして昨年、笠井叡さんの「今晩は荒れ模様」での白河さんの、神が降臨したような凄まじいダンスを観て、改めて必ず次の彼女の舞台は観なければならないと思ったのだ。そんな伝説の復活公演が、この舞台だった。

H・アール・カオス 新作公演
白河直子ソロダンス『エタニティ』
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/eternity/index.html

Hartchaos

愛知県芸術劇場小ホール
出演者・スタッフ 構成・演出・振付・美術:大島早紀子
出演:白河直子
美術作品提供:島田清徳
使用楽曲:「イン・メモリアル」「ヴィオラ協奏曲」「レクイエム」(アルフレート・シュニトケ)
       「ピアノ協奏曲第二番」(ドミトリー・ショスタコーヴィチ)

白い薄い衣装に身を包んだ白河さんが舞台の上に現れた時から、これは何かが起きる、ということを感じた。佇まい一つをとってもただものではない雰囲気があり、そして華奢な身体で描くポーズのラインの研ぎ澄まされたこと。6年前に観た姿と、ほとんど変わっていないようであっても、その間に時は流れた。一つ一つの動きに、万感の想いがこもっているようだ。床には、小さな墓標のように無数の紙片が点々と立てられている。

Hartchaos2

一度舞台から捌けて再び現れたとき、白河さんは少し汚れてくたびれたトレンチコートを羽織り、大切そうにトランクを持っている。そのトランクを開けて、トランクの中で三点倒立して開脚するシーンには驚かされた。下手には倒れた椅子とテーブル。踊り続ける白河さんの手の中から、白い紙吹雪がひらひらと舞い落ちる。その紙吹雪は、スーツケースの中にも詰まっていたようで、吹いてくる風でこれらはあるときは雪のように、ある時は落ち葉のように舞い上がり、終盤には雪嵐のように、白河さんの激しい踊りと共に吹き荒れる。この紙吹雪は、記憶とか、生命のメタファーなのだろか。あふれ出て、風と共に飛び散って消えていく。

途中でコートを脱いで黒の上下姿となった白河さんは、付箋のような紙を顔に貼り始める。踊るにつれてこれらの付箋は落ちて行ったりするのだが、零れ落ちていく記憶のようにも思えた。大きく背中を反らせ、脚を天に突き刺すように高く振り上げ、腕を傷ついた翼のように広げ、一つ上の次元へと昇っていく。65分の間、緩急はあれども踊り続けて、いろんなものをそぎ落としていって、ついには魂だけの透明な存在となっていった。でもそれが終わりではなく、新しい出発点でもある。ここに至るまでの内面の戦い、葛藤、それらを乗り越えて行って、すべてを出し尽くして突き抜ける。女神のようでいて、たくさん傷つき、苦しんだ人間だというのがその神々しくも激烈な踊りから伝わってきて、その壮絶さに終わりには涙があふれて来た。

死すべき存在である人間が、どうやってその運命の中で、永遠とつながっていくか。人は消えても、形はなくなっても、この世に残り続ける記憶となっていくのだろう。それは、その瞬間にしか存在しえない舞台芸術と通じるものがある。

背景の、羽根のような紙をふわりと重ねたような舞台美術や照明も秀逸で、小さなスペースである愛知県芸術劇場小ホールの公演とは思えないようなスケール感があった。タイトルの「エタニティ」も表しているように、永遠の中で、無限の宇宙とつながっているような広がりを感じるとともに、小宇宙の中に閉じ込められたような感覚にもなった。かけがえのない永遠の中の一瞬を感じられることは、舞台鑑賞を愛する者にとってどれほど幸福なことであるか。その瞬間が二度と来ないだろうと感じる切なさや悲しみ、失われたものへの惜別も同時に味わい胸が締め付けられる。

大島早紀子さんの作品としては、目新しいところはないけど、今までの作品のように、大きな会場で大きな仕掛けがあるような作品ではない。しかし美術、音楽、照明のクオリティは相変わらず美意識に溢れていて深遠なテーマと密接に結びつき、コンセプトも見事に作品に昇華されている。白河直子さんというとてつもない表現者、彼女が舞台に立てるようになるまで待って作っただけのことはある。作家と表現者の強い絆を感じられ、白河さんの肉体と精神だからこそ表現し得た、渾身の作品であり、他では決して得ることができない鮮烈な体験だった。

7月2日の公演終了後には、大島早紀子さん、白河直子さんのトークショーがあった。司会は愛知芸術劇場シニアプロデューサーの唐津絵理さん。

唐津:こういったイメージを持って舞台ができていくのでしょうか、こういった世界観、イメージがあって作られるのでしょうか?

大島:手探りで何もわからない、目が見えない状態から始めています。テーマがなくてどうしようと思っている時に、日常生活で感じていることがテーマとなります。

唐津:6年間のブランクの間にテーマがあったのでしょうか?それとも作品を作ろうと思っている時に浮かんできたのでしょうか?

大島:空白期間の前があまりに忙しすぎて、次の作品を創ろうと思わなかったのです。夢が全部舞台の夢で逃げたいと思いました。そういう時でも、これはダンスにしたい、という気持ちは浮かびましたが。今回は、ここ愛知で作品を創ることを決めてから、テーマを考えました。今までも、視線の暴力性や性暴力から「春の祭典」という作品を創りましたが、イデオロギーではなく、抽象化し、自由な解釈をゆだねて行きました。

唐津:今回は永遠、記憶というテーマで作られたのでしょうか。

大島:私たちの体の中にあるものが外に出ている、身体が外部化していき、空洞化している、身体の実在感が希薄しているのが現代だと思います。生の生きている身体を舞台に出していきたいと思いました。外部化していることを批判しているのではなくて、生の身体を描きたいと思ったのです。限られた時間、短い時間の中に永遠を探したいと思いました。

白河:大島さんが、こんなことをやりたいと言ってきました。ジグゾーパズルのピースのように、パソコンの中をのぞかせてもらうように頭の中を見せてもらいました。その中には、クールでグサッと来るような言葉が多いのです。「カルミナ・ブラーナ」は911や宗教問題、テロを描いたものでした。
「エタニティ」は記憶、想いで、永遠に残るような、そんな瞬間が生きていく実感を感じさせてくれる作品です。失われてしまいそうな感覚、恐怖感。生きているからこそ永遠を感じられると。大島さんの作品を踊ることができることが、生きていることのように感じます。苦しいですが。

唐津:この作品は11月くらいからクリエーションにかかったのですよね。

大島:これだけ作品を創るのに時間がかかったのは初めてです。その時に起きている事柄を映像として影響を受けてきました。世界の断片として自分の中に入ってくるのです。時間をかければかけるほど、いろんなことが入ってきてまとめるのに時間がかかり大変になります。でも、3日間の仕込みでも変わりました。12月の時点で一度唐津さんに観てもらいました。失われていくものがあるからこそ見えるものがあるのでは、と思い、作品も変わってきました。作ってみて改めて大変だと思いました。一つ一つのことに関する意図が違うこともあり、ピントを合わせていく作業が大変でした。そしていざ振付けると、白河さんが機嫌が悪くなったりして、「出て行って」といわれることもありました。

唐津:白河さんには、性別を超える瞬間がありますよね。

大島:肉体というのは時代の鏡であり、いろんな意味を背負っています。まっさらに戻す時間があってもいいと思います。白河さんに出会った時、彼女は表現をしながら無になっていく稀有な存在だと思いました。この人しかいない、と引きずるように強引にカンパニーに入れたのです。

白河:しばらくの間私の体に問題があり、身体が治ってからやりたいと思いました。待って身体を治して、ここに立てて良かったと思います。

唐津:未来に対してやっていきたいことはありますか?

白河:(しばらく言葉に詰まり、涙ぐむ)明日を踊りきることが未來です。何回リハーサルしても、舞台に対しては命がけでやっています。

大島:今はこの瞬間、この作品を考えているので、この先は考えていません。

唐津:今回やってみてダンスとはなんですか?

白河:私は大島さんの作品で育ってきました。空間の中に、照明の中に入った時の感覚はやっぱりこれなんだ、別世界に連れて行ってもらっている。視線があって集中があり、空間に立って幸せだと思います。

大島:ダンスは神様から与えられた媚薬です。生きていることの満足感を感じられます。観ていただいた作品が皆さんの中に結晶し、残っているのがコミュニケーションであって祈りなんだと思います。


(聞き取りなので不正確なところがあるかもしれません)

2016/07/22

シュツットガルト・バレエのドキュメンタリー番組

シュツットガルト・バレエ55周年を記念して、ドイツのテレビ局でドキュメンタリー番組が放映されました。今までの、そして現在のシュツットガルト・バレエについての番組で、クランコ生前の貴重な映像やリード・アンダーソン芸術監督、マリシア・ハイデやジョン・ノイマイヤー、そしてアリシア・アマトリアン、ジェイソン・レイリーなど現役ダンサーなどのインタビュー映像、リハーサル映像もあります。デミス・ヴォルピの新作「サロメ」などの舞台映像も。

http://swrmediathek.de/player.htm?show=fa0e44c0-4d8f-11e6-a659-0026b975e0ea

全編ドイツ語ですが(一部インタビューで英語あり)、89分の長さで大変興味深いです。昨年の来日公演の時の様子も少し流れます。

2016/07/20

ヴァルナ国際バレエコンクール、2回戦進出者

ヴァルナ国際バレエコンクール、1回戦が行われて、2回戦(セカンド・ラウンド)に進出する人の名前が発表されています。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=984746684978892&id=444071619046404

ジュニア部門では、

益田 隼さん (2014年YAGPジュニア1位、2016年YAGPファイナリスト、Variation Ballet School)
金原里奈さん (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
ルー・シュピヒティク (チューリッヒ・バレエ、2015年ローザンヌ国際コンクール観客賞)

など13人がセカンド・ラウンドに進出

シニア部門では

西岡憲吾さん (ベオグラード劇場バレエ団、2016年ヘルシンキ国際コンクール3位)
馬場 彩さん (アーツバレエシアターオブフロリダ)
白井沙恵佳さん (ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
中島麻美さんと大巻 雄矢さん (スロベニア国立バレエ)
望月理沙さん (ニュージャージー・バレエ)
二山治雄さん (白鳥バレエ学園)
ポール・マルク (パリ・オペラ座バレエのコリフェ)
ジョイ・ウーマック(クレムリン・バレエ)
ジュリエット・ドハーティ(2012年YAGPジュニア金賞)

など31人がセカンド・ラウンドに進出しています。

ヴァルナ国際コンクールのFacebookでは、写真などもたくさんアップされています。

金原里奈さんの写真

望月理沙さん

中島麻美さんと大巻 雄矢さん

セカンド・ラウンドは21日から、ファイナル・ラウンドは26日から。表彰式は29日です。

2016/07/17

第27回ヴァルナ国際バレエコンクールの出場者

国際バレエコンクールの中でも最も古い歴史を持つ、ヴァルナ国際コンクールの出場者が発表されています。前回2014年はオニール八菜さんが、シニア部門銀賞(金賞は受賞者なし)に輝きました。

https://www.facebook.com/VARNA-International-Ballet-Competition-444071619046404/?ref=ts&fref=ts

こちらのFBページでは、写真などが日々更新されています。

日本人の出場者としては

白井沙恵佳さん (ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
中島麻美さんと大巻 雄矢さん (スロベニア国立バレエ)
馬場 彩さん (アーツバレエシアターオブフロリダ)
内藤亜仁さん (法村友井バレエ学校)
望月理沙さん (ニュージャージー・バレエ)
上野祐未さん (大塚礼子バレエスタジオ)
寺下健人さん (ブルガリア ソフィア国立バレエ)
野村結紀乃さん(ブルガリア ソフィア国立バレエ)
大河内 悠伎 さん (スタジオDUO)
福本 龍太朗さん (法村友井バレエ団)
坪 雄大さん (カレリア共和国立バレエ)
金原里奈さん (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
二山治雄さん (白鳥バレエ学園)
益田 隼さん (2014年YAGPジュニア1位、2016年YAGPファイナリスト、Variation Ballet School)
西岡憲吾さん (ベオグラード劇場バレエ団、2016年ヘルシンキ国際コンクール3位)
金世友さん (2016年ローザンヌ国際コンクールファイナリスト、スウェーデン王立バレエ研修生)
立川 透子さん (福谷葉子バレエスタジオ)
稲生麻綸さん (リュブリャナ・バレエ)
池田絢音さん (一柳多鶴バレエ学園)
根岸茉矢さん (ロイヤル・バレエ・スクール、シビウ劇場入団予定)

他の主な出場者
ポール・マルク (パリ・オペラ座バレエのコリフェ)
ジョイ・ウーマック(クレムリン・バレエ)
ジュリエット・ドハーティ(2012年YAGPジュニア金賞)
プリスカ・ザイツェル (ウィーン国立バレエ)
ルー・シュピヒティク (チューリッヒ・バレエ、2015年ローザンヌ国際コンクール観客賞)
Sophia Lucia (アメリカン・ダンス・アイドルに出演し、instagramのフォロワーが150万人いる)
Amber Chiarcosso (パリ・オペラ座バレエ期間契約団員)


漏れている人もいるかもしれませんが、こんな感じです。また間違いなどがあったら、ご指摘いただけるとありがたいです。

なお、ヴァルナ国際コンクールは、ライブストリーミングでコンクールの様子を見ることができます。
http://www.tv1channel.org/index.php/livetv

二山さん新たなるチャレンジ バルナ国際コンクール出場
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160703/KT160702ATI090027000.php

コンクールは7月15日より30日まで開催されます。1回戦、準決勝、決勝とあり、長丁場となっております。

シニア部門の出場者の条件は、開催日までに19〜25歳であることです。最終の3ラウンドまで、クラシックやコンテンポラリーなど計7曲を踊れるよう準備しなければならないなど、非常に過酷なコンクールです。

今年の審査員は、審査委員長にウラジーミル・ワシーリエフ。バレエ・ニース芸術監督のエリック・ヴ・アン、マリインスキー・バレエ極東ステージ芸術監督のエルダー・アリエフ、バレエ・シャンブルウェスト芸術監督の今村博明さん、テアトロ・コロン芸術監督のマキシミリアーノ・グエラ、振付家のラドゥ・パクリタル、中国国立バレエ芸術監督のファン・インなどです。

ヴァルナ国際コンクールについて語る、左右木健一さんのインタビュー
http://www.sylvia.co.jp/varna/interview_souki.html

ヴァルナ国際コンクールに出場しているジョイ・ウーマックのビデオブログ (ヴァルナの街や、リハーサルする映像など)

2016/07/14

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の昇進/入団発表

パリ公演「海賊」も好評だった、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の昇進/入団発表がありました。

http://blog.ballet.org.uk/promotions-and-new-joiners-2016-2017/

加瀬栞さんがプリンシパルに昇進したことはすでに発表されています。また、同じくシーズン途中の昇進としては、ローレッタ・サマースケールズもプリンシパルに昇進しています。

パリ公演で大絶賛を浴び、またバレエ団内のコンクール、エマージングダンサーで優勝し観客賞も獲得したセザール・コラレスがファースト・アーティストからファースト・ソリストに2段階昇進しました。コラレスは2014年に入団したばかりですが、YAGPのグランプリ受賞者でもあり、世界的なスターになる才能があると言われています。

また、猿橋賢さんがジュニア・ソリストに、Barry Drummond、Stina Quagebeur、Jinhao Zhangの3人がファーストアーティストに、そして金原里奈さんが研修生から正式入団となりました。やはりエマージングダンサーに出場して大健闘した金原さんは、今年のヴァルナ国際コンクールに出場する予定です。

入団者としては、スペイン国立ダンスカンパニーからAitor Arrieta がジュニア・ソリストとして移籍、既にシーズン途中から出演していたGeorgia Bould、イングリッシュ・ナショナル・バレエスクールを卒業したばかりの鈴木絵美里さん、 Giorgio Garrett(ナショナル・バレエ・オブ・カナダの研修生)、ルーマニア国立バレエよりFrancesca Velicu、そしてシーズン途中からやはり出演していた、ロイヤル・バレエスクール出身のConnie Vowlesの6人です。

退団者としては、赤星慶さん、Désirée Ballantyne, Naomi Bottomer, Josephine Frick そしてベルリン国立バレエにプリンシパルとして移籍するクセニア・オフシャニクがいます。赤星さんは13年間ENBで活躍し、昨年12月にすでに退団していたようです。クセニア・オフシャニクは、2013年にブノワ賞にノミネートされていました。

ソリストに昇進した猿橋賢さんは、昨年のオーチャード・バレエ・ガラに出演されていましたね。「海賊」ではランケデム役を踊っています。

鈴木絵美里さんは、アクリ・堀本バレエアカデミーで学び、2013年にローザンヌ国際コンクールに出場している日英ハーフの方です。ENBスクールからENBに入団したのは彼女一人でした。ロイヤル・バレエスクールもそうですが、英国のバレエ団に入団するのは最近では非常に狭き門のようです。

ENBはNBS招聘で来日公演が予定されており、このように日本人ダンサーも活躍しているので観られるのが楽しみです。

2016/07/13

NYCBのパリ公演、arteでネット中継

ニューヨークシティバレエ(NYCB)は、現在パリのシャトレ座にて公演を行っています。

http://chatelet-theatre.com/fr/event/new-york-city-ballet

Les Étés de la Danseというシャトレ座でのゲストカンパニーを迎えての恒例の公演で、6月28日から7月16日まで公演が行われています。バランシン・プロと、ウィールドン、ラトマンスキー、ペックという現代の振付家の作品のプログラムが上演されています。バランシン本家ならではの上演ということで、パリの批評家やバレエファンも大絶賛しています。

そのNYCBのバランシンプロ、最終日の公演がarteでネット中継されます。

http://concert.arte.tv/fr/balanchine-new-york-paris-au-theatre-du-chatelet


中継日は、7月16日(土)、パリ時間夜20時からなので、日本では日曜早朝、午前3時という辛い時間です。ただし、通常arteでの中継は3か月くらいアーカイヴを残してくれるので、後日でも視聴できるかもしれません。あと、ジオブロックがかかる可能性もありますが、これは回避する方法もあります。

プログラムは以下の通りです。

Walpurgisnacht Ballet - George Balanchine 「ワルプルギスの夜」
Sonatine - George Balanchine 「ソナチネ」
La Valse - George Balanchine 「ラ・ヴァルス」
Symphony in C - George Balanchine 「シンフォニー・イン・C」

キャスト
WALPURGISNACHT BALLET: Mearns, Danchig-Waring, Lovette, Segin, Villwock
pause
SONATINE: M. Fairchild, De Luz [Solo Piano: Chelton]
pause
LA VALSE: Hyltin, J. Angle, Ramasar, Ippolito, King, Carmena, Isaacs, Suozzi, Laracey, Catazaro, Smith, Muller,
Anderson
SYMPHONY IN C: T. Peck, Veyette, Reichlen, T. Angle, Pereira, Huxley, Pollack, Stanley

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