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2017/03/24

映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』のプロモーションのためセルゲイ・ポルーニンが来日

映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』7/15(土)の公開に先駆けて、セルゲイ・ポルーニン来日が決定しました。

http://www.uplink.co.jp/dancer/

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4/27(木)東京藝術大学奏楽堂
映画上映+パフォーマンス+トーク(w/箭内道彦氏)

4/1(土)10時チケット発売

日時 2017年4月27日(木)18:30開場/19:00開映
会場
東京藝術大学奏楽堂
上映作品 映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』(85分)
出演
セルゲイ・ポルーニン プレゼンテーター:箭内道彦
料金
¥2,500(全席指定)
チケット発売
2017年4月1日(土)AM10:00 イープラスチケットぴあ

映画上映終了後にYouTubeで1900万回以上再生された「Take Me To Church」のパフォーマンスとトークを行うそうです。

本予告編も配信開始。
公開日も7月15日(土)Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館に正式決定となりました。

私もこの作品の劇場用パンフレットに寄稿している関係で、試写を拝見しました。

セルゲイを一流のダンサーにするために家族は出稼ぎしてまで必死に働き、彼はロイヤル・バレエスクールに入学して天才ぶりを発揮します。が、結局両親は離婚し、家族はバラバラとなってしまいました。家族と一緒に過ごすために努力してきたセルゲイの心は折れてしまい、ロイヤル・バレエ入団後も成功を収めて男性では史上最年少のプリンシパルとなりますが、目標を見失い、そして電撃退団…天才的な才能を持つことが一種の呪いとなってしまい、踊ることが楽しく思えなくなり、そして孤独とプレッシャー、母親との葛藤。セルゲイの幼少期から現在に至るまでふんだんに踊る映像も盛り込まれ、見所がたくさんある作品ですが、ダンサーというのはいかに辛く厳しく孤独な職業であるかということを思い知らされた次第です。バレエファンのみならず、多くの若い人に観てもらいたい作品です。

そのセルゲイ・ポルーニンを生で観ることができるチャンスは見逃せませんね。2012年の「アリーナ・コジョカル・ドリーム・プロジェクト」で来日して以来の日本へのお目見えです。

セルゲイ・ポルーニンは、3月14日から18日まで、サドラーズ・ウェルズ劇場にてProject Poluninという公演を行いました。共演はナタリア・オシポワほかで、自身の振付作品Narcissus and Echoも初演されました(デヴィッド・ラシャペルらと共同制作)。批評家からは辛口の批評がほとんどだったものの、チケットはソールドアウトで彼の人気のほどを証明しました。

「アシュトン・セレブレーション」のDVD。タマラ・ロホとセルゲイ・ポルーニンの「マルグリットとアルマン」が収められています。

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リンカーンセンターフェスティバルに、勅使川原三郎&オーレリー・デュポン出演

ニューヨークのリンカーンセンターで毎年夏に開催されるリンカーンセンターフェスティバル。

http://www.lincolncenter.org/lc-festival/

今年は7月10日~30日に開催されます。演劇、音楽、ダンスなど様々なジャンルの芸術パフォーマンスが行われます。昨年は、宝塚歌劇団が「シカゴ」を上演しました。

7月13日から15日には、ローズ・シアターにおいて、勅使川原三郎さん振付の「Sleeping Water」が上演されます。

http://www.lincolncenter.org/lc-festival/show/saburo-teshigawara-karas

この「Sleeping Water」は、2014年夏に上演された「睡眠―Sleep」に、「ミズトイノリ」の要素も加えてアップデートした作品とのことです。今年の2月には、フランスのマルティーグでも上演されました。

出演は、勅使川原三郎さん、佐東利穂子さん、鰐川枝里さん、加藤梨花さんのKARASメンバーに加え、東京バレエ団の岡崎隼也さん。そしてパリ・オペラ座バレエ芸術監督のオーレリー・デュポンも出演します。オーレリー・デュポンは、「睡眠―Sleep」にも出演していたので、今回はどのような踊りを見せてくれるのでしょうか。

ローズホールは、リンカーンセンターといっても実際には、コロンバスサークルにあるタイムワーナーセンターの5階に位置しています。
http://www.lincolncenter.org/venue/rose-theater

勅使川原三郎さんとオーレリー・デュポンといえば、パリ・オペラ座バレエの来シーズンにも、勅使川原三郎さんの新作が上演される予定です(10月25日~11月16日)。以前勅使川原さんがオペラ座で振付けた「Darkness is Hiding Black Horses」も、オーレリー・デュポンが出演しており、勅使川原さんにデュポンの信望は厚いようですね。
https://www.operadeparis.fr/en/season-17-18/ballet/balanchine-teshigawara-bausch

*****
なお、リンカーンセンターフェスティバルの目玉としては、バランシンの『ジュエルズ』の上演があります。
http://lincolncenter.org/lc-festival/show/jewels-2?_ga=1.250942464.707936068.1487876770

これは、パリ・オペラ座バレエ、ボリショイ・バレエ、ニューヨークシティ・バレエが共演するということで大きな話題を呼んでいます。7月20日と22(昼夜)日は、「エメラルド」をオペラ座、「ルビー」をNYCB、「ダイヤモンド」をボリショイが踊ります。21日と23日は、「エメラルド」をオペラ座、「ルビー」をボリショイ、「ダイヤモンド」をNYCBが踊るという趣向となっています。

さらに、ボリショイ・バレエは、リンカーンセンターで、マイヨー振付『じゃじゃ馬馴らし』も上演します。7月26日~30日の6公演です。
http://lincolncenter.org/lc-festival/show/bolshoi-ballet

2017/03/23

新国立劇場バレエ団 2017/2018シーズンバレエ公演の主役キャスト追加決定

2017/2018シーズンバレエ公演の主役キャスト追加決定と追加公演決定のお知らせが発表されていました。

また、「シンデレラ」公演は12月20日(水)13:00開演公演の追加公演が決定しました。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_010016.html

2017年10月~11月「くるみ割り人形」

10月28日(土) 14:00 【クララ】小野絢子 【王子】福岡雄大
10月29日(日) 14:00 【クララ】米沢 唯  【王子】井澤 駿
10月31日(火) 13:30  【クララ】池田理沙子  【王子】奥村康祐
11月3日(金・祝) 13:00 【クララ】米沢 唯     【王子】ワディム・ムンタギロフ
11月3日(金・祝) 18:00 【クララ】小野絢子 【王子】福岡雄大
11月4日(土) 14:00 【クララ】木村優里  【王子】渡邊峻郁
11月5日(日) 14:00  【クララ】米沢 唯 【王子】ワディム・ムンタギロフ

※なお、10月31日公演は貸し切りのために一般発売なし


2017年12月「シンデレラ」
12月16日(土) 13:00 【シンデレラ】米沢 唯 【王子】井澤 駿
12月16日(土) 18:00  【シンデレラ】小野絢子 【王子】福岡雄大
12月17日(日) 14:00 【シンデレラ】柴山紗帆 【王子】渡邊峻郁
12月20日(水) 13:00 【シンデレラ】未定 【王子】未定
12月22日(金) 19:00 【シンデレラ】小野絢子 【王子】福岡雄大
12月23日(土・祝) 13:00 【シンデレラ】米沢 唯 【王子】井澤 駿
12月23日(土・祝) 18:00 【シンデレラ】木村優里 【王子】中家正博
12月24日(日) 14:00   【シンデレラ】未定   【王子】奥村康祐


2018年1月「ニューイヤー・バレエ」
<主な出演者(全日程出演)>
 小野絢子、米沢 唯、寺田亜沙子、池田理沙子、奥田花純、木村優里、柴山紗帆、細田千晶
 奥村康祐、菅野英男、福岡雄大、井澤 駿、福田圭吾、木下嘉人、中家正博、渡邊峻郁


2018年2月「ホフマン物語」
2月9日(金) 19:00 【ホフマン】福岡雄大 【オリンピア】池田理沙子 【アントニア】小野絢子 【ジュリエッタ】米沢 唯
2月10日(土) 14:00 【ホフマン】菅野英男 【オリンピア】柴山紗帆 【アントニア】未定 【ジュリエッタ】本島美和 
2月11日(日・祝)14:00 【ホフマン】井澤 駿 【オリンピア】奥田花純 【アントニア】米沢 唯 【ジュリエッタ】木村優里


2018年4月~5月「白鳥の湖」
4月30日(月・祝) 14:00 【オデット/オディール】米沢 唯 【ジークフリード】井澤 駿
5月3日(木・祝) 13:00 【オデット/オディール】米沢 唯 【ジークフリード】井澤 駿
5月3日(木・祝) 18:00 【オデット/オディール】小野絢子 【ジークフリード】福岡雄大
5月4日(金・祝) 14:00 【オデット/オディール】木村優里 【ジークフリード】渡邊峻郁
5月5日(土・祝) 14:00 【オデット/オディール】未定  【ジークフリード】奥村康祐
5月6日(日) 14:00    【オデット/オディール】小野絢子 【ジークフリード】福岡雄大

2018年6月「眠れる森の美女」
6月9日(土) 14:00  【オーロラ姫】米沢 唯 【デジレ王子】井澤 駿
6月10日(日) 14:00 【オーロラ姫】未定 【デジレ王子】未定
6月16日(土) 13:00 【オーロラ姫】未定 【デジレ王子】未定
6月16日(土) 18:30 【オーロラ姫】小野絢子 【デジレ王子】福岡雄大
6月17日(日) 14:00 【オーロラ姫】未定 【デジレ王子】未定

*やむを得ない事情により出演者等が変更になる場合がございます。
未定部分のキャストについては決定次第、発表いたします。


『くるみ割り人形』にワディム・ムンタギロフがゲスト出演するのは嬉しいのですが、新しい抜擢がなくて、どうも面白みに欠けるキャスティングです。せっかくプリンシパルに昇格した奥村さんの相手役がほとんど決まっていなかったり。主役を踊る実力があり、主役を踊ったことがある細田千晶さんや中家正博さんといった実力派の名前が、いまのところないのが残念ですよね。
また、小野絢子さんと福岡雄大さん、米沢唯さんと井澤 駿さんという組み合わせて固定されているのも(米沢さんはムンタギロフとも踊りますが)、良いパートナーシップとは思いつつ、別のバートナーと組んだところも観てみたいと思っています。


3月18,19日に中劇場で上演された中村恩恵さん振付『ベートーヴェン・ソナタ』は、新国立劇場バレエ団の中でも実力ある豪華キャストを揃え、全幕の新作に挑んだ意欲的な作品でした。作品自体の完成度も高くてダンサーそれぞれの魅力も生かされ、またチケットの売れ行きも大好評でした。このような演目が来シーズンになくて、『シンデレラ』と『眠れる森の美女』は今シーズンのリピートなのは残念なことです。来来シーズンに期待しましょう。

チャコットのYouTubeチャンネルにアップされている、小野絢子さん、寺田亜沙子さん、細田千晶さん、玉井るいさん、益田裕子さんの美しいバーレッスンとセンターの動画。惚れ惚れするほど美しいです

2017/03/22

英国ロイヤルオペラハウスシネマシーズン2016/17 「ウルフ・ワークス」

英国ロイヤルオペラハウスシネマシーズン2016/17、ロイヤル・バレエ『ウルフ・ワークス』が、3月31日より劇場公開されます。

http://tohotowa.co.jp/roh/movie/woolf_works.html

試写で拝見しました。

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オリビエ賞ほかに輝いたウェイン・マグレガー振付による舞台の再演!

マックス・リヒターの音楽が、ヴァージニア・ウルフの小説にインスパイアされた3つのバレエをつなぎ合わせる。

気鋭の振付家ウェイン・マグレガーによるバレエ三部作『ウルフ・ワークス』は、ヴァージニア・ウルフの小説にインスパイアされ、2015年に初演。より自由で個性的で現代的なリアリズムを追及した革新的なバレエは、批評家協会賞の最優秀クラシック振付賞、ローレンス・オリヴィエ賞の最優秀ニュー・バレエ賞を受賞。

ヴァージニア・ウルフの3つの小説——『ダロウェイ夫人』、『オーランドー』、『波』、そしてウルフ自身の手紙、エッセイ、日記にインスパイアされた3つのバレエは、ウェイン・マグレガーにとって、ロイヤル・バレエで初めての全長作品となる。電子音楽と管弦楽がとけあった音楽に心を揺さぶられ、作曲家マックス・リヒターによる美しい旋律が舞台を包み込む。

【振付】ウェイン・マグレガー
【音楽】マックス・リヒター
【指揮】クン・ケッセルス
【出演】アレッサンドラ・フェリ/サラ・ラム/ナタリア・オシポワ/高田茜/スティーヴン・マックレー
【上映時間】3時間8分

『ウルフ・ワークス』は、21世紀の物語バレエの代表作の一つと言っていいほどクオリティの高い作品なのだが、ヴァージニア・ウルフの作品や人生を知らないとややわかりにくい面がある。『ダロウェイ夫人』、『オーランドー』、『波』を全部読む必要はないと思うけど、あらすじ、そして『ダロウェイ夫人』の登場人物についての知識があったほうが間違いなく楽しめるので、予習していった方が良いと思う。

『ウルフ・ワークス』は3部で構成されている。
第一部「I now, I then」は、『ダロウェイ夫人』をモチーフにしている。
出演:アレッサンドラ・フェリ、ギャリー・エイヴィス、フェデリコ・ボネッリ、ベアトリス・スティクス=ブルネル、フランチェスカ・ヘイワード、エドワード・ワトソン、高田茜、カルヴィン・リチャードソン

ヒロインの社交界の花形夫人クラリッサ・ダロウェイ役はアレッサンドラ・フェリで、彼女の若き日を演じるのはベアトリス・スティクス=ブルネル。友人サリーは可憐で光り輝くようなフランチェスカ・ヘイワード、若い日の恋人ピーター・ウォルシュ役にフェデリコ・ボネッリ、戦争の幻影と友人の死に苦しむセプティマスにエドワード・ワトソン、死んだ友人エヴァンスにカルヴィン・リチャードソン、そして夫を演じるのはギャリー・エイヴィス。時制は常に変化し、過去と現在が交錯する。

アレッサンドラ・フェリが、驚くべき身体能力と圧倒的な表現力を見せてくれた。あり得ない方向に身体が動いたりするマクレガーの振付もなめらかにこなし、引退前と変わらない美しい身体のラインと強靭な踊りで、クラリッサの心境を繊細に伝えている。初演の時にはクラリッサと同じ52歳だったフェリは、大きく深い黒い瞳、成熟したキャラクターでこの役ははまり役。フェリ演じるクラリッサが友人サリー、フランチェスカ・ヘイワードにキスをする、妖艶で美しいシーンは特に印象的。若き日の恋人ピーターに再会してざわつく心理描写も見事。また、セプティマス役のエドワード・ワトソンが、戦死した友人エヴァンス(カルヴィン・リチャードソン)と踊るデュエットも、マクレガー作品を得意とする柔軟な肢体を持つワトソンならではの表現を観ることができる。大きな役ではないものの、1920年代風のレトロなヘアスタイルで装った高田茜さんもしなやかで美しい。マックス・リヒターの音楽、シンプルなセット、陰影のはっきりした照明も美しく、コンテンポラリーな振付でありながら物語性と情感が豊かで、心に残るパートだ。

第二部「Becomings」は、「オーランド」が原作。エリザベス朝に生まれた青年貴族オーランド―が、途中で女性に変身し、社交界で活躍し、文学者となって20世紀まで女性として生きるという作品で、サリー・ポッター監督の映画作品でも有名。

ここでは、ストーリーそのものはほとんど語られず、振付はマクレガーのスタイルを最も踏襲して激しく猛烈なスピードで、複雑なパートナーリングが観られる。スモークが炊かれた中、レーザー光線を使った照明、一風変わったメイクアップ(眉毛をつぶしているので顔を判別するのはなかなか大変)、エリザベス・カラーをつけたヴィクトリア時代的な華麗な衣装も登場する。ナタリア・オシポワのソロから始まり、彼女とスティーヴン・マックレーのパ・ド・ドゥへ。オシポワの身体能力の高さとスピード感はこの作品にうってつけ。マックレーとサラ・ラムのパ・ド・ドゥ、また高田茜さんもここでも登場してエドワード・ワトソンと踊る。金色に輝くヴィクトリアン衣装をまとったエリック・アンダーウッドも印象的。時代を超え、性別を超越したオーランドーの人生が、SF的なタッチで描かれている。

第三部Tuesday」は、『波』が原作。名優マギー・スミスがこの散文小説からの一説を朗読した録音が流れ、そしてヴァージニア・ウルフ自身の、溺死による自殺を図った時に書かれた遺書も(ジリアン・アンダーソンの声で)読まれる。水、波のイメージの振付を踊る群舞の前でのヴァージニア・ウルフ=フェリのソロ、そしてフェデリコ・ボネッリとサラ・ラムの踊りやサラ・ラムとフェリの踊り。人生の記憶が走馬灯のように駆け抜けていく中、ついにフェリは波に覆われて死を迎える。一転して静かな世界となっているのだが、バックで踊る群舞の動きは激しい。

ヴァージニア・ウルフの人生や小説のあらすじを理解していないとわかりにくい部分があるとはいえ、彼女の小説世界を全幕の現代的な物語バレエに作り上げるというマクレガーの意欲的な試みは見事に実を結んだと言える。何よりも、ヴァージニア・ウルフの分身としてのフェリを得たことが成功の最大の要因。また、ウズマ・ハメドというドラマトゥルグの力を得てしっかりと構成を練り、それに基づいて振付を行ったこと、この作品に委嘱されたマックス・リヒターの美しく効果的な音楽、ルーシー・カーターの照明、衣装と合わせ、総合芸術としての完成度が高い。このような大胆な試みをできるのが、今のロイヤル・バレエの強みなのだと実感した。

幕間のインタビューでは、ウェイン・マクレガー、作曲のマックス・リヒターのインタビューがあり、それぞれ興味深かった。マクレガーの作品の大部分は、プロットレスのコンテンポラリー作品だが、彼に言わせればストーリーのないバレエはないとのこと。あのような作風でも、雄弁で豊潤な物語バレエを作ることができるというのが、この作品の大きな発見だった。3つの幕が、それぞれ全く違った表現を使っていて変化があるもかかわらず統一感もあり、ヴァージニア・ウルフという作家の人生とその登場人物に多面的に光を当てて、心の奥底に訴えさせることに成功している。

最新作品で、なかなか来日公演には持っていきづらそうな作品を、日本で映画館で観られるのは本当に嬉しい。(オーストラリア・ツアーでロイヤル・バレエは「ウルフ・ワークス」を上演するとのことだが)


キャスト、リハーサルの写真など、詳しい情報を掲載したデジタル・プログラム。FREEWOOLFのコードで、無料で閲覧できる。
http://www.roh.org.uk/publications/woolf-works-digital-programme

「ウルフ・ワークス」マックス・リヒターの音楽もCDとして発売される。音楽だけで聴いても素晴らしいので、映画上映を観て気に入った方はぜひ。

3つの世界:ウルフ・ワークス(ヴァージニア・ウルフ作品集)より3つの世界:ウルフ・ワークス(ヴァージニア・ウルフ作品集)より
リヒター(マックス)

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マリインスキー・バレエ夏のロンドン公演のキャスト

マリインスキー・バレエは、今年の夏、7月24日から8月12日までロンドン公演をロイヤル・オペラハウスで行います。

http://www.roh.org.uk/about/mariinsky

この公演のキャストが発表されていました。

「ドン・キホーテ」

7月24日 テリョーシキナ、キム
7月25日 バトーエワ、スチョーピン
7月26日 シャキロワ、シクリャーロフ
8月2日(マチネ) エフセーエワ、エルマコフ
8月2日(ソワレ) マトヴィエンコ、アスケロフ


「白鳥の湖」

7月27日 スコーリク、パリッシュ
7月28日 コンダウーロワ、イワンチェンコ
7月29日(マチネ) オスモルキナ、ラティポフ
7月29日(ソワレ) マトヴィエンコ、アスケロフ
7月31日 テリョーシキナ、シクリャーロフ
8月1日 チェビキナ、パリッシュ
8月2日 スコリーク、キム
8月7日 オスモルキナ、スチョーピン

「アンナ・カレーニナ」

8月3日 ヴィシニョーワ、ズヴェレフ
8月4日 テリョーシキナ、シクリャーロフ

カルメン組曲(アロンソ)、インフラ(マクレガー)、パキータ グラン・パ(プティパ)
8月8日
ヴィシニョーワ、ズヴェレフ、イワンチェンコ、コンダウーロワ、マトヴィエンコ、テリョーシキナ、バトーエワ、セルゲーエフ、スチョーピン、エルマコフ、キム、トカチェンコ、シクリャーロフ
8月9日
コンダウーロワ、アスケロフ、ベリャコフ、マトヴィエンコ、シャキロワ、バトーエワ、セルゲイエフ、スチョーピン、エルマコフ、キム、トカチェンコ、パリッシュ

「ラ・バヤデール」

8月10日 スコリーク、キム、マトヴィエンコ
8月11日 テリョーシキナ、シクリャーロフ、バトーエワ
8月12日(マチネ) スコーリク、エルマコフ、エフセーエワ
8月12日(ソワレ) コンダウーロワ、アスケロフ、オスモルキナ

怪我をしているというロパートキナの出演は今回はありません。

「白鳥の湖」では、エカテリーナ・オスモルキナが2回主演するというのが目を引きます。実はオスモルキナは以前ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」に主演しており、高い評価を得ました。(その時は、彼女はまだマリインスキー・バレエでは「白鳥の湖」に主演していま円でした)ベテランで、実力が高いのになかなかプリンシパルに上がれない彼女ですが、もしかしたら次のプリンシパルは彼女かもしれません。


2017/03/21

ローザンヌ国際バレエコンクール2017の入賞者の行き先

ローザンヌ国際バレエコンクール2017の入賞者の行き先が発表されています。

http://www.prixdelausanne.org/the-prize-winners-2017-their-choices/

1. Michele Esposito (イタリア) オランダ国立バレエジュニアカンパニー

2. Marina Fernandes da Costa Duarte (ブラジル) ミュンヘン・バレエ

3.中尾太亮 (日本) ロイヤル・バレエ・スクール

4.山元耕陽 (日本) チューリッヒ・ダンス・アカデミー

5. Lauren Hunter (米国) ロイヤル・バレエ・スクール

6. Stanislaw Wegrzyn (ポーランド) ロイヤル・バレエ (研修生)

7. Diana Georgia Ionescu (ルーマニア) シュツットガルト・バレエ (研修生)

8. Sunu Lim (韓国) スカラシップを辞退、代わりにFangqi Li (中国) ABTスタジオカンパニー(研修生)

皆さまおめでとうございます。

振付家トリシャ・ブラウン逝去

ポスト・モダンダンスの旗手、振付家で、トリシャ・ブラウン・カンパニーを率いているトリシャ・ブラウンが亡くなったと、カンパニーのサイトとニューヨークタイムズに訃報が掲載されました。

https://www.trishabrowncompany.org/

Trisha Brown, Choreographer and Pillar of American Postmodern Dance, Dies at 80
https://mobile.nytimes.com/2017/03/20/arts/dance/trisha-brown-dead-modern-dance-choreographer.html

トリシャ・ブラウンは、3月18日にサンアントニオで逝去しました。享年80歳。2011年以来、脳血管性認知症の治療を受けていたそうです。2012年12月に、2011年に振付けた2つの作品が最後のものであると発表されていました。

30年以上にわたって、トリシャ・ブラウンは振付家として国際的に活躍しました。パリ・オペラ座バレエに作品を振付け、ミハイル・バリシニコフとコラボレーションを行い、ロバート・ラウシェンバーグなどのビジュアルアーティストに舞台美術を依頼するなど幅広く活動していました。彼女ほどの影響力が大きく、ダンスの知性と官能的な面を組み合わせたクリエーターは少なかったとされています。21世紀にいたるまで、主にニューヨークで発表された彼女の作品は、モダンダンスの創造者たちの新世代を作り上げることに貢献しました。

1983年の『セット・アンド・リセット』でアメリカだけでなく、ヨーロッパでも高い評価を得ました。音楽はローリー・アンダーソン、舞台美術はロバート・ラウシェンバーグに委嘱したこの官能的な作品は、ポスト・モダンダンス作品ではもっとも愛された作品の一つです。

1988年にフランス政府はトリシャ・ブラウンにレジオン・ドヌール勲章のシェヴァリエを授与。2000年には同勲章のオフィシエ、2004年にはコマンドゥールを授与されました。

トリシャ・ブラウンは1936年11月25日にワシントン州に生まれました。1961年にニューヨークに拠点を移し、ジャドソン・ダンス・シアター・グループの創設メンバーに加わります。共に活動したデヴィッド・ゴードン、スティーヴ・パクストン、イヴォンヌ・レイナー同様、超絶技巧、アカデミックなテクニック、演技、音楽性といったマーサ・グレアムなどが切り開いたモダンダンスの特徴(バレエの影響も)を遮断した作品を創造しました。

1970年には自らのトリシャ・ブラウン・カンパニーを設立。これらの年代においては、ブラウンは、通常考えられない場所において、音楽なしの作品を創造しました。1970年代終わりまで、「ポスト・モダンダンス」という言葉は確立されておらず、後年になって、ブラウンやジャドソン・ダンス・シアターグループのメンバーたちがモダニズムの過激さの中にダンス界をリードしていたことが認識されています。

ブラウンが尊敬していた振付家マース・カニンガムは、ダンスを音楽とデザインから独立した存在としました。そして彼女は、さらにそれを進めてダンスを技術の負荷から自由なものとし、70年代には音楽の伴奏なしでそれを見せたのです。これが「デモクラティック・ダンス」であり、新しいコンビネーションを使っているにもかかわらず、ダンスの訓練を受けていない平均的なダンサーができる動きで構成されていました。いくつかのダンスは裸足で上演され、他のダンスはスニーカーでの上演でした。

1971年にブラウンが振付けた歴史的な3作品は、その題名だけで内容を物語っています。『建物の壁を歩く』『ルーフ・ピース』『累積』。『建物の壁を歩く』は、ダンサーがハーネスで吊るされて壁の間を歩く作品、『ルーフ・ピース』はソーホーの10のブロックにおける12の屋根の上にダンサーたちを広げ、重力を使って反重力に挑みました。『累積』は、動きの単位が一つずつ加算されては元に戻って反復される、正確なカウントと記憶を要求する数学的なシステムに従った作品です。これらの作品に体現されたその時代の実験的なダンスは、従来の美学に対抗するものでありましたが、ブラウンは、新時代の巨匠となったのです。

バービカン・センターで『建物の壁を歩く』が上演された時の映像

しかし1979年からは方向性を転換し、新しいダンスシアターの形態を作り上げます。ラウシェンバーグのようなデザイナーとコラボレーションし、ローリー・アンダーソンやほかの音楽家のスコアを使い、今までの純粋さを新しい演劇性のなかに転換する魅惑的で新奇な作品群を振付けました。「なぜ音楽のない作品を振付けるのをやめたのですか?」と問われ、「観客が咳をするのを聞くのにうんざりしたからよ」と彼女は答えました。

80年代に振付けた作品群は、大きな熱狂を呼びました。これらの作品は発明的な振付に基づく純粋なダンスの創造ではあったのですが、音楽、衣装や舞台芸術によって、演劇性も持ち、視覚効果や音楽によって強い雰囲気を持ちました。

特に『セット・アンド・リセット』は、ブラウンに新しい世界的な名声をもたらし、彼女のカンパニーはニューヨークのシティ・センター、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で定期的に公演を行い、フランスのダンス界でも高い人気を獲得しました。そしてこのスタイルは、2011年の最後の作品『I’m going to toss my arms — if you catch them they’re yours』まで維持されました。この作品は、夫バート・バーが舞台美術を担当し、アルヴィン・カランの音楽を使用していました。バート・バーは昨年11月に亡くなっています。

1980年代末からは、ブラウンは次のフェーズ、クラシック音楽との新しい関係を築きます。モンテヴェルディ、バッハ、シューベルト、ラモー、ビゼーの音楽を使いながらも、彼女の音楽への反応は音楽性においても演劇性においても、型にはまったものとは違っていました。2002年にはシューベルトの『冬の旅』を振付けましたが、バリトンのスター歌手、サイモン・キーンリーサイドが出演し、素晴らしい動きを見せました。

ブラウンはダンサーとしても非常に優れていました。1989年にミハイル・バリシニコフがバレエからアメリカのモダンダンスを探求することに方向転換した際に、彼はブラウンとコラボレートすることを好みました。『You Can See Us』(1996)では、二人はデュエットを踊り、バリシニコフは前を向いていますが、ブラウンは観客に背を向けたまま動きませんでした。

2011年が彼女の最後の活動となるというニュースは、2009年のマース・カニンガムの死と2011年12月に彼のカンパニーが解散するというニュースと共に、一つの時代の終わりを告げました。それまでにブラウンは100以上の作品を振付け、多くは映像として収録されています。彼女のカンパニーの今後の計画も発表されていました。

2016年1月に、ブルックリン・アカデミー・オブ・アーツ(BAM)が彼女のカンパニーの「プロセニアム」シリーズ最後の公演を行いました。2015年以降、「In Plain Site」というシーズンはいくつかの特別の場所で開催され、彼女のレパートリーからダンスの抜粋を作り、様々なダンスを観るためにいろんな部屋を歩く回るように観客に求めるという形で上演されています。これはブラウンのアイディアによるものです。

1980年代以降、ブラウンの作品は他のカンパニーでも上演されてきました。『セット・アンド・リセット』は、フランスのダンスを学ぶ学生の学校カリキュラムに加えられています。パリ・オペラ座バレエでは、『O zlozony / O composite』(2004)が委嘱され、レパートリー入りしています。

トリシャ・ブラウン・カンパニーは引き続き、旺盛な活動を行っています。
しかしながら、ブラウンの作品を分析するのは難しく、20世紀のカジュアルな舞踊言語を知らない世代にとっては、彼女の作品の舞踊言語は理解しにくいものであるかもしれません。すべてのダンスの遺産は脆弱であり、彼女の作品についてもそうかもしれません。

パリ・オペラ座のダンサーたちが2013年に名作「Glacial Decoy」(1979)をリハーサルする様子を捉えたドキュメンタリー映画「IN THE STEPS OF TRISHA BROWN」が製作され2017年2月にプレミアを迎えたばかり、現在各地の映画祭で上映されています。
http://icarusfilms.com/new2017/trisha.html

ダンス界は偉大なアーティストを失いました。

トリシャ・ブラウン「ダブル・ビル」は、クラシカ・ジャパンでかなり頻繁に放映されています。これはリヨン・オペラ・バレエのダンサーが『M.G.へ:映画』(1991年)『ニューアーク』(1987年)を踊っている映像です。
http://www.classica-jp.com/program/detail.php?classica_id=CNT1402

桜井圭介さんによる「 トリシャ・ブラウン初期作品集 1966-1979 」
http://d.hatena.ne.jp/sakurah/20160320/p1

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2017/03/20

3/18 ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ Aプロ

ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ Aプロ
東京文化会館 

http://www.tbs.co.jp/event/nina-ananiashvili/

ニーナ・アナニアシヴィリの最後のクラシック・ガラと銘打たれたこの公演、ニーナが観客に寄せる愛、12年間育てて来たジョージア国立バレエに寄せる愛、そして観客からニーナへの愛と、深い愛に包まれた温かい舞台だった。ガラ公演と言いつつ、Aプロについては幕を丸ごと見せてくれて、立派な舞台装置、コール・ド・バレエもついたパフォーマンスなので、全幕を観たような充実感があった。


第一部
『白鳥の湖』より 第2幕・4幕

 オデット     ニーナ・アナニアシヴィリ
 ジークフリード マルセロ・ゴメス(アメリカン・バレエ・シアター)
 ロットバルト   ダヴィッド・アナネリ

昨年夏のオールスター・ガラではふっくらしていたニーナだったが、今回の公演のために体型も絞られており、オデットの衣装が良く似合う。甲の出た美しい足先、脚のラインの美しさ、そして彼女のトレードマークである、柔らかく波打つような腕使いは健在。コーダのアントルシャや連続パッセ、ピケターンも見事なもので技術的な衰えはほとんど感じられない。これで今月54歳になるとはとても思えない。わずかに、背中の柔軟性が少しだけ失われているくらいだ。何より、ニーナの白鳥は台詞が聞こえてくるくらい情感豊かで、ドラマティックで、オデットなのに温かみを感じさせてくれる。パートナーのマルセロ・ゴメスの優しく紳士的なサポートで二人の心が通じ合っているのが感じられるのも大きい。4幕も終幕まで上演してくれたので、「白鳥の湖」の全幕を観たような満足感があった。おなじみアレクセイ・バクランの指揮によるシアター・オーケストラ・トーキョーの演奏も、ドラマを盛り上げてくれた。

そしてジョージア国立バレエ(グルジア国立バレエ)のクオリティが向上したことに驚かされた。コール・ド・バレエのダンサーたちは、手脚が長くプロポーションが美しくて容姿端麗。揃っていない部分もあるものの、ロシアバレエの伝統をしっかりと引き継いでいて見ごたえがあった。4幕でオデットを守るべくフォーメーションを組んだ白鳥たちの姿はドラマティックで、しっかりと主役を引き立てていた。ロットバルトのダヴィッド・アナネリは跳躍がとても大きい。ニーナが踊らなくなっても、このバレエ団を今後も観られたらいいと感じた。


第二部
『セレナーデ』 
ジョージ・バランシン振付
舞台指導 バート・クック、マリア・カレガリ

エカテリーナ・スルマーワ、ヌツァ・チェクラシヴィリ、ニノ・サマダシヴィリ
ダヴィッド・アナネリ、フィリップ・フェードゥロフ

ニーナもゲストも出演しない、オール・ジョージア国立バレエによる『セレナーデ』。これがとてもクオリティの高い上演だった。この演目に出演しているダンサーたちは体型も非常に美しく、冒頭の6番ポジションで腕を上げたポーズが絵になる。特に女性の主役の3人のエレガンスには惹きつけられた。なんともいえない詩情、豊かな音楽性、そしてほのかに漂うドラマ。バランシンは、もちろんジョージアにルーツがあるわけで、そのバランシンの魂を連れて帰ったような心震える舞台となった。男性のアンサンブルの中に日本人男性もいたけれども、他のダンサーと引けを取らないプロポーションの持ち主だった。


第三部
『眠れる森の美女』3幕より 

 オーロラ姫  ニーナ・アナニアシヴィリ
 デジレ王子  アレクサンドル・ヴォルチコフ(ボリショイ・バレエ)
 リラの精    ニノ・サマダシヴィリ

 ダイヤモンドの精 ヌツァ・チェクラシヴィリ サファイアの精 ナタリア・リグヴァ―ワ
 金の精 タマア・バクタゼ  銀の精 ニア・ゲラゼ

 白い猫 ニア・グロルダーワ 長靴を履いた猫 ディエゴ・ブッティリオーネ
 フロリナ姫 マリアム・エロシュヴィリ  青い鳥 高野陽年
 シンデレラ エカテリーナ・スルマーワ フォーチュン王子 フランク・ファン・トンガレン

『眠れる森の美女』3幕は、豪華な舞台装置、そして日本人の子役も多数出演した華麗な舞台となった。ニーナは金髪の鬘をかぶってお姫様そのものの愛らしさ。温かい笑顔と気品ある動きはまぶしいオーラを放っていた。アレクサンドル・ヴォルチコフもサポートは完璧で、お似合いの美しいカップル。彼のヴァリエーションも、東京文化会館の舞台が狭く感じられるほどのダイナミックさだった。最後にニーナがサポートされながらパンシェをしてポーズをして顔を客席に向けたときの可愛らしさと言ったら、言葉にできないほどだった。特にリラの精や宝石の精のダンサーたちはとても美しくて技術もしっかりとしていた。また、青い鳥を踊った高野陽年さんは、長身でラインも美しく、浮かび上がるような高い跳躍やブリゼ・ボレの細かい足先などが見事でこの役はぴったりだった。

ニーナファンが大勢駆け付けたこの日の公演は、たくさんの公演が重なった日だったのに客の入りも良く、当然カーテンコールでは総立ちとなった。カーテンの前でも、ニーナはサポートされてのパンシェのポーズを披露。大きな愛と幸せに満たされた、とても素敵な公演だった。まだまだ古典を踊る技術も保っているニーナだけど、ここは引き際の美学を優先させたのだろう。クラシック・ガラ、グランドバレエを踊るのは最後とのことだけど、また彼女の明るく華やかな舞台を観続けたいと思う。まずはBプロが楽しみ。

ジョージア国立バレエ
指揮 アレクセイ・バクラン
管弦楽 シアター・オーケストラ・トーキョー

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2017/03/19

東京バレエ団9月〈20世紀の傑作バレエ〉公演概要 ロベルト・ボッレ客演

東京バレエ団は、

〈20世紀の傑作バレエ〉プティ-ベジャール-キリアン

と題した公演を9月に行います。

http://www.thetokyoballet.com/news/20.html

バレエ団が得意としてきたモーリス・ベジャール振付の「春の祭典」の他、2作品、バレエ団初演作品がレパートリー入りします。

イリ・キリアン振付の「小さな死」と、ローラン・プティ振付「アルルの女」という20世紀の傑作です。


「アルルの女」 東京バレエ団初演
振付:ローラン・プティ 音楽:ジョルジュ・ビゼー

「小さな死」 東京バレエ団初演
振付:イリ・キリアン 音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト

「春の祭典」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

■公演日程:
9月8日(金) 19:00
9月9日(土) 14:00
9月10日(日)14:00

■公演会場:
東京文化会館(上野)

■主な配役:
「アルルの女」 
9/8(金)、9/10(日)ロベルト・ボッレ(フレデリ)、上野水香(ヴィヴェット)
9/9(土)柄本弾(フレデリ)、川島麻実子(ヴィヴェット)

「春の祭典」
9/8(金)奈良春夏(生贄の女)、岸本秀雄(生贄の男)
9/9(土)伝田陽美(生贄の女)、入戸野伊織(生贄の男)
9/10(日)渡辺理恵(生贄の女)、岸本秀雄(生贄の男)

※「小さな死」の配役は後日、振付指導者によるリハーサルが始まってから決定されます。決まり次第、ホームページ等で発表します。

■入場料金(税込):
 (9/8・10)S:¥12,000、A:¥10,000、B:¥8,000、C:¥6,000、D:¥5,000、E:¥4,000
 (9/9)  S:¥10,000、A:¥8,000、B:¥6,000、C:¥5,000、D:¥4,000、E:¥3,000

■NBS WEBチケット先行発売 [座席選択 S~D]:5月10日(月)21:00~5月17日(水)18:00

■一斉発売:5月27日(土)10:00~

■チケットのお申込み/お問合せ
NBSチケットセンター 03-3791-8888 (平日10:00~18:00、土曜10:00~13:00)

「アルルの女」のフレデリ役には定評のあるロベルト・ボッレがゲスト出演します。現代作品のトリプルビルは一般的にチケットの売れ行きが厳しいとされている中、有名な作品とはいえ、2作品のカンパニー初演を持ってくるのは、非常に意欲的だと言えます。

2017/03/18

トランプ大統領、全米芸術基金や全米人文科学基金の廃止を、連邦政府予算案で提案

1月に、トランプ合衆国大統領が、全米芸術基金(NEA)と全米人文科学基金を廃止する意向であるという記事を紹介したところ、大きな反響がありました。

ただし、これはヘリテージ財団の青写真に基づく内容のものを政治専門紙「ザ・ヒル」が報じたもので、見通しに関する記事でした。


このたび、トランプ大統領は、3月16日に発表された第1回目となる連邦政府予算案の中で、全米芸術基金や全米人文科学基金の廃止を提案しています。

ドナルド・トランプ大統領、全米芸術基金や全米人文科学基金の廃止を提案
http://nme-jp.com/news/35278/

Trump wants to axe NEA and other culture agencies
http://theartnewspaper.com/news/trump-wants-to-axe-nea-and-other-culture-agencies/

Trump Proposes Eliminating the Arts and Humanities Endowments
https://www.nytimes.com/2017/03/15/arts/nea-neh-endowments-trump.html?_r=1

先に報じられた全米芸術基金や全米人文科学基金(NEH)だけでなく、放送局PBSや非営利ラジオ局のネットワークの主財源となる国家放送法人、博物館図書館サービス振興機構(米国の博物館・図書館サービス法(Museum and Library Services Act)によって制定された連邦行政府内の独立行政機関)、ならびに学者のためのウッドロー・ウィルソン・インターナショナル・センターの解体も提案しており、19もの団体が廃止されてしまう危機にあります。

全米芸術基金と全米人文科学基金は、1965年に当時のリンドン・ジョンソン大統領がどの「先進的な国家」も芸術や人文科学、文化的な活動を十分評価する必要があると宣言して設立されており、基金の廃止を呼びかけた大統領はこれまでにいませんでした。

両基金ほか19団体を合わせた年間の予算は、国家予算1.1兆ドル(約124.59兆円)のうちの約30億ドル(約3397億円)となっています(NEA,NEHがそれぞれ1億4千800万ドル、連邦政府予算のわずか0.003%)。一方で、トランプは大幅に軍事予算を増加させる予定で、523億ドルも増加させ、メキシコと米国の間の壁を構築するなどで、入国管理局の予算も28億ドルも増加させるとのことです。また、トランプタワーの年間の警備費は、1億8300万ドルで、NEAやNEHの予算よりも大きな金額です。

もちろん、芸術に関連する団体、美術館や博物館などは歩調を合わせて、この削減や廃止への反対を表明しています。たとえばNEAは、脳に外傷を負った軍人が入院している全米12の病院に、リハビリのためにアートセラピストを配置したりもしています。また、NEAは米国内のGDPの4.2%にあたる7300億ドルという市場規模、480万人が雇用されている芸術文化産業において、基金のマッチングで年間6億ドルも生み出していて、大きな経済効果を生んでいます。

National Center for Arts Research (NCAR)によれば、美術館/博物館は99億5千万ドルの売り上げを米国経済に貢献しており、またコミュ二ティに根差したアート団体も36億ドルの寄与があるとのことです。

メトロポリタン美術館も、抗議の声明を発表しています。
http://www.metmuseum.org/press/news/2017/march-16-statement

全米各地の劇場も抗議声明を発表し、NEAの重要性を強調しています。
http://www.broadwayworld.com/philadelphia/article/In-Their-Own-Words-Arts-Organizations-on-the-Importance-of-the-National-Endowment-for-the-Arts-20170218

もちろん、米国のバレエ団もNEAから基金を提供されていました。たとえば1995年には、ABT(アメリカン・バレエ・シアター)はNEAから125万ドルの基金の提供を受けています。

米国のDance Magazineでは、1月の報道があった時には、まだ楽観的な内容の記事を掲載していました。
The NEA is Not Going Anywhere…Yet
http://dancemagazine.com/views/nea-not-going-anywhere-yet/

2017年のNEAのダンス関係の基金提供については、アスペン・サンタフェ・バレエの米国内ツアーとアウトリーチ活動の支援、ディブロ・ダンス・センターの支援、ジョージ・バランシン財団のビデオアーカイブ作成への支援などを行う予定となっています。

ダンス/バレエ団体への公的な金銭的な支援が行われなくなるのも大きな問題ですが、もっと大きな問題としては、米国内の公立学校や、小さなコミュニティにおけるアート関連のプログラムが削減される可能性が高くなっています。多くのダンサーは、これらのNEAによって支援されたプログラムで教えることによって生計を立てています。またこれらの資金援助が行われないことにより、地方や金銭的に恵まれない地域における子供、さらには大人も芸術に触れる機会が減ってしまうことになります。

ただし、この段階ではあくまでも廃止の「提案」なのであって、廃止されることが決まったわけではありません。反対、抗議の声を上げていくことが必要だと、Dance Magazineの記事でも書いており、請願の送り先や、ソーシャルメディアでNEAの重要性を訴えることを書いています。
http://dancemagazine.com/views/how-to-save-the-nea/

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